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JP4710775B2 - 高画質ハーフトーン処理 - Google Patents

高画質ハーフトーン処理 Download PDF

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Description

この発明は、印刷媒体上にドットを形成して画像を印刷する技術に関する。
コンピュータで作成した画像や、デジタルカメラで撮影した画像などの出力装置として、印刷媒体上の共通の領域を複数回走査することによってインクドットを形成し、これにより画像を印刷する印刷装置が広く使用されている。かかる印刷装置は、入力階調値に対して形成可能なドットの階調数が少ないためハーフトーン処理によって階調表現が行われる。ハーフトーン処理の手法の1つとして、誤差拡散法が広く用いられている。
特開2003−283828号公報 特開2000−125121号公報 特許第3001002号公報 特開昭60−231274号公報
しかし、誤差拡散法や平均誤差最小法といったハーフトーン処理の手法では、印刷媒体上の共通の領域を複数回走査することによってインクドットを形成し、これにより画像を印刷することに起因する画質の劣化は考慮されていなかった。
この発明は、従来の技術における上述した課題を解決するためになされたものであり、印刷媒体上の共通の領域を複数回走査することによってインクドットを形成し、これにより画像を印刷することに起因する画質の劣化を抑制する技術を提供することを目的とする。
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は、画像を構成する各画素についての階調値によって構成された画像データを、前記各画素についてのドット形成の有無を表すドットデータに変換して印刷部に供給する印刷制御装置を提供する。
ここで、前記印刷部は、前記ドットの形成される主走査の相違が想定された複数の画素グループ毎に形成されるドット群の各々を共通の印刷領域で相互に組み合わせることによって印刷画像を形成し、
前記印刷制御装置は、
前記ドットの形成状態の決定対象となる着目画素を選択する着目画素選択部と、
前記着目画素と同一の画素グループに属する画素であって、前記着目画素を含む第1の所定の範囲内に配置された前記変換済みの第1の周辺画素である履歴画素におけるドットの形成状態に応じて、前記履歴画素において前記ドット形成されると前記着目画素におけるドットの形成を抑制する抑制調整と、前記履歴画素において前記ドット形成されないと前記履歴画素におけるドットの形成を促進する促進調整の少なくとも一方によって閾値を調整する閾値調整部と、
前記着目画素を含む第2の所定の範囲内に配置された前記変換済みの第2の周辺画素における前記変換によって生じた量子化誤差を補償するために拡散される拡散誤差を生成する誤差拡散部と、
前記階調値と前記拡散誤差との和である補正階調値と、前記調整された閾値との比較に応じて、前記選択された着目画素におけるドットの形成と非形成のいずれかを決定して前記ドットデータを生成するドットデータ生成部とを備える。
本発明の印刷制御装置では、着目画素と同一の画素グループに属する画素であって、着目画素を含む第1の所定の範囲内に配置された変換済みの周辺画素である履歴画素におけるドットの形成状態に応じて、履歴画素においてドット形成されると着目画素におけるドットの形成を抑制する抑制調整と、履歴画素においてドット形成されないと着目画素におけるドットの形成を促進する促進調整の少なくとも一方によって閾値が調整されるので、ドットの形成される主走査の相違が想定された複数の画素グループ毎に形成されるドット群の各々のドットの分散性を向上させることができる。これにより、このような主走査の相違に起因する画質の劣化、たとえばドットの形成位置のシフトやドットの形成タイミングのズレに起因する画質の劣化を抑制して画質を向上させることができる。
このような閾値の調整は、たとえば平均誤差最小法的なアプローチや誤差拡散法的なアプローチによって実現することができる。平均誤差最小法的なアプローチは、処理済みの画素のドット形成状態に応じて閾値を調整する方法であり、第1実施例と第2実施例とで詳細に説明されている。誤差拡散法的なアプローチは、着目閾値におけるドットの形成状態の決定に応じて閾値調整量を未処理の画素に分散することによって閾値を調整する方法であり、第3実施例で詳細に説明されている。なお、平均誤差最小法的なアプローチは、閾値を調整する点で、一見、単なる平均誤差最小法に近似するようにも見えるが、画素グループの概念の導入という点と、ドットの形成状態の決定に基づく量子化誤差を使用しない点で、平均誤差最小法と本質的に相違する。
なお、「物理的な相違」は、たとえば印刷ヘッドの位置の計測誤差や副走査送り量の計測誤差といった印刷装置の機構の誤差によるドットのズレだけでなく、たとえば印刷用紙の浮き上がりに起因する主走査方向のドットのズレやインクの吐出タイミング(時間的誤差)のズレ(時間差)や順序といった要因を含む広い意味を有する。ドットの位置ズレは、たとえば印刷ヘッドの往方向の主走査で形成されるドットと復方向の主走査で形成されるドットの主走査方向の位置ズレとして顕在化する。
上記印刷装置において、
前記閾値調整部は、前記着目画素と前記履歴画素の少なくとも一方の階調値に応じて、前記履歴画素の範囲と、単一のドット形成状態に応じて決定される調整量との少なくとも一方が変更されるようにしても良い。
こうすれば、階調値に応じて画素グループ毎のドットの分散性を制御することができるので、多種多様な特性を有するハードウェアに対して、ハーフトーン処理をきめ細かに適用させることができる。たとえば特定の階調値で擬似輪郭を発生させるような特性を有するプリンタに対しては、特定の階調値でのドットの分散性を重点的に制御するように構成してもよい。
上記印刷装置において、
前記閾値調整部は、前記着目画素と前記履歴画素の少なくとも一方の階調値に応じて、前記階調値が低くなるほど前記履歴画素の範囲が広くなるように構成してもよい。
こうすれば、画素グループ毎のドットの分散性が画質に大きな影響を与えるハイライト領域におけるドットの分散性を重視したハーフトーン処理を実現することができる。
上記印刷装置において、
前記複数の画素グループは、前記ドットの形成において物理的な共通性を有する少なくとも1つの画素グループ群を含み、
前記閾値調整部は、さらに、前記着目画素と同一の画素グループ群に属する画素であって、前記着目画素の近傍に予め設定された前記変換済みの第3の周辺画素である画素グループ群履歴画素におけるドットの形成状態に応じて、前記ドットの形成に応じてドットの形成を抑制する抑制調整と前記ドットの非形成に応じてドットの形成を促進する促進調整の少なくとも一方によって閾値の追加調整を行うようにしても良い。
こうすれば、ドット形成時における物理的な特性に着目してきめ細かな制御を実現することができる。具体的には、たとえばインク凝集その他のインクの物理現象に起因する画質劣化を抑制する観点から決定された重み付けで画素グループ毎のドットの分散性を向上させるとともに、双方向印刷におけるドットのズレという物理的現象に起因する画質劣化を抑制する観点から決定された重み付けで画素グループ群毎のドットの分散性を向上させるといったきめの細かな制御を実現することができる。
上記印刷装置において、
前記閾値調整部は、前記画素グループ群履歴画素におけるドットの形成状態に応じた閾値の追加調整の重み付けと、前記履歴画素におけるドットの形成状態に応じた閾値の調整の重み付けとを、前記着目画素と前記履歴画素の少なくとも一方の階調値に応じて変動させるように構成されていても良い。こうすれば、たとえば印刷装置の特性に応じて、比較的に低い階調値では画素グループ群履歴画素を重視したハーフトーン処理を実行し、比較的に高い階調値は他方を重視したハーフトーン処理を実行するといった決めの細かな制御を実現することができる。
本発明は、さらに、画像を構成する各画素についての階調値によって構成された画像データを、前記各画素についてのドットの形成と非形成のいずれかの状態を表すドットデータに変換して印刷部に供給する他の印刷制御装置を提供する。他の印刷制御装置は、
前記ドットの形成状態の決定対象となる着目画素を選択する着目画素選択部と、
前記着目画素と同一の画素グループに属する画素であって、前記着目画素の近傍に予め設定された前記変換済みの第1の周辺画素である履歴画素におけるドットの形成状態に応じて、前記ドットの形成に応じてドットの形成を抑制する抑制調整と前記ドットの非形成に応じてドットの形成を促進する促進調整の少なくとも一方によって閾値を調整する第1の閾値調整部と、
前記着目画素の近傍に予め設定された前記変換済みの第2の周辺画素における前記変換によって生じた量子化誤差を補償するために閾値を調整する第2の閾値調整部と、
前記第1の閾値調整部と前記第2の閾値調整部とによって調整された閾値と、前記階調値の比較に応じて、前記選択された着目画素におけるドットの形成と非形成のいずれかを決定して前記ドットデータを生成するドットデータ生成部と、
を備える。
なお、本発明は、画像処理方法、印刷制御装置を用いた印刷装置や印刷方法、印刷物の生成方法といった種々の形態、あるいは、これらの方法または装置の機能をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の種々の形態で実現することができる。
以下では、本発明の作用・効果をより明確に説明するために、本発明の実施の形態を、次のような順序に従って説明する。
A.本発明の実施例における印刷システムの構成:
B.双方向印刷に起因する画質劣化と画素の分割処理:
C.本発明の第1実施例における印刷データ生成処理:
D.本発明の第2実施例における印刷データ生成処理:
E.本発明の第3実施例における印刷データ生成処理:
F.変形例:
A.本発明の実施例における印刷システムの構成:
図1は、本発明の実施例における印刷システムの構成を示すブロック図である。この印刷システムは、印刷制御装置としてのコンピュータ90と、印刷部としてのカラープリンタ20と、を備えている。なお、カラープリンタ20とコンピュータ90の組み合わせを、広義の「印刷装置」と呼ぶことができる。
コンピュータ90では、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ96が組み込まれており、アプリケーションプログラム95からは、これらのドライバを介して、カラープリンタ20に転送するための印刷データPDが出力されることになる。アプリケーションプログラム95は、処理対象の画像に対して所望の処理を行い、また、ビデオドライバ91を介してCRT21に画像を表示する。
プリンタドライバ96の内部には、入力画像の解像度を印刷解像度に変換する解像度変換モジュール97と、RGBをCMYKに色変換する色変換モジュール98と、誤差拡散法によって入力階調値をドットの形成で表現可能な出力階調数へ減色処理を行うハーフトーンモジュール99と、ハーフトーンデータを用いてカラープリンタ20に送信するための印刷データを生成する印刷データ生成モジュール100と、色変換モジュール98が色変換の基準とする色変換テーブルLUTと、ハーフトーン処理のためにドットの記録率を決定するための記録率テーブルDTと、誤差拡散モジュール110と、閾値調整モジュール112と、が備えられている。
記録率テーブルDTは、ハーフトーン処理のためにドットの記録率を決定する際に参照されるテーブルである。誤差拡散モジュール110は、ハーフトーン処理によって各画素で生じた量子化誤差を周囲の未処理画素に拡散するモジュールである。閾値調整モジュール112は、誤差拡散で各画素のドットの形成の有無(あるいは形成と非形成)を決定する際の閾値を調整するモジュールである。誤差拡散モジュール110および閾値調整モジュール112の機能については、後に詳述する。
プリンタドライバ96は、印刷データPDを生成する機能を実現するためのプログラムに相当する。プリンタドライバ96の機能を実現するためのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で供給される。このような記録媒体としては、たとえばCD−ROM126やフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。
図2は、カラープリンタ20の概略構成図である。カラープリンタ20は、紙送りモータ22によって印刷用紙Pを副走査方向に搬送する副走査駆動部と、キャリッジモータ24によってキャリッジ30を紙送りローラ26の軸方向(主走査方向)に往復動させる主走査駆動部と、キャリッジ30に搭載された印刷ヘッドユニット60(「印刷ヘッド集合体」とも呼ぶ)を駆動してインクの吐出およびドット形成を制御するヘッド駆動機構と、これらの紙送りモータ22,キャリッジモータ24,印刷ヘッド10、20を備える印刷ヘッドユニット60および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とを備えている。制御回路40は、コネクタ56を介してコンピュータ90に接続されている。
図3は、印刷ヘッド10、20の下面におけるノズル配列を示す説明図である。印刷ヘッド10の下面には、ブラックインクを吐出するためのブラックインクノズル列Kと、シアンインクを吐出するためのシアンインクノズル列Cと、マゼンタインクを吐出するためのマゼンタインクノズル列Mzと、イエローインクを吐出するためのイエローインクノズルYとが形成されている。
各ノズル列の複数のノズルNzは、副走査方向に沿って一定のノズルピッチk・Dでそれぞれ整列している。ここで、kは整数であり、Dは副走査方向における印刷解像度に相当するピッチ(「ドットピッチ」と呼ぶ)である。本明細書では、「ノズルピッチはkドットである」とも言う。このときの単位[ドット]は、印刷解像度のドットピッチを意味している。副走査送り量に関しても同様に、[ドット]の単位を用いる。
各ノズルNzには、各ノズルNzを駆動してインク滴を吐出させるための駆動素子としてのピエゾ素子(後述)が設けられている。印刷時には、印刷ヘッド10、20が主走査方向MSに移動しつつ、各ノズルからインク滴が吐出される。
以上説明したハードウェア構成を有するカラープリンタ20は、紙送りモータ22により印刷用紙Pを搬送しつつ、キャリッジ30をキャリッジモータ24により往復動させ、同時に印刷ヘッド10のピエゾ素子を駆動して、各色インク滴の吐出を行い、インクドットを形成して印刷用紙P上に印刷画像を形成することができる。
B.双方向印刷に起因する画質劣化と画素の分割処理:
図4は、従来の誤差拡散法を用いて形成されたドットパターンを示す説明図である。図8において、3つのドットパターンDpall、Dpf、Dpbは、それぞれ印刷画像のドットパターンDpallと、印刷ヘッド10、20の主走査の往動時に形成される往動時ドットパターンDpfと、印刷ヘッド10、20の主走査の復動時に形成される復動時ドットパターンDpbと、を示している。印刷画像のドットパターンDpallは、往動時ドットパターンDpfと、復動時ドットパターンDpbと、が共通の印刷領域で組み合わせられることによって形成される。
図4から分かるように、印刷画像のドットパターンDpallが比較的に均一なドットの分散性を示しているのに対して、往動時ドットパターンDpfや復動時ドットパターンDpbではドットの疎密が生じている。このようなドットの疎密は、顕著な画質劣化として人間の目に認識されるものである。このような画質劣化は、従来の誤差拡散法が往動時ドットパターンDpfと復動時ドットパターンDpbとが、予め想定されるようにドット形成位置の誤差を生じさせることなく組み合わせられることを想定して構成されていることに起因して生じるものである。
図5は、従来の誤差拡散法を用いて形成された印刷画像の画質が双方向印刷によって劣化する様子を示す説明図である。図5において、4つのドットパターンDp11、Dp12、Df1、Db1は、それぞれ印刷画像のドットパターンDp11(ドットの位置ずれ無し)と、印刷画像のドットパターンDp12(ドットの位置ずれ有り)と、印刷ヘッド10、20の主走査の往動時に形成される往動時ドットパターンDf1と、印刷ヘッド10、20の主走査の復動時に形成される復動時ドットパターンDb1と、を示している。
印刷画像のドットパターンDp11(ドットの位置ずれ無し)は、図4のドットパターンDpallと同一である。往動時ドットパターンDf1は、図4のドットパターンDpfと同一である。復動時ドットパターンDb1は、図4のドットパターンDpbと同一である。
印刷画像のドットパターンDp12(ドットの位置ずれ有り)では、往動時ドットパターンDf1と復動時ドットパターンDb1の相対的な位置ずれによって画質が顕著に劣化している。ドット形成位置の相対的なずれは、ドット形成時における主走査方向の相違(往方向あるいは復方向)によって主走査方向にドット形成位置がドットパターンDf1、Db1の各々が一体としてずれることによって生ずるものである。このように、ドットパターンの相対的な位置ずれによって画質が顕著に劣化するのは、前述のように従来の誤差拡散法がこのような位置ずれを生じることなくドットが正確な位置に形成されることを想定して構成されているからである。すなわち、位置ずれが無ければ、各ドットパターンDf1、Db1の疎の部分と密の部分とが精度良く合致することによって、均一なドット分散性が合致するのであるが、位置ずれに起因して疎の部分同士や密の部分同士が合致してしまう場合が生ずるため、ドットの疎密が逆に強調される場合が生じて画質が劣化してしまうのである。
このような仮説に基づいて、本願発明者は、種々の画像について実験を行うことによって、このような画質劣化が双方向印刷によって生じていることを確認した。本願発明者は、さらに、この仮説に基づいて、ドットの位置ずれに対して耐性(ロバスト性)のある誤差拡散法に想到した。
図6は、双方向印刷によって形成された印刷画像の画質劣化が本願発明の実施例の誤差拡散法によって抑制されている様子を示す説明図である。図6において、4つのドットパターンDp21、Dp22、Df2、Db2は、それぞれ印刷画像のドットパターンDp21(ドットの位置ずれ無し)と、印刷画像のドットパターンDp22(ドットの位置ずれ有り)と、印刷ヘッド10、20の主走査の往動時に形成される往動時ドットパターンDf2と、印刷ヘッド10、20の主走査の復動時に形成される復動時ドットパターンDb2と、を示している。
本実施例の誤差拡散法は、往動時ドットパターンDf2と復動時ドットパターンDb2のドットの分散性が良くなるように構成されていて、ドットパターンDf2、Db2の疎密が少ない点で上述のドットパターンDf1、Db1と相違する。このような疎密の小さなドットパターンDf2、Db2が組み合わされて形成された印刷画像のドットパターンDp22(ドットの位置ずれ有り)では、必然的にドットの位置ずれに起因する疎の部分同士や密の部分同士の重なりも少なくなるので、ドットの疎密が小さくなって分散性が好ましいものとなる。
このように、本願発明の発明者は、従来から行われてきたドット形成位置の高精度化による画質の改善ではなく、ドット形成位置の誤差に対するロバスト性を有する誤差拡散法の構成という逆転の発想に想到したのである。このような誤差拡散法は、各ドットパターンが形成される複数の画素のグループである画素グループ毎に分割するとともに、各画素グループに着目することによって実現される。たとえば、上述の例では、往動時ドットが形成される画素のグループと、復動時ドットが形成される画素のグループとに分割される。
図7は、双方向の主走査と副走査を行いつつインクドットを形成することによって印刷媒体上に印刷画像が生成される様子を示す説明図である。主走査とは、印刷媒体に対して印刷ヘッド10(図3)を主走査方向に相対的に移動させる動作を意味する。副走査とは、印刷媒体に対して印刷ヘッド10を副走査方向に相対的に移動させる動作を意味する。印刷ヘッド10は、印刷媒体上にインク滴を吐出してインクドットを形成するように構成されている。印刷ヘッド10は、画素ピッチkの2倍の間隔で図示しない10個のノズルを装備している。
印刷画像の生成は、主走査と副走査を行いつつ以下のように行われる。パス1では、印刷ヘッド10を往方向に主走査しつつ、ラスタ番号が1、3、5、7、9、11、13、15、17、19の10本の主走査ラインが形成される。主走査ラインとは、主走査方向に連続する画素によって形成される線を意味する。各丸は、ドットの形成位置を示している。各丸の中の数字は、同時にインクドットが形成される複数の画素から構成される画素グループを示している。パス1では、第1の画素グループに属する印刷画素にドットが形成される。
パス1の主走査が完了すると、副走査方向に画素ピッチの9倍の移動量Lで副走査送りが行われる。一般には、印刷媒体を移動させることによって副走査送りは行われるが、本実施例では、説明を分かりやすくするために印刷ヘッド10が副走査方向に移動するものとしている。副走査送りが完了すると、パス2の主走査が行われる。
パス2では、印刷ヘッド10を復方向に主走査しつつ、ラスタ番号が6、8、10、12、14、16、18、20、22、24の10本の主走査ラインが形成される。このようにして、パス2では、第2の画素グループに属する印刷画素にドットが形成される。なお、ラスタ番号が22、24の2本の主走査ラインは、図示が省略されている。パス2の主走査が完了すると、前述と同様の副走査送りが行われた後に、パス3の主走査がパス1と同様に行われる。
このように、本実施例では、第1画素グループの各々に属する印刷画素に対しては、印刷ヘッド10を往方向に主走査しつつドットが形成されることになる。一方、第2画素グループの各々に属する印刷画素に対しては、印刷ヘッド10を復方向に主走査しつつドットが形成されることになる。
図8は、印刷画像を構成する画素マトリックスM0が第1の画素グループM01(往動時にドット形成)と第2画素グループM02(復動時にドット形成)とに分割される様子を示す説明図である。第1の画素グループM01は、往動時にドットが形成される画素のグループである。第2画素グループM02は、復動時にドットが形成される画素グループである。このような画素グループの概念は、後述する誤差拡散法において画素グループ毎のドットの分散性の向上による画質向上に利用される。なお、特許請求の範囲における「ドットの形成における物理的な相違」は、この例では、ドットの形成が往方向の主走査で行われるか、あるいは復方向の主走査で行われるかの相違に相当する。
C.本発明の第1実施例における印刷データ生成処理:
図9は、本発明の実施例における印刷データ生成処理のルーチンを示すフローチャートである。印刷データ生成処理とは、カラープリンタ20に供給するための印刷データPDを生成するためにコンピュータ90で行われる処理である。
ステップS100では、プリンタドライバ96(図1)は、アプリケーションプログラム95から画像データを入力する。この入力処理は、アプリケーションプログラム95による印刷命令に応じて行われる。ここで、画像データは、RGBデータであるものとしている。
ステップS200では、解像度変換モジュール97は、入力されたRGB画像データの解像度(すなわち、単位長さ当りの画素数)を所定の解像度に変換する。
ステップS300では、色変換モジュール98は、色変換テーブルLUT(図1)を参照しつつ、画素ごとに、RGB画像データを、カラープリンタ20が利用可能なインク色の多階調データに変換する。
ステップS400では、ハーフトーンモジュール99は、ハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理とは、多階調データの階調数である256階調を、カラープリンタ20が各画素で表現可能な階調数である2階調に減少させる処理(減色処理)である。この2階調は、本実施例では、「ドットの非形成」と「ドットの形成」とで表現される。
図10は、本発明の第1実施例における誤差拡散法のフローチャートを示す説明図である。この誤差拡散法は、閾値を調整することによって各画素グループに形成されるドット群(ドットパターン)毎のドットの分散性を向上させる機能を有している点で従来の誤差拡散法と相違する。
ステップS410では、ハーフトーンモジュール99(図1)は、着目画素を選択する。着目画素とは、ドットの形成の有無の判断の対象となる画素である。
図11は、双方向印刷における印刷画像を構成する画素群において着目画素が順に選択される様子を示している。着目画素の選択は、図11下部の矢印によって示されているように各行の画素を左から順に選択し、その行の全ての画素について処理が完了すると次の行に移動する。具体的には、この画素群において、最初に画素A1(A列1行の画素)が選択され、画素B1、画素C1・・・画素I1が選択される。次に、画素A2が選択され、同様に画素B2、画素C2・・・画素I2が選択される。このような選択を繰り返すことによって、全ての画素が選択されることになる。
このような選択によれば、着目画素の左上側の画素は、常に全てが処理済みとなっていることが分かる。たとえば、図11の例では、H列4行の画素が着目画素Paとして選択されているときには、各列の1行から3行の画素と、A列からG列の4行の画素とは、全て処理済みとなっていることが分かる。この画素群の各画素内の数値は、誤差拡散処理によって既に決定されたドットの形成状態を示している。「1」は、ドット形成が決定されたことを示し、ブランクは、ドット非形成が決定されたことを示している。
ステップS420では、閾値調整モジュール112(図1)は、着目画素Paにおけるドット形成の有無の決定に使用される閾値を調整するための閾値調整値を決定する。閾値調整値は、着目画素と同一の画素グループにおける処理済みの周辺画素のドットの形成状態に応じて決定される。周辺画素とは、予め設定された履歴ウィンドウW1の範囲内の画素を意味し、特許請求の範囲における「第1の周辺画素」に相当する。同一の画素グループとは、本実施例ではドットが形成される主走査の方向が同一の画素のグループを意味する。たとえば着目画素Paは、復方向の主走査で形成されるので、復方向の主走査で形成される複数の画素のグループが同一の画素グループとなる。図11の例では、この画素群は、往方向でドットが形成される奇数行の画素グループ(グレーの画素群)と、復方向でドットが形成される偶数行の画素グループ(白色の画素群)と、から構成されているので、着目画素Paと同一の画素グループは、白色の画素群が同一の画素グループとなる。
図12は、本発明の第1実施例における閾値調整値AdTHaの決定方法を示す説明図である。閾値調整値AdTHaは、履歴ウィンドウW1の範囲内で同一の画素グループのドットの形成状態を数値化したドット密度マトリックスと、影響範囲マトリックスMhis1とを用いて決定される。具体的には、ドット密度マトリックスの各要素と、この各要素に対応する影響範囲マトリックスMhis1の各要素を乗じて中間データマトリックスDint1を生成するとともに、中間データマトリックスDint1の各要素の値を合計することによって算出される。
たとえば、図12の例では、履歴ウィンドウW1の範囲内のドット密度マトリックスの画素E3と画素H2とについては「ドット形成」と決定されているので、対応する要素にドット形成を表す数値「1」が格納されている。一方、影響範囲マトリックスMhis1では、着目画素Paと画素グループが相違する画素E3に対応する要素には、数値「0」が格納されており、着目画素Paと画素グループが同一の画素H2に対応する要素には、数値「30」が格納されている。数値「30」は、予め設定された影響範囲マトリックスMhis1の各要素の値の1つである。このような各要素の乗算によって生成されたマトリックスが中間データマトリックスDint1である。中間データマトリックスDint1は、要素D1に格納された数値「30」以外は、全て数値「0」が格納されているので、閾値調整値AdTHaは、30となる。
ステップS430では、ハーフトーンモジュール99(図1)は、調整閾値THaを決定する。閾値の決定は、全ての画素に同一に設定された初期値としての初期閾値THiに対して閾値調整値AdTHaを加算することによって行われる。これにより、着目画素Paにおいては、閾値調整値AdTHaだけ閾値が増加したためドットの形成が抑制されることになる。換言すれば、履歴ウィンドウW1の範囲内の同一の画素グループの画素においてドットが形成されると、着目画素Paにおけるドットの形成が抑制されることになるので、同一の画素グループにおけるドットの集中が抑制されることになる。
加えて、履歴ウィンドウW1の範囲内の同一の画素グループの画素においてドットが形成されない場合には、処理済の画素における前述の抑制によって蓄積された拡散誤差(後述)によってドットの形成が結果的に促進されることになる。換言すれば、閾値調整値AdTHaによる閾値の調整は、履歴ウィンドウW1の範囲内の同一の画素グループの画素におけるドットの形成状態とは逆のドット形成状態になりやすくするように行われていることになる。
ステップS440では、ハーフトーンモジュール99(図1)は、補正データDcが生成される。補正データDcは、入力データの階調値DTaと着目画素に対して処理済みの他の複数の画素から拡散されている拡散誤差EDaとを加算することによって生成される。なお、処理済みの他の複数の画素は、特許請求の範囲における「第2の周辺画素」に相当する。
拡散誤差EDaは、図13に示される誤差拡散マトリックスMedを使用して拡散された誤差である。本実施例では、周知のJarvis、Judice & Ninke型の誤差拡散マトリックスを使用して誤差が拡散されている。このような誤差拡散は、誤差拡散法の本来的な特性として、ドットパターンに好ましいドットの分散性を持たせることを特徴としている。
ステップS450では、ハーフトーンモジュール99は、ドットの形成の有無を決定するために補正データDcと調整閾値THaとを比較する。この比較の結果、補正データDcが調整閾値THaよりも大きい場合には、ドットを形成する旨が決定される(ステップS460)。一方、補正データDcが調整閾値THaよりも小さい場合には、ドットを形成しない旨が決定される(ステップS470)。
ステップS480では、誤差拡散モジュール110(図1)は、階調誤差が算出されるとともに、階調誤差が周囲の未処理の画素に拡散される。階調誤差は、補正データDcとドットの形成の有無の決定によって生じた現実の階調値との間の差である。たとえば、補正データDcの階調値が「223」で、ドットの形成によって現実に生じた階調値が255であるとすると、階調誤差は、「−32」(=223−255)となる。本ステップ(S480)では、前述のように誤差拡散マトリックスMedを用いて誤差の拡散が行われる。
具体的には、着目画素の右隣の画素については、着目画素で生じた階調誤差「−32」に対して誤差拡散マトリックスMedのうち右隣の画素に対応する係数「7/48」を乗じた値「−224/48」(=−32×7/48)が拡散される。さらに、着目画素の2つの右隣の画素については、着目画素で生じた階調誤差「−32」に対して誤差拡散マトリックスMedのうち2つの右隣の画素に対応する係数「5/48」を乗じた値「−160/48」(=−32×5/48)が拡散される。拡散された誤差は、各未処理画素の誤差バッファ(図示せず)に蓄積されて拡散誤差となる。
このようにして、誤差拡散処理が完了すると、処理がステップS500(図9)に戻されて、印刷データ生成モジュール100は、決定されたドット形成状態に基づいて印刷データPDを生成する。
このように、本発明の第1実施例の誤差拡散法によれば、履歴ウィンドウW1の範囲内の同一の画素グループの画素におけるドットの形成状態とは逆のドット形成状態になりやすくするように閾値の調整が行われるので、各画素グループに属する画素群に形成されるドットの分散性を向上させることができる。
なお、画素グループは、上述の実施例のように奇数行の画素グループや偶数行の画素グループといった画素グループが設定された場合だけでなく、たとえば図14に示されるような奇数列の画素グループや偶数列の画素グループといった他の画素グループが設定された場合にも、これに適した影響範囲マトリックス(たとえば影響範囲マトリックスMhis1m)の設定によって適用することが可能である。
D.本発明の第2実施例における印刷データ生成処理:
本発明の第2実施例における印刷データ生成処理は、画素グループの構成が相違する点と、入力データの階調値DTaに応じて履歴ウィンドウW1と影響範囲マトリックスとが切り替えられる点とが第1実施例の印刷データ生成処理と相違する。
図15は、本発明の第2実施例における印刷画像の生成方法を示す説明図である。第2実施例の印刷画像の生成方法は、前述の印刷画像の生成方法(図7)とは別の画素グループが構成される点で相違する。第2実施例の印刷画像の生成方法は、副走査送り量が移動量Ls1(5ドットピッチ)と移動量Ls2(4ドットピッチ)とを交互に繰り返して実行する点と、パス1、2では、画素位置番号が奇数の画素にドットが形成され、パス3、4では、画素位置番号が偶数の画素にドットが形成され、パス1〜4のドット形成を繰り返すことによって印刷画像を生成する点で前述の印刷画像の生成方法と相違する。
図16および図17は、印刷画像を構成する画素マトリックスM0aが第1の画素グループM1_3(往動時にドット形成)と第2画素グループM2_4(復動時にドット形成)とに分割される様子を示す説明図である。第1の画素グループM1_3は、往動時にドットが形成される画素のグループである。第2画素グループM2_4は、復動時にドットが形成される画素グループである。このように、本発明の第2実施例における印刷画像を構成する画素マトリックスM0aは、市松模様上に2つの画素グループM1_3、M2_4に分割されている。
図18は、本発明の第2実施例における履歴ウィンドウW2a、W2b、W2cの切替の様子を示す説明図である。履歴ウィンドウW2a、W2b、W2cの切替は、入力データの入力階調値DTaに基づいて行われる。たとえば、入力階調値DTaが1〜30の範囲内にあるときには、最も広い履歴ウィンドウW2aが選択され、入力階調値DTaが31〜60の範囲内にあるときには、中間的な広さの履歴ウィンドウW2bが選択され、入力階調値DTaが61〜195の範囲内にあるときには、最も狭い履歴ウィンドウW2cが選択される。このように、履歴ウィンドウW2a、W2b、W2cが入力階調値DTaに基づいて切り替えられるのは、処理の効率化を図るためである。すなわち、入力階調値DTaが1〜30の範囲内にあってドット密度が疎の場合には、広い領域までドットの形成状態の履歴を参照することがドットの分散性の向上に要求されるが、ドット密度が密になれば、狭い範囲のドットの形成状態の履歴を参照することで同様の効果が得られるからである。
なお、入力階調値DTaが1〜30の範囲と226〜255の範囲とにおいて、同一の履歴ウィンドウW2aが使用されるのは、ドットの非形成に着目すれば、入力階調値DTaが226〜255の範囲におけるドット非形成密度が、入力階調値DTaが31〜60の範囲におけるドット形成密度と同等となるので、参照範囲としては等価として扱うことが可能だからである。この点は、他の入力階調値DTaの範囲についても同様である。ただし、これは理論上の問題であって、実装上は、ハイライトとシャドーの一方についてのみ履歴範囲を広げるように構成しても十分な効果を奏することができる。
図19、図20、および図21は、履歴ウィンドウW2a、W2b、W2cのそれぞれに対応して設定された3つの影響範囲マトリックスMhis1a、Mhis1b、Mhis1cを用いて閾値調整値AdTHaが決定される様子を示す説明図である。このように、入力階調値DTaに応じて、履歴ウィンドウW2a、W2b、W2cと、これらの履歴ウィンドウのそれぞれに対応する影響範囲マトリックスMhis1a、Mhis1b、Mhis1cとを用いて、第1実施例と同様の方法で閾値調整を決定することができる(図12)。
このように、第2実施例によれば、入力階調値DTaに応じて履歴ウィンドウと影響範囲マトリックスとを切り替えることによって、効率的な処理と、画素グループ毎の好ましいドット分散性とを実現することができる。なお、閾値調整マトリックスの切替は、本実施例では、3種類であるが、たとえば2種類あるいは4種類以上であっても良い。
E.本発明の第3実施例における印刷データ生成処理:
第3実施例における印刷データ生成処理は、処理済みの画素のドットの形成状態に基づいて閾値調整値を決定するのではなく、ドット形成状態の決定に応じて未処理の画素に閾値調整値を分散して各未処理画素に蓄積する点で第1、第2実施例と相違する。換言すれば、第1、第2実施例では平均誤差最小法的アプローチで閾値調整値を決定しているのに対して、第3実施例では、誤差拡散法的アプローチで閾値調整値を決定する点が相違する。
しかしながら、平均誤差最小法と誤差拡散法とがドットデータへの変換で生じた量子化誤差に応じて、着目画素の閾値や階調値を調整して量子化誤差を補償あるいは小さくするように変換してドットの分散性を向上させる点で共通するように、第3実施例も基本的なメカニズムは第1、第2実施例とほぼ等価である。ただし、第3実施例では、着目画素Paが特許請求の範囲における「履歴画素」に相当し、分散先画素Pcが特許請求の範囲における「着目画素」に相当することになる。
図22は、本発明の第3実施例における印刷データ生成処理のルーチンを示すフローチャートである。このフローチャートは、ステップS420が削除されるとともに、ステップS485が追加されている点で第1実施例のフローチャート(図9)と相違する。削除されたステップS420は、処理済みの画素のドットの形成状態に基づいて閾値調整値を決定する工程である。追加されたステップS485は、ドット形成状態の決定に応じて未処理の画素に閾値調整値を分散して分散先の各未処理画素の閾値バッファ(図示せず)に蓄積する工程である。この工程(ステップS485)は、閾値調整モジュール112(図1)によって実行される。
図23は、本発明の第3実施例における閾値調整値の分散元の画素(着目画素Pa)と分散先の1つの画素(分散先画素Pc)とを示す説明図である。図23から分かるように、画素グループは、第2実施例と同様に市松模様上に構成されており、閾値調整値の分散元の着目画素Paと分散先の分散先画素Pcは、同一の画素グループに属している。
図24は、閾値調整値の分散に使用される3つの分散マトリックスMth3a、Mth3b、Mth3cを示す説明図である。分散マトリックスMth3aは、入力階調値DTaが1〜30あるいは226〜255の範囲内にあるときに使用されるマトリックスである。分散マトリックスMth3bは、入力階調値DTaが31〜60あるいは196〜225の範囲内にあるときに使用されるマトリックスである。分散マトリックスMth3cは、入力階調値DTaが61〜195の範囲内にあるときに使用されるマトリックスである。このように、入力階調値DTaに基づいて3つの分散マトリックスMth3a、Mth3b、Mth3cを切り替えているのは、第2実施例と同様に処理の効率化と適切な閾値調整値の分散を図るためである。
たとえば、着目画素Paの入力階調値DTaが1〜30あるいは226〜255の範囲内において「ドット形成」との決定がなされると、分散マトリックスMth3aが選択されるとともに、閾値調整値の分散先画素の1つである分散先画素Pcには、分散マトリックスMth3aの対応する要素に格納された閾値調整値49が分散される。さらに、同一の入力階調値DTaにおいて、着目画素が画素F5(図23)から画素J5(図23)に変更され、画素J5について「ドット形成」との決定がなされると、さらに、分散マトリックスMth3aの対応する要素に格納された閾値調整値22が分散されて閾値バッファ(図示せず)に加算される。これにより、分散先画素Pcの閾値調整値は、71(=49+22)となる。
このように、第3実施例によれば、ドットの形成の有無の結果に応じて、閾値調整値を同一グループの画素に分散して蓄積することによって、第2実施例と同様の効果を得ることができる。なお、分散マトリックスの切替は、本実施例では、3種類であるが、たとえば2種類あるいは4種類以上であっても良い。
なお、画素グループは、上述の実施例のように奇数行の画素グループや偶数行の画素グループといった画素グループが設定された場合だけでなく、たとえば図25や図26に示されるような奇数列の画素グループと偶数列の画素グループの組合せや奇数行の画素グループと偶数行の画素グループの組合せといった他の画素グループが設定された場合にも、これに適した分散マトリックス(たとえば分散マトリックスMth3am1、Mth3am2)を設定することによって適用することが可能である。
F.変形例:
以上、本発明のいくつかの実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能である。例えば、本発明は、以下のような変形例についての誤差拡散法の構成が可能である。
F−1.上述の実施例では、双方向印刷において、印刷ヘッド10、12の往動時に形成される画素グループと、印刷ヘッド10、12の復動時に形成される画素グループとを、ドット分散性向上の対象とする複数の画素グループに設定されているが、たとえば各主走査においてドットが形成される複数の画素群毎に画素グループを設定しても良い。
図27は、本発明の変形例において各主走査で形成されるドット群が、共通の印刷領域で相互に組み合わせられることによって印刷媒体上に印刷画像が生成される様子を示す説明図である。本発明の変形例では、第2実施例(図15)と同一の方法で印刷画像が形成される。ただし、第2実施例では、印刷ヘッド10、12の往動時に形成される画素グループと、印刷ヘッド10、12の復動時に形成される画素グループとに分割されているが、変形例では、各主走査に着目して画素グループが設定されている。
ドットパターンDP1、DP1aは、第1の画素グループ(図15)に属する複数の画素に形成されたドットパターンを示している。ドットパターンDP2、DP2aは、第1と第2の画素グループとに属する複数の画素に形成されたドットパターンを示している。ドットパターンDP3、DP3aは、第1〜第3の画素グループに属する複数の画素に形成されたドットパターンを示している。ドットパターンDP4、DP4aは、全画素グループに属する複数の画素に形成されたドットパターンを示している。
ドットパターンDP1、DP2、DP3、DP4は、従来技術の誤差拡散法を使用した場合におけるドットパターンである。ドットパターンDP1a、DP2a、DP3a、DP4aは、本願発明の誤差拡散法を使用した場合におけるドットパターンである。図27から分かるように、本願発明の誤差拡散法を使用した場合には、特にドットパターンの重畳が少ないドットパターンDP1a、DP2aにおいて、従来技術の誤差拡散法を使用した場合よりもドットの分散性が均一である。
従来技術の誤差拡散法には、画素グループという概念が無なかった。しかし、本願発明者は、敢えてドットの形成過程におけるドットパターンに着目して印刷画像の画質の解析を行った。この解析の結果、ドットの形成過程におけるドットパターンの疎密に起因して、画像のむらが発生することが分かったのである。この画像のむらは、同一の主走査で形成される複数色のドットの重なり方が不均一であるため、複数色のドットが接触して滲む部分と、複数色のドットが離れていて滲まない部分とが、まだら状に発生することに起因して色むらが生じていることが発明者によって見いだされた。
このような色むらは、1回のパスで印刷画像を形成する場合においても発生し得る。しかし、色むらが印刷画像の全面で均一に発生しても人間の目には近くされにくい。均一に発生している故に、低周波成分を含む不均一な「むら」としてはインクの滲みが発生しないからである。
ところが、同一の主走査でほぼ同時にインクドットが形成される画素グループに形成されるドットパターンにおいて、インクの滲みで人間の目に認識されやすい低周波領域でむらが発生すると、顕著な画質劣化として顕在化することになる。このように、インクドットの形成によって印刷画像を形成する場合には、ほぼ同時にインクドットが形成される画素グループに形成されるドットパターンにも着目して誤差拡散法を構成することが高画質化につながることを発明者によって初めて見いだされたのである。
さらに、インクの滲みだけでなく、インク凝集むらや光沢むら、ブロンズ現象といったインクの物理現象も画質の劣化として人間の目に顕著に知覚されることも本願発明者によって突き止められた。ブロンズ現象とは、インク滴の染料の凝集等によって、見る角度によって印刷表面がブロンズ色に呈色するなど、印刷用紙表面で反射される光の状態が変化する現象である。
さらに、従来技術の誤差拡散法では、各画素グループの相互の位置関係が予め想定されたとおりになっていることを前提として最適化が図られているので、相互の位置関係がズレた場合には最適性が保証されず、顕著に画質が劣化する原因となっていた。しかし、本願発明の誤差拡散法によれば、各画素グループのドットパターンにおいてもドットの分散性が確保されているので、相互の位置関係のズレに対する高いロバスト性も確保できることが本願発明の発明者の実験によって初めて確認された。
さらに、この技術的思想は、印刷速度の高速化に伴って重要性が増していることも発明者によって突き止められた。印刷速度の高速化は、インクの吸収のための時間が十分に取られないうちに、次の画素グループのドットが形成されることにつながるからである。このような誤差拡散法は、以下のような設定に基づいて上述の各実施例と同様に実現可能である。
図28および図29は、印刷画像を構成する画素マトリックスM0bが第1の画素グループM1bと、第2画素グループM2bと、第3の画素グループM3bと、第4画素グループM4bと、に分割される様子を示す説明図である。このような4つの画素グループが設定される場合には、このようなグループ分けに対応する影響範囲マトリックスMth4aのようなマトリックスを設定することができる。
なお、特許請求の範囲における「ドットの形成における物理的な相違」は、この例では、ドットの形成が形成される主走査の相違に相当する。
F−2.上述の実施例では、複数の画素グループの相互に重複が存在しないが、重複するように複数の画素グループを設定するようにしても良い。たとえば上述の変形例における主走査毎に設定される4つの画素グループM1b、M2b、M3b、M4b(図29)と、主走査の方向という物理的特性の共通性に基づいて4つの画素グループM1b、M2b、M3b、M4bを組み合わせて設定された2つの画素グループ群M1_3、M2_4(図17)を重複して設定するようにしても良い。こうすれば、各主走査で形成されるドット群のドットの分散性と、各方向の主走査で形成されるドット群のドットの分散性の双方を制御することができる。
さらに、両者の重み付けの調整によって、両者のドットの分散性と画質の劣化との関係を考慮したきめの細かい制御を実現することができる。たとえば図31に示されるように、前述の実施例の閾値調整値を三等分して、ドットの分散性が画質に大きな影響を与える画素グループ群M1_3、M2_4に対応する影響範囲マトリックスの格納要素に三分の二を配分し、4つの画素グループM1b、M2b、M3b、M4bに対応する影響範囲マトリックスの格納要素に三分の一を配分するようにして実現することができる。これにより、ドット形成時における物理的な特性に着目してきめ細かな制御を実現することができる。
具体的には、たとえばインク凝集その他のインクの物理現象に起因する画質劣化を抑制する観点から決定された重み付けで4つの画素グループM1b、M2b、M3b、M4bのドットの分散性を向上させるとともに、双方向印刷におけるドットのズレという物理的現象に起因する画質劣化を抑制する観点から決定された重み付けで2つの画素グループM1_3、M2_4のドットの分散性を向上させるといった決めの細かな制御を実現することができる。
さらに、このような重み付けは、着目画素と前記履歴画素の少なくとも一方の階調値に応じて変動させるように構成されていても良い。たとえば、比較的に低い階調値では、ドット形成位置ズレ重視の観点から2つの画素グループ群M1_3、M2_4のドットの分散性を重視するが、比較的に高い階調値は、滲み抑制重視の観点から4つの画素グループM1b、M2b、M3b、M4bのドットの分散性をより重視するといったさらに決めの細かな制御を実現することができる。
なお、着目画素と同一の画素グループ群に属する画素であって、着目画素の近傍に予め設定された参照対象となる変換済みの周辺画素が特許請求の範囲における「第3の周辺画素」に相当する。
F−3.上述の実施例では、ドットの形成に着目した処理が行われているが、ドットの非形成に着目した処理を行うようにしても良い。具体的には、前述の各実施例のように、着目画素と同一の画素グループに属する画素であって、着目画素の近傍に予め設定された前記変換済みの画素である履歴画素におけるドットの形成状態に応じて、ドットの形成に応じてドットの形成を抑制する抑制調整を閾値の調整として行うようにしても良いし、あるいはドットの非形成に着目し、ドットの非形成に応じてドットの形成を促進する促進調整を閾値の調整として行うようにしても良いし、あるいは双方を組み合わせても良い。このように、ドットの形成に着目した抑制調整とドットの非形成に着目した促進調整の少なくとも一方を行えばよい。
F−4.上述の実施例では、閾値を定量的に調整してドットの形成を制御しているが、たとえば履歴の参照範囲に1つでもドットが形成されている場合には、着目画素へのドットを非形成とし、参照範囲内の全ての画素にドットが形成されていない場合には、固定閾値による通常の誤差拡散を行うように構成しても良い。こうすれば、本願発明を簡易に適用することができる。ただし、第2、3実施例のように入力階調値に応じて参照範囲を切り替えるようにすることが好ましい。なお、特許請求の範囲における「ドットの形成に着目した抑制調整」と「ドットの非形成に着目した促進調整」とは、このような構成を含む広い概念を有する。
F−5.さらに、上述の実施例と変形例の中間的な第3変形例の処理として、たとえば図32〜図34に示されるような処理も適用可能である。具体的には、図32の例では、履歴の参照範囲に1つでもドットが形成されている場合には、閾値調整値AdTHaを「40」とし、さらに、図33と図34の例では、それぞれ閾値調整値AdTHaを「60」と「80」とに決定するような中間的な処理も可能である。なお、特許請求の範囲における「ドットの形成に着目した抑制調整」と「ドットの非形成に着目した促進調整」とは、さらに、このような構成をも含む広い概念を有する。
F−6.上述の実施例では、履歴ウィンドウ(対応する影響範囲マトリックスを含む)や分散マトリックスを入力階調値に応じて切り替えているが、たとえば最も広い履歴ウィンドウの図心に近い位置の履歴画素(たとえば図18の例では画素F3)や分散マトリックスの図心に近い位置の未処理画素の入力階調値に応じて切り替えるように構成してもよい。
F−7.上述の実施例では、着目画素と履歴画素の少なくとも一方の階調値に応じて、これらの階調値が低くなるほど履歴画素の範囲が広くなるとともに、単一のドット形成状態に対する調整量が大きくなるように構成されているが、これに限られずハードウェアの特性に対してハーフトーン処理をきめ細かに適用させるために、着目画素と履歴画素の少なくとも一方の階調値に応じて、履歴画素の範囲と、単一のドット形成状態に応じて決定される調整量との少なくとも一方が変更されるように構成しても良い。
こうすれば、階調値に応じて画素グループ毎のドットの分散性を制御することができるので、多種多様な特性を有するハードウェアに対して、ハーフトーン処理をきめ細かに適用させることができる。たとえば特定の階調値で擬似輪郭を発生させるような特性を有するプリンタに対しては、特定の階調値でのドットの分散性を重点的に制御するように構成してもよい。
F−8.上述の各実施例では、着目画素の変換処理で生じた誤差を未処理の周辺画素に拡散する誤差拡散法を使用しているが(ステップS480)、たとえばステップS480の処理に平均誤差最小法を使用しても良い。ただし、平均誤差最小法が重み付けフィルタの範囲(参照画素の範囲)でのみ量子化誤差を最小化するのに対して、誤差拡散法は、範囲を制限することなく量子化誤差を最小化することができるので、画像全体の階調表現の忠実性が高いという利点を有している。
F−9.上述の実施例では、単一サイズのドットの使用を想定しているが、本発明は、たとえば複数サイズのドットを形成可能な印刷にも適用可能である。具体的には、たとえば大中小のサイズ毎にドット記録率を設定することによって、本発明を適用することが可能である。
F−10.上述の実施例では、誤差拡散法でのみハーフトーン処理が行われているが、たとえば組織的ディザ法のような他のハーフトーン手法と組み合わせてハーフトーン処理を行うように構成してもよい。たとえば大中小の各サイズで印刷画像を生成する場合には、小サイズのドットについては本願発明の誤差拡散法でハーフトーン処理を行い、大中の各サイズのドットについてはディザ法でハーフトーン処理を行うように構成しても良い。一方、たとえば単一サイズのドットで印刷画像を生成する場合には、一部の階調値の領域については誤差拡散法でハーフトーン処理を行い、他の領域についてはディザ法によってハーフトーン処理を行うように構成しても良い。
本発明の実施例における印刷システムの構成を示すブロック図。 カラープリンタ20の概略構成図。 印刷ヘッド10、20の下面におけるノズル配列を示す説明図。 従来の誤差拡散法を用いて形成されたドットパターンを示す説明図。 従来の誤差拡散法を用いて形成された印刷画像の画質が双方向印刷によって劣化する様子を示す説明図。 双方向印刷によって形成された印刷画像の画質劣化が本願発明の実施例の誤差拡散法によって抑制されている様子を示す説明図。 双方向の主走査と副走査を行いつつインクドットを形成することによって印刷媒体上に印刷画像が生成される様子を示す説明図。 印刷画像を構成する画素マトリックスM0が第1の画素グループM01と第2画素グループM02とに分割される様子を示す説明図。 本発明の実施例における印刷データ生成処理のルーチンを示すフローチャート。 本発明の第1実施例における誤差拡散法のフローチャートを示す説明図。 双方向印刷における印刷画像を構成する画素群PG1において着目画素が順に選択される様子を示す説明図。 本発明の第1実施例における閾値調整値AdTHaの決定方法を示す説明図。 Jarvis、Judice & Ninke型の誤差拡散マトリックスを示す説明図。 第1実施例の変形例における複数の画素グループの設定と、これに対応する影響範囲マトリックスMhis1mを示す説明図。 本発明の第2実施例における印刷画像の生成方法を示す説明図。 本発明の第2実施例における印刷画像を構成する画素マトリックスM0aを示す説明図。 本発明の第2実施例における第1の画素グループM1_3と第2画素グループM2_4とを示す説明図。 本発明の第2実施例における履歴ウィンドウW2a、W2b、W2cの切替の様子を示す説明図。 履歴ウィンドウW2aと影響範囲マトリックスMhis1aとを用いて閾値調整値が決定される様子を示す説明図。 履歴ウィンドウW2bと影響範囲マトリックスMhis1bとを用いて閾値調整値が決定される様子を示す説明図。 履歴ウィンドウW2cと影響範囲マトリックスMhis1cとを用いて閾値調整値が決定される様子を示す説明図。 本発明の第3実施例における印刷データ生成処理のルーチンを示すフローチャート。 本発明の第3実施例における閾値調整値の分散元の画素(着目画素Pa)と分散先の1つの画素(分散先画素Pc)とを示す説明図。 閾値調整値の分散に使用される3つの分散マトリックスMth3am1、Mth3b、Mth3cを示す説明図。 第3実施例の第1変形例における複数の画素グループの設定と、これに対応する分散マトリックスMth3am1を示す説明図。 第3実施例の第2変形例における複数の画素グループの設定と、これに対応する分散マトリックスMth3am2を示す説明図。 本発明の第1変形例において各主走査で形成されるドット群が共通の印刷領域で相互に組み合わせられることによって印刷媒体上に印刷画像が生成される様子を示す説明図。 本発明の第1変形例における印刷画像を構成する画素マトリックスM0bを示す説明図。 本発明の第1変形例における第1〜第4の画素グループM1b、M2b、M3b、M4bを示す説明図。 本発明の第1変形例における複数の画素グループに対応する影響範囲マトリックMth4aを示す説明図。 本発明の第2変形例における画素グループ群M1_3、M2_4と画素グループM1b、M2b、M3b、M4bと、これの重み付けを示す説明図。 本発明の第3変形例において履歴ウィンドウW2aと影響範囲マトリックスMhis2aとを用いて閾値調整値が決定される様子を示す説明図。 本発明の第3変形例において履歴ウィンドウW2bと影響範囲マトリックスMhis2bとを用いて閾値調整値が決定される様子を示す説明図。 本発明の第3変形例において履歴ウィンドウW2cと影響範囲マトリックスMhis2cとを用いて閾値調整値が決定される様子を示す説明図。
符号の説明
10…印刷ヘッド
20…カラープリンタ
22…モータ
24…キャリッジモータ
26…ローラ
30…キャリッジ
32…操作パネル
40…制御回路
49…閾値調整値
56…コネクタ
60…印刷ヘッドユニット
90…コンピュータ
91…ビデオドライバ
95…アプリケーションプログラム
96…プリンタドライバ
97…解像度変換モジュール
98…色変換モジュール
99…ハーフトーンモジュール
100…印刷データ生成モジュール
110…誤差拡散モジュール
112…閾値調整モジュール

Claims (4)

  1. 画像を構成する各画素についての階調値によって構成された画像データを、前記各画素についてのドットの形成と非形成のいずれかの状態を表すドットデータに変換して印刷部に供給する印刷制御装置であって、
    前記印刷部は、前記ドットの形成される主走査の相違が想定された複数の画素グループ毎に形成されるドット群の各々を共通の印刷領域で相互に組み合わせることによって印刷画像を形成し、
    前記印刷制御装置は、
    前記ドットの形成状態の決定対象となる着目画素を選択する着目画素選択部と、
    前記着目画素と同一の画素グループに属する画素であって、前記着目画素を含む第1の所定の範囲内に配置された前記変換済みの第1の周辺画素である履歴画素におけるドットの形成状態に応じて、前記履歴画素において前記ドット形成されると前記着目画素におけるドットの形成を抑制する抑制調整と、前記履歴画素において前記ドット形成されないと前記着目画素におけるドットの形成を促進する促進調整の少なくとも一方によって閾値を調整する閾値調整部と、
    前記着目画素を含む第2の所定の範囲内に配置された前記変換済みの第2の周辺画素における前記変換によって生じた量子化誤差を補償するために拡散される拡散誤差を生成する誤差拡散部と、
    前記階調値と前記拡散誤差との和である補正階調値と、前記調整された閾値との比較に応じて、前記選択された着目画素におけるドットの形成と非形成のいずれかを決定して前記ドットデータを生成するドットデータ生成部と、
    を備える印刷制御装置。
  2. 請求項1記載の印刷制御装置であって、
    前記閾値調整部は、前記着目画素と前記履歴画素の少なくとも一方の階調値に応じて、前記第1の所定の範囲と、単一のドット形成状態に応じて決定される調整量との少なくとも一方変更する、印刷制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の印刷制御装置であって、
    前記閾値調整部は、前記着目画素と前記履歴画素の少なくとも一方の階調値に応じて、前記階調値が低くなるほど前記第1の所定の範囲が広くなるように構成されている、印刷制御装置。
  4. 画像を構成する各画素についての階調値によって構成された画像データを、前記各画素についてのドットの形成と非形成のいずれかの状態を表すドットデータに変換して印刷部に供給するための処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
    前記印刷部は、前記ドットの形成される主走査の相違が想定された複数の画素グループ毎に形成されるドット群の各々を共通の印刷領域で相互に組み合わせることによって印刷画像を形成し、
    前記コンピュータプログラムは、
    前記ドットの形成状態の決定対象となる着目画素を選択する着目画素選択機能と、
    前記着目画素と同一の画素グループに属する画素であって、前記着目画素を含む第1の所定の範囲内に配置された前記変換済みの第1の周辺画素である履歴画素におけるドットの形成状態に応じて、前記履歴画素において前記ドット形成されると前記着目画素におけるドットの形成を抑制する抑制調整と、前記履歴画素において前記ドット形成されないと前記着目画素におけるドットの形成を促進する促進調整の少なくとも一方によって閾値を調整する閾値調整機能と、
    前記着目画素を含む第2の所定の範囲内に配置された前記変換済みの第2の周辺画素における前記変換によって生じた量子化誤差を補償するために拡散される拡散誤差を生成する誤差拡散機能と、
    前記階調値と前記拡散誤差との和である補正階調値と、前記調整された閾値との比較に応じて、前記選択された着目画素におけるドットの形成と非形成のいずれかを決定して前記ドットデータを生成するドットデータ生成機能と、
    前記コンピュータに実現させるプログラムを備える、コンピュータプログラム。
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