[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP4732751B2 - 硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器 - Google Patents

硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器 Download PDF

Info

Publication number
JP4732751B2
JP4732751B2 JP2004504725A JP2004504725A JP4732751B2 JP 4732751 B2 JP4732751 B2 JP 4732751B2 JP 2004504725 A JP2004504725 A JP 2004504725A JP 2004504725 A JP2004504725 A JP 2004504725A JP 4732751 B2 JP4732751 B2 JP 4732751B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
ethylene
density
olefin copolymer
thickness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004504725A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005525952A (ja
Inventor
裕希 真鍋
英志 岡本
啓一 河上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Otsuka Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Priority to JP2004504725A priority Critical patent/JP4732751B2/ja
Publication of JP2005525952A publication Critical patent/JP2005525952A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4732751B2 publication Critical patent/JP4732751B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin
    • B32B27/32Layered products comprising a layer of synthetic resin comprising polyolefins
    • B32B27/322Layered products comprising a layer of synthetic resin comprising polyolefins comprising halogenated polyolefins, e.g. PTFE
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin
    • B32B27/32Layered products comprising a layer of synthetic resin comprising polyolefins
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B1/00Layered products having a non-planar shape
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61JCONTAINERS SPECIALLY ADAPTED FOR MEDICAL OR PHARMACEUTICAL PURPOSES; DEVICES OR METHODS SPECIALLY ADAPTED FOR BRINGING PHARMACEUTICAL PRODUCTS INTO PARTICULAR PHYSICAL OR ADMINISTERING FORMS; DEVICES FOR ADMINISTERING FOOD OR MEDICINES ORALLY; BABY COMFORTERS; DEVICES FOR RECEIVING SPITTLE
    • A61J1/00Containers specially adapted for medical or pharmaceutical purposes
    • A61J1/05Containers specially adapted for medical or pharmaceutical purposes for collecting, storing or administering blood, plasma or medical fluids ; Infusion or perfusion containers

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Medical Preparation Storing Or Oral Administration Devices (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Wrappers (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)

Description

本発明は、硝酸イソソルビドの吸着を抑制した多層フィルムを用いてなる硝酸イソソルビドを含有する薬剤用器に関する。
いくつかの薬剤は、持続的な点滴の用に供するために、輸液の中に混合した状態で投与される。注射用の薬剤についても、持続的な点滴の用に供するために、あらかじめ希釈水溶液の形態とすること、すなわちプレミクスト(Pre−Mixed)化することが検討されている。
従来、輸液等を収容する薬剤容器には、化学的に安定なガラスからなる瓶やアンプルが用いられてきたが、近年、薬剤容器の軽量化、取扱性の向上を目的として、医薬的に許容されたプラスチックからなる輸液バッグや輸液ボトルが広く用いられている。医薬的に許容されたプラスチックとしては種々のものが知られているが、中でもポリエチレンは安全性が高く、フィルムが柔軟であることから取扱性が極めて良好であり、しかも焼却しても有毒ガスを発生しないことから廃棄性に優れている。従って、薬剤容器の材質にはポリエチレンが広く採用されている。
しかしながら、例えばニトログリセリン等のある種の薬剤はポリエチレンに吸着され易く、それゆえ、混注投与の場合に薬剤の含量低下が問題となっており、このことは、プレミクスト化を行なう上での障害ともなっている。
一方、下記特許文献1には、薬剤の吸着を抑制することを目的として、ポリ環状オレフィンを用いた薬剤容器が提案されている。
しかしながら、ポリ環状オレフィンはニトログリセリン等の吸着性が乏しいという特性を有する反面、硬くて脆いという欠点を有しており、薬剤容器の強度や柔軟性等の性質を低下させる問題がある。
さらに、ポリ環状オレフィンは、他の樹脂との相溶性や接着性が乏しいことから、層間剥離が生じやすく、容器の強度が低下するという問題がある。また、ポリ環状オレフィンと他の樹脂とを接着樹脂によって接着させた場合には、薬剤中への溶出物の問題があることから、安全性が保障されない問題がある。
特開平5−293159号公報
そこで、本発明の目的は、強度、柔軟性、耐熱性および医療用材料としての安全性に優れており、しかも硝酸イソソルビドが吸着するのを抑制した多層フィルムを用いてなる硝酸イソソルビドを含有する薬剤用器を提供することである。
上記課題を解決するための本発明に係る硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器は、
密度0.935〜0.950g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体を用いてなる厚さ10〜50μmの表層と、
密度0.860〜0.930g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体を用いてなる厚さ100〜200μmの柔軟層と、
ポリ環状オレフィン60〜95重量%と密度0.900〜0.965g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体5〜40重量%とを含む混合樹脂を用いてなり、ガラス転移温度が80〜150℃のポリ環状オレフィンを含む、厚さ10〜80μmのバリア層と、
密度0.910〜0.950g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体を用いてなる厚さ5〜80μmのシール層とを備える多層フィルムを、
上記表層が外表面側となるように、かつ上記シール層が内表面側となるように用いてなることを特徴とする。
発明に係る多層フィルムは、当該フィルムを用いてなる本発明の硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器において示されているように、その表層を外表面側にして用いられるものである。すなわち、多層フィルムのシール層が硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器の最内層となるものであって、当該容器に収容される硝酸イソソルビドと直接に接触することとなる。
ここで、当該シール層には、従来の医療用容器にも多用される、ニトログリセリン等に対して吸着能を示すエチレン・α−オレフィン共重合体が用いられている。しかしながら、その厚みは5〜80μmと薄く設定されており、しかもシール層の外表面側には、ポリ環状オレフィンを所定の割合で含有してなるバリア層が設けられている。さらに、当該バリア層の外表面側には、低密度のエチレン・α−ポリオレフィン共重合体を用いてなる柔軟層と、高密度のエチレン・α−ポリオレフィン共重合体を用いてなる表層がこの順で設けられている。
このような層構成の多層フィルムを備える本発明の硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器によれば、上記バリア層によって硝酸イソソルビドの吸着を抑制することができ、さらに当該バリア層を覆うシール層、柔軟層および表層によって、バリア層との相溶性とを確保しつつ、優れた強度と柔軟性とを発揮させることができる。
本発明の硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器に用いられる多層フィルムにおいて、柔軟層は、
(a)密度0.860〜0.930g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体に、密度0.940〜0.970g/cmの高密度ポリエチレンを20重量%以下の割合で混合してなるもの、または
(b)上記柔軟層が、密度0.860〜0.930g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体からなる層と、密度0.860〜0.930g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体に密度0.940〜0.970g/cmの高密度ポリエチレンを20重量%以下の割合で混合してなる層との積層体
であるのが好ましい。
上記(a)に示すように、所定密度のエチレン・α−ポリオレフィン共重合体に高密度のポリエチレンを混合してなるもの、または上記(b)に示すように、所定密度のエチレン・α−ポリオレフィン共重合体の層と高密度ポリエチレンの層との積層体を柔軟層として用いることにより、多層フィルム(およびそれを用いた硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器)の柔軟性を低下させることなく、耐熱性を向上させることができる。
上記(a) に示す多層フィルムにおいて、上記柔軟層に用いられる密度0.860〜0.930g/cm3 のエチレン・α−オレフィン共重合体は、密度0.860〜0.910g/cm3 のエチレン・α−オレフィン共重合体と密度0.910〜0.940g/cm3 のエチレン・α−オレフィン共重合体との混合物であってもよい。柔軟層に上記混合物を用いることによって、多層フィルムの柔軟性をより一層向上させることができる。
本発明の硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器に用いられる多層フィルムにおいて、柔軟層に用いられる密度0.860〜0.930g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体が、メタロセン触媒を用いて重合されたものであるのが好ましい。同様に、バリア層に用いられる密度0.900〜0.965g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体も、メタロセン触媒を用いて重合されたものであるのが好ましい。
このように、柔軟層やバリア層に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体としてメタロセン触媒を用いて重合したものを用いることにより、多層フィルム(およびそれを用いた硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器)の柔軟性や耐衝撃性を良好に保ちつつ、ガスバリア性や水分バリア性を向上させることができる。
本発明の硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器に用いられる多層フィルムは、硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器等の、医療用の可撓性プラスチック容器に使用するという観点から、フィルム全体の厚みが130〜300μmであるのが好ましい。
本発明の多層フィルムは、硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器等の、医療用の可撓性プラスチック容器に使用するものであることから、当該容器に収容する硝酸イソソルビドの吸着能を低くすることや、あるいは当該容器の諸特性(耐久性等)を良好なものにすることといった観点から、そのシール層の厚みを設定するのが好ましい。具体的には、硝酸イソソルビドの吸着防止効果をより重視する場合には、シール層の厚みを5〜40μmとするのが好ましく、容器の耐久性等をより重視する場合には、シール層の厚みを40〜80μmとするのが好ましい。
〔多層フィルム〕
次に、本発明に係る多層フィルムについて詳細に説明する。
(バリア層)
本発明の多層フィルムにおけるバリア層は、前述のように、ポリ環状オレフィンを60〜95重量%と、密度0.900〜0.965g/cm3 のエチレン・α−オレフィン共重合体を5〜40重量%の割合で含有する混合樹脂を用いてなるものであって、層の厚さが10〜80μmであることを特徴とする。
バリア層に用いられるポリ環状オレフィンとしては、例えばエチレンとジシクロペンタジエン類との共重合体、エチレンとノルボルネン系化合物との共重合体や、シクロペンタジエン誘導体の開環重合体、種々のシクロペンタジエン誘導体の開環共重合体、ならびにそれらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、エチレンとノルボルネン系化合物との共重合体の水素添加物、あるいは1種以上のシクロペンタジエン誘導体の開環(共)重合体水素添加物を用いるのが、多層フィルムの強度やガス・水分バリア性を良好なものとする上で好ましい。
上記樹脂としては、例えば、下記一般式(1) で表される繰り返し単位と、下記一般式(1')で表される繰り返し単位を有するポリマーや、下記一般式(2) で表される繰り返し単位を有するポリマーが挙げられる。
Figure 0004732751
(式(1)および(1')中、R1 ,R1',R2 およびR2'は同一または異なって、水素、炭化水素残基、またはハロゲン、エステル、ニトリル、ピリジル等の極性基を示す。R1 ,R1',R2 およびR2'は互いに結合して環を形成してもよい。mおよびm’は1以上の整数、nおよびn’は0または1以上の整数である。)
Figure 0004732751
(式(2) 中、R3 およびR4 は同一または異なって、水素、炭化水素残基、またはハロゲン、エステル、ニトリル、ピリジル等の極性基を示す。また、R3 およびR4 は互いに結合して環を形成してもよい。xおよびzは1以上の整数、yは0または1以上の整数である。)
一般式(1)および(1')で表される繰り返し単位を有するポリマーは、1種または2種以上の単量体を公知の開環重合方法によって重合させ、またはこうして得られる開環重合体を常法に従って水素添加したものである。当該ポリマーの具体例としては、日本ゼオン(株)製の水添重合体〔商品名「ゼオノア(R) 」、比重1.01、メルトフローレート(MFR)70g/10分(190℃)、ガラス転移温度(Tg)100℃〕、日本合成ゴム(株)製の商品名「ARTON(R) 」等が挙げられる。
一般式(2) で表される構造単位を有するポリマーは、単量体としての、1種または2種以上のノルボルネン系モノマーと、エチレンとを公知の方法によって付加共重合させたもの、またはこれを常法に従って水素添加したものである。当該ポリマーの具体例としては、三井化学(株)製の商品名「アペル(R) 6509」〔比重1.02、MFR40g/10分(190℃)、ガラス転移温度(Tg)80℃〕、ティコナGmbH製の商品名「トパス(R) 」等が挙げられる。
上記一般式(1),(1’)および一般式(2)で表される構成単位を有するポリマーを含む、上記例示の樹脂のなかでも、その水素添加物は、いずれも飽和ポリマーであるので、ガス遮蔽性や水分遮蔽性に加えて、耐熱性や透明性、さらには安定性の点で優れている。
本発明に用いるポリ環状オレフィンは、そのガラス転移温度(T)が70℃以上であるのが好ましく、80〜150℃であるのがより好ましい。ただし、バリア層には、ガラス転移温度が80〜150℃のポリ環状オレフィンが必ず含まれる。また、その分子量の範囲が、シクロヘキサンを溶媒とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)分析により測定した数平均分子量<Mn>において1万〜10万であるのが好ましく、2万〜5万であるのがより好ましい。ポリ環状オレフィンの分子鎖中に残留する不飽和結合を水素添加により飽和させる場合において、その水添率は90%以上であるのが好ましく、95%以上であるのがより好ましく、99%以上であるのが特に好ましい。
上記バリア層において、ポリ環状オレフィンの含有割合が60重量%を下回ると、硝酸イソソルビドの吸着を防止する効果が低下する。一方、ポリ環状オレフィンの含有割合が95重量%を超えると、多層フィルム全体の柔軟性が低下するとともに、バリア層と他の層との接着性も低下する。
本発明の多層フィルムにおけるバリア層以外の全ての層は、後述するように、エチレン・α−オレフィン共重合体からなるか、あるいはエチレン・α−オレフィン共重合体を主成分としている。従って、バリア層を形成する樹脂のうちポリ環状オレフィンを除く残りの樹脂については、当該バリア層と、シール層や柔軟層との接着性を良好なものとする上で、全てエチレン・α−オレフィン共重合体であるのが好ましい。
上記バリア層において、エチレン・α−オレフィン共重合体の含有割合が5重量%を下回ると、バリア層と他の層との接着性が低下する。一方、エチレン・α−オレフィン共重合体の含有割合が40重量%を超えると、ポリ環状オレフィンの含有量が低下するために、硝酸イソソルビドの吸着を防止する効果が低下する。
バリア層の形成に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が0.900〜0.965g/cmの範囲にあるものである。バリア層を形成するエチレン・α−オレフィン共重合体の密度が0.900g/cmを下回ると、多層フィルムの耐熱性が低下するという問題を生じる。一方、密度が0.965g/cmを超えると、多層フィルムが硬くなって、透明性も低下するという問題を生じる。
バリア層の形成に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が上記範囲を満足するほかは特に限定されるものではなく、従来公知の種々のエチレン・α−オレフィン共重合体を用いることができる。具体的には、エチレンと、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等の、炭素数が3〜12のα−オレフィンとの共重合体などが挙げられる。エチレン・α−オレフィン共重合体は、柔軟性や強度の観点から、直鎖状であるのがより好ましい。
バリア層の形成に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、特に、メタロセン触媒を用いて製造されたものであるのが好ましい。メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体を用いた場合には、前述のように、多層フィルムの柔軟性や耐衝撃性を良好に保ちつつ、ガスバリア性や水分バリア性を向上させることができる。
バリア層の厚みは、硝酸イソソルビドの吸着防止効果と多層フィルム全体の柔軟性とのバランスを考慮して上記の範囲で設定される。バリア層の厚みが10μmを下回ると硝酸イソソルビドの吸着を防止する効果が低下する。一方、厚みが80μmを超えると多層フィルム全体の柔軟性が低下する。バリア層の厚みの特に好ましい範囲としては、10μm〜50μmを示すことができる。
(柔軟層)
本発明の多層フィルムにおける柔軟層は、前述のように、密度0.860〜0.930g/cm3 のエチレン・α−オレフィン共重合体を用いてなるものであって、層の厚さが100〜200μmであることを特徴とする。
柔軟層の形成には、多層フィルムおよびそれを用いた薬剤容器に高い柔軟性を付与するという観点から、上記の密度を有するエチレン・α−オレフィン共重合体が用いられる。ここでのエチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が異なるほかは、バリア層の形成に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体として例示したものと同じものが挙げられる。
柔軟層の形成に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、多層フィルムの柔軟性をより一層優れたものにするために、上記範囲の中でも特に、0.890〜0.910g/cm3 であるのが好ましい。さらに、当該共重合体は、そのMFRが0.5〜4.0g/10分(190℃)であるのが好ましく、融点が105〜120℃であるのが好ましい。
柔軟層の形成に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、特に、メタロセン触媒を用いて製造されたものであるのが好ましい。メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体を用いた場合には、前述のように、多層フィルムの柔軟性や耐衝撃性を良好に保ちつつ、ガスバリア性や水分バリア性を向上させることができる。
一方、柔軟層に用いられる密度0.860〜0.930g/cm3 のエチレン・α−オレフィン共重合体として、密度0.860〜0.910g/cm3 のエチレン・α−オレフィン共重合体と密度0.910〜0.940g/cm3 のエチレン・α−オレフィン共重合体との混合物を用いてもよい。この混合物を用いることによって、多層フィルムの柔軟性をより一層向上させることができる。
柔軟層の形成に用いられる樹脂(および柔軟層)は、密度0.860〜0.930g/cm3 のエチレン・α−オレフィン共重合体を単独で用いたものであるほか、前述の(a) に示すように、上記エチレン・α−オレフィン共重合体に、密度が0.940〜0.970g/cm3 の高密度ポリエチレンを20重量%以下の割合で混合したものであってもよい。
また、前述の(b) に示すように、上記エチレン・α−オレフィン共重合体からなる層と、密度が0.860〜0.930g/cm3 のエチレン・α−オレフィン共重合体に密度が0.940〜0.970g/cm3 の高密度ポリエチレンを20重量%以下の割合で混合してなる層との積層体であってもよい。
高密度ポリエチレンを混合したり、積層体としたりする場合においても、柔軟層の全体の密度は、エチレン・α−オレフィン共重合体を単独で用いる場合と同じく、0.860〜0.930g/cm3 の範囲に収まるように設定される。
柔軟層の形成に用いられる樹脂(および柔軟層)として、上記(a) の混合樹脂または上記(b) の積層体を用いた場合には、多層フィルムの柔軟性を低下させることなく、耐熱性を向上させることができる。
上記エチレン・α−オレフィン共重合体に混合され、または当該共重合体と積層される高密度ポリエチレンは、ホモポリマーであるほか、α−オレフィンとの共重合体であってもよい。
上記(b) の積層体をなす各層の厚さの比率は特に限定されるものではなく、任意の比率を選択することができる。積層体の構成は特に限定されるものではないが、例えばエチレン・α−オレフィン共重合体に高密度ポリエチレンを混合してなる層を中間層に配してなる3層構造のものが挙げられる。
柔軟層の厚みは、主として多層フィルム全体の柔軟性を適度なものとするために上記の範囲で設定される。柔軟層の厚みが100μmを下回ると、多層フィルム全体の柔軟性が低下する。一方、厚みが200μmを超えると、多層フィルム全体の厚みが大きくなり過ぎてしまう。
なお、柔軟層の厚みは、当該柔軟層を積層体とした場合であっても、上記範囲に収まるように設定される。柔軟層の厚みの特に好ましい範囲としては、130μm〜180μmを示すことができる。
(シール層)
本発明の多層フィルムにおけるシール層は、前述のように、密度が0.910〜0.950g/cm3 のエチレン・α−オレフィン共重合体を用いてなるものであって、層の厚さが5〜80μmであることを特徴とする。
シール層の形成には、高温条件での滅菌に耐え得ること(耐ブロッキング性を備えること)、容易に熱溶着を行なえること、医薬的に許容されかつ硝酸イソソルビドと接触したときに溶出する成分を有しないこと、等の観点から、耐熱性樹脂としてのエチレン・α−オレフィン共重合体が用いられる。ここでのエチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が異なるほかは、バリア層の形成に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体として例示したものと同じものが挙げられる。
シール層の形成に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、主としてシール性の観点から、上記の範囲に設定される。
シール層の厚みは、シール性と硝酸イソソルビドの吸着能とのバランスを考慮して上記の範囲に設定される。シール層の厚みが5μmを下回るとシール性が低下してしまい、逆に、80μmを超えると硝酸イソソルビドがシール層に吸着され易くなって、多層フィルム全体としての硝酸イソソルビドの吸着防止効果が低下する。
なお、前述のように、本発明の硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器に用いられる多層フィルムにおいて、当該容器に収容する硝酸イソソルビドの吸着能を低くすることをより重視する場合には、シール層の厚みを5〜40μmとするのが好ましい。一方、当該容器の諸特性(耐久性等)を良好なものにすることをより重視する場合には、シール層の厚みを40〜80μmとするのが好ましい。
(表層)
本発明の多層フィルムにおける表層は、前述のように、密度が0.935〜0.950g/cm3 のエチレン・α−オレフィン共重合体を用いてなるものであって、層の厚さが10〜50μmであることを特徴とする。
表層は、この多層フィルムで薬剤容器を形成した場合にその外表面をなす層であって、機械的強度(特に、引張強さ)が高く、耐熱性に優れていることが求められることから、上記の密度を有するエチレン・α−オレフィン共重合体が用いられる。ここでのエチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が異なるほかは、バリア層の形成に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体として例示したものと同じものが挙げられる。
表層の形成に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、表層の機械的強度(特に、引張強さ)や耐熱性をより優れたものとするために、上記範囲の中でも特に、0.935〜0.945g/cm3 であるのが好ましく、0.940g/cm3 程度であるのがより好ましい。さらに、当該共重合体は、そのMFRが1.5〜2.5g/10分(190℃)であるのが好ましく、融点が120〜130℃であるのが好ましい。
表層の厚みは、機械的強度(特に、引張強さ)や耐熱性と、多層フィルム全体の厚みとのバランスを考慮して上記の範囲に設定される。
(多層フィルムの製造方法)
多層フィルムは、共押し出しインフレーション法や共押出Tダイ法等の、従来公知の種々の方法を採用して製造することができる。
本発明の多層フィルムは、薬剤容器等の、医療用の可撓性プラスチック容器に使用されることから、その製造に際して、総厚みが180〜300μmとなるように設定される。総厚みが130μmを下回ると薬剤容器等の強度が低下するおそれがある。一方、総厚みが300μmを超えると薬剤容器等の柔軟性が損なわれたり、取扱性が低下したりするおそれがある。
〔薬剤容器〕
次に、本発明に係る薬剤容器について、その一実施形態を示す図1を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の多層フィルムを用いてなる薬剤容器(薬液バッグ)の一例を示す正面図である。
図1に示す薬剤容器10は、本発明の多層フィルム2枚を通常の方法により裁断し、それぞれのシール層が内層となるように重ね合わせてその周縁部22をヒートシールし、当該周縁部22に口部材20をヒートシール等の手段により取付けることによって製造される。
本発明の薬剤容器は上記の方法に従って製造するものに限られるものではなく、例えば多層フィルムのシール層を内側にしてチューブ状に成形した上で、周縁をヒートシールすることにより成形してもよい。
多層フィルムのヒートシールの条件としては、130〜200℃の温度範囲を採用することができる。例えば250μm程度の厚さを有するフィルムを上記温度範囲でヒートシールするのであれば、約0.5〜6秒という短い時間でシールを完了することができる。
口部材20には、多層フィルムのシール層との溶着性に優れた樹脂、例えばポリエチレンで成形したものを用いるのが好ましい。口部材20を融点約120〜130℃のポリエチレン製とした場合のヒートシールの条件としては、口部材を数秒間予備加熱した上で、約140〜170℃で約0.5〜5秒間の範囲で加熱すればよい。
本発明の薬剤容器に収容可能な薬剤としては、前述の硝酸イソソルビド、ニトログリセリン以外に、例えば、塩酸ニカルジピン、ミダゾラム、エダラボン等がその好適例として挙げられる。これらの薬剤は、一般に、ポリエチレン等からなる薬剤容器に吸着し易いものであるが、本発明の多層フィルムからなる薬剤容器に収容することで、その吸着を防止することができる。
また、本発明の薬剤容器に収容できる製剤形態としては、前述の水溶液以外に、例えば粉末状等が挙げられる。
本発明の薬剤容器の形態として、例えば連通可能な隔壁で仕切られた2以上の室を形成し、一の室に粉末状薬剤を収容し、他の室にその溶解液を収容することもできる。
次に、実施例および比較例を挙げて本発明を説明する。
〔多層フィルムおよび薬剤容器の成形〕
下記の実施例および比較例において、多層フィルムの成形に使用した樹脂は次のとおりである。
樹脂A:エチレン・1−ブテン共重合体〔三井化学(株)製の商品名「ウルトゼックス(R) 4020B」,密度0.940g/cm3 ,MFR2.1g/10分(190℃)〕
樹脂B:エチレン・1−ブテン共重合体〔三井化学(株)製の商品名「ウルトゼックス(R) 3020B」,密度0.930g/cm3 ,MFR2.1g/10分(190℃)〕
樹脂C:メタロセン触媒エチレン・1−ヘキセン共重合体〔三井化学(株)製の商品名「エボリュー(R) 」,密度0.905g/cm3 ,MFR1.5g/10分(190℃)〕
樹脂D:高密度ポリエチレン〔三井化学(株)製の商品名「ハイゼックス(R) 」,密度0.965g/cm3 ,MFR15g/10分(190℃)〕
樹脂E:エチレン・テトラシクロドデセン共重合体〔三井化学(株)製の商品名「アペル(R) 6509」,比重1.02,MFR40g/10分(190℃),ガラス転移温度80℃〕
樹脂F:エチレン・テトラシクロドデセン共重合体〔三井化学(株)製の商品名「アペル(R) 8008」,比重1.02,MFR40g/10分(190℃),ガラス転移温度70℃〕
樹脂G:ノルボルネン系単量体の開環重合体水素添加物〔日本ゼオン(株)製の商品名「ゼオノア(R) 1020R」,比重1.01,MFR20g/10分(190℃),ガラス転移温度105℃〕
樹脂H:エチレン・1−ブテン共重合体〔三井化学(株)製の商品名「ウルドゼックス(R) 2010B」,密度0.920g/cm3 ,MFR1.0g/10分(190℃)
樹脂I:エチレン・1−ブテン共重合体〔三井化学(株)製の商品名「タフマー(R) 」A0585B,密度0.885g/cm3 ,MFR0.5g/10分(190°)〕
(実施例1)
表層として樹脂Aを、柔軟層として樹脂Cを、バリア層として樹脂Eと樹脂Aとを3:1(重量比)の割合で含有する混合樹脂〔ポリ環状オレフィン(CO)の混合割合75重量%〕を、シール層として樹脂Aを、それぞれ使用した。
上記表層、柔軟層、バリア層およびシール層に用いる樹脂をこの順で重なり合うように配置し、水冷共押出インフレーション法によって、各層の厚みが表層側から順に20μm、170μm、30μm、10μmであって、総厚みが230μmである多層フィルムを成形した。
さらに、上記多層フィルムを用いて、図1に示す薬液バッグ(薬剤容器)10を製造した。なお、口部材20としてはポリエチレン製のものを用いた。口部材20のシールは140〜150℃で3秒間、周縁部22のシールは155℃で4.5秒間行なった。
比較例1
表層として樹脂Aを、柔軟層として樹脂Cと樹脂Dとを95:5(重量比)の割合で含有する混合樹脂〔高密度ポリエチレン(HDPE)の含有割合5重量%〕を、バリア層として樹脂Fと樹脂Cとを3:1(重量比)の割合で含有する混合樹脂(COの混合割合75重量%)を、シール層として樹脂Bを、それぞれ使用した。
上記表層、柔軟層、バリア層およびシール層に用いる樹脂をこの順で重なり合うように配置し、水冷共押出インフレーション法によって、各層の厚みが表層側から順に20μm、175μm、20μm、15μmであって、総厚みが230μmである多層フィルムを成形した。
さらに、上記多層フィルムを用いたほかは、実施例1と同様にして、図1に示す薬液バッグ10を製造した。
比較例2
バリア層を、樹脂Fと樹脂Cとを3:2の割合(重量比)で含有する混合樹脂(COの混合割合60重量%)に変えたほかは、比較例1と同様にして、多層フィルム(総厚み230μm)の成形と薬液バッグの製造とを行なった。
比較例3
柔軟層の厚みを160μmとし、シール層の厚みを30μmとしたほかは、比較例1と同様にして、多層フィルム(総厚み230μm)の成形と薬液バッグの製造とを行なった。
比較例4
柔軟層の厚みを155μmとし、バリア層の厚みを40μmとしたほかは、比較例1と同様にして、多層フィルム(総厚み230μm)の成形と薬液バッグの製造とを行なった。
(実施例
バリア層を、樹脂Eと樹脂Cとを3:1(重量比)の割合で含有する混合樹脂(COの混合割合75重量%)に変えたほかは、比較例1と同様にして、多層フィルム(総厚み230μm)の成形と薬液バッグの製造とを行なった。
(実施例
バリア層を、樹脂Eと樹脂Fと樹脂Cとを3:3:2(重量比)の割合で含有する混合樹脂(COの混合割合75重量%)に変えたほかは、比較例1と同様にして、多層フィルム(総厚み230μm)の成形と薬液バッグの製造とを行なった。
(比較例
バリア層の樹脂Eと樹脂Aとの混合割合を1:1(重量比,COの混合割合50重量%)に変えたほかは、実施例1と同様にして、多層フィルム(総厚み230μm)の成形と薬液バッグの製造とを行なった。
(比較例
柔軟層の厚みを100μmとし、シール層の厚みを90μmとしたほかは、実施例1と同様にして、多層フィルム(総厚み230μm)の成形と薬液バッグの製造とを行なった。
(実施例
表層として樹脂Aを、柔軟層として樹脂H、樹脂Iおよび樹脂Dを25:70:5(重量比)で含有する混合樹脂(HDPEの含有割合5重量%)を、バリア層として樹脂Gと樹脂Aとを3:1の重量比で含有する混合樹脂を、シール層として樹脂Bを、それぞれ使用した。
上記表層、柔軟層、バリア層およびシール層に用いる樹脂をこの順で重なり合うように配置し、水冷共押出インフレーション法によって、各層の厚みが表層側から順に20μm、150μm、20μm、50μmであって、総厚みが240μmである多層フィルムを成形した。
さらに、上記多層フィルムを用いたほかは、実施例1と同様にして、図1に示す薬液バッグ10を製造した。
(実施例
表層、柔軟層、バリア層およびシール層の厚みを、順に20μm、130μm、10μmおよび80μmとしたほかは、実施例と同様にして、多層フィルム(総厚み240μm)の成形と薬液バッグの製造とを行なった。
(実施例
表層、柔軟層、バリア層およびシール層の厚みを、順に20μm、160μm、10μmおよび50μmとしたほかは、実施例と同様にして、多層フィルム(総厚み240μm)の成形と薬液バッグの製造とを行なった。
(比較例
表層、柔軟層、バリア層およびシール層の厚みを、順に20μm、120μm、10μmおよび90μmとしたほかは、実施例と同様にして、多層フィルム(総厚み240μm)の成形と薬液バッグの製造とを行なった。
上記実施例および比較例で得られた多層フィルムの層構成について、表1および表2にまとめて示す。
Figure 0004732751
Figure 0004732751
表1および表2中、例えば「C+D」のように、2種以上の樹脂を“+”で繋いで示している場合は、これら2種以上の樹脂が混合樹脂であることを示す。一方、例えば「C,D」のように、2種以上の樹脂を“,”で区切って示している場合は,これら2種以上の樹脂フィルムを積層していることを示す。
〔評価試験〕
(試験例1)
上記実施例1〜および比較例1〜で得られた薬液バッグ(薬剤容器)に、それぞれ0.005%ニトログリセリン溶液100mLを充填し、106℃で40分間高圧蒸気滅菌を施した後、60℃で2週間保存した。保存の際、容器は水平面上にて横に寝かした状態で静置し、ニトログリセリン溶液と容器との接触面積が約160cmとなるように調節した。次いで、2週間保存した後の液中のニトログリセリン濃度を高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定し、初期濃度(0.005%)に対する割合を残存率(%)として求めた。
対照として、ガラスアンプルに0.005%ニトログリセリン溶液100mLを充填し、上記と同じ条件下で保存した後の残存率(%)を求めた。さらに、この対照における残存率(%)と、実施例および比較例の残存率との差(ポイント)を求めた。
(試験例2)
薬剤容器に充填する薬液として、ニトログリセリン溶液に代えて、0.005%硝酸イソソルビド溶液を用いたほかは、試験例1と同様にして、高圧蒸気滅菌と60℃での2週間の保存とを行なった。次いで、2週間保存後の液中の硝酸イソソルビド濃度をHPLCで測定し、試験例1と同様に、初期濃度に対する残存率(%)を求めた。
さらに、試験例1と同様にしてガラスアンプルによる対照試験を行ない、この対照における残存率(%)と、実施例および比較例の残存率との差(ポイント)を求めた。
(試験例3)
上記実施例および比較例で得られた薬液バッグ(薬剤容器)について、上記試験例2と同様の試験を行った。
以上の結果を表3に示す。
Figure 0004732751
表1に示すように、実施例1〜に使用した多層フィルムおよび実施例1〜の薬液バッグは、本発明の多層フィルムおよびそれを用いた薬剤容器に相当するものである。
この実施例1〜の薬剤容器によれば、表3に残存率として示された結果より明らかなように、薬剤の吸着量を極めて低く抑えることができた。具体的に、その吸着量(残存率)はガラスアンプルを用いた場合と同程度またはわずかに吸着量が多くなる程度であった。さらに、実施例1〜の薬剤容器は、いずれも薬剤容器として十分な強度と、優れた柔軟性および耐熱性を有していた。また、主として(特にシール層が)エチレン・α−オレフィン共重合体からなるものであることから、医療用材料としての安全性も良好であった。
これに対し、バリア層におけるポリ環状オレフィンの含有割合が低い比較例や、薬液と直接接触するシール層が厚すぎる比較例の薬剤容器では、薬剤の吸着量が極めて多いという結果が得られた。
また、表2に示すように、実施例に使用した多層フィルムおよび実施例の薬液バッグは、本発明の多層フィルムおよびそれを用いた薬剤容器に相当するものである。
この実施例の薬剤容器によれば、表3に残存率として示された結果より明らかなように、薬剤の吸着量を極めて低く抑えることができた。しかも、シール層が十分な厚みを有することから、薬剤容器自体の耐久性が極めて優れていた。
これに対し、シール層が厚すぎる比較例の薬剤容器では、比較例の場合と同様に、薬剤の吸着量が極めて多いという結果が得られた。
以上の結果より、本発明の多層フィルムおよびそれを用いた薬剤容器は、薬剤・薬液を収容、保存するための医療用材料として、とりわけニトログリセリン等の、ポリエチレンに吸着され易い薬剤をプレミクスト化する用途において、好適に使用し得ることがわかった。
本発明の硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器に用いられる多層フィルムは、ポリ環状オレフィンを含有するバリア層を有し、その外表面側には、低密度のエチレン・α−ポリオレフィン共重合体を用いてなる柔軟層と、高密度のエチレン・α−ポリオレフィン共重合体を用いてなる表層、前記バリア層を覆うシール層より成ることを特徴とする。当該多層フィルムは、前記バリア層によって硝酸イソソルビドの吸着を抑制することができると共に、優れた強度と柔軟性とを有することから硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器を製造するための材料として好適である。
本発明に係る薬剤容器10の一実施形態を示す正面図である。

Claims (9)

  1. 密度0.935〜0.950g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体を用いてなる厚さ10〜50μmの表層と、
    密度0.860〜0.930g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体を用いてなる厚さ100〜200μmの柔軟層と、
    ポリ環状オレフィン60〜95重量%と密度0.900〜0.965g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体5〜40重量%とを含む混合樹脂を用いてなり、ガラス転移温度が80〜150℃のポリ環状オレフィンを含む、厚さ10〜80μmのバリア層と、
    密度0.910〜0.950g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体を用いてなる厚さ5〜80μmのシール層とを備える多層フィルムを、
    上記表層が外表面側となるように、かつ上記シール層が内表面側となるように用いてなる硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器。
  2. 上記柔軟層が、密度0.860〜0.930g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体に、密度0.940〜0.970g/cmの高密度ポリエチレンを20重量%以下の割合で混合してなるものである請求項1記載の硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器
  3. 上記柔軟層が、密度0.860〜0.930g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体からなる層と、密度0.860〜0.930g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体に密度0.940〜0.970g/cmの高密度ポリエチレンを20重量%以下の割合で混合してなる層との積層体である請求項1記載の硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器
  4. 上記柔軟層に用いられる密度0.860〜0.930g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体が、メタロセン触媒を用いて重合されたものである請求項1〜3のいずれかに記載の硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器
  5. 上記柔軟層に用いられる密度0.860〜0.930g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体が、密度0.860〜0.910g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体と密度0.910〜0.940g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体との混合物である請求項2記載の硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器
  6. 上記バリア層に用いられる密度0.900〜0.965g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体が、メタロセン触媒を用いて重合されたものである請求項1〜5のいずれかに記載の硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器
  7. 全体の厚みが130〜300μmである請求項1〜6のいずれかに記載の硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器
  8. 上記シール層の厚さが5〜40μmである請求項1〜7のいずれかに記載の硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器
  9. 上記シール層の厚みが40〜80μmである請求項1〜7のいずれかに記載の硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器
JP2004504725A 2002-05-17 2003-05-09 硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器 Expired - Lifetime JP4732751B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004504725A JP4732751B2 (ja) 2002-05-17 2003-05-09 硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器

Applications Claiming Priority (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002143342 2002-05-17
JP2002143342 2002-05-17
JP2002336859 2002-11-20
JP2002336859 2002-11-20
JP2004504725A JP4732751B2 (ja) 2002-05-17 2003-05-09 硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器
PCT/JP2003/005808 WO2003097355A1 (en) 2002-05-17 2003-05-09 Multi-layer film and medicine container using the same

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005525952A JP2005525952A (ja) 2005-09-02
JP4732751B2 true JP4732751B2 (ja) 2011-07-27

Family

ID=29552301

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004504725A Expired - Lifetime JP4732751B2 (ja) 2002-05-17 2003-05-09 硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器

Country Status (14)

Country Link
EP (1) EP1507662B1 (ja)
JP (1) JP4732751B2 (ja)
KR (1) KR100610290B1 (ja)
CN (1) CN100377871C (ja)
AT (1) ATE307719T1 (ja)
AU (1) AU2003235910B2 (ja)
CA (1) CA2485831C (ja)
DE (1) DE60302066T2 (ja)
DK (1) DK1507662T3 (ja)
EG (1) EG24596A (ja)
ES (1) ES2247537T3 (ja)
MY (1) MY134275A (ja)
TW (1) TWI232171B (ja)
WO (1) WO2003097355A1 (ja)

Families Citing this family (24)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4607609B2 (ja) * 2005-02-08 2011-01-05 株式会社大塚製薬工場 薬液バッグ、薬液バッグ収容体および薬液バッグ収容体の製造方法
US20070026173A1 (en) * 2005-07-27 2007-02-01 Owens-Illinois Healthcare Packaging Inc. Multilayer containers and methods of manufacture
WO2007055312A1 (ja) * 2005-11-10 2007-05-18 Mitsubishi Tanabe Pharma Corporation ピラゾロン化合物含有水溶液が充填されたプラスチック容器
ES2627032T3 (es) 2006-06-28 2017-07-26 Fujimori Kogyo Co., Ltd. Recipiente para líquidos
JP5052833B2 (ja) * 2006-07-13 2012-10-17 株式会社細川洋行 医療容器用多層体および医療容器
WO2008102733A1 (ja) * 2007-02-23 2008-08-28 Otsuka Pharmaceutical Factory, Inc. 多層フィルムおよび容器
EP2174636B1 (en) * 2007-07-20 2014-01-22 Otsuka Pharmaceutical Factory, Inc. Medicine container and multilayer film
WO2009049460A1 (fr) * 2007-10-15 2009-04-23 Jiangsu Hengrui Medicine Co., Ltd. Nouveau matériau conditionné de sévoflurane
WO2009066752A1 (ja) * 2007-11-22 2009-05-28 Mitsubishi Tanabe Pharma Corporation 環状ポリオレフィン層を含むプラスチック容器
AU2007363011B2 (en) 2007-12-20 2012-08-09 Hosokawa Yoko Co., Ltd. Multilayered body for medical containers and medical container
US8486501B2 (en) 2008-03-14 2013-07-16 Otsuka Pharmaceutical Factory, Inc. Plastic ampule and colored plastic container
JP5587597B2 (ja) * 2008-12-19 2014-09-10 藤森工業株式会社 包装体
JP5462694B2 (ja) * 2010-04-26 2014-04-02 シーアイ化成株式会社 積層フィルム、および当該積層フィルムを用いた包装容器
JP5462697B2 (ja) * 2010-04-28 2014-04-02 シーアイ化成株式会社 積層フィルム、および当該積層フィルムを用いた包装容器
JP5467074B2 (ja) * 2011-05-23 2014-04-09 株式会社細川洋行 医療容器用多層体および医療容器
EP3144135B1 (en) * 2011-09-01 2019-04-17 2266170 Ontario, Inc. Multilayered material and containers and method of making same
FR3026095B1 (fr) * 2014-09-19 2016-12-09 Roquette Freres Procede de conditionnement d'un dianydrohexitol, solution aqueuse de dianhydrohexitol conditionnee et ses utilisations
US10155615B2 (en) * 2016-09-26 2018-12-18 Dow Global Technologies Llc Seal bar and process for using same
JP6642377B2 (ja) * 2016-10-25 2020-02-05 ニプロ株式会社 液体製剤、及び、パロノセトロンの安定性を向上する方法
US11905397B2 (en) 2017-08-23 2024-02-20 Dow Global Technologies Llc Compositions containing ethylene-based polymer and cycloolefin interpolymer, and films formed from the same
US11833109B2 (en) 2017-12-08 2023-12-05 Fujimori Kogyo Co., Ltd. Package
JP7216027B2 (ja) * 2018-02-05 2023-01-31 藤森工業株式会社 積層体およびプラスチック容器
KR102167086B1 (ko) 2019-09-24 2020-10-16 주식회사 연우케미칼 합성수지제 용기의 내부필름 및 그 제조방법
CN116061529A (zh) * 2022-08-22 2023-05-05 苏州海顺包装材料有限公司 一种高阻隔儿童防护泡罩包装盖膜、制备方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0796589A (ja) * 1992-12-04 1995-04-11 Otsuka Pharmaceut Factory Inc 多層フィルム及び容器
JPH0911416A (ja) * 1995-06-26 1997-01-14 Kishimoto Akira 保香性多層容器
JPH1170624A (ja) * 1997-08-28 1999-03-16 Kishimoto Akira 環状オレフィン系共重合体を含む積層体
JP2001162724A (ja) * 1998-10-22 2001-06-19 Toppan Printing Co Ltd 低溶出包装材およびそれを用いた包装袋
JP2002513343A (ja) * 1997-07-17 2002-05-08 株式会社大塚製薬工場 多層フィルムおよび容器
JP2003024415A (ja) * 2001-05-10 2003-01-28 Eisai Co Ltd 注射剤容器

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3110435B2 (ja) * 1990-03-27 2000-11-20 三菱化学株式会社 医療液体用袋
JP3052398B2 (ja) * 1991-02-21 2000-06-12 昭和電工株式会社 医療用バッグ
CN1058453C (zh) * 1992-12-04 2000-11-15 株式会社大塚制药工厂 多层薄膜及容器
EP0968817A3 (de) * 1998-06-29 2000-04-05 Ticona GmbH Thermoformbare Verbundfolie
JP3607103B2 (ja) * 1998-12-14 2005-01-05 株式会社大塚製薬工場 多層フィルムおよび容器

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0796589A (ja) * 1992-12-04 1995-04-11 Otsuka Pharmaceut Factory Inc 多層フィルム及び容器
JPH0911416A (ja) * 1995-06-26 1997-01-14 Kishimoto Akira 保香性多層容器
JP2002513343A (ja) * 1997-07-17 2002-05-08 株式会社大塚製薬工場 多層フィルムおよび容器
JPH1170624A (ja) * 1997-08-28 1999-03-16 Kishimoto Akira 環状オレフィン系共重合体を含む積層体
JP2001162724A (ja) * 1998-10-22 2001-06-19 Toppan Printing Co Ltd 低溶出包装材およびそれを用いた包装袋
JP2003024415A (ja) * 2001-05-10 2003-01-28 Eisai Co Ltd 注射剤容器

Also Published As

Publication number Publication date
TWI232171B (en) 2005-05-11
WO2003097355A1 (en) 2003-11-27
JP2005525952A (ja) 2005-09-02
CA2485831A1 (en) 2003-11-27
KR100610290B1 (ko) 2006-08-09
EG24596A (en) 2009-12-13
CA2485831C (en) 2008-07-08
AU2003235910B2 (en) 2007-09-20
CN1652935A (zh) 2005-08-10
EP1507662B1 (en) 2005-10-26
DK1507662T3 (da) 2006-01-30
ES2247537T3 (es) 2006-03-01
EP1507662A1 (en) 2005-02-23
DE60302066D1 (de) 2005-12-01
KR20040111618A (ko) 2004-12-31
AU2003235910A1 (en) 2003-12-02
MY134275A (en) 2007-11-30
DE60302066T2 (de) 2006-07-13
TW200400113A (en) 2004-01-01
CN100377871C (zh) 2008-04-02
ATE307719T1 (de) 2005-11-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4732751B2 (ja) 硝酸イソソルビドを含有する薬剤用容器
US8029885B2 (en) Multi-layer film and medicine container using the same
KR101493833B1 (ko) 환상 폴리올레핀층을 포함하는 플라스틱 용기
KR101430772B1 (ko) 액체 수납용기
EP2330048B1 (en) Multilayered liquid container
KR20070085296A (ko) 의료용 가스 배리어 필름 및 그것을 이용한 의료용 백
JP7240435B2 (ja) 積層体及び容器
JP5411008B2 (ja) 積層フィルム、および当該積層フィルムを用いて作製される包装容器
JP7216027B2 (ja) 積層体およびプラスチック容器
KR102665924B1 (ko) 플라스틱 용기
JP7585562B2 (ja) 積層体およびプラスチック容器
JP2012143629A (ja) 医療用複室容器
JP5053898B2 (ja) 医療用複室容器
JP2023148790A (ja) 積層体及びプラスチック容器
JP2023066723A (ja) 積層体及びプラスチック容器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051102

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081008

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081030

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100128

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100329

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110331

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110421

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140428

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4732751

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term