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JP4711984B2 - 垂直磁気記録媒体、磁気記憶装置および磁気記録方法 - Google Patents

垂直磁気記録媒体、磁気記憶装置および磁気記録方法 Download PDF

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JP4711984B2 JP2007045547A JP2007045547A JP4711984B2 JP 4711984 B2 JP4711984 B2 JP 4711984B2 JP 2007045547 A JP2007045547 A JP 2007045547A JP 2007045547 A JP2007045547 A JP 2007045547A JP 4711984 B2 JP4711984 B2 JP 4711984B2
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Description

本発明は、広くは垂直磁気記録媒体に関し、特に、ハードディスクドライブ等の大容量の磁気記録再生装置に用いられる熱アシスト垂直磁気記録媒体に関する。
情報化社会の進展とともに、情報記憶装置の中心的役割を担うハードディスクドライブ(HDD)の高密度化が求められており、近年、HDDの記録密度は年率50%以上というスピードで向上している。高密度化を図るためのHDDの記録方式として、磁界が磁気記録面に対して垂直方向を向くように磁性体を配置する垂直磁気記録方式が採用されているが、さらに高い記録密度を実現するために、磁気記録と光による熱記録を併用した、熱アシスト磁気記録の技術が開発されている。
ところで、高い記録密度を実現するためには、記録粒子の微小化が必要であるが、粒子の微小化に伴い、熱揺らぎの影響が顕著になる。熱揺らぎとは、情報ビットを記録した磁化エネルギーが常温で反転してしまう現象である。熱揺らぎの影響が顕著になると、記録磁区が消滅して記録ができなくなる。
熱揺らぎの影響を避けるため、磁気異方性の大きい材料を記録層の材料として用いることが考えられる。垂直磁気異方性の大きい記録層として、L10規則化合金FePtが挙げられる。しかし、これのみでは記録層の保磁力が大きくなりすぎて、従来の磁気記録ヘッドでは記録ができなくなる。
そこで、記録に必要な印加磁界を低減するために、記録を保持するために保磁力が大きな層と、記録を行いやすくするために保磁力が小さな層の2つの層を用いて、記録層を二層化した媒体が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この文献では、保磁力の異なる二層の記録層を用いることで、印加磁界を減少することが可能であるが、上下の記録層が強磁性的に結合するように配置されているため磁化が大きくなり、再生時の媒体ノイズが大きくなるという問題がある。
一方、上下の記録層を反強磁性的に結合させた媒体により、媒体ノイズを低減させる方法が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。しかし、この方法では、記録時の印加磁界を低減することができない。
なお、下層の第1記録層として、CoCr系合金結晶膜からなる磁性層を用い、上層の第2記録層として、10at%以上35at%以下の希土類元素を含む非晶質(アモルファス)層を用いる垂直磁気記録媒体が提案されている(たとえば、特許文献3参照)。この希土類元素の組成範囲は、良好な垂直磁化膜を成長するという観点から決定されており、また、この垂直磁気記録媒体は、室温での記録動作が予定されているため、室温から記録温度に至る温度範囲での、希土類磁気モーメントと遷移金属磁気モーメントの優劣状態についての考慮はまったくなされていない。
特開2006−351058号公報 特開2001−56924号公報 特開2002−25031号公報
本発明では、従来技術における問題点に鑑みて、記録時は記録に必要な印加磁界を低減し、読み取り時には、媒体ノイズを低減することのできる熱アシスト垂直磁気記録媒体を提供することを課題とする。
また、そのような熱アシスト垂直磁気記録媒体を用いた磁気記憶装置と、磁気記録方法の提供を課題とする。
熱アシスト垂直磁気記録媒体において、記録時に必要な印加磁界を低減するとともに、読み取り時に媒体ノイズを低減するためには、記録層を2層で構成し、記録時にはこれら2層の記録層を強磁性的に結合させて反転を容易にし、再生時には2層の記録層を反強磁性的に結合させて媒体ノイズを低減する。
換言すると、記録時に記録領域を局所的に加熱して磁気的に情報を記録する熱アシスト磁気記録方式を前提として、
(1)上層の記録層を、希土類磁気モーメントを有するTb、Gd、Dyの少なくとも1の元素と、遷移金属磁気モーメントを有するFe、Co、Niの少なくとも1の元素とを含むアモルファス合金層で構成し、
(2)希土類元素の組成を所定の範囲に制御することにより、記録温度では遷移金属磁気モーメントが優勢であり、記録温度よりも低い温度、たとえば室温では希土類磁気モーメントが優勢になるようにする。
第1の側面では、熱アシスト磁気記録方式で用いられる垂直磁気記録媒体を提供する。この垂直磁気記録媒体は、
(a)基板上に位置し、希土類元素を含まないグラニュラ構造またはL10規則化合金である第1の記録層と、
(b)前記第1の記録層上に位置する第2の記録層と、
を有し、前記第2の記録層は、希土類金属磁気モーメントを有するTb、Gd、Dyの少なくとも1の元素と、遷移金属磁気モーメントを有するFe、Co、Niの少なくとも1の元素とを含むアモルファス合金層であり、
当該第2の記録層において、記録温度では遷移金属磁気モーメントが優勢になって前記第1の記録層の磁気モーメントと前記第2の記録層の磁気モーメントが強磁性的に結合し再生時の室温では、前記第2の記録層の希土類金属磁気モーメントが優勢になって前記第1の記録層の磁気モーメントと前記第2の記録層の磁気モーメントが反強磁性的に結合す
ように構成される。
あるいは、熱アシスト磁気記録方式で用いられる垂直磁気記録媒体は、基板上に位置し希土類元素を含まないグラニュラ構造またはL10規則化合金である第1の記録層と、前記第1の記録層上に位置する第2の記録層と、を有し、前記第2の記録層は、希土類金属磁気モーメントを有するTb、Gd、Dyの少なくとも1の元素と、遷移金属磁気モーメントを有するFe、Co、Niの少なくとも1の元素とを含むアモルファス合金層であり、
室温とキュリー温度の間に、希土類金属磁気モーメントが優勢な状態から遷移金属磁気モーメントが優勢な転換する補償温度を有し、再生時の室温において前記第1の記録層の磁気モーメントと前記第2の記録層の磁気モーメントは反強磁性的に結合し、前記補償温度より高く前記キュリー温度より低い記録温度では、前記第1の記録層の磁気モーメントと前記第2の記録層の磁気モーメントは強磁性的に結合する。
良好な構成例では、第2の記録層の希土類金属元素の組成は、24〜29at%の範囲にある。
第2の側面では、磁気記憶装置を提供する。磁気記憶装置は、上述した垂直磁気記録媒体と、この垂直磁気記録媒体に光を照射する光素子と、前記光素子による光照射時に垂直磁気記録媒体に対して情報を記録する記録素子と、を備える。
第3の側面では、磁気記録方法を提供する。この方法は、
(a)第1の記録層の磁気モーメントと、前記第1の記録層上の第2の記録層の磁気モーメントが反強磁性的に結合している垂直磁気記録媒体に光を照射し、
(b)照射により、前記第1の記録層の磁気モーメントと、第2の記録層の磁気モーメントとを強磁性的に結合させ、
(c)前記強磁性的な結合状態で、垂直磁気記録媒体に外部磁界を印加して情報を記録する
工程を含む。
このような構成及び方法により、記録時には、キュリー温度に達する前の記録温度で、上層記録層と下層記録層の磁気モーメントが強磁性的に結合する状態にして保磁力を弱めて、記録用の印加磁界を低減し、室温では、上層の補助記録層の磁気モーメントと、下層の主記録層の磁気モーメントを反強磁性的に結合させて読み出し時の媒体ノイズを低減することができる。
熱アシスト垂直磁気記録媒体において、記録に必要な印加磁界を低減し、再生時のノイズを低減することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の良好な実施形態について説明する。図1は、一実施形態に係る熱アシスト垂直磁気記録媒体10を説明するための図であり、図1(a)はその概略構成図、図1(b)は、二層構造の記録層の磁気モーメントの方向と大きさを示す図である。
図1(a)に示すように、垂直磁気記録媒体10は、ガラス基板11上に、放熱層(ヒートシンク)12、下地(中間)層13、下層記録層(第1記録層)14、上層記録層(第2記録層)15、保護膜16、潤滑層17を有する。
放熱層11は、たとえば膜厚50nmのCu膜であり、ヒートシンクとして機能する。上述のように、熱アシスト記録方式では、記録時にレーザ等の光素子により、記録媒体上の微細な領域にスポット状態の光(熱)を与えつつ、このスポット領域に磁界を印加して磁化状態を反転させる。記録後に記録層14、15に蓄積された熱を放熱層11から逃がすことで、記録磁区の書き広がりを防止し、高密度化を図る。放熱層11には、放熱性のよいものであれば任意の材料を用いることができ、たとえば、Al、Ag、Au、Pt、Tiを用いてもよい。
下地(中間層)12は、下層記録層14の配向性を向上するための層であり、必要に応じて挿入する。下層記録14が、磁性粒子が非磁性材料内に分散された、いわゆる垂直グラニュラ構造を有する場合は、膜厚15〜25nmのRu層とする。下層記録層14にL10規則化合金膜を用いる場合は、下地層12はたとえば膜厚15〜25nmのMgO膜である。
下層記録層(第1記録層)14は、主記録層として機能し、磁性粒子が非磁性材料内に分散されたグラニュラ構造の磁性層、又は、L10規則化合金の層である。前者の場合、たとえば、膜厚10〜15nmの(CoCrPt)91−(SiO2)9(at%)膜とする。後者の場合は、結晶磁気異方性の大きいFePtやFePtNiなどの層である。この場合、下地層13を省略して、高速昇温熱処理により垂直磁化膜としてもよい。
上層記録層(第2記録層)15は、希土類−遷移金属合金のアモルファス膜であり、記録補助層として機能する。希土類金属は、Tb,Gd,Dyから選ばれる少なくとも1の元素である。遷移金属はFe、Co、Niから選ばれる少なくとも1の元素である。一例として、膜厚3〜10nmのTbFeCoアモルファス膜とする。希土類の組成を調整することで、後述するように、室温からキュリー温度までの間に、希土類金属磁気モーメントが優勢な状態から、遷移金属磁気モーメントが優勢な状態へと切り替わる温度(補償温度)が存在するように制御する。希土類金属としてTbを用いた場合は、その組成を24〜29at%に設定する。
保護膜16は、記録層を保護するための層であり、たとえば膜厚3nmのカーボン膜である。潤滑膜17は、スライド式ヘッドによる書き込み及び読み取りの際に必要な摩擦特性を得るために設けられる層である。保護膜16をたとえばダイヤモンドライクのカーボン薄膜とするときは、潤滑膜17を省略してもよい。
これらの膜は、真空、室温の条件でスパッタリングにより成膜することができる。DCスパッタリング、RFスパッタリングの他、一般的な真空蒸着やイオンビームスパッタリングを採用してもよい。下地層13なしで、下層記録層14にL10規則化合金、たとえばFePtやFePtNiを用いる場合は、FePtを高保磁力化(規則化)するために400℃以上の熱処理を高速昇温により行う。
図1(b)は、下層記録層(第1記録層)14と、上層記録層(第2記録層)15の初期状態での磁気モーメントの方向と大きさを説明する概略図である。
膜厚tの下層の記録層14は、希土類を含まないグラニュラ構造の磁性膜(CoCrPt−SiO2等)で構成されるため、黒矢印で示す遷移金属(TM:transition metal)磁気モーメントを有する。したがって、下層の記録層14のトータルの磁気モーメントMs2は、TM磁気モーメントに一致する。
膜厚tの上層の記録層15は、希土類と遷移金属のアモルファス合金層(TbFeCo等)であるため、黒矢印で示すTM磁気モーメントと、白矢印で示す希土類(RE:rare earth)磁気モーメントの双方を含む。TM磁気モーメントとRE磁気モーメントの方向は反対方向なので、上層の記録層15のトータルの磁気モーメントMs1は、TM磁気モーメントとRE磁気モーメントの和(大きさはそれぞれの絶対値の差分)である。
初期状態(室温)では、上層記録層15において、RE磁気モーメントの方が優勢である。したがって、上層記録層15のトータルの磁気モーメントMs1は、図中で下向きの磁気モーメントとなり、下層記録層14の磁気モーメントMs2と反強磁性的に結合している。
図2は、実施形態の記録層のRE磁気モーメントとTM磁気モーメントの温度依存性を示すグラフである。横軸は温度、縦軸は磁気モーメントであり、横軸と縦軸の接点での磁気モーメントの大きさはゼロである。磁気モーメントが消滅する温度が、キュリー温度である。
実施形態の上層記録層15は、希土類−遷移金属アモルファス合金層であり、希土類金属元素の組成は24〜29at%に制御されている。この組成において、RE磁気モーメントは、図2の右上がりの直線で示すように、温度の上昇につれてその大きさがリニアに減少するが、TM磁気モーメントの大きさは、キュリー温度近くまで穏やかに低減し、その後キュリー温度まで一気に低減する。その結果、ある温度(図2の点線で示す温度)を越えた時点で、TM磁気モーメントの方が優勢な状態に転換する。この温度を補償温度と呼ぶ。
補償温度の左側の領域は、RE磁気モーメントが優勢な領域であり、この温度範囲では、上層記録層15と下層記録層14の磁気モーメントは反強磁性的に結合する。補償温度の右側の領域は、TM磁気モーメントの優勢な領域であり、この温度範囲では、上層記録層15と下層記録層14の磁気モーメントは強磁性的に結合する。記録温度は、TM磁気モーメント優勢領域、すなわち、補償温度よりも高く、キュリー温度よりも低い範囲にある。
希土類金属元素の組成が上記範囲よりも少ない場合は、上層記録層15を昇温しても、室温からキュリー温度まで一貫して、TM磁気モーメントが優勢な状態のままである。逆に、希土類金属元素の組成が、上記の範囲を超えると、室温からキュリー温度までRE磁気モーメントが優勢なままである。そこで、希土類金属元素の組成の異なるサンプルについて、温度と保磁力の関係を測定した。
は、サンプルA(実線)とサンプルB(破線)の、保磁力の温度依存性を示すグラフである。サンプルAは実施形態の記録層構造体であり、膜厚10nmのCoCrPt−SiO2グラニュラ構造の下層記録層14上に、膜厚5nmのTb24FeCoアモルファス層を上層記録層15として形成したものである。この組成では、室温とキュリー温度の間に補償温度を有する。一方、比較例としてのサンプルBは、膜厚10nmのCoCrPt−SiO2グラニュラ構造の下層記録層上に、膜厚5nmのTb19FeCoアモルファス層を形成したものである。
実施形態のサンプルAは、温度の上昇につれて、保磁力が上昇する。これは、RE磁気モーメントが徐々に弱まり、RE磁気モーメントの大きさとTM磁気モーメントの大きさが近づくからである。RE磁気モーメントの大きさとTM磁気モーメントの大きさが同等になった時点で、保磁力が最も大きくなる。しかしその後、昇温を続けることにより、RE磁気モーメントがさらに減少し、TM磁気モーメントが優勢な状態に転換すると、保磁力は一気に低減する。
一方、比較例のサンプルBは、室温からキュリー温度まで、温度の上昇につれて保磁力は緩やかなカーブに沿って低減する。グラフから、130〜170℃の範囲では、サンプルAの保磁力の方が小さく、従って、記録に必要な印加磁界が小さいことがわかる。そこで、この範囲の温度を記録温度とする。このように、本発明の実施形態の構成によれば、記録時に印加磁界を低減することができる。
次に、読み出し時の媒体ノイズについて述べる。図4は、図3で用いたサンプルA,Bについて、上層記録層15の膜厚を変化させたときの媒体ノイズの変化を示す表である。実施形態のサンプルAのTbの組成は24at%、比較例のサンプルBのTbの組成は19at%である。上部記録層(この例ではTbFeCo膜)15の膜厚を3nm、4nm、5nm、6nmと増加するにつれて、媒体ノイズも増大するが、いずれの膜厚においても、実施形態の組成での媒体ノイズの方が小さい。そして、膜厚が大きくなるほど、比較例のサンプルBとの媒体ノイズの差も大きくなる。このように、本発明の実施形態の構成によれば、読み出し時に媒体ノイズを低減することができる。 図5は、本発明の実施形態の記録原理を説明するための図である。図5(a)は初期状態であり、図1(b)と同じく、各層の磁気モーメントは記録前の室温状態にある。すなわち、上層記録層15では、白矢印で示す希土類(RE)金属磁気モーメントが優勢であり、トータルの磁気モーメントMS1と、下層記録層14の磁気モーメントMs2は、反強磁性的に結合している。
図5(b)は、記録時の光照射状態を示す。この状態では、光照射で与えられる熱により、記録層14、15の温度が上昇し、補償温度を超える。そうすると、上層記録層15では、RE磁気モーメントよりも、遷移金属(TM)磁気モーメントの方が優勢となる。その結果、トータルの磁気モーメントMs3は、TM磁気モーメントの方向と揃い、上層記録層15の磁気モーメントMs3と下層記録層14の磁気モーメントMs4は、強磁性的に結合する。
この状態で、図5(c)に示すように、外部磁界を印加して情報を記録する。外部磁界の印加により、下層記録層14と上層記録層15の磁化の方向は、反転する。外部磁界の印加時には、記録温度で上層記録層15の磁気モーメントMs3の方向と下層記録層14の磁気モーメントMs4の方向が揃っているため、磁化の方向は比較的弱い磁界で容易に反転する。すなわち、図4のように保磁力が低減する。
図5(d)のように、記録が終了し、放熱層12からの放熱により、記録層の温度が室温まで下がる。その結果、RE磁気モーメントの方が優勢な状態に戻る。すると、上層記録層15のトータルの磁気モーメントMs1は、初期状態と同様、下層記録層14の磁気モーメントMs2と反対方向を向く。このような状態で保持された情報を読み出すと、各層の磁気モーメントが反強磁性的に結合しているため、媒体ノイズが低減される。
上述した熱アシスト垂直磁気記録媒体10は、たとえばディスク型ガラス基板11上に形成されて、ハードディスクドライブなどの磁気記憶装置に適用することができる。この場合、特に図示はしないが、磁気記憶装置は、熱アシスト垂直磁気記録媒体10に記録するための光素子と、記録素子とを有する。光素子は、HDD記録・再生ヘッドと一体化することが望ましい。製造コストの観点からは、通常のHDD記録・再生ヘッドの作製で用いられるウェーハ上への薄膜プロセスと同じプロセスで光素子を作りこむのが望ましい。
このような磁気記憶装置は、上述した実施形態の熱アシスト垂直磁気記録媒体10を有するので、再生時(室温)においては上層と下層の記録層の磁気モーメントが反強磁性的に結合して、媒体ノイズが低減し、記録時においては、上層と下層の記録層の磁気モーメントが強磁性的に結合するため、記録に必要な印加磁界を低減することができる。
最後に、以上の説明に関して、以下の付記を開示する。
(付記1)
熱アシスト磁気記録方式で用いられる垂直磁気記録媒体であって、
基板上に位置し、希土類元素を含まない第1の記録層と、
前記第1の記録層上に位置する第2の記録層と、
を有し、前記第2の記録層は、希土類金属磁気モーメントを有するTb、Gd、Dyの少なくとも1の元素と、遷移金属磁気モーメントを有するFe、Co、Niの少なくとも1の元素とを含むアモルファス合金層であり、
当該第2の記録層において、記録温度では遷移金属磁気モーメントが優勢であり、室温では、希土類金属磁気モーメントが優勢である
ことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
(付記2)
熱アシスト磁気記録方式で用いられる垂直磁気記録媒体であって、
基板上に位置し、希土類元素を含まない第1の記録層と、
前記第1の記録層上に位置する第2の記録層と、
を有し、前記第2の記録層は、希土類金属磁気モーメントを有するTb、Gd、Dyの少なくとも1の元素と、遷移金属磁気モーメントを有するFe、Co、Niの少なくとも1の元素とを含むアモルファス合金層であり、
室温とキュリー温度の間に、希土類金属磁気モーメントが優勢な状態から遷移金属磁気モーメントが優勢な状態へと転換する補償温度を有する
ことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
(付記3)
前記第2の記録層の希土類金属元素の組成は、24〜29at%であることを特徴とする付記1又は2に記載の垂直磁気記録媒体。
(付記4)
前記下層の記録層は、磁性粒子を非磁性材料内に分散させたグラニュラ構造の層又はL10規則化合金層であることを特徴とする付記1または2に記載の垂直磁気記録媒体。
(付記5)
前記下層の記録層は、Co、Cr、Ptの少なくとも1を含む柱状磁性粒子が酸化物に取り囲まれたグラニュラ構造の層であることを特徴とする付記1または2に記載の垂直磁気記録媒体。
(付記6)
前記下層の記録層は、FePt又はFePtNi規則化合金であることを特徴とする付記1または2に記載の垂直磁気記録媒体。
(付記7)
付記1〜6のいずれかの垂直磁気記録媒体と、
前記垂直磁気記録媒体に光を照射する光素子と、
前記光素子による光照射時に、前記垂直磁気記録媒体に対して情報を記録する記録素子と、
を備えることを特徴とする磁気記憶装置。
(付記8)
前記光素子と、前記記録素子は、1つのヘッドに一体的に形成されていることを特徴とする付記7に記載の磁気記憶装置。
(付記9)
第1の記録層の磁気モーメントと、前記第1の記録層上の第2の記録層の磁気モーメントが反強磁性的に結合している垂直磁気記録媒体に光を照射し、
前記光照射により、前記第1の記録層の磁気モーメントと、第2の記録層の磁気モーメントとを強磁性的に結合させ、
前記強磁性的な結合状態で、前記垂直磁気記録媒体に外部磁界を印加して情報を記録する
ことを特徴とする磁気記録方法。
(付記10)
前記第2の記録層の磁気モーメントは、希土類金属磁気モーメントと遷移金属磁気モーメントとのトータルの磁気モーメントであり、前記光照射前は、前記希土類金属磁気モーメントの方が優勢であり、前記光照射により、前記遷移金属磁気モーメントを優勢にすることを特徴とする付記9に記載の磁気記録方法。
本発明の一実施形態の熱アシスト垂直磁気記録媒体の構成を説明するための図である。 実施形態の磁気記録媒体の第2記録層における希土類(RE)金属磁気モーメントと遷移金属(TM)磁気モーメントの温度依存特性のグラフである。 実施形態の磁気記録媒体の記録層(サンプルA)の保磁力の温度依存性を、比較例(サンプルB)の保磁力の温度依存性とともに示すグラフである。 実施形態の磁気記録媒体の記録層(サンプルA)の媒体ノイズの膜厚依存性を、比較例(サンプルB)の媒体ノイズの膜厚依存性とともに示す表である。 実施形態の磁気記録媒体に対する記録原理を説明するための図である。
符号の説明
10 熱アシスト垂直磁気記録媒体
11 ガラス基板
12 放熱層(ヒートシンク)
13 下地層
14 下層記録層(第1の記録層)
15 上層記録層(第2の記録層)
16 保護膜
17 潤滑層
Ms2 下層記録層(第1の記録層)の磁気モーメント
Ms1 上層記録層(第2の記録層)のトータルの磁気モーメント

Claims (5)

  1. 熱アシスト磁気記録方式で用いられる垂直磁気記録媒体であって、
    基板上に位置し、希土類元素を含まないグラニュラ構造またはL10規則化合金である第1の記録層と、
    前記第1の記録層上に位置する第2の記録層と、
    を有し、前記第2の記録層は、希土類金属磁気モーメントを有するTb、Gd、Dyの少なくとも1の元素と、遷移金属磁気モーメントを有するFe、Co、Niの少なくとも1の元素とを含むアモルファス合金層であり、
    当該第2の記録層において、記録温度では遷移金属磁気モーメントが優勢になって前記第1の記録層の磁気モーメントと前記第2の記録層の磁気モーメントが強磁性的に結合し再生時の室温では、前記第2の記録層の希土類金属磁気モーメントが優勢になって前記第1の記録層の磁気モーメントと前記第2の記録層の磁気モーメントが反強磁性的に結合す
    ことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 熱アシスト磁気記録方式で用いられる垂直磁気記録媒体であって、
    基板上に位置し、希土類元素を含まないグラニュラ構造またはL10規則化合金である第1の記録層と、
    前記第1の記録層上に位置する第2の記録層と、
    を有し、前記第2の記録層は、希土類金属磁気モーメントを有するTb、Gd、Dyの少なくとも1の元素と、遷移金属磁気モーメントを有するFe、Co、Niの少なくとも1の元素とを含むアモルファス合金層であり、
    室温とキュリー温度の間に、希土類金属磁気モーメントが優勢な状態から遷移金属磁気モーメントが優勢な転換する補償温度を有し、再生時の室温において前記第1の記録層の磁気モーメントと前記第2の記録層の磁気モーメントは反強磁性的に結合し、前記補償温度より高く前記キュリー温度より低い記録温度では、前記第1の記録層の磁気モーメントと前記第2の記録層の磁気モーメントは強磁性的に結合する
    ことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  3. 前記第2の記録層の希土類金属元素の組成は、24〜29at%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の垂直磁気記録媒体。
  4. 請求項1〜3のいずれかの垂直磁気記録媒体と、
    前記垂直磁気記録媒体に光を照射する光素子と、
    前記光素子による光照射時に、前記垂直磁気記録媒体に対して外部磁界を印加して情報を記録する記録素子と、
    を備えることを特徴とする磁気記憶装置。
  5. 第1の記録層の磁気モーメントと、前記第1の記録層上の第2の記録層の磁気モーメントが反強磁性的に結合している請求項1〜3のいずれかの垂直磁気記録媒体に光を照射し、
    前記光照射により、前記第1の記録層の磁気モーメントと、前記第2の記録層の磁気モーメントとを強磁性的に結合させ、
    前記強磁性的な結合状態で、垂直磁気記録媒体に外部磁界を印加して情報を記録する
    ことを特徴とする磁気記録方法。
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