JP4729856B2 - 粉体の誘電体の比誘電率の測定方法 - Google Patents
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Description
本発明の好ましい実施態様においては、粉体の比誘電率の算出が、対数混合則またはリヒトネッカーロータの式を用いて行われる。
前記共振器には、少なくとも1つの被測定誘電体を挿入する開口部が形成され、該開口部の外側にサポータが形成された空洞共振器において、前記開口部の長さdとサポータの長さhとの関係、h/dが0.5以上であることを特徴とすることによって、共振器の開口部からの電磁波の漏洩を防止して、カットオフ構造にすることが可能
となり、共振器の共振周波数や無負荷Q値を安定に測定することができる。
前記空洞共振器には、少なくとも1つの被測定誘電体を挿入する開口部が形成され、該開口部の外側にサポータが形成された空洞共振器において、
前記開口部の長さdとサポータの長さhとの関係、h/dが0.5以上であることを特徴とすることによって、共振器の開口部からの電磁波の漏洩を防止して、カットオフ構造にすることが可能となり、共振器の共振周波数や無負荷Q値を安定に測定することができる。
また、第2の測定方法では、求める粉体の比誘電率の値と近い比誘電率の値を有する液状媒質を選ぶことにより、粉体の比誘電率を外挿により求める場合の測定精度の劣化を防ぐことができる粉体の比誘電率の測定方法を提供することが可能になる。さらに、粉体の比誘電率の算出を、対数混合則またはリヒトネッカーロータの式を用いて行うことにより、粉体の比誘電率の測定精度の向上を図ることができる。
また、本発明で使用する粉体の比誘電率の測定に使用する空洞共振器の軸方向中央部には少なくとも、1つの被測定誘電体を挿入する開口部が形成されると共に、該開口部の外側には、サポータが形成される空洞共振器は、前記開口部の長さdとサポータの長さhとの関係、h/dが0.5以上にすることによって最適なサポータの長さを得られる。
なお、前記空洞共振器は、粉体に限らず、測定試料が誘電体であれば適用できる。
また、前記空洞共振器内に棒状に加工した誘電体を挿入して、当該空洞共振器の共振周波数や無負荷Q値を測定し、その測定結果から挿入した棒状誘電体の比誘電率又は誘電正接を測定する誘電体の測定装置が実現できる。
また、前記空洞共振器内に棒状に加工した誘電体を挿入して目的とする共振特性を実現する共振器又はフィルタが実現できる。
先ず、粉体の比誘電率の測定方法の内の第1の測定方法について以下に説明する。
液状媒質の比誘電率の測定は、空洞共振器法、Sパラメータ法及び容量法等の公知の液状媒質の比誘電率の測定方法を用いて行われる。
次に、チューブ12内に混合体18が充填されたところで注射器14bがチューブ12に挿入される。
なお、粉体と液状媒質を混合した際に、液状媒質中の粉体の分散を促すために分散剤を液状媒質の中に混ぜることが好ましい。
チューブ12の中で混合体18を流動させることにより、液状媒質中で粉体が均一に拡散するので、粉体の比誘電率の測定精度の向上を図ることができる。
ネットワークアナライザ6では、空洞共振器10からネットワークアナライザ6へ出力された電磁波より空洞共振器10の共振周波数が測定される。測定結果として共振周波数が、ネットワークアナライザ6から演算処理装置8へ出力される。
さらに、演算処理装置8により混合体18の比誘電率が算出される。
具体的には、図5に示されるように、補間範囲外の混合体18の比誘電率を、補間範囲内の混合体18の比誘電率から推定して求める、すなわち、複数の混合体18の測定点から外挿(補外)して求めた混合体18の比誘電率の曲線と補助線との交点から粉体の比誘電率を求めることとなる。
この粉体の比誘電率の測定では、まず、イオン交換水などの液状媒質が用意される。
そして、液状媒質に測定対象である粉体を混合した混合体18が注射器14a及び注射器14bに入れられる。
さらに、注射器14aがチューブ12に挿入され、注射器14aからチューブ12内に混合体18が注入される。
次に、チューブ12内に混合体18が充填されたところで注射器14bがチューブ12に挿入される。
なお、粉体と液状媒質を混合した際に、液状媒質中の粉体の分散を促すために分散剤を液状媒質に混ぜることが好ましい。
チューブ12の中で混合体18を流動させることにより、液状媒質中で粉体が均一に拡散するので、粉体の比誘電率の測定精度の向上を図ることができる。
ネットワークアナライザ6では、空洞共振器10からネットワークアナライザ6へ出力された電磁波より空洞共振器10のTM010モードの共振周波数が測定される。測定結果として共振周波数が、ネットワークアナライザ6から演算処理装置8へ出力される。さらに、演算処理装置8により混合体18の比誘電率が算出される。
なお、ここまでの処理手順は、上記第1の測定方法と同様である。
したがって、粉体の体積比率が1.0のときの比誘電率の値は、粉体の比誘電率に対応し、図6に示された曲線から、粉体の体積比率が1.0のときの比誘電率の値を読み取って、粉体の比誘電率が求められる。
の比誘電率を推定して、粉体の体積比率に対する混合体18の比誘電率を求める、すなわち、複数の混合体18の測定点を外挿して混合体18の比誘電率を求めることにより作成されている。
したがって、粉体の体積比率が0.0のときの比誘電率の値が、液状媒質の比誘電率となる。
このために、液状媒質の比誘電率が、粉体の比誘電率よりも非常に低い場合または高い場合は、曲線の傾きの変化が急激になり、外挿により求めた粉体の比誘電率の測定精度が悪くなるおそれがある。
求める粉体の比誘電率の値と近い比誘電率の値を有する液状媒質を選ぶための基準としては、求める粉体の磁器組成物の比誘電率の値が用いられる。
この粉体の磁器組成物の比誘電率に対して、0.5倍から2.0倍の比誘電率を有する液状媒質を選ぶことにより、粉体の比誘電率の測定精度を向上させることができる。
εr:粉体の比誘電率
εr1:液状媒質の比誘電率
εr2:混合体18の比誘電率
v1:液状媒質の体積比率
v2:粉体の体積比率
k :フィッティングパラメータ(−1≦k≦1)
である。
図7は、ポンプを用いた流動装置38Aを示す模式図である。
電磁波の入力に応答して、プローブ32からケーブル34を介して、ネットワークアナライザ6へ電磁波が出力される。
ネットワークアナライザ6では、プローブ32からネットワークアナライザ6へ出力された電磁波よりプローブ32の端面と混合体18の間の反射係数が測定される。ネットワークアナライザ6から測定結果として反射係数が演算処理装置8に出力され、演算処理装置8において混合体18の比誘電率が算出される。
ここで、容器36内には、混合体18を流動させるために超音波発生装置(図示せず)から超音波が入力されることが好ましい。
最初に第1の測定方法に関する実施例の説明をする。
チューブ12内に注入された混合体18は、注射器14a及び注射器14bのピストンを動かすことによってチューブ12内を流動される。
ここで、空洞共振器10として、直径が80mm、高さが10mmの空洞共振器を用い、チューブ12として、内径が1mm、外径が3mmのテトラフルオロエチレンで形成されたチューブを用いた。
電磁波の入力に応答して、空洞共振器10から電磁波をループアンテナ22bを介して、ネットワークアナライザ6へ出力した。ネットワークアナライザ6により、空洞共振器10からネットワークアナライザ6へ出力された電磁波より空洞共振器10のTM010モードの共振周波数を測定した。共振周波数は2.86GHzであった。測定結果として共振周波数が、ネットワークアナライザ6から演算処理装置8へ出力され、演算処理装置8で混合体18の比誘電率を算出した。
これらは、すべてBa(NdBi)2TiO4である。試料Aは仮焼粉を砕いたもの、試料Bは球状粉、試料Cは球状粉、試料Dは試料Cを砕いたものである。
試料の液状媒質としては、イオン交換水、アルコール及び0.3重量%の分散剤を混合したものを用意した。
なお、混合体18中における試料Aの体積比率は0.2、試料Bの体積比率は0.2、試料Cの体積比率は0.4、試料Dの体積比率は0.4である。
実施例2では、液状媒質の比誘電率を66〜77まで変化させて、試料A、試料B、試料C及び試料D各々の混合体18の比誘電率を算出した。
び試料Dの4種類の粉体状の誘電体を試料として用意した。
試料の液状媒質としては、イオン交換水にBaTiO3の粉体及び分散剤を混合したものを用意した。
なお、混合体18中における試料Aの体積比率は0.2、試料Bの体積比率は0.2、試料Cの体積比率は0.4、試料Dの体積比率は0.4である。
実施例3では、液状媒質の比誘電率を74〜96まで変化させて、試料A、試料B、試料C及び試料D各々の混合体18の比誘電率を算出した。
これらは、すべてB
a(NdBi)2TiO4である。試料Aは仮焼したものを砕いたもの、試料Bは球状粉であり、試料Cは試料Bを砕いたものである。
ここで、試料の磁器組成物の比誘電率が93であり、液状媒質の比誘電率は74であることから、粉体の磁器組成物の比誘電率に対する液状媒質の比誘電率は、0.80倍の関係にある。
チューブ12内に注入された混合体18は、注射器14a及び注射器14bを構成するピストンを動かすことによってチューブ12内を流動される。
ここで、空洞共振器10として、直径が80mm、高さが10mmの空洞共振器を用い、チューブ12として、内径が1mm、外径が3mmのテトラフルオロエチレンで形成されたチューブを用いた。
電磁波の入力に応答して、空洞共振器10からの電磁波をループアンテナ22bを介して、ネットワークアナライザ6へ出力した。
ネットワークアナライザ6により、空洞共振器10からネットワークアナライザ6へ出力された電磁波より空洞共振器10のTM010モードの共振周波数を測定した。共振周波
数は2.86GHzであった。測定結果として共振周波数が、ネットワークアナライザ6から演算処理装置8へ出力され、演算処理装置8で混合体18の比誘電率を算出した。
また、図13では、横軸は、粉体の体積比率、縦軸は、混合体18の比誘電率を示している。
また、図14では、横軸は、粉体の体積比率、縦軸は、混合体18の比誘電率を示している。
また、図14において、粉体の体積比率が1.0のときの比誘電率の値を読み取り、試料Aの比誘電率を求めた。
液状媒質としては、84.10重量%のイオン交換水に15.65重量%のBaTiO3の粉体及び0.25重量%の分散剤を混合したものを用意した。
媒質に測定対象である試料を混合した混合体18を作製し、測定装置として図1に示された測定装置2を用いて、混合体18の比誘電率を算出した。
ここで、試料の磁器組成物の比誘電率が93であり、液状媒質の比誘電率は、80.1であることから、粉体の磁器組成物の比誘電率に対する液状媒質の比誘電率は、0.86倍の関係にある。
図15では、横軸は、粉体の体積比率、縦軸は、混合体18の比誘電率を示している。
図16では、横軸は、粉体の体積比率、縦軸は、混合体18の比誘電率を示している。
また、図16において、粉体の体積比率が1.0のときの比誘電率の値を読み取り、試料の比誘電率を求めた。
イオン交換水にメタノールを混合する量を変化させて、比誘電率が液状媒質A(10.23)、液状媒質B(14.08)、液状媒質C(18.26)、液状媒質D(22.88)、液状媒質E(41.69)の5種類の液状媒質を作製した。
図17では、横軸は、粉体の体積比率、縦軸は、混合体18の比誘電率を示している。
図18では、横軸は、粉体の体積比率、縦軸は、混合体18の比誘電率を示している。
また、図18において、粉体の体積比率が1.0のときの比誘電率の値を読み取り、試料の比誘電率を求めた。
試料の磁器組成物に対する液状媒質の比誘電率は、液状媒質A(0.93倍)、液状媒質B(1.28倍)、液状媒質C(1.66倍)であるから、試料の磁器組成物に対する液状媒質の比誘電率が0.93倍から1.66倍の範囲においては粉体の粉体の比誘電率を高い精度で求めることが可能である。
空洞共振器が円筒の場合の、電界分布について、図20を用いて説明する。
図20(a)は、理想的な円筒空洞共振器におけるTM010モードの電界分布であって、矢印で示す電界は円筒の中心部分に集中している。
そして、当該共振器の電界最大点に被測定対象である誘電体が配置される。
しかし、実際には、密閉された共振器では被測定対象の誘電体の取り出しが不可能であるので、図19(b)に示すように、共振器の中央の一方に開口部を設けた構造とすることで、被測定対象の誘電体の取り出しを可能にする。
この電磁波の漏洩によって、共振周波数や無負荷Q値の測定が不安定になり、誘電率や誘電正接の測定に影響を及ぼすという問題があった。
図19(c)は、共振器の中央の一方に開口部を設けた場合(図19(c))の開口部の外側にサポータを設けた例であり、図19(d)は、共振器の中央の両方に開口部を設けた場合の両方の開口部の外側にサポータを設けた例である。
サポータ部分の遮断周波数の関係(TM010モード)を図21に示す。
図21から開口部の長さが短いほど、遮断周波数が高くなることが分かる。
共振器の共振周波数とサポータ部分の遮断周波数の差が大きいほど、カットオフ特性は優れるため、共振器からの電磁波の漏洩は抑制される。
電磁波の漏洩は開口部の長さが短いほど小さくなる。
開口部の長さは、開口部が円形である場合には図20(d)に示す如く直径とし、円形以外の開口部の場合は開口部分の最も長い部分を開口部の長さとする。
このような機構によって、電磁波の漏洩を防止して、カットオフ構造にすることが可能
となり、共振器の共振周波数や無負荷Q値を安定に測定することができる。
また、サポータの長さが長いほど良好なカットオフが得られることが容易に予想されるが、実際にはカットオフを得るための最適なサポータの長さを得ることは難しく、不必要に長いサポータを用いている場合もあった。
図22は、円筒共振器のサポータの最適値を求めるシミュレーションを実行するための共振器形状の条件を示す図である。
ここでは、共振器の各部の形状、及び誘電体の誘電率を図示の如く設定して共振周波数をシミュレーションする。
図23のグラフから、サポータの長さの変化に対して、hが約1.5mm以上の範囲で共振周波数が一定になるカットオフ構造が得られていることが分かる。
図24の(a)は、誘電体の比誘電率をε=1,ε=100,ε=500の場合のサポータの長さと共振周波数の関係の生データのグラフを示し、図24の(b)はそれを規格化したグラフである。
この図24の(b)から、h/dが0.5以上であれば、カットオフ構造が得られることがわかる。
図25の(a)は、共振器の高さH=12.5mm,H=25mm,H=50mm,H=100mm,H=140mmの場合のサポータの長さと共振周波数の関係の生データのグラフを示し、図24の(b)はそれを規格化したグラフである。
この図25の(b)からも、h/dが0.5以上であれば、カットオフ構造が得られることがわかる。
図26の(a)は、挿入穴の直径d=1mm,d=3mm,d=5mmの場合のサポータの長さと共振周波数の関係の生データのグラフを示し、図24の(b)はそれを規格化したグラフである。
この図26の(b)からも、h/dが0.5以上であれば、カットオフ構造が得られることがわかる。
なお、上述のシミュレーションは、図22の共振器について行っているが、共振器の形状及び開口部の形状を変化させた場合にも、上記のシミュレーション結果がほぼ適用できる。
なお、本発明の空洞共振器は、粉体に限らず、測定試料が誘電体であれば適用できる。
また、方形導波管に電磁波を入力して、応答した電磁波の透過係数及び反射係数を測定し、混合体の比誘電率を求めてもよい。
モードを用いているが、TM010モード以外のTM0m0モード(m=2,3,4・・・)を共振モードとして用いることもできる。
この場合には、上記サポータを設けた空洞共振器の中心軸上の電界集中部分に、棒状に加工した誘電体を挿入することで目的とする共振特性が実現できる。
4 誘電体封入装置
6 ネットワークアナライザ
8 演算処理装置
10 空洞共振器
12 チューブ
14a、14b 注射器
16a、16b 穴
18 混合体
20a、20b コネクタ
22a、22b ループアンテナ
32 プローブ
34 ケーブル
36 容器
38A、38B 流動装置
40 ポンプ
42 モータ
44 撹拌羽根
Claims (2)
- 共振器本体にチューブを貫通させ、該チューブの中に液体と粉体状の誘電体を含む液状媒質に粉体試料を混合した混合体を封入して流動させる流動装置を備える共振器により、該流動装置に封入した粉体の比誘電率を測定する方法であって、
前記混合体を、前記共振器内に封入し、前記共振器内に電磁波を入力し、前記電磁波の応答に基づいて、前記混合体の比誘電率を算出する方法によって、前記液状媒質の比誘電率を徐々に変化させた各液状媒質に、前記粉体試料の体積比率が同一の体積比率となるように前記粉体試料を混合した各混合体の比誘電率をそれぞれ算出し、
算出された前記各混合体の比誘電率と前記各液状媒質の比誘電率との関係に基づき、前記液状媒質の比誘電率と前記混合体の比誘電率とが等しいときの前記混合体の比誘電率または前記液状媒質の比誘電率を前記粉体試料の比誘電率として算出することを特徴とする粉体の比誘電率の測定方法。 - 前記液状媒質が、前記液体と前記粉体状の誘電体のほかに分散剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の粉体の比誘電率の測定方法。
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