JP4708013B2 - シリンジ - Google Patents
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Description
このように潤滑剤をガスケットの摺動部に塗布して摺動性を高める方法は、使い捨て注射器具等では多用されているが、薬剤を長時間収納するプレフィルドシリンジ等においては、収納された薬剤に対する影響を考慮して潤滑剤を塗布しないものが望まれている。
また、安定して高い摺動性を備え、非常に精細かつ安定した吐出性能、例えば、シリンジポンプにて使用されるプレフィルドシリンジ製剤等においては、更に高機能を有するものが求められている。すなわち、目視では確認できないほど極低速条件下(例えば、直径約24mmのシリンジにおいて、1mL/時間で吐出させた場合の移動速度は約2mm/時間程度である)において薬液を吐出させた場合、脈動と呼ばれる吐出状態が生じる場合があり、薬液の正確な投与が妨げられるおそれがあった。
そこで、本発明は、上記問題点を解決するものであり、摺動面に潤滑剤を付与することなく安定した摺動性を有するガスケットを備えるシリンジを提供するものである。
(1) シリンジ用外筒と、前記シリンジ用外筒の内部に摺動可能に収納されたシリンジ用ガスケットとからなるシリンジであって、前記ガスケットは、コア部と、少なくとも前記コア部の外面であって前記シリンジ外筒内面と接触する部分に設けられた被覆層とを備え、該被覆層は、フッ素系樹脂、ケイ素系樹脂、ウレタン系樹脂およびシランカップリング剤硬化物を含有する組成物により形成された被膜と該被膜に保持された微粒子とからなるものであり、前記被覆層は前記微粒子に起因する粗面表面となっており、さらに、前記被覆層は、該被覆層における前記微粒子の容積比率が50〜75%であり、かつ表面粗度が、2.2〜3.5μmであるシリンジ。
(3)前記被覆層は厚さが、5〜6μmである上記(1)または(2)に記載のシリンジ。
(4)前記被覆層は、前記フッ素系樹脂、前記ケイ素系樹脂、前記ウレタン系樹脂、前記微粒子および乳化助剤を精製水に分散させた主剤に、シランカップリング剤を添加し混合した被覆用液をガスケット本体に塗布し、硬化させることにより形成したものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のシリンジ。
(5)前記乳化助剤は、N−メチルピロリドンである上記(4)に記載のシリンジ。
(7)前記親水性有機溶剤は、i−プロパノール、ブチルカルビトール、メチルエチルケトンのいずれかである上記(6)に記載のシリンジ。
(9) 前記フッ素系樹脂、前記ケイ素系樹脂、前記ウレタン系樹脂の少なくとも1つは、熱硬化性樹脂である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のシリンジ。
(10) 前記フッ素系樹脂は、ポリテトラフルオロエチレンもしくはポリテトラフルオロエチレンを基本構造に持つものである上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のシリンジ。
(11) 前記ケイ素系樹脂は、ポリシロキサンを基本構造に持つものである上記(1)ないし(10)のいずれかに記載のシリンジ。
(12) 前記ウレタン系樹脂は、ポリウレタンを基本構造に持つものである上記(1)ないし(11)のいずれかに記載のシリンジ。
(14) 前記合成樹脂微粒子は、シリコーン樹脂微粒子、スチレン系樹脂微粒子、オレフィン系樹脂微粒子、ポリ酢酸ビニル微粒子、ポリエステル微粒子、ポリアミド微粒子、ポリメタアクリレート微粒子、フッ素樹脂微粒子からなる群より選択された少なくとも一種のものである上記(13)に記載のシリンジ。
(15) 前記無機微粒子は、セラミックス微粒子、タルク微粒子、金属酸化物微粒子からなる群より選択された少なくとも一種のものである上記(13)に記載のシリンジ。
(16) 前記セラミックス微粒子は、シリカ微粒子 、アルミナ微粒子 、ジルコニア微粒子 、ゼオライト微粒子からなる群より選択された少なくとも一種のものである上記(15)に記載のシリンジ。
(17) 前記金属酸化物微粒子は、酸化チタン微粒子、酸化亜鉛微粒子からなる群より選択された少なくとも一種のものである上記(15)に記載のシリンジ。
(18)前記微粒子は、タルク微粒子である上記(1)ないし(12)のいずれかに記載のシリンジ。
また、本発明の医療用具は、医療用部材の内部に液密かつ摺動可能に収納される医療用具であって、該医療用具は、前記医療用部材と接触する部分に設けられた被覆層を備え、該被覆層は、フッ素系樹脂、ケイ素系樹脂及びウレタン系樹脂を含有する組成物により形成された被膜と該被膜に保持された微粒子とからなるものであり、かつ、該被覆層は前記微粒子に起因する粗面表面となっている。このため、医療用具は、液密性を備えかつ、摺動面に潤滑剤を付与することなく安定した摺動性を有する。
また、本発明の医療用具は、第1の医療用部材と、該第1の医療用部材を内部に液密に摺動可能に収納する第2の医療用部材とを備える医療用具であって、前記第1の医療用部材の前記第2の医療用部材と接触する部分に設けられた被覆層を備え、該被覆層は、フッ素系樹脂、ケイ素系樹脂及びウレタン系樹脂を含有する組成物により形成された被膜と該被膜に保持された微粒子とからなるものであり、かつ、該被覆層は前記微粒子に起因する粗面表面となっている。このため、第1の医療用部材は、液密性を備えかつ、摺動面に潤滑剤を付与することなく安定した摺動性を有する。
図1は、本発明の医療用具をシリンジ用ガスケットに応用した実施例の正面図、図2は、図1に示すシリンジ用ガスケットの断面図、図3は、図1に示すシリンジ用ガスケットの平面図、図4は、図1に示すシリンジ用ガスケットの底面図である。
本発明の医療用具1は、医療用部材に摺動可能に接触する医療用具であり、医療用部材と接触する部分に設けられた被覆層3を備えており、かつ、被覆層3は、摺動性付与成分と柔軟性付与成分とを含有する組成物により形成された被膜と被膜に保持された微粒子とからなるものであり、かつ、被覆層3は微粒子に起因する粗面表面となっている。
また、本発明の医療用具1は、医療用部材の内部に液密かつ摺動可能に収納される医療用具であり、医療用部材と接触する部分に設けられた被覆層3を備えており、かつ、被覆層3は、フッ素系樹脂、ケイ素系樹脂及びウレタン系樹脂を含有する組成物により形成された被膜と被膜に保持された微粒子とからなるものであり、かつ、被覆層3は微粒子に起因する粗面表面となっているものである。
また、本発明の医療用具10は、第1の医療用部材1と、第1の医療用部材1と摺動可能に接触する第2の医療用部材11とを備える医療用具であり、第1の医療用部材1の第2の医療用部材11と接触する部分に設けられた被覆層3を備え、かつ、被覆層3は、フッ素系樹脂、ケイ素系樹脂及びウレタン系樹脂を含有する組成物により形成された被膜と被膜に保持された微粒子とからなるものであり、かつ、被覆層3は微粒子に起因する粗面表面となっている。
この実施例の医療用具1は、シリンジ用ガスケット1であり、医療用部材であるシリンジ用外筒11の内部に液密かつ摺動可能に収納されるものである。また、ガスケット1は、外筒11と接触する部分に設けられた被覆層3を備えており、かつ、被覆層3は、フッ素系樹脂、ケイ素系樹脂及びウレタン系樹脂を含有する組成物により形成された被膜と被膜に保持された微粒子とからなるものであり、かつ、該被覆層は微粒子に起因する粗面表面となっている。このガスケット1は、コア部2と、少なくともコア部2の外面であって外筒内面と接触する部分に設けられた被覆層3とを備えている。なお、コア部2の外面全体に被覆層3を設けてもよい。
また、この実施例の医療用具10は、シリンジ10であり、第1の医療用部材であるシリンジ用ガスケット1と、ガスケット1を内部に液密に摺動可能に収納する第2の医療用部材であるシリンジ用外筒11とを備え、ガスケット1の外筒11と接触する部分に設けられた被覆層3を備え、かつ、被覆層3は、フッ素系樹脂、ケイ素系樹脂及びウレタン系樹脂を含有するものである。被覆層3をガスケット1に設ける場合には、ガスケット1の少なくともコア部2の外面であって外筒11の内面と接触する部分に被覆層3を設ける。なお、ガスケット1のコア部2の外面全体に被覆層3を設けてもよい。また、被覆層を外筒11の内面に設ける場合には、ガスケット1の摺動領域となる部分の内面に設けるものとなる。
シリンジ用ガスケット1のコア部2は、図1,図2,図5に示すように、ほぼ同一外径に延びる本体部5と、本体部5の先端側に設けられ先端側に向かってテーパー状に縮径するテーパー部6と、本体部5の基端から先端側に向かって内部に設けられたプランジャー取付部4と、本体部5の先端部側面に設けられた先端側環状リブ7aと、本体部5の後端部側面に設けられた後端側環状リブ7bを備えている。
プランジャー取付部4は、図2,図4に示すように、本体部5の内部において基端から先端部付近まで延びる略円柱状の凹部となっており、凹部側面には、プランジャーの先端部に形成された螺合部と螺合可能な螺合部8が設けられている。凹部の先端面は、ほぼ平坦に形成されている。なお、プランジャー取付部は、螺合部に限定されず、プランジャーの先端部と係合する係合部であってもよい。
先端側環状リブ7a,7bは、シリンジ用外筒11内径より若干大きく作製されているため、外筒11内で圧縮変形するものとなっている。また、実施例において、環状リブは、2つ設けられているが、3つ以上設けられていてもよい。
被覆層3の厚さは、1〜20μm、特に、3〜10μmであることが好ましい。1μm以上であれば、十分な摺動性能を発揮し、10μm以下であれば、ガスケットの弾性に影響を与えることがなく、微粒子に起因する粗面表面を確実に発現できる。
被覆層3は、摺動性付与成分と柔軟性付与成分とを含有する組成物により形成された被膜と被膜に保持された微粒子とからなる。摺動性付与成分としては、フッ素系樹脂およびケイ素系樹脂が好ましい。柔軟性付与成分としては、ウレタン系樹脂が好ましい。
このように、被覆層の表面部分である被膜が摺動性付与成分と柔軟性付与成分とを含有しているので、維持すべきコア部の物性が損なわれないため高度な液密性を確保でき、さらに、被覆層は含有する微粒子が形成する粗面表面により高い摺動性を備える。
さらにフッ素系樹脂としては、いわゆる水性フッ素樹脂が好ましい。水性フッ素系樹脂としては、例えばテトラフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレンなどのフルオロオレフィン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロ(メタ)アクリル酸又はそのアルキルエステル、(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステル、パーフルオロビニルエーテル、パーフルオロアルキルビニルエーテルなどのフッ素含有モノマーと、シクロヘキシルビニルエーテル、アルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、脂肪族カルボン酸ビニルエステル、ヒドロキシアルキルビニルエステルなどとの共重合体を、水性媒体に溶解、分散、乳化したものが挙げられる。特に、フッ素系樹脂については、四フッ化エチレンを基本構造に持ち親水性樹脂であるものが好ましい。被覆層3の形成樹脂中にこのようなフッ素系樹脂を添加することにより、ガスケット表面に高い滑性を付与させる。また、フッ素系樹脂は、薬品により変性することも極めて少ないことから、医療用ゴム栓への使用に際しても好適である。
使用するケイ素系樹脂としては、ポリシロキサンを基本構造に持つ親水性樹脂であり、いわゆる水性ケイ素樹脂、言い換えれば、水性シリコーン化合物が好ましい。また、ケイ素系樹脂としては、被膜形成性を有するものが好ましい。
また、ケイ素樹脂としては、具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソブトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルsec−トリオクチルオキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリ(アクリロイルオキシエトキシ)シラン、メチルトリ(グリシジルオキシ)シラン、オクチルトリエトキシシラン、ラウリルトリエトキシシラン、ステアリルトリメトキシシラン、ステアリルトリエトキシシランのシラン系化合物など、あるいはこれらの縮合物を水媒体に分散、乳化、溶解したものが挙げられる。
さらに、水性ケイ素系樹脂としては、架橋重合体であるコア部とそれを被覆する非架橋重合体であるシェル部とを有し、シェルの表面近傍にポリシロキサンを有するポリシロキサン複合水性エマルションが好適に使用できる。このようなものを用いることにより、形成される被覆層3の造膜性、緻密性、耐久性が高いものとなる。
使用するウレタン系樹脂としては、いわゆる水性ウレタン系樹脂が好ましい。
水性ウレタン系樹脂としては、ウレタン樹脂を水系溶媒に乳化もしくは分散したウレタン系ディスパージョン、水溶性ポリウレタン系樹脂のいずれでもよい。
ウレタン系ディスパージョンとしては、例えば、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、ポリカーボネートジオールなどのポリオール成分や、2,2−ジメチロールプロピオン酸などの親水性成分と、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物を重合せしめた自己乳化型水性ウレタン系ディスパージョンがある。また、水溶性ポリウレタン系樹脂としては、ポリウレタン系樹脂の鎖中に、カルボン酸及び/又はカルボン酸塩が結合して存在しているものがある。このようなものは、例えば、ポリウレタン系樹脂の製造に際し、ジオール及びジイソシアネートにカルボン酸基を有するジオール等を加え、(必要によりカルボン酸基を中和し、)重合することによって得られる。このようにカルボン酸基を導入することによって、水分散型あるいは水可溶性を有する水性ポリウレタン系樹脂となる。また、必要に応じて乳化剤を加えて水性化してもよい。
ポリウレタン樹脂は、一般に、数平均分子量が約1,000以上、特に約10,000以上であるのが好適であり、また、その分子中には遊離のイソシアネート基が実質的に残存していないことが望ましい。
粗面表面の程度、言い換えれば、表面粗度(Ra、測定方法JISB0601:1994)としては、1.7〜4.5μmであることが好ましく、特に、2.0〜3.0μmが好ましい。特許文献2(特開2002−89717号公報)の表面粗さRa1は、0.1〜1.5μmに比べて、十分に粗面度が高いものといえる。
微粒子としては、合成樹脂微粒子、無機微粒子からなる群より選択された少なくとも一種のものが好適である。つまり、微粒子としては、合成樹脂微粒子、無機微粒子のいずれかのみを用いてもよく、さらに、両者を混合して用いてもよい。
そして、合成樹脂微粒子としては、シリコーン樹脂微粒子、スチレン系樹脂微粒子、オレフィン系樹脂微粒子(例えば、ポリエチレン微粒子、ポリプロピレン微粒子)、ポリ酢酸ビニル微粒子、ポリエステル微粒子、ポリアミド微粒子、ポリメタアクリレート微粒子、フッ素樹脂微粒子からなる群より選択された少なくとも一種のものであることが好ましい。また、微粒子としては、上記の合成樹脂微粒子のうち1種のみを用いてもよく、さらに、材料の異なる微粒子を混合して用いてもよい。
そして、微粒子の大きさとしては、0.5〜10μm、好ましくは、2〜8μmが好ましい。また、被覆層3の平均膜厚(微粒子を含む平均膜厚)に対する微粒子の平均粒径は、0.2〜1.5倍であることが好ましく、さらに、好ましくは、0.3〜1.2倍であり、特に好ましくは、0.4〜1.0倍である。1.5倍以下であれば、粗面に起因する気密性の低下がなく、0.2倍以上であれば、十分な粗面化を発現可能である。
また、微粒子としては、被膜との接着性があることが好ましいが、接着性がなく、被膜により保持されるものであってもよい。微粒子の添加量は、被覆層重量(被覆層固化後重量)の70〜90%程度、容積比では、50〜70%であることが好ましい。
以上のような被覆層3を有することにより、本発明のガスケット1は、摺動面に潤滑剤を付与することなく安定した摺動性を有するとともに、薬剤収納空間内の密封性を維持することができる。また、被覆層3は、微粒子を含有することにより、図11に示すような粗面化した表面となっている。
被膜層の形成方法は、上述のフッ素系樹脂、ケイ素系樹脂及びウレタン系樹脂ならびに微粒子を適当に配合したものを精製水に分散、懸濁させた被覆用液を調整する。さらに、この被膜用液を主剤として、シランカップリング剤を含有する基材に対する接着性を高めるための助剤、即ち、耐剥離剤(硬化剤としても機能する)を添加したものを被覆用液としてもよい。特に、シランカップリング剤を含有する助剤は、硬化剤としても機能する。
シランカップリング剤としては、アクリル(メタクリル)官能性シランカップリング剤、エポキシ官能性シランカップリング剤、アミノ(イミノ)官能性シランカップリング剤などが使用できる。
アクリル(メタクリル)官能性シランカップリング剤の具体例としては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
エポキシ官能性シランカップリング剤の具体例としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
シランカップリング剤を添加する場合におおける主剤に対するシランカップリング剤の配合比は、100(主剤):1〜20が好ましく、特に、100(主剤):3〜10が好ましい。
また、上述した微粒子の添加量は、被覆用液もしくは上記主剤に対して、10〜30、さらには15〜20重量%であることが好ましい。
また、硬化方法としては、常温放置でもよいが、加熱硬化が好ましい。熱硬化させる方法としては、ガスケット基材を変質、あるいは変形させない方法であれば特に限定されるものではないが、熱風乾燥、赤外線を使用した乾燥炉、あるいは減圧乾燥機を用いる方法など従来公知の方法で行うことができる。なお、被覆用液がシランカップリング剤を含有するものであれば、効果が短時間にて行われる。このような該被膜層を形成するに当たっては、混合液の濃度、あるいは浸漬手法、噴霧手法を適当に制御することにより形成される。
界面活性剤としては、非イオン系界面活性剤であることが好ましい。非イオン界面活性剤としては、どのようものでもよいが、オクチル、ノニル、ドデシルなどのアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、オクチル、ラウリル、セチル、ステアリル、オレイルなどのアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールのオレイン酸モノエステル、ステアリン酸モノエステル、ステアリン酸ジエステル、ラウリン酸モノエステルなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ラウリル、ステアリル、オレイルなどのアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルアミン類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル、ヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコールエーテル類、ラウリン酸ジエタノールアミドなどの脂肪酸ジエタノールアミド類、蔗糖脂肪酸エステル類、ラウリン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、オレイン酸モノグリセライドなどの脂肪酸モノグリセライド類、ソルビタンモノラウリン酸エステル、ソルビタンモノパルミチン酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ソルビタンジステアリン酸エステル、ソルビタントリステアリン酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸エステル、ソルビタントリオレイン酸エステルなどのソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンラウリン酸アミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミドなどのポリオキシエチレン脂肪酸アミド類、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが使用できる。
乳化助剤としては、N−メチルピロリドンが好ましく、親水性有機溶剤としては、i−プロパノール、ブチルカルビトール、メチルエチルケトンなどが使用される。
特に、この医療用具は、プレフィルドシリンジ25であり、図5に示すように、シリンジ10と薬剤26からなる。
外筒11の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、非晶性ポリアレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、非晶性ポリエーテルイミドなどが好ましく、特に、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、環状ポリオレフィン、ポリエチレンナフタレート、及び非晶性ポリエーテルイミドが透明性、耐高圧蒸気殺菌性の点で好ましい。これらの樹脂は外筒に限らず、薬剤を収納可能な容器に共通して使用可能なものである。
プランジャー17は、図5に示すように、断面十字状の軸方向に延びる本体部20と、プランジャー取付部4と螺合するプランジャー17の先端部に設けられたプランジャー側螺合部21と、本体部20の後端に設けられた押圧用の円盤部22と、本体部20の途中に設けられたリブを備えている。
そして、この実施例のシリンジ10の内部には、薬剤26が収納されている。薬剤26としては、難水溶性、吸着性の高い薬液、界面活性剤を含む低粘稠、かつ浸透力の高い薬液、電解質系薬液、ビタミン剤、ミネラル類、抗生物質などの薬液、さらには、タンパク製剤等の粉末状もしくは凍結乾燥薬剤あるいは液剤が使用される。
そして、プランジャー17および封止部材18の構成材料としては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等の硬質もしくは半硬質樹脂を用いることが好ましい。
この実施例のシリンジ30は、図6に示すように、先端部に注射針取付部15が設けられ後端部にフランジ16が対向して設けられたシリンジ用外筒41と、シリンジ用外筒41の内面42を液密かつ気密に摺動可能なシリンジ用ガスケット31と、シリンジ用ガスケット31に取り付けられもしくは取り付け可能なプランジャー17と、シリンジ用外筒41の注射針取付部15を封止する封止部材18と、封止部材18と外筒内面42とシリンジ用ガスケット31との間に形成された薬剤26を収納する薬剤収納部19を備えている。なお、注射針取付部15には、封止部材18ではなく、注射針が取り付けられていてもよい。また、封止部材としては、図6に示すように、両頭針を直接挿通可能なタイプが好ましい。
外筒41の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、非晶性ポリアレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、非晶性ポリエーテルイミドなどが好ましく、特に、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、環状ポリオレフィン、ポリエチレンナフタレート、及び非晶性ポリエーテルイミドが透明性、耐高圧蒸気殺菌性の点で好ましい。これらの樹脂は外筒に限らず、薬剤を収納可能な容器に共通して使用可能なものである。
薬剤26としては、難水溶性、かつ吸着性の高い薬液、界面活性剤を含む低粘稠、かつ浸透力の高い薬液、電解質系薬液、ビタミン剤、ミネラル類、抗生物質などの薬液、さらには、タンパク製剤等の粉末状もしくは凍結乾燥薬剤あるいは液剤が使用される。
そして、プランジャー17および封止部材18の構成材料としては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等の硬質もしくは半硬質樹脂を用いることが好ましい。
また、本発明の医療用具は、第1の医療用部材と、第1の医療用部材を摺動可能に接触する第2の医療用部材とを備える医療用具であれば、いかなる医療用具であってもよい。例えば、ゴム栓付きバイアル瓶、輸液バッグ、採血管、減圧採血管等であってもよい。なお、第1の医療用部材と第2の医療用部材後の接触は液密であることが好ましい。また、本発明の医療用具は、バイアル瓶のゴム栓、輸液バッグの蓋材等であってもよい。また、第1の医療用部材は、摺動可能に第2の医療用部材に接触するものであれば、シリンジ用ガスケットだけでなく、Oリング状のもの、栓体、蓋体等いかなる医療用具であってもよい。
(実施例1)
ブチルゴムを用いて、図1および図2に示す形状のシリンジ用ガスケットのコア部を作製した。コア部の形成は、ブチルゴムに添加剤を配合した加硫性ゴム組成物をプレス成形することにより行った。得られたコア部の形状は、長さ20mm、先端側及び後端側環状リブ部分での外径23.7mm、先端側環状リブ中央と後端側環状リブ中央間の長さ10mm、先端側環状リブと後端側環状リブ間の同一外径部分での外径21.5mm、内側に雌ねじ部を有するプランジャー取付用凹部の長さ(深さ)8mm、プランジャー取付用凹部の先端側での内径14.5mm、及び後端側での内径15mmであった。
次に、精製水100重量部に、フッ素系樹脂1重量部、ケイ素系樹脂10重量部、ウレタン系樹脂3重量部、タルク微粒子(平均粒径約3μm)20重量部、N−メチルピロリドン1重量部、ブチルカルビトール1重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル1重量部を添加して、被覆用液の主剤を調整した。なお、フッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレンを主成分とするポリフロン(登録商標)TFE(ダイキン工業株式会社製)を用いた。ケイ素樹脂としては、水性ケイ素樹脂(水性シリコーン化合物)である、SE1980(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)を用いた。ウレタン樹脂として、水性ウレタン樹脂であるローザン1100(トーヨーポリマー株式会社製)を用いた。
さらに、シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシランを主成分とするTSL8310(東芝GEシリコン株式会社製)を準備した。
そして、主剤95重量部に対してシランカップリング剤5重量部を添加し、混合することにより、被覆用液を調整した。
そして、室温、常圧環境下において、上述のように作製したガスケットコア部材を、図7に示すように、その中心軸を中心として回転(300rpm)させるとともに、ガスケットの回転する側面側より、被覆用液をスプレー塗布した後、140℃、30分間乾燥させることによって、本発明のシリンジ用ガスケットを作製した。なお、コア部材の表面に形成された被覆層の平均厚さは、約5μmであり、被覆層の平均膜厚に対する微粒子の粒径は、0.6倍であった。
実施例1の主剤にけるタルク微粒子(平均粒径5μm)の添加量を5重量部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例のシリンジ用ガスケットを作製した。なお、コア部材の表面に形成された被覆層の平均厚さは、約6μmであった。このガスケットを実施例2とした。
実施例1の主剤にけるタルク微粒子(平均粒径5μm)の添加量を10重量部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例のシリンジ用ガスケットを作製した。なお、コア部材の表面に形成された被覆層の平均厚さは、約6μmであった。このガスケットを実施例3とした。
実施例1の主剤にけるタルク微粒子(平均粒径5μm)の添加量を15重量部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例のシリンジ用ガスケットを作製した。なお、コア部材の表面に形成された被覆層の平均厚さは、約6μmであった。このガスケットを実施例4とした。
実施例1の主剤にけるタルク微粒子(平均粒径5μm)の添加量を25重量部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例のシリンジ用ガスケットを作製した。なお、コア部材の表面に形成された被覆層の平均厚さは、約6μm(であった。このガスケットを実施例5とした。
実施例1の主剤にけるタルク微粒子(平均粒径5μm)の添加量を30重量部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例のシリンジ用ガスケットを作製した。なお、コア部材の表面に形成された被覆層の平均厚さは、約7μmであった。このガスケットを実施例6とした。
精製水100重量部に対して、フッ素系樹脂1重量部、ウレタン系樹脂3重量部を添加して、被覆用液を作製した。その他は、実施例1と同様にして、比較例のシリンジ用ガスケットを作製した。なお、コア部材の表面に形成された被覆層の平均厚さは、約5μmであった。このガスケットを比較例1とした。
精製水100重量部に対して、ケイ素系樹脂10重量部、ウレタン系樹脂3重量部を添加して、被覆用液を作製した。その他は、実施例1と同様にして、比較例のシリンジ用ガスケットを作製した。なお、コア部材の表面に形成された被覆層の平均厚さは、約5μmであった。このガスケットを比較例2とした。
精製水100重量部に、フッ素系樹脂1重量部、ケイ素系樹脂10重量部、ウレタン系樹脂3重量部、N−メチルピロリドン1重量部、ブチルカルビトール1重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル1重量部を添加して、被覆用液の主剤を調整した。そして、主剤95重量部に対してシランカップリング剤5重量部を添加し、混合することにより、被覆用液を調整した。その他は、実施例1と同様にして、比較例のシリンジ用ガスケットを作製した。なお、コア部材の表面に形成された被覆層の平均厚さは、約7μmであった。このガスケットを比較例3とした。
被覆層を設けない以外、実施例1と同様に作製したブチルゴムガスケットを比較例4とした。
SEBS系熱可塑性エラストマー製のガスケットを使用する市販のシリンジ(テルモ株式会社製、30ml)を比較例5として用いた。
実施例1において調整した被覆用液およびガスケットコア部材を用いた。常温常圧下において、ガスケットコア部材を被覆用液に1秒間浸漬した後、直ちに引き上げ、液だれがないことを確認し、150℃オーブン内に入れ、30分間乾燥させることにより比較例の投入し、シリンジ用ガスケットを作製した。なお、コア部材の表面に形成された被覆層の平均厚さは、約8μmであった。このガスケットを比較例6とした。
シリンジ用外筒の形成材料として、ポリプロピレン[日本ポリケム株式会社製]を用いて、射出成形により、図5に示す形状のシリンジ用外筒を作製した。シリンジ用外筒の円筒部分の内径は、23.5mm、長さは、95mmであった。また、プランジャーの形成材料として、ポリプロピレン(日本ポリケム株式会社製)を用いて、射出成形により、図5に示す形状のプランジャーを作製した。
そして、上記のシリンジ用外筒に、各実施例および各比較例のシリンジ用ガスケット、上記のプランジャーを組み立て、いくつかのシリンジを作製した。なお、比較例4及び5のみ、予め外筒内面にシリコーンオイルが塗布されている。そして、上記各シリンジは比較例5を除いて、オートクレーブ滅菌処理を行った後、以下の評価を行った。
図8に示すような実験装置を用いて、各シリンジの摺動抵抗値を、オートグラフ(AGS1kNG、島津製作所製)により測定した。具体的には、シリンジの先端およびプランジャーの後端をオートグラフの測定対象物固定部に固定し、プランジャーを100mm/minの速度で30mm降下させたときの初期摺動抵抗値(最大摺動抵抗値:0〜30mm区間内で必要とした最大応力kgf)、平均摺動抵抗値(25〜50mm区間の平均摺動抵抗値kgf)を計測したところ、図9の表1に示す結果となった。
表1に示すように、実施例1〜5のガスケットを用いたシリンジは、比較例1〜6のガスケットを用いたシリンジと比較して初期摺動抵抗値および平均摺動抵抗値ともに小さいものであった。また、初期摺動抵抗値と平均摺動抵抗値との差が少ないため、プランジャーを押し始めた際に薬液が飛び出すおそれがほとんどなく、薬液の吐出を安全かつ簡便に行うことができる。一方、比較例4及び比較例5では、平均摺動抵抗値は許容レベルにあるが初期摺動抵抗値との差が非常に大きく前述の危険性を示唆している。また比較例2および3では、最大摺動抵抗値と平均摺動抵抗値との差は大きくはないが、摺動抵抗値が大きく、プランジャーを押す力が必要以上に重くなることから、いずれも操作性、簡便性に劣っている。
一方、比較例6において、ガスケット表面への被覆方法を変更した結果、表面粗度の減少が確認され、これに伴い、初期摺動抵抗値の上昇も確認された。このことから、添加したタルクによる表面粗度の効果的な向上のためには、噴霧方法がより好ましいことを確認した。
なお、実施例1〜4において、タルクの添加量を変化させたとき、摺動抵抗値
は明らかにタルク添加量の増加と反比例し、減少している。すなわち、タルクの
添加により、粗面性状とすることによって、被覆剤の効果が向上することを示唆している。
医療用具機器基準「ディスポーザブル注射筒基準」厚生省告示第442号(昭和45年12月28日)における圧力試験に規定されている圧力試験を行った。その結果を図9の表1に示す。
通常、プラスチック製軟包材等のヒートシール部の密封性試験に用いられる試薬として販売されている、エージレス(登録商標)チェッカー(三菱瓦斯化学製)を用い、密封性評価を行った。具体的には、先端部15をキャップ18にて密封したシリンジ外筒内にエージレスチェッカー約5mLを入れ、実施例をはじめとする各ガスケットを組み込んだものを各5本ずつ用意し、プランジャー側から2.5kgf/cm2の圧力をかけたまま、プランジャー側を下にしてシリンジを正立させたまま、60℃恒温槽内に3週間静置し、ガスケット摺動部からの液漏れを目視にて確認したところ、表1に示すような結果となった。
実施例1のガスケットおよび比較例6のガスケットについて、表面粗度を測定した。測定方法は、JISB0601(1994)に従って行った。その結果は、図10に示す表2の通りであった。
実施例1のガスケットおよび比較例6のガスケットの表面状態および断面状態をレーザ顕微鏡により観察した。
図11に実施例1のガスケットの表面をレーザ顕微鏡により撮影した表面状態図を示す。図12に実施例1のガスケットの断面をレーザ顕微鏡により撮影した断面状態図を示す。図13に実施例1のガスケットをレーザ顕微鏡により撮影したデータより作成した立体状態図を示す。これらからも、実施例1のガスケットでは、表面にかなりの凹凸があることが確認された。
また、図14に比較例6のガスケットの表面をレーザ顕微鏡により撮影した表面状態図を示す。図15に比較例6のガスケットの断面をレーザ顕微鏡により撮影した断面状態図を示す。図16に比較例6のガスケットをレーザ顕微鏡により撮影したデータより作成した立体状態図を示す。これらからも、実施例1のガスケットに比べ比較例6のガスケットは、表面がかなり平滑であることが確認された。
また、実施例2と比較例6は表面粗度Raの値が同一であるが、図14ないし図16によって示されるように浸漬法によって製造した比較例6は粗面表面が形成されていないことより、初期摺動値、初期摺動値と平均摺動値の差、がともに大きく相違する結果となっている。
2 コア部
3 被覆層
10 医療用具
12 内面
26 薬剤
Claims (18)
- シリンジ用外筒と、前記シリンジ用外筒の内部に摺動可能に収納されたシリンジ用ガスケットとからなるシリンジであって、
前記ガスケットは、コア部と、少なくとも前記コア部の外面であって前記シリンジ外筒内面と接触する部分に設けられた被覆層とを備え、該被覆層は、フッ素系樹脂、ケイ素系樹脂、ウレタン系樹脂およびシランカップリング剤硬化物を含有する組成物により形成された被膜と該被膜に保持された微粒子とからなるものであり、前記被覆層は前記微粒子に起因する粗面表面となっており、さらに、前記被覆層は、該被覆層における前記微粒子の容積比率が50〜75%であり、かつ表面粗度が、2.2〜3.5μmであることを特徴とするシリンジ。 - 前記被覆層は、該被覆層における前記微粒子の重量比率が60〜90%である請求項1に記載のシリンジ。
- 前記被覆層は厚さが、5〜6μmである請求項1または2に記載のシリンジ。
- 前記被覆層は、前記フッ素系樹脂、前記ケイ素系樹脂、前記ウレタン系樹脂、前記微粒子および乳化助剤を精製水に分散させた主剤に、シランカップリング剤を添加し混合した被覆用液をガスケット本体に塗布し、硬化させることにより形成したものである請求項1ないし3のいずれかに記載のシリンジ。
- 前記乳化助剤は、N−メチルピロリドンである請求項4に記載のシリンジ。
- 前記主剤は、親水性有機溶剤を含有している請求項4または5に記載のシリンジ。
- 前記親水性有機溶剤は、i−プロパノール、ブチルカルビトール、メチルエチルケトンのいずれかである請求項6に記載のシリンジ。
- 前記シリンジは、プレフィルドシリンジである請求項1ないし6のいずれかに記載のシリンジ。
- 前記フッ素系樹脂、前記ケイ素系樹脂、前記ウレタン系樹脂の少なくとも1つは、熱硬化性樹脂である請求項1ないし8のいずれかに記載のシリンジ。
- 前記フッ素系樹脂は、ポリテトラフルオロエチレンもしくはポリテトラフルオロエチレンを基本構造に持つものである請求項1ないし9のいずれかに記載のシリンジ。
- 前記ケイ素系樹脂は、ポリシロキサンを基本構造に持つものである請求項1ないし10のいずれかに記載のシリンジ。
- 前記ウレタン系樹脂は、ポリウレタンを基本構造に持つものである請求項1ないし11のいずれかに記載のシリンジ。
- 前記微粒子は、合成樹脂微粒子、無機微粒子からなる群より選択された少なくとも一種のものである請求項1ないし12のいずれかに記載のシリンジ。
- 前記合成樹脂微粒子は、シリコーン樹脂微粒子、スチレン系樹脂微粒子、オレフィン系樹脂微粒子、ポリ酢酸ビニル微粒子、ポリエステル微粒子、ポリアミド微粒子、ポリメタアクリレート微粒子、フッ素樹脂微粒子からなる群より選択された少なくとも一種のものである請求項13に記載のシリンジ。
- 前記無機微粒子は、セラミックス微粒子、タルク微粒子、金属酸化物微粒子からなる群より選択された少なくとも一種のものである請求項13に記載のシリンジ。
- 前記セラミックス微粒子は、シリカ微粒子 、アルミナ微粒子 、ジルコニア微粒子 、ゼオライト微粒子からなる群より選択された少なくとも一種のものである請求項15に記載のシリンジ。
- 前記金属酸化物微粒子は、酸化チタン微粒子、酸化亜鉛微粒子からなる群より選択された少なくとも一種のものである請求項15に記載のシリンジ。
- 前記微粒子は、タルク微粒子である請求項1ないし12のいずれかに記載のシリンジ。
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