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JP4700899B2 - 駐車支援装置 - Google Patents

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JP4700899B2
JP4700899B2 JP2003108956A JP2003108956A JP4700899B2 JP 4700899 B2 JP4700899 B2 JP 4700899B2 JP 2003108956 A JP2003108956 A JP 2003108956A JP 2003108956 A JP2003108956 A JP 2003108956A JP 4700899 B2 JP4700899 B2 JP 4700899B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、駐車支援装置に係り、特に狭い通路における並列駐車の運転操作を運転者に案内する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特許文献1に開示されているように、車両に取り付けられた監視カメラからの映像をディスプレイに表示し、ハンドルの操舵角に応じた予想軌跡をディスプレイ上に重畳表示することにより運転操作を支援する運転支援装置が開発されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−251632号公報
【0004】
このような運転支援装置によれば、運転者はディスプレイ上の予想軌跡を見ながら車両を運転操作することにより、例えば車両を駐車スペースへ並列駐車させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、幅の狭い通路では、周囲に干渉しないように車を後退させたり前進させたりして駐車する必要があり、後退に対する予想軌跡をディスプレイ上に表示するだけでは不十分であった。
【0006】
この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、幅の狭い通路でも容易に並列駐車を行うことができる駐車支援装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る駐車支援装置は、車両後方の映像をディスプレイに表示する駐車支援装置において、通路幅を計測する通路幅計測手段と、通路幅計測手段で計測された通路幅と、車幅と、車長と、リヤアクスル中心の車両後端からの距離と、所定の旋回半径とに基づいて、並列駐車のための初期停止位置を演算すると共に、その初期停止位置に車両を案内するためのガイド表示をディスプレイに重畳表示させるコントローラであって、初期停止位置は、通路幅のほぼ中央である、コントローラとを備え、ガイド表示は、初期停止位置と駐車枠線入口端との間の距離と通路幅の関係を表し、初期停止位置は、該初期停止位置から所定の旋回半径をもって車両が後退した場合に、通路側の車両前端が通路幅をはみ出さず且つ駐車枠側の後輪の最外端が駐車枠線入口端を通る、又は駐車枠線入口端から所定の余裕幅を有するように決められたものである。
【0008】
舵角センサを備え、コントローラは操舵角に応じた予想軌跡を表示することができる。
駐車枠の幅を計測する駐車枠幅計測手段を備え、初期停止位置から駐車枠の入口に達した後の経路について、コントローラは、駐車枠計測手段で計測された駐車枠の幅に基づいて、ハンドルをフル切りにした前進とハンドルを逆方向にフル切りにした後退とを繰り返す切り返しを行う場合の、ハンドルの切り返し位置を演算することができる。
【0009】
また、車両のヨー角を検出するヨー角検出手段をさらに備え、コントローラはヨー角検出手段により検出された車両のヨー角から車両の位置を特定して運転者にハンドルの切り返し位置に関する案内情報を提供するように構成することもできる。
ここで、コントローラは、車両のリヤアクスル中心が駐車枠のほぼ中央に達すると同時に、車両方向が駐車枠とほぼ平行な状態になった場合に車両旋回終了を案内することが好ましい。
【0010】
また、コントローラは、ハンドルの切り返し位置を演算するにあたり、ハンドルをフル切りにした後退動作の旋回角度は、この後退動作あるいはハンドル切り返し後の次の前進動作において車両のリヤアクスル中心が駐車枠のほぼ中央に達すると同時に車両方向が駐車枠とほぼ平行な状態になるか、またはハンドル切り返し後の次の前進動作において車両の前端が通路端に至ったときに車両のリヤアクスル中心が駐車枠の中央より前側枠線側に位置するように決定されることが好ましい。
一方、コントローラは、前記ハンドルの切り返し位置を演算するにあたり、ハンドルをフル切りにした前進動作の旋回角度は、この前進動作あるいはハンドル切り返し後の次の後退動作において車両のリヤアクスル中心が駐車枠のほぼ中央に達すると同時に車両方向が駐車枠とほぼ平行な状態になるか、またはハンドル切り返し後の次の後退動作において車両の後端が駐車枠の後側枠線に至ったときに車両のリヤアクスル中心が駐車枠の中央より後側枠線側に位置するように決定されることが好ましい。
【0012】
コントローラが、運転者により実際にハンドルが切り返された位置に基づき、その後のハンドルの切り返し位置を再演算することもできる。この場合、周囲の障害物を検知する障害物検知センサをさらに備え、コントローラが障害物検知センサからの検知信号に基づいて案内情報を提供してもよい。
なお、コントローラが、初期停止位置から駐車枠に並列駐車するまでに必要なハンドルの切り返し回数を演算し、初期停止位置から後退する時に運転者に提供することもできる。
また、スピーカを備えて、切り返し位置を音声で提供することもできる。
ヨー角検出手段としては、ヨーレートセンサを用いることもでき、あるいは操舵角センサ及び車輪速センサを用いることもできる。
また、この発明に係る駐車支援装置は、車両後方の映像をディスプレイに表示する駐車支援装置において、並列駐車のための初期停止位置から駐車枠内への旋回後退にあたり、初期停止位置へ車両を案内するガイド表示をディスプレイに重畳表示させるコントローラを備え、初期停止位置の通路幅方向は、通路の中央であり、ガイド表示は、初期停止位置と駐車枠線入口端との間の距離と通路幅の関係を表し、旋回後退は、通路幅と、車両の車幅と、車長と、リヤアクスル中心の車両後端からの距離とに基づいて決まる、車両前端が通路幅をはみ出さない旋回半径による旋回後退であり、距離は、旋回後退した場合に、駐車枠側の後輪の最外端が駐車枠線入口端を通る、又は駐車枠線入口端から所定の余裕幅を有するように決められた距離であるものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1に示されるように、車両1の後部に車両1の後方の視界を撮影する後方監視カメラ2が取り付けられており、カメラ2の視界範囲の下端部に車両1の後部バンパー3が入っている。車両1の運転席には液晶カラータイプのディスプレイ4が配置されている。このディスプレイ4は、通常はナビゲーション装置の表示装置として使用されるが、この発明に基づいて駐車支援操作が行われる際にはカメラ2による映像が表示される。また、運転席の側方にシフトレバー5が配置されている。操舵輪としての前輪6はハンドル7の操作により操舵される。
【0014】
図2にこの発明の実施の形態1に係る駐車支援装置の構成を示す。カメラ2とディスプレイ4にコントローラ8が接続されている。このコントローラ8には、車両1のヨー角方向の角速度を検出するヨーレートセンサ9、ハンドル7の操舵角を検出する操舵角センサ10、シフトレバー5を後退位置にしたときに後退信号を発するシフトセンサ11がそれぞれ接続されると共に、車両1が並列駐車を行うことをコントローラ8に知らせるための並列モードスイッチ12とディスプレイ4上でガイド表示を移動させるための操作スイッチ13が接続されている。さらに、運転者に対して運転操作の情報を案内するためのスピーカ14がコントローラ8に接続されている。
【0015】
コントローラ8は、図示しないCPUと制御プログラムを記憶したROMと作業用のRAMとを備えている。
ROMには、車両1のハンドル7が最大に操舵されて車両1が旋回する場合の最小旋回半径Rと車両1の全長L及び幅W等のデータが記憶されると共に並列駐車時の駐車支援を行う制御プログラムが格納されている。CPUはROMに記憶された制御プログラムに基づいて動作する。コントローラ8は、ヨーレートセンサ9から入力される車両1の角速度を積分することにより車両1のヨー角を算出し、車両1の旋回角度を算出して駐車運転中の各ステップにおける操作方法やハンドル7の切り返し位置に関する情報をスピーカ14に出力する。
【0016】
ここで、この実施の形態1の駐車支援装置が車両1にどのような経路を進行させて駐車を支援するのかを、通路の左側へ並列駐車する場合を例にとり、図3を参照して説明する。
まず、初期停止位置P1として、車両1のリヤアクスル中心A0が幅Uの通路のほぼ中心線上で且つ目標とする駐車枠Sの前側枠線S1から所定の距離Dだけ離れた地点となる位置に車両1を停止させる。
次に、第1ステップとして、左側の後輪の軌跡Tが駐車枠Sの前側枠線入口端S0に接するまでハンドル7を左に切り、この操舵量のまま車両1を後退させ、後輪が前側枠線入口端S0に達した車両位置P2で停止する。
【0017】
さらに、第2ステップとして、ハンドル7を同じ方向にフル切りにして後退し、車両1の右後端が駐車枠Sの後側枠線S2に接したら停止し、ハンドル7を反対方向にフル切りして前進し、車両1の右前端が通路端に接するまで前進し、再びハンドル7を反対方向にフル切りして車両1の右後端が駐車枠Sの後側枠線S2に接するまで後退する。このような前進及び後退を繰り返して車両旋回を行い、車両1を駐車枠Sの中央で且つ前側枠線S1及び後側枠線S2に平行な車両位置を車両位置P3とする。
その後、第3ステップとして、車両1を駐車枠Sの奥の車両位置P4まで直進後退させることにより並列駐車を完了する。
【0018】
ここで、初期停止位置P1を通路のほぼ中心線上としたのは、車両1の右前端が通路端に干渉しないようにするには、車両1をできるだけ駐車枠S側に寄せるのが好ましく、一方、車両1の左後輪が駐車枠Sに干渉しないようにするには、車両1をできるだけ駐車枠Sから遠ざけることが好ましいので、これらの背反する要求をどちらも程よく満たすためのものである。また、車両1の運転者が目視で判断し易いという理由もある。
【0019】
次に、初期停止と各ステップについて詳しく説明する。
運転者は車両1を前進させて駐車枠Sを左手に見ながら駐車枠Sを通り過ぎ、車両1が通路のほぼ中心線上に位置するように目視で判断して車両1を停止させる。ここで、運転者が並列モードスイッチ12を投入すると、コントローラ8は並列駐車のためのプログラムを起動させ、カメラ2による後方の映像がディスプレイ4に表示されると共に、図4(a)に示されるように複数のコ字状あるいは矩形のガイド線21〜23からなるガイド表示をディスプレイ4上に重畳表示する。運転者は、ディスプレイ4を見ながら通路幅Uに最も近い幅のガイド線、例えば図4(b)に示されるようにガイド線22を操作スイッチ13あるいは図示しないカーソルで選択し、さらに図4(c)に示されるように、この選択されたガイド線22の横線がディスプレイ4上の駐車枠Sの前側枠線と一直線上に位置するまで車両1を直進後退させる。このようにして、ガイド線22の横線が駐車枠Sの前側枠線と一直線上に位置した地点が、車両1の初期停止位置P1となる。なお、後述するが、通路幅が与えられれば第1ステップのハンドル操作量つまり、旋回半径の最小値が後述の式(1)により決まる。その最小値以上の範囲で旋回半径を決めれば、距離Dが決定される。ガイド線21〜23はその通路幅と距離Dの関係を示す線である。なお、旋回半径は最小値に近い方が第2ステップでの操舵回数が少なくなる。
なお、通路幅Uに最も近い幅のガイド線22を選択した時点で通路幅Uが計測され、コントローラ8に入力される。
【0020】
また、並列モードスイッチ12の投入によりガイド表示と共にディスプレイ4上に駐車案内情報としてそのときのハンドル7の操舵角に応じた車両1の左右後輪の予想軌跡が表示される。そこで、第1ステップでは、運転者は、ディスプレイ4上で左後輪の予想軌跡が駐車枠Sの前側枠線入口端S0に接するようにハンドル7を操舵し、そのまま車両1を後退させればよい。このとき、操舵角センサ10及びヨーレートセンサ9による検出信号とシフトセンサ11からの後退信号に基づいて、コントローラ8は初期停止位置P1と駐車枠Sとの位置関係を把握し、車両1の後輪が前側枠線入口端S0に接する車両位置P2に近づくにつれて、車両位置P2への接近を知らせる接近情報と、車両位置P2に到達したことを知らせる到達情報とをスピーカ14を介して運転者に知らせる。運転者は、到達情報に従って車両1を車両位置P2に停止させる。
【0021】
続く第2ステップでは、ハンドル7を同じ方向にフル切りにして後退する。これにより、車両1は駐車枠Sの入口により深く入り、第2ステップでの操舵回数が少なくなる。ヨーレートセンサ9による検出信号に基づいてコントローラ8は車両1の位置を判断し、車両1の右後端が駐車枠Sの後側枠線S2に近づくにつれて接近情報を、後側枠線S2に到達した時点で到達情報をそれぞれスピーカ14から発し、運転者は到達情報に従って車両1を停止させる。ここで、ハンドル7を反対方向にフル切りして前進させる。コントローラ8は、車両1の右前端が通路端に近づくにつれて接近情報を、通路端に到達した時点で到達情報をそれぞれスピーカ14から発し、運転者は到達情報に従って車両1を停止させる。このようにして前進及び後退を繰り返し、車両1が駐車枠Sの中央で且つ前側枠線S1及び後側枠線S2に平行になったところで、コントローラ8はスピーカ14から車両旋回終了を伝える情報を発し、これにより、運転者は車両1を車両位置P3に停止させることができる。
【0022】
その後、第3ステップでは、運転者は車両1を直進後退させるだけでよい。このとき、運転者はディスプレイ4上に表示されたカメラ2からの後方の映像及び予想軌跡を見ながら駐車枠Sの奥の車両位置P4へ車両1を容易に導くことができる。
【0023】
ここで、車両1が初期停止位置P1からどのような軌跡を描いて駐車枠Sの中央で且つ前側枠線S1及び後側枠線S2に平行になる車両位置P3に至るかを説明する。なお、車両1の可動エリアを通路幅内の全域と駐車枠S内のみとする。
初期停止位置P1から車両位置P2までの第1ステップにおける車両1の旋回を第1a旋回とし、この第1a旋回に続いて第2ステップ初めのハンドル7をフル切りにして後退する旋回を第1b旋回とする。
【0024】
通路幅をU、駐車枠幅をP、車幅をW、車長をL、リヤアクスル中心の車両後端からの距離をA、第1a旋回の旋回半径をr1a(最小旋回半径である必要はない)とし、条件K1:軌跡のうち最内側を通る左後輪の最外側が駐車枠Sの前側枠線入口端S0を通る、条件K2:軌跡のうち最外側を通る右前端が通路幅をはみ出さない、の二つを条件とする。なお、条件K1において最外側は実際には所定の余裕幅を加えて演算し、前側枠線入口端S0に車両が接近しすぎないようにしても良い。この場合、車両後輪の予想軌跡Tは余裕幅分だけ間隔が広がって重畳表示される。駐車枠Sの前側枠線入口端S0を原点とし、初期停止位置P1における車両前方をy、車両右側方をxとする座標系において、第1a旋回の旋回中心の座標をC1a(xc1a、yc1a)とすると、条件K2より、
{(r1a+W/2)+(L−A)1/2≦r1a+U/2
となるので、
1a≧{(L−A)+(W/2)−(U/2)}/(U−W)・・・・・(1)
と表される。また、条件K1より、
xc1a=−(r1a−U/2)
yc1a={(r1a−W/2)−(r1a−U/2)1/2
となる。このyc1aが初期停止位置P1におけるリヤアクスル中心の座標つまり距離Dを意味する。
左後輪が駐車枠Sの前側枠線入口端S0に接した車両位置P2で停止する。そのときの第1a旋回の旋回角をα11とすると、
α11=arctan(−yc1a/xc1a
となる。
【0025】
ところで、車両位置P3における車両旋回終了は、車両可動エリアにおいて駐車枠Sの中央で且つ駐車枠Sに平行であるが、図5に示されるように、リヤアクスル中心が駐車枠Sの中心線に対して±ΔPの許容距離内に入り、且つ駐車枠Sの中心線に対して±Δθの許容角度内に入るという実用的な完了条件J0を設ける。
【0026】
第2ステップにおいて、「駐車枠Sの中央で且つ前側枠線及び後側枠線に平行になる」ためには、下記2つの条件J1及びJ2を満たす前進及び後退動作をする必要がある。
条件J1:第2n−1旋回時の後退可能角度は、
完了条件J0を満たすか、
完了条件J0を満たさない場合は、
次の第2n旋回(フル切り前進)時にリヤアクスル中心が完了条件J0を満たすか、
通路端に至った時に駐車枠Sの中央より前側枠線S1側にあることにより規定される。すなわち、リヤアクスル中心が駐車枠Sの中央より前側枠線S1側にあれば、次の次の第2n+1旋回時に中央に寄ることができる。
条件J2:第2n旋回時の前進可能角度は、
完了条件J0を満たすか、
完了条件J0を満たさない場合は、
次の2n+1旋回(フル切り後退)時にリヤアクスル中心が完了条件J0を満たすか、
駐車枠Sの枠線に至った時に駐車枠Sの中心より後側枠線S2側にあることにより規定される。すなわち、リヤアクスル中心が駐車枠Sの中央より後側枠線S2側にあれば、次の次の第2n+2旋回時に中央に寄ることができる。
【0027】
なお、第2n−1旋回時の後退可能角度は、次の第2n旋回の操舵でリヤアクスル中心が駐車枠Sの中央より前側枠線S1側になれる範囲しか後退できない事を意味しており、必ずしも駐車枠Sの枠線に接するまで後退する事を意味していない。ただし、標準的な駐車枠Sでは、両者が一致し、駐車枠Sの枠線に接するまで後退すればよいことになる。接するまで後退出来ない場合は、かなり姿勢が駐車枠Sと平行になった場合に発生する。
同様に、第2n旋回時の前進可能角度は、次の第2n+1旋回の操舵でリヤアクスル中心が駐車枠Sの中央より後側枠線S2側になれる範囲しか前進できない事を意味しており、必ずしも通路端に接するまで前進する事を意味していない。ただし、一般的には両者が一致し、通路端に接するまで前進すればよいことになる。接するまで前進出来ない場合は、かなり姿勢が駐車枠Sと平行になった場合に発生する。
【0028】
これらの条件J1及びJ2により、リヤアクスル中心が上下に振動しながら駐車枠Sの中央に近づくこととなる。
これらの条件J1及びJ2に基づいて、第1b旋回→第2旋回→・・・→第2n−1旋回→第2n旋回→第2n+1旋回・・・→車両旋回終了となり、最後の車両旋回終了から操舵量が決まり、順次前の旋回の操舵量が決定されていくことになる。
車両1の旋回半径やカメラ2の取付位置等の車両条件、通路幅U等の通路条件、駐車枠Sの幅等の駐車枠条件により、旋回回数、操舵量等が一意的に決まるので、車両旋回終了から順次さかのぼって操舵量を算出することができる。
【0029】
車両位置P2からの第1b旋回の中心の座標をC1b(xc1b、yc1b)とすると、ここで旋回半径がr1aから最小旋回半径Rになるので、
xc1b=xc1a+(r1a−R)cosα11
yc1b=yc1a−(r1a−R)sinα11
となる。
【0030】
第1b旋回の回転角をα12とし、α=α11+α12とする。また、第2ステップにおける旋回回数は、通路幅等により変化するが、ここで「0」を駐車枠S又は通路端に接するまでの旋回、「1」を駐車枠S又は通路端に接しない旋回、「F」を最後の旋回として、第2ステップの旋回の様子Bを表記することとする。例えば、「B0010F」は、駐車枠S又は通路端に接するまでの旋回を2回続け、さらに駐車枠Sに接しない旋回、通路端に接するまでの旋回を順次行った後、最後の旋回を行う計5回の旋回で第2ステップを完了することを示している。
【0031】
(1)第1b旋回で完了条件J0を満たす場合には、「BF」となる。通路幅Uが広いときがこの場合になる。
α=α11+α12=90°
であるから、
α12=90°−α11
となる。
【0032】
(2)次の第2旋回で完了条件J0を満たす場合には、「BXF」(Xは0または1)となる。
第2旋回の旋回角をα、旋回半径をr(最終は必ずしも最小旋回半径Rである必要はない)とすると、第2旋回の中心の座標C2(xc、yc)は、
xc=xc1b+(R+r)cosα
yc=yc1b−(R+r)sinα
となる。第2旋回で駐車完了であるから、
α+α=90°
となり、リヤアクスル中心の座標をA2(xa,ya)とすると、リヤアクスル中心A2が駐車枠Sの中央であるので
Figure 0004700899
と表される。また、駐車完了だから通路端には当たらないので、図6に示されるように、
xc−rcos(α+α
+{(W/2)+(L−A)1/2cos(α+α−λ)≦U
となる。ここに、
λ=arctan{(L−A)/(W/2)}
である。この段階では、α12、α、rはまだ未定である。
【0033】
(2−1)第1b旋回の後退で駐車枠Sの枠線に接する場合は「B0F」となる。
図7に示されるように、
Rsinα+{A+(W/2)1/2cos(α−μ)=yc1b+P
となる。ここに、μ=arctan{(W/2)/A}からα12が求まり、α、rが決まる。
【0034】
(2−2)第1b旋回の後退で駐車枠Sの枠線に接しない場合は「B1F」となる。
Rsinα+{A+(W/2)1/2cos(α−μ)<yc1b+P
を満たす、ある範囲のα12が決まり、α、rが決まる。
【0035】
(3)次の第2旋回で完了条件J0を満たさず、第3旋回で完了条件J0を満たす場合には「BXXF」となる。
第3旋回の旋回角をα、旋回半径をr(最終は必ずしも最小旋回半径Rである必要はない)とすると、第3旋回の中心の座標C3(xc、yc)は、
xc=xc−(R+r)cos(α+α
yc=yc+(R+r)sin(α+α
となる。第3旋回で駐車完了であるから、
α+α+α=90°
となり、リヤアクスル中心の座標をA3(xa,ya)とすると、
Figure 0004700899
と表される。このとき、車両1の左後端が駐車枠Sの奥に接触しない条件より、図8に示されるように、
xa−{A+(W/2)1/2cos{α+α+α−(90°−μ)}≧−L
となり、また、第2旋回では条件J1よりリヤアクスル中心のy座標は、駐車枠Sの中央より前側枠線S1側にある必要があるから、
ya−(−P/2)=yc+Rsin(α+α)+P/2≧0
となる。
【0036】
(3−1)第1b旋回の後退で駐車枠Sの枠線に接し、第2旋回の前進で通路端に接する場合は「B00F」となる。
第2旋回で通路端に接するので、
xc−Rcos(α+α)+
{(W/2)+(L−A)1/2cos(α+α−λ)=U
となる。第1b旋回も駐車枠Sの枠線に接するので、
Rsinα+{A+(W/2)1/2cos(α−μ)=yc1b+P
となり、α12が決まり、α、α、rが決まる。
【0037】
(3−2)第1b旋回の後退で駐車枠Sの枠線に接し、第2旋回の前進で通路端に接しない場合は「B01F」となる。
第2旋回で通路端に接しないので、
xc−Rcos(α+α)+
{(W/2)+(L−A)}cos(α+α−λ)<U
となる。第1b旋回は駐車枠Sの枠線に接するので、
Rsinα+{A+(W/2)1/2cos(α−μ)=yc1b+P
となり、α12が決まり、α、α、rが決まる。
【0038】
(3−3)第1b旋回の後退で駐車枠Sの枠線に接しなく、第2旋回の前進で通路端に接する場合は「B10F」となる。
第2旋回で通路端に接するので、
xc−Rcos(α+α)+
{(W/2)+(L−A)}cos(α+α−λ)=U
となる。第1b旋回は駐車枠Sの枠線に接しないので、
Rsinα+{A+(W/2)1/2cos(α−μ)<yc1b+P
となり、α12が決まり、α、α、rが決まる。
【0039】
(3−4)第1b旋回の後退で駐車枠Sの枠線に接しなく、第2旋回の前進で通路端に接しない場合は「B11F」となる。
第2旋回で通路端に接しないので、
xc−Rcos(α+α)+
{(W/2)+(L−A)}cos(α+α−λ)<U
となる。第1b旋回も駐車枠Sの枠線に接しないので、
Rsinα+{A+(W/2)1/2cos(α−μ)
<yc1b+P
となり、α12が決まり、α、α、rが決まる。
【0040】
(4)以下同様に、第4旋回で完了する場合、第5旋回で完了する場合、第6旋回で完了する場合、第7旋回で完了する場合・・・と順次解析すればいい。その場合、m回目の旋回の中心の座標Cm(xc,yc)は、
xc2n=xc2n−1+(R+r)cos(α1+・・・+α2n−1
yc2n=yc2n−1−(R+r)sin(α1+・・・+α2n−1
xc2n+1=xc2n−(R+r)cos(α1+・・・+α2n
yc2n+1=yc2n+(R+r)sin(α1+・・・+α2n
と表され、第2ステップの完了時以外の時は、r=Rとなる。
【0041】
また、条件J1は、図9に示されるように、第2n−1旋回の後退の旋回角をα2n−1、次の第2n旋回の前進の旋回角をα2nとすると、
Figure 0004700899
と表される。
条件J2は、図10に示されるように、第2n旋回の前進の旋回角をα2n、次の第2n+1旋回の後退の旋回角をα2n+1とすると、
Figure 0004700899
と表される。
【0042】
ここで、車幅W=1.79m、全長L=4.75m、リヤアクスル中心の車両後端からの距離A=1m、最小旋回半径R=4.03mの車両ESについて、通路幅Uに対する第1a旋回の旋回半径の最小値(ただし最小旋回半径Rより小さい場合は最小旋回半径R)r1aminを計算すると下表のようになる。
U(m) r1amin(m)
3.9 5.24
4 4.92
4.32 4.03
4.5 4.03
5 4.03
この車両ESを通路の中心線上に停めて旋回すると、4.32mより狭い通路では、上記の値以上でないと通路端に当たるが、4.32mより広い通路では、最小旋回半径4.03mでも当たらないことがわかる。第1a旋回の旋回半径r1aは、r1aminに近いほど、初期停止位置Dが駐車枠Sに近いのでカメラ映像によるガイド線を合わせやすいし、旋回後退して駐車枠Sに深く入り込めるので望ましい。なお、第1a旋回の旋回半径r1aは、通路幅Uに応じてr1amin以上の値をとることができるが、旋回半径r1aが決まらないと初期停止位置P1の距離Dが決まらないので、距離Dを決める前に旋回半径r1aをあらかじめ決めておく必要がある。
【0043】
この車両ESを幅U=3.9mの通路で駐車枠Sに並列駐車させる際の操作例を図11に示す。車両位置P2からP3までの第2ステップで7回の旋回を必要とし、上記の表記に従うと「B000000F」の旋回となる。
同様に、車両ESを幅U=4mの通路で並列駐車させる際の操作例を図12に示す。第2ステップで4回の旋回を必要としている。
また、車両ESを幅U=4.32mの通路で並列駐車させる際には、図13に示されるように、第2ステップは2回の旋回で済むことがわかる。
幅U=4.5mの通路では、図14に示されるように、初期停止位置P1における車両ESのリヤアクスル中心が駐車枠Sの前側枠線S1からD=3mの距離である場合には第2ステップで3回の旋回を必要とするが、図15に示されるように、初期停止位置P1におけるリヤアクスル中心が駐車枠Sの前側枠線S1からD=2.58mの距離である場合には第2ステップが2回の旋回で済む。
【0044】
実施の形態2.
上記の実施の形態1では、複数のコ字状のガイド線21〜23をガイド表示として表示し、これらのうち通路幅Uに最も近い幅のガイド線を選択したが、ただ一つのコ字状のガイド線のみを表示し、操作スイッチ13の操作によりこのガイド線の幅方向の長さを調整して通路幅Uに合わせるように構成することもできる。このようにすれば、ガイド線の幅を通路幅Uにピッタリと合わせることができ、通路幅Uの正確な計測が可能となる。
【0045】
実施の形態3.
上記の実施の形態1では、複数のコ字状のガイド線21〜23をガイド表示として用いたが、この実施の形態3では、図16に示されるように、左右一対の斜め線24及び25をガイド表示として使用するものである。これらの斜め線24及び25は、図4に示した実施の形態1のコ字状のガイド線21〜23の角部を結んだ線に相当している。ここで、斜め線24,25は直線に限らない。r1amin以上の範囲で第1a旋回の旋回半径r1aをどう決めるかによって曲線にもなりうるが、説明を容易にする為に、直線で記載している。
車両1を通路幅Uの中心線上に停止させ、ディスプレイ4上で斜め線24及び25の一方が駐車枠Sの前側枠線入口端S0に一致するまで後退して停止させる。この位置が初期停止位置P1となる。ここで、操作スイッチ13の操作により一対の斜め線24及び25の間を結ぶ横方向の通路幅測定用表示線26が重畳表示され、さらに操作スイッチ13により通路幅測定用表示線26を上下に動かして通路幅に合わせることにより、通路幅Uが計測される。
【0046】
実施の形態4.
実施の形態3において、横方向の通路幅測定用表示線26の代わりに、図17に示されるように、斜め線24及び25上を移動自在のアイマーク27を重畳表示させ、このアイマーク27を操作スイッチ13により動かして駐車枠Sの前側枠線入口端S0に一致させることにより、通路幅Uを計測することもできる。
【0047】
実施の形態5.
また、図18に示されるように、実施の形態3において、車両1を初期停止位置P1に停止させた後、第1ステップで左後輪の予想軌跡Tが駐車枠Sの前側枠線入口端S0に接するようにハンドル7を操舵し、ここで操作スイッチ13を投入するか、あるいはヨーレートセンサ9や車輪速センサ等で車両1の動き始めを検出して、このときの操舵角を操舵角センサ10から取り込み、駐車枠Sまでの距離Dと通路幅Uを求めることもできる。
【0048】
実施の形態6.
また、図18に示されるように、実施の形態3において、車両1を初期停止位置P1に停止させた後、ハンドル7を操舵し、斜め線24、25上を操舵に応じて移動するアイマーク27を駐車枠Sの前側枠線入口端S0に一致させ、ここで操作スイッチ13を投入するか、あるいはヨーレートセンサ9や車輪速センサ等で車両1の動き始めを検出して、このときの操舵角を操舵角センサ10から取り込み、駐車枠Sまでの距離Dと通路幅U及びそのときに適した操舵量を同時に定めることもできる。
この場合、アイマーク27は、操舵角に基づき定まる旋回半径r1aを式(1)に代入してUについて解くことで得られるUに対応する位置に表示すればよい。
【0049】
また、アイマークの代わりに、ハンドル操舵に応じてお互いの間隔が変化する2本の縦線を表示してもよい。この場合、2本の縦線が通路幅Uに一致するまで操舵し、そこでハンドルを固定して、操作スイッチ13を投入するか、あるいはヨーレートセンサ9や車輪速センサ等で車両1の動き始めを検出して、このときの操舵角を操舵角センサ10から取り込み、駐車枠Sまでの距離Dと通路幅U及びそのときに適した操舵量を同時に定めることもできる。
2本の縦線の間隔は、上記アイマークの場合と同様に、操舵角に基づき定まる旋回半径を式(1)に代入してUについて解くことで得られるUに対応する幅に表現すればよい。
【0050】
実施の形態7.
通路幅Uが狭い程、車両1を駐車枠Sに並列駐車させることができる初期停止位置P1の自由度は低い。そこで、実施の形態1のガイド線21〜23及び実施の形態2の斜め線24及び25の代わりに、狭い通路を想定して、図19(a)に示されるような上下方向の表示位置が固定された横方向の直線状のガイド線28をガイド表示としてディスプレイ4上に重畳表示させてもよい。
車両1を通路幅Uの中心線上に停止させ、図19(b)に示されるように、ディスプレイ4上でガイド線28が駐車枠Sの前側枠線S1に重なるまで後退して停止させる。この位置が初期停止位置P1となる。ここで、図19(c)に示されるように、操作スイッチ13の操作によりガイド線28の長さを調整して通路幅に合わせることにより、通路幅Uが計測される。
なお、幅方向が合わせやすいようにガイド線28の両端に縦線を表示してもよい。
またスイッチ13の操作の代わりに実施例6と同様に、ハンドル操舵に応じてガイド線28の長さを調節してもよい。
【0051】
実施の形態8.
駐車枠Sが一般的な2.5m幅より狭い場合や、幅の広い駐車枠Sの中央に車両1を誘導させたい場合には、初期停止位置P1の決定後に駐車枠Sの幅を計測することが好ましい。
例えば、実施の形態1において、図20(a)に示されるように、通路幅Uに合わせて選択されたガイド線22の横線がディスプレイ4上の駐車枠Sの前側枠線S1と一直線上に位置するまで車両1を直進後退させて初期停止位置P1を決定した後、図20(b)に示されるように、操作スイッチ13の操作によりガイド線22の横線22aを上下に移動させて駐車枠Sの後側枠線S2に合わせることにより、駐車枠Sの幅が計測される。
このようにして計測された駐車枠Sの幅を考慮してコントローラ8がハンドル7の切り返し位置を演算し、運転者に案内することができる。
【0052】
実施の形態9.
初期停止位置P1で通路幅Uの中心線上に停止すると、第1ステップにおいて車両1の左側後輪が駐車枠Sの前側枠線入口端S0に接すると共に車両1の右側前端が通路端に接する。
ところが、図21に示されるように、初期停止位置P1で駐車枠S側にずれると、第1ステップにおいて車両1の左側後輪が駐車枠Sの前側枠線入口端S0に早く接し、車両1の右前端は通路端に接しなくなる。すなわち、実際の通路幅Uより狭い幅U1の通路とみなし、通路幅Uを有効に使わなかったことになる。
また、図22に示されるように、初期停止位置P1で通路端側にずれると、車両1の右前端が通路端に早く接し、やはり実際より狭い通路とみなすこととなる。この場合、左側後輪の予想軌跡が駐車枠Sの前側枠線入口端S0に接するまでハンドル7を操舵すると、第1ステップで車両1の右前端が通路端からはみ出してしまう。
そこで、図23に示されるように、第1ステップにおいてハンドル7の操舵角に応じた車両1の右前端の予想軌跡29を重畳表示し、この予想軌跡29が通路端に接する所で操舵量を決めるようにするとよい。
実際には、図23に示されるように、後輪の予想軌跡Tと予想軌跡29を同時に表示し、これらの双方が通路内に納まるように操舵することが好ましい。
また、予想軌跡29の代わりに、予想軌跡29に接すると同時に通路と平行な直線を重畳表示しても良い。
【0053】
実施の形態10.
並列駐車に先立ち、通路に沿って車両1を前進させて駐車枠Sの入口にさしかかる付近で並列モードスイッチ12を投入してディスプレイ4上に後方映像を映し出し、図24(a)に示されるように、ディスプレイ4上に例えば実施の形態1のガイド線21〜23を重畳表示させることもできる。運転者は、図24(b)に示されるように、ガイド線21〜23が通路中央に位置するように、また、ガイド線のいずれかの横線が駐車枠Sの前側枠線S1と一直線上に位置するまで車両1を前進させて、適当な位置で停止する。
このようにすれば、初期停止位置P1の通路幅方向の位置ずれを少なくすることができ、並列駐車の精度が向上する。
なお、ガイド線21〜23の代わりに、実施の形態2の斜め線24及び25や実施の形態5のガイド線28を駐車枠Sの入口にさしかかる付近で表示させてもよい。
【0054】
実施の形態11.
図25(a)に示されるように、車両1を前進させ、駐車枠Sを通り過ぎた地点で停止して並列モードスイッチ12の投入により例えば実施の形態1のガイド線21〜23をディスプレイ4上に重畳表示させた際に、通路幅Uの中央より左右どちらかの端に寄っていたら、通路幅Uの両端からの距離が等しくなるように目測で幅方向を決めておき、車両1の後退時に選択されたガイド線22の横線を駐車枠Sの前側枠線S1に合わせると同時に、ガイド線22が通路幅Uの両端に接するように後退してもよい。
このようにすれば、通路幅方向の位置ずれを修正して初期停止位置P1へ車両1を誘導することができる。
【0055】
実施の形態12.
初期停止位置P1と駐車枠Sとの位置関係と通路幅Uとが分かれば、第1ステップにおける操舵量の目標値は一意的に決定される。そこで、左側後輪の予想軌跡が駐車枠Sの前側枠線入口端S0に接するように運転者がハンドル7を操舵して後退を開始した際に操舵角センサ10から得られる実操舵量が目標値から所定値以上ズレた場合には、それまでに決定した通路幅U、初期停止位置P1及び操舵量のいずれかに異常があるとしてスピーカ14から警報を出し、運転者に注意を促すことができる。
また、第2ステップではハンドル7のフル切りが目標操舵量であるが、フル切りせずに旋回している場合も警報を出すようにすることができる。
【0056】
実施の形態13.
初期停止位置P1と駐車枠Sとの位置関係と通路幅Uとが分かれば、第2ステップにおけるハンドル7の切り返し位置も一意的に決定される。すなわち、並列駐車を完了するために必要な旋回回数も決定される。そこで、第1ステップの旋回開始時等に全体の旋回回数をスピーカ14から音声で運転者に案内することもできる。これにより、運転者は安心して並列駐車を行うことができる。
また、各切り返し位置で例えば「右フル切りにして前進してください」と音声により案内してもいい。
また、フル切りが右か左かという事と、前進か後進かということは第2ステップで交互に行われることが決まっているので、ハンドル7の切り返し位置を運転者に案内するのに、スピーカ14の代わりに点滅で知らせるランプを用いてもよい。
【0057】
実施の形態14.
初期停止位置P1と駐車枠Sとの位置関係と通路幅Uとが分かれば、第1ステップにおける操舵量の目標値及び第2ステップにおけるハンドル7の切り返し位置は一意的に決定される。上記の実施の形態1〜11と同様に、コントローラ8は一意的に決定された内容で運転者に案内するが、何らかの原因で、案内された内容と異なる状態で次の行程に進んでしまった場合、例えば、あと少し後退するように案内していたが、障害物にぶつかるのが気になり運転者が後退を止めて次の前進に移った場合等には、ヨーレートセンサ9により車両1の位置関係を把握することができるので、その地点から駐車枠Sに駐車させるためのその後の車両1の目標軌跡を再計算して案内するようにすることが可能である。
なお、その地点からでは駐車枠Sの中央に誘導することができないほどに車両1の位置がずれてしまった場合は、その時点で案内不能を運転者に知らせるのが好ましい。
【0058】
実施の形態15.
上記の実施の形態1〜14において、ガイド表示の傾きをディスプレイ4上で調整させる回転スイッチをさらに備え、図26(a)に示されるように、並列モードスイッチ12の投入によりディスプレイ4上に重畳表示された例えば実施の形態1のガイド線21〜23が通路に対して傾いている場合に、回転スイッチを操作して図26(b)に示されるようにガイド線21〜23を回転させて通路に合わせることもできる。このとき調整されたガイド線21〜23の傾き角βを考慮してコントローラ8がハンドル7の切り返し位置を演算し、運転者に案内することができる。
【0059】
実施の形態16.
上記の実施の形態1〜15において、車両1に超音波センサやその他の測距センサからなる障害物検知センサを取り付け、周囲の車両や通路端にある家や壁に接近した場合に障害物検知センサからの検知信号を用いてその行程の完了を検知してもよい。
【0060】
実施の形態17.
実施の形態1では、第1ステップで車両1の後輪が駐車枠Sの前側枠線入口端S0に達した時点で停止し、その後、第2ステップでハンドル7を同じ方向にフル切りにして後退したが、条件が許せば運転操作を簡単にするために、車両1の後輪が駐車枠Sの中に入ってもハンドル7をフル切りにせずそのままの操舵角で後退してもよい。
【0061】
実施の形態18.
実施の形態1では、ヨーレートセンサ9から入力される車両1の角速度を積分することにより車両1のヨー角を算出したが、車輪速センサを設け、操舵角センサ10から得られた操舵角と車輪速センサから得られた走行距離とに基づいて車両1のヨー角を算出し、運転者に案内情報を提供することもできる。
また、駐車枠Sへの並列駐車がうまくいくかどうかは、初期停止位置P1と第1ステップでほぼ決定されるため、第2ステップで接近情報や到達情報を出さずに、例えば、ディスプレイ4に重畳表示された目標線と駐車枠Sの枠線を合わせたり、車両1の前端の通路端への接近具合を目視する等により運転者が判断して車両1を誘導することもできる。
【0062】
なお、上記の各実施の形態では、通路の左側への並列駐車について説明したが、右側への並列駐車も同様にして行うことができる。
また、ディスプレイ4にカメラ2からの後方映像、後輪の予想軌跡、ガイド表示等を表示するにあたり、鏡像変換、カメラ視点変換及びレンズ歪み補正等の処理を行うことが望ましい。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、通路幅計測手段で計測された通路幅に基づいて目標とする駐車枠に並列駐車するために必要な初期停止位置をコントローラが演算し、その初期停止位置に車両を案内するためのガイド表示をディスプレイに表示させるので、運転者はガイド表示に従って車両を初期停止位置に停止させ、駐車案内情報を利用することにより、幅の狭い通路であっても容易に並列駐車を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る駐車支援装置を搭載した車両の側面図である。
【図2】 実施の形態1に係る駐車支援装置の構成を示すブロック図である。
【図3】 実施の形態1における並列駐車時の車両の位置を段階的且つ模式的に示す図である。
【図4】 実施の形態1において初期停止位置を決定する際のディスプレイの表示を段階的且つ模式的に示す図である。
【図5】 駐車枠内での駐車完了時の車両位置を示す図である。
【図6】 並列駐車途中の車両位置を示す図である。
【図7】 並列駐車途中の車両位置を示す図である。
【図8】 並列駐車途中の車両位置を示す図である。
【図9】 並列駐車途中の車両位置を示す図である。
【図10】 並列駐車途中の車両位置を示す図である。
【図11】 車両を並列駐車させた際の第1の操作例を示す図である。
【図12】 車両を並列駐車させた際の第2の操作例を示す図である。
【図13】 車両を並列駐車させた際の第3の操作例を示す図である。
【図14】 車両を並列駐車させた際の第4の操作例を示す図である。
【図15】 車両を並列駐車させた際の第5の操作例を示す図である。
【図16】 実施の形態3において初期停止位置を決定する際のディスプレイの表示を段階的且つ模式的に示す図である。
【図17】 実施の形態4において初期停止位置を決定する際のディスプレイの表示を段階的且つ模式的に示す図である。
【図18】 実施の形態5において初期停止位置を決定する際のディスプレイの表示を段階的且つ模式的に示す図である。
【図19】 実施の形態7において初期停止位置を決定する際のディスプレイの表示を段階的且つ模式的に示す図である。
【図20】 実施の形態8において駐車枠の幅を決定する際のディスプレイの表示を段階的且つ模式的に示す図である。
【図21】 実施の形態9において初期停止位置が駐車枠側に寄った状態を示す図である。
【図22】 実施の形態9において初期停止位置が通路端側に寄った状態を示す図である。
【図23】 実施の形態9におけるディスプレイの表示を示す図である。
【図24】 実施の形態10におけるディスプレイの表示を段階的且つ模式的に示す図である。
【図25】 実施の形態11におけるディスプレイの表示を段階的且つ模式的に示す図である。
【図26】 実施の形態15におけるディスプレイの表示を段階的且つ模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 車両、2 後方監視カメラ、4 ディスプレイ、5 シフトレバー、7 ハンドル、8 コントローラ、9 ヨーレートセンサ、10 操舵角センサ、11 シフトセンサ、12 並列モードスイッチ、13 操作スイッチ、14 スピーカ、21〜23,28 ガイド線、24,25 斜め線、26 通路幅測定用表示線、27 アイマーク、29 予想軌跡、T 車両後輪の予想軌跡、S 駐車枠。

Claims (13)

  1. 車両後方の映像をディスプレイに表示する駐車支援装置において、
    通路幅を計測する通路幅計測手段と、
    通路幅計測手段で計測された通路幅と、車幅と、車長と、リヤアクスル中心の車両後端からの距離と、所定の旋回半径とに基づいて、並列駐車のための初期停止位置を演算すると共に、その初期停止位置に車両を案内するためのガイド表示を前記ディスプレイに重畳表示させるコントローラであって、初期停止位置は、通路幅のほぼ中央である、コントローラと
    を備え、
    前記ガイド表示は、前記初期停止位置と駐車枠線入口端との間の距離と通路幅の関係を表し、
    前記初期停止位置は、該初期停止位置から前記所定の旋回半径をもって車両が後退した場合に、通路側の車両前端が通路幅をはみ出さず且つ駐車枠側の後輪の最外端が駐車枠線入口端を通る、又は駐車枠線入口端から所定の余裕幅を有するように決められたことを特徴とする駐車支援装置。
  2. 操舵角センサを備え、前記コントローラは操舵角に応じた予想軌跡を表示することを特徴とする請求項1に記載の駐車支援装置。
  3. 駐車枠の幅を計測する駐車枠幅計測手段を備え、初期停止位置から駐車枠の入口に達した後の経路について、前記コントローラは、前記駐車枠計測手段で計測された駐車枠の幅に基づいて、ハンドルをフル切りにした前進とハンドルを逆方向にフル切りにした後退とを繰り返す切り返しを行う場合の、ハンドルの切り返し位置を演算する請求項1または2に記載の駐車支援装置。
  4. 車両のヨー角を検出するヨー角検出手段を備え、
    コントローラは、ヨー角検出手段により検出された車両のヨー角から車両の位置を特定して運転者にハンドルの切り返し位置に関する案内情報を提供する請求項3に記載の駐車支援装置。
  5. 前記コントローラは、車両のリヤアクスル中心が駐車枠のほぼ中央に達すると同時に、車両方向が駐車枠とほぼ平行な状態になった場合に車両旋回終了を案内する請求項4に記載の駐車支援装置。
  6. 前記コントローラは、前記ハンドルの切り返し位置を演算するにあたり、ハンドルをフル切りにした後退動作の旋回角度は、この後退動作あるいはハンドル切り返し後の次の前進動作において車両のリヤアクスル中心が駐車枠のほぼ中央に達すると同時に車両方向が駐車枠とほぼ平行な状態になるか、またはハンドル切り返し後の次の前進動作において車両の前端が通路端に至ったときに車両のリヤアクスル中心が駐車枠の中央より前側枠線側に位置するように決定される請求項4または5に記載の駐車支援装置。
  7. 前記コントローラは、前記ハンドルの切り返し位置を演算するにあたり、ハンドルをフル切りにした前進動作の旋回角度は、この前進動作あるいはハンドル切り返し後の次の後退動作において車両のリヤアクスル中心が駐車枠のほぼ中央に達すると同時に車両方向が駐車枠とほぼ平行な状態になるか、またはハンドル切り返し後の次の後退動作において車両の後端が駐車枠の後側枠線に至ったときに車両のリヤアクスル中心が駐車枠の中央より後側枠線側に位置するように決定される請求項4〜6のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
  8. 前記コントローラは、運転者により実際にハンドルが切り返された位置に基づき、その後のハンドルの切り返し位置を再演算する請求項4〜7のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
  9. 前記コントローラは、初期停止位置から駐車枠に並列駐車するまでに必要なハンドルの切り返し回数を演算し、初期停止位置から後退する時に運転者に提供する請求項5〜8のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
  10. 切り返し位置を音声で提供するためのスピーカを備えた請求項3〜9のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
  11. ヨー角検出手段は、ヨーレートセンサからなる請求項4〜9のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
  12. ヨー角検出手段は、操舵角センサ及び車輪速センサからなる請求項4〜10のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
  13. 車両後方の映像をディスプレイに表示する駐車支援装置において、
    並列駐車のための初期停止位置から駐車枠内への旋回後退にあたり、前記初期停止位置へ車両を案内するガイド表示をディスプレイに重畳表示させるコントローラを備え、
    前記初期停止位置の通路幅方向は、通路の中央であり、
    前記ガイド表示は、前記初期停止位置と駐車枠線入口端との間の距離と通路幅の関係を表し、
    前記旋回後退は、前記通路幅と、車両の車幅と、車長と、リヤアクスル中心の車両後端からの距離とに基づいて決まる、車両前端が通路幅をはみ出さない旋回半径による旋回後退であり、
    前記距離は、前記旋回後退した場合に、駐車枠側の後輪の最外端が駐車枠線入口端を通る、又は駐車枠線入口端から所定の余裕幅を有するように決められた距離である
    ことを特徴とする駐車支援装置。
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