JP4730492B2 - ホログラム転写箔 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、各種被着物質にホログラムを付与するために使用される、良好な強度を有し、白濁、光沢の消失、及びキズの発生が抑制された表面レリーフ型ホログラム転写箔に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光硬化性樹脂組成物(塗料)を、例えば、ポリエステルフイルム等の基材上に塗工して光硬化性樹脂層を形成し、この光硬化性樹脂層に各種凹凸パターンを付与した後、紫外線や電子線を露光し、該樹脂層を硬化させ、その後形成された凹凸パターン面に金属蒸着や屈折率の異なる層を積層し、表面レリーフ型ホログラム転写箔とする方法が行なわれている。
【0003】
上記の凹凸パターンの付与方法としては、例えば、表面レリーフ型ホログラムを形成する場合には、所望の凹凸パターンが形成されているマスターホログラムから作製したプレススタンパー(以下単にプレススタンパーという)を用意しておき、このプレススタンパーを上記光硬化性樹脂層に重ねて加圧(エンボス)し、プレススタンパーの凹凸パターンを樹脂層に転写させ、その状態で露光して樹脂層を硬化させ凹凸パターンを固定している。
【0004】
このような製造法により得られるホログラム転写箔の代表的な層構成としては、基材フィルム上に、剥離層、ホログラム形成層、反射性薄膜層、感熱接着剤層をこの順序で積層してなる構造が広く知られている。該ホログラム転写箔の場合には、剥離層、ホログラム形成層、反射性薄膜層、感熱接着剤層からなる積層構造が転写層を形成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ホログラム転写箔は、基材フィルム上の転写層が被転写体と接して熱圧が付与されることにより、転写層を被転写体に転写させるためのものである。この熱転写時にホログラム面が白濁したり、光沢が失われたり、表面にキズが現れることがある。しかしながら、これまでのホログラム転写箔の開発においては、この原因がホログラム形成層の熱圧による変形に由来するものであることを明らかにしておらず、そのためにホログラム転写箔に関するホログラム形成層の好ましい物性の範囲は明らかでなかった。このため、好ましい物性の範囲の境界を外れた物質を使用したホログラムでは、転写箔の熱転写時に、キズや白濁が発生したり、光沢が失われて、ホログラム画像が乱れることがあり、工程上の不安定要因となつていた。
【0006】
そこで本発明は、ホログラム形成層のキズ、白濁の発生や、光沢の消失について、これらを防ぐために物性の好ましい範囲を明らかにし、安定な製品となるホログラム転写箔を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の表面レリーフ型ホログラム転写箔は、ホログラム形成層、感熱性接着剤層を有する積層構造の転写層が基材フィルム上に積層されており、該転写層における、基材フィルムに対して最も遠い層が感熱性接着剤層である表面レリーフ型ホログラム転写箔において、該ホログラム形成層に使用される樹脂の動的粘弾性測定による動的貯蔵弾性率が120℃から180℃の範囲において5.0×107 Pa以上であって、100℃以上にtanδ(動的損失弾性率E”/動的貯蔵弾性率E’)の極大値(ガラス転移点)を有することを特徴とする。
【0008】
本発明における動的粘弾性測定による動的貯蔵弾性率を120℃から180℃の範囲において規定している理由は、熱転写工程において、表面レリーフ型ホログラム転写箔が被転写体に熱圧着されて被着されるのは、120℃から180℃で行われることが殆どであり、この温度範囲の物性値が転写される転写層の性状を左右するからである。
【0009】
ホログラム形成層に使用される樹脂の動的粘弾性測定による動的貯蔵弾性率及びtanδの極大値を上記の範囲のものを使用した、本発明のホログラム転写箔を用いて熱圧により転写して形成されたホログラム画像は、熱転写工程において、熱変形することなく、キズ、白濁の発生が抑制されたホログラム画像を安定に形成することが可能なホログラム転写箔となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明の表面レリーフ型ホログラム転写箔は、ホログラム形成層、感熱性接着剤層を有する積層構造の転写層が基材フィルム上に積層されていることを基本層構成とする。熱転写時に転写層と基材フィルムの剥離性を上げるために、基材フィルムとホログラム形成層の間に剥離層を設けてもよい。さらに剥離層とホログラム形成層の密着性が弱い場合は、密着性向上のための層を別に設けても良い。さらにホログラム形成層と感熱接着剤層の間に、反射性薄膜層を設けてもよい。
【0011】
基材フィルム
基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、セロファンフィルム、アセテートフィルム、ナイロンフィルム、ボリビニルアルコールフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEE)フィルム等が例示され、厚みとしては5μm〜200μm、好ましくは10μm〜50μmが良い。
【0012】
剥離層
剥離層を形成する材料には、例えば、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、塩化ゴム、カゼイン、各種界面活性剤、金属酸化物等のうち、1種若しくは2種以上を混合したものが用いられる。特に、剥離層は基材フィルムと転写層との間の剥離力が1〜5g/インチ(90°剥離)になるように、その材質等を適宜選択して形成するのが好ましい。この剥離層はインキ化し、塗布等の公知の方法によって基材フィルムの表面に形成することができるものが好ましく、その厚みは剥離力、箔切れ等を考慮すると0.1〜2μmの範囲が好ましい。
【0013】
ホログラム形成層
ホログラム形成層を形成する材料には、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等の各種樹脂材料が選択可能であり、以下のものが例示される。
【0014】
熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル変性ウレタン樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独として、もしくは2種以上の共重合体として使用される。これらの樹脂の単独、もしくは2種以上に対して、各種イソシアネート樹脂や、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛等の金属石鹸ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルスルフィド等の熱硬化剤或いは紫外線硬化剤を配合しても良い。
【0015】
電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシ変性アクリル系樹脂、ウレタン変性アクリル系樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂等が挙げられる。特に、下記の一般式(1)で表されるウレタン変性アクリル系樹脂が好ましい。
【0016】
【化2】
【0017】
ここで、6個のR1 はそれぞれ互いに独立して水素原子またはメチル基を表し、R2 は炭素数がl〜16個の炭化水素基を表し、およびYは直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を表す。l、m、n、o及びpの合計を100とした場合に、lは20〜90、mは0〜80、nは0〜50、o+pは10〜80、pは0〜40の整数である。
【0018】
上記式(1)で表されるウレタン変性アクリル系樹脂は、例えば、好ましい一例として、メタクリル酸メチル20〜90モルとメタクリル酸0〜50モルと2−ヒドロキシエチルメタクリレート10〜80モル、Zとしてイソボルニルメタクリレート0〜80モル、とを共重合して得られるアクリル共重合体であって、該共重合体中に存在している水酸基にメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(2−イソシアネートエチルメタクリレート)を反応させて得られる樹脂である。
【0019】
上記メタクリロイルオキシエチルイソシアネートが共重合体中に存在している全ての水酸基に反応している必要はなく、共重合体中の2−ヒドロキシエチルメタクリレート単位の水酸基の少なくとも10モル%以上、好ましくは50モル%以上がメタクリロイルオキシエチルイソシアネートと反応していればよい。上記の2−ヒドロキシエチルメタクリレートに代えて又は併用して、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等の水酸基を有するモノマーも使用することができる。
【0020】
前記の如く、水酸基含有アクリル系樹脂中に存在している水酸基を利用して、分子中に多数のメタクリロイル基を導入したウレタン変性アクリル系樹脂を主成分とする樹脂組成物によって、例えば、回折格子等を形成する場合には、硬化手段として紫外線や電子線等の電離放射線が使用でき、しかも高架橋密度でありながら柔軟性及び耐熱性等に優れた回折格子等を形成することができる。
【0021】
上記式(1)で表されるウレタン変性アクリル系樹脂は、前記共重合体を溶解可能な溶剤、例えば、トルエン、ケトン、セロソルブアセテート、ジメチルスルフォキサイド等の溶媒に溶解させ、この溶液を撹拌しながら、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを滴下及び反応させることにより、イソシアネート基がアクリル系樹脂の水酸基と反応してウレタン結合を生じ、該ウレタン結合を介して樹脂中にメタクリロイル基を導入することができる。この際使用するメタクリロイルオキシエチルイソシアネートの使用量は、アクリル系樹脂の水酸基とイソシアネート基との比率で水酸基1モル当たりイソシアネート基0.1〜5モル、好ましくは0.5〜3モルの範囲になる量である。なお、上記樹脂中の水酸基よりも当量以上のメタクリロイルオキシエチルイソシアネートを使用する場合には、該メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは樹脂中のカルボキシル基とも反応して−CONH−CH2 CH2 −の連結を生じることもあり得る。
【0022】
上記式(1)におけるZは、上記のウレタン変性アクリル系樹脂を改質するために導入することができ、例えばフェニル基、ナフチル基等の芳香族環或いはピリジン等の複素芳香族環を有するモノマー、(メタ)アクリロイル変性シリコーンオイル(樹脂)、ビニル変性シリコーンオイル(樹脂)等の重合性二重結合基を有するシリコーンオイル(樹脂)、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の長鎖アルキル基を有するモノマー、γ−(メタ)アルコキシプロピルトリメトキシシラン等の珪素含有基を有するモノマー、2−(パーフルオロー7−メチルオクチル)エチルアクリレート、ヘプタデカフロロデシル(メタ)アク リレート等のフツ素系含有基を有するモノマー等の離型性を付与するモノマー、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、EO変性ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の嵩高い構造を有するモノマー、アクリロイルモルフォリン、ビニルピロリドン或いはビニルカプロラクトン等の環状親水性基を有するモノマー等いずれも用いることができる。
【0023】
以上の例は、前記一般式(1)において、全てのR1 及びR2 がメチル基であり、X及びYがエチレン基である場合であるが、本発明は、これらに限定されず、5個のR1 は夫々独立して水素原子又はメチル基であってもよく、更にR2 の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−又はiso−プロピル基、n−、iso−又はtert−ブチル基、置換又は未置換のフェニル基、置換又は未置換のベンジル基等が挙げられ、X及びYの具体例としては、エチレン基、プロピレン基、ジエチレン基、ジプロピレン基等が挙げられる。このようにして得られる本発明で使用するウレタン変性アクリル系樹脂は全体の分子量としては、ポリスチレン換算分子量で1万〜20万、更に2〜10万であることがより好ましい。
【0024】
上記のような熱硬化性又は電離放射線硬化性樹脂に、架橋構造、粘度の調整等を目的として、下記のようなその他の単官能又は多官能のモノマー、オリゴマー等を包含させることができる。
【0025】
例えば、単官能ではテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等のモノ(メタ)アクリレートが挙げられ、2官能以上では、骨格構造で分類すると、エポキシ変性ポリオール(メタ)アクリーレート、ラクトン変性ポリオール(メタ)アクリレート等のポリオール(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、その他ポリブタジエン系、イソシアヌール酸系、ヒダントイン系、メラミン系、リン酸系、イミド系、フォスファゼン系等の骨格を有するポリ(メタ)アクリレートが挙げられ、紫外線、電子線硬化性である様々なモノマー、オリゴマー、ポリマーが利用できる。
【0026】
更に詳しく述べると、2官能のモノマー、オリゴマーとしては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、3官能のモノマー、オリゴマー、ポリマーとしてはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート等が挙げられ、4官能のモノマー、オリゴマーとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられ、5官能以上のモノマー、オリゴマーとしては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】
官能基数は特に限定されるものではないが、官能基数が3より小さいと耐熱性が低下する傾向があると共に、動的粘弾性測定による動的貯蔵弾性率が120℃から180℃の範囲において5.0×107 Pa未満となる傾向があり、またtanδの極大値が100℃未満となる傾向がある。ホログラム転写箔におけるホログラム形成層にこのような動的貯蔵弾性率とtanδ値の樹脂を使用する場合には、ホログラム形成層の一部に白いキズが入ったり、ホログラム面が白濁する傾向がでるので好ましくない。また、官能基数が20以上では柔軟性が低下する傾向があるため、特に3〜20官能のものが好ましい。
【0028】
上記モノマー或いはオリゴマーは何種類でも組み合わせて用いることができ、前記ウレタン変性アクリル系樹脂100重量部あたり約5〜90重量部の範囲、好ましくは10〜70重量部の範囲で使用する。
【0029】
さらに、表面レリーフ型ホログラムを形成する際に、該形成材料に対し表面に凹凸が形成されているプレスタンパーに圧着して凹凸を該形成材料表面に形成するが、この時該形成材料が該プレスタンパーより容易に剥離できるように、予め離型剤を含有させることもできる。用いられる離型剤としては従来公知の離型剤、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロンパウダー等の固形ワックス、フッ素系、リン酸エステル系の界面活性剤、シリコーン等が何れも使用可能である。特に好ましい離型剤は変性シリコーンであり、具体的には、変性シリコーンオイル側鎖型、変性シリコーンオイル両末端型、変性シリコーンオイル片末端型、変性シリコーンオイル側鎖両末端型、トリメチルシロキシケイ酸を含有するメチルポリシロキサン(シリコーンレジンと呼ぶ)、シリコーングラフトアクリル樹脂、及びメチルフェニルシリコーンオイル等が挙げられる。
【0030】
変性シリコーンオイルは、反応性シリコーンオイルと非反応性シリコーンオイルとに分けられる。反応性シリコーンオイルとしては、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル基変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、片末端反応性、異種官能基変性等が挙げられる。非反応性シリコーンオイルとしては、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪エステル変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性、高級脂肪酸変性、フッ素変性等が挙げられる。
【0031】
上記シリコーンオイルの中でも、被膜形成成分と反応性である基を有する種類の反応性シリコーンオイルは、樹脂層の硬化とともに樹脂に反応して結合するので、後に凹凸パターンが形成された樹脂層の表面にブリードアウトすることがなく、特徴的な性能を付与することができる。特に、蒸着工程での蒸着層との密着性向上には有効である。
【0032】
ホログラム形成材料には、その架橋構造、膜強度、蒸着層との密着性向上等を目的として、有機金属カップリング剤を添加することができる。有機金属カップリング剤を添加したホログラム形成層は、動的貯蔵弾性率、tanδの極大値、耐熱性が上昇するという利点を有する。有機金属カップリング剤としては、公知のシランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、アルミニウムカップリング剤が挙げられる。
【0033】
好適なシランカップリング剤としては、例えば、ビニルシラン、アクリルシラン、エポキシシラン、アミノシラン等を挙げることができる。より、具体的には、ビニルシランとして、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等を使用することができる。また、アクリルシランとしては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等を挙げることができる。エポキシシランとしては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等を挙げることができる。さらに、アミノシランとしては、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を使用することができる。その他のシランカップリング剤として、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン等を使用することができる。
【0034】
好適なチタンカップリング剤としては、例えば、チタンアルコキシド、チタンキレート等を挙げることができる。チタンアルコキシドとしては、テトライソプロピルチタネート、テトラn−ブチルチタネート、チタンキレートとしては、チタンアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等を挙げることができる。
【0035】
好適なジルコニウムカップリング剤としては、例えば、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムキレート等を挙げることができる。ジルコニウムアルコキシドとしては、テトラn−プロポキシジルコニウム、テトラ−ブトキシジルコニウム、ジルコニウムキレートとしては、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシエチルアセトアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
【0036】
好適なアルミニウムカップリング剤としては、例えば、アルミニウムアルコレート、アルミニウムキレート、環状アルミニウムオリゴマー等を挙げることができる。より具体的には、アルミニウムアルコレートとしては、アルミニウムイソプロピレート、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、アルミニウムエチレート、アルミニウムキレートとしては、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等を挙げることができる。このような有機金属カップリング剤は、前記ウレタン変性アクリル系樹脂100重量部あたり0.1〜10重量部の範囲で使用することが好ましい。
【0037】
ホログラム形成層に使用する樹脂を紫外線によって硬化させる場合には、該組成物に光増感剤を添加する。光増感剤としては、従来の紫外線硬化性樹脂に用いられている各種の光増感剤、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン等のベンゾイン系化合物、アントラキノン、メチルアントラキノン等のアントラキノン系化合物、ベンジルジアセチルアセトフェノン、ベンゾフェノン等のフェニルケトン化合物、ジフェニルジスルフイド、テトラメチルチウラムスルフイド等のスルフイド化合物、α−クロルメチルナフタレン、アントラセン及びヘキサクロロブダジエン、ペンタクロロブタジエン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。このような光増感剤は前記ウレタン変性アクリル系樹脂100重量部あたり約0.5〜2.0重量部の範囲で使用することが好ましい。
【0038】
ホログラム形成層には、上記の各成分に加えて、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール類、ベンゾキノン、ジフェニルベンゾキノン等のキノン類、フェノチアジン類、銅類等の重合防止剤を配合すると貯蔵安定性が向上する。更に、必要に応じて、促進剤、粘度調節剤、界面活性剤、消泡剤等の各種助剤を配合してもよい。また、スチレン・ブタジエンラバー等の高分子体を配合することも可能である。
【0039】
ホログラム形成層の動的粘弾性測定による動的貯蔵弾性率(E’)及びtanδの極大値は以下の方法により測定することができる。
(動的粘弾性測定方法)
・測定機器:固体粘弾性アナライザーRSA−II(商品名、Rhemetrics社製)
・測定モード:フィルム引張り法
・測定温度:−50℃〜300℃
・測定昇温速度:5℃/min-1
・測定周波数:6.28rad/s
・測定サンプル性状:測定サンプルとしては、基材フィルム上に測定を目的とするホログラム形成材料を特定の厚みで塗布し、材料が熱硬化性もしくは電離放射線硬化樹脂である場合には所定の方法で硬化させ、基材フィルムから剥がし、幅5〜10mm、長さ20〜50mmの試験片とする。なお、このフィルム形成の際に基材フィルム表面上が離型処理されていると、後から剥がしやすくなる。
・測定方法:作製した試料を引張り測定用治具にセットし、試料の動的粘弾性の温度依存性を測定する。そのデータから、120℃から180℃の温度領域における動的貯蔵弾性率E’の価を求める。更に、動的損失弾性率E”/動的貯蔵弾性率E’=tanδを求め、その極大値の温度を求める。
【0040】
反射層
反射層として、光を反射する金属薄膜を用いると不透明タイプのホログラムとなり、透明な物質でホログラム形成層と屈折率差がある薄膜を用いると透明タイプとなるが、いずれも本発明に使用できる。反射層は、昇華、真空蒸着、スパッタリング、反応性スパッタリング、イオンプレーティング、電気メッキ等の公知の方法で形成可能である。
【0041】
不透明タイプのホログラムを形成する金属薄膜としては、例えば、Cr、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Ge、Al、Mg、Sb、Pb、Pd、Cd、Bi、Sn、Se、In、Ga、Rb等の金属及びその酸化物、窒化物等を単独若しくは2種類以上組み合わせて形成される薄膜である.上記金属薄膜の中でもAl、Cr、Ni、Ag、Au等が特に好ましく、その膜厚は1〜10,000nm、望ましくは20〜200nmの範囲である。
【0042】
透明タイプのホログラムを形成する薄膜は、ホログラム効果を発現できる光透過性のものであれば、いかなる材質のものも使用できる。例えば、ホログラム形成層(光硬化樹脂層)の樹脂と屈折率の異なる透明材料がある。この場合の屈折率はホログラム形成層の樹脂の屈折率より大きくても、小さくてもよいが、屈折率の差は0.1以上が好ましく、より好ましくは0.5以上であり、1.0以上が最適である。又、上記以外では20nm以下の金属性反射膜がある。好適に使用される透明タイプ反射層としては、酸価チタン(TiO2 )、硫化亜鉛(ZnS)、Cu・Al複合金属酸化物等が挙げられる。
【0043】
感熱接着剤層
感熱接着剤層としては、エチレンー酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレンーイソブチルアクリレート共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル及びその共重合体樹脂、セルロース系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、SBS、SIS、SEBS、SEPS等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0044】
転写
本発明のホログラム転写箔を用いて転写を行う場合、ホログラムを付与しようとする被転写体の表面に本発明のホログラム転写箔を、感熱接着剤層が被転写体側に接するように重ね合せ、ホログラムを付与しようとする部分の転写箔の上(基材フィルム側)を加圧板等で加熱・加圧して、所望部分の感熱接着剤層を溶融接着させ、しかる後に転写箔を剥離すると、所望部分の転写層のみが転写されて、被転写体表面にホログラムを付与することができる。
【0045】
【実施例】
〔実施例1〕
i)樹脂Aの製造
冷却器、滴下ロート及び温度計付きの2リットルの四つ口フラスコに、トルエン40g及びMEK40gをアゾ系の開始剤とともに仕込み、HEMA24.6g、MMA73.7g、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート24.6g、トルエン20g、及びMEK20gの混合液を滴下ロートを経て、約2時間かけて滴下させながら100〜110℃の温度下で8時間反応させた後、室温まで冷却した。
【0046】
これに、2−イソシアネートエチルメタクリレート27.8g、トルエン20g及びMEK20gの混合液を加えて、ラウリン酸ジブチル錫を触媒として付加反応させた。反応生成物のIR分析により2200cm−1の吸収ピークの消失を確認し反応を終了した。得られた樹脂溶液の固形分は41.0%、分子量はポリスチレン換算で30000、C=C結合導入量は13.0モル%であった。得られた樹脂を樹脂Aと呼び、樹脂Aは、前記一般式(1)において、Zにジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートを導入した下記一般式(2)で表される樹脂である。
【0047】
【化3】
【0048】
ii) ホログラム形成用感光性樹脂組成物の調製
下記の配合割合の組成物をメチルエチルケトン(MEK)で稀釈して組成物の固形分を50%に調整し、本実施例1のホログラム形成層を形成するための感光性樹脂を調製した。
iii) 剥離層/PETフィルムからなる積層体の製造
25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラーT60:商品名、東レ株式会社製)に20m/min.の速度で剥離性ニス(ハクリニス45−3:商品名、昭和インキ社製)をグラビアコートで塗工し、100℃で乾燥して溶剤を揮散させて剥離層を形成した後、乾燥膜厚で1g/m2 の剥離層/PETの層構成からなるフィルムを得た。
【0049】
iv) 複製用感光性フィルムの製造
前記工程で得られた剥離層/PETの層構成からなるフィルムの剥離層上に、前記工程で得られた樹脂Aをロールコーターで塗工し、100℃で乾燥して溶剤を揮散させた後、乾燥膜厚で2g/m2 の複製用感光性フィルムを得た。得られたフィルムはいずれも常温ではべとつかず、巻き取り状態で保管できるものであった。
【0050】
v) 動的粘弾性測定による動的貯蔵弾性率(E’)及びtanδ
上記の光硬化性樹脂組成物のみをフィルム成形したものに、紫外線を総露光量600mJ/cm2 で露光した。得られた厚み80μmのフィルムについて、動的粘弾性測定による動的貯蔵弾性率(E’)とtanδの結果を図1にグラフとして示す。図1によれば、120℃から180℃の範囲における動的貯蔵弾性率(E’)の最も低い部分は、1.03×108 Paであり、tanδの極大値は124.3℃であった。
【0051】
〔比較例1〕
5官能モノマーを50部とし、2官能ウレタンアクリレート(UV3000B:商品名、日本合成化学株式会社製)を20部加えた以外は前記実施例1と同じ製造方法を行い、比較例1のホログラム形成用感光性樹脂組成物を得た。
【0052】
比較例1の樹脂について、前記実施例1と同じ方法にて動的貯蔵弾性率(E’)及びtanδを測定した。得られた結果を図2にグラフとして示す。図2によれば、120℃から180℃の範囲における動的貯蔵弾性率(E’)の最も低い部分は、3.37×107 Paであり、tanδの極大値は99.8℃であった。
【0053】
比較例1で動的貯蔵弾性率(E’)及びtanδの極大値が低くなった理由は、添加したウレタンアクリレート(UV3000B:商品名、日本合成化学株式会社製)は2官能であるため、硬化した塗膜は架橋密度が低くなり、動的貯蔵弾性率(E’)及びtanδの極大値が低くなったものと考えられる。
【0054】
〔実施例2〕
i)樹脂Bの製造
冷却器、滴下ロート及び温度計付きの2リットルの四つ口フラスコに、トルエン40g及びメチルエチルケトン(MEK)40gをアゾ系の開始剤とともに仕込み、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)20.8g、メチルメタクリレート(MMA)39.0g、イソボルニルメタクリレート 45.0g、トルエン20g、及びMEK20gの混合液を滴下ロートを経て、約2時間かけて滴下させながら100〜110℃の温度下で8時間反応させた後、室温まで冷却した。
【0055】
これに、2−イソシアネートエチルメタクリレート(昭和電工製、カレンズMOI:商品名)23.4g、トルエン20g及びMEK20gの混合液を加えて、ラウリン酸ジブチル錫を触媒として付加反応させた.反応生成物のIR分析により2200cm−1の吸収ピークの消失を確認し反応を終了した.得られた樹脂溶液の固形分は38.2%、分子量はポリスチレン換算で30000、C=C結合導入量は12.5モル%であった。得られた樹脂を樹脂Bと呼び、樹脂Bは、前記一般式(1)において、Zにイソボルニルメタクリレートを導入した下記一般式(3)で表される樹脂である。
【0056】
【化4】
【0057】
ii) ホログラム形成用感光性樹脂組成物の調製
下記の配合割合の組成物をメチルエチルケトン(MEK)で希釈して組成物の固形分を50%に調整し、本実施例2のホログラム形成層を形成するための感光性樹組成物を調製した。
iii) 剥離層/PETフィルムからなる積層体の製造
前記実施例1の剥離層/PETフィルムからなる積層体の製造方法と同一の方法にて、剥離層/PETフィルムからなる積層体を製造した。
【0058】
iv) 複製用感光性フィルムの製造
樹脂Bを用いた以外は前記実施例1と同一の複製用感光性フィルムの製造方法を行い、乾燥膜厚で2g/m2 の本実施例2の複製用感光性フィルムを得た。得られたフィルムはいずれも常温ではべとつかず、巻き取り状態で保管できるものであった。
【0059】
v) 動的粘弾性測定による動的貯蔵弾性率(E’)及びtanδ
上記の光硬化性樹脂組成物のみをフィルム成形したものに、紫外線を総露光量600mJ/cm2 で露光した。得られた厚み80μmのフィルムについて、動的粘弾性測定による動的貯蔵弾性率(E’)とtanδの結果を図3にグラフとして示す。図3によれば、120℃から180℃の範囲における動的貯蔵弾性率(E’)の最も低い部分は、9.89×107 Paであり、tanδの極大値は104.1℃であった。
【0060】
〔比較例2〕
前記実施例2における樹脂Bを樹脂Aに置き換えた以外は全て前記実施例2と同じ製造方法を行い、比較例2のホログラム形成用感光性樹脂組成物を得た。
【0061】
比較例2の樹脂について、前記実施例1と同じ方法にて動的貯蔵弾性率(E’)及びtanδを測定した。得られた結果を図4にグラフとして示す。図4によれば、120℃から180℃の範囲における動的貯蔵弾性率(E’)の最も低い部分は、4.70×107 Paであり、tanδの極大値は121.3℃であった。比較例2において、実施例1及び実施例2に比べて動的貯蔵弾性率(E’)及びtanδの極大値が低くなった理由は、樹脂Aは、実施例2における樹脂Bに比べて嵩高いイソボルニル基が少ないこと、及び比較例2では樹脂Aの使用割合が実施例1に比べて低いためと考えられる。
【0062】
〔実施例3〕
i)樹脂Cの製造
冷却器、滴下ロート及び温度計付きの2リットルの四つ口フラスコに、トルエン40g及びMEK40gをアゾ系の開始剤とともに仕込み、HEMA22.4g、MMA70.0g、トルエン20g、及びMEK20gの混合液を滴下ロートを経て、約2時間かけて滴下させながら100〜110℃の温度下で8時間反応させた後、室温まで冷却した。
【0063】
これに、2−イソシアネートエチルメタクリレート27.8g、トルエン20g及びMEK26gの混合液を加えて、ラウリン酸ジブチル錫を触媒として付加反応させた。反応生成物のIR分析により2200cm−1の吸収ピークの消失を確認し反応を終了した。得られた樹脂溶液の固形分は41.0%、粘度は130mPa(30℃)、分子量はポリスチレン換算で25000、C=C結合導入量は13.8モル%であった。得られた樹脂を樹脂Cと呼び、樹脂Cは、前記一般式(1)において、Zが無い場合の下記一般式(4)で表される樹脂である。
【0064】
【化5】
【0065】
ii) ホログラム形成用感光性樹脂組成物の調製
下記の配合割合の組成物をメチルエチルケトン(MEK)で希釈して組成物の固形分を50%に調整し、本実施例3のホログラム形成層を形成するための感光性樹組成物を調製した。
iii) 剥離層/PETフィルムからなる積層体の製造
前記実施例1の剥離層/PETフィルムからなる積層体の製造方法と同一の方法にて、剥離層/PETフィルムからなる積層体を製造した。
【0066】
iv) 複製用感光性フィルムの製造
樹脂Cを用いた以外は前記実施例1と同一の複製用感光性フィルムの製造方法を行い、乾燥膜厚で2g/m2 の本実施例3の複製用感光性フィルムを得た。得られたフィルムはいずれも常温ではべとつかず、巻き取り状態で保管できるものであった。
【0067】
v) 動的粘弾性測定による動的貯蔵弾性率(E’)及びtanδ
上記の光硬化性樹脂組成物のみをフィルム成形したものに、紫外線を総露光量600mJ/cm2 で露光した。得られた厚み80μmのフィルムについて、動的粘弾性測定による動的貯蔵弾性率(E’)とtanδの結果を図5にグラフとして示す。図5によれば、120℃から180℃の範囲における動的貯蔵弾性率(E’)の最も低い部分は、5.62×107 Paであり、tanδの極大値は106.0℃であった。
【0068】
〔比較例3〕
前記実施例3において、アルミニウムカップリング剤を加えなかった以外は全て前記実施例3と同じ製造方法を行い、比較例3のホログラム形成用感光性樹脂組成物を得た。
【0069】
比較例3の樹脂について、前記実施例1と同じ方法にて動的貯蔵弾性率(E’)及びtanδを測定した。得られた結果を図6にグラフとして示す。図6によれば、120℃から180℃の範囲における動的貯蔵弾性率(E’)の最も低い部分は、2.98×107 Paであり、tanδの極大値は95.4℃であった。比較例3で動的貯蔵弾性率(E’)及びtanδの極大値が低くなった理由は、アルミニウムカップリング剤を加えていないため、架橋密度が低くなり、動的貯蔵弾性率(E’)及びtanδの極大値が低くなったものと考えられる。
【0070】
〔実施例4〕
i)樹脂Dの製造
冷却器、滴下ロート及び温度計付きの2リットルの四つ口フラスコに、トルエン40g及びMEK40gをアゾ系の開始剤とともに仕込み、HEMA25.6g、MMA36.0g、イソボニルメタクリレート109.6g、トルエン20g、及びMEK20gの混合液を滴下ロートを経て、約2時間かけて滴下させながら100〜110℃の温度下で8時間反応させた後、室温まで冷却した。
【0071】
これに、2−イソシアネートエチルメタクリレート 28.8g、トルエン20g及びMEK20gの混合液を加えて、ラウリン酸ジブチル錫を触媒として付加反応させた。反応生成物のIR分析により2200cm−1の吸収ピークの消失を確認し反応を終了した。得られた樹脂溶液の固形分は37.0%、粘度は130mPa(30℃)、分子量はポリスチレン換算で60000、C=C結合導入量は12.8モル%であった。得られた樹脂を樹脂Dと呼び、樹脂Dは、前記一般式(1)において、Zにイソボルニルメタクリレートを導入した下記一般式(5)で表される樹脂である。
【0072】
【化6】
【0073】
ii) ホログラム形成用感光性樹脂組成物の調製
下記の配合割合の組成物をメチルエチルケトン(MEK)で希釈して組成物の固形分を50%に調整し、本実施例4のホログラム形成層を形成するための感光性樹組成物を調製した。
iii) 剥離層/PETフィルムからなる積層体の製造
前記実施例1の剥離層/PETフィルムからなる積層体の製造方法と同一の方法にて、剥離層/PETフィルムからなる積層体を製造した。
【0074】
iv) 複製用感光性フィルムの製造
樹脂Dを用いた以外は前記実施例1と同一の複製用感光性フィルムの製造方法を行い、乾燥膜厚で2g/m2 の本実施例4の複製用感光性フィルムを得た。得られたフィルムはいずれも常温ではべとつかず、巻き取り状態で保管できるものであった。
【0075】
v) 動的粘弾性測定による動的貯蔵弾性率(E’)及びtanδ
上記の光硬化性樹脂組成物のみをフィルム成形したものに、紫外線を総露光量600mJ/cm2 で露光した。得られた厚み80μmのフィルムについて、動的粘弾性測定による動的貯蔵弾性率(E’)とtanδの結果を図7にグラフとして示す。図7によれば、120℃から180℃の範囲における動的貯蔵弾性率(E’)の最も低い部分は、6.06×107 Paであり、tanδの極大値は142.5℃であった。本実施例4ではポリマー自体の分子量を大きくすること及び嵩高い基の割合を多くすることで、動的貯蔵弾性率を大きくし、tanδの極大値を高くすることができたものと考えられる。
【0076】
〔実施例5〕
ホログラムの複製
前記実施例1〜4の各複製用感光性フィルムを用いてホログラムの複製を次のようにして行った。ホログラムの複製装置は、特開昭61−156273号公報に記載の図1の連続複製装置によって行った。連続複製装置のホログラム原版を表面に形成したエンボスローラーには、レーザー光を用いて作ったマスターホログラムから引続き作成したプレススタンパーが設置されている。なお、樹脂製版にマスターホログラムから複製ホログラムを作製し、これをシリンダー上に貼り付けたものも使用できる。上記で作製した各複製用感光性フィルムを給紙側に仕掛け、150℃で加熱プレスして微細な凹凸パターンを形成させた。引き続き、水銀灯より発生した紫外線を照射して光硬化させた。引き続き真空蒸着法によりアルミニウム層をこの上に蒸着して反射型の表面レリーフ型ホログラムを形成した。この表面に、感熱接着剤(HS−32マット:商品名、昭和インク工業株式会社製)をグラビアコートで塗工し、100℃で乾燥して溶剤を挿散させることにより乾燥膜厚で3g/m2 の感熱接着剤層を形成した。
【0077】
得られた転写箔の基材フィルム側から160℃、170℃、180℃に設定された金型で加熱、加圧して塩化ビニルカードに転写し、転写されたホログラムが塩化ビニルカードに密着していることを粘着テープ碁盤目剥離試験で確認した。その結果を下記の表1に示す。ホログラム画像に乱れはなく良好に転写できたものを○、ホログラム画像の一部に白いキズが入ったものを×、ホログラム面が白濁するものを××とした。
【0078】
〔比較例4〕
前記実施例5と同条件で比較例1〜3の各複製用感光性フィルムを用いてホログラムの複製を行った。その結果を下記の表1に示す。粘着テープ碁盤目剥離試験の評価基準は前記実施例5と同一である。
【0079】
【表1】
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、ホログラム転写箔におけるホログラム形成層のキズや白濁の発生、光沢の消失が抑制された、物性の好ましい範囲を明らかにすることができ、熱転写時にこれらの不都合が抑制された安定な表面レリーフ型ホログラム転写箔を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の光硬化性樹脂組成物のみをフィルム成形したフィルムについて、動的粘弾性測定による動的貯蔵弾性率(E’)とtanδの結果を示すグラフである。
【図2】比較例1の光硬化性樹脂組成物のみをフィルム成形したフィルムについて、動的粘弾性測定による動的貯蔵弾性率(E’)とtanδの結果を示すグラフである。
【図3】実施例2の光硬化性樹脂組成物のみをフィルム成形したフィルムについて、動的粘弾性測定による動的貯蔵弾性率(E’)とtanδの結果を示すグラフである。
【図4】比較例2の光硬化性樹脂組成物のみをフィルム成形したフィルムについて、動的粘弾性測定による動的貯蔵弾性率(E’)とtanδの結果を示すグラフである。
【図5】実施例3の光硬化性樹脂組成物のみをフィルム成形したフィルムについて、動的粘弾性測定による動的貯蔵弾性率(E’)とtanδの結果を示すグラフである。
【図6】比較例3の光硬化性樹脂組成物のみをフィルム成形したフィルムについて、動的粘弾性測定による動的貯蔵弾性率(E’)とtanδの結果を示すグラフである。
【図7】実施例4の光硬化性樹脂組成物のみをフィルム成形したフィルムについて、動的粘弾性測定による動的貯蔵弾性率(E’)とtanδの結果を示すグラフである。
Claims (8)
- ホログラム形成層、感熱性接着剤層を有する積層構造の転写層が基材フィルム上に積層されており、該転写層における、基材フィルムに対して最も遠い層が感熱性接着剤層である表面レリーフ型のホログラム転写箔において、
該ホログラム形成層に使用される樹脂組成物の動的粘弾性測定による動的貯蔵弾性率が120℃から180℃の範囲において5.0×107 Pa以上であって、100℃以上にtanδ(動的損失弾性率E”/動的貯蔵弾性率E’)の極大値を有することを特徴とするホログラム転写箔。 - 前記転写層において、基材フィルムに対して最も近い層が剥離層である請求項1記載のホログラム転写箔。
- 前記ホログラム形成層を構成する樹脂組成物は、熱硬化性樹脂及び電離放射線硬化性樹脂から選ばれたものを含む請求項1記載のホログラム転写箔。
- 前記ホログラム形成層を構成する樹脂組成物に含まれる電離放射線硬化性樹脂は、エポキシ変性アクリル系樹脂、ウレタン変性アクリル系樹脂及びアクリル変性ポリエステル樹脂から選ばれた1種又は2種以上である請求項3記載のホログラム転写箔。
- 前記ホログラム形成層を構成する樹脂組成物は、官能基が3個以上20個以下の多官能モノマー或いはオリゴマーを配合して重合して架橋密度が高められたものである請求項3記載のホログラム転写箔。
- 前記ホログラム形成層を構成する樹脂組成物は、離型成分を含むものである請求項3記載のホログラム転写箔。
- 前記ホログラム形成層を構成する樹脂組成物は、有機金属カップリング剤を含むものである請求項3記載のホログラム転写箔。
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