図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機としていわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間には演出用周辺機器の1つとしてスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72、特定表示装置24を含む。さらに遊技領域52には、複数の遊技釘30(一部のみ図示)や風車32などの機構が設置される。始動口62は、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を拡開させるための大入賞口ソレノイド80を備える。
大入賞口66は、特別図柄202が所定の態様にて停止したときに「大当たり」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66はアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の内側は、特定領域(いわゆるVゾーン)と一般領域に区画されていてもよい。特定領域が形成されている場合、大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の特定領域の通過を検出するセンサと、一般領域の通過を検出するセンサを備えて構成される。
遊技領域52の左上方に設けられた特別図柄表示装置61および略中央に設けられた演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄202と、特別図柄202に連動する装飾図柄200を変動させながら表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。ここで、特別図柄202は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる特別遊技移行に関する抽選の結果に応じた図柄であり、その変動表示が停止されたときの図柄態様が当たりと定められた図柄であった場合に、その停止図柄が実際に表示されたか否かによって大当たりを発生させるか否かを示す役割をもつ。装飾図柄200は、抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。特別図柄表示装置61は、例えば7セグメントLEDで構成される表示手段である。演出表示装置60は、特別図柄202の変動表示と連動する形で装飾図柄200を変動させながら表示する。演出表示装置60は、装飾図柄200として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を画面の中央領域に表示する。演出表示装置60は、この実施形態では液晶ディスプレイで構成されるが、機械式のドラムやLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、特別図柄202は演出的な役割をもつ必要がないため、本実施形態では演出表示装置60の左上方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示されるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。なお、演出表示装置60で表示する内容は、抽選の結果表示を視覚的に演出するものであればよく、例えば、装飾図柄200の形態をとらず、キャラクタ同士の対決や会話の結果として、抽選結果を遊技者に通知する形態のものでもよい。
作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68への遊技球の通過は始動口62を拡開させるための抽選の契機となる。特定表示装置24は、後述する特定遊技へ移行する旨の判定結果を点灯によって遊技者へ報知するためのランプである。本実施形態の場合、特定表示装置24は、センター飾り64の右下方に配置されている。
また、センター飾り64の上部には、遊技中の演出性を向上させる演出用周辺機器の1つとして可動役物25が配置されている。可動役物25は、モータやリンクなどで構成される駆動機構により、例えば、リーチ予告などを行う場合に、上下移動などを行い、演出効果を高める。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。なお、発射ハンドル17に振動装置19を内蔵し、発射ハンドル17全体を振動させることにより遊技演出を行う演出用周辺機器を構成してもよい。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘30や風車32に当たりながらその当たり方に応じた方向へ流下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、入賞口それぞれに応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄202および装飾図柄200が変動表示される。特別図柄202および装飾図柄200の変動表示は、原則として表示に先だって決定された表示時間の経過後に停止される。停止時の特別図柄202および装飾図柄200が大当たりを示す図柄である場合、大入賞口66の開閉動作が開始され、通常遊技よりも遊技者に有利な状態である特別遊技に移行する。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄200は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。
大入賞口66は、約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。大入賞口66が開放中に遊技球が特定領域へ少なくとも1球落入した場合、大入賞口66は再度開放される。このように、大入賞口66が1回開放される間に遊技球が少なくとも1球以上特定領域へ落入することを条件に大入賞口66の開閉が所定回数、例えば15回繰り返される。なお、特定領域が設けられていない場合には、無条件で、所定回数の大入賞口66の開閉が行われる。
特別遊技が発生した場合であって所定の抽選にて特定の抽選結果が生じた場合、特別遊技の終了後に特定遊技として確率変動遊技が開始される。確率変動遊技においては、特別図柄の抽選、すなわち「大当り」するか否かの抽選に関し、通常の確率状態より当たりの確率が高い抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生する。
作動口68を遊技球が通過すると、所定時間、普通図柄204と呼ばれる図柄が変動表示される。普通図柄204は、遊技盤50上で比較的遊技の妨げにならない場所に配置したLEDなどによって変動表示される。図1の場合、普通図柄204を示すLEDは例えばセンター飾り64の右下位置に後述する作動保留ランプ22と共に配置されている。所定時間の経過後に普通図柄204の変動表示が停止すると、通常、50%から80%程度の確率で始動口62が所定時間拡開する。変動短縮遊技の実行中においては、普通図柄204の変動表示時間が短縮されるとともに、始動口62が開放状態となる時間が相対的に長く設定される。本実施形態では、確率変動遊技や変動短縮遊技が特定遊技の一形態として示され、確率変動遊技状態や変動短縮遊技状態であることは、特定表示装置24などによって遊技者に通知される。
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、特別図柄表示装置61および演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。センター飾り64は、例えばその左上部に抽選保留ランプ20が設けられ、右下側部に作動保留ランプ22が設けられている。抽選保留ランプ20は、4個のLEDからなり、その点灯個数によって当否抽選の保留数、つまり、特別遊技移行抽選に用いる要素値の保留数を表示する。当否抽選の保留数は、図柄変動中に始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。作動保留ランプ22もまた4個のLEDからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄204の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄204の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。また、演出用周辺機器の1つとして遊技効果ランプ90が例えば、センター飾り64内や遊技領域52の周囲などにに設けられ、点灯や点滅等することで演出の役割を果たす。なお、便宜上センター飾り64の右側の遊技効果ランプを遊技効果ランプ90a、センター飾り64の上部の遊技効果ランプを遊技効果ランプ90b、センター飾り64内に配置される可動役物25に内蔵される遊技効果ランプを遊技効果ランプ90c、遊技盤50の周囲または、遊技盤50の外側に位置する扉14に配置される遊技効果ランプを遊技効果ランプ90d、後述する遅延装置250の周囲に配置される遊技効果ランプを遊技効果ランプ90eとする。この場合、特定の遊技効果ランプを指さない場合は、総称して遊技効果ランプ90と表記する。
また、本実施形態において、センター飾り64の下部には、遊技領域52を流下してくる遊技球の流下動作を遅延させる遅延装置250を含む遊技球ステージSが配置されている。また、センター飾り64の左上方には、遊技領域52上に発射された遊技球を遅延装置250へと導くワープ導入口70が形成されている。ワープ導入口70に落入した遊技球は、高い確率で遅延装置250に導かれる。また、遅延装置250に導かれた遊技球は、1/3程度の確率で始動口62へと導かれる。ワープ導入口70、遅延装置250を含むセンター飾り64に関しては、詳細な図面を用いて後述する。
図2は、ぱちんこ遊技機10の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板41は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板49は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容を制御し、特にメイン基板41による抽選結果に応じて表示内容を変動させる。メイン基板41およびサブ基板49は、遊技制御装置100を構成する。セット基盤39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、ぱちんこ遊技機10の機能ブロック図である。ぱちんこ遊技機10においては、遊技の基本動作や、図柄の変動表示、各種演出の制御が上述のようにメイン基板41とサブ基板49とを含む遊技制御装置100によって行われる。遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、スピーカ18、振動装置19、抽選保留ランプ20、作動保留ランプ22、特定表示装置24、遊技効果ランプ90、可動役物駆動機構201、一般入賞口72および遅延球検出手段26等のそれぞれと電気的に接続されており、これら機器との間で各種制御信号の送受信を行う。遊技制御装置100は、ハードウエア的には、データやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等により構成される。
図3に示されるように、本実施形態の遊技制御装置100は、各入賞口への入球を判定する入球判定手段110と、特別遊技へ移行するか否かの抽選を実行する特別遊技移行抽選手段111と、特定遊技へ移行するか否かの抽選を実行する特定抽選手段115と、各種抽選に際して用いられる複数のテーブルを保持するテーブル記憶手段118と、図柄変動の停止図柄および変動表示のパターンなど演出内容を決定する演出決定手段120と、特別図柄の変動表示中や特別遊技中に行われる演出用周辺機器で行われる演出に用いられる複数の演出パターンを保持する周辺機器用演出パターン記憶手段130と、図柄や演出画像の表示を制御する表示制御手段140と、特別遊技移行抽選に用いる要素値、すなわち当否抽選値の保留を制御する保留制御手段150と、遊技者への特定遊技へ移行する旨の報知に関する制御を実行する報知制御手段155と、特別遊技を実行制御する特別遊技実行手段160と、確率変動遊技や変動短縮遊技といった特定遊技を実行制御する特定遊技実行手段170と、始動口62などの普通電動役物の開閉等を制御する普通電動役物制御手段180と、大入賞口66の開閉を制御する大入賞口制御手段190と、遊技効果ランプ90やスピーカ18、可動役物25などの演出用周辺機器の演出を実行する周辺機器演出実行手段195などを備える。
入球判定手段110は、始動入賞検出装置74から始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入球したと判断し、一般入賞検出装置73から一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入球したと判断する。特別遊技移行抽選手段111は、当否抽選値取得手段112と当否判定手段114とを含む。当否抽選値取得手段112は、始動口62への遊技球の入球を契機として、すなわち、入球判定手段110によって遊技球が始動口62に入球したと判断されると、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するために乱数の値を当否抽選値として取得する。例えば、当否抽選値は0から65535までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、必ずしも数学的に発生させる乱数である必要はなく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数等により発生させる疑似乱数であってもよい。
当否判定手段114は、当否抽選値取得手段112により取得された当否抽選値に応じて特別遊技へ移行するか否かを判定する。当否判定手段114は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持している。これらの複数の当否テーブルには、当たりまたは外れの当否判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当たりの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否判定手段114は、通常時には通常確率による当否判定用に作成された当否テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当たりの確率が高くなるように作成された当否テーブルを参照する。当否判定手段114は、複数の当否テーブルのうち何れかを参照し、当否抽選値が当たりであるか否かを判定する。かかる当否判定手段114による当否判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄として変動表示されることになる。
特定抽選手段115は、特定抽選値取得手段116と特定判定手段117とを含む。特定抽選値取得手段116は、始動口62への遊技球の入球を契機として、通常遊技から特別遊技へ移行するための条件が遊技者にとって有利になる特定遊技へ移行するか否かを判定するための乱数の値を特定抽選値として取得する。例えば、特定抽選値は0から255までの値範囲から取得される。「特定遊技」は、本実施形態において例えば確率変動遊技とされるが、変動短縮遊技とされてもよい。特定判定手段117は、特定抽選値取得手段116によって取得された特定抽選値に応じて特定遊技へ移行するか否かを判定する。
テーブル記憶手段118は、演出決定手段120が、各種停止図柄、図柄変動のパターン、遊技中の演出内容等を決定する際に参照するテーブルを複数保持している。例えば、テーブル記憶手段118は、特別図柄の停止図柄を決定する際に参照される特別図柄範囲のテーブルとして、第1特別図柄範囲テーブル、第2特別図柄範囲テーブル、および第3特別図柄範囲テーブルを保持する。
この場合、第1特別図柄範囲テーブルおよび第2特別図柄範囲テーブルには、「1」、「2」などの図柄と図柄決定抽選値とが対応付けられている。また、第3特別図柄範囲テーブルには、外れを示す「−」の図柄と、外れを示す図柄決定抽選値とが対応付けられている。そして、第1特別図柄範囲テーブルおよび第2特別図柄範囲テーブルは、それぞれ共通の図柄を範囲に含む。また、第1特別図柄範囲テーブルは、特定遊技への移行が確定される停止図柄(例えば、「3」と「7」)をその範囲に含み、第2特別図柄範囲テーブルは、特定遊技への移行が確定される停止図柄をその範囲に含まない。このように、「3」や「7」のように一般的に特定遊技への移行が確定したと認知される図柄に関しては特定遊技への移行を確定させることにより、遊技者の期待に反するような結果を回避することができる。「3」および「7」以外の図柄(0,1,2,4,5,6,8,9)は、特定遊技への移行が確定されない図柄であって、第1特別図柄範囲テーブルおよび第2特別図柄範囲テーブルに共通の図柄である。
演出決定手段120は、図3に示されるように、特別図柄の停止図柄等を決定する特別図柄決定手段121と、装飾図柄の停止図柄等を決定する装飾図柄決定手段122と、普通図柄の停止図柄等を決定する普通図柄決定手段123、特別遊技演出決定手段124とを含む。
特別図柄決定手段121は、特別遊技移行抽選手段111によって抽選がなされるたびに特別図柄表示装置61に表示させる停止図柄の内容とその変動パターンを決定するものであり、特別図柄の停止図柄を選択する特別図柄選択手段と、特別図柄の変動パターンを選択する特別図柄パターン選択手段とを含む。特別図柄選択手段は、図柄決定抽選値を取得した上で、当否判定手段114による当否判定結果および特定判定手段117による判定結果と図柄決定抽選値とに応じて特別図柄の変動表示の終了時に表示すべき図柄である停止図柄を決定する。
この際、特別図柄決定手段121の特別図柄選択手段は、当否判定手段114による当否判定結果が特別遊技へ移行する旨を示し、かつ特定判定手段117による判定結果が特定遊技へ移行する旨を示す場合に上述の第1特別図柄範囲テーブルを参照する。また、特別図柄選択手段は、当否判定手段114による当否判定結果が特別遊技へ移行する旨を示し、かつ特定判定手段117による判定結果が特定遊技へ移行しない旨を示す場合に第2特別図柄範囲テーブルを参照する。更に、特別図柄選択手段は、当否判定手段114による当否判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合に第3特別図柄範囲テーブルを参照する。そして、特別図柄選択手段は、該当するテーブルから図柄決定抽選値に応じた停止図柄を選択して特別図柄の停止図柄に決定する。なお、当否判定手段114による当否判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合、特定判定手段117による判定結果は実質的に参照されないので、その場合に特定抽選値を破棄する構成とされてもよい。
特別図柄パターン選択手段は、当否判定手段114による当否判定結果および特定判定手段117による判定結果に応じて複数の変動パターンから何れかのパターンを選択する。特別図柄パターン選択手段は、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動時間および変動態様を規定する複数種の変動パターンを保持している。これにより、特別図柄は、特別図柄パターン選択手段によって選択された変動パターンに従って変動し、選択された変動パターンにより規定される変動時間が経過すると変動を停止することになる。特別図柄決定手段121は、決定した特別図柄の停止図柄および変動パターンを示す情報を装飾図柄決定手段122に与える。
装飾図柄決定手段122は、装飾図柄選択手段と装飾図柄パターン選択手段とを含む。装飾図柄選択手段は、当否判定手段114による当否判定結果や、特別図柄決定手段121により決定された特別図柄の停止図柄および変動パターンに対応する装飾図柄の停止図柄を決定する。装飾図柄の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、例えば当否判定手段114による当否判定結果が特別遊技への移行を示す場合は「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。本実施形態では、装飾図柄の停止図柄には、特別図柄と同じ数字が含まれる。例えば、特別図柄の停止図柄が「3」である場合、装飾図柄の停止図柄は「333」となる。一方、当否判定手段114による当否判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合は、装飾図柄の停止図柄として、「127」や「964」のように3つの図柄が揃っていない組合せが選択される。また、当否判定手段114による当否判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合であって、装飾図柄パターン選択手段がリーチ付きの外れを示す変動パターンを選択した場合は、装飾図柄の停止図柄は、「119」や「772」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せとなる。
装飾図柄パターン選択手段は、特別図柄決定手段121の決定に応じて複数種の変動パターンから何れかのパターンを選択する。装飾図柄パターン選択手段は、装飾図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動態様をそれぞれ規定する複数種類の変動パターンを保持している。装飾図柄の変動パターンには、通常の外れ図柄を表示するための外れパターンと、あと一つ図柄が揃えば「大当たり」となるリーチ状態を経て外れ図柄を表示するためのリーチ外れパターンと、リーチ状態を経て「大当たり」を示す特定図柄等を表示するためのリーチ当たりパターンとが含まれる。
リーチ状態を含む変動パターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれるとよく、一旦リーチ状態とした後に仮停止表示状態させた上で、再度装飾図柄を変動させるスーパーリーチ外れパターンやスーパーリーチ当りパターンが含まれてもよい。装飾図柄パターン選択手段は、特別図柄パターン選択手段により選択された特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と装飾図柄との変動時間が等しくなるように装飾図柄の変動パターンを選択する。
普通図柄決定手段123は、入球判定手段110により作動口68を遊技球が通過したと判断された場合に、普通図柄を決定するための図柄抽選値(乱数)を取得し、その図柄抽選値に応じて普通図柄の停止図柄を決定する。普通図柄決定手段123によって決定された普通図柄の停止図柄が特定の図柄である場合、普通電動役物制御手段180が始動口62を所定時間拡開する。
特別遊技演出決定手段124は、当否判定手段114の当否判定結果が当たりを示す場合に、パターン抽選値を取得し、当該パターン抽選値に基づいて、複数の特別遊技演出パターンの中から当否判定手段114の当否判定結果と特定判定手段117の判定結果とに応じた何れかのパターンを選択する。本実施形態では、それぞれ異なるストーリー展開を有する複数の特別遊技演出パターンが用意されており、特別遊技中、演出表示装置60には、選択された特別遊技演出パターンに従う演出内容が演出画像として変動表示される。
また、周辺機器用演出パターン記憶手段130には、演出表示装置60における演出中に遊技効果ランプ90やスピーカ18、可動役物25などの周辺機器を用いた演出の演出パターンを複数種類保持している。本実施形態においては、特に演出表示装置60で演出が行われている間に、遅延球検出手段26が遊技球の検出を行った場合に、遊技効果ランプ90の発光パターンや、スピーカ18から出力される効果音、可動役物25の動作パターン、振動装置19によるぱちんこ遊技機10の一部、例えば発射ハンドル17の振動パターンなどがそれぞれ単独で、または組み合わせて周辺機器による演出パターンとして定められている。なお、周辺機器のうち遊技効果ランプ90やスピーカ18などは、ぱちんこ遊技機10の電源がオンされている間に当該ぱちんこ遊技機10が動作中であることを示すために点滅したり、音楽を出力したりする。また、遊技効果ランプ90、スピーカ18、可動役物25などは、特別遊技演出パターンにしたがって、所定の演出のための点滅や効果音の出力したり、可動役物25の駆動などを行うが、周辺機器用演出パターン記憶手段130で記憶される演出パターンは、こられの点滅パターンや出力パターン、動作パターンとは異なり、プレミア的な内容を含むものとすることが望ましい。
表示制御手段140は、特別図柄決定手段121により決定された変動パターンに従って特別図柄を特別図柄表示装置61に変動表示させ、特別図柄決定手段121により決定された特別図柄の停止図柄を特別図柄表示装置61に表示させる。また、表示制御手段140は、装飾図柄決定手段122により決定された変動パターンに従って装飾図柄を演出表示装置60に変動表示させると共に、装飾図柄決定手段122により決定された装飾図柄の停止図柄を演出表示装置60に表示させる。
更に、表示制御手段140は、普通図柄決定手段123により決定された変動パターンに従って普通図柄204を変動表示させると共に、普通図柄決定手段123により決定された普通図柄204を表示させる。例えば、普通図柄204をLEDによって表現する場合には、LED点灯パターンによって普通図柄204の内容を表示する。
保留制御手段150は、当否抽選値取得手段112により取得された当否抽選値、すなわち、特別遊技移行抽選に用いる要素値と、特定抽選値取得手段116により取得された特定抽選値と、特別図柄決定手段121の特別図柄パターン選択手段により取得された変動パターン用の抽選値とを、これらの保留数が所定の上限に達するまで保留球として保持する。保留数の上限は例えば4である。
報知制御手段155は、当否判定手段114による当否判定結果が特別遊技へ移行する旨を示し、かつ特定判定手段117による判定結果が特定遊技へ移行する旨を示す場合に、当該特定遊技に関する判定結果の報知タイミングおよび報知手段を決定する。具体的には、報知制御手段155は、所定のタイミングで、特定遊技に関する判定結果を特定表示装置24、スピーカ18、および遊技効果ランプ90のうち少なくとも何れかを介して視覚的または聴覚的に報知させる。
特別遊技実行手段160は、当否判定手段114による当否判定結果が当たりであった場合に特別遊技の実行処理を制御する。特別遊技実行手段160は、図示されない特別遊技移行判定手段、単位遊技実行手段、および特別遊技終了手段を含む。特別遊技移行判定手段は、当たりを示す当否判定結果に対応した図柄変動が停止されたときに特別遊技開始のタイミングであると判定する。単位遊技実行手段は、大入賞口制御手段190を制御して、大入賞口66を開閉させることにより単位遊技を実行する。大入賞口制御手段190は、単位遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送って大入賞口66を開放させる。特別遊技終了手段は、単位遊技の継続回数、大入賞口66の特定領域(Vゾーン)が設定されている場合には、その通過した遊技球の有無に基づいて、単位遊技を継続させるか否か、すなわち次回の単位遊技を開始するか否かを判定する。特別遊技終了手段は、次回の単位遊技を開始するための継続条件が満足されない場合、または単位遊技の上限回数が消化された場合に特別遊技を終了させる。
特定遊技実行手段170は、特定判定手段117による判定結果が特定遊技へ移行する旨を示す場合、特別遊技後の遊技状態を確率変動状態へ移行させる。確率変動状態は原則として次の「大当たり」が発生するまで続行され、その間は当否判定手段114によって当たりと判定される確率が高い状態に維持される。特定判定手段117による判定結果が特定遊技へ移行する旨を示す場合、上述のように、その旨が報知制御手段155により遊技者へ報知される。
普通電動役物制御手段180は、普通図柄の停止図柄が特定の態様である場合に、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を与えて始動口62を開放させる。これにより、始動口62は、遊技者にとって有利な状態に変化する。
周辺機器演出実行手段195は、少なくとも演出表示装置60で演出が行われていることと、遅延球検出手段26が遊技球の検出を行ったことを条件に、周辺機器用演出パターン記憶手段130から演出パターンを選択し、遊技効果ランプ90の発光パターンや、スピーカ18から出力される効果音、可動役物25の移動や振動などの動作パターン、振動装置19によるぱちんこ遊技機10の一部、例えば発射ハンドル17の振動パターンなどがそれぞれ単独で、または組み合わせて実行するように制御を行う。なお、周辺機器演出実行手段195は、周辺機器用演出パターン記憶手段130から演出パターンを選択する時に、演出決定手段120による図柄決定内容、例えば確率変動の当たりを示す図柄や外れを示す図柄などの図柄決定内容、あるいは保留制御手段150による保留球数などを参照して、選択内容を変化させてもよい。
次に、センター飾り64について図4〜図7を参照して説明する。
図4及び図5に示すように、センター飾り64は、開口部300を中央部に有する略筒状の枠体64aを備えており、この枠体64aの周囲には、その複数箇所から外方に張り出すようにブラケット部302が形成されている。各ブラケット部302には、夫々枠体64aを遊技盤50に埋め込んだ形でネジ止めするために表裏貫通した孔が複数形成されている。
センター飾り64は、開口部300の左方に位置するワープ導入口70と、開口部300の下方に位置する遅延装置250を含む遊技球ステージSと、開口部300の右方に位置する遊技効果ランプ90aと、開口部300の上方に配置され遊技効果ランプ90cを有する可動役物25と、可動役物25の更に上方に配置される遊技効果ランプ90bとを備えている。遊技効果ランプ90aは、例えば火炎状の所謂オーラが立ち上るように凹凸模様で表現された透明なレンズ部材によって覆われている。遊技効果ランプ90bも同様に、所謂オーラが立ち上るように凹凸形状で表現された透明なレンズ部材によって覆われている。なお、本実施形態における「透明」という語句は、濁りなく完全に透き通る状態のみならず、内蔵するLEDなどの発光体から問題無く光照射させ得る全ての状態を含む概念である。
また、枠体64aの遊技球ステージS下方には、球導入案内路304に連通する球放出口306が形成されている。この球導入案内路304は、遅延装置250に備えられた3つの遊技球通過開口部ha,hb,hcのうちの遊技球通過開口部haの直下方に位置して、該遊技球通過開口部haから落下した遊技球をほぼ確実に導入して球放出口306側に導くことができるように形成されている。また球放出口306は、始動口62(図1参照)の直上方に位置して、放出する遊技球が一対の遊技釘30(図1参照)の間を通って始動口62にほぼ確実に(例えば、97〜99%の確率で)入賞し得るように構成されている。
図5に示すように、センター飾り64における可動役物25の左側には、抽選保留ランプ20及び特別図柄表示装置61が相互に隣接するように配置されている。また、センター飾り64の遊技効果ランプ90aの下部側は、遊技球ステージSの部分より下方に更に延在するように形成されており、当該延在部分の下端部近傍には作動保留ランプ22が配置されている。
抽選保留ランプ20は、複数個(本実施形態では4個)配列したLED20aを点灯又は消灯させる発光駆動を行うことにより、大当たり抽選の複数回分(本実施形態では4回分)に対応する表示を行うものである。特別図柄表示装置61は、大当たり抽選の結果を特別図柄で表示するものであり、7セグメント表示装置によって構成されている。
作動保留ランプ22は、普通図柄表示装置と、開放抽選の複数回分に対応する表示を行う開放抽選保留表示装置とから構成されている。普通図柄表示装置は、作動口68を遊技球が通過することを契機として行われる、始動口62を開放させるための開放抽選の結果を、普通図柄で表示するものである。
一方、図4〜図7に示すように、センター飾り64は、遊技球ステージSの中央部に、ワープ導入口70と球放出口306との間に配置されて、ワープ導入口70から導入された遊技球の通過時間を変化させると共に、進路を振り分ける機能を有する遅延装置250を備えている。遅延装置250は、いわゆる「クルーン」と称され、遊技球が転動可能な底面部308を有し、当該底面部308の一部に少なくとも1つの遊技球通過開口部が形成さている。本実施形態では、3つの遊技球通過開口部ha,hb,hcが形成されている例が示されている。この遊技球通過開口部ha,hb,hcにより、遊技球を始動口62に入賞させるように導く第1ルートと、遊技球を始動口62に第1ルートより高い確率(例えば、97〜99%(略100%)の確率)で入賞させるように導く第2ルートへの進路振り分けを行う。また、遅延装置250の下流側には、遅延装置250により通過時間が遅延され、さらに、第2ルートを通過した遊技球の検出を行う遅延球検出手段26として機能するフォト・インタラプタP(図6参照)を備えている。なお、前述した遊技球通過開口部は1つでもよい。この場合、第2ルートのみが形成されることになる。
遅延装置250を構成する「クルーン」は、底面部308が曲面状に形成され、且つこの底面部308に表裏貫通した少なくとも1つの遊技球通過開口部を備え、底面部308の曲面上を転動する遊技球を任意のタイミングで遊技球通過開口部に落下させる役物を意味する語句である。
フォト・インタラプタPは、遊技球ステージS側に固定された投光素子及び受光素子からなる第1センサ部(図示せず)と、第2ルートに進入する遊技球の当接で投光素子と受光素子の間で進退動作してオン・オフ信号を出力する遮光部材310(図6参照)からなる第2センサ部を備えている。図6に示すように、遮光部材310は、センター飾り64の枠体64aに対して支軸310aを中心としてセンター飾り64の前後方向(図6の左右方向)に揺動するように支持されており、遮光部材310の自由状態にて前方に突出する前端部310bを、上記第2ルートの球導入案内路304内に突出自在となるように構成される。
図4及び図7に示すように、枠体64aの左側部には、ワープ導入口70から導入された遊技球を遊技球ステージSに向けて落下案内する落下案内通路70aと、この落下案内通路70aから落下してやや後方に案内された遊技球を遊技球ステージS側に放出する放出口312とが設けられている。遊技球ステージSの中央部分には、図5に示すように、上方に向かって山型状に突出する突起部314が形成されており、この突起部314の上端が当接する部分を、略球面状の底面部308の中心cとなるように位置決めされている。底面部308の中心cに対応する部分は、この底面部308から上方に向けて若干量(例えば1mm程度)突出して形成されており、この中心cの周囲の前側に遊技球通過開口部haが形成され、後方両側に遊技球通過開口部hb,hcが夫々形成されている。また、図4に示すように、遅延装置250の下方には転動案内面316,318が配置され、その後側には、後述する案内路320の下側にあって転動案内面316,318及びその付近を照明する遊技効果ランプ90eが配置されている。
遊技球ステージSの中央の遅延装置250の後方部分から放出口312に亘るように案内路320が設けられており、この案内路320の一端が放出口312に連絡され、他端が、後側から前側に湾曲して遅延装置250の底面部308に連絡されている。ここで、遊技球通過開口部ha,hb,hcのうち、遊技球通過開口部haは遊技球1個の直径(例えば11〜12mm)より僅かに大きい内径(例えば11.3〜12.3mm)を有するように形成され、遊技球通過開口部hb,hcは夫々遊技球通過開口部haよりやや大きい内径(例えば12〜13mm)を有するように形成されている。そして、遊技球通過開口部haは中心c側に寄せて形成され、遊技球通過開口部hb,hcは夫々、遊技球通過開口部haと中心c間の距離より若干大きく中心cから離間するように形成されている。
図4に示すように、遅延装置250の遊技球通過開口部haの直下方には球導入案内路304が形成されており、遊技球通過開口部hb,hc夫々の直下方には、山型状の突起部314の両側傾斜面から連続し且つ曲率を異ならせて滑らかに形成される湾曲面316a,316bからなる転動案内面316と湾曲面318a,318bからなる転動案内面318とが設けられている。これら転動案内面316,318の前側には、遅延装置250に対応する位置にて最も高く形成された壁部322bと、湾曲面316aに対応する位置にて壁部322bより低く形成された壁部322aと、湾曲面318aに対応する位置にて壁部322bより低く形成された壁部322cとが配置されている。更に、壁部322bの前側には、湾曲面324bと、湾曲面324bに連続し且つ該湾曲面324bより曲率が小さい(つまり、曲率半径が大きい)湾曲面324aとからなる転動案内面324が設けられている。
可動役物25は、半透明状の特定文字を含む図柄部と非透明状の周辺部とを有する半透明パネル25aを備えており(図3参照)、この半透明パネル25aの背面には、複数のLEDやランプが配置され、遊技効果ランプ90cを構成して、遊技中の演出効果を向上する。なお、遊技効果ランプ90cにおける発色効果は、LEDなどの固有の発光色のみならず、例えば、フィルタを配置して発光色を変化させてもよい。また、他の遊技効果ランプ90もLEDやランプで構成され、所望の演出を行う発光を行うように構成されている。さらに、可動役物25は、図示しないモータやリンクなどで構成される駆動機構によって、例えば上下方向や左右方向の移動や振動を行うことにより、動的な演出を行うことができる。
図8は、遅延装置250における遊技球28の挙動についてその代表的な例を説明している。前述したように、遅延装置250は、遊技盤50上に設けられ、この遊技盤50上に打ち出され流下している遊技球28が通過可能であり、その通過時間が任意に遅延可能であり、さらに、通過時間が遅延された遊技球28を遊技盤上へ流下させるものである。遊技盤50上に打ち出された遊技球28は、遊技釘30や風車32に接触しながら流下してくるが、ワープ導入口70に落入することにより、遅延装置250へ向かって下向きに傾きながら連なる案内路320へ進入することができる。案内路320を通過した遊技球28は勢いを増しながら底面部308に進入する。底面部308は、曲面状の円形の皿形状であり、その周縁部には、底面部308に対して略直角に立設された壁面308aが形成されている。案内路320と遅延装置250との接続部には、案内路320から転動してくる遊技球28を受け入れるために、壁面308aの一部を切り欠いた切欠部320aが形成されている。その結果、切欠部320aから進入した遊技球28は壁面308aにより進路規制を受け、遊技球28は底面部308の壁面308aに沿って底面部308状を旋回するようになる。
ただし、案内路320を転動する時の遊技球28の転動速度、転動姿勢や自転速度、案内路320の転動面との接触状態などにより、底面部308上での遊技球28の転動の状態は様々である。例えば、図8(a)に示すように、底面部308に進入して僅かに転動したのみで、すぐに遊技球通過開口部haなどに落入してしまう場合や、図8(b)に示すように、底面部308の壁面308aに沿って複数回旋回した後、遊技球28の勢いが低下し、徐々に旋回半径が小さくなり、遊技球通過開口部haなどに落入する場合がある。また、図8(b)のように、遊技球28が底面部308上で旋回する場合でも、上述したように、案内路320を転動してくる時の遊技球28の状態により、旋回回数は様々である。つまり、遅延装置250における遊技球28の通過時間は全く予測することができずランダム性が強いことになる。
遊技球28が遊技球通過開口部haに落入した場合、遅延球検出手段26であるフォト・インタラプタPをオンすることが可能であり、周辺機器演出実行手段195を動作させる条件の1つが成立する。前述したように、遅延装置250における遊技球28の遅延時間は様々であり、さらに、図8(c)に示すように、遅延装置250に進入した遊技球28が遊技球通過開口部hbや遊技球通過開口部hcに落入する場合もある。したがって、フォト・インタラプタPがオンされるタイミングに関して非常に高いランダム性を得ることができる。
周辺機器演出実行手段195を動作させるもう1つの条件である演出表示装置60で画像演出が行われている時にフォト・インタラプタPがオンした場合、演出用周辺機器である遊技効果ランプ90、スピーカ18、可動役物25などを用いたプレミア的な演出が実行されるので、この周辺機器を用いたプレミア的な演出を高いランダム性を伴って発生させることができる。
別の視点から見ると、演出表示装置60により特別遊技への移行が行われるか否かを遊技者に報知するために画像演出が行われている場合、特に、リーチ状態になった場合、遊技者は、遊技球28の発射を休止する傾向が強い。その結果、遊技球28が始動口62や一般入賞口72、作動口68などを通過したことを契機に演出動作を行う遊技効果ランプ90やスピーカ18などの周辺機器の動作を画像演出中にできなくなる。しかし、本実施形態によれば、リーチ状態になる前に遊技盤50上に打ち出された遊技球28が、遅延装置250を通過することにより、リーチ状態になった後も遊技盤50上に滞留している可能性が生じる。したがって、リーチを含む画像演出中に遊技球28の発射が休止されても、遊技効果ランプ90、スピーカ18、可動役物25などの演出用周辺機器を用いた演出を実行することが可能になり、演出効果を向上することができる。
このような遅延装置250を含むぱちんこ遊技機10の遊技時の動作をフローチャートに基づいて説明する。まず、基本的な演出動作の説明を行う。
図9は、通常遊技および特別遊技の基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、通常遊技状態であれば当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S10)、特別遊技状態であれば特別遊技の制御処理を実行し(S12)、S10またはS12における入賞に応じた賞球払出を処理する(S14)。
図10は、図9におけるS10を詳細に示すフローチャートである。S10の通常遊技制御処理においては、まず始動口62への入賞に応じて当否抽選が実行される(S20)。次いで、当否抽選の結果に応じた図柄変動を表示させ(S22)、当否抽選の結果が当たりであった場合は図柄変動表示が終了したか否かに基づいて特別遊技への移行タイミングを判定する(S24)。
図11は、図10のS20における当否判定処理を説明するためのフローチャートである。始動口62に遊技球が入球し(S30のY)、抽選値の保留数が上限に達していない場合(S32のY)、当否抽選値取得手段112によって当否抽選値が、特定抽選値取得手段116によって特定抽選値が、特別図柄決定手段121により、特別図柄の変動パターンを選択するための抽選値がそれぞれ取得される(S34)。S30において始動口62への遊技球の入球がないと判断された場合、S32およびS34の処理はスキップされる(S30のN)。また、S32において抽選値の保留数が上限に達していると判断された場合、S34の処理はスキップされる(S32のN)。
特別遊技が実行中であるか否かを示す特別遊技フラグがオフになっている場合、すなわち、特別遊技が実行されていない場合(S36のY)、抽選値の保留があると(S38のY)、当否判定手段114によって特別遊技へ移行するか否かが判定され(S40)、特別図柄決定手段121によって特別図柄の変動パターン用の抽選値に応じた特別図柄の変動パターンが決定される(S42)。なお、S36において特別遊技フラグがオンになっていると判断される場合、S38以降のすべての処理はスキップされ、S20の当否判定処理が終了させられる(S36のN)。また、S38において抽選値の保留がないと判断される場合、S40以降のすべての処理がスキップされ、S20の当否判定処理が終了させられる(S38のN)。
S42にて特別図柄の変動パターンが決定されると、当否判定手段114による当否判定結果が当たりであるか否かの判定が行われ、当否判定手段114による当否判定結果が当たりを示す場合(S44のY)、特定判定手段117によって特定遊技へ移行するか否かが判定される(S46)。S44において当否判定手段114による当否判定結果が外れを示すと判断される場合、S46の処理はスキップされる(S44のN)。S44またはS46の処理の後、特別図柄決定手段121によって特別図柄の停止図柄が決定される(S48)。更に、装飾図柄決定手段122により、特別図柄の停止図柄および変動パターンに対応する装飾図柄の停止図柄および変動パターンが選択され決定さる(S50)。そして、特別遊技演出決定手段124によって当否判定手段114による当否判定結果と特定判定手段117による判定結果とに応じた特別遊技の演出内容が決定される(S52)。そして、特別図柄、装飾図柄、予告演出、特別遊技演出に関連する各情報が表示制御手段140に与えられる(S54)。
図12は、図10におけるS24を詳細に示すフローチャートである。当否判定手段114による判定結果が大当たりを示す場合であって(S80のY)、決定された特別図柄が「3」か「7」であった場合(S82のY)、報知制御手段155は図柄変動の停止時にスピーカ18や遊技効果ランプ90を通じて特定遊技への移行を報知し(S84)、特別遊技フラグをオンする(S86)。S80において、当否判定手段114による判定結果が大当たりでなかった場合は(S80のN)、S82以降の処理をスキップしてS24のフローを終了する。S82において、決定された特別図柄が「3」および「7」のいずれでもなかった場合は(S82のN)、S84をスキップして特別遊技フラグをオンする(S86)。
図13は、図9におけるS12を詳細に示すフローチャートである。特別遊技フラグがオンになっていた場合であって(S100のY)、特別遊技が開始済みでなければ(S102のN)、特別遊技の演出を開始してS106へ移行し(S104)、開始済みであれば(S102のY)、S104をスキップしてS106へ移行する。特別遊技フラグがオンになっていなければ(S100のN)、S102以降の処理をすべてスキップしてS12のフローを終了する。
S106において、大入賞口66が開放済みでなければ(S106のN)、大入賞口66の開放とともに単位遊技を開始し(S108)、開放済みであれば(S106のY)、S108をスキップする。
大入賞口66の解放後、当該大入賞口66の開放時間を経過していれば(S110のY)、S112をスキップして大入賞口66を閉鎖させる(S114)。大入賞口66の開放時間を経過していない場合であっても(S110のN)、大入賞口66へ入球した遊技球数が9球以上に達していれば(S112のY)、大入賞口66を閉鎖させる(S114)。大入賞口66へ入球した遊技球数が9球に満たなければ(S112のN)、S110に戻り、開放時間の経過または遊技球数が9球になるのを待つ。大入賞口66が閉鎖された場合、特別遊技における単位遊技のラウンド数が15に達しているか否かの判断を行い、ラウンド数が15に達している場合には、特別遊技フラグをオフにする(S118)。S116において、ラウンド数が15に達していなければ(S116のN)、ラウンド数に1を加算して(S120)、S12のフローを終了する。
このように、ぱちんこ遊技機10において演出表示装置60を用いて遊技演出を行う中で、遅延装置250を通過した遊技球28がフォト・インタラプタPをオンした場合の制御を図14を用いて説明する。
周辺機器演出実行手段195は、常時フォト・インタラプタPがオンする否かの検出を行い(S200のYまたはN)、もし、フォト・インタラプタPがオンした場合(S200のY)、表示制御手段140からの情報に基づき、画像変動中、すなわち、普通図柄の変動による演出が行われているか否かの判断を行う(S202のYまたはN)。もし、変動中ではない場合、フォト・インタラプタPオンに基づく周辺機器の演出を行うことなくこのフローチャートを終了する。一方。画像変動中である場合(S202のY)、現在行われている画像変動が、リーチ演出を伴うものか否かの判断を装飾図柄決定手段122からの情報に基づき行う(S204のYまたはN)。
リーチ演出を伴わない通常変動の場合、周辺機器演出実行手段195は、現在保留球が存在するか否かの判断を、保留制御手段150からの情報に基づき行う(S206のYまたはN)。保留球が存在しない場合、周辺機器演出実行手段195は、周辺機器用演出パターン記憶手段130に記憶された演出Bパターンを選択し(S208)、画像変動中にフォト・インタラプタPのオンのタイミング、つまり、遅延装置250による遅延時間に応じたタイミングで実行される周辺機器を用いた特別な演出を実行する(S210)。一方。保留球がある場合、周辺機器演出実行手段195は、周辺機器用演出パターン記憶手段130に記憶された演出Aパターンを選択し(S212)、周辺機器を用いた特別演出を実行する(S210)。なお、図14のフローチャートでは、保留球の有無により選択する演出パターンを選択したが、保留球の数に応じた演出パターンを準備しておき、保留球の数に基づいて演出パターンを選択してもよい。
また、周辺機器演出実行手段195が、S204でリーチ演出を伴うと判断した場合、さらに、そのリーチが特別遊技移行の抽選に当選しているか否かを当否判定手段114からの情報に基づき行う(S214のYまたはN)。特別遊技移行抽選に当選していない場合(S214のN)、周辺機器演出実行手段195は、周辺機器用演出パターン記憶手段130に記憶されたプレミア演出Bパターンを選択し(S216)、周辺機器を用いた特別演出を実行する(S210)。また、特別遊技移行抽選に当選している場合(S214のY)、周辺機器演出実行手段195は、周辺機器用演出パターン記憶手段130に記憶されたプレミア演出Aパターンを選択し(S218)、周辺機器を用いた特別演出を実行する(S210)。
前述したように、S208,S212,S216,S218で選択される周辺機器の演出は、通常ぱちんこ遊技機10の電源がオンされている時や、装飾図柄の変動演出内容に基づいて行われる演出とは異なる演出が行われる。例えば、遊技効果ランプ90の場合、通常の演出では、赤と青による照明演出を行っているものを、さらに多くの色を用いて行う。また、通常は単調な点滅による演出を行っているものを、複雑な点滅やウエーブを模した点滅を行ってもよい。また、スピーカ18を用いた演出の場合、通常の効果音や音楽とは異なる効果音や音楽を出力する。また、可動役物25の場合、通常、装飾図柄の変動に連動した上下動作のみに設定しておき、周辺機器演出実行手段195による演出の場合は、上下に加え左右の動作や振動動作、回転動作などを行うようにしてもよい。いずれの演出も、フォト・インタラプタPをオンしないと得られないような演出を行うことが望ましい。また、周辺機器演出実行手段195により操作する演出用周辺機器による演出内容のプレミア度は、演出B<演出A<プレミア選出B<プレミア演出Aの順に派手さが増加するようにすることが望ましい。
また、この他、周辺機器演出実行手段195によるプレミア演出は、演出表示装置60で行っている演出画像に別画像を挿入する演出パターンを含んでもよい。例えば、従来のリーチ演出では、ぱちんこ遊技機10のキャラクタが登場し、所定のストーリーに沿った演出を行うが、この中に、演出ストーリーにおいて、希少な存在のキャラクタを挿入したり、コメント、画像を挿入させたりしてもよい。
このように、遅延装置250を用いて、遊技球28が遊技盤50上で流下する時間を変化させることにより、もし、演出表示装置60で画像変動を行われ、遊技者が遊技球28の発射を休止してしまう場合でも、流下が遅延した遊技球28によりフォト・インタラプタPをオンすることが可能になり、遊技球28の発射休止中の画像変動中においても、周辺機器を用いてランダムに行う演出を行うことができる。また、遅延装置250による遅延時間は様々であるため、周辺機器による演出実行に強いランダム性を持たせることが可能であり、実質的に演出バリエーションの向上に寄与することが可能となる。
また、本実施形態では、上述のように、画像変動が行われている状態、すなわち、リーチを伴う演出か否か、保留球がある状態での演出か否か、特別遊技移行抽選に当選した上での演出か否かなどの外的条件に応じて演出内容を変化させる。その結果、周辺機器による特別な演出を引き当てるとという新たな遊技形態を提供することが可能なり、遊技者の興趣を喚起することができるとともに、画像変動中、特にリーチ演出中の遊技球28の発射中断を抑制する効果も生じる。
また、本実施形態においては、遅延球検出手段26であるフォト・インタラプタPを可動役物25下部に接近した配置することにより、遅延装置250を通過した遊技球28をほぼ確実に検出する構成を説明した。この場合、遅延装置250の通過が直接始動口62への落入に結びつくので、遊技者に違和感なく、遅延装置250へ遊技球28を進入させる発射調整を行わせることができる。ただし、遅延球検出手段26の配置位置は、遅延装置250を通過した遊技球28をある程度の確率、例えば50%で検出できる位置であれば、遅延装置250の下流ルートの任意の位置に配置することができる。この場合、遅延装置250を通過しても演出用周辺機器による演出ができない場合も生じ、プレミア演出という点では遊技者の興趣の喚起に寄与する。ただし、演出用周辺機器による演出ができない確率も高くなるんで、他の条件との組合せににより、演出実行率の調整を行うことが望ましい。
また、図14のフローチャートでは、リーチ演出を伴わない場合も保留球数に応じて、演出用周辺機器による特別な演出を行う例を示したが、リーチ演出を伴う場合のみに演出用周辺機器による特別な演出を行うようにしてもよい。この場合、遅延装置250を通過しても演出用周辺機器による演出ができない場合も生じ、プレミア演出という点では遊技者の興趣の喚起に寄与する。ただし、演出用周辺機器による演出ができない確率も高くなるんで、他の条件との組合せににより、演出実行率の調整を行うことが望ましい。
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
10 ぱちんこ遊技機、 18 スピーカ、 20 抽選保留ランプ、 25 可動役物、 26 遅延球検出手段、 28 遊技球、 50 遊技盤、 52 遊技領域、60 演出表示装置、 62 始動口、 64 センター飾り、 66 大入賞口、 70 ワープ導入口、 90 遊技効果ランプ、 130 周辺機器用演出パターン記憶手段、 150 保留制御手段、 195 周辺機器演出実行手段、 250 遅延装置、 304 球導入案内路、 306 球放出口、 308 底面部、 312 放出口、 320 案内路、 322 壁部、 P フォト・インタラプタ。