JP4720132B2 - 光学活性なn−保護−オクタヒドロ−1h−インドール−2−カルボン酸の製造方法 - Google Patents
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上記(i)の方法としては、例えば、β−ヨードアラニン誘導体と無水アジピン酸から製造する方法(特許文献1参照)や、アスパラギン酸誘導体と3−ブロモシクロヘキセンから製造する方法(特許文献2参照)等が挙げられる。
また、上記(ii)の方法としては、例えば、インドール−2−カルボン酸エチルエステルを還元して得られるオクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステルを10−カンファースルホン酸により光学分割する方法(特許文献3参照)、オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステルを酒石酸により光学分割する方法(非特許文献1参照)、N−ベンゾイルオクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸をα−メチルベンジルアミンにより光学分割する方法(非特許文献1参照)や、インドール−2−カルボン酸から製造されるインドリン−2−カルボン酸をα−メチルベンジルアミンにより光学分割した後、分割生成物を還元してオクタヒドロ−2−インドールカルボン酸を製造する方法(非特許文献2参照)等が挙げられる。
しかしながら、上記(i)のような光学活性アミノ酸を出発原料とする方法は工程数が長く、高価な反応試剤を使用しなければならない等の問題があり、また、上記(ii)のような光学分割法においても、分割効率が不十分であり、光学分割後にさらに再結晶する必要がある等の問題があった。
本発明者は、N−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルを基質として用い、該基質を酵素により選択的に加水分解して光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸を製造する方法を提供すべく、鋭意検討した結果、N−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルの異性体混合物におけるエステル基を酵素により不斉加水分解した後、不斉加水分解生成物である光学活性なカルボン酸を、不斉加水分解反応液における未反応のN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルから分離すると、上記目的が達成できることを見出して、本発明(イ)を完成するに至った。
また、本発明者は、N−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルを基質として用い、該基質を酵素により選択的に不斉加水分解して上記(イ)における光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の光学異性体を製造する方法を提供すべく、鋭意検討した結果、不斉加水分解反応液における未反応のN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルを不斉加水分解生成物である光学活性なカルボン酸から分離後、上記の不斉加水分解に未反応のカルボン酸エステルを加水分解すると、前記目的が達成できることを見出して、本発明(ロ)を完成するに至った。
(式中、R2はイミノ基の保護基を示し、*印を付した炭素原子は不斉炭素原子であることを示す。)
で示される光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造方法であって、下式(1)
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2は前記と同じ定義である。)
で示されるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルの異性体混合物の−CO2R1基を不斉加水分解する能力を有する酵素、又は該酵素の産生能を有する微生物の培養物若しくはその処理物を用いて、上記異性体混合物を不斉加水分解した後、不斉加水分解反応生成物であるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸を、不斉加水分解反応液における未反応のN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルから分離することを特徴とする光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造方法を提供するものである。
また、本発明(ロ)は、下式(2)
(式中、R2はイミノ基の保護基を示し、*印を付した炭素原子は不斉炭素原子であることを示す。)
で示される光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造方法であって、下式(1)
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2は前記と同じ定義である。)
で示されるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルの異性体混合物の−CO2R1基を不斉加水分解する能力を有する酵素、又は該酵素の産生能を有する微生物の培養物若しくはその処理物を用いて、上記異性体混合物を不斉加水分解した後、不斉加水分解反応液における未反応のN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルを、不斉加水分解反応生成物であるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸から分離し、次いで、不斉加水分解に未反応のN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルを加水分解することを特徴とする光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造方法を提供するものである。
また、本発明の(ロ)によれば、酵素、又は該酵素の産生能を有する微生物の培養物若しくはその処理物を用いることによって得た光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸から、不斉加水分解に未反応のN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルを分離し、該分離されたカルボン酸エステルを加水分解することによって、本発明(イ)によって得られる光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の鏡像体を効率良く製造することができる。
本発明の(イ)及び(ロ)において、原料であるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステル[以下、基質ということもある]は、例えば、J.of Medicinal Chemistry,30(6),992,(1987)に記載の方法に準じて、インドール−2−カルボン酸エステルを接触水素添加法により還元し、得られたオクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルのイミノ基を常法により保護して製造することができる。
また、上記の異性体混合物のより好ましい例としては、例えば、下式(1’)で示される化合物及び下式(1'')で示される化合物の鏡像体が挙げられる。
イミノ基の保護基R2としては、前記のAngiotensin-converting enzyme阻害剤の製造用中間体化合物に誘導する場合やBradykinin拮抗剤の製造用中間体化合物に誘導する場合の脱保護反応の容易さ等から、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、アセチル基、ベンゾイル基又はベンジル基が好ましく、ベンジルオキシカルボニル基が特に好ましい。
より具体的には、特開平7−163364号公報に記載の方法を挙げることができる。
このようにして作製することのできる変異型酵素の例としては、クロモバクテリウムSC−YM−1株由来のエステラーゼから作製される変異型のエステラーゼ又は変異型のリパーゼ等を挙げることができる。
例えば、炭素源としては、グルコース、グリセリン、有機酸や糖蜜等を挙げることができる。窒素源としては、ペプトン、酵母エキス、麦芽エキス、大豆粉、コーンスティープリカー、綿実粉、乾燥酵母、カザミノ酸、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウムや尿素等を挙げることができる。
無機物としては、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、鉄、マンガン、コバルトや亜鉛等の金属の塩酸塩、上記金属の硫酸塩及び前記金属のリン酸塩等が挙げられる。具体的には、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、塩化コバルト、硫酸亜鉛、リン酸カリウムやリン酸ナトリウム等を使用することができる。
また、上記微生物の不斉水解能を高めるために、適宜、オリーブ油若しくはトリブチリン等のトリグリセリド又は上述した基質を培地に添加してもよい。
また、上記基質の不斉水解能を有する微生物菌体が得られる方法であれば、固体培養法も採用することができる。
例えば、先ず、超音波処理、ダイノミル処理又はフレンチプレス処理等の方法により、微生物培養物中の菌体を破砕する。次に、得られた破砕液から遠心分離等により不溶物を除去した後、通常酵素の精製に使用される陽イオン交換カラムクロマトグラフィー、陰イオン交換カラムクロマトグラフィー、疎水カラムクロマトグラフィー及びゲル濾過カラムクロマトグラフィー等の一つ又は二つ以上を適宜組合せることによって、目的とする酵素を精製することができる。
これらのカラムクロマトグラフィーに使用する担体の一例としては、DEAE−Sepharose fastflow(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社製)や、Butyl−Toyopearl650S(東ソー株式会社製)等を挙げることができる。
例えば精製酵素や粗酵素を用いる場合、その使用量は上記の基質に対して、通常は0.001〜2重量倍程度、好ましくは0.002〜0.5重量倍程度である。
また、微生物培養物、菌体及びそれらの処理物を用いる場合の使用量は、前記基質に対して、通常は0.01〜200重量倍程度であり、好ましくは0.1〜50重量倍程度である。
水の使用量は、通常は基質に対して0.5モル倍〜200重量倍の範囲である。
疎水性有機溶媒としては、例えばtert−ブチルメチルエーテルやジイソプロピルエーテル等の脂肪族エーテル類、又はトルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタンやイソオクタン等の炭化水素類等が用いられる。
また、親水性有機溶媒としては、例えばtert−ブタノール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノールやn−ブタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン等の脂環式エーテル類、ジメチルスルホキサイド等のスルホキサイド類、アセトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類、又はN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等が挙げられる。
これらの疎水性有機溶媒や親水性有機溶媒は、それぞれ単独で、又は2種以上を混合して用いられる。
また、疎水性有機溶媒と親水性有機溶媒とを混合して用いてもよい。
反応系のpHは、通常4〜10程度、好ましくは6〜8程度の範囲である。反応中、塩基を加えることにより、pHを上記範囲内に調整してもよい。
上記の塩基としては、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウムや炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素ナトリウムや炭酸水素カリウム等のアルカリ金属重炭酸塩、リン酸2水素ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸2水素カリウムやリン酸水素2カリウム等のリン酸塩、トリエチルアミンやピリジン等の有機塩基、及びアンモニア等が使用される。
前記の塩基は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
塩基は通常は水溶液として添加されるが、有機溶媒と水の混合物の溶液として添加してもよい。上記の有機溶媒は反応で使用する溶媒と同じものを使用することもできる。
さらに、塩基は固体として添加してもよいし、懸濁液として添加してもよい。
反応液中のこれらの化合物を分離するために、又は反応で使用した酵素や緩衝剤とこれらの化合物を分離するために、さらに後処理操作を行ってもよい。
後処理操作としては、例えば、反応液中の溶媒を留去した後、シリカゲルクロマトグラフィーを用いて分離精製する方法や、分液操作により分離精製する方法等が挙げられる。
また、不斉加水分解物であるカルボン酸及び残存エステルを含む液に不溶の酵素や固定化担体等が存在する場合は、これらの酵素や固定化担体を濾過により除去してもよい。
上記の抽出に用いる疎水性有機溶媒としては、例えばtert−ブチルメチルエーテルやイソプロピルエーテル等の脂肪族エーテル類;トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタンやイソオクタン等の炭化水素類;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼンやオルトジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル類が挙げられる。
不斉加水分解反応時に上記例示の疎水性有機溶媒を使用した場合は、そのまま分液操作を行うこともできる。
また、不斉加水分解反応時に疎水性有機溶媒を用いなかった場合や、疎水性有機溶媒又は水の使用量が少ないために容易に分液できない場合には、疎水性有機溶媒及び/又は水を適宜添加した後、静置して分液すればよい。
上記の疎水性有機溶媒の使用量は特に限定されるものではないが、基質に対して、通常は0.1〜200重量倍、好ましくは0.2〜100重量倍程度の範囲である。
上述した抽出や分液操作時のpHは、通常6〜12程度の範囲、好ましくは7〜10程度の範囲である。
上記の酸としては例えば、塩化水素、臭化水素、硫酸やリン酸等の無機酸、該無機酸と金属との酸性塩、酢酸、クエン酸やメタンスルホン酸等の有機酸、及び該有機酸と金属との酸性塩等が挙げられる。また、上記の塩基としては反応時のpH調整に用いたものと同様の塩基が使用可能である。
不斉加水分解物であるカルボン酸と残存エステルとの分離が不十分な場合は、上述した抽出や分液の操作を複数回繰り返してもよい。
上記の油層中の有機溶媒を留去することにより単離された残存エステルは、さらにカラムクロマトグラフィー等によって精製されてもよい。
この光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸は、さらにカラムクロマトグラフィーや再結晶等によって精製してもよい。
上記の抽出時に使用する疎水性有機溶媒としては、前述した残存エステルを抽出する際に用いた溶媒と同じ溶媒を用いることができる。
該疎水性有機溶媒の使用量は、基質に対して、通常は0.1〜200重量倍程度の範囲であり、好ましくは0.2〜100重量倍程度の範囲である。
上記の不斉加水分解物であるカルボン酸の抽出時のpHは、通常は1〜7程度の範囲、好ましくは2〜5程度の範囲である。
抽出時の液性を上記pH範囲に調整するため、酸及び塩基を適宜使用することもできる。かかる酸及び塩基としては、上述した残存エステルと分離する際の分液操作時に用いた酸及び塩基と同じものを用いることができる。
不斉加水分解物であるカルボン酸の水層からの抽出量が少ない場合は、抽出操作と分液操作とを、複数回繰り返してもよい。
このカルボン酸は、さらにカラムクロマトグラフィーや再結晶等によって精製されてもよい。
N−tert−ブトキシカルボニルオクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の光学活性体、N−ベンジルオキシカルボニルオクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の光学活性体、N−p−メトキシベンジルオキシカルボニルオクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の光学活性体、N−p−ニトロベンジルオキシカルボニルオクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の光学活性体、N−アリルオキシカルボニルオクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の光学活性体、N−9−フルオレニルメトキシカルボニルオクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の光学活性体、N−アセチルオクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の光学活性体、N−ベンゾイルオクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の光学活性体及びN−ベンジルオクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の光学活性体等。
基質であるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルが(2S,3aS,7aS)体及び(2R,3aR,7aR)体の混合物である場合、本発明の(イ)によって得られる式(2)で示される光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸は、その立体配置が(2S,3aS,7aS)体である。
該立体配置の式(2)で示される光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の具体例としては、上述した例示化合物の(2S,3aS,7aS)体等が挙げられる。
同様に基質であるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルが(2S,3aS,7aS)体及び(2R,3aR,7aR)体の混合物である場合、本発明の(ロ)によって得られる式(2)で示される光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸は、その立体配置が(2R,3aR,7aR)体である。
該立体配置の式(2)で示される光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の具体例としては、上述した例示化合物の(2R,3aR,7aR)体等が挙げられる。
(2S,3aS,7aS)−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステルと(2R,3aR,7aR)−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステルの鏡像体の製造例
(2S,3aS,7aS)−N−ベンジルオキシカルボニル−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステルと(2R,3aR,7aR)−N−ベンジルオキシカルボニル−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステルの混合物の製造例
(2S,3aS,7aS)−N−ベンジルオキシカルボニルオクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造例
上記のバッファー水溶液の2.5mlと、参考例2で得た混合物の40.7mgと、特開平7−213280号公報記載の方法に準じて作製したクロモバクテリウムSC−YM−1株由来のエステラーゼ160A189Y363termを含む培養物101mgとを、反応容器に仕込み、30℃で20時間攪拌した。攪拌後の反応液にアセトン2.5mlを加えた溶液を高速液体クロマトグラフ〔カラムは、ダイセル社製のCHIRALCEL OJ−RH、4.6mmφ×15cm,5mmを使用〕で分析し、得られた(2S,3aS,7aS)−N−ベンジルオキシカルボニルオクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の収率と鏡像異性体過剰率を求めた。
収率は48.2%であり、鏡像異性体過剰率は99.7%ee以上であった(他方の鏡像異性体は検出されなかった)。
(2S,3aS,7aS)−N−ベンジルオキシカルボニルオクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造例
このバッファー水溶液に、参考例2と同様の方法で得たラセミ混合物の52.7g(純分51.2g、154.5mmol)と、特開平7−213280号公報記載の方法に準じて作製したクロモバクテリウムSC−YM−1株由来のエステラーゼ160A189Y363termを含む培養物50.7gとを加えて、30℃で30時間攪拌した。反応中は、液のpHが8.0を保つように10%炭酸ナトリウム水溶液の59.8gを連続的に添加した。反応終了後、35%塩酸を加えてpHを2.2とした後、25.4gのセライトと150gの酢酸エチルとを加えて0.5時間攪拌した。攪拌して得た懸濁液を濾過して不溶物を濾別した後、10%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを10.5とした。
分液により油層と水層を分離した。得られた水層に、250gの酢酸エチルを加えて抽出操作を行ない、分液して、油層と水層を分離した。
得られた油層を併せた後、硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、溶媒を留去して、(2R,3aR,7aR)−N−ベンジルオキシカルボニルオクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステルを含む無色の油状物質27.3gを得た。
この油状物質中のN−ベンジルオキシカルボニルオクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステルの純分は25.8g(77.7mmol)、収率50.3%であり、鏡像異性体過剰率は96.5%eeであった。
得られた水層に、250gの酢酸エチルを加えて抽出操作を行った後、分液して油層と水層を分離した。得られた油層を併せた後、硫酸マグネシウムで乾燥した。次いで、溶媒を留去して、(2S,3aS,7aS)−N−ベンジルオキシカルボニルオクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の純分23.2g(76.3mmol)を含む無色のアモルファス状物質24.6gを得た。
(2S,3aS,7aS)−N−ベンジルオキシカルボニルオクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の収率は49.4%であり、鏡像異性体過剰率は99.8%ee以上であった。また、他方の鏡像異性体は検出されなかった。
(2S,3aS,7aS)−N−tert−ブトキシカルボニル−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステルと(2R,3aR,7aR)−N−tert−ブトキシカルボニル−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステルの混合物の製造例
(2S,3aS,7aS)−N−tert−ブトキシカルボニル−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造例
このバッファー水溶液に、参考例3の方法で得たラセミ混合物の1.00g(3.36mmol)と、特開平7−213280号公報記載の方法に準じて作製したクロモバクテリウムSC−YM−1株由来のエステラーゼ160A189Y363termを含む培養物10.0gとを加えて、30℃で40時間攪拌した。反応中は、液のpHが8.0を保つように10%炭酸ナトリウム水溶液の1.8gを連続的に添加した。反応終了後、10%炭酸ナトリウム水溶液を用いてpHを10.5とした。
分液により油層と水層を分離した。得られた水層に、10gの酢酸エチルを加えて抽出操作を行ない、分液して、油層と水層を分離した。この抽出操作を2回繰り返し、得られた油層を併せた後、硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、溶媒を留去して、(2R,3aR,7aR)−N−tert−ブトキシカルボニル−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステルを含む淡褐色の油状物質0.42gを得た。
この油状物質中の(2R,3aR,7aR)−N−tert−ブトキシカルボニル−オクタヒドロ−2−カルボン酸エチルエステルの純分は0.39g(1.30mmol)、収率38.7%であり、鏡像異性体過剰率は高速液体クロマトグラフ〔カラムは、ダイセル社製のCHIRALCEL OJ−RH、4.6mmφ×15cm,5mm×2本を使用〕により求めたところ99.3%ee以上であった。また、他方の鏡像異性体は検出されなかった。
得られた水層に、30gの酢酸エチルを加えて抽出操作を行った後、分液して油層と水層を分離した。この抽出操作を再度繰り返し、得られた油層を併せた後、硫酸マグネシウムで乾燥した。次いで、溶媒を留去して、(2S,3aS,7aS)−N−tert−ブトキシカルボニル−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の純分0.41g(1.53mmol)を含む淡褐色油状物質0.46gを得た。
(2S,3aS,7aS)−N−tert−ブトキシカルボニル−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の収率は45.4%であり、鏡像異性体過剰率は高速液体クロマトグラフ〔カラムは、ダイセル社製のCHIRALCEL OJ−RH、4.6mmφ×15cm,5mm×2本を使用〕により求めたところ99.5%ee以上であった。また、他方の鏡像異性体は検出されなかった。
そして、上記医薬品としては、Angiotensin-converting enzyme阻害剤や、Bradykinin拮抗剤が挙げられる。
Claims (13)
- 下式(2)
(式中、R2はイミノ基の保護基を示し、*印を付した炭素原子は不斉炭素原子であることを示す。)
で示される光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造方法であって、FERM BP−6703(クロモバクテリウムSC−YM−1株)由来のエステラーゼ、又は該酵素(エステラーゼ)の産生能を有する微生物の培養物を用いて、下式(1')で示されるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルと、下式(1'')で示されるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステル
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2は前記と同じ定義である。)
との異性体混合物を不斉加水分解した後、不斉加水分解反応生成物であるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸を、不斉加水分解反応液における未反応のN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルから分離することを特徴とする光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造方法。 - FERM BP−6703(クロモバクテリウムSC−YM−1株)由来のエステラーゼの産生能を有する微生物の培養物を用いて、前記異性体混合物を不斉加水分解した後、不斉加水分解反応生成物であるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸を、不斉加水分解反応液における未反応のN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルから分離する請求項1に記載の光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造方法。
- FERM BP−6703(クロモバクテリウムSC−YM−1株)由来のエステラーゼが、クロモバクテリウムSC−YM−1株由来のエステラーゼ160A189Y363termである請求項1又は2に記載の光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造方法。
- 式(1')で示されるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルと式(1'')で示されるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルとにおけるイミノ基の保護基R2が、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、アセチル基、ベンゾイル基又はベンジル基である請求項1〜3のいずれかに記載の光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造方法。
- 式(1')で示されるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルと式(1'')で示されるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルとにおけるイミノ基の保護基R2が、ベンジルオキシカルボニル基である請求項1〜3のいずれかに記載の光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造方法。
- 式(1')で示されるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルと式(1'')で示されるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルとが、いずれもN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エチルである請求項1〜5のいずれかに記載の光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造方法。
- 下式(2)
(式中、R2はイミノ基の保護基を示し、*印を付した炭素原子は不斉炭素原子であることを示す。)
で示される光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造方法であって、FERM BP−6703(クロモバクテリウムSC−YM−1株)由来のエステラーゼ、又は該酵素(エステラーゼ)の産生能を有する微生物の培養物を用いて、下式(1')で示されるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルと下式(1'')で示されるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステル
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2は前記と同じ定義である。)
との異性体混合物を不斉加水分解した後、不斉加水分解反応液における未反応のN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルを、不斉加水分解反応生成物であるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸から分離し、次いで、不斉加水分解に未反応のN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルを加水分解することを特徴とする光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造方法。 - 不斉加水分解未反応のN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルを、アルカリの存在下に加水分解する請求項7に記載の光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造方法。
- FERM BP−6703(クロモバクテリウムSC−YM−1株)由来のエステラーゼの産生能を有する微生物の培養物を用いて、前記異性体混合物を不斉加水分解した後、不斉加水分解反応液における未反応のN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルを、不斉加水分解反応生成物であるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸から分離し、次いで、不斉加水分解に未反応のN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルを加水分解する請求項7又は8に記載の光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造方法。
- FERM BP−6703(クロモバクテリウムSC−YM−1株)由来のエステラーゼが、クロモバクテリウムSC−YM−1株由来のエステラーゼ160A189Y363termである請求項7〜9のいずれかに記載の光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造方法。
- 式(1')で示されるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルと式(1'')で示されるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルとにおけるイミノ基の保護基R2が、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、アセチル基、ベンゾイル基又はベンジル基である請求項7〜10のいずれかに記載の光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造方法。
- 式(1')で示されるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルと式(1'')で示されるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルとにおけるイミノ基の保護基R2が、ベンジルオキシカルボニル基である請求項7〜10のいずれかに記載の光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造方法。
- 式(1')で示されるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルと式(1'')で示されるN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エステルとが、いずれもN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸エチルである請求項7〜12のいずれかに記載の光学活性なN−保護−オクタヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸の製造方法。
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