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JP4701607B2 - 車両用差動歯車装置 - Google Patents

車両用差動歯車装置 Download PDF

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JP4701607B2
JP4701607B2 JP2003419518A JP2003419518A JP4701607B2 JP 4701607 B2 JP4701607 B2 JP 4701607B2 JP 2003419518 A JP2003419518 A JP 2003419518A JP 2003419518 A JP2003419518 A JP 2003419518A JP 4701607 B2 JP4701607 B2 JP 4701607B2
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Description

この発明は、トルクに感応して差動制限力を発生するトルク感応型差動制限手段と差動回転速度に感応して差動制限力を発生する速度感応型差動制限手段を備えた車両用差動歯車装置に関するものである。
センタデファレンシャルを備えた4輪駆動車において、センタデファレンシャル内にトルク感応型差動制限手段と速度感応型差動制限手段を備えた車両用差動歯車装置を組み込んだものとして、例えば特許文献に記載されたものが知られている。
この種の車両用差動歯車装置は、前輪側および後輪側に連結されるそれぞれの動力伝達軸に連結された一対の差動歯車と、これら差動歯車を差動回転可能に連結する連結歯車と、これら連結歯車を回転自在に収納支承するデフケースとからなるトルク感応型の差動制限手段と、前記両動力伝達軸間に介設され両動力伝達軸間の差動回転速度に感応するビスカスカップリングからなる速度感応型の差動制限手段とを備えている。
特開平6−33996公報(第3頁段落番号0021から段落番号0030、図1)
上記した従来の車両用差動歯車装置においては、それぞれ独立した構成からなるトルク感応型の差動制限手段と速度感応型の差動制限手段が単に軸方向に並設されているだけであるので、差動装置が大形化するとともに、重量が増大し、車両への搭載性に制約となる問題があった。
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、ハウジングと、前輪側あるいは後輪側の一方に連結され前記ハウジング内に回転可能に支持されたヘリカルギヤからなる第1のギヤと、前輪側あるいは後輪側の他方に連結され前記ハウジング内に回転可能に支持されたヘリカルギヤからなる第2のギヤと、前記ハウジング内に回転可能に支持され前記第1および第2のギヤに噛合うヘリカルギヤからなるプラネタリギヤとを備え、前記ハウジングに伝達されたエンジン動力を前記プラネタリギヤを介して第1および第2のギヤに分配するトルク感応式の差動制限機能を有する車両用差動歯車装置において、前記第1のギヤと前記第2のギヤとの差動回転によって前記プラネタリギヤに作用するスラスト力を受ける押圧部材を備え、この押圧部材を前記第1および第2のギヤの差動回転速度に応じた押圧力で前記プラネタリギヤに向けて押圧する押圧力発生手段を備えたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明の構成上の特徴は、ハウジングと、前輪側あるいは後輪側の一方に連結され前記ハウジング内に回転可能に支持されたヘリカルギヤからなるインターナルギヤと、前輪側あるいは後輪側の他方に連結され前記ハウジング内に回転可能に支持されたヘリカルギヤからなるサンギヤと、前記ハウジングに連結されたキャリヤに設けられた収納孔内に回転可能に支持され前記インターナルギヤとサンギヤとに噛合うヘリカルギヤからなるプラネタリギヤとを備え、前記ハウジングに伝達されたエンジン動力を前記プラネタリギヤを介してインターナルギヤおよびサンギヤに分配するトルク感応式の差動制限機能を有する車両用差動歯車装置において、前記インターナルギヤとサンギヤとの差動回転によってプラネタリギヤに作用するスラスト力を受ける押圧部材を備え、この押圧部材を前記インターナルギヤとサンギヤとの差動回転速度に応じた押圧力で前記プラネタリギヤに向けて押圧する押圧力発生手段を備えたことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明の構成上の特徴は、ハウジングと、前輪側および後輪側にそれぞれ連結され前記ハウジング内に共通軸線の回りに回転可能に支持された一対のサンギヤと、前記ハウジング内に前記共通軸線と平行な軸線の回りに回転可能に支持された一対のプラネタリギヤとを備え、前記各サンギヤはヘリカルギヤを有し、前記各プラネタリギヤは前記各サンギヤに各別に噛合うヘリカル状の第1ギヤ部と各プラネタリギヤ同士を噛合うヘリカル状の第2ギヤ部とを有し、前記ハウジングには前記プラネタリギヤを自転可能に収容する収容孔が形成され、前記ハウジングに伝達されたエンジン動力を前記プラネタリギヤを介して一対のサンギヤに分配するトルク感応式の差動制限機能を有する車両用差動歯車装置において、前記一対のサンギヤとの差動回転によってプラネタリギヤに作用するスラスト力を受ける押圧部材を備え、この押圧部材を前記一対のサンギヤとの差動回転速度に応じた押圧力で前記プラネタリギヤに向けて押圧する押圧力発生手段を備えたことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1、請求項2もしくは請求項3に記載のものにおいて、前記押圧力発生手段は、前記ハウジングと前記押圧部材との間に形成され粘性流体を封入した凹部と、前記第1もしくは第2の出力軸に連結され前記ハウジングと前記第1もしくは第2の出力軸との差動回転によって前記粘性流体を流動させ前記第1もしくは第2の出力軸との差動回転速度に応じた押圧力で前記押圧部材を前記プラネタリギヤの端面に向けて押圧するブレードを備えてなるものである。
請求項5に記載の発明の構成上の特徴は、請求項4に記載のものにおいて、前記ブレードの横断面形状を周方向に非対称に形成したものである
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、ヘリカルギヤからなる第1のギヤ、第2のギヤ、およびプラネタリギヤを備え、エンジン動力をプラネタリギヤを介して第1および第2のギヤに分配するトルク感応式の差動歯車機構と、この差動歯車機構のプラネタリギヤに作用するスラスト力を受ける押圧部材を備え、この押圧部材を第1および第2のギヤの差動回転速度に応じた押圧力でプラネタリギヤに向けて押圧する押圧力発生手段を備えたので、より小形で軽量のトルク感応型差動制限手段と速度感応型差動制限手段を備えた車両用差動歯車装置を得ることができ、車両搭載上有利となる効果がある。
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、ヘリカルギヤからなるインターナルギヤ、サンギヤ、およびプラネタリギヤを備え、エンジン動力をプラネタリギヤを介してインターナルギヤおよびサンギヤに分配するトルク感応式の差動歯車機構と、この差動歯車機構のプラネタリギヤに作用するスラスト力を受ける押圧部材を備え、この押圧部材をインターナルギヤとサンギヤの差動回転速度に応じた押圧力でプラネタリギヤに向けて押圧する押圧力発生手段を備えたので、より小形で軽量のトルク感応型差動制限手段と速度感応型差動制限手段を備えた車両用差動歯車装置を得ることができ、車両搭載上有利となるとともに、センターデフに最適なトルクの不等配分特性が得られる効果がある。
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、ヘリカルギヤからなる一対のサイドギヤ、およびプラネタリギヤを備え、エンジン動力をプラネタリギヤを介して一対のサイドギヤに分配するトルク感応式の差動歯車機構と、この差動歯車機構のプラネタリギヤに作用するスラスト力を受ける押圧部材を備え、この押圧部材を一対のサイドギヤの差動回転速度に応じた押圧力でプラネタリギヤに向けて押圧する押圧力発生手段を備えたので、より小形で軽量のトルク感応型差動制限手段と速度感応型差動制限手段を備えた車両用差動歯車装置を得ることができ、車両搭載上有利となるともに、トルクの等配分特性が得られる効果がある。
また、上記のように構成した請求項4に係る発明においては、押圧力発生手段を、ハウジングと押圧部材との間に形成されて粘性流体を封入した凹部と、この凹部内の粘性流体を差動回転により流動させて差動回転速度に応じた押圧力で押圧部材をプラネタリギヤの端面に向けて押圧するブレードを備えたので、前後輪の差動回転速度に感応して差動制限力を発生する押圧力発生手段をより小形に構成できる効果がある。
さらに、上記のように構成した請求項5に係る発明においては、ブレードの横断面形状を周方向に非対称に形成したので、逆転差動回転時においては、正転差動回転時よりも発生圧力を低くして押圧力を軽減することができ、これによってABSとの干渉を防止できる効果がある。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。この実施の形態における車両用差動歯車装置10は、ハウジング11と、インターナルギヤ12と、サンギヤ13と、キャリヤ14およびプラネタリギヤ15を主な構成要素としている。
ハウジング11は、図略のエンジンにより回転軸線Lを中心として回転駆動される円筒部11aを有している。この円筒部11aの一端部(図1において左端部)には、底部11bが形成され、この底部11bに貫通孔11cが形成されている。円筒部11aの内周面の他端部(図1において右端部)には、キャリヤ14がスプライン係合され、円筒部11aの開口端に螺着」されたストッパ16によって位置決め固定されている。
前記円筒部11aの内周面には、内周にヘリカルギヤ12aを形成したインターナルギヤ12が回転軸線Lを中心として回転可能に嵌合されている。インターナルギヤ12の底部側の一端内周面には、環状連結部12bが形成され、この環状連結部12bの内周面に、出力部材17がスプライン係合されている。出力部材17の一端部(図1において左端部)には、前記底部11bに形成された貫通孔11cを貫通する円筒部17aが形成されている。出力部材17の内周面にはスプライン17bが形成され、このスプライン17bに図示してないが前輪側あるいは後輪側に接続される第1の出力軸がスプライン係合されるようになっている。
前記インターナルギヤ12の内側には、円筒状のサンギヤ13が回転軸線Lを中心として回転可能に配置され、このサンギヤ13の外周にヘリカルギヤ13aが形成されている。サンギヤ13の内周面にはスプライン13bが形成され、このスプライン13bに図示してないが後輪側あるいは前輪側に接続される第2の出力軸がスプライン係合されるようになっている。
前記キャリヤ14には、円筒状をなす支持部14aが前記回転軸線Lと同心的に形成され、この支持部14aはインターナルギヤ12の内周面とサンギヤ13の外周面との間を底部11b側に向かって延在されている。支持部14aには、その先端から基端部に向かって、前記インターナルギヤ12の内径とサンギヤ13の外径との中間径を軸心とする円形の収容孔18が、円周上等角度間隔に複数(実施形態では8つ)形成されている。各収容孔18の内径は、支持部14aの半径方向厚さよりも大きく設定され、これにより収容孔18の外周側及び内周側は、支持部14aの外周面および内周面からそれぞれ開放されている。
各収容孔18には、プラネタリギヤ15が回転かつ軸方向移動可能に収容され、このプラネタリギヤ15の一端面(左端面)はスラストワッシャ19を介して前記環状連結部12bの内壁に摩擦係合し、他端面(右端面)は前記収容孔18の底面18aに摩擦係合するように配置されている。プラネタリギヤ15は、収容孔18内において回転できるように、その外径が収容孔18の内径より僅かに小径に設定されている。プラネタリギヤ15の外周には、その全長にわたってヘリカルギヤ15aが形成され、このヘリカルギヤ15aは、収容孔18の外側の開放部においてインターナルギヤ12のヘリカルギヤ12aと噛合い、収容孔18の内側の開放部においてサンギヤ13のヘリカルギヤ13aと噛合っている。
従って、ハウジング10が回転駆動されると、その回転がキャリア14およびプラネタリギヤ15を介してインターナルギヤ12およびサンギヤ13に伝達される。この場合、プラネタリギヤ15が自転しないときは、インターナルギヤ12およびサンギヤ13が一体的に回転するが、プラネタリギヤ15が自転すると、インターナルギヤ12およびサンギヤ13が差動回転し、差動制限力を発生する。
上記したハウジング11と、インターナルギヤ12と、サンギヤ13と、キャリヤ14およびプラネタリギヤ15等により、トルクに感応して差動制限力を発生するトルク感応型の差動歯車機構10aを構成している。
前記ハウジング11の底部11bとインターナルギヤ12の環状連結部12bとの間には押圧部材20が配置され、この押圧部材20と環状連結部12bとの間にはスラストワッシャ21が介装されている。押圧部材20の外周はハウジング11の内周に軸方向移動のみ可能にスプライン係合され、その内周は出力部材17の円筒部16aの外周に密嵌合されている。押圧部材20の底部11b側の端面には底部11bに当接する外周縁20aを除いて深さが比較的小さな凹部20bが形成されている。凹部20b内には、凹部20bの深さに相当する薄肉のロータ22が回転可能に収納され、このロータ22は出力部材17の外周にスプライン係合されている。ロータ22には図3に示すように径方向へ延びる3枚のブレード23が円周上等角度間隔に形成され、このブレード23の外周は前記外周縁20aの内周に摺接可能に当接されている。凹部20b内にはシリコンオイル等の高粘性流体が封入されている。
ブレード23はその横断面が周方向に非対称に形成されている。すなわち、図4に詳細図示するように、周方向の幅の中間部23aが厚い肉厚にかつ両端部23b,23cが薄い肉厚に形成されている。また、中間部23aを基準として図示時計回り側の肉厚部23cは寸法が長く、反対に図示反時計回り側の肉厚部23bは寸法が短く形成されている。
これにより、ハウジング11と出力部材17とが相対回転すると、ブレード23によって凹部20b内の高粘性流体が流動され、高粘性流体の粘性摩擦作用により凹部20b内にハウジング11と出力部材17との相対回転速度に応じた圧力が発生する。この圧力によって、押圧部材20がプラネタリギヤ15側に押圧され、プラネタリギヤ15の両端面の摩擦抵抗を増大させる。この摩擦抵抗の増大作用は、ハウジング11と出力部材17との差動回転に応じて大きくなる。
この際、ロータ22のブレード23を周方向に非対称の形状に形成しているため、ロータ22の正逆差動方向における発生圧力を相違させることができる。すなわち、正転差動時においては発生圧力を高くすることができ、逆転差動時においては発生圧力を低くすることができる。
上記した押圧部材20、ブレード23を有するロータ22、および凹部20b内に封入された高粘性流体等により、前後輪の差動回転速度に感応して差動制限力を発生する押圧力発生手段10bを構成している。
なお、図中26、27はスラストワッシャを示し、これらスラストワッシャ26、27はサンギヤ13の両端と出力部材17およびキャリヤ14との各間に介挿されている。
上記した構成により、エンジンによってハウジング11が回転駆動されると、ハウジング11と一体的にキャリヤ14が回転され、このキャリヤ14の収容孔18に収納されたプラネタリギヤ15が回転軸線Lの回りに回転される。これにより、プラネタリギヤ15からインターナルギヤ12および出力部材17ならびにサンギヤ13を介してエンジン動力が前輪側と後輪側とに分配される。このとき、歯径の大きいインターナルギヤ12側の前輪あるいは後輪には大きな駆動トルクが送られ、歯径の小さいサンギヤ13側の後輪あるいは前輪にはそれより小さな駆動トルクが送られ、センターデフに最適なトルクの不等配分特性が得られる。
そして、例えば悪路走行中に、前輪と後輪との間に駆動抵抗差が生じ、インターナルギヤ12およびサンギヤ13との間に差動が生ずると、各プラネタリギヤ15が自転される。これにより各プラネタリギヤ15の外周はサンギヤ13との噛み合い反力により収納孔18に押し付けられて摩擦抵抗が発生する。それに伴ないインターナルギヤ12は各プラネタリギヤ15との噛み合い反力によりハウジング11の内周面に押し付けられて摩擦抵抗が発生する。
さらに、インターナルギヤ12、サンギヤ13およびプラネタリギヤ15がヘリカルギヤ12a、13a、15aにて構成されているので、それらの噛み合い反力によりプラネタリギヤ15にスラスト力が発生され、車両の進行方向に応じて各プラネタリギヤ15の端面が、収納孔18の底面18aに押付けられたり、スラストワッシャ19の端面に押し付けられて、摩擦抵抗が発生する。かかる摩擦抵抗により、トルク感応型の差動制限機能が得られる。
また、上記した構成の車両用差動歯車装置10においては、インターナルギヤ12およびサンギヤ13の間で差動回転が生ずると、ハウジング11と出力部材17とが相対回転し、押圧力発生手段25を構成するロータ22は凹部20b内でハウジング11に対して相対回転し、凹部20b内に封入された高粘性流体を流動させる。これにより、凹部20b内に出力部材17とハウジング11との相対回転速度に応じた圧力が発生し、この圧力によって押圧部材20がプラネタリギヤ15側に押圧され、スラストワッシャ21、環状連結部12bおよびスラストワッシャ19を介してプラネタリギヤ15をスラスト方向に押圧し、各プラネタリギヤ15の両端面と収納孔18の底面18aおよびスラストワッシャ19の各端面との間の摩擦抵抗を増大させる。
かかる摩擦抵抗の増大により、トルク感応型の差動制限機能に加えて、前後輪の差動に応じて差動制限力を高めることができるようになる。
この場合、逆転差動回転時においては、正転差動回転時よりも発生圧力が低く、押圧力を軽減できるので、ABS(アンチロックブレーキシステム)との干渉を防止できるようになる。
図5は、この発明の他の実施の形態を示すものである。この実施の形態の車両用差動歯車装置30は、特開平6−33996号公報に記載された構成の平行軸形の差動歯車装置に適用したものである。
図5において、ハウジング31の内部にはヘリカルギヤからなる一対のサイドギヤ32、33が共通の軸線Lの回りに回転可能に配置されている。一方(図の左方)のサイドギヤ32には、図示してないが前輪側あるいは後輪側に接続される第1の出力軸がスプライン係合されるようになっており、他方(図の右方)のサイドギヤ33には、図示してないが後輪側あるいは前輪側に接続される第2の出力軸がスプライン係合されるようになっている。
ハウジング31には、第1の収納孔34と、この第1の収納孔34と周方向に隣接した第2の収納孔(図示せず)とが軸方向に設けられている。第1の収納孔34には第1のプラネタリギヤ(ピニオンギヤ)35が回転かつ摺動可能に収納され、第2の収納孔には第2のプラネタリギヤ(図示してないが、便宜上35aとして説明する)が回転かつ摺動可能に収納されている。
第1のプラネタリギヤ35は両端にヘリカルギヤからなるギヤ部36、37とこれらを連結する軸部38とからなり、軸部38は右方のサイドギヤ33との干渉を避けるために小径となっている。左端のギヤ部36は左方のサイドギヤ32と噛合い、右端のギア部37は第2のプラネタリギヤ35aの右端に形成したヘリカルギヤからなるギヤ部と噛合っている。また、第2のプラネタリギヤ35aの左端に形成したヘリカルギヤからなるギヤ部は右方のサイドギヤ33と噛合っている。ハウジング31にはスラストワッシャ39が装着され、第1および第2のプラネタリギヤ35、35aの脱落を防止している。これにより、トルクに感応して差動制限力を発生するトルク感応型の差動歯車機構30aを構成している。
前記ハウジング31の底部31aと第1および第2のプラネタリギヤ35、35aとの間には押圧部材41が配置され、この押圧部材41と各プラネタリギヤ35、35aはスラストワッシャ42を介してスラスト方向にそれぞれ接合されている。押圧部材41の外周はハウジング31の内周に軸方向移動のみ可能にスプライン係合され、その内周は左方のサイドギヤ32の外周に嵌合されている。押圧部材41の底部31a側の端面には底部31aに当接する外周縁41aを除いて深さが比較的小さな凹部41bが形成されている。凹部41b内には、凹部41bの深さに相当する薄肉のロータ43が回転可能に収納され、このロータ43はサイドギヤ32の外周にスプライン係合されている。ロータ43には先の実施の形態で述べたと同様な形状のブレードが設けられている。また凹部41b内にはシリコンオイル等の高粘性流体が封入され、これらの構成によって、前後輪の差動回転速度に感応して差動制限力を発生する押圧力発生手段30bを構成している。
上記した構成により、エンジン動力によってハウジング31が駆動されると、その駆動力は各プラネタリギヤ35、35aからサイドギヤ32、33に分配され、前輪側および後輪側に伝達される。前後輪間に駆動抵抗差が生じると各プラネタリギヤ35、35aの回転により、エンジン動力は前後輪に差動分配される。
そして、この実施の形態においても、サイドギヤ32、33および各プラネタリギヤ35、35aがヘリカルギヤで構成されているため、各サイドギヤ32、33とプラネタリギヤ35、35aとの噛合いにより生じたスラスト力により、プラネタリギヤ35、35aは車両の進行方向に応じて、押圧部材41側に摩擦係合されたり、スラストワッシャ39側に摩擦係合され、その摩擦抵抗により差動制限力が発生する。
また、一対のサイドギヤ32、33との間で差動回転が生ずると、その差動回転速度に応じた圧力で押圧部材41がプラネタリギヤ35、35a側に押圧され、各プラネタリギヤ35、35aの両端面に働く摩擦抵抗を増大させるため、先に述べた実施の形態と同様に、トルク感応型の差動制限機能に加えて、前後輪の差動に応じて差動制限力を高めることができるようになる。
上記した実施の形態においては、前後輪の差動回転速度に感応して差動制限力を発生する押圧力発生手段を、ハウジングと押圧部材との間に形成されて粘性流体を封入した凹部と、この凹部内の粘性流体を差動回転により流動させて差動回転速度に応じた押圧力で押圧部材をプラネタリギヤの端面に向けて押圧するブレードにて構成したので、押圧力発生手段を軸方向の寸法の小さな小形のものとすることができる利点があるが、この発明はそのような構成に限定されるものではなく、ベーンポンプあるいはプランジャポンプ等、差動回転速度に応じた押圧力を発生するできるものも適用可能である。
本発明の実施の形態を示す断面図である。 図1のA−A線に沿った断面図である。 図1のB−B線に沿った断面図である。 図3のC−C線に沿った断面図である。 本発明の他の実施の形態を示す断面図である。
符号の説明
10、30…車両用差動歯車装置、10a、30a…差動歯車機構、10b、30b…押圧力発生手段、11、31…ハウジング、12…インターナルギヤ、13…サンギヤ、14…キャリヤ、15…プラネタリギヤ、12a、13a、15a…ヘリカルギヤ、17…出力部材、18…収納孔、20、41…押圧部材、20b、41b…凹部、22、43…ロータ、23、44…ブレード、32、33…サイドギヤ、34…収納孔、35…プラネタリギヤ。

Claims (5)

  1. ハウジングと、前輪側あるいは後輪側の一方に連結され前記ハウジング内に回転可能に支持されたヘリカルギヤからなる第1のギヤと、前輪側あるいは後輪側の他方に連結され前記ハウジング内に回転可能に支持されたヘリカルギヤからなる第2のギヤと、前記ハウジング内に回転可能に支持され前記第1および第2のギヤに噛合うヘリカルギヤからなるプラネタリギヤとを備え、前記ハウジングに伝達されたエンジン動力を前記プラネタリギヤを介して第1および第2のギヤに分配するトルク感応式の差動制限機能を有する車両用差動歯車装置において、前記第1のギヤと前記第2のギヤとの差動回転によって前記プラネタリギヤに作用するスラスト力を受ける押圧部材を備え、この押圧部材を前記第1および第2のギヤの差動回転速度に応じた押圧力で前記プラネタリギヤに向けて押圧する押圧力発生手段を備えたことを特徴とする車両用差動歯車装置。
  2. ハウジングと、前輪側あるいは後輪側の一方に連結され前記ハウジング内に回転可能に支持されたヘリカルギヤからなるインターナルギヤと、前輪側あるいは後輪側の他方に連結され前記ハウジング内に回転可能に支持されたヘリカルギヤからなるサンギヤと、前記ハウジングに連結されたキャリヤに設けられた収納孔内に回転可能に支持され前記インターナルギヤとサンギヤとに噛合うヘリカルギヤからなるプラネタリギヤとを備え、前記ハウジングに伝達されたエンジン動力を前記プラネタリギヤを介してインターナルギヤおよびサンギヤに分配するトルク感応式の差動制限機能を有する車両用差動歯車装置において、前記インターナルギヤとサンギヤとの差動回転によってプラネタリギヤに作用するスラスト力を受ける押圧部材を備え、この押圧部材を前記インターナルギヤとサンギヤとの差動回転速度に応じた押圧力で前記プラネタリギヤに向けて押圧する押圧力発生手段を備えたことを特徴とする車両用差動歯車装置。
  3. ハウジングと、前輪側および後輪側にそれぞれ連結され前記ハウジング内に共通軸線の回りに回転可能に支持された一対のサンギヤと、前記ハウジング内に前記共通軸線と平行な軸線の回りに回転可能に支持された一対のプラネタリギヤとを備え、前記各サンギヤはヘリカルギヤを有し、前記各プラネタリギヤは前記各サンギヤに各別に噛合うヘリカル状の第1ギヤ部と各プラネタリギヤ同士を噛合うヘリカル状の第2ギヤ部とを有し、前記ハウジングには前記プラネタリギヤを自転可能に収容する収容孔が形成され、前記ハウジングに伝達されたエンジン動力を前記プラネタリギヤを介して一対のサンギヤに分配するトルク感応式の差動制限機能を有する車両用差動歯車装置において、前記一対のサンギヤとの差動回転によってプラネタリギヤに作用するスラスト力を受ける押圧部材を備え、この押圧部材を前記一対のサンギヤとの差動回転速度に応じた押圧力で前記プラネタリギヤに向けて押圧する押圧力発生手段を備えたことを特徴とする車両用差動歯車装置。
  4. 前記押圧力発生手段は、前記ハウジングと前記押圧部材との間に形成され粘性流体を封入した凹部と、前記第1もしくは第2の出力軸に連結され前記ハウジングと前記第1もしくは第2の出力軸との差動回転によって前記粘性流体を流動させ前記第1もしくは第2の出力軸との差動回転速度に応じた押圧力で前記押圧部材を前記プラネタリギヤの端面に向けて押圧するブレードを備えてなる請求項1、請求項2もしくは請求項3に記載の車両用差動歯車装置。
  5. 前記ブレードの横断面形状を周方向に非対称に形成してなる請求項4に記載の車両用差動歯車装置。
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