JP4727782B2 - 液体紙容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体紙容器に関し、更に詳しくは、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、更に、ピンホ−ルの発生を皆無とし、シ−ル不良、液漏れ等を回避し、内容物の変質等を防止すると共に保存性、貯蔵性等に優れた液体紙容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、酒、ジュ−ス、ミネラルウオ−タ−、液体調味料、その他等の液体飲食物を充填包装するために、種々の形態からなる液体紙容器が、開発され、提案されている。
而して、近年、バリア性素材として、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム、あるいは、2軸延伸ナイロンフィルム等の基材フィルムの一方の面に、酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた透明バリア性フィルムが注目され、これをバリア性素材として使用した液体紙容器が提案されている。
すなわち、少なくとも、ポリオレフィン系樹脂層(ヒ−トシ−ル性樹脂層)/紙基材/接着性樹脂層/無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルム/ポリオレフィン系樹脂層(ヒ−トシ−ル性樹脂層)の順で積層して積層材を製造し、次いで、該積層材を使用し、まず、該積層材に折り罫等を施すと共に所望の形状にブランク板を打ち抜き加工し、次に、内容物の浸透、液漏れ等を防止するために、その端面に、例えば、スカイブ・ヘミング処理等を施して端面処理を行い、しかる後、シ−ル部にフレ−ム処理、あるいは、ホットエア−処理等を行いフレ−ムシ−ル、あるいは、ホットエア−シ−ル等により胴貼りを行って、筒状のスリ−ブを製造する。
次に、上記で製造した筒状のスリ−ブを、内容物を充填するメ−カ−等に納入し、該筒状のスリ−ブを内容物充填機に供給し、次いで、内容物の充填に先立って、まず、筒状のスリ−ブのボトムの内面をホットエア−により炙り、プレスシ−ルを行って底部を製造し、しかる後、内容物を充填した後、トップの内面をホットエア−で炙り、プレスシ−ルを行ってトップ部を形成して、内容物を充填包装した密閉液体紙容器を製造するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような液体紙容器の製造において、底部あるいはトップ部を形成するために行う筒状のスリ−ブのトップあるいはボトムの内面に吹きつけるホットエア−の温度としては、上記のようにバリア性素材として、無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムを使用した液体紙容器の場合には、充填機等の種類にもよるが、通常、310℃〜370℃位の加熱温度シ−ルを行うものであるが、そのようなシ−ル温度を越えた条件でヒ−トシ−ルすると、紙容器を構成する積層材の内面において、炙りピンホ−ルが、極めて容易に発生するという問題点があり、その温度コントロ−ルが極めて困難なものであるという問題点がある。
而して、上記のように熱ピンホ−ルが発生すると、シ−ル不良、液漏れ等を発生し、これに伴い内容物の変質と共に保存性、貯蔵性等の安定性に欠けるという問題点があり、場合によっては、その商品価値を著しく低下し、廃棄しなければならないという問題点がある。
ところで、一般的に、紙容器において発生するピンホ−ルとしては、積層材を使用し、該積層材に折り罫等を施すと共に所望の形状にブランク板を打ち抜き加工する際に発生する罫バリピンホ−ル、あるいは、内容物を充填するときに、筒状のスリ−ブのトップおよびボトムをホットエア−により炙る際に発生する炙りピンホ−ル等が知られている。
而して、上記の炙りピンホ−ルについてその発生の過程等を含めて以下に更に詳しく説明する。
前述のように、製函に際し、まず、紙容器のトップ部あるいは底部を形成するために、筒状のスリ−ブのトップあるいはボトムの内面に、加熱チャンバ−の吹き出し口からホットエア−を吹きつける。
ところで、上記で筒状のスリ−ブのトップあるいはボトムの内面に吹きつけたホットエア−は、その内面にあるポリオレフィン系樹脂層(ヒ−トシ−ル性樹脂層)を構成するポリオレフィン系樹脂(ヒ−トシ−ル性樹脂)を溶融するが、更に、ホットエア−による熱は、紙基材まで到達し、該紙基材を加熱し、而して、紙基材が加熱されると、紙基材中に含まれている水分が、加熱され、これが蒸気となって積層材の内外面側に抜けようとし、これにより、紙基材の内外面に積層されている樹脂フィルムを押し上げて、膨らむという発泡化現象を示す。
更に、ホットエア−による熱が加わると、紙基材に積層されている内面側の樹脂フィルムは、水分の蒸発による蒸気圧に耐えられなくなり、その膨らんだ樹脂フィルムが破れることになり、これにより炙りピンホ−ルが発生するものであると考えられている。
例えば、外面側から、低密度ポリエチレン樹脂層、紙基材、接着性ポリエチレン樹脂層、無機酸化物の蒸着膜を設けた2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム、低密度ポリエチレンフィルム等を順次に積層した構成からなる積層材を使用し、これを製函して製造した液体紙容器において、上記の炙りピンホ−ルの発生過程を観察すると、上記と同様に、まず、初期において、接着性ポリエチレン樹脂層において、これが膨れて発泡化現象を発生し、その膨れにつられるように無機酸化物の蒸着膜を設けた2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム、更に、低密度ポリエチレンフィルムが膨らんで発泡化し、次いで、最終的に、上記の膨らんで発泡化した気泡が破裂して炙りピンホ−ルが発生することを確認することができるものである。
そこで本発明は、上記のような炙りピンホ−ル等の発生を皆無とし、かつ、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、ピンホ−ルの発生に伴いシ−ル不良、液漏れ等を回避し、内容物の変質等を防止すると共に保存性、貯蔵性等に優れた液体紙容器を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような液体紙容器における炙りピンホ−ルの発生を防止すべく種々研究の結果、少なくとも、紙基材とバリア性層とヒ−トシ−ル性樹脂層とからなる積層材であり、更に、上記のバリア性層が、その一方の面に無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムからなり、前記紙基材と前記バリア性層との層間に、前記バリア性層の前記蒸着膜と前記紙基材の面を対向させて、30〜100μmの接着性樹脂層を設けた構成からなる積層材を製造し、これを使用して、まず、該積層材に折り罫等を施すと共に所望の形状にブランク板を打ち抜き加工し、次に、内容物の浸透、液漏れ等を防止するために、その端面に、例えば、スカイブ・ヘミング処理等を施して端面処理を行い、しかる後、シ−ル部にフレ−ム処理、あるいは、ホットエア−処理等を行いフレ−ムシ−ル、あるいは、ホットエア−シ−ル等により胴貼りを行って筒状のスリ−ブを製造し、次いで、上記で製造した筒状のスリ−ブを、内容物充填機に供給し、次に、内容物の充填に先立って、まず、筒状のスリ−ブのボトムの内面をホットエア−により炙り、プレスシ−ルを行って底部を製造し、次いで、内容物を充填した後、トップの内面をホットエア−で炙り、プレスシ−ルを行ってトップ部を形成して内容物を充填包装した密閉液体紙容器を製造したところ、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、更に、炙りピンホ−ルの発生を皆無とし、シ−ル不良、液漏れ等を回避し、内容物の変質等を防止すると共に保存性、貯蔵性等に優れた液体紙容器を製造し得ることを見出して本発明を完成したものである。
【0005】
すなわち、 少なくとも、紙基材とバリア性層とヒートシール性樹脂層を順次積層した積層材を製函してなる液体紙容器であり、前記バリア性層が、その一方の面に無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムからなり、前記紙基材と前記バリア性層との層間に、前記バリア性層の前記蒸着膜と前記紙基材の面を対向させて、
低密度ポリエチレンを溶融押し出ししてなる樹脂層からなる30〜100μmの接着性樹脂層を設け、前記ヒートシール性樹脂層が低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、または低密度ポリエチレンとエチレンーα・オレフィン共重合体の多層共押し出し積層してなるものからなることを特徴とする液体紙容器である。
また、少なくとも、紙基材とバリア性層とヒートシール性樹脂層を順次積層した積層材を製函してなる液体紙容器であり、前記バリア性層が、その一方の面に無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムからなり、前記紙基材と前記バリア性層との層間に、前記バリア性層の前記蒸着膜と前記紙基材の面を対向させて、
低密度ポリエチレンとエチレンーメタクリル酸共重合体を溶融共押し出ししてなる多層樹脂層からなる30〜100μmの接着性樹脂層を設け、前記ヒートシール性樹脂層が低密度ポリエチレンからなることを特徴とする液体紙容器である。
【0006】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について以下に図面等を用いて更に詳しく説明する。
まず、本発明にかかる液体紙容器を構成する積層材等の構成についてその一二例を例示して図面を用いて説明すると、図1および図2は、本発明にかかる液体紙容器を構成する積層材についてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
次に、本発明にかかる液体紙容器の構成についてその一例を例示して図面を用いて説明すると、図3、図4、図5、および、図6は、上記の図1に示す積層材を使用し、本発明にかかる液体紙容器の製函についてその製函工程の構成を示す各製函工程における液体紙容器の構成を示す概略的斜視図である。
【0007】
本発明にかかる液体紙容器を構成する積層材Aは、図1に示すように、少なくとも、紙基材1とバリア性層2とヒ−トシ−ル性樹脂層3とからなり、更に、上記のバリア性層1が、その一方の面に無機酸化物の蒸着膜4を設けた基材フィルム5からなり、また、上記の紙基材1とその一方の面に無機酸化物の蒸着膜4を設けた基材フィルム5からなるバリア性層2との層間に、30〜100μmの接着性樹脂層6を設けた構成からなることを基本構造とするものである。
更に、本発明にかかる液体紙容器を構成する積層材について別の例を例示すると、図2に示すように、上記の図1に示す積層材Aにおいて、該積層材Aを構成する紙基材1の他方の面に、更に、ヒ−トシ−ル性樹脂層3aを設けた構成からなる積層材A1 を例示することができる。
なお、上記の図2において、符号2、3、4、5、6等は、前述の図1に示す符号と同じ意味を表す。
【0008】
上記の例示は、本発明にかかる液体紙容器を構成する積層材についてその一二例を例示したものであり、これによって本発明は限定されるものではない。例えば、本発明においては、図示しないが、上記の基材フィルムの一方の面に設ける金属化合物の蒸着膜としては、金属化合物の蒸着膜の一層からなる単層膜のみならず同種あるいは異種の金属化合物の蒸着膜の2層以上からなる多層膜あるいは複合膜等でもよく、更にまた、本発明にかかる液体紙容器の包装目的、充填包装する内容物、その使用目的、用途等によって、更に、他の基材を任意に積層して、種々の形態からなる積層材を設計して製造することができるものである。
【0009】
次に、本発明において、本発明にかかる液体紙容器の構成についてその一例を例示して説明すると、上記の図1に示す積層材Aを使用した例の場合で説明すると、図3に示すように、まず、上記の図1に示す積層材Aを使用し、該積層材Aに、所望の液体紙容器の形状に合わせて、縦あるいは横または斜め等に折り罫11を刻設すると共に打ち抜き加工して、糊代部12等を有するブランク板Bを製造する。
次に、図4に示すように、常法により、上記で製造したブランク板Bの端面に、内容物の浸透、液漏れ等を防止するために、例えば、スカイブ・ヘミング処理等を施して端面処理を行った後、糊代部12(図3参照)にフレ−ム処理、あるいは、ホットエア−処理等を行い、該糊代部12のヒ−トシ−ル性樹脂層3(図1、図2参照)を構成するヒ−トシ−ル性樹脂を溶融し、その溶融面に、上記のブランク板Bの他方の端部13(図3参照)を重ね合わせてフレ−ムシ−ル、あるいは、ホットエア−シ−ル等により胴貼りシ−ル部14を形成して、筒状のスリ−ブCを製造する。
次に、図5に示すように、上記で製造した筒状のスリ−ブCを、内容物を充填するメ−カ−等に納入し、該筒状のスリ−ブCを内容物充填機(図示せず)に供給し、次いで、内容物の充填に先立って、まず、筒状のスリ−ブCのボトムの内面をホットエア−により炙り、その内面のヒ−トシ−ル性樹脂層を構成するヒ−トシ−ル性樹脂を溶融させて、プレスシ−ルを行って底シ−ル部15を形成して、上方に開口部16を有する包装用容器Dを製造する。
しかる後、図6に示すように、上記の包装用容器Dの開口部16から内容物17を充填した後、トップの内面をホットエア−で炙り、その内面のヒ−トシ−ル性樹脂層を構成するヒ−トシ−ル性樹脂を溶融させて、プレスシ−ルを行って屋根型トップシ−ル部18を形成して、内容物17を充填包装した本発明にかかる密閉液体紙容器Eを製造するものである。
上記の例示は、本発明にかかる液体紙容器についてその一例を例示したものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
例えば、本発明においては、図示しないが、本発明にかかる液体紙容器の形状としては、ブロック型のもの、筒状型のもの、その他等の任意の形状を取り得るものである。
【0010】
次に、本発明において、本発明にかかる液体紙容器等を構成する材料、製造法等について更に詳しく説明すると、まず、本発明にかかる液体紙容器を構成する紙基材としては、これが紙容器を構成する基本素材となることから、賦型性、耐屈曲性、剛性、腰、強度等を有するものを使用することができ、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは、純白ロ−ル紙、クラフト紙、板紙、加工紙、その他等の各種の紙基材を使用することができる。
また、本発明において、上記の紙基材としては、坪量約80〜600g/m2 位のもの、好ましくは、坪量約100〜450g/m2 位のものを使用することができる。
なお、本発明において、上記の紙基材には、例えば、文字、図形、絵柄、記号、その他等の所望の印刷絵柄を通常の印刷方式にて任意に形成することができるものである。
【0011】
次に、本発明において、本発明にかかる液体紙容器等を構成するバリア性層としてのその一方の面に無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムについて説明すると、まず、基材フィルムとしては、これに無機酸化物の蒸着膜を設けることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ、耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
具体的には、本発明において、基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリ−ルフタレ−ト系樹脂、シリコ−ン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエ−テルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタ−ル系樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
なお、本発明においては、特に、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムないしシ−トを使用することが好ましいものである。
【0012】
本発明において、上記の各種の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、例えば、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレ−ション法、その他等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、あるいは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により、各種の樹脂のフィルムないしシ−トを製造し、更に、要すれば、例えば、テンタ−方式、あるいは、チュ−ブラ−方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してなる各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
本発明において、各種の樹脂のフィルムないしシ−トの膜厚としては、6〜100μm位、より好ましくは、9〜50μm位が望ましい。
【0013】
なお、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することがてきる。
【0014】
また、本発明において、上記の各種の樹脂のフィルムないしシ−トの表面には、後述する無機酸化物の蒸着膜との密接着性等を向上させるために、必要に応じて、予め、所望の表面処理層を設けることができるものである。
本発明において、上記の表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロ−放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層、その他等を形成して設けることができる。
上記の表面前処理は、各種の樹脂のフィルムないしシ−トと後述する無機酸化物の蒸着膜との密接着性等を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密接着性を改善する方法として、その他、例えば、各種の樹脂のフィルムないしシ−トの表面に、予め、プライマ−コ−ト剤層、アンダ−コ−ト剤層、アンカ−コ−ト剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカ−コ−ト剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
上記の前処理のコ−ト剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
【0015】
次に、本発明において、本発明にかかる液体紙容器等を構成するバリア性層としての基材フィルムの一方の面に設ける無機酸化物の蒸着膜について説明すると、かかる無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、化学気相成長法、または、物理気相成長法、あるいは、その両者を併用して、無機酸化物の蒸着膜の1層からなる単層膜あるいは2層以上からなる多層膜または複合膜を形成して製造することができるものである。
【0016】
本発明において、上記の化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜について更に説明すると、かかる化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を用いて無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
本発明においては、具体的には、基材フィルムの一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスを原料とし、キャリヤ−ガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することがてき、而して、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
【0017】
具体的に、上記の低温プラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜の形成法についてその一例を例示して説明すると、図7は、上記のプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜の形成法についてその概要を示す低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である。
上記の図7に示すように、本発明においては、プラズマ化学気相成長装置21の真空チャンバ−22内に配置された巻き出しロ−ル23から基材フィルム5を繰り出し、更に、該基材フィルム5を、補助ロ−ル24を介して所定の速度で冷却・電極ドラム25周面上に搬送する。
而して、本発明においては、ガス供給装置26、27および、原料揮発供給装置28等から酸素ガス、不活性ガス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガス、その他等を供給し、それらからなる蒸着用混合ガス組成物を調整しなから原料供給ノズル29を通して真空チャンバ−22内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、そして、上記の冷却・電極ドラム25周面上に搬送された基材フィルム5の上に、グロ−放電プラズマ30によってプラズマを発生させ、これを照射して、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を製膜化する。
本発明においては、その際に、冷却・電極ドラム25は、真空チャンバ−22の外に配置されている電源31から所定の電力が印加されており、また、冷却・電極ドラム25の近傍には、マグネット32を配置してプラズマの発生が促進されている。
次いで、上記で酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成した基材フィルム5は、補助ロ−ル33を介して巻き取りロ−ル34に巻き取って、本発明にかかるプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成することができるものである。
なお、図中、35は、真空ポンプを表す。
【0018】
上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。
図示しないが、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜としては、無機酸化物の蒸着膜の1層だけではなく、2層あるいはそれ以上を積層した多層膜の状態でもよく、また、使用する材料も1種または2種以上の混合物で使用し、また、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
また、本発明においては、上記のような低温プラズマ化学気相成長装置を用いて、まず、第1層の無機酸化物の蒸着膜を形成し、次いで、同様にして、該無機酸化物の蒸着膜の上に、更に、無機酸化物の蒸着膜を形成するか、あるいは、上記のような低温プラズマ化学気相成長装置を用いて、これを2連に連接し、連続的に、無機酸化物の蒸着膜を形成することにより、2層以上の多層膜からなる無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
【0019】
上記において、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスとしては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。
本発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された蒸着膜の特性等から、特に、好ましい原料である。
また、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
【0020】
本発明において、上記で形成される酸化珪素の蒸着膜は、有機珪素化合物等のモノマ−ガスと酸素ガス等とが化学反応し、その反応生成物が耐候性基材層の一方の面に密接着し、緻密な、柔軟性等に富む薄膜を形成することができ、通常、一般式SiOX (ただし、Xは、0〜2の数を表す)で表される酸化珪素を主体とする連続状の蒸着膜である。
而して、上記の酸化珪素の蒸着膜としては、透明性、バリア性等の点から、一般式SiOX (ただし、Xは、1.3〜1.9の数を表す。)で表される酸化珪素の蒸着膜を主体とする薄膜であることが好ましいものである。
上記において、Xの値は、モノマ−ガスと酸素ガスのモル比、プラズマのエネルギ−等により変化するが、一般的に、Xの値が小さくなればガス透過度は小さくなるが、膜自身が黄色性を帯び、透明性が悪くなる。
また、上記の酸化珪素の蒸着膜は、珪素(Si)と酸素(O)を必須構成元素として有し、更に、炭素(C)と水素(H)のいずれが一方、または、その両者の元素を微量構成元素として含有する酸化珪素の蒸着膜からなり、かつ、その膜厚が、50Å〜4000Åの範囲であり、更に、上記の必須構成元素と微量構成元素の構成比率が、膜厚方向において連続的に変化しているものである。
更に、上記の酸化珪素の蒸着膜は、炭素からなる化合物を含有する場合には、その膜厚の深さ方向において炭素の含有量が減少していることを特徴とするものである。
【0021】
而して、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着膜について、例えば、X線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングする等して分析する方法を利用して、酸化珪素の蒸着膜の元素分析を行うことより、上記のような物性を確認することができる。
また、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚としては、膜厚50Å〜4000Å位であることが望ましく、具体的には、その膜厚としては、100〜1000Å位が望ましく、而して、上記において、1000Å、更には、4000Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、100Å、更には、50Å未満であると、バリア性の効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。
上記のおいて、その膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、ファンダメンタルパラメ−タ−法で測定することができる。
また、上記において、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚を変更する手段としては、蒸着膜の体積速度を大きくすること、すなわち、モノマ−ガスと酸素ガス量を多くする方法や蒸着する速度を遅くする方法等によって行うことができる。
【0022】
次に、本発明において、上記の物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜について更に詳しく説明すると、かかる物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、イオンクラスタ−ビ−ム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)を用いて無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
本発明において、具体的には、金属の酸化物を原料とし、これを加熱して蒸気化し、これを基材フィルムの一方の上に蒸着する真空蒸着法、または、原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて基材フィルムの一方の上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着膜を形成することができる。
上記において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビ−ム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
【0023】
本発明において、物理気相成長法による無機酸化物の薄膜膜を形成する方法について、その具体例を挙げると、図8は、巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。
図8に示すように、巻き取り式真空蒸着装置41の真空チャンバ−42の中で、巻き出しロ−ル43から繰り出す基材フィルム5は、ガイドロ−ル44、45を介して、冷却したコ−ティングドラム46に案内される。
而して、上記の冷却したコ−ティングドラム46上に案内された基材フィルム5の上に、るつぼ47で熱せられた蒸着源48、例えば、金属アルミニウム、あるいは、酸化アルミニウム等を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素ガス吹出口49より酸素ガス等を噴出し、これを供給しながら、マスク50、50を介して、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を成膜化し、次いで、上記において、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を形成した基材フィルム5を、ガイドロ−ル45′、44′を介して送り出し、巻き取りロ−ル51に巻き取ることによって、本発明にかかる物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
なお、本発明においては、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、まず、第1層の無機酸化物の蒸着膜を形成し、次いで、同様にして、該無機酸化物の蒸着膜の上に、更に、無機酸化物の蒸着膜を形成するか、あるいは、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、これを2連に連接し、連続的に、無機酸化物の蒸着膜を形成することにより、2層以上の多層膜からなる無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
【0024】
上記において、無機酸化物の蒸着膜としては、基本的に金属の酸化物を蒸着した薄膜であれば使用可能であり、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着膜を使用することができる。
而して、好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物の蒸着膜を挙げることができる。
而して、上記の金属の酸化物の蒸着膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のように金属酸化物として呼ぶことができ、その表記は、例えば、SiOX 、AlOX 、MgOX 等のようにMOX (ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。
また、上記のXの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、スズ(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.5、ホウ素(B)は、0〜1、5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の値をとることができる。
上記において、X=0の場合、完全な金属であり、透明ではなく全く使用することができない、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。
本発明において、一般的に、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)以外は、使用される例に乏しく、ケイ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
本発明において、上記のような無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、使用する金属、または金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜2000Å位、好ましくは、100〜1000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。
また、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜としては、使用する金属、または金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
【0025】
ところで、本発明において、本発明にかかる液体紙容器等を構成する無機酸化物の蒸着膜として、例えば、物理気相成長法と化学気相成長法の両者を併用して異種の無機酸化物の蒸着膜の2層以上からなる複合膜を形成して使用することもできるものである。
而して、上記の異種の無機酸化物の蒸着膜の2層以上からなる複合膜としては、まず、基材フィルムの上に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る無機酸化物の蒸着膜を設け、次いで、該無機酸化物の蒸着膜の上に、物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる無機酸化物の蒸着膜を構成することが望ましいものである。
勿論、本発明においては、上記とは逆くに、基材フィルムの上に、先に、物理気相成長法により、無機酸化物の蒸着膜を設け、次に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る無機酸化物の蒸着膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる無機酸化物の蒸着膜を構成することもできるものである。
【0026】
次にまた、本発明において、本発明にかかる液体紙容器を構成する接着性樹脂について説明すると、かかる接着性樹脂は、紙基材とバリア性層とを密着させるものであり、例えば、熱によって溶融し相互に融着し得る各種の樹脂を使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、エチレン−メタクリル酸共重合体の樹脂を使用することができる。而して、本発明において、上記の接着性樹脂層としては、例えば、押出機等を使用し、紙基材とバリア性層との層間に、上記のような樹脂の1種ないし2種を単層ないし多層に押し出して溶融押し出し樹脂膜等を形成し、その溶融押し出し樹脂層を介して、上記の紙基材とバリア性層とを積層することができるものである。なお、本発明において、上記の接着性樹脂層の膜厚としては、30μm〜100μm位、好ましくは、30μm〜60μm位が望ましいものである。上記において、膜厚が30μm未満であると、炙りピンホールが発生し易い傾向にあることから好ましくなく、また、膜厚が、100μmを超えると、底部およびトップ部の成形性が非常に悪くなることから好ましくないものである。
【0027】
次にまた、本発明において、本発明にかかる液体紙容器等を構成するヒートシール性樹脂としては、例えば、熱によって溶融し相互に融着し得る各種の樹脂を使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体の樹脂を使用することができる。而して、本発明においては、上記のような樹脂の1種ないし2種以上を使用し、これを押出機等を用いて溶融押し出し、例えば、紙基材の他方の面、あるいは、バリア性層の非蒸着面等に溶融押し出し積層することにより、あるいは、上記のような1種ないし2種以上を使用し、予め、これらの樹脂のフィルムないしシートを製造し、その樹脂のフィルムないしシートを、紙基材の他方の面、あるいは、バリア性層の非蒸着面等にラミネート用接着剤層等を介してドライラミネート積層することにより、ヒートシール性樹脂層を形成することができる。なお、本発明において、ヒートシール性樹脂層の厚さとしては、5〜200μm位、好ましくは、10〜100μm位が望ましいものである。
【0028】
なお、本発明において、本発明にかかる液体紙容器を構成する積層材を形成する材料として、例えば、水蒸気、水等のバリア−性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂のフィルムないしシ−ト、あるいは、酸素、水蒸気等に対するバリア−性を有するポリ塩化ビニリデン系樹脂、、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−ビニルアルコ−ル共重合体、MXDポリアミド系樹脂、ポリナフタレンテレフタレ−ト系樹脂等の樹脂のフィルムないしシ−ト、樹脂に顔料等の着色剤を、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシ−ト等を使用することができる。
これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。
上記のフィルムないしシ−トの厚さとしては、任意であるが、通常、5μmないし300μm位、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
【0029】
なお、本発明においては、通常、包装用容器は、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、包装用容器を構成する包装材料には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホ−ル性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求され、このために、本発明においては、上記のような諸条件を充足する材料を任意に選択して使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トから任意に選択して使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。
更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
その他、例えば、セロハン等のフィルム、合成紙等も使用することができる。
【0030】
次に、本発明においては、本発明にかかる液体紙容器を構成する積層材を形成するいずれかの層間に所望の印刷模様層を形成することができるものである。
而して、上記の印刷模様層としては、通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整し、次いで、該インキ組成物を使用し、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリ−ン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他等の印刷方式を使用し、前述のコ−ティング薄膜の上に、文字、図形、記号、模様等からなる所望の印刷模様を印刷して、本発明にかかる印刷模様層を形成することができる。
【0031】
なお、本発明において、上記のような材料を使用して積層材を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料をラミネ−トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ押し出し成形法、共押し出しラミネ−ション法、インフレ−ション法、共押し出しインフレ−ション法、その他等で行うことができる。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、その他等の前処理を任意に施すことができ、また、例えば、イソシアネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ティング剤、あるいは、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知のアンカ−コ−ト剤、ラミネ−ト用接着剤等を任意に使用することができる。
【0032】
次にまた、本発明において、本発明にかかる液体紙容器としては、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベルトップタイプ等の液体用紙容器等を製造することができる。
また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。
【0033】
本発明において、本発明にかかる液体紙容器には、例えば、各種の飲食品、接着剤、粘着剤等の化学品、化粧品、医薬品等の雑貨品、その他等の種々の物品を充填包装することができるものである。
而して、本発明において、本発明にかかる液体紙容器は、特に、例えば、酒、果汁飲料等のジュ−ス、ミネラルウオ−タ−、醤油、ソ−ス、ス−プ等の液体調味料、あるいは、カレ−、シチュ−、ス−プ、その他等の種々の液体飲食物を充填包装する包装用容器として有用なものである。
【0034】
【実施例】
上記の本発明について実施例を挙げて更に具体的に説明する。
実施例1
(1).厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロ−ルに装着し、次いで、下記に示す条件で、上記の二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面に、厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面
導入ガス量;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.0:3.0:3.0(単位:slm)
真空チャンバ−内の真空度;2〜6×10-6mBar
蒸着チャンバ−内の真空度;2〜5×10-3mBar
冷却・電極ドラム供給電力;10kW
ライン速度;100m/min
次に、上記で膜厚200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロ−放電プラズマ発生装置を使用し、パワ−9kw、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-5Torr、処理速度420m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成して透明バリア性フィルムを製造した。
(2).次に、上記の(1)でで製造した透明バリア性フィルムの酸化珪素の蒸着膜のプラズマ処理面に、予め、その一方の面に、厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を設けた坪量400g/m2 の紙基材の紙基材の面を対向させ、その間に、低密度ポリエチレンを使用し、これを溶融押し出ししながら厚さ40μmの低密度ポリエチレン樹脂層を介して、透明バリア性フィルムと紙基材とを溶融押し出し積層した。
(3).更に、上記の(2)で溶融押し出し積層した二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの面に、2液硬化型のウレタン系アンカ−コ−ト剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚0.1g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてアンカ−コ−ト剤層を形成し、次に、該アンカ−コ−ト剤層の面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを溶融押し出ししながら、厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を介して、厚さ40μmの低密度ポリエチレンフィルムを溶融押し出しラミネ−ト積層して、下記の層構成からなる本発明にかかる積層材を製造した。
低密度ポリエチレン樹脂層/紙基材/低密度ポリエチレン樹脂層/酸化珪素の蒸着膜・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム/アンカ−コ−ト剤層/低密度ポリエチレン樹脂層/低密度ポリエチレンフィルム
(4).次いで、上記で製造した積層材を使用し、ゲ−ベルトップ型の液体紙容器の形状に合わせて、縦あるいは横または斜め等に折り罫を刻設すると共に打ち抜き加工して、糊代部を有するブランク板を製造し、次いで、上記で製造したブランク板の端面に、内容物の浸透、液漏れ等を防止するために、スカイブ・ヘミング処理を施して端面処理を行った後、糊代部にフレ−ム処理を行い、該糊代部の低密度ポリエチレン樹脂等を溶融し、その溶融面に、上記のブランク板の他方の端部を重ね合わせてフレ−ムシ−ルにより胴貼りシ−ル部を形成して筒状のスリ−ブを製造した。
次に、上記で製造した筒状のスリ−ブのボトムの内面をホットエア−により炙り、その内面の低密度ポリエチレン樹脂を溶融させて、プレスシ−ルを行って底シ−ル部を形成し、しかる後、他方の開口部から果汁ジュ−スを充填した後、トップの内面をホットエア−で炙り、その内面の低密度ポリエ賃樹脂を溶融させて、プレスシ−ルを行ってゲ−ベルトップシ−ル部を形成して、内容物を充填包装した本発明にかかる密閉液体紙容器を製造するものである。
上記で製造した密閉液体紙容器は、炙りピンホ−ル等の発生は認められず、更に、、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、かつ、保香性に優れ、その内容物の変質は認められず、また、ラミネ−ト強度等に優れ、市場における流通に耐え、かつ、貯蔵保存等に優れているものであった。
【0035】
実施例2
(1).一方の面に、物理気相成長法により形成した酸化アルミニウムの蒸着膜を有する厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、その酸化アルミニウムの蒸着膜面に、予め、その一方の面に、厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を設けた坪量400g/m2 の紙基材の紙基材の面を対向させ、その間に、低密度ポリエチレンとエチレン−メタクリル酸共重合体とを使用し、それらを溶融しながら共押し出しし、低密度ポリエチレン樹脂層とエチレン−メタクリル酸共重合体層とからなる厚さ40μmの多層共押し出し樹脂層を介して、二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムと紙基材とを溶融押し出し積層した。
(2).更に、上記の(1)で溶融押し出し積層した二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの面に、2液硬化型のウレタン系アンカ−コ−ト剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚0.1g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてアンカ−コ−ト剤層を形成し、次に、該アンカ−コ−ト剤層の面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを溶融押し出ししながら、厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を介して、厚さ40μmの低密度ポリエチレンフィルムを溶融押し出しラミネ−ト積層して、下記の層構成からなる本発明にかかる積層材を製造した。
低密度ポリエチレン樹脂層/紙基材/多層共押し出し樹脂層/酸化アルミニウムの蒸着膜・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム/アンカ−コ−ト剤層/低密度ポリエチレン樹脂層/低密度ポリエチレンフィルム
(3).次いで、上記で製造した積層材を使用し、以下、上記の実施例1と全く同様にして、ブランク板の形成、筒状のスリ−ブの形成、底シ−ル部の形成、内容物の充填、および、ゲ−ベルトップシ−ル部の形成等を経て、本発明にかかる密閉液体紙容器を製造した。
上記で製造した密閉液体紙容器は、炙りピンホ−ル等の発生は認められず、更に、、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、かつ、保香性に優れ、その内容物の変質は認められず、また、ラミネ−ト強度等に優れ、市場における流通に耐え、かつ、貯蔵保存等に優れているものであった。
【0036】
実施例3
(1).上記の実施例1で製造した透明バリア性フィルムを使用し、その透明バリア性フィルムの酸化珪素の蒸着膜のプラズマ処理面に、予め、その一方の面に、厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を設けた坪量400g/m2 の紙基材の紙基材の面を対向させ、その間に、低密度ポリエチレンを使用し、これを溶融押し出ししながら厚さ40μmの低密度ポリエチレン樹脂層を介して、透明バリア性フィルムと紙基材とを溶融押し出し積層した。
(2).次に、上記の(1)で溶融押し出し積層した二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの面に、2液硬化型のウレタン系アンカ−コ−ト剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚0.1g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてアンカ−コ−ト剤層を形成し、次に、該アンカ−コ−ト剤層の面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを溶融押し出ししながら、厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を介して、厚さ40μmのエチレン−α・オレフィン共重合体からなる線状低密度ポリエチレンフィルムを溶融押し出しラミネ−ト積層して、下記の層構成からなる本発明にかかる積層材を製造した。
低密度ポリエチレン樹脂層/紙基材/低密度ポリエチレン樹脂層/酸化珪素の蒸着膜・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム/アンカ−コ−ト剤層/低密度ポリエチレン樹脂層/線状低密度ポリエチレンフィルム
(3).次いで、上記で製造した積層材を使用し、以下、上記の実施例1と全く同様にして、ブランク板の形成、筒状のスリ−ブの形成、底シ−ル部の形成、内容物の充填、および、ゲ−ベルトップシ−ル部の形成等を経て、本発明にかかる密閉液体紙容器を製造した。
上記で製造した密閉液体紙容器は、炙りピンホ−ル等の発生は認められず、更に、、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、かつ、保香性に優れ、その内容物の変質は認められず、また、ラミネ−ト強度等に優れ、市場における流通に耐え、かつ、貯蔵保存等に優れているものであった。
【0037】
実施例4
(1).上記の実施例1で製造した透明バリア性フィルムを使用し、その透明バリア性フィルムの酸化珪素の蒸着膜のプラズマ処理面に、予め、その一方の面に、厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を設けた坪量400g/m2 の紙基材の紙基材の面を対向させ、その間に、低密度ポリエチレンを使用し、これを溶融押し出ししながら厚さ40μmの低密度ポリエチレン樹脂層を介して、透明バリア性フィルムと紙基材とを溶融押し出し積層した。
(2).次に、上記の(1)で溶融押し出し積層した二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの面に、2液硬化型のウレタン系アンカ−コ−ト剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚0.1g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてアンカ−コ−ト剤層を形成し、次に、該アンカ−コ−ト剤層の面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを溶融押し出ししながら、厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を介して、低密度ポリエチレンとエチレン−α・オレフィン共重合体とを使用し、それらを溶融共押し出しして厚さ20μmの低密度ポリエチレンフィルム層と厚さ20μmのエチレン−α・オレフィン共重合体フィルム層とからなる厚さ40μmの多層共押し出し積層フィルムを溶融押し出しラミネ−ト積層して、下記の層構成からなる本発明にかかる積層材を製造した。
低密度ポリエチレン樹脂層/紙基材/低密度ポリエチレン樹脂層/酸化珪素の蒸着膜・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム/アンカ−コ−ト剤層/低密度ポリエチレン樹脂層/多層共押し出し積層フィルム
(3).次いで、上記で製造した積層材を使用し、以下、上記の実施例1と全く同様にして、ブランク板の形成、筒状のスリ−ブの形成、底シ−ル部の形成、内容物の充填、および、ゲ−ベルトップシ−ル部の形成等を経て、本発明にかかる密閉液体紙容器を製造した。
上記で製造した密閉液体紙容器は、炙りピンホ−ル等の発生は認められず、更に、、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、かつ、保香性に優れ、その内容物の変質は認められず、また、ラミネ−ト強度等に優れ、市場における流通に耐え、かつ、貯蔵保存等に優れているものであった。
【0038】
実施例5
(1).上記の実施例1で製造した透明バリア性フィルムを使用し、その透明バリア性フィルムの酸化珪素の蒸着膜のプラズマ処理面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚4.5g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成し、次に、該ラミネ−ト用接着剤層の面に、厚さ20μmの低密度ポリエチレンフィルムをドライラミネ−ト積層した。
(2).次に、上記でドライラミネ−ト積層した厚さ20μmの低密度ポリエチレンフィルムの面に、予め、その一方の面に、厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を設けた坪量400g/m2 の紙基材の紙基材の面を対向させ、その間に、低密度ポリエチレンを使用し、これを溶融押し出ししながら厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を介して、透明バリア性フィルムと紙基材とを溶融押し出し積層した。
(3).更に、上記の(2)で溶融押し出し積層した二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの面に、2液硬化型のウレタン系アンカ−コ−ト剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚0.1g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてアンカ−コ−ト剤層を形成し、次に、該アンカ−コ−ト剤層の面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを溶融押し出ししながら、厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を介して、厚さ40μmの低密度ポリエチレンフィルムを溶融押し出しラミネ−ト積層して、下記の層構成からなる本発明にかかる積層材を製造した。
低密度ポリエチレン樹脂層/紙基材/低密度ポリエチレン樹脂層/低密度ポリエチレンフィルム/ラミネ−ト用接着剤層/酸化珪素の蒸着膜・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム/アンカ−コ−ト剤層/低密度ポリエチレン樹脂層/低密度ポリエチレンフィルム
(4).次いで、上記で製造した積層材を使用し、以下、上記の実施例1と全く同様にして、ブランク板の形成、筒状のスリ−ブの形成、底シ−ル部の形成、内容物の充填、および、ゲ−ベルトップシ−ル部の形成等を経て、本発明にかかる密閉液体紙容器を製造した。
上記で製造した密閉液体紙容器は、炙りピンホ−ル等の発生は認められず、更に、、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、かつ、保香性に優れ、その内容物の変質は認められず、また、ラミネ−ト強度等に優れ、市場における流通に耐え、かつ、貯蔵保存等に優れているものであった。
【0039】
実施例6
(1).上記の実施例1で製造した透明バリア性フィルムを使用し、その透明バリア性フィルムの酸化珪素の蒸着膜のプラズマ処理面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚4.5g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成し、次に、該ラミネ−ト用接着剤層の面に、厚さ15μmのエチレン−ビニルアルコ−ル共重合体フィルムをドライラミネ−ト積層した。
(2).次に、上記でドライラミネ−ト積層した厚さ15μmのエチレン−ビニルアルコ−ル共重合体フィルムの面に、予め、その一方の面に、厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を設けた坪量400g/m2 の紙基材の紙基材の面を対向させ、その間に、低密度ポリエチレンを使用し、これを溶融押し出ししながら厚さ40μmの低密度ポリエチレン樹脂層を介して、透明バリア性フィルムと紙基材とを溶融押し出し積層した。
(3).更に、上記の(2)で溶融押し出し積層した二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの面に、2液硬化型のウレタン系アンカ−コ−ト剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚0.1g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてアンカ−コ−ト剤層を形成し、次に、該アンカ−コ−ト剤層の面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを溶融押し出ししながら、厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を介して、厚さ40μmの低密度ポリエチレンフィルムを溶融押し出しラミネ−ト積層して、下記の層構成からなる本発明にかかる積層材を製造した。
低密度ポリエチレン樹脂層/紙基材/低密度ポリエチレン樹脂層/エチレン−ビニルアルコ−ル共重合体フィルム/ラミネ−ト用接着剤層/酸化珪素の蒸着膜・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム/アンカ−コ−ト剤層/低密度ポリエチレン樹脂層/低密度ポリエチレンフィルム
(4).次いで、上記で製造した積層材を使用し、以下、上記の実施例1と全く同様にして、ブランク板の形成、筒状のスリ−ブの形成、底シ−ル部の形成、内容物の充填、および、ゲ−ベルトップシ−ル部の形成等を経て、本発明にかかる密閉液体紙容器を製造した。
上記で製造した密閉液体紙容器は、炙りピンホ−ル等の発生は認められず、更に、、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、かつ、保香性に優れ、その内容物の変質は認められず、また、ラミネ−ト強度等に優れ、市場における流通に耐え、かつ、貯蔵保存等に優れているものであった。
【0040】
比較例1
(1).上記の実施例1で製造した透明バリア性フィルムを使用し、その透明バリア性フィルムの酸化珪素の蒸着膜のプラズマ処理面に、予め、その一方の面に、厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を設けた坪量400g/m2 の紙基材の紙基材の面を対向させ、その間に、低密度ポリエチレンを使用し、これを溶融押し出ししながら厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を介して、透明バリア性フィルムと紙基材とを溶融押し出し積層した。
(2).更に、上記の(1)で溶融押し出し積層した二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの面に、2液硬化型のウレタン系アンカ−コ−ト剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚0.1g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてアンカ−コ−ト剤層を形成し、次に、該アンカ−コ−ト剤層の面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを溶融押し出ししながら、厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を介して、厚さ40μmの低密度ポリエチレンフィルムを溶融押し出しラミネ−ト積層して、下記の層構成からなる積層材を製造した。
低密度ポリエチレン樹脂層/紙基材/低密度ポリエチレン樹脂層/酸化珪素の蒸着膜・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム/アンカ−コ−ト剤層/低密度ポリエチレン樹脂層/低密度ポリエチレンフィルム
(3).次いで、上記で製造した積層材を使用し、以下、上記の実施例1と全く同様にして、ブランク板の形成、筒状のスリ−ブの形成、底シ−ル部の形成、内容物の充填、および、ゲ−ベルトップシ−ル部の形成等を経て、密閉液体紙容器を製造した。
【0041】
比較例2
(1).上記の実施例1で製造した透明バリア性フィルムを使用し、その透明バリア性フィルムの酸化珪素の蒸着膜のプラズマ処理面に、予め、その一方の面に、厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を設けた坪量400g/m2 の紙基材の紙基材の面を対向させ、その間に、低密度ポリエチレンを使用し、これを溶融押し出ししながら厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を介して、透明バリア性フィルムと紙基材とを溶融押し出し積層した。
(2).次に、上記の(1)で溶融押し出し積層した二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの面に、2液硬化型のウレタン系アンカ−コ−ト剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚0.1g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてアンカ−コ−ト剤層を形成し、次に、該アンカ−コ−ト剤層の面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを溶融押し出ししながら、厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を介して、厚さ40μmのエチレン−α・オレフィン共重合体からなる線状低密度ポリエチレンフィルムを溶融押し出しラミネ−ト積層して、下記の層構成からなる積層材を製造した。
低密度ポリエチレン樹脂層/紙基材/低密度ポリエチレン樹脂層/酸化珪素の蒸着膜・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム/アンカ−コ−ト剤層/低密度ポリエチレン樹脂層/線状低密度ポリエチレンフィルム
(3).次いで、上記で製造した積層材を使用し、以下、上記の実施例1と全く同様にして、ブランク板の形成、筒状のスリ−ブの形成、底シ−ル部の形成、内容物の充填、および、ゲ−ベルトップシ−ル部の形成等を経て、本発明にかかる密閉液体紙容器を製造した。
【0042】
比較例3
(1).上記の実施例1で製造した透明バリア性フィルムを使用し、その透明バリア性フィルムの酸化珪素の蒸着膜のプラズマ処理面に、予め、その一方の面に、厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を設けた坪量400g/m2 の紙基材の紙基材の面を対向させ、その間に、低密度ポリエチレンを使用し、これを溶融押し出ししながら厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を介して、透明バリア性フィルムと紙基材とを溶融押し出し積層した。
(2).次に、上記の(1)で溶融押し出し積層した二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの面に、2液硬化型のウレタン系アンカ−コ−ト剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚0.1g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてアンカ−コ−ト剤層を形成し、次いで、該アンカ−コ−ト剤層の面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを溶融押し出ししながら、厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂層を介して、低密度ポリエチレンとエチレン−α・オレフィン共重合体とを使用し、それらを溶融共押し出しして厚さ20μmの低密度ポリエチレンフィルム層と厚さ20μmのエチレン−α・オレフィン共重合体フィルム層とからなる厚さ40μmの多層共押し出し積層フィルムを溶融押し出しラミネ−ト積層して、下記の層構成からなる積層材を製造した。
低密度ポリエチレン樹脂層/紙基材/低密度ポリエチレン樹脂層/酸化珪素の蒸着膜・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム/アンカ−コ−ト剤層/低密度ポリエチレン樹脂層/多層共押し出し積層フィルム
(3).次いで、上記で製造した積層材を使用し、以下、上記の実施例1と全く同様にして、ブランク板の形成、筒状のスリ−ブの形成、底シ−ル部の形成、内容物の充填、および、ゲ−ベルトップシ−ル部の形成等を経て、密閉液体紙容器を製造した。
【0043】
実験例
上記の実施例1〜6、および、比較例1〜3で製造した液体紙容器について、シ−ル適性と炙りピンホ−ルについてテストした。
(1).シ−ル適性のテスト
これは、液体紙容器充填機にて、トップシ−ルおよびボトムシ−ルを行い、シ−ルチエック液にて、シ−ル性の確認を行ってテストした。
(2).炙りピンホ−ルのテスト
これは、液体紙容器充填機にて成型した液体紙容器に、シ−ルチエック液を入れ、トップシ−ル部およびボトムシ−ル部でのあぶりピンホ−ルの有無を確認してテストした。
上記のテスト結果について下記の表1に示す。
【0044】
上記の表1において、炙りは、炙りピンホ−ルを意味し、○は、シ−ル、炙りピンホ−ルの良好領域を表し、△は、シ−ル、炙りピンホ−ルの可能領域を表し、×は、シ−ル、炙りピンホ−ルの不良領域を表す。
【0045】
上記の表1に示すテスト結果から明らかなように、実施例1〜6にかかるものは、シ−ル温度310℃〜410℃という広いシ−ル温度領域を有し、そのコントロ−ルが容易であり、かつ、炙りピンホ−ル等の発生も認められないものであった。
これに対し、比較例1〜3のものは、シ−ル温度領域が狭く、そのコントロ−ルが困難であり、しばしば、炙りピンホ−ル等の発生が認められ、好ましくなかった。
【0046】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、少なくとも、紙基材とバリア性層とヒ−トシ−ル性樹脂層とからなる積層材であり、更に、上記のバリア性層が、その一方の面に無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムからなり、また、上記の紙基材とその一方の面に無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムからなるバリア性層との層間に、30〜100μmの接着性樹脂層を設けた構成からなる積層材を製造し、これを使用して、まず、該積層材に折り罫等を施すと共に所望の形状にブランク板を打ち抜き加工し、次に、内容物の浸透、液漏れ等を防止するために、その端面に、例えば、スカイブ・ヘミング処理等を施して端面処理を行い、しかる後、シ−ル部にフレ−ム処理、あるいは、ホットエア−処理等を行いフレ−ムシ−ル、あるいは、ホットエア−シ−ル等により胴貼りを行って筒状のスリ−ブを製造し、次いで、上記で製造した筒状のスリ−ブを、内容物充填機に供給し、次に、内容物の充填に先立って、まず、筒状のスリ−ブのボトムの内面をホットエア−により炙り、プレスシ−ルを行って底部を製造し、次いで、内容物を充填した後、トップの内面をホットエア−で炙り、プレスシ−ルを行ってトップ部を形成して内容物を充填包装した密閉液体紙容器を製造して、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、更に、炙りピンホ−ルの発生を皆無とし、シ−ル不良、液漏れ等を回避し、内容物の変質等を防止すると共に保存性、貯蔵性等に優れた液体紙容器を製造し得ることができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる液体紙容器を構成する積層材についてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図2】本発明にかかる液体紙容器を構成する積層材についてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図3】上記の図1に示す積層材を使用し、本発明にかかる液体紙容器の製函についてその製函工程の構成を示す各製函工程における液体紙容器の構成を示す概略的斜視図である。
【図4】上記の図1に示す積層材を使用し、本発明にかかる液体紙容器の製函についてその製函工程の構成を示す各製函工程における液体紙容器の構成を示す概略的斜視図である。
【図5】上記の図1に示す積層材を使用し、本発明にかかる液体紙容器の製函についてその製函工程の構成を示す各製函工程における液体紙容器の構成を示す概略的斜視図である。
【図6】上記の図1に示す積層材を使用し、本発明にかかる液体紙容器の製函についてその製函工程の構成を示す各製函工程における液体紙容器の構成を示す概略的斜視図である。
【図7】プラズマ化学気相成長装置についてその概要を示す概略的構成図である。
【図8】巻き取り式真空蒸着装置についてその概要を示す概略的構成図である。
【符号の説明】
A 積層材
A1 積層材
B ブランク板
C 筒状のスリ−ブ
D 包装用容器
E 密閉液体紙容器
1 紙基材
2 バリア性層
3 ヒ−トシ−ル性樹脂層
3a ヒ−トシ−ル性樹脂層
4 基材フィルム
5 無機酸化物の蒸着膜
6 接着性樹脂層
11 折り罫
12 糊代部
13 端部
14 胴貼りシ−ル部
15 底シ−ル部
16 上方に開口部
17 内容物
18 屋根型トップシ−ル部
Claims (7)
- 少なくとも、紙基材とバリア性層とヒートシール性樹脂層を順次積層した積層材を製函してなる液体紙容器であり、前記バリア性層が、その一方の面に無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムからなり、前記紙基材と前記バリア性層との層間に、前記バリア性層の前記蒸着膜と前記紙基材の面を対向させて、
低密度ポリエチレンを溶融押し出ししてなる樹脂層からなる30〜100μmの接着性樹脂層を設け、前記ヒートシール性樹脂層が低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、または低密度ポリエチレンとエチレンーα・オレフィン共重合体の多層共押し出し積層してなるものからなることを特徴とする液体紙容器。 - 少なくとも、紙基材とバリア性層とヒートシール性樹脂層を順次積層した積層材を製函してなる液体紙容器であり、前記バリア性層が、その一方の面に無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムからなり、前記紙基材と前記バリア性層との層間に、前記バリア性層の前記蒸着膜と前記紙基材の面を対向させて、
低密度ポリエチレンとエチレンーメタクリル酸共重合体を溶融共押し出ししてなる多層樹脂層からなる30〜100μmの接着性樹脂層を設け、前記ヒートシール性樹脂層が低密度ポリエチレンからなることを特徴とする液体紙容器。 - 前記紙基材が、他方の面に、ヒ−トシ−ル性樹脂層を有することを特徴とする上記の請求項1又は2に記載する液体紙容器。
- 前記無機酸化物の蒸着膜が、化学気相成長法または物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜3に記載する液体紙容器。
- 前記無機酸化物の蒸着膜が、化学気相成長法による酸化珪素の蒸着膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜3のいずれかに記載する液体紙容器。
- 前記無機酸化物の蒸着膜が、物理気相成長法による酸化アルミニウムの蒸着膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜3のいずれかに記載する液体紙容器。
- 前記基材フィルムが、2軸延伸加工した樹脂のフィルムないしシ−トからなることを特徴とする上記の請求項1〜6に記載する液体紙容器。
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