本発明の第一実施形態に係る画像形成装置について説明する。
最初に装置全体の概要について説明する。
図1に示すように、第一実施形態の画像形成装置10は、無端ベルト状の搬送ベルト12を備えている。搬送ベルト12は回転移動し、収容カセット(図示略)などから送られてきた記録媒体8を搬送する。
まず、搬送ベルト12によって搬送されている記録媒体8に、イオン流制御静電記録ヘッド100(以降、「静電記録ヘッド100」と略して記す)が、放電によるイオン流を制御して記録媒体8上に照射することによって静電潜像を形成する。(図9(A)参照)。
記録媒体8に形成された静電潜像をインク受容性粒子供給装置18が顕像化し、インク受容性粒子16からなるインク受容性粒子層16Aを形成する。(図9(B)参照)。
記録媒体8に形成されたインク受容性粒子層16Aを、予備定着装置150が予備加熱定着する。
予備加熱定着されたインク受容性粒子層16Aに、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色毎のインクジェット記録ヘッド20K、20C、20M、20Yから、画像データに基づき、各色のインク滴20A(図2参照)が吐出されインク画像が形成される。(図9(C)参照)。なお、以降、各色を区別する必要があるときは、符号の後にY,M,C,Kを付すが、特に、区別する必要がない場合は、Y,M,C,Kを省略する。なお、本実施形態のインクは、顔料インクである。
インク滴20Aの吐出によってインク画像が形成されたインク受容性粒子層16Aは、定着装置22が圧力及び熱を加えることにより記録媒体8上に定着する。
なお、静電記録ヘッド100及びインクジェット記録ヘッド20は、記録媒体8の幅以上あるライン型記録ヘッド、所謂FWA方式の記録ヘッドである。
次に、各構成要素と画像形成のプロセスについての詳細を説明する。
図1、図2(A)に示すように、無端ベルト状の搬送ベルト12で、記録媒体8を搬送している。本実施形態では、搬送ベルト12に記録媒体8を吸着した状態で搬送している。
ここで、搬送ベルト12に記録媒体8を吸着させる方法の一例として、バキューム吸引して吸着させる吸引機構について説明する。
図10(A),(B)に示すように、搬送ベルト12には吸引用の多数の孔12Aが形成されている。ベルト状の搬送ベルト12の内側には、ファン302を備える吸引ダクト300が配置されている。そして、図10(B)の矢印で空気流を示すように、搬送ベルト12の多数の孔12Aから空気を吸引し、圧力差によって、記録媒体8を搬送ベルト12の外周面側に吸着させている。
なお、記録媒体8を搬送ベルト12に吸着させる方法は、上記のようなバキューム吸引以外の方式であっても良い。例えば、粘着力で吸着させる方式であっても良い。或いは、搬送ベルト12に記録媒体8を静電吸着させる方式であっても良い。
さて、図1、図2(A)に示すように、搬送方向の上流側には、搬送ベルト12に搬送されている記録媒体8に静電潜像を形成する静電記録ヘッド100が、記録媒体8の上方に間隔を持って配置されている。
静電記録ヘッド100は、平面矩形状の絶縁基板102の表面に、複数の駆動電極104が互いに平行に設けられていると共に、その裏面にこれらの駆動電極104と交差するようにして複数の制御電極106が設けられている。なお、駆動電極104と制御電極106とでマトリックス(格子)が形成されている。また、制御電極106には、駆動電極104と交差する位置に円形の開口部106Aが形成されている。そして、制御電極106の下面には、絶縁基板101を介してスクリーン電極108が設けられている。これらの絶縁基板101及びスクリーン電極108には、制御電極106の開口部106Aと対応した位置に、空間111とイオン導出用開口部110が形成されている。
図2(A)に示すように、交流電源112によって駆動電極104とスクリーン電極108との間に高周波高電圧が印加されるようになっている。一方、制御電極106にはイオン制御電源114により画像情報に応じたパルス電圧印加されるようになっている。更に、スクリーン電極108には直流電源116により直流電圧が、印加されるようになっている。
そして、このように絶縁された駆動電極104と制御電極106との間に交番電界を与えることにより、空間111において沿面コロナ放電を誘発させ、この沿面コロナ放電によって発生したイオンを、制御電極106とスクリーン電極108との間に形成される電界によって加速もしくは吸収して、イオン導出用開口部110からのイオン流の放出を制御し、画像信号(インク画像)に応じたイオン(本実施形態ではプラスイオン)により、記録媒体8の表面に静電潜像(図9(A)参照)の形成を行うようになっている。
静電潜像の電位は、次工程で、インク受容性粒子供給装置18の粒子供給ロール18Aと記録媒体8に形成された静電潜像とで形成する電界による静電力により、インク受容性粒子16が記録媒体8に供給/吸着可能な電位であれば良い。
なお、このような静電記録ヘッド100は、静電潜像を形成する領域を選択できる。よって、記録媒体8の表面に形成する静電潜像は、インク画像が形成される領域としている。例えば、形成画像が文字「あ」の場合は、図9(A)に概念的に示すようになる。
表面に静電潜像が形成されている記録媒体8は、インク受容性粒子供給装置18に送られ、静電潜像を顕像化し、静電潜像に対応したインク受容性粒子層16Aを形成する。(図9(B)参照)。
なお、静電潜像を顕像化してインク受容性粒子層16Aを形成する方法は、一般的な電子写真方式のトナーで感光体を現像(顕像化)する方法である1成分現像方式や2成分現像方式を応用している。本実施形態では、1成分現像方式を応用している。
インク受容性粒子供給装置18は、インク受容性粒子16が収容される容器の搬送ベルト12(記録媒体8)と対向するように粒子供給ロール18Aが設けられている。また、粒子供給ロール18Aを押圧するように帯電ブレード18Bが設けられている。この帯電ブレード18Bは、粒子供給ロール18Aの表面に付着するインク受容性粒子16の層厚を規制する機能と、静電潜像と逆極性であるマイナス極性にインク受容性粒子16を帯電させる機能と、を併せもつ。
粒子供給ロール18Aはアルミの中実ロールである。また、帯電ブレード18Bは圧力を押圧するために金属板(SUS)にウレタンゴムを貼り付けたものである。帯電ブレードはドクター方式で粒子供給ロール18Aと接する。
帯電されたインク受容性粒子16は粒子供給ロール18Aの表面に略1層の粒子層を形成し、記録媒体8と対向する部位に搬送され近接すると、粒子供給ロール18Aと記録媒体8の静電潜像の電位差により形成された電界により、静電力により記録媒体8の表面に移動することで、静電潜像に対応したインク受容性粒子層16Aが形成される。なお、この電位差は、粒子供給ロール18Aにバイアス電圧を印加することで得ることができる。また、インク受容性粒子16の帯電量としては5μc/g〜50μc/gの範囲が望ましい。
さて、記録媒体8上に形成されるインク受容性粒子層16Aの層厚は、自在にコントロールすることができる。よって、次にその方法を説明する。
まず、記録媒体8に略1層のインク受容性粒子層16Aを形成するように記録媒体8の移動速度(搬送ベルト12の移動速度)と粒子供給ロール18Aの回転速度を相対的に設定する(周速比)。この周速比は、記録媒体8の静電潜像の電位、粒子の帯電量、粒子供給ロール18Aと記録媒体8の位置関係等、種々のパラメータに依存する。
この略1層を形成する周速比を基準に、粒子供給ロール18Aの回転速度を相対的に速くすることにより、記録媒体8上に供給される粒子数を増加させることができる。これによって記録媒体8上に形成されるインク受容性粒子層16Aの層厚を自在にコントロールすることが可能となる。
例えば、画像濃度が低い(インク滴20Aの打ち込み量が少ない)場合には、層厚を必要最小限の厚さとし、また、画像濃度が高い(インク滴20Aの打ち込み量が多い)場合には、インク溶媒を保持可能である充分な層厚となるように制御することが望ましい。
以上のようにして画像信号に基づいて、インク画像の領域にのみに記録媒体上にインク受容性粒子層16Aが形成される(非画像部領域には殆どインク受容性粒子層16Aが形成されない)。したがって、インク受容性粒子16の使用量を抑えることができるので、コスト的に有利である。更に、インク受容性粒子供給装置18のインク受容性粒子16の収容容器を小さくすることができ、装置の小型化が可能となる。
なお、上記では、粒子供給ロール18Aの回転速度を変化させることで、インク受容性粒子層16Aの層厚を変化させたが、その他の方法であっても良い。
例えば、帯電ブレード18Bの、粒子供給ロール18Aへの圧力を変化させ、粒子供給ロール18Aの表面の粒子層厚を変化させることで、記録媒体8の表面に形成されるインク受容性粒子層16Aの層厚を変化させても良い。
さて、ここで、インク受容性粒子16について説明する。なお、インク受容性粒子16の、更に詳しい説明は後述する。
図2(B)のように、インク受容性粒子16は、定着性粒子である樹脂粒子16E及び多孔質粒子16Fとが空隙16Gをもって凝集・造粒された、望ましくは直径2〜3μmの2次粒子である。
このような構成をしているので、次々工程でインク滴20Aは、空隙16Gにより速やかに吸収され、順次溶媒が多孔質粒子16Fの空隙及び樹脂粒子16Eに吸収されると共に、インク中の顔料(色材)がインク受容性粒子16を形成する1次粒子(樹脂粒子16Eと多孔質粒子16F)表面にトラップされる。
また、インク受容性粒子16に顔料を確実にトラップさせるために、インクとインク受容性粒子16とを反応させることにより、顔料を速やかに不溶化(凝集)させる方法を採用すればより好ましい。
顔料がトラップされた後のインク溶媒はインク受容性粒子層16Aの深さ方向に浸透すると共に、多孔質粒子16Fの空隙及び樹脂粒子16Eに吸収される。また、インク溶媒を吸収した樹脂粒子16Eは軟化することによって定着工程での定着に寄与する。また、インク同士が混じり合って滲む現象を抑えることもできる。
さて、このようなインク受容性粒子16は、以下のような構成が考えられる。
(インク受容性粒子A−1)
・スチレン/nブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体粒子(体積平均粒径0.2μm、酸価=240、水酸化ナトリウムにより部分中和、Tg≒60℃): 100部
・非晶質シリカ粒子(Aerosil OX50(体積平均粒径≒40nm)とAerosil TT600(体積平均粒径≒40nm)の1:1混合物): 30部
上記粒子を混合し、さらに微量の殺菌剤水溶液(プロクセルGXL(S) アーチケミカルズジャパン製)を添加し、攪拌混合(サンプルミルにて約30秒間)した後、メカノフュージョンシステムにて断続的に処理し複合粒子化した。断続駆動条件毎に粒径を測定し、約5μmとなった段階で取り出した。このようにして造粒を行い、球換算平均直径5μmの凝集複合粒子(ベース粒子a1)を作製した。
この凝集複合粒子(ベース粒子a1)に対して、表面疎水化処理(表面疎水化処理したシリカ微粒子Aerosil R972(日本アエロジル社製、体積平均粒径≒16nm)を1.0質量%と未処理の親水性シリカAerosil 130(日本アエロジル社製、体積平均粒径≒16nm)を0.5質量%外部添加して、粒子A−1を作製した。上記のように作製した粒子A−1をインク受容性粒子16として用いる。
さて、ここから画像形成のプロセスについての説明に戻る。
図2(A)に示すように、つぎに、記録媒体8に形成されたインク受容性粒子層16Aを予備定着装置150によって、予備定着する。
さて、記録媒体8上に形成されたインク受容性粒子層16Aは静電力で、記録媒体8上に固定されている。よって、このまま次工程でインクジェット記録ヘッド20からインク滴20Aをインク受容性粒子層16Aに打ち込むと、インク量によっては、インク受容性粒子層16Aが乱れる場合がある。このため、事前にインク受容性粒子層16Aを予備定着することで、インク受容性粒子16を記録媒体8の表面に仮固定しておく。
なお、予備定着によって、インク滴20Aの打ち込みによってインク受容性粒子16が飛散し、インクジェット記録ヘッド20のノズル面20Bが汚染することも防止される。
予備定着装置150での予備加熱は、最終的な定着装置22における定着用の加熱よりも低温である。具体的には、予備定着の加熱温度は、樹脂粒子16Eの軟化温度より20〜70℃高い温度である。
すなわち、予備定着装置150での予備定着は、インク受容性粒子16中の樹脂粒子16Eを完全に溶融させて圧力により定着するのではなく、粒子間の空隙16Gを残して、粒子間及び粒子と記録媒体表面とを結着させる程度でよい。このことにより、インク滴20Aが受容可能な程度に予備定着される。
また、予備定着装置150は、電子写真方式の画像形成装置に用いる一般的な加熱定着器(フューザー)を応用することが可能である。更に、電子写真方式の画像形成装置に用いる加熱定着器の他に、ヒーター加熱方法、オーブン方式、電磁誘導加熱方式等も使用できる。
さて、インク受容性粒子層16Aが予備定着された記録媒体8は、インクジェット記録ヘッド20の下方に搬送される。
そして、画像データに基づき、インクジェット記録ヘッド20からインク滴20Aが吐出され、記録媒体8の表面に形成されたインク受容性粒子層16Aに打ち込まれ、インク画像が形成される。(図9(C))。
インクはインク受容性粒子16の空隙16Gにより速やかに吸収され多孔質粒子16Fの空隙に吸収され、順次インク溶媒が樹脂粒子16Eに吸収されるとともに、インク中の顔料(色材)がインク受容性粒子16を形成する1次粒子表面にトラップされ、インク画像が形成される。(図2(B)を参考)。
また、インク受容性粒子16の2次粒子を構成している1次粒子間隙がフィルターの効果を発揮するとで、インク受容性粒子層16Aの表面部近傍に顔料をトラップすると共に、1次粒子表面にトラップされ固定される。そして、このことにより、インク受容性粒子層16Aの表面近傍に多くの顔料がトラップされる。
また、インク受容性粒子層16Aの表面近傍および1次粒子表面に顔料を確実にトラップさせるために、インクとインク受容性粒子16を反応させることにより、顔料を速やかに不溶化(凝集)させる方法を採用しても良いし、このほうがより好ましい。
顔料がトラップされた後のインク溶媒はインク受容性粒子層16Aの深さ方向に浸透すると共に、多孔質粒子の空隙に保持される。
インク溶媒を吸収した樹脂粒子16Eは軟化することで、次工程での定着性の向上に寄与する。
なお、高速で画像を書き込むためには、本実施形態のような記録媒体幅以上あるライン型インクジェット記録ヘッドが望ましいが、スキャン型のインクジェット記録ヘッドを用いて、順次画像を形成しても良い。
また、インクジェット記録ヘッド20のインク吐出手段は、圧電素子駆動型、発熱素子駆動型等、インク吐出可能な手段であれば制限はない。
また、インクは従来のインクジェット記録装置に用いる一般的なインクを用いることができるが、顔料インクが好ましい。なお、インクについての詳細は別途説明する。
記録媒体8は、搬送ベルト12から剥離し、定着装置22に送られ、インク受容性粒子層16Aに、圧力と熱を加えることで、記録媒体8上にインク受容性粒子層16Aが定着する。
定着装置22は加熱源を内蔵する加熱ロール22Aと対向する加圧ロール22Bとから構成され、加熱ロール22A及び加圧ロール22Bは当接されてニップを形成する。加熱ロール22A及び加圧ロール22Bには、アルミコアの外表面にシリコーンゴムを被覆し、更にその上をPFAチューブにて被覆されたものを使用している。なお、電子写真方式の画像形成装置に用いる定着装置(フューザー)と略同様の構成である。更に、上記電子写真方式の画像形成装置に用いる加熱定着器の他に、ヒーター加熱方法、オーブン方式、電磁誘導加熱方式等も使用できる。
記録媒体8が加熱ロール22Aと加圧ロール22Bとのニップ部を通過する際に、インク受容性粒子層16Aが加熱され、かつ圧力が加わり、樹脂粒子16Eが軟化点(Tg)以上に加熱され軟化し(溶融されても良い)、記録媒体8にインク受容性粒子層16Aが定着する。このとき、インク中の液体(インク溶媒)は多孔質粒子16F内に保持されており、樹脂粒子16E間の空隙等に残っておらず、定着装置22からの熱は、液体を加熱する等、樹脂粒子16Eを定着させる以外に浪費されることがないので、効率よく樹脂粒子16Eを加熱することが可能となる。
また、インクが打ち込まれたインク画像部分の樹脂粒子16Eはインク溶媒を吸収することにより、インクの液体成分が可塑剤として作用するため軟化し、定着性が向上する。このため、インク受容性粒子16は記録媒体8として、例えば、普通紙に定着させる場合より、低い温度での加熱、または加圧のみでも定着可能である。
よって、本実施形態のように、加熱と加圧の両方を用いる方法でなく、加熱のみ、又は加圧のみを用いる方法であっても良い。しかし、好ましくは加熱と加圧とを同時に行う方式が良い。
加熱温度は、樹脂粒子16Eの軟化温度に対して30〜100℃高い温度である。なお、本実施形態では、加熱ロール22Aの表面は160℃に制御している。
さて、インク受容性粒子層16Aに受容/保持されたインク溶媒は、定着後もインク受容性粒子層16A内に保持され、通常の水性インクジェット記録におけるインク溶媒の乾燥と同じく、自然乾燥にて除去される。そのため、記録媒体8のインク浸透性の違いや、或いは、非浸透紙に対しても同じように、水性インクであってもより高速で高画質な画像を形成することが可能となる。
また、定着時に印加される圧力or/and熱を制御することで、記録媒体8に定着されたインク受容性粒子層16Aの表面の状態を変化させることが可能である。すなわち、圧力or/and熱を増加させることにより、インク受容性粒子層16Aの表面の粗さが減少しグロスが向上する。或いは、圧力or/and熱を減少させることにより、インク受容性粒子層16Aの表面が平滑化されないため(粗面)、グロスが低下し、マットな仕上がりとなる。
なお、インク受容性粒子16は画像形成後のインクの発色性を得る為、少なくとも定着後には透明となることが望ましい。
以上の工程を経て、画像形成が終了し、記録媒体8は装置外に排出される。
なお、今まで説明した、静電潜像の電位や、インク受容性粒子層16Aの層厚、定着温度等、その他の各種装置的条件は、インク受容性粒子16、あるいはインクの組成、インクの吐出量等によって決定される為、それぞれにおいて最適化すればよい。
また、図9を用いて説明したように、上記説明では、インク受容性粒子層16Aは、インク画像領域に形成している。しかし、正確には、インク受容性粒子層16Aの方がインク画像より大きい。これは、静電記録ヘッド100とインク受容性粒子供給装置18とで形成するインク受容性粒子層16Aの解像度より、インクジェット記録ヘッド20によるインク画像の解像度のほうが高いためである。
なお、本実施形態では、インク受容性粒子層16Aは、インク画像領域に形成しているが、これに限定されない。インク画像の領域を含んでいれば、それ以上広い領域に形成しても良い。例えば、記録媒体8全面に形成しても良い。この場合は、定着後に記録媒体8の全面にインク受容性粒子層16Aが形成されているので、記録媒体8の全面が光沢をもった表面にすることができる。
つぎに、本発明の第二実施形態に係る画像形成装置について説明する。なお、第一実施形態と同一の部材は、同一の符号や部材名とし、重複する説明は省略する。
最初に装置全体の概要について説明する。
第一実施形態の画像形成装置では、記録媒体8に形成されたインク受容性粒子層16Aに直接インク滴20Aを吐出して着弾させ、インク画像を形成していた。(図2参照)。これに対し、第二実施形態の画像形成装置11は、図3に示すように、中間転写ベルト121にインク滴20A(図2(A)参照)を吐出して、中間転写ベルト121にインク画像を形成し、そして、中間転写ベルト121に形成されたインク画像を、記録媒体8に形成されたインク受容性粒子層16Aに転写することで、インク受容性粒子層16Aにインク画像を形成している。
次に、各構成要素と画像形成のプロセスについての詳細を説明する。なお、第一実施形態とは異なるところのみ説明する。
無端ベルト状の中間転写ベルト121にインクジェット記録ヘッド20が画像信号に基づきインク滴20A(図2(A)参考)を吐出し、インク画像を形成する。
中間転写ベルト121と搬送ベルト12とは、転写装置122の、対向する転写ロール122Bとバックアップロール122Aとの間に挟まれ、ニップ部を形成している。転写ロール122B及びバックアップロール122Aは、複数本あり、ニップ部は、所定の長さを有している。
そして、インク受容性粒子層16Aが予備定着した記録媒体8を、ニップ部で挟持搬送することで、中間転写ベルト121と重ね合わせ、圧力を加えることにより記録媒体8上のインク受容性粒子層16Aにインクが浸透し、インク画像が転写される。
ニップ部を長く形成されるように構成しているのは、インクが浸透する時間が十分に得られようにするためである。
中間転写ベルト121に形成されたインク画像は、インク受容性粒子層16Aと接触することにより、インク受容性粒子16の空隙16Gにより速やかに吸収され、順次溶媒が多孔質粒子16Fの空隙に吸収されると共に、顔料(色材)がインク受容性粒子16を形成する1次粒子表面にトラップされる。
また、2次粒子を構成している1次粒子間隙がフィルターの効果を発揮し、インク受容性粒子層16Aの表面部近傍に顔料をトラップすると共に、1次粒子表面にトラップされ固定されることで、インク受容性粒子層16Aの表面近傍に多くの顔料がトラップされる。
なお、このように中間転写ベルト121にインク画像を形成して、インク受容性粒子層16Aに転写するほうが、インク画像の乱れが少ないので、より高画質となる。
さて、中間転写ベルト121の転写装置122の下流側には、中間転写ベルト121の表面に残留しているインク、或いは転写の際に付着したインク受容性粒子16、その他の異物(例えば、紙粉等)を、除去するためのクリーニング装置30が配置されている。
なお、静電記録ヘッド100による静電潜像形成(インク受容性粒子層16A形成)のタイミングとインクジェット記録ヘッド20によるインク画像形成のタイミングは、最終的に転写することで、各々で形成された同一画像が同一箇所で重なるように、タイミングなどが制御される。
また、定着装置22は、搬送ベルト12の上方にある。
なお、高速で画像を書き込むためには、記録媒体8幅のライン型インクジェット記録ヘッドが望ましいが、スキャン型のインクジェット記録ヘッドを用いて、中間転写ベルト121に順次インク画像を形成しても良い。
インクジェット記録ヘッド20のインク吐出手段は、圧電素子駆動型、発熱素子駆動型等、インク吐出可能な手段であれば制限はない。
インクはインクジェット記録装置に用いる一般的なインクを用いることができるが、顔料インクが望ましい。
インクジェット記録ヘッド20と転写装置122と間に離形剤塗布装置40を配置し、中間転写ベルト121の表面に離形層を形成してもよい。
離形剤塗布装置40は、塗布ローラー40Aにより中間転写ベルト121の表面に離形剤を塗布し、ブレード40Bで層厚を規定する。連続的に画像形成及びプリントをできるようにするために、離形剤塗布装置40を中間転写ベルト121に連続的に接触するようにしても良いし、中間転写ベルト121から適宜離間するような構成としても良い。また、離形剤塗布装置40に、独立した液体供給システムから離形剤を供給して、離形剤の塗布がとぎれないようにしてもよい。なお、シリコーンオイル、アミノシリコーンオイル等、電子写真方式の画像形成装置に用いる離形剤を使用することができる。
また、クリーニング装置24の下流側に、除電装置29を配置しても良い。除電装置29は導電性ロールを使用し、従動ロール31(接地)と挟み込んで、±3kV、500Hz程度の交流電圧を印加することにより、中間転写ベルト121表面を除電することができる。
つぎに、中間転写ベルト121について説明する。
中間転写ベルト121は、厚さ約1.0mmからなるポリイミドフィルムからなるベース層の上に厚さ約400μmのシリコーンゴムからなる表面層が形成されている。
前述したように、インク画像の転写効率を向上させる(中間転写ベルト121から記録媒体8への効率的な転写)ために、中間転写ベルト121の表面には離形層が形成されていることが望ましい。離形層は、上述したように、離形剤塗布装置40により中間転写ベルト121の表面に離形層を形成してもよいし、或いは、中間転写ベルト121の表面(材質)として形成されていても、外添することにより中間転写ベルト1211表面にオン・プロセスで離形層を形成しても良い。
中間転写ベルト121の表面自体を離形層とする場合は、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂、また、弾性体としてはシリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムが好ましい。
また、外添により離形層を形成する場合は、上記ベルト基材その物、また弾性体を形成する場合には、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム等があげられる。
ベルト基材としては、装置内におけるベルト回転駆動が可能で、必要な機械強度を持つものであれば良い。具体的には、ポリイミド、ポリアミドイミド、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエーテルサルフォン、ステンレス、等があげられる。
つぎに、本発明の第三実施形態に係る画像形成装置について説明する。なお、第一実施形態及び第二実施形態と同一の部材は、同一の符号や部材名とし、重複する説明は省略する。
図4に示すように、第三実施形態の画像形成装置13は、第二実施形態の画像形成装置11での中間転写ベルト121を中間転写ドラム212とし、中間転写ドラム212に形成されたインク画像を、記録媒体8のインク受容性粒子層16Aに転写装置222で転写する構成である。
中間転写ベルト121に対し中間転写ドラム212は剛体であるため、インクジェット記録ヘッド20のノズル面20Bと中間転写ドラム212の表面との距離を一定に保つこと容易である。
また、記録画像を複数回に分割して画質を向上させるインクジェット特有のマルチパス記録を行う場合、ベルトと比較してドラムの方が繰返し記録位置精度の確保等が容易である。中間転写ドラム212上にマルチパス記録を行うには、中間転写ドラム212を搬送ベルト12から離間させた状態でインク画像形成を行い、転写時に中間転写ドラム212と搬送ベルト12とがニップ部を形成するように接触させることで、中間転写ドラム212上に形成されたインク画像を記録媒体8上に形成されたインク受容性粒子層16Aに転写可能となる。
次に、中間転写ドラム212について説明する。
中間転写ドラム212は、表面を陽極酸化処理したアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる導電性基体が使用される。アルミニウム合金としては、アルミニウム/マグネシウム合金、アルミニウム/チタニウム合金等が使用される。これら原材料の表面は、均一な陽極酸化被膜を形成するために、鏡面加工されていることが好ましい。陽極酸化処理は、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸などの酸性浴中で、電圧5〜500V、電流密度0.1〜5A/dm2 の条件で行うのが好まし。陽極酸化被膜の厚さは、2〜50μmが好ましく、5〜15μmがより好ましい。陽極酸化処理された表面は、多孔質であることが多いが、多孔質表面は、化学的に不安定なので、沸騰水や、水蒸気を用いた水和封孔処理を施すことが好ましい。
なお、本実施形態では、アルミニウムパイプの表面を鏡面加工したものを硫酸中、電流密度1.5A/dm2 の条件で陽極酸化処理を行い、7μmの陽極酸化被膜を形成し、続いて沸騰水による封孔処理を行った。
また、インク画像の転写効率を向上させる(中間転写ドラム212から記録媒体8への効率的な転写)ために、中間転写ドラム212の表面には離形層が形成されていることが望ましい。離形層は、離形剤塗布装置40により中間転写体表面に離形層を形成してもよいし、或いは、中間転写ドラム212の体表面(材質)として形成されていても、外添することにより中間転写ドラム212表面にオン・プロセスで離形層を形成しても良い。
離形剤は、第二実施形態と同様のものが使用できる。
中間転写ドラム212表面を離形層とする場合は、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂や、弾性体としてはシリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムが好ましい。
ドラム基材としては、外周面に半導電性あるいは絶縁性の表面層が形成されたアルミやステンレス等がある。
外添により離形層を形成する場合は、アルミの表面を陽極酸化した物、また弾性体を形成する場合には、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム等があげられる。
つぎに、本発明の第四実施形態に係る画像形成装置について説明する。なお、第一実施形態から第三実施形態と同一の部材は、同一の符号や部材名とし、重複する説明は省略する。
最初に装置全体の概要について説明する。
第一実施形態から第三実施形態の画像形成装置では、静電記録ヘッド100で、記録媒体8の所定の領域に静電潜像を形成していた(図1、図2参照)。これに対し、第四実施形態の画像形成装置400は、図5(A)に示すように、帯電ロール402で、記録媒体8の表面全域を所定の表面電位に帯電し、記録媒体8の全面にインク受容性粒子層16Aを形成している。
次に、各構成要素と画像形成のプロセスについての詳細を説明する。なお、第一実施形態と異なるところのみ説明する。
画像形成装置400は、帯電ロール402と記録媒体8(と搬送ベルト12)を挟んで配置されている従動ロール404も備えている。帯電ロール402にはDC電源を接続し、帯電電圧として1kV(定電圧制御)が印加される。従動ロール404はフレームグランドに電気的に接続されている。
そして、帯電ロール402は、従動ロール404とで記録媒体8を挟持搬送し、押圧位置では、電圧が印加された帯電ロール402と接地された従動ロール404との間に所定の電位差が生じるため、記録媒体8に電荷を与えられ、記録媒体8表面が帯電する。
なお、ここでは、インク受容性粒子供給装置418の粒子供給ロール418Aと記録媒体8の表面とで形成する電界による静電力により、インク受容性粒子16が記録媒体8の表面に供給/吸着可能な電位とすればよい。
帯電ロール402は、ステンレスを材料とする棒状の外周面に、導電性付与材を分散させた弾性層(発泡ウレタン樹脂)を形成し、体積抵抗率10^6〜10^8Ω・cm程度に調整したロール。さらに、弾性層の表面を厚さ5〜100μmの撥水撥油性のスキン層(PFA)を被覆。装置内の湿度変化や帯電層表面への汚染物質の付着などによる特性変化(抵抗値変化)を抑えるのに効果がある。
なお、帯電ロール4002(と従動ロール404)でなく、コロトロン帯電器、スコロトロン帯電器、或いはブラシ帯電器で帯電する構成であっても良い。さらに、図5(B)に示すような、針状電極410の放電によって帯電する構成としても良い。また、針状電極410は複数の電極部410Aからなり、それぞれ独立して高圧を印加して放電可能とし、幅方向の所定の領域に帯電可能としても良い。
また、コロトロン帯電器、スコロトロン帯電器、針状電極410による帯電は、記録媒体8に非接触で電荷を与えることが可能である。
インク受容性粒子供給装置418は、供給ロール418Aを備えている。供給ロール418Aは、アルミニウム、ステンレススチール等を材料とする棒状またはパイプ状の外周面に、導電性付与材を分散させた弾性層を形成し、体積抵抗率10^6〜10^8Ω・cm程度に調整したφ10〜25mmのロールなどが使用できる。弾性層は、ウレタン系樹脂、熱可塑性エラストマー、エピクロルヒドリンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、シリコン系ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、ポリノルボーネンゴム等の樹脂材料が単独または二種以上の混合物として使用され、望ましい材料としては発泡ウレタン樹脂がある。上記発泡ウレタン樹脂としては、ウレタン系樹脂に中空ガラスビーズや熱膨張型マイクロカプセル等の中空体を混合分散して独立気泡構造を付与したものが望ましく、このような発泡ウレタン樹脂は帯電ロールとして望ましい低硬度弾性を有し、記録媒体8に対する高い接触安定性が得られるとともに、ニップ形成性も良好になる。さらに、弾性層の表面を厚さ5〜100μmの撥水性のスキン層で被覆しても良く、その場合には装置内の湿度変化や帯電層表面へのインクミストの付着などによる特性変化(抵抗値変化)を抑えるのに効果がある。
また、粒子供給ロール418Aを押圧するように帯電ブレード418Bが設けられている。この帯電ブレード418Bは、粒子供給ロール418Aの表面に付着するインク受容性粒子16の層厚を規制する機能と、静電潜像と逆極性であるマイナス極性にインク受容性粒子16を帯電させる機能と、を併せもつ。
なお、本発明は上記の各実施形態に限定されない。
例えば、上記の各実施形態においては、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のインクジェット記録ヘッド20Y,20M,20C,20Kから画像データに基づいて選択的にインク滴20Aが吐出されてフルカラーの画像が記録媒体8に記録されるようになっているが、本発明は記録媒体上への文字や画像の記録に限定されるものではない。すなわち、工業的に用いられる液滴吐出(噴射)装置全般に対して、本発明に係る液滴吐出装置を適用することができる。
例えば、吐出する液滴の記録材も顔料や染料などの色材に限定されない。例えば、紫外線を照射すると蛍光発光するような記録材であっても良い。あるいは、磁性体(粉)などであっても良い。
つぎに、インク受容性粒子についての詳細を説明する。
<インク受容性粒子>
本発明の各実施形態において用いられるインク受容性粒子とは、以下のようなものが考えられる。
すなわち、本発明のインク受容性粒子はインクを受容するものである。ここで、インク受容性とは、インク成分の少なくとも1部(少なくとも液体成分)を保持することを示す。そして、本発明のインク受容性粒子は、少なくとも前記インクの液体成分をトラップするトラップ構造を有し、且つ吸液性樹脂を含んで構成されている。
本発明のインク受容性粒子は、インクを受容する際(インク受容方法)、まず、インクがインク受容性粒子に付着すると、少なくともインクの液体成分をトラップ構造によりトラップする。このとき、インクの成分のうち記録材は顔料や染料などを問わず、インク受容性粒子表面に付着又はトラップ構造によりトラップされる。その後、トラップしたインクの液体成分を吸液性樹脂により吸液する。このようにして、インク受容性粒子はインクを受容する。
このトラップ構造によるインク液体成分のトラップは、物理的な粒子壁構造による捕獲なので、吸液性樹脂による吸液に比べ遥かに早い。よって、インクを受容したインク受容性粒子は浸透媒体や非浸透媒体など問わず多様な記録媒体において、短時間で次工程を行うことが可能となる。しかも、トラップされたインクの液体成分は吸液性樹脂によりインクの液体成分が吸収されるので、その保持安定性が向上しており、定着の際、インクを受容したインク受容性粒子へ物理的な力が加わっても、液体成分が漏れ出すこともなく滲みなどが生じることない。
従って、種々のインクを利用しても、多様な記録媒体に対して高速且つ高画質で記録が可能となる。
また、インクの液体成分が完全にトラップされた状態で、記録媒体は搬送されるので、記録媒体のカール、カクル、さらには吸液による記録媒体強度低下も防止される。
また、インク受容性粒子の吸液性樹脂は、記録材の結着樹脂や被覆樹脂として機能するので、定着性や記録物の定着性(耐擦性)をも向上させ、記録物のグロス制御も可能となる。さらに、記録材として顔料や染料問わず、高発色が得られる。
なお、記録材として顔料等の不溶成分、分散粒子状物を用いたインク(例えば顔料インク)の定着性(耐擦性)を改善するためにはインクに多量のポリマー添加が必要だが、インク(その処理液含む)中に多量のポリマーを添加すると、インク吐出手段のノズル目詰り等の信頼性が悪化してしまう。これに対し、本発明では、吸液性樹脂が当該ポリマーの機能を果たすので、高画質・高定着とシステムの高信頼の両立が可能となる。
ここで、「トラップ構造」は、少なくとも液体を保持し得る物理的な粒子壁構造であり、具体的には、例えば、空隙構造、凹構造、毛管構造などのである。このため、上述のように、トラップ構造によるインク液体成分のトラップは、吸液性樹脂による吸液に比べ遥かに早い。これら構造の最大開口径は50nm以上5μm以下が好ましく、より好ましくは300nm以上1μm以下である。特に、最大開口径は、記録材、特に例えば体積平均粒径100nmの顔料をトラップし得る大きさであることがよい。但し、最大開口径が50nm未満の微細孔が同時に存在してもよい。また、吸液性向上の観点から、空隙や毛細管は粒子内部で連通していることがよい。
このように、トラップ構造は、インクの成分のうち液体成分のみならず、記録材もトラップすることがよい。インク液体成分と共に記録材、特に顔料をトラップ構造にトラップさせると、即ちインク受容性粒子内部に記録材が偏在することなく保持・固定され、高速記録と高画質化との両立が好適に図れる。なお、インクの液体成分は、主にインク溶媒(分散媒:ビヒクル液体)である。
本発明のインク受容性粒子は、上記トラップ構造を持たせるため、例えば、図6に示すような吸液性樹脂の微粒子502が集合した複合体粒子500であることが好適である。また、本発明のンク受容性粒子は、インク液体成分の吸液性を向上させるため、図7に示すように、吸液性樹脂の微粒子502に加え、無機微粒子504が集合した複合粒子500であることが吸水性付与、帯電・導電性付与など種々の機能を付与可能となるため特に好適である。これら複合粒子は各粒子間の間隙により空隙構造が形成される。
ここで、吸液性樹脂の微粒子の粒径は、体積平均粒径で50nm〜10μmが好ましく、より好ましくは0.1μm〜5μm、さらに好ましくは0.2μm〜2μmである。また、無機微粒子の粒径は、体積平均粒径で10nm〜30μm、好ましくは50nm〜10μm、さらに好ましくは0.1μm〜5μmである。なお、吸液性樹脂の微粒子及び無機微粒子は一次粒子であってもよく、一次粒子を造粒した集合体であってもよい。
そして、これらの複合粒子は、例えば、微粒子が半焼結状態で造粒されることで得られる。半焼結状態とは、粒子形状がある程度の残っており、当該粒子間で空隙を保持している状態を示す。なお、複合粒子は、トラップ構造にインク液体成分がトラップされたとき、微粒子の一部が解離する、即ち複合粒子が解体され、これを構成する粒子がばらけてもよい。
なお、無機微粒子としては、無色、淡色或いは白色の粒子(例えば、コロイダル・シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ等)が挙げられる。これら無機微粒子は、表面処理(部分疎水化処理、特定官能基導入処理等)を施されてもよい。例えば、シリカの場合には、シリカの水酸基をトリメチルクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシランなどのシリル化剤で処理してアルキル基を導入する。シリル化剤によって脱塩酸が生じ、反応が進む。この際、アミンを添加すると塩酸を塩酸塩にして反応を促進することもできる。疎水性基としてアルキル基やフェニル基を有するシランカップリング剤やチタネート系、ジルコネート系等のカップリング剤の処理量や処理条件を制御することでコントロールできる。また、同様に脂肪族アルコール類や高級脂肪酸及び同誘導体類での表面処理も可能である。また、(置換)アミノ基や四級アンモニウム塩構造を有するシランカップリング剤等のカチオン性官能基を有するカップリング剤類、フルオロシランの様なフッ素系官能基を有するカップリング剤、その他カルボン酸等のアニオン性官能基を有するカップリング剤類での表面処理も可能である。特に、無機微粒子は多孔質であることが、インク受容性粒子への効果的な吸液性付与の観点からよい。
本発明のインク受容性粒子は、空隙構造、凹構造、毛管構造などのトラップ構造を有すれば、例えば、図8に示すように、ロストワックス法等により得られる、又は、ガス注入や発泡剤混入によって内部に気泡を含んだ溶融樹脂、溶解樹脂等を固化、粉砕することで得られる、表面に凹部506A(例えば、最大開口径100nm以上、好ましくは200nm〜2000nm))を有する吸液性樹脂の微粒子506で構成してもよい。しかし、上記造粒法による複合粒子が最も好適である。
本発明のインク受容性粒子の粒径は、球換算の平均直径が0.5μm〜60μmであることが好ましく、より好ましくは1μm〜30μm、さらに好ましくは3μm〜15μmである。ここで、球換算の平均直径は次のように求められる。粒子サイズによって最適方法は異なるが、例えば粒子を液体中に分散し光散乱原理で粒径を求める、粒子の投影像を画像処理で求める等多種の方法が利用できる。汎用的に使用できる方法としては、マイクロトラックUPA法やコールターカウンター法が挙げられる。
次に、吸液性樹脂について説明する。吸液性樹脂は、吸液したインク液体成分(例えば水、水性溶媒)が樹脂(ポリマー)の可塑剤として作用するため、軟化して定着性が向上する。
一方、吸液しすぎて高膨潤してしまうと、滲みが生じたり定着性が低下してしまうため、吸液性樹脂は弱吸液性樹脂であることが好適である。この弱吸液性樹脂とは、例えば液体として水を吸収する場合、樹脂質量に対して数%(≒5%)からせいぜい数百%(≒500%)、好ましくは5%〜100%程度の吸液が可能な親液性樹脂を意味する。
ここで、吸液性が約5%を下回る場合は、空隙にトラップされた液体が、定着時に空隙部から溢れ出たり、画像劣化させたりしやすくなることがある。また、樹脂の可塑化が不十分なため定着に高エネルギーが必要となる。逆に吸液能力が高すぎる場合は、吸液だけでなく吸湿も活発なため、インク受容性粒子のハンドリングの環境依存が大きくなり使用困難となることがある。例えば、樹脂を高度に架橋し吸湿しても粒子相互の融着が起こらない様にすることも可能である(例えば、市販の吸水性樹脂)。しかし、その場合は記録媒体に対して定着が困難となる。そして弱吸液性樹脂の場合、強吸液性樹脂よりも当然樹脂自体の吸液速度は遅くなるため、初期的に液体を空隙構造にトラップし次いで樹脂中に吸液する形でインク受容性粒子の構造と物性を設計することが重要なポイントとなる。
このような観点から、吸液性樹脂は、例えば、親水性モノマー単独重合体、或いは親水性モノマーと疎水性モノマーとの両モノマーから構成された共重合体で構成することができるが、弱吸水性樹脂とするためには当該共重合体が好ましい。なお、モノマーだけでなく、ポリマー/オリゴマー構造などのユニットをスタートに他のユニットを共重合させるグラフト共重合体やブロック共重合体でもよい。
ここで、親水性モノマーとしては、−OH、−EOユニット(エチレンオキサイド基)、−COOM(Mは例えば水素、Na、Li、K等のアルカリ金属、アンモニア、有機アミン類等である。)、−SO3M(Mは例えば水素、Na、Li、K等のアルカリ金属、アンモニア、有機アミン類等)、−NR3(Rは例えば、H、アルキル、フェニル等である。)、−NR4X(Rは例えば、H、アルキル、フェニル等であり、Xは例えば、ハロゲン、硫酸根、カルボン酸等の酸アニオン類、BF4、等々である。)等を含むモノマーが挙げられる。具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、不飽和カルボン酸、クロトン酸、マレイン酸等が挙げられる。また、親水性ユニットもしくはモノマーとしては、セルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、でんぷん誘導体、単糖類・多糖類誘導体、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、等の重合性カルボン酸類やこれらの(部分)中和塩類、ビニルアルコール類、ビニルピロリドン、ビニルピリジンやアミノ(メタ)アクリレート及びジメチルアミノ(メタ)アクリレートの如き誘導体、更にはこれらのオニウム塩類、アクリルアミドやイソプロピルアクリルアミド等のアミド類、ポリエチレンオキサイド鎖含有ビニル化合物類、水酸基含有ビニル化合物類、多官能カルボン酸と多価アルコールから構成されるポリエステル類、特にトリメリット酸の如き3官能以上の酸を構成成分として含有し末端カルボン酸や水酸基を多く含む分岐ポリエステル、ポリエチレングリコール構造を含むポリエステル、等も挙げられる。
疎水性モノマーとしては、疎水性基を有するモノマーが挙げられ、具体的には、例えばオレフィン(チレン、ブタジエン等)、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル等が挙げられる。疎水性ユニットもしくはモノマーとしてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、ポリエチレン、エチレン/酢酸ビニルやポリプロピレン等のポリオレフィン類等、及びこれらの誘導体も挙げられる。
このような親水性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体からなる吸液性樹脂として、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン/(メタ)アクリル酸/(無水)マレイン酸類共重合体、エチレン/プロピレン等のオレフィン系ポリマー(又はこの変性体、又は共重合によるカルボン酸ユニット導入物)、トリメリット酸等で酸価を向上した分岐ポリエステル、ポリアミド等が好適に挙げられる。
吸液性樹脂には、中和塩構造(例えばカルボン酸など)を含むことが好ましい。このカルボン酸などの中和塩構造は、カチオン(例えばNa,Li等の一価金属カチオン等)を含むインクを吸液したとき、当該カチオンとの相互作用で、アイオノマーを形成し、最終記録物の定着強度が向上する。また、カルボン酸などの中和塩構造は、アニオン基を有する記録材(例えば顔料や染料)の凝集を促進するので、画質も向上する。
吸液性樹脂には、置換或いは未置換アミノ基や、置換或いは未置換ピリジン基を含むことも好ましい。当該基は、殺菌効果や、アニオン基を有する記録材(例えば顔料や染料)との相互作用を及ぼすので、画質や定着性が向上する。
ここで、吸液性樹脂において、親水性ユニット(親水性モノマー)と疎水性ユニット(親水性モノマー)とのモル比(親水性モノマー:疎水性モノマー)は、5:95〜70:30が好ましく、より好ましくは7:93〜60:40、さらに好ましくは10:90〜50:50である。特に、親水性ユニットは全体に対し5〜70モル%であることが好ましく、より好ましくは10〜50モル%であることが好ましい。親水性モノマーを上記範囲とすることで、インク受容性粒子が水性液体を吸液する場合の吸水速度の向上、吸水量の向上と高湿〜低湿環境での受容性粒子のハンドリング性、定着性のバランスが鼎立可能となる。
また、吸液性樹脂は、直鎖構造でもよいが、分嵯構造がよい。また、吸液性樹脂は、非架橋もしくは低架橋であることが好ましい。また、吸液性樹脂は直鎖構造のランダム共重合体やブロック共重合体でも良いが、分岐構造の重合体(分岐構造のランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体を含む)が更に好適に使用できる。例えば、重縮合で合成されるポリエステルの場合、分岐構造で末端基を増加させると、親水性、吸水性と粒子ハンドリングや定着性の制御ラチチュードを拡張しやすくなる。付加重合系であれ重縮合系であれ、分岐部に例えばカルボン酸基を配置するとインクからカチオンを供給することで最終的にイオン架橋型の強固な定着画像形成が可能となりやすい。このような分岐構造は、ジビニルベンゼン、ジ(メタ)アクリレート類等のいわゆる架橋剤を合成時に微量添加したり(例えば1%未満の添加)、架橋剤と共に開始剤を多量添加することで合成することがポピュラーな手法の一つである。この時、注意すべきことは、いわゆる市販の吸水性樹脂の様に架橋度を高め3次元ネットワークが形成されると記録像の定着が困難になったり定着に要するエネルギーが増大してしまうことである。定着特性を確保するためには、架橋反応が起こってもそれは一部に留め、全体としては熱可塑性が十分維持されるように調製する必要がある。
また、吸収性樹脂は、インクから供給されるイオンによりイオン架橋してもよい。吸水性樹脂中が(メタ)アクリル酸やマレイン酸等のカルボン酸を含む共重合体やカルボン酸を有する(分岐)ポリエステル等、樹脂中にカルボン酸を含むユニットを存在させた場合、定着後の樹脂像の強度が高まる傾向がある。これは樹脂中のカルボン酸と水性インク等の液体から供給されるアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、有機アミン・オニウムカチオン等との間にイオン架橋や酸・塩基相互作用等が生じ、定着像が強化されるためだろう、と推測している。
また、吸液性樹脂は、極性基を含むことで、親水性、帯電・導電性を付与できる観点からよい。例えば、親水性を付与する極性基としては、親水性モノマーと同じで、例えば、水酸基、エチレンオキサイド基、カルボン酸、アミノ基、等が挙げられる。帯電・導電性を付与する極性基の導入は、正帯電性付与の場合、例えば(置換)アミノ基、(置換)ピリジン基やそのアミン塩、4級アンモニウム塩等の造塩化構造の導入、負帯電付与の場合、カルボン酸(塩)、スルホン酸(塩)等の有機酸(塩)構造の導入が有効である。更には低分子の4級アンモニウム塩類や有機ホウ酸塩類、サリチル酸誘導体の造塩化合物類等、電子写真トナー用帯電制御剤を吸液性樹脂に添加してもよい。導電性制御は酸化スズや酸化チタン等の導電性、半導電性の無機物質添加が有効である。
吸液性樹脂は、非結晶樹脂であることがよく、そのガラス転移温度(Tg)は、40℃〜90℃が好ましく、より好ましく50〜70℃である。ガラス転移温度を上記範囲とすることで、粒子ハンドリング性、画像ブロッキング性と画像定着性の両立が可能となる。ガラス転移温度(及び融点)は、ASTMD3418−8に準拠して測定された主体極大ピークより求めた。主体極大ピークの測定には、パーキンエルマー社製のDSC−7を用いることができる。この装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛との融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行った。
吸液性樹脂の重量平均分子量は、3000〜30万が好ましく、より好ましくは10000〜10万である。この重量平均分子量を上記範囲とすることで、速やかな吸液、低エネルギーでの定着実現と定着後の画像強度両立が可能となる。重量平均分子量は、以下の条件で行ったものである。例えば、GPCは「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min.、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
吸液性樹脂の酸価は、カルボン酸基(−COOH)換算で50〜1000であり、より好ましくは150〜500であり、さらに好ましくは50〜500であり、特に好ましくは100〜300である。酸価を上記範囲とすることで、粒子のハンドリング性と吸水性、定着性の制御が可能となる。このカルボン酸基(−COOH)換算での酸価の測定は次のように行った。
酸価は、JIS K0070に従って行い、中和滴定法を用いた測定で行った。即ち、適当量の試料を分取し、溶剤(ジエチルエーテル/エタノール混合液)100ml、及び、指示薬(フェノールフタレイン溶液)数滴を加え、水浴上で試料が完全に溶けるまで充分に振り混ぜる。これに、0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の薄い紅色が30秒間続いた時を終点とした。酸価をA、試料量をS(g)、滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液をB(ml)、fを0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクターとした時、A=(B×f×5.611)/Sとして算出した。
次に、本発明のインク受容性粒子のその他添加剤について説明する。まず、本発明のインク受容性粒子には、インクの成分を凝集又は増粘させる成分を含むことが好ましい。当該成分を含むと、インクに含まれる記録材(例えば顔料や染料)が凝集したり、ポリマーなどが増粘するので、画質や定着性が向上する。
このような機能を有する成分は、上記吸水性樹脂の官能基として含んでもよいし、化合物として含んでもよい。当該官能基としては、例えば、カルボン酸、多価金属カチオン、ポリアミン類等などが挙げられる。
また、当該化合物としては、無機電解質、有機酸、無機酸、有機アミンなどの凝集剤が好適に挙げられる。
無機電解質としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン及び、アルミニウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、スズイオン、チタンイオン、亜鉛イオン等の多価金属イオンと、塩酸、臭酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、チオシアン酸、及び、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等の有機カルボン酸及び、有機スルホン酸の塩等が挙げられる。
具体例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、酢酸ナトリウム、蓚酸カリウム、クエン酸ナトリウム、安息香酸カリウム等のアルカリ金属類の塩、及び、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、酸化バリウム、硝酸バリウム、チオシアン酸バリウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、チオシアン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、酢酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、酒石酸カルシウム、乳酸カルシウム、フマル酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化銅、臭化銅、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、蓚酸鉄、乳酸鉄、フマル酸鉄、クエン酸鉄、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、リン酸二水素マンガン、酢酸マンガン、サリチル酸マンガン、安息香酸マンガン、乳酸マンガン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、硫酸スズ、塩化チタン、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、チオシアン酸亜鉛、酢酸亜鉛等の多価金属類の塩等が挙げられる。
有機酸としては、具体的にはアルギニン酸、クエン酸、グリシン、グルタミン酸、コハク酸、酒石酸、システイン、シュウ酸、フマル酸、フタル酸、マレイン酸、マロン酸、リシン、リンゴ酸、及び、一般式(1)で表される化合物、これら化合物の誘導体などが挙げられる。
ここで、式中、Xは、O、CO、NH、NR1、S、又はSO2を表す。R1はアルキル基を表し、R1として好ましくは、CH2,C2H5、C2H4OHである。Rはアルキル基を表し、Rとして好ましくは、CH2,C2H5、C2H4OHである。なお、Rは式中に含んでいてもよいし、含んでいなくても構わない。Xとして好ましくは、CO、NH、NR,Oであり、より好ましくは、CO、NH、Oである。Mは、水素原子、アルカリ金属又はアミン類を表す。Mとして好ましくは、H、Li、Na、K、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等であり、より好ましくは、H、Na,Kであり、更に好ましくは、水素原子である。nは、3〜7の整数である。nとして好ましくは、複素環が6員環又は5員環となる場合であり、より好ましくは、5員環の場合である。mは、1又は2である。一般式(1)で表される化合物は、複素環であれば、飽和環であっても不飽和環であってもよい。lは、1〜5の整数である。
一般式(1)で表される化合物としては、具体的には、フラン、ピロール、ピロリン、ピロリドン、ピロン、ピロール、チオフェン、インドール、ピリジン、キノリン構造を有し、更に官能基としてカルボキシル基を有する化合物が挙げられる。具体的には、2−ピロリドン−5−カルボン酸、4−メチル−4−ペンタノリド−3−カルボン酸、フランカルボン酸、2−ベンゾフランカルボン酸、5−メチル−2−フランカルボン酸、2,5−ジメチル−3−フランカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、4−ブタノリド−3−カルボン酸、3−ヒドロキシ−4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、2−ピロン−6−カルボン酸、4−ピロン−2−カルボン酸、5−ヒドロキシ−4−ピロン−5−カルボン酸、4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、3−ヒドロキシ−4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、チオフェンカルボン酸、2−ピロールカルボン酸、2,3−ジメチルピロール−4−カルボン酸、2,4,5−トリメチルピロール−3−プロピオン酸、3−ヒドロキシ−2−インドールカルボン酸、2,5−ジオキソ−4−メチル−3−ピロリン−3−プロピオン酸、2−ピロリジンカルボン酸、4−ヒドロキシプロリン、1−メチルピロリジン−2−カルボン酸、5−カルボキシ−1−メチルピロリジン−2−酢酸、2−ピリジンカルボン酸、3−ピリジンカルボン酸、4−ピリジンカルボン酸、ピリジンジカルボン酸、ピリジントリカルボン酸、ピリジンペンタカルボン酸、1,2,5,6−テトラヒドロ−1−メチルニコチン酸、2−キノリンカルボン酸、4−キノリンカルボン酸、2−フェニル−4−キノリンカルボン酸、4−ヒドロキシ−2−キノリンカルボン酸、6−メトキシ−4−キノリンカルボン酸等の化合物が挙げられる。
有機酸としては、好ましくは、クエン酸、グリシン、グルタミン酸、コハク酸、酒石酸、フタル酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩である。より好ましくは、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩である。さらに好ましくは、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、フランカルボン酸、クマリン酸、若しくは、これらの化合物誘導体、又は、これらの塩である。
有機アミン化合物としては、1級、2級、3級及び4級アミン及びそれらの塩のいずれであっても構わない。具体例としては、テトラアルキルアンモニウム、アルキルアミン、ベンザルコニウム、アルキルピリジウム、イミダゾリウム、ポリアミン、及び、それらの誘導体、又は、塩等が挙げられる。具体的には、アミルアミン、ブチルアミン、プロパノールアミン、プロピルアミン、エタノールアミン、エチルエタノールアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチルメチルアミン、エチルベンジルアミン、エチレンジアミン、オクチルアミン、オレイルアミン、シクロオクチルアミン、シクロブチルアミン、シクロプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジ2−エチルヘキシルアミン、ジエチレントリアミン、ジフェニルアミン、ジブチルアミン、ジプロピルアミン、ジヘキシルアミン、ジペンチルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルエチレンジアミン、ジメチルオクチルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、ジメチル−1,3−プロパンジアミン、ジメチルヘキシルアミン、アミノ−ブタノール、アミノ−プロパノール、アミノ−プロパンジオール、N−アセチルアミノエタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)−エタノール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチルアミン、セチルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリイソペンチルアミン、トリエタノールアミン、トリオクチルアミン、トリチルアミン、ビス(2−アミノエチル)1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、ビス(トリメチルシリル)アミン、ブチルアミン、ブチルイソプロピルアミン、プロパンジアミン、プロピルジアミン、ヘキシルアミン、ペンチルアミン、2−メチル−シクロヘキシルアミン、メチル−プロピルアミン、メチルベンジルアミン、モノエタノールアミン、ラウリルアミン、ノニルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレシジアミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムク口ライド、ステアラミドメチルビリジウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、ジアリルアミン重合体、モノアリルアミン重合体等が挙げられる。
より好ましくは、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、エタノールアミン、プロパンジアミン、プロピルアミンなどが使用される。
これら凝集剤の中でも、多価金属塩(Ca(NO3)、Mg(NO3)、Al(OH3)、ポリ塩化アルミニウム等)が好適に用いられる。
凝集剤は単独で使用しても、或いは2種類以上を混合して使用しても構わない。また、凝集剤の含有量としては、0.01質量%以上30質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.1質量%以上15質量%以下であり、更に好ましくは、1質量%以上15質量%以下である。
更に、熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酸化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアクリル酸誘導体、ポリアクリル酸アミド、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、セルロース系樹脂、ポリアクリルニトリル、ポリイミド、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、チオコール、ポリスルフォン、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルピロリドン、アクリルアミド、メタクリルアミドなどの親水性モノマーの単独重合体及び共重合体;スチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどのモノマーとの共重合体;水溶性ポリエステル、ポリビニールアルコール、ヒドロキシエチルセルロースなど;その他これらの樹脂の共重合体物等を含んでも良い。
本発明のインク受容性粒子には、離型剤が含まれていることがよい。これにより、インク受容性粒子の記録媒体への定着をオイルレスで行うことが可能となる。離型剤は、上記吸液性樹脂に含ませてもよいし、吸液性樹脂の微粒子と共に離型剤の微粒子を複合化して含ませてもよい。
このような離型剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;及びそれらの変性物などが挙げられる。これらの中でも結晶性化合物を適用することがよい。
本発明のインク受容性粒子には、外添剤を外添してもよい。外添剤を外添することで、インク受容性粒子の粉体流動性付与、帯電性・導電性制御、吸液性制御、等が行える。外添剤としては、無機微粒子(無色、淡色或いは白色の粒子、例えば、コロイダル・シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化セリウム、カーボンブラック等)、樹脂微粒子(ビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーン、等の粒子)が挙げられる。また、これら外添剤としての粒子は、疎水性、親水性のいずれでもよく、カップリング剤(例えばシランカップリング剤等)で表面処理して表面に特定の官能基(例えばアミノ基、フッ素系等)を導入していてもよい。また、外添剤としての粒径は、体積平均粒径で、5nm〜100nm、好ましくは10〜50nmであることがよい。
上記のようインク受容性粒子16は、インク滴20Aを吸収/保持可能な多孔質粒子16Fと、弱インク吸収性と定着性を備えた樹脂粒子16Eとを、弱凝集させた2次粒子であり、多孔質粒子及び樹脂粒子間の空隙16Gをもつ。
インク受容性粒子16による粒子層16Aを形成する方法が、インク受容性粒子16を帯電させて電界により記録媒体や中間転写体に供給する方式、すなわち電子写真方式(ゼログラフィ方式)の場合、インク受容性粒子16には帯電性が必要となる。このためトナーの帯電制御剤をインク受容性粒子16に内添するようにしてもよい。また、インク中の色材(特に顔料)を多孔質粒子及び樹脂粒子16E(1次粒子)表面に固定(トラップ)する為に、インク中の顔料及び水溶性高分子と反応し、顔料及び水溶性高分子を不溶性とする事が望ましい。
さらにインク受容性粒子16は記録媒体8にインク画像を定着する機能を有する。定着を発揮させる為には定着装置22による圧力、熱、または圧力及び熱による転写定着処理を行う。加えてインク受容性粒子16は画像形成後のインクの発色性を得る為、少なくとも定着後には透明となることが望ましい。
つぎに、インクについての詳細を説明する。なお、下記インクは一例であり、その他のインクも使用できる。
<インク>
(インクA):自己分散型Bkインク
―組成―
・Cabojet−300(キャボット社製):4質量%
・スチレン−アクリル酸−アクリル酸ナトリウム共重合体:1質量%
・ジエチレングリコール:20質量%
・グリセリン:5質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物:0.5質量%
・イオン交換水:残部
この液体のpHは8.5、体積平均粒子径は93nm、表面張力は31mN/m、粘度は3.3mPa・sであった。
(インクB):分散剤型Bkインク
―組成―
・Mogul L(キャボット社製)(顔料/表面官能基無し):4質量
・スチレン−アクリル酸−アクリル酸ナトリウム共重合:0.6質量%
・ジエチレングリコール:15質量%
・ジグリセリンエチレンオキサイド付加物:5質量%
・ポリオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル:0.75質量%
・イオン交換水:残部
この液体のpHは8.2、体積平均粒子径は120nm、表面張力は32mN/m、粘度は3.3mPa・sであった。
(インクC):自己分散型シアンインク
―組成―
・C.I.Pigment Blue 15:3:4質量%
・スチレン−アクリル酸−アクリル酸ナトリウム共重合体:0.6質量%
・ジエチレングリコール:20質量%
・グリセリン:5質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物:1質量%
・イオン交換水:残部
この液体のpHは8.8、体積平均粒子径は92nm、表面張力は31mN/m、粘度は3.1mPa・sであった。
(インクD):自己分散型マゼンタインク
―組成―
・C.I.Pigment Red 122:4質量%
・スチレン−アクリル酸−アクリル酸ナトリウム共重合体:0.75質量%
・ジエチレングリコール:20質量%
・グリセリン:5質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物:1質量%
・イオン交換水:残部
この液体のpHは8.6、体積平均粒子径は106nm、表面張力は31mN/m、粘度は3.2mPa・sであった。
(インクE):自己分散型イエローインク
―組成―
・C.I.Pigment Yellow 128:4質量%
・スチレン−アクリル酸−アクリル酸ナトリウム共重合体:0.6質量%
・ジエチレングリコール:20質量%
・グリセリン:5質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物:1質量%
・イオン交換水:残部
この液体のpHは8.7、体積平均粒子径は115nm、表面張力は31mN/m、粘度は3.2mPa・sであった。