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JP4799757B2 - 超電導磁石 - Google Patents

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    • F25D19/006Thermal coupling structure or interface

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  • Containers, Films, And Cooling For Superconductive Devices (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、強磁界を利用する成分分析用やエネルギー貯蔵用等に用いる超電導磁石、特に冷凍機を用いて超電導コイルを冷却する超電導磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、冷凍機の冷凍能力向上に伴って、超電導コイルに冷凍機を付設して熱伝導によって超電導コイルを冷却する方式の超電導磁石装置の開発が盛んに進められている。
【0003】
図5は、従来の冷凍機冷却方式の超電導磁石装置の基本構成を模式的に示す断面図で、中央部に常温の高磁界空間を備えた超電導磁石装置について中心軸を通る断面を示したものである。図5において、1は超電導線をソレノイド状に巻回して構成された超電導コイル、2は超電導コイル1の周囲に配され、外部からの熱輻射を遮断して断熱する輻射シールド、3はこれらを取り囲み内部を真空に保持して断熱する真空容器である。また、7は超電導コイル1を冷却する冷凍機、8は冷凍機7に圧縮ヘリウムガスを供給し冷凍サイクルの運転制御系を備えた圧縮機、9は超電導コイル1に図示しない電源より電流を供給して励磁する電流リードである。
【0004】
図5に示すように、冷凍機7は、冷却ボビン5に層状に巻回された超電導コイル1を側方より支持する一方の冷却フランジ4と輻射シールド2に接続されており、超電導コイル1を所定の極低温(約20〜80K)に、また輻射シールド2を所定の極低温(約80〜100K)に冷却する。
【0005】
図6に超電導コイル部の拡大断面図を示す。図6に示すように、超電導コイル1は円筒状の冷却ボビン5に超電導線10を層状に巻回して構成されており、両側面に冷却フランジ4A,4Bが、また外周に冷却板6が備えられている。冷凍機7により図中下側の冷却フランジ4Aの一端を冷却することにより、これに連結された冷却ボビン5、冷却板6、上部の冷却板4Bが熱伝導により冷却され、さらにこれらに取り囲まれた超電導コイル1が熱伝導により超電導の臨界温度以下の温度に冷却され、超電導状態に保持される。超電導状態において電流リード9を用いて超電導コイル1に電流を供給すると、強磁界が生じ、同時にインダクタンスに比例した磁気エネルギーが超電導コイル1に蓄積されることとなる。
【0006】
前述のように超電導コイルは、冷凍機から冷却フランジ4、冷却ボビン5、冷却板6が熱伝導によって冷却され、最終的に超電導線10どうしの熱伝導によって冷却される。超電導線10は安定化や線材化のために銅または銀を含んでおり、超電導線10自身の熱伝導は良好であり、超電導線10どうしの接触の熱伝導、即ち接触熱抵抗が、超電導コイルの冷却性能を左右する支配的要因となる。固体と固体の接触による熱伝導は、固体の表面粗さに依存する。完全な平滑面であるものは存在しないので、熱伝導に有効な接触面積は、見かけの接触面積よりはるかに小さくなる。
【0007】
超電導線10どうしの接触の熱伝導を良くするためには、超電導線10どうしの熱伝導に有効な接触面積を大きくすればよく、コイル巻回時に大きな張力をかける方法や、巻回後冷却板6で圧縮する方法等の対策が挙げられる。しかし、超電導線が酸化物超電導線の場合には、酸化物超電導線が機械的に弱いため上記の対策が制限される。したがって、上記の対策が不十分な場合は、超電導線間の熱伝導に有効な接触面積が大きくできず、熱伝導が悪くなる。超電導コイル1が交流損失を発生するような運転をした場合には、交流損失による発熱は熱伝導が悪いため効果的に除去できず、超電導コイル1の温度上昇を抑制できず、臨界温度以上になり、超電導線10が超電導状態から常電導状態へと移行する常電導転移(クエンチ)を引き起こす恐れがある。
【0008】
図7は、このような常電導転位の危険性を抑制するために提案された超電導コイルの構成例として、特開平10−116725号公報や特開平11−135318号公報に記載された超電導コイルの断面図である。本構成に於いては、冷却ボビン5に層状に巻回された超電導線10の層間に、銅あるいは銅合金等の良熱伝導材料よりなる伝導冷却板11が組み込まれており、伝導冷却板11の両端は、冷却フランジ4Cおよび冷却フランジ4Dに備えられた溝中に挿入されている。従って本構成では、超電導コイルの内部が伝導冷却板11を介しての伝熱により臨界電流以下の所定温度へと冷却されるので、常電導転位を生じることなく運転できることとなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記構成においても、超電導コイル寸法が大型化した場合には、伝導冷却板11が長くなり、超電導コイルの中央部の温度は、冷却フランジの温度よりはるかに高くなる可能性がある。また大型化することで大きな交流損失が発生し、コイルの温度上昇を抑制できなくなる可能性がある。結果として超電導コイルの温度を所定の温度に保つことができなくなり、安定した運転ができなくなる可能性が生じる。
【0010】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、本発明の課題は、大型のコイルに於いても、交流損失に伴う発熱が効果的に除去され、常電導転移を生じることなく安定して運転できる超電導磁石を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、この発明は、超電導線を巻枠に層状に巻回しフランジで支持してなる超電導コイルと、超電導コイルを断熱して収納する真空容器とを備え、付設した冷凍機を用いて超電導コイルを冷却し、極低温に保持してなる超電導磁石において、前記超電導コイルの層間に冷却用配管を、コイルの軸方向に貫通するように設けると共に前記コイルの層方向に並列に複数本配設し、前記冷凍機で発生する極低温の冷媒ガスを前記冷却用配管内に通流して超電導コイルを冷却するように構成するものとする(請求項1の発明)。
【0012】
上記により、超電導コイルが大型化して交流損失が増大した場合にも、冷媒ガス温度や流量を適切に選定することにより、超電導コイル内部の温度を所定温度以下に保つことができる。
【0013】
また、上記請求項1の発明において、前記冷却用配管内に通流して超電導コイルを冷却した冷媒ガスを、超電導コイルに電流を供給する電流リードに通流して電流リードを冷却するように構成するものとする(請求項2の発明)。これにより、超電導コイルのみならず、電流リードも冷媒ガスによって冷却されるので、電流リードを介しての侵入熱量が大幅に低下し、超電導コイルでの熱損失に比べて無視できるレベルとなる。従って、電流リードを介しての侵入熱量に影響されることなく、超電導コイル内部の温度を容易に所定温度以下に保つことができる。
【0014】
さらに、上記請求項1の発明において、前記冷凍機は、パルス管冷凍機とし、前記冷却用配管は、パルス管冷凍機における蓄冷器とパルス管低温部との間の接続配管とし、冷凍機の一部をなす構成とする(請求項3の発明)。これにより、外部から冷媒ガスを送らずに配管を直接冷却して、超電導コイル内部を冷却することができる。
【0015】
さらにまた、前記超電導線と冷却用配管とは、電気的に絶縁される必要があり、その上で良好な熱伝導も保持する必要がある。かかる要請を満足するための構成として、下記の実施態様が好適に採用できる。
【0016】
まず、前記請求項1ないし3のいずれかの発明において、超電導コイルは、前記超電導線と冷却用配管との間に良熱伝導性樹脂を介在して巻回されてなるものとする(請求項4の発明)。また、上記のものにおいて、前記良熱伝導性樹脂は、アルミナ,窒化アルミニウム,酸化マグネシウム等の良熱伝導性セラミックス材料の粉末を樹脂中に分散混入したものとする(請求項5の発明)。
【0017】
さらに、前記請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記冷却用配管は、良熱伝導性の金属材料からなり、その外表面に電気絶縁性材料を被覆してなるものとする(請求項6の発明)。また、上記のものにおいて、前記電気絶縁性材料は、アルミナ,窒化アルミニウム,酸化マグネシウム等の良熱伝導性セラミックス材料としたものとする(請求項7の発明)。
【0018】
【発明の実施の形態】
図面に基づき、本発明の実施の形態について以下に述べる。
【0019】
(実施例1)
図1は本発明による超電導磁石の実施例の超電導コイル部を拡大して示す断面図で、図7の従来例に対比して図示したものである。
【0020】
本実施例の超電導コイルは、図示しない中心軸を有する巻枠15に、超電導線10を層状に巻回し、コイルフランジ14により支持する。超電導線10の層間には冷却用配管20が配置されている。冷却用配管20には、図示しない極低温のガスを循環できる冷凍機が連結されており、冷媒ガスが冷却用配管20の内部に通流されるように構成される。
【0021】
図1においては、冷却用配管20をすべての層間に設けた例を示すが、場合によっては、一部の層間には冷却用配管を設けないように構成してもよい。また、コイルの円周方向には、所定の間隔で冷却用配管を設ける。コイルの円周方向の冷却用配管間のすきまや、超電導線10と冷却用配管20との間には、良熱伝導性樹脂を介在させて超電導線を巻回する。これにより、機械的にも熱伝導の観点からも好適な超電導コイルが構成できる。前記良熱伝導性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂に、アルミナ,窒化アルミニウム,酸化マグネシウム等の良熱伝導性セラミックス材料の粉末を分散混入したものとする。
【0022】
超電導線10は冷却用配管20を介して冷却され、極低温に保持される。超電導コイルが交流損失を伴う運転をした場合には、超電導線10が発熱するが、冷却用配管20に伝熱し冷媒ガスによって冷却される。従って、交流損失を伴う場合にあっても、超電導コイル内部の発熱が除去されるので、超電導コイルの温度の上昇は低く抑えられる。
【0023】
(実施例2)
図2は、本発明による超電導磁石の異なる実施例の基本構成を模式的に示す断面図である。図2において、前述の図1および図5〜7において説明した構成部材と同一機能を有する構成部材には、同一番号を付して説明を省略する。また、図2における超電導コイルの冷却用配管20は、図示を簡略化するために、左右各1本のみで表示している。
【0024】
本実施例においては、超電導コイル、電流リード9の低温部、冷媒ガス供給配管13の一部、ならびに接続配管11を真空容器3の内部に配し、真空断熱して超電導磁石を構成している。この実施例の超電導磁石においては、冷凍機7から、冷媒ガス供給配管13を介して、複数の冷却用配管20に冷媒ガスを供給して超電導コイルを冷却し、冷却用配管20から排出された冷媒ガスは、接続配管11を介して、絶縁配管16によって電気的に絶縁された電流リード9の冷却ガス導入口へと送られる。電流リード9を冷却した冷媒ガスは、絶縁配管17によって電気的に絶縁された冷媒ガス回収配管18を介して、冷凍機7へと戻され、再度冷却される。
【0025】
上記構成によれば、超電導コイルのみならず、電流リード9が冷媒ガスによって冷却されるので、電流リード9を介しての侵入熱量が大幅に低下し、超電導コイルでの熱損失に比べて無視できるレベルとなる。従って、電流リード9を介しての侵入熱量に影響されることなく、超電導コイルの温度の調整を容易に行うことができる。
【0026】
(実施例3)
図3は冷却用配管がパルス管冷凍機の一部として構成された超電導磁石の実施例の断面図で、この構成は交流損失が比較的小さい超電導コイルに適用される。パルス管冷凍機は、原理的には早くから知られていたが、高温超電導による液体ヘリウムレスのいわゆるドライマグネット時代の進展とともに、1990年頃から急に技術的な進歩が起こり、実用化に至ったもので、表面積の非常に大きい蓄冷器とパルスチューブの境界領域で熱吸収が起こる原理を有し、パルスチューブ内での圧力波の位相差制御がなされるものである。パルス管冷凍機は、30K程度までは最も単純な構造の1段で冷凍できるので、高温超電導による超電導磁石の冷却に極めて好適である。
【0027】
図3において、図示しない中心軸を有する巻枠15に、超電導線10を層状に巻回し、超電導線10の層間には冷却用配管20が配置されている。冷却用配管20は、全体構成は図示しないパルス管冷凍機のパルス管21と蓄冷器22に連結されており、パルス管冷凍機のコールドヘッドに相応する部分を構成している。パルス管21と蓄冷器22は、図示しない弁や圧縮機に連結されて運転され、冷却用配管20を冷却する。従って図1の実施例と同様に、超電導線10は冷却用配管20を介して冷却され、極低温に保持される。超電導コイルが交流損失を伴う運転をした場合には、超電導線10が発熱するが、冷却用配管20に伝熱して冷却される。
【0028】
(実施例4)
図4は、図1ないし3に示すような冷却用配管20を有する超電導コイルにおいて、冷却用配管20に絶縁を施した実施例である。冷却用配管20には良熱伝導の機能が求められるので、銅またはアルミニウム等の良熱伝導性金属が適している。超電導線が電気絶縁されていない場合には冷却用配管と超電導線は熱的には良好に接触するものの、電気的には絶縁する必要がある。冷却用配管20の外周には電気絶縁性材料が被覆されて電気絶縁層23が形成され、電気的に超電導線10と絶縁される。冷却用配管20は、図示しない極低温ガスを循環できる冷凍機または図示しないパルス管冷凍機のパルス管及び蓄冷器と連結されて冷却される。超電導線10は冷却用配管20、電気絶縁層23を介して冷却され、極低温に保持される。電気絶縁層23には良熱伝導、電気絶縁の機能が求められるので、アルミナ(Al2O3)や窒化アルミ(AlN)または酸化マグネシウム(MgO)等の電気絶縁体良熱伝導性セラミックスを用いる。
【0029】
なお、前記実施例1ないし4において、冷却用配管20は垂直方向に配置したが、水平方向に配置しても上記と同様の効果が得られる。
【0030】
【発明の効果】
この発明によれば前述のように、超電導線を巻枠に層状に巻回しフランジで支持してなる超電導コイルと、超電導コイルを断熱して収納する真空容器とを備え、付設した冷凍機を用いて超電導コイルを冷却し、極低温に保持してなる超電導磁石において、前記超電導コイルの層間に冷却用配管を、コイルの軸方向に貫通するように設けると共に前記コイルの層方向に並列に複数本配設し、前記冷凍機で発生する極低温の冷媒ガスを前記冷却用配管内に通流して超電導コイルを冷却するように構成したことにより、交流損失による発熱が、効果的に超電導線から冷凍機が連結されている冷却用配管まで伝達して除去され、超電導線の温度上昇を低く抑えられる。従って交流損失を伴う運転をしても、常電導転移せず安定な超電導磁石を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に関わる超電導磁石の超電導コイル部の拡大断面図
【図2】本発明の異なる実施例に関わる超電導磁石の基本構成を模式的に示す断面図
【図3】本発明のさらに異なる実施例の超電導コイル部の拡大断面図
【図4】本発明のさらに異なる実施例の超電導コイル部の拡大断面図
【図5】従来の冷凍機冷却方式の超電導磁石の基本構成を模式的に示す断面図
【図6】図5に示した超電導磁石の超電導コイル部の拡大断面図
【図7】従来の超電導磁石の異なる構成例を示す超電導コイル部の拡大断面図
【符号の説明】
1:超電導コイル、3:真空容器、7:冷凍機、9:電流リード、10:超電導線、14:コイルフランジ、15:巻枠、20:冷却用配管、21:パルス管、22:蓄冷器、23:電気絶縁層。

Claims (7)

  1. 超電導線を巻枠に層状に巻回しフランジで支持してなる超電導コイルと、超電導コイルを断熱して収納する真空容器とを備え、付設した冷凍機を用いて超電導コイルを冷却し、極低温に保持してなる超電導磁石において、前記超電導コイルの層間に冷却用配管を、コイルの軸方向に貫通するように設けると共に前記コイルの層方向に並列に複数本配設し、前記冷凍機で発生する極低温の冷媒ガスを前記冷却用配管内に通流して超電導コイルを冷却するように構成したことを特徴とする超電導磁石。
  2. 請求項1記載のものにおいて、前記冷却用配管内に通流して超電導コイルを冷却した冷媒ガスを、超電導コイルに電流を供給する電流リードに通流して電流リードを冷却するように構成したことを特徴とする超電導磁石。
  3. 請求項1記載のものにおいて、前記冷凍機は、パルス管冷凍機とし、前記冷却用配管は、パルス管冷凍機における蓄冷器とパルス管低温部との間の接続配管とし、冷凍機の一部をなす構成としたことを特徴とする超電導磁石。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のものにおいて、前記超電導コイルは、前記超電導線と冷却用配管との間に良熱伝導性樹脂を介在して巻回されてなることを特徴とする超電導磁石。
  5. 請求項4に記載のものにおいて、前記良熱伝導性樹脂は、アルミナ,窒化アルミニウム,酸化マグネシウム等の良熱伝導性セラミックス材料の粉末を樹脂中に分散混入したものとしたことを特徴とする超電導磁石。
  6. 請求項1ないし3のいずれかに記載のものにおいて、前記冷却用配管は、良熱伝導性の金属材料からなり、その外表面に電気絶縁性材料を被覆してなることを特徴とする超電導磁石。
  7. 請求項6に記載のものにおいて、前記電気絶縁性材料は、アルミナ,窒化アルミニウム,酸化マグネシウム等の良熱伝導性セラミックス材料としたことを特徴とする超電導磁石。
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