JP4707146B2 - 偏光子の製造方法 - Google Patents
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Description
かかる偏光子としては、一般に、ヨウ素などで染色したポリビニルアルコール系(本明細書に於いて「ポリビニルアルコール」を「PVA」と略記する場合がある)の延伸フィルムが広く用いられている。
かかる偏光子は、一般に、PVA系フィルムに水を含浸させて膨潤させる膨潤工程と、該フィルムをヨウ素溶液に含浸させて染色する染色工程と、該フィルムにホウ酸溶液に含浸させて架橋する架橋工程と、該フィルムを延伸する延伸工程と、該フィルムを洗浄する洗浄工程と、該フィルムを乾燥する乾燥工程と、を経ることによって製造される(例えば、特許文献1)。
本発明は、親水性ポリマーフィルムに二色性物質を染色させる工程を有し、染色工程の前に、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を、親水性ポリマーフィルムに含有又は接触させる偏光子の製造方法に係る。
これは、染色工程の前に、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を、親水性ポリマーフィルムに含有又は接触させることによって実現される。この作用は、明らかではないが、本発明者らの推察では、a)尿素又はチオ尿素が、ヨウ素などの二色性物質の会合を切断して単体分子化し、二色性物質が親水性ポリマーフィルム内に浸透し易くなること、又は/及び、b)尿素又はチオ尿素が、水分子の会合(水素結合)を切断し、親水性ポリマーフィルム内に多くの水分子が浸透し、該フィルムが十分に膨潤すること、などに起因するものと考える。
さらに、本発明の好ましい態様は、上記二色性物質がヨウ素である上記偏光子の製造方法に係る。
また、本発明の好ましい態様は、上記親水性ポリマーフィルムが、ポリビニルアルコール系フィルムである上記偏光子の製造方法に係る。
第1実施形態は、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を含有した溶液が満たされた膨潤浴に、親水性ポリマーフィルムを含浸させ、該フィルムに尿素等を接触させつつ該フィルムを膨潤させる工程を有する。
以下、第1実施形態の製法について、詳しく説明する。
本発明で用いられる親水性ポリマーフィルムとしては、特に限定されず、一般には親水基を有するポリマーを含む樹脂組成物を製膜したフィルムが用いられる。該フィルムとしては、例えば、PVA系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、エチレン・酢酸ビニル共重合体系フィルム、及びこれらの部分ケン化フィルム等があげられる。また、これらの他にも、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルム等も使用できる。これらの中でも、二色性物質による染色性に優れていることから、PVA系ポリマーフィルムが好ましい。PVAは、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化して得られたポリマーであり、該ポリマーに、不飽和カルボン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩などのように酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有したPVAを用いることもできる。また、PVA系ポリマーとして、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基などを含む変性PVAの他、ポリビニルフルマールやポリビニルアセタールなどの変性PVAなども用いることができる。
上記PVA系ポリマーを含む樹脂組成物には、可塑剤、界面活性剤などの適当な添加剤を配合してもよい。可塑剤としては、例えば、エチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールが挙げられる。界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤が挙げられる。これら可塑剤や界面活性剤を添加することにより、染色性及び延伸性に優れたPVA系フィルムを得ることができる。可塑剤及び界面活性剤の添加量は、PVA系ポリマー100質量部に対し、それぞれ1質量部〜10質量部程度である。
膨潤工程は、親水性ポリマーフィルムを膨潤させる工程である。なお、以下、親水性ポリマーフィルムの好ましい例であるPVA系フィルムを用いた製法を中心に説明するが、本発明の偏光子の製法に用いられる親水性ポリマーフィルムは、PVA系フィルムに限定されるものではない。
膨潤浴は、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を水に溶解した尿素等溶液が満たされている。なお、膨潤浴の溶液(膨潤液)は、水に尿素等が含有されているが、本発明の効果を損なわない範囲で、他の物質が添加されていてもよい。
膨潤浴及び後述する染色浴などの各浴に於いて使用する水は、純水を用いることが好ましい。また、膨潤浴の液温は、概ね20〜50℃程度、更には30〜40℃程度に加温されていることが好ましい。膨潤浴にPVA系フィルムを浸漬する時間は、概ね1〜7分間程度である。
また、膨潤工程に於いて、尿素等を含む溶液にPVA系フィルムを浸積することによって、尿素等が、PVA系フィルムに接触し、該フィルム内に含浸するものと考えられる。その後、該PVA系フィルムを染色工程に導くことによって、その作用は明らかではないが、該PVA系フィルムは、二色性物質によって非常に効率よく染色される。
染色工程は、膨潤後のPVA系フィルムに二色性物質を含浸(吸着又は接触などとも言われる)させる工程である。
上記膨潤させたPVA系フィルムは、膨潤浴から引き出された後、染色浴に導かれる。
染色浴は、二色性物質を溶媒に溶解させた染色溶液が満たされている。この溶媒としては、水が一般的に使用されるが、水と相溶性のある有機溶媒が添加されても良い。
二色性物質の濃度は、特に限定されないが、溶媒100質量部に対して、二色性物質0.0001〜10質量部の割合で混合されていることが好ましく、0.001〜7質量部の割合がより好ましく、0.02〜5質量部の割合が特に好ましい。本発明の製法に於いては、二色性物質の染色効率が良好になることから、比較的低濃度の染色溶液を用いて染色することができる。
また、二色性物質としてヨウ素を用いる場合には、染色溶液にヨウ化物を添加してもよい。ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。ヨウ化物の添加割合は、ヨウ素とヨウ化物の割合(質量比)が、1:5〜1:100の範囲とすることが好ましい。
また、染色工程は、2槽以上の染色浴に分けて行っても良い。
また、染色処理としては、上記のような染色浴に浸漬する方法以外に、例えば、二色性物質を含む水溶液をPVA系フィルムに塗布または噴霧する方法であってもよい。
架橋工程は、二色性物質を含浸させたPVA系フィルムに、ホウ酸などの架橋剤を含浸させる工程である。
上記二色性物質を含浸させたPVA系フィルムは、染色浴から引き出された後、架橋浴に導かれる。
架橋浴は、架橋剤を溶媒に溶解した架橋溶液が満たされている。前記溶媒としては、例えば水が使用できるが、さらに、水と相溶性のある有機溶媒が添加されていても良い。溶液における架橋剤の濃度は、特に限定されないが、溶媒100質量部に対して、架橋剤2〜15質量部の割合で混合されていることが好ましく、5〜12質量部の割合がより好ましくい。
また、架橋工程は、2槽以上の架橋浴に分けて行っても良い。
尚、架橋処理も染色処理と同様に、架橋剤含有溶液を塗布または噴霧する方法を用いても良い。又、この架橋浴でポリマーフィルムを延伸してもよく、このときの延伸倍率は、1.1〜4.0倍程度である。
延伸工程は、PVA系フィルムを一軸延伸する工程である。
延伸処理は、膨潤工程から架橋工程の間の何れかの工程に於いて、又は膨潤工程から架橋工程の間で選ばれる2以上の工程に於いて行うことが好ましい。中でも、染色工程及び架橋工程に於いて、染色処理及び架橋処理と共に延伸処理を施すのが好ましい。
また、膨潤工程から架橋工程の間に、延伸処理を主目的とする延伸工程を別途設けてよいし、架橋工程の後、別途、延伸処理を主目的とする延伸工程を別途設けてもよい。例えば、染色工程の前に、延伸処理を行ってもよく、又、染色工程の後に、延伸処理を行ってもよい。
延伸処理は、PVA系フィルム(膨潤工程に導入前のPVA系フィルム)の元長の2倍〜7倍程度(なお、2以上の工程に於いて延伸処理が施される場合には、総延伸倍率。以下同じ)に延伸することが好ましく、更に、3倍〜6倍程度がより好ましい。総延伸倍率が2倍未満では、高偏光度の偏光フィルムを得ることが難しく、7倍を超えると、フィルムが破断する虞があるからである。
洗浄工程は、上記各工程を経たPVA系フィルムに付着しているホウ素などの不要残存物を洗い流す工程である。
上記架橋されたPVA系フィルムは、架橋浴から引き出された後、洗浄浴に導かれる。
洗浄浴は、一般的には水が用いられ、必要に応じて、適宜な添加剤を添加してもよい。
洗浄浴の液温は、10℃〜60℃程度が好ましく、更に、15℃〜40℃程度がより好ましい。また、洗浄処理の回数は特に限定されることなく複数回実施してもよい。
乾燥工程は、洗浄後のPVA系フィルムを乾燥する工程である。
上記洗浄されたPVA系フィルムは、洗浄浴から引き出された後、乾燥装置に導かれる。
乾燥方式としては、自然乾燥、風乾、加熱乾燥等、適宜な方法を用いることができる。通常は、加熱乾燥が好ましく用いられる。加熱乾燥に於いては、例えば、加熱温度が20〜80℃程度であり、乾燥時間は1〜10分間程度であることが好ましい。さらに、乾燥温度は前記方法に関わらず偏光子の劣化を防ぐため、比較的低温で行うことが好ましい。従って、加熱温度は、より好ましくは60℃以下であり、45℃以下であることが特に好ましい。
第2実施形態は、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を含有した親水性ポリマーフィルムを用い、該尿素等の含有フィルムを染色浴にて染色する工程を有する。
以下、第2実施形態の製法について説明する。なお、第2実施形態の説明に於いては、主として上記第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、上記第1実施形態と同様の構成については、説明を省略するので、第1実施形態の説明を参照されたい。
本実施形態に於ける親水性ポリマーフィルムの材質は、上記第1実施形態と同様に特に限定されない。
本実施形態に於いては、尿素等を含有した親水性ポリマーフィルムが用いられる。すなわち、PVA系ポリマーなどの樹脂成分を含む樹脂組成物に、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を添加し、該尿素等を含む樹脂組成物を製膜して得られた親水性ポリマーフィルムが用いられる。
なお、該尿素等を含有した親水性ポリマーフィルムは、尿素等を添加した樹脂組成物を用いること以外は、上記第1実施形態と同様にして作製できる。
上記尿素等を含有した親水性ポリマーフィルムは、膨潤浴に導かれる。
本実施形態の膨潤浴は、実質的に尿素等を含まない水溶液が用いられる。もっとも、本実施形態の膨潤浴に於いても、極めて少量の尿素等が含まれていてもよい。
その他、膨潤浴の液温、処理時間などは、上記第1実施形態と同様である。
本実施形態の染色工程〜洗浄工程は、上記第1実施形態と同様に行われる。
本実施形態の偏光子の製法によれば、親水性ポリマーフィルムに対する二色性物質の染色効率を非常に高めることができる。かかる製法によって得られた偏光子は、偏光度が高く、偏光特性に優れている。また、上記製法によれば、二色性物質の染色効率が良くなるので、比較的低濃度の染色溶液を用いて染色することもできる。その結果、二色性物質の使用量を抑制でき、更に、染色浴の処理時間の短縮化も可能となる。
本実施形態では、親水性ポリマーフィルムに予め含有させた尿素等が、膨潤浴の水溶液中に溶け出す虞がある。尿素等が溶出すると、該フィルムを連続的に処理している間に、膨潤浴の溶液中に於ける尿素等の濃度が高まっていく。このため、場合によっては、膨潤浴の水溶液の尿素等が非常に高濃度となり、この溶出した尿素等が、フィルムに再含浸し、フィルム中の尿素等の含有量が必要以上に高くなる。これを防止するために、膨潤浴の水溶液中の尿素等濃度の管理が頻繁に必要となるからである。
第3実施形態は、親水性ポリマーフィルムに、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を付着含有させた後、該フィルムを膨潤浴にて膨潤する工程を有する。
以下、第3実施形態の製法について説明する。なお、第3実施形態の説明に於いては、主として上記第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、上記第1実施形態と同様の構成については、説明を省略するので、第1実施形態の説明を参照されたい。
本実施形態に於ける親水性ポリマーフィルムの材質は、上記第1実施形態と同様に特に限定されないが、好ましくはPVA系ポリマーを含むフィルムである。
(膨潤工程)
上記親水性ポリマーフィルムは、膨潤浴に導かれる。
本実施形態では、親水性ポリマーフィルムを膨潤浴に浸積する前に、該親水性ポリマーフィルムに尿素等を付着させて含有させる。
尿素等の付着方法としては、尿素等を水などの溶媒に溶解させた溶液を、スプレー法にてフィルムの片面又は両面に塗布する方法、グラビア版などの印刷法にてフィルムの片面又は両面に塗布する方法、その他、各種コーティング法にてフィルムの片面又は両面に塗布する方法、などが挙げられる。
該尿素等は、親水性ポリマーフィルムの片面1m2当たり、尿素等が1mg〜100mg程度となるように付着させることが好ましい。
上記のようにして尿素を含有させた親水性ポリマーフィルムは、膨潤浴へ導かれる。
なお、本実施形態の膨潤浴は、実質的に尿素等を含まない水溶液が用いられる。もっとも、本実施形態の膨潤浴に於いても、極めて少量の尿素等が含まれていてもよい。
その他、膨潤浴の液温、処理時間などは、上記第1実施形態と同様である。
(染色工程〜洗浄工程)
本実施形態の染色工程〜洗浄工程は、上記第1実施形態と同様に行われる。
以上の第1〜第3実施形態の製法によって得られた偏光子の厚さは、特に限定されるものではないが、5〜40μmであることが好ましい。厚さが5μm以上であれば機械的強度が低下することはなく、また40μm以下であれば光学特性が低下せず、画像表示装置に適用しても薄型化を実現できるからである。
(光学フィルム用途)
上記偏光子は、そのまま使用することもできるが、通常、実用に際して各種光学処理を施した光学フィルムとして使用される。その光学処理については、要求される光学特性を満たすものであれば特に限定されるものではなく、例えば、次のような処理が例示される。a)例えば、偏光子の片面または両面に、偏光子の保護を目的とした透明な保護層を積層する、b)例えば、前記透明な保護層の表面(偏光子に接着する面と反対面)に、又は偏光子の片面若しくは両面に、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理などの表面処理を施す、c)例えば、視角補償等を目的とした配向液晶層を積層する、d)例えば、他のフィルムを積層するための粘着層を積層する、などが挙げられる。
さらに、偏光子に、又は、偏光子と保護層を積層した偏光板に、画像表示装置等の形成に用いられる光学部材を1層又は2層以上積層してもよい。該光学部材としては、偏光変換素子、反射板、半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルム、輝度向上フィルムなどが挙げられる。中でも、偏光子と透明保護層を積層した偏光板に、反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板が好ましい。また、偏光子と透明保護層を積層した偏光板に、位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板が好ましい。さらに、偏光子と透明保護層を積層した偏光板に、視角補償層または視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板が好ましい。また、偏光子と透明保護層を積層した偏光板に、輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。
ただし、nx、nyは透明保護層の平面内の主屈折率、nzは同層の厚み方向の屈折率、dは同層の厚み(nm)を示す。
本発明の偏光子、該偏光子を含む上記光学フィルム、及び上記円偏光板などの各種偏光板は、例えば、画像処理装置の光学部材として使用できる。その使用方法や配置は、従来公知の画像処理装置と同様である。
画像処理装置としては、代表的には、液晶表示装置が挙げられる。また、その他の画像処理装置としては、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)およびFED(電界放出ディスプレイ:Field Emission Display)等の自発光型の装置などが挙げられる。
本発明の偏光子や偏光板等を液晶表示装置に使用する場合、該偏光子などは、例えば、液晶セルの片面又は両面、特に、少なくとも表示画面側に設けられる。
各種の光線透過率は、分光光度計(日本分光(株)製、商品名:V7000)を用いて測定した。偏光度は、この光度計で測定された平行ニコル光線透過率Tp、及び直交ニコル光線透過率Tcを、下記式に代入して求めた。
偏光度={(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100。
なお、平行ニコル光線透過率Tpは、同一の偏光板2枚を互いの吸収軸が平行となるように重ね合わせて得られた積層偏光板の透過率である。また、直交ニコル光線透過率Tcは、同一の偏光板2枚を互いの吸収軸が直交するように重ね合わせて得られた積層偏光板の透過率である。
厚み75μmのポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製、商品名:ビニロン#7600)を、純水にチオ尿素を溶解させた10質量%水溶液(液温30℃)中に、30秒間浸積し、PVAフィルムを膨潤させた。次に、膨潤後のPVAフィルムを、純水に有機染料(和光純薬工業製、C.I.ダイレクト・イエロー12。商品名:クリソフェニン)を溶解させた0.2質量%水溶液(液温30℃)中に、30秒間浸積し、フィルムを染色した。なお、該染料水溶液に浸積中、フィルムを一軸方向に約3倍延伸した。次に、このフィルムを、純粋にホウ酸を溶解させた4質量%水溶液(液温60℃)中に、60秒間浸積した。なお、ホウ酸水溶液に浸積中、フィルムを一軸方向に延伸し、染色浴中に於ける延伸と合わせた総延伸倍率が6倍になるように延伸した。最後に、該フィルムを、純水(液温30℃)で十分に洗浄した後、60℃にて4分間乾燥して、偏光子を得た。この偏光子の両面に、厚み80μmのトリアセチルセルロースフィルム(フジ写真フィルム社製、商品名:T80UZ)を、アセトアセチル変性ポバール接着剤(乾燥厚約60nm)を用いて貼り合せ、実施例1の偏光板を作製した。この偏光板の光線透過率及び偏光度を測定した。その結果、425nm(最大吸収波長)に於ける測定値で、偏光板の単体光線透過率は、38.8%、同偏光度は、99.97%であった。
膨潤浴にチオ尿素を添加しないこと以外は、実施例1と同様にして、偏光子を作製した。また、この偏光子の両面に、実施例1と同様にしてトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせ、比較例1に係る偏光板を作製した。この偏光板について光線透過率及び偏光度を測定した。その結果、425nm(最大吸収波長)に於ける測定値で、この偏光板の単体光線透過率は、41.3%、同偏光度は、99.74%であった。
厚み75μmのポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製、商品名:ビニロン#7600)を、純水に尿素を溶解させた10質量%水溶液(液温30℃)中に、30秒間浸積し、PVAフィルムを膨潤させた。次に、膨潤後のPVAフィルムを、ヨウ素:ヨウ化カリウム:純水=0.18:6:100(質量比)の水溶液(液温30℃)中に、30秒間浸積し、フィルムを染色した。なお、該ヨウ素溶液に浸積中、フィルムを一軸方向に約3倍延伸した。
次に、このフィルムを、ヨウ化カリウム:ホウ酸:純水=25:9.5:100(質量比)の水溶液(液温60℃)中に、60秒間浸積した。なお、ホウ酸水溶液に浸積中、フィルムを一軸方向に延伸し、染色浴中に於ける延伸と合わせた総延伸倍率が6倍になるように延伸した。最後に、該フィルムを、純水(液温30℃)で十分に洗浄した後、60℃にて4分間乾燥して、偏光子を得た。この偏光子の両面に、厚み80μmのトリアセチルセルロースフィルム(フジ写真フィルム社製、商品名:T80UZ)を、アセトアセチル変性ポバール接着剤(乾燥厚約60nm)を用いて貼り合せ、実施例2の偏光板を作製した。この偏光板の光線透過率及び偏光度を測定した。その結果、550nm(最大吸収波長)に於ける測定値で、偏光板の単体光線透過率は、45.3%、同偏光度は、99.76%であった。
膨潤浴に尿素を添加しないこと以外は、実施例2と同様にして、偏光子を作製した。また、この偏光子の両面に、実施例2と同様にしてトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせ、比較例2に係る偏光板を作製した。この偏光板について光線透過率及び偏光度を測定した。その結果、550nm(最大吸収波長)に於ける測定値で、偏光板の単体光線透過率は、46.3%、同偏光度は、99.50%であった。
Claims (7)
- 親水性ポリマーフィルムに二色性物質を染色させる工程を有し、
染色工程の前に、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を、親水性ポリマーフィルムに含有又は接触させることを特徴とする偏光子の製造方法。 - 染色工程の前に、親水性ポリマーフィルムを、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を溶解させた膨潤液に浸漬する工程を有する請求項1に記載の偏光子の製造方法。
- 膨潤液が、水100質量部に対し尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を0.01〜20質量部を含む請求項2に記載の偏光子の製造方法。
- 染色工程の前に、尿素又はチオ尿素の少なくとも何れか一方を含有する親水性ポリマーフィルムを、膨潤液に浸積する工程を有する請求項1に記載の偏光子の製造方法。
- 二色性物質が、有機染料である請求項1〜4のいずれかに記載の偏光子の製造方法。
- 二色性物質が、ヨウ素である請求項1〜4のいずれかに記載の偏光子の製造方法。
- 親水性ポリマーフィルムが、ポリビニルアルコール系フィルムである請求項1〜6のいずれかに記載の偏光子の製造方法。
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