心臓及びその周囲の血管の解剖学的形態は患者毎に相違する。例えば、冠状静脈洞に対する回旋動脈及びその他の重要な動脈の位置は相違する。具体的には、心門から回旋動脈との交差点までの冠状静脈洞に沿った距離は、患者毎に相違する。更に、冠状静脈洞の直径及び長さも患者毎に相違する。
我々は、回旋動脈又はその他の冠状動脈の許容し得ない圧迫のような、悪影響を最少にしつつ、治療効果(すなわち、僧帽弁逆流の減少)を最大にする、組織整形装置、一組の組織整形装置及び方法を発明するに至った。本発明の組織整形装置、装置の組及び方法は、施術者が治療法を患者の解剖学的形態に順応させることを可能にする。
本発明の一つの形態は、患者の僧帽弁逆流を治療する方法である。この方法は、可撓性ワイヤーを備える末端側の拡張可能なアンカーと、可撓性ワイヤーを備える基端側の拡張可能なアンカーとの間に配設されたコネクタを有する組織整形装置であって、60mm以下の長さを有する上記装置を9又は10フランス以下の外径を有するカテーテル内にて非拡張形態で患者の冠状静脈洞内に送り出すステップと、例えば、末端側の拡張可能なアンカーが自然拡張するのを許容することにより又は作動力を末端側の拡張可能なアンカーに加え且つこの力を加えるステップを実行した後、末端側の拡張可能なアンカーを係止すること等により、末端側の拡張可能なアンカーの可撓性ワイヤーを冠状静脈洞の壁と接触する位置に配置することにより、末端側の拡張可能なアンカーを定着させること等によって装置を配備して僧帽弁逆流を減少させるステップと、を備えている。配備するステップは、少なくとも0.453ないし0.907kg(1ないし2ポンド)の定着力にて末端側の拡張可能なアンカーを定着するステップを含むことができる。
幾つかの実施形態において、この方法の配備するステップは、基端側のアンカーを冠状静脈洞に対して基端方向に動かすこと等により、多分、患者の体外からコネクタを介して末端側の拡張可能なアンカーに基端方向の力を加えるステップを更に含むことができる。この方法は、また、基端方向の力を末端側の拡張可能なアンカーに加えるステップの前又は後で且つ動かすステップの前又はその後の何れかにおいて、基端側アンカーを定着するステップを含むこともできる。基端側アンカーは、基端側の拡張可能なアンカーが自然拡張するのを許容することにより又は基端側の拡張可能なアンカーに作動力を加え且つ力を加えるステップを実行した後に基端側の拡張可能なアンカーを係止することにより、定着させることができる。
末端側の拡張可能なアンカーが末端側の拡張可能なアンカーに対する接続部の基端方向及び末端方向への動きを実質的に制限する末端側の拡張可能なアンカーの可撓性ワイヤー接続部をも有する実施形態のような幾つかの実施形態においては、送り出すステップは、末端側の拡張可能なアンカーの可撓性ワイヤーの何れもカテーテル内にてコネクタに沿って基端方向に伸びない非拡張形態にて組織整形装置を冠状静脈洞まで送り出すステップを含む。
末端側の拡張可能なアンカーが末端方向に且つ基端方向に可動の末端側の拡張可能なアンカーの可撓性ワイヤー接続部を有する実施形態のようなその他の実施形態においては、送り出すステップは、末端側の拡張可能なアンカーの可撓性ワイヤーの少なくとも一部分がカテーテル内にてコネクタに沿って基端方向に又は末端方向に伸びる非拡張形態にて組織整形装置を冠状静脈洞に送り出すステップを含むことができる。これらの実施形態における配備するステップは、接続部を末端方向に動かして末端側の拡張可能なアンカーを作動させ且つ動かすステップを実行した後、末端側の拡張可能なアンカーを係止するステップを含むことができる。
本発明の別の形態は、9ないし10フランス以下の外径を有するカテーテル内に非拡張形態にて冠状静脈洞に送り出し得るようにされた組織整形装置であって、僧帽弁逆流を減少させるべく冠状静脈洞内に更に配備し得るようにされ、可撓性ワイヤーを備える末端側の拡張可能なアンカー(自然拡張型アンカー又はアクチュエータ及び係止部材を有する作動型アンカーのような)と可撓性ワイヤーを備える基端側の拡張可能なアンカーとの間に配設されたコネクタを有し、60mm以下の長さを有する上記組織整形装置である。幾つかの実施形態においては、末端側の拡張可能なアンカーは、拡張させて冠状静脈洞の壁部分と接触させ、少なくとも0.453ないし0.907kg(1ないし2ポンド)の定着力のような冠状静脈洞内に定着するのに十分な定着力を提供するようにすることにより、ある範囲の冠状静脈洞の直径に順応し得るようにされている。
幾つかの実施形態においては、装置は、拡張形態を有し、末端側の拡張可能なアンカーは少なくとも1つ又は2つの曲げ点と、曲げ点から伸びる第一及び第二のアームとを有し、第一及び第二のアームは、装置が拡張形態から非拡張形態まで動くとき、曲げ点を中心に変形し得るようにされている。曲げ点は、末端側の拡張可能なアンカーが拡張形態にあるとき、末端側の拡張可能なアンカーの最上方点に配設することができる。第一及び第二のアームは、組織整形装置が非拡張形態にあるとき、概して基端方向に又は概して末端方向に伸びることができる。曲げ点は、例えば、隣接するワイヤー部分と比較してより大きい曲率半径を有する可撓性ワイヤーの部分又は可撓性のワイヤーに形成されたループとし、また、アンカーの末端側又は基端側に配設することができる。
装置は、また末端側の拡張可能なアンカーに対して接続部が基端方向に且つ末端方向に動くのを実質的に制限する末端側の拡張可能なアンカーの可撓性ワイヤー接続部を有し又は末端側の拡張可能なアンカーとコネクタとの間の末端方向に及び基端方向に可動の接続部を有することもできる。該装置は、冠状静脈洞内の拡張形態から冠状静脈洞内のカテーテル内部の非拡張形態まで再拘束し、また、再拘束の後に、冠状静脈洞内に再配備し得るようにすることもできる。
幾つかの実施形態において、基端側アンカーは、装置を冠状静脈洞内に定着するのに十分な定着力にて冠状静脈洞の壁部分と接触するように拡張することにより、ある範囲の冠状静脈洞の直径に順応し得るようにされている。装置が拡張形態を有する実施形態において、基端側アンカーは、少なくとも1つの曲げ点と、該曲げ点から伸びる第一及び第二のアームとを有することができ、第一及び第二のアームは、装置が拡張形態から非拡張形態まで動くとき、曲げ点を中心に変形し得るようにされている。基端側アンカーは、自然拡張型アンカー又は作動型アンカーとし、この場合、作動型アンカーは、アクチュエータと、アクチュエータを配備した位置にて係止し得るようにされた係止部材とを有することができる。
心臓及びその周囲の血管の解剖学的形態は患者毎に相違する。例えば、回旋動脈及びその他の重要な動脈の冠状静脈洞に対する位置は相違する。具体的には、心門から回旋動脈との交差点までの冠状静脈洞に沿った距離は患者毎に相違する。更に、冠状静脈洞の直径及び長さは患者毎に相違する。
我々は、回旋動脈又はその他の冠状動脈の許容し得ない圧迫のような有害な影響を最小限にしつつ、治療効果(すなわち、僧帽弁逆流の減少)を最大にする組織整形装置、一組の組織整形装置及び方法を発明するに至った。本発明の組織整形装置、装置の組及び方法は、施術者が治療法を患者の解剖学的形態に順応させることを可能にする。
本発明の一つの形態は、血管に隣接する組織を再整形すべく血管内に配備し得るようにされた組織整形装置であって、第一及び第二のアンカーと、第一及び第二のアンカーの間に配設されたコネクタとを有し、該コネクタは、第一のアンカーの少なくとも一部分と一体的である組織整形装置を提供する。幾つかの実施形態においては、第一のアンカーは、可撓性ワイヤーと、可撓性ワイヤーの一部分を保持するクリンプ部とを有し、該クリンプ部は、選択的に、コネクタと一体化される。コネクタは、クリンプ部の半径に実質的に等しい半径の半円形の断面を有することができる。
幾つかの実施形態において、装置の第一及び第二のアンカーの各々は、可撓性ワイヤーと、可撓性ワイヤーの一部分を保持するクリンプ部とを有し、第一のアンカーのクリンプ部と第二のアンカーのクリンプ部とはコネクタと一体化することができる。
本発明の別の形態は、ブランク材から材料を削り取って、コネクタと、一体的なアンカー部分とを形成するステップと、非一体的なアンカー部分を一体的なアンカー部分に取り付けるステップとを含む組織整形装置を製造する方法を提供する。一体的なアンカー部分がクリンプ管を有し、非一体的な部分が可撓性ワイヤーを有する実施形態において、該方法は、可撓性ワイヤーの一部分をクリンプ管内に配設するステップを更に含むことができる。ブランク材が実質的に円筒状の断面を有する実施形態においては、削り取るステップは、円筒体の一部分を削り取り、実質的に半円形の断面を有するコネクタが残るようにするステップを含むことができる。
一体的なアンカー部分が第一の一体的なアンカー部分である実施形態において、削り取るステップは、ブランク材から材料を削り取って第二の一体的なアンカー部分を形成し、コネクタが第一の一体的なアンカー部分と第二の一体的なアンカー部分との間に配設されるようにするステップを更に含むことができる。第一及び第二のアンカー部分の各々がクリンプ管を有し、非一体的なアンカー部分が可撓性ワイヤーを有する実施形態において、該方法は、可撓性ワイヤーの一部分を第一のアンカーのクリンプ管内に配設するステップを更に含むことができる。
非一体的なアンカー部分が第一の非一体的なアンカー部分である実施形態においては、該方法は、第二の非一体的なアンカー部分を第二の一体的なアンカー部分に取り付けるステップを更に含むことができる。第一及び第二の一体的なアンカー部分の各々がクリンプ管を有し、第一及び第二の非一体的なアンカー部分の各々が可撓性ワイヤーを有する幾つかの実施形態においては、該方法は、第一のアンカーの可撓性ワイヤーの一部分を第一のアンカークリンプ管内に配設するステップと、第二のアンカーの可撓性ワイヤーの一部分を第二のアンカーのクリンプ管内に配設するステップとを更に含む。
心臓及びその周囲の血管の解剖学的形態は患者毎に相違する。例えば、回旋動脈及びその他の重要な動脈の冠状静脈洞に対する位置は相違する。具体的には、心門から回旋動脈との交差点まで冠状静脈洞に沿った距離は患者毎に相違する。更に、冠状静脈洞の直径及び長さは患者毎に相違する。
我々は、回旋動脈又はその他の冠状動脈の許容し得ない圧迫のような有害な影響を最小限にしつつ、治療効果(すなわち、僧帽弁逆流の減少)を最大にする組織整形装置、一組みの組織整形装置及び方法を発明するに至った。本発明の組織整形装置、装置の組及び方法は、施術者が治療法を患者の解剖学的形態に順応させることを可能にする。
本発明の一つの形態は、血管に隣接する組織を再整形すべく血管内に配備し得るようにされた組織整形装置である。幾つかの実施形態において、装置は、少なくとも1つの曲げ点を有する可撓性ワイヤーと、該曲げ点から伸びる第一及び第二のアームとを備え、第一及び第二のアームは、曲げ点を中心に変形し得るようにされた末端側アンカーと、少なくとも1つの曲げ点を有する可撓性ワイヤーと、該曲げ点から伸びる第一及び第二のアームとを備え、第一及び第二のアームは、曲げ点を中心に変形し得るようにされた基端側アンカーと、末端側アンカーと基端側アンカーとの間に配設されたコネクタとを備えている。末端側アンカーの曲げ点は、末端側アンカーの基端側に配設することができ、また、基端側アンカーの曲げ点は、基端側アンカーの末端側に配設することができる。
幾つかの実施形態において、末端側アンカーの可撓性ワイヤーは、実質的に8の字形の形態に配置される。この場合、末端側アンカーの可撓性ワイヤーは、第二の曲げ点と、該第二の曲げ点から伸びる第三及び第四のアームとを有し、第三及び第四のアームは第二の曲げ点を中心に曲がり得るようにされている。末端側アンカーの可撓性ワイヤーは、また、第一及び第二の基端側支柱を有し、第一及び第二の曲げ点は第一及び第二の基端側支柱にそれぞれ形成される。曲げ点の各々は、例えば、隣接するワイヤー部分と比較してより大きい曲率半径を有する可撓性ワイヤーの部分とし又は可撓性のワイヤーによって形成されたループとすることができる。末端側アンカーの可撓性ワイヤーの第一及び第二の曲げ点はまた、末端側アンカーの最上方点に配設することもできる。
幾つかの実施形態において、基端側アンカーの可撓性ワイヤーは、実質的に8の字形の形態に配置される。この場合、基端側アンカーの可撓性ワイヤーは、第二の曲げ点と、該第二の曲げ点から伸びる第三及び第四のアームとを有し、第三及び第四のアームは第二の曲げ点を中心として曲がり得るようにされている。基端側アンカーの可撓性ワイヤーは、第一及び第二の基端側支柱をも有し、第一及び第二の曲げ点は第一及び第二の基端側支柱にそれぞれ形成される。曲げ点の各々は、例えば、隣接するワイヤー部分又は可撓性ワイヤーに形成されたループと比較して大きい曲率半径を有する可撓性ワイヤーの部分とすることができる。基端側アンカーの可撓性ワイヤーの第一及び第二の曲げ点はまた、基端側アンカーの最上方点に配設することもできる。
幾つかの実施形態において、末端側アンカーは、自然拡張型アンカーであり、また、幾つかの実施形態において、基端側アンカーは、作動型アンカーである。コネクタは、その長さに沿って変化する慣性モーメントを有することができる。末端側アンカー及び基端側アンカーは、クリンプ管を有することができ、また、コネクタは、クリンプ管と一体化することができる。
心臓及びその周囲の血管の解剖学的形態は患者毎に相違する。例えば、冠状静脈洞に対する回旋動脈及びその他の重要な動脈の位置は相違する。具体的には、心門から回旋動脈との交差点までの冠状静脈洞に沿った距離は患者毎に相違する。更に、冠状静脈洞の直径及び長さも患者毎に相違する。
我々は、回旋動脈又はその他の冠状動脈の許容し得ない圧迫のような有害な影響を最小限にしつつ、治療効果(すなわち、僧帽弁逆流の減少)を最大にする組織整形装置、組みの組織整形装置及び方法を発明するに至った。本発明の組織整形装置、装置の組及び方法は、施術者が治療法を患者の解剖学的形態に順応させることを可能にする。
一つの実施形態において、本発明は、患者の心臓の僧帽弁逆流を治療する方法であって、9又は10フランス以下の外径を有するカテーテル内等にて組織整形装置を冠状静脈洞まで送り出すステップと、僧帽弁逆流を減少させ得るよう組織整形装置を配備するステップとを備え、該配備するステップは、冠状動脈が冠状静脈洞と僧帽弁との間を通る箇所である交差点の基端側に僧帽弁に向けてのみ冠状静脈洞の壁を通じて力を加えるステップを含む治療方法である。幾つかの実施形態において、装置は、その末端が交差点の基端側になるように配備され、また、幾つかの実施形態において、末端は、交差点の末端側に配備される。この方法は、交差点を決定するステップを含むこともできる。
幾つかの実施形態において、組織整形装置は、末端側アンカーを有し、この場合、配備するステップは、末端側アンカーを自然拡張によって又は作動力を加えることにより拡張させること等により、末端側アンカーを交差点の基端側に定着するステップを含むことができる。定着力は、0.453ないし0.907kg(1ないし2ポンド)とすることができる。
幾つかの実施形態において、配備するステップは、基端側アンカーを基端方向に動かす等により基端方向に向けられた力を末端側アンカーに(幾つかの実施形態においては、患者の外側から)付加するステップを更に含む。組織整形装置は、基端側アンカーと、末端側アンカーと基端側アンカーとの間に配備されたコネクタとを更に有し、配備するステップは、自然拡張により又は作動力を加えることにより基端側アンカーを拡張させる等により基端側アンカーを(例えば、冠状静脈洞内に又は少なくとも部分的に冠状静脈洞の外側に)定着するステップを更に含む。基端側アンカーを定着するステップは、基端方向の力を末端側アンカーに加えるステップの前又は後に実行することができる。
この方法における配備するステップは、装置の末端側アンカーをカテーテルの末端から配備するステップを含むことができる。この方法は、また、末端側アンカーをカテーテル内に再拘束し且つ選択的に末端側アンカーを再配備するステップを含むこともできる。この方法における配備するステップは、装置の基端側アンカーをカテーテルの末端から配備するステップと、基端側アンカーをカテーテル内に再拘束し且つ選択的に末端側アンカーを再配備するステップとを含むことができる。装置全体をカテーテルにより再拘束し且つカテーテルから再配備することができる。
この方法は、また、送り出すステップの前に、複数の長さの組織整形装置及び(又は)複数のアンカー寸法の組織整形装置を含む一組みの組織整形装置から組織整形装置を選ぶステップを含むこともできる。
本発明は、僧帽弁逆流を治療するときに使用される一装置の組でもあり、該一装置の組は異なる長さを有する複数の組織整形装置を含み、組織整形装置の各々は、9又は10フランス以下の外径を有するカテーテル内にて患者の静脈洞まで送り出し可能な形態とされている。幾つかの実施形態において、組織整形装置の各々は、拡張形態と、カテーテルを介して送り出す非拡張形態とを有するアンカー(末端側アンカー又は基端側アンカーのような)を有している。幾つかの実施形態において、組み中の少なくとも1つの組織整形装置は、60mm以下の長さを有し、また、組み中の少なくとも1つの組織整形装置は、60mm以上の長さを有する。幾つかの実施形態において、組み中の組織整形装置の各々における末端側アンカーは、拡張形態で末端側アンカーの位置で冠状静脈洞の直径以上の直径(例えば、約7mmないし約16mm)を有し、また、組み中の各組織整形装置の基端側アンカーは、拡張形態において、基端側アンカーの位置における冠状静脈洞の直径以上の直径(例えば、約9mmないし約20mm)を有する。幾つかの組みにおいてはアンカーは自然拡張型であり、その他の組みにおいてはアンカーは作動型である一方、更にその他の組みは、自然拡張型アンカーを有する少なくとも1つの装置と、作動型アンカーを有する1つの装置とを備えている。該組みはまた、9ないし10フランス以下の外径を有するカテーテルを含むこともできる。
本発明の別の形態は、僧帽弁逆流を治療するとき使用される一組の装置であり、該組みは、各々が非拡張形態及び拡張形態を有するアンカーを備える複数の組織整形装置を含み、アンカーは、それら拡張形態にあるとき、異なる直径を有し、組織整形装置の各々は、9ないし10フランス以下の外径を有するカテーテルを介して患者の冠状静脈洞まで送り出し可能な形態とされている。幾つかの実施形態において、アンカーは、末端側アンカー(自然拡張型アンカー又は作動型アンカーのような)であり、装置は、非拡張形態と拡張形態とを有する基端側アンカー(自然拡張型アンカー又は作動型アンカーのような)を更に有し、基端側アンカーは、拡張形態にあるとき異なる直径を有する。幾つかの実施形態において、組みにおける組織整形装置の末端側アンカーの直径は、それらの拡張した形態において、約7mmないし約16mmの範囲にあり、幾つかの実施形態において、その組みにおける組織整形装置の基端側アンカーの直径は、拡張形態において約9mmないし約20mmの範囲にある。該組みはまた9ないし10フランス以下の外径を有するカテーテルを含むこともできる。
心臓及びその周囲の血管の解剖学的形態は患者毎に相違する。例えば、冠状静脈洞に対する回旋動脈及びその他の重要な動脈の位置は相違する。具体的には、心門から回旋動脈との交差点までの冠状静脈洞に沿った距離は患者毎に相違する。更に、冠状静脈洞の直径及び長さも患者毎に相違する。
我々は、回旋動脈又はその他の冠状動脈の許容し得ない圧迫のような有害な影響を最小限にしつつ、治療効果(すなわち、僧帽弁逆流の減少)を最大にする組織整形装置、一組みの組織整形装置及び方法を発明するに至った。本発明の組織整形装置、装置の組及び方法は、施術者が治療法を患者の解剖学的形態に順応させることを可能にする。
本発明一つの形態は、患者の心臓(僧帽弁のような)の少なくとも一部を再整形すべく患者の心臓を付近の血管(冠状静脈洞のような)内に配設し得るようにされた組織整形装置である。本発明において、組織整形装置は、基端側アンカーと、末端側アンカーと、基端側アンカーと末端側アンカーとの間に配設されたコネクタとを有し、該コネクタはその長さに沿って変化する慣性モーメントを有する。幾つかの実施形態において、コネクタは、基端側アンカー部分と、末端側アンカー部分と、基端側アンカー部分と末端側アンカー部分との間に配設された中央部分とを有し、慣性モーメントは中央部分の一点にて最小である。基端側アンカー及び末端側アンカーの各々は、締結具を有し、基端側締結具のすぐ末端側又は末端側締結具のすぐ基端側の慣性モーメントは、コネクタの中央部分の一点における慣性モーメントよりも大きい。
幾つかの実施形態において、コネクタは、コネクタの長さに亙って実質的に均一な幅と、実質的に均一でない厚さとを有する。コネクタが基端側アンカー部分と、末端側アンカー部分と、基端側アンカー部分と末端側アンカー部分との間に配設された中央部分とを有する実施形態において、コネクタの厚さは中央部分の一点にて最小となろう。基端側アンカーが基端側アンカーの締結具を有するか又は末端側アンカーが末端側アンカーの締結具を有する実施形態において、基端側アンカーの締結具のすぐ末端側又は末端側アンカーの締結具のすぐ基端側の一点におけるコネクタの厚さは、中央部分におけるコネクタの厚さよりも厚くなるであろう。
コネクタは、その基端からその末端までの距離の関数として変化する厚さを有する少なくとも一部分を含むことができる。この関数は、例えば、距離の一次関数又は二次関数とすることができる。コネクタが基端側アンカー部分と、末端側アンカー部分と、基端側アンカー部分と末端側アンカー部分との間に配設された中央部分とを含む実施形態において、その厚さが変化するコネクタ部分は中央部分にあるようにすることができる。中央部分は、実質的に均一な厚さを有する部分を含むであろう。
本発明は、コネクタが一体的な基端側アンカーの作動要素と、一体的な配備取り付け要素と及び/又は一体的なアンカー位置ストッパとを有する実施形態を含むこともできる。
心臓及びその周囲の血管の解剖学的形態は患者毎に相違する。例えば、冠状静脈洞に対する回旋動脈及びその他の重要な動脈の位置は相違する。具体的には、心門から回旋動脈との交差点までの冠状静脈洞に沿った距離は患者毎に相違する。更に、冠状静脈洞の直径及び長さも患者毎に相違する。
我々は、回旋動脈又はその他の冠状動脈の許容し得ない圧迫のような有害な影響を最小限にしつつ、治療効果(すなわち、僧帽弁逆流の減少)を最大にする組織整形装置、一組みの組織整形装置及び方法を発明するに至った。本発明の組織整形装置、装置の組及び方法は、施術者が治療法を患者の解剖学的形態に順応させることを可能にする。
本発明の一つの形態は、患者の心臓を再整形すべく患者の心臓付近で血管内に配設し得るようにされた組織整形装置を提供するものであり、この場合、組織整形装置は、半径方向外方への力により血管壁と接触し得るようにされた拡張可能なアンカーを有し、好ましくは、少なくとも0.453ないし0.907kg(1ないし2ポンド)の定着力を提供する。アンカーは、幾つかの実施形態において、血管壁に対する半径方向外方への力を制限し得るようにされた拡張エネルギの吸収要素を有している。幾つかの実施形態において、アンカーは、可撓性ワイヤーを有しており、この場合、拡張エネルギの吸収要素は、可撓性ワイヤーの曲げ点とすることができる。曲げ点は、隣接するワイヤー部分と比較して増大した曲率の可撓性ワイヤーの部分を有し、又は、可撓性ワイヤーに形成されたループとすることができる。アンカーの可撓性ワイヤーは、実質的に8の字形に配設することができ、この場合、可撓性ワイヤーの2つの曲げ点のような、少なくとも2つの拡張エネルギの吸収要素が存在するようにすることができる。
幾つかの実施形態において、アンカーは、自然拡張型アンカーとすることができ、また、その他の実施形態において、アンカーは、選択的に、可動のアクチュエータと係止部材とを有する作動型アンカーとすることができる。アクチュエータは、アクチュエータが末端方向に動くとき、アンカーを拡張させるため使用することができる。可撓性ワイヤーからなるアンカーの場合、末端方向の動きは、アンカーが拡張したときに可撓性ワイヤーの少なくとも一部分を末端方向に動かすことができる。
本発明は、また、アンカーと拡張エネルギの吸収要素とを有する組織整形装置を血管内に配備する方法をも含む。該方法は、組織整形装置を血管内の治療箇所まで送り出すステップと、アンカーをアンカーの拡張エネルギにより拡張させ、血管壁に対し半径方向外方への力を加えるステップ(例えば、少なくとも0.453ないし0.907kg(1ないし2ポンド)の定着力のような力を提供するステップ)と、拡張エネルギの吸収要素内にて拡張エネルギの少なくとも一部分を吸収するステップとを含む。幾つかの実施形態において、吸収するステップは、壁に加わる半径方向外方への力を制限するステップを含む。
アンカーが可撓性ワイヤーを有し、拡張エネルギの吸収要素が可撓性ワイヤーに曲げ点を有する実施形態においては、吸収するステップは、可撓性ワイヤーを曲げ点を中心に曲げるステップを含む。可撓性ワイヤーが実質的に8の字形の形態に配設される実施形態において、アンカーは、可撓性ワイヤーにおける第二の曲げ点のような第二の拡張エネルギの吸収要素を有し、また、吸収するステップは、可撓性のワイヤーを第一及び第二の曲げ点を中心に曲げるステップを含むことができる。
幾つかの実施形態においては、拡張するステップは、アクチュエータを動かす(例えば、アクチュエータを末端方向に動かす)こと等により、作動力をアクチュエータに加えてアンカーの拡張エネルギを供給するステップを含むことができる。拡張するステップは、アンカーが自然拡張するのを許容するステップを含むこともできる。
幾つかの実施形態において、送り出すステップは、組織整形装置をカテーテルを介して治療箇所まで非拡張形態にて送り出すステップを含むことができ、また、自然拡張を許容するステップは、アンカーをカテーテルから突き出すステップを含むことができる。該方法は、また、送り出すステップの前に、組織整形装置を非拡張形態に圧縮するステップと、組織整形装置をカテーテル内に配置するステップとを含むこともできる。
以下、本発明を図面を参照しつつ更に詳細に説明する。
図1には、人間の心臓10と、その周囲の幾つかの解剖学的構造との部分図が示されている。主冠状静脈血管は、心門14又は右心房への開口部から始まり且つ大心臓静脈を通って前心室間(「AIV」)溝すなわち溝16まで延びているものとして画定された冠状静脈洞12である。また、僧帽弁輪22により取り囲まれ且つ冠状静脈洞12の少なくとも一部分に隣接する僧帽弁20も示されている。図1に示した回旋動脈24は、冠状静脈洞12と心臓との間に延びている。これらの構造体各々の相対的寸法及び位置は個人毎に相違する。
組織整形装置30が冠状静脈洞12内に配設されている。図1に示すように、装置30の末端32は、回旋動脈24の基端側に配設され、隣接する僧帽弁輪22を再整形し、これにより僧帽弁逆流を減少させる。図1に示すように、装置30は、末端側アンカー34と、基端側アンカー36と、コネクタ38とを有している。
図1の実施形態において、基端側アンカー36は、完全に冠状静脈洞内に配備されている。図2に示した代替的な実施形態において、基端側アンカーは、少なくとも部分的に冠状静脈洞外に配備されている。
図3ないし図6には、本発明による方法が示されている。図3に示すように、カテーテル50は、心門14を通って冠状静脈洞12内に当該技術にて既知の要領で操作される。患者の静脈系を通って誘導するため、カテーテル50は、10フランス以下の外径、最も好ましくは9フランス以下の外径を有することが好ましい。カテーテル50内には、非拡張形態の装置30が配設され、また、繋ぎ材又は制御ワイヤー52が装置30から患者の体外までカテーテル50を通って後方に伸びている。幾つかの実施形態において、制御ワイヤー52は、米国特許出願明細書S.N.10/331,143号に記載されたもののような、多数の繋ぎ材及び制御ワイヤー要素を含むものとしてもよい。
一つの好ましい実施形態に従い、装置は、回旋動脈又はその他の冠状大動脈に顕著な圧縮力を加えることなく、可能な限り末端方向遠方に配備される。このように、カテーテル50の末端は、図3に示すように、回旋動脈24と冠状静脈洞12との間の交差点から基端側にある末端側アンカーの位置に配設される。この箇所において、装置30が制御ワイヤー52により静止状態に保持されている間、カテーテル50は、基端方向に引き出され、冠状静脈洞12内の末端側アンカーの位置において末端側アンカー34を露出させる。これと代替的に、装置30が末端方向に前進して末端側アンカーを露出させる間、カテーテルを静止状態に保持してもよい。
末端側アンカー34は、自然拡張型アンカー又は作動型アンカーの何れか或いは自然拡張型アンカーと作動型アンカーとの組み合わせである。ひとたび覆いを取られると、末端側アンカー34は、自然拡張により拡張し又は、(制御ワイヤー52を介して伝達される力のような)作動力を加えることによって拡張し、図4に示すように、冠状静脈洞12の内壁と係合する。末端側アンカーの定着力すなわち末端側アンカーが基端方向の力に応答して動くのに抵抗する力は、冠状静脈洞内にて装置の位置を保つだけでなく以下に説明する要領にて隣接する組織を再整形すべく装置を使用することを可能にするのにも十分にものでなければならない。好ましい実施形態において、末端側アンカー34は、冠状静脈洞の壁と係合して少なくとも0.453kg(1ポンド)の定着力、最も好ましくは少なくとも0.907kg(2ポンド)の定着力を提供する。定着力を供給するアンカーの拡張エネルギは、アンカーの設計に依存して、カテーテルを送り出すための圧縮力に起因してアンカー内に蓄えられた歪みエネルギ又は作動力或いはその双方の組み合わせにより得られる。
装置30が末端側アンカー34の定着力により所要位置に保持されている間、カテーテル50は、図5に示すように、基端側アンカー36のすぐ末端側の位置まで更に基端方向に引き出す。次に、制御ワイヤー52によりコネクタ38を介して基端方向の力を末端側アンカー34に加える。この実施形態において、コネクタに沿った末端側アンカーと基端側アンカーとの間の距離は一定であり、このため、基端方向の力により、末端側アンカー34が冠状静脈洞に対して静止状態に止まっている間、基端側アンカー36は冠状静脈洞に対して基端方向に動く。この引き締め動作は、冠状静脈洞12の部分を真っ直ぐにし、これによりその形状及び隣接する僧帽弁20の形状を変化させ、僧帽弁尖頭を大きい接骨内に動かし且つ僧帽弁逆流を減少させる。本発明の幾つかの実施形態において、基端側アンカーは、基端方向に加えられた力に応答して約1ないし6cm最も好ましくは少なくとも2cmだけ基端方向に動く。(例えば、コネクタの長さが可変である場合のように)末端側アンカーと基端側アンカーとの間の距離が一定でない実施形態のような他の実施形態において、基端側アンカーは、末端側アンカーに基端方向の力が加わるにも拘らず、冠状静脈洞に対して実質的に静止状態に止まることができる。
(例えば、ドップラー増進エコー心電図を見ることにより判定される)僧帽弁逆流の適正な程度の減少が実現された後、基端側アンカーを配備する。米国特許明細書S.N.10/366,585号に記載されたように、心臓灌流のようなその他の患者の生命徴候を、この処置の間監視することもできる。
好ましい実施形態において、基端側アンカーの定着力すなわち基端側アンカーが末端方向の力に応答して動くのに抵抗する力は、冠状静脈洞内における装置の位置を保つのみならず装置が隣接する組織のしっかりした形状を保つことも可能にするのに十分でなければならない。一つの好ましい実施形態においては、基端側アンカーは、冠状静脈洞の壁と係合して少なくとも0.453kg(1ポンド)の定着力最も好ましくは少なくとも0.907kg(2ポンド)の定着力を提供する。末端側アンカーと同様に、定着力を供給する基端側アンカーの拡張エネルギは、アンカーの設計に依存してカテーテルを送り出すために圧縮に起因してアンカー内に蓄えられた歪みエネルギ、作動力又は両者の組み合わせから得られる。
一つの好ましい実施形態においては、カテーテル50を基端方向に引き出して基端側アンカー36を露出させ、次に、基端側アンカー36が自然拡張してアンカーを拡張させる作動力を加えることを許容するか又は両者の組み合わせによって基端側アンカーは配備される。次に、制御ワイヤー52を取り外し、カテーテル50を患者から除去する。この方法に従って配備したときの装置の位置及び形態は図1に示されている。
これと代替的に、図2に示すように、僧帽弁の組織の形状を改変するために、引き締めた後、基端側アンカー36を冠状静脈洞の少なくとも部分的に外側に配備することができる。その双方の実施形態において、末端側アンカー34は、冠状静脈洞12と回旋動脈24との間の交差点から基端側に配設されるため、装置30により冠状静脈洞に加えられた定着力及び組織再整形力の全ては、交差点の基端側にのみ作用する。
代替的な実施形態において、装置を引き締めて僧帽弁の組織を再整形すべく基端方向の力を加える前に、基端側アンカーを配備することができる。本発明による装置の一例が図6に示されている。装置60は、自然拡張型の末端側アンカー62と、自然拡張型の基端側アンカー64と、コネクタ66とを有している。末端側アンカー62の設計は、引き締めるべく基端方向の力がアンカーに加わるとき、アンカーがその定着力を保つのを可能にする一方、基端側アンカー64の設計は、引き締めた後、末端方向への動きに抵抗しつつ、配備した後、基端側アンカーが基端方向に動くのを許容する。基端側アンカーを配備した後の引き締めは、その開示内容を参考として引用し本明細書に含めた2002年1月30日付けで出願された米国特許出願明細書S.N.10/066,426号に更に詳細に記載されている。この実施形態においても、末端側アンカー62は、冠状静脈洞12と回旋動脈24との間の交差点から基端側に配置され、このため、装置30により冠状静脈洞に加えられた全ての定着力及び組織整形力は、交差点に対して基端側にのみ作用する。
配備後、組織整形装置を動かし及び/又は除去し又は最初に引き締めた後、再引き締めすることが望ましいことがあろう。このため、本発明の特定の実施形態に従い、装置又はそのアンカーの1つを再拘束することができる。例えば、図1の実施形態において、基端側アンカー36を配備した後であるが、制御ワイヤー52を非係合状態とする前に、カテーテル50を末端方向に動かして基端側アンカー36をカテーテル50を介して戻し、例えば図5に示した形態となるようにすることができる。この位置から、コネクタ38に沿った引き締め力を増大又は減少させ、その後に、基端側アンカー36を再配備することができる。
これと代替的に、カテーテル50は、末端方向に前進させ、基端側アンカー36及び末端側アンカー34の双方を再拘束し、例えば図3に示した形態となるようにしてもよい。この位置から、末端側アンカー34を再配備し、引き締め力を加え、上述したように基端側アンカー36を配備することができる。この状態でカテーテルを患者から単に引き出すだけで装置30を患者から完全に除去することができる。
X線透視法(例えば、血管造影図及び静脈造影図)を使用して冠状静脈洞と血管間の交差点を含む回旋動脈のような冠状動脈との相対的位置を決定し、また、動脈が冠状静脈洞と心臓との間にあるかどうかを決定することができる。心臓がX線透視装置にて観察される間、既知の要領にて放射線不透過性染料を冠状静脈洞及び動脈内に注入することができる。
血管の相対的位置を決定する1つの代替的な方法が図7に示されている。この方法において、ガイドワイヤー70、72を冠状静脈洞12及び回旋動脈24又はその他の冠状動脈内に挿入し、ガイドワイヤーの相対的な位置をX線透視装置にて観察し交差点74を識別する。
図8には、本発明による組織整形装置の一つの実施形態が示されている。組織整形装置100は、基端104及び末端106を有するコネクタ又は支持ワイヤー102を備えている。支持ワイヤー102は、ステンレス鋼のような生物適合性材料又はニチノールワイヤーのような形状記憶材料によって出来ている。
本発明の一つの実施形態において、コネクタ102は、両端が末端のクリンプ管108内に配置された2倍の長さのニチノールワイヤーを備えている。クリンプ管108の基端の基端側には、支持ワイヤー102の長手方向軸線から離れるように曲がっている支持ワイヤーにより形成された末端側の係止用突起110が設けられており、該支持ワイヤーは、支持体の長手方向軸線に対して平行に曲げられ、その後、再度、支持体の長手方向軸線に向けて曲げられて末端側の係止用突起110の1つの半体110aを形成する。末端側突起110から、ワイヤーは、基端側のクリンプ管112を貫通して基端方向へ続いている。基端側のクリンプ管112の基端から出ると、ワイヤーは曲げられて、矢じり形状の基端側係止用突起114を形成している。支持ワイヤー102は、次いで、基端側のクリンプ管112を貫通して末端方向に戻り、末端側クリンプ管108の基端のすぐ基端側の位置に達し、ここで、ワイヤーは曲がって末端側係止用突起110の第二の半体110bを形成している。
コネクタ102の末端には、ニチノール又は何らかの他の形状記憶材料のような可撓性ワイヤーによって形成された作動可能な末端側アンカー120がある。図8に示すように、末端側アンカーを形成しているワイヤーは、一端が末端側クランプ管108内に配置されている。ワイヤーは、クリンプ管108の末端から出た後、8の字形の形態を形成してクリンプ管108の長手方向軸線から上方に且つ半径方向外方に曲がっている。ワイヤーは、次に基端方向へと後方に曲がり且つクリンプ管108の長手方向軸線を横断して8の字形の1つの脚部を形成している。次に、ワイヤーを曲げて、支持ワイヤー102の長手方向軸線の回りに二重ループのはと目すなわちループ122を形成し、その後、クリンプ管108の長手方向軸線の外周を半径方向外方に且つ末端後方へ伸びて8の字形の他方の脚部を形成している。最後に、ワイヤーは、基端方向に曲がりクリンプ管108の末端に入り、末端側アンカー120を完成させている。
末端側アンカーは、カテーテル又は係止ツールを使用して拡張させ、作動力を加えて末端側アンカーのはと目122をコネクタにおける末端側係止用突起110の基端側の位置から末端側係止用突起110の末端側の位置まで摺動させる。コネクタ110の曲がった部分110a、110bは、はと目122の幅よりも広く隔てられ且つ係合作用のためのカム作用面を提供する。はと目122の末端方向への動きによって、これらのカム作用面は内方に押され、はと目122は係止用突起110の末端方向に進み、次に、それらの当初の隔たり位置に戻り、はと目122を係止位置に保つ。
作動型基端側アンカー140は、はと目142を係止用突起114の上方で動かすことにより、同様の要領にて形成し且つ作動させる。末端側アンカー及び基端側アンカーの双方は、少なくとも0.453kg(1ポンド)最も好ましくは、0.907kg(2ポンド)の定着力を提供する。
図9には、本発明に従った組織整形装置100を冠状静脈洞のような身体内の所望の位置まで送り出し、僧帽弁逆流を治療する1つの方法が示されている。上述したように、装置100は、基端側アンカー及び末端側アンカーが非拡張状態又は変形状態にあるようにして、カテーテル200内の所望の位置に装填し且つ配置することが好ましい。すなわち、末端側アンカー120のはと目122は、末端側係止用突起110の基端側に配置され、また、基端側アンカー140のはと目142は、基端側の係止用突起114の基端側に配置される。外科医は、装置を前進させ又はカテーテル若しくはその組み合わせ体を後退させることにより、装置の末端をカテーテル200から冠状静脈洞内へ突き出す。プッシャ(図示せず)は、カテーテル200に対する装置の末端方向への動きを提供し、繋ぎ材201は、カテーテル200に対する装置の基端方向への動きを提供する。
末端側アンカーを形成する材料の本来の弾性により、該末端側アンカーは、カテーテルの外側に出ると直ちに拡張し始める。装置が適正に配置されたならば、カテーテル200を前進させて作動力を末端側アンカーのはと目122に加えて、該はと目を末端側係止用突起110の上方で末端方向へ押し、末端側アンカー120は、更に拡張し且つ所要位置に係止して冠状静脈洞の壁と確実に係合する。次に、患者の外側にカテーテル内を伸長している繋ぎ材又は制御ワイヤー201を介して基端方向の力をコネクタ102及び末端側アンカー120に加えて、コネクタに隣接する組織に十分な圧力を加えてその組織の形状を改変する。僧帽弁の場合、X線透視法、超音波画像技術又はその他の画像技術を使用して装置が僧帽弁に十分な圧力を提供するとき、患者にその他の悪影響を与えることなく、心室が収縮する毎に僧帽弁が完全に閉じるのを助けることを確認することができる。
基端方向の再整形力によって基端側アンカー140は基端方向に動く。例えば、一つの実施形態においては、基端側アンカー140は、約1ないし6cm最も好ましくは少なくとも2cmだけ基端方向に動かして僧帽弁の組織を再整形することができる。次に、基端側アンカー140をカテーテル内から配備し且つその拡張を開始することを許容する。係止ツールは基端側アンカーのはと目142に作動力を加え、該はと目を基端側係止用突起114の上方にて末端方向に前進させ、基端側アンカーを拡張させ且つ係止し、これにより冠状静脈洞の壁と強固に係合させ、基端側アンカーの位置を維持し、また、冠状静脈洞の壁に対するコネクタの再整形圧力を維持する。これと代替的に、カテーテル200は、基端側アンカー140を係止し得るよう前進させてもよい。
最後に、装置の基端を固定する機構を解放することができる。一つの実施形態においては、固定は、繋ぎ材201の端部の編み上げループ202と係止ワイヤー204とにより実現される。係止ワイヤー204を引き抜き、これによりループ202を解放し、ループを装置100の基端にて基端側係止用突起114を介して引っ張ることができるようにする。
本発明の装置を使用して僧帽弁逆流を減少させる効果は、末端側アンカーを冠状静脈洞内にて可能な限り末端方向に遠方に配備することにより最大にすることができる。幾つかの場合、例えば、患者の回旋動脈が心門に比較的近い位置で冠状静脈洞を横断している場合又は冠状静脈洞自体が通常よりも短い場合には、比較的短い組織整形装置を移植することが望ましいであろう。図9から理解し得るように、アンカー120は、その非拡張形態にあるとき、カテーテル200内をコネクタ102に沿って基端方向に伸びる。しかし、コネクタを短くすることのみによって装置を短く形成することにより、はと目122及び末端側アンカー120の基端部分は装置がカテーテル内に装填されたときに基端側アンカーの部分と重なり合い、これによりカテーテルの直径をより長い型式の装置に対して必要とされるよりも長くすることが必要となる。僧帽弁逆流の適用例の場合、好ましいカテーテルの直径は10フランス以下(9フランスであることが最も好ましい)であり、また、組織整形装置は、非拡張形態にあるときにカテーテル内に嵌まらなければならない。
図10ないし図23には、長さ60mm以下の組織整形装置を10フランス(又はそれ以下)のカテーテルにより送り出すことを許容する可撓性で且つ拡張可能なワイヤーアンカーを有する本発明の装置の実施形態が示されている。幾つかの実施形態においては、一方又は双方のアンカーに曲げ点が設けられており、カテーテルにより送り出し又はカテーテル内に再度拘束するために非拡張形態に配置されたとき、この曲げ点を中心としてアンカーが変形する。これらの曲げ点は、アンカーが装置のその他の要素と重なり合う程度を最小にする形態になることを可能にする。その他の実施形態において、末端側アンカーは自然拡張し、これにより送り出し及び(又は)再拘束カテーテル内にて非拡張の基端側アンカーと重なり合うであろうアンカーの非拡張形態にて基端側に伸びるはと目を不要にする。
図10には、図8及び図9に示した装置と同様の比較的短い組織整形装置に適した作動型アンカーの設計が示されている。この実施形態において、末端側アンカー300はコネクタ302の末端側に配設される。図8の実施形態におけるように、アンカー300は、クリンプ管304により保持されたニチノールのような可撓性ワイヤーによって8の字形の形態に形成される。はと目306は、コネクタ302の長手方向軸線の回りに形成されている。はと目306に対する末端方向の作動力により、はと目はコネクタ302に形成された係止用突起308の上方を動いてアンカー300を作動させ且つ係止する。
図10には、拡張した形態にあるアンカー300が示されている。アンカー300及び組織整形装置の他の部分をカテーテル内に装填し、最初に配備して僧帽弁逆流を治療するのに適した形態のような非拡張形態にあるとき、はと目306を係止用突起308の基端側に配設し、アンカー300の8の字形ループをクリンプ部304に対して圧縮する。アンカー300を非拡張形態に圧縮するために、はと目306をコネクタに沿って動かさなければならない基端方向の距離を制限するために、曲げ点310がアンカー300の末端支柱に形成されている。曲げ点310は本質的に捩れる箇所すなわちワイヤーに形成された曲率が大きい箇所である。アンカー300が非拡張形態に圧縮されると、曲げ点310は変形し、末端支柱の上側アーム312が曲げ点310を中心に曲がり且つ末端の支柱の下側アーム314の方へ動き、これにより、はと目306及びアンカーの基端支柱がアンカーを圧縮するためにコネクタに沿って基端方向に動かなければならない距離を制限する。
同様に、末端側アンカーを再配備し又は患者から取り除くためにカテーテル内に再拘束する場合、アンカー300は曲げ点310を中心に変形し、はと目306は再拘束手順の間、係止用突起308の上方にて基端方向に動かない場合であっても、カテーテル内におけるアンカーの断面の輪郭外形を制限する。曲げ点は、同様の要領にて基端側アンカーに設けることもできる。
上述したように、末端側アンカー300は、基端側アンカーとアンカー間に配設されたコネクタとを有する組織整形装置(図8及び図9に示すようなもの)の一部とすることができる。僧帽弁逆流を治療するためには、末端側アンカー300をカテーテルを介して配備し且つ作動力により拡張させ、冠状静脈洞の壁に対して定着させ、少なくとも0.453kg(1ポンド)好ましくは少なくとも0.907kg(2ポンド)の定着力を提供し且つアンカー300を拡張形態に係止することができる。患者の外部から操作される繋ぎ材又は制御ワイヤーを引っ張ることにより、基端側アンカーを約1ないし6cmより好ましくは少なくとも2cmだけ基端方向に動かす等によって、基端方向の力がコネクタ302を通じて末端側アンカー300に加えられる。次に、基端側アンカーを配備し、装置の再整形力を維持することができる。
アンカー300の一つの特徴は、多岐に亘る血管の寸法に適合し且つ順応する能力である。例えば、アンカー300が冠状静脈洞のような血管内で拡張したとき、アンカーのワイヤーアームは、はと目306が係止用突起308の上方にて末端方向に前進する前に冠状静脈洞の壁と接触し、アンカーを所要位置に係止することができる。はと目306の末端方向への前進が続くと、冠状静脈洞の壁に多少外方への力が発生し、アンカーの作動力によりアンカー内に加えられたエネルギの多くは、末端側支柱が曲げ点310を中心に変形することにより吸収され、この末端側支柱は、拡張エネルギの吸収要素として作用して冠状静脈洞の壁に加わる半径方向外方への力を制限することになる。この特徴は、血管が過度に拡張する危険性を減少させつつアンカーをより広範囲の血管寸法にて使用することを可能にする。
図11には、図8及び図9に示した装置と同様のより短い組織整形装置に適した別のアンカーの設計が示されている。この実施形態において、末端側アンカー320は、コネクタ322の末端側に配設される。図8の実施形態におけるように、アンカー320は、クリンプ管324により保持されたニチノールのような可撓性ワイヤーから8の字形態に形成される。しかし、図10の実施形態と異なり、アンカー320は、自然拡張型であって作動型ではない。はと目326は、第二のクリンプ部325により所要位置に保持され、アンカーの基端側の接続箇所が例えばコネクタ322に沿って基端方向に又は末端方向に動くのを制限し又は解消する。
図11には、拡張形態にあるアンカー320が示されている。アンカー320及び組織整形装置の他の部分をカテーテル内に装填し、最初に配備し、僧帽弁逆流を治療するのに適した形態のような、非拡張形態において、アンカー320の8の字形ループが圧縮される。曲げ点330はアンカー320の末端支柱に形成されている。アンカー320が非拡張形態に圧縮されると、曲げ点330は変形し、末端側支柱の上側アーム332が曲げ点330を中心に曲がり且つ末端側支柱の下側アーム334に向けて動くようにする。曲げ点330の正確な位置に依存して、アンカー320がその非拡張形態にあるとき、クリンプ部325又はコネクタ322に沿って基端方向に配設されるのは、アンカー320のワイヤー部分の極めて僅かな部分であるか又は配置される部分が全く存在しない。
同様に、末端アンカーを配備し又は患者から除去するためにカテーテル内に再拘束したならば、アンカー320は、曲げ点330を中心に変形し、カテーテル内のアンカーの断面輪郭外形を制限することになろう。曲げ点は、同様の要領にて基端側アンカーに設けてもよい。
末端側アンカー320は、基端側アンカーとアンカー間に配設されたコネクタとを有する組織整形装置(図8及び図9に示したもののような)の一部とすることができる。構成している形状記憶材料の超弾性特性により、末端側アンカー320は、カテーテルを介して配備されて自然拡張し冠状静脈洞の壁に対して定着し、少なくとも0.453kg(1ポンド)好ましくは少なくとも0.907kg(2ポンド)の定着力を提供することができる。次に、患者の外側から作動できる繋ぎ材又は制御ワイヤーを引っ張ることにより、基端側アンカーを例えば約1ないし6cmより好ましくは少なくとも2cmだけ基端方向に動かすことにより、基端方向の力をコネクタ322を介して末端側アンカー320に加えることができる。次に、基端側アンカーを配備して装置の再整形力を維持することができる。
図12には、より短い組織整形装置において使用するのに適したアンカーの別の実施形態が示されている。この実施形態においては、末端側アンカー340はコネクタ342の末端側に配設されている。図11の実施形態におけるように、アンカー340は、クリンプ管344により保持されたニチノールのような可撓性ワイヤーから8の字形の形態に形成されている。また、この実施形態と同様に、アンカー340は、自然拡張型であって作動型ではない。アンカーの基端側支柱を形成しているアンカー340のループは、第二のクリンプ部345から末端方向に伸びるループ346を通って伸びてアンカーの基端側支柱が例えばコネクタ342に沿って基端方向に又は末端方向に動くのを制限し又は解消する。
図12には、拡張した形態にあるアンカー340が示されている。図11の装置と同様に、アンカー340及び組織整形装置の他の部分をカテーテル内に充填して最初に配備し、僧帽弁逆流を治療するのに適した形態のような非拡張形態において、アンカー340の8の字形ループが圧縮される。しかし、図11の実施形態と相違して、曲げ点350は、アンカー340の基端側支柱に形成されている。アンカー340が非拡張形態に圧縮されると、曲げ点350は変形し、末端側支柱の上側アーム352が曲げ点350を中心に曲がり且つ末端支柱の下側アーム354に向けて動くようにする。その非拡張形態においてクリンプ部345及びコネクタ342に沿って基端方向に伸びるアンカー340のワイヤー部分の量は、曲げ点350の位置に依存する。一つの実施形態においては、曲げ点は、基端側支柱の最上方で且つ最も幅の広い部分に形成されている。
末端側アンカー340は、基端側アンカーとアンカー間に配設されたコネクタとを有する組織整形装置(図8及び図9に示したもののような)の一部とすることができる。その形状記憶材料の超弾性特性のために、末端側アンカー340は、カテーテルを介して配備され自然拡張し冠状静脈洞の壁に対して定着し、少なくとも0.453kg(1ポンド)好ましくは少なくとも0.907kg(2ポンド)の定着力を提供することができる。次に、患者の外側から作動される繋ぎ材又は制御ワイヤーを引っ張ることにより、例えば基端側アンカーを約1ないし6cmより好ましくは少なくとも2cmだけ基端方向に動かすことにより、基端方向の力をコネクタ342を介して末端側アンカー340に加えることができる。次に、基端側アンカーを配備して装置の再整形力を維持することができる。
例えば基端方向の力に応答して基端側支柱がコネクタに対してより垂直となるに伴いアンカーの高さが増すようにすることにより、曲げ点350は末端側アンカー340の定着力を付加して定着力を増大させる。同一の要領にて、末端方向の力に応答して曲げ点を基端側アンカーの末端側支柱に加えて、基端側アンカーの定着力を増すこともできる。
図13には、より短い組織整形装置において使用するのに適したアンカーの更に別の実施形態が示されている。この実施形態においては、末端側アンカー360はコネクタ362の末端側に配設されている。図12の実施形態におけるように、アンカー360は、クリンプ管364により保持されたニチノールのような可撓性ワイヤーから8の字形の形態に形成されている。また、この実施形態と同様に、アンカー360は、自然拡張型であって作動型ではない。アンカーの基端側支柱を形成しているアンカー360のループは、第二のクリンプ部365から末端方向に伸びるループ366を通ってアンカーの基端側支柱が例えばコネクタ362に沿って基端方向に又は末端方向に動くのを制限し又は解消する。
図13には、拡張した形態にあるアンカー360が示されている。図12の装置と同様に、アンカー360及び組織整形装置のその他の部分をカテーテル内に装填して最初に配備し、僧帽弁逆流を治療するのに適した形態のような非拡張形態にあるとき、アンカー360の8の字形ループが圧縮される。しかし、図12の実施形態と相違して、曲げ点370はアンカー360の基端側支柱及び末端側支柱の双方に形成されている。
アンカー360は、上述した実施形態と同様に、組織整形装置の一部として使用することが可能である。
図14には、図8及び図9に示した装置と同様のより短い組織整形装置に適した作動型アンカーの設計が示されている。この実施形態においては、末端側アンカー380は、コネクタ382の末端側に配設されている。その他の実施形態におけるように、アンカー380は、クリンプ管384によって保持されたニチノールのような可撓性ワイヤーから8の字形の形態に形成されている。図10の実施形態と相違して、はと目386、387は、コネクタ382の長手方向軸線の回りにアンカーの基端側支柱の各々に形成されている。この配置は、アンカーの半径方向外方への力を減少させる。はと目386、387に加わる末端方向の作動力は、これらのはと目をコネクタ382に形成された係止用突起388の上で動かしてアンカー380を作動させ且つ係止する。
図14には、拡張した形態にあるアンカー380が示されている。アンカー380及び組織整形装置の他の部分をカテーテル内に装填して最初に配備し僧帽弁逆流を治療するのに適した形態のような非拡張形態において、はと目386、387が係止用突起388の基端側に配設され、また、アンカー380の8の字形ループはクリンプ384に対して圧縮されている。アンカー380を非拡張形態に圧縮すべく、はと目386、387を動かさなければならない基端方向距離を制限するために、曲げ点390はアンカー380の末端側支柱に形成されている。アンカー380が非拡張形態に圧縮されると、曲げ点390は変形し、末端側支柱の上側アーム392は曲げ点390を中心に曲がり且つ末端側支柱の下側アーム394に向けて動いて、アンカーを圧縮するためにはと目386、387及びアンカーの基端側支柱がコネクタに沿って基端方向に動かなければならない距離を制限することになる。
末端側アンカーを再配備し又は患者から除去するためにカテーテル内に再拘束すべき場合、アンカー380は曲げ点390を中心に変形し、再拘束手順の間、はと目386、387が係止用突起388の上方にて基端方向に動かないときでさえ、カテーテル内のアンカーの断面幾何学的形状を制限する。曲げ点はまた同様の要領にて基端側アンカーに設けてもよい。
上述したその他の実施形態と同様に、末端側アンカー380は、基端側アンカーと、アンカー間に配設されたコネクタとを有する組織整形装置(図8及び図9に示したもののような)の一部とすることができる。僧帽弁逆流を治療するために、末端側アンカー380は、カテーテルから配備し且つ作動力により拡張させ、冠状静脈洞の壁に対して定着させ、少なくとも0.453kg(1ポンド)好ましくは少なくとも0.907kg(2ポンド)の定着力を提供し且つアンカー380を拡張した形態にて係止する。患者の外部から作動される繋ぎ材又は制御ワイヤーを引っ張ることにより基端側アンカーを約1ないし6cmより好ましくは少なくとも2cmだけ基端方向に動かす等によって、基端方向の力がコネクタ388を通じて末端側アンカー380に加えられる。次に、基端側アンカーを配備して装置の再整形力を維持することができる。
その他の実施形態におけるように、アンカー380の一つの特徴は、多岐に亘る血管の寸法に適合し且つ順応する能力である。例えば、アンカー380が冠状静脈洞のような血管内で拡張したとき、アンカーのワイヤーアームは、はと目386、387が係止用突起388の上方を末端方向に前進してアンカーを所要位置に係止する前に冠状静脈洞の壁に接触することができる。はと目386の末端方向への前進が続くと、冠状静脈洞の壁に対し外方への力が多少生じ、アンカーの作動力によりアンカー内に加えられるエネルギの多くは、末端側支柱が曲げ点390を中心に変形することで吸収されよう。
図15には、より短い組織整形装置内にて使用される作動アンカーの更に別の実施形態が示されている。基端側アンカー400はコネクタ402の基端側に配設されている。その他の実施形態におけるように、アンカー400は、クリンプ管404により保持されたニチノールのような可撓性ワイヤーから8の字形態に形成されている。はと目406はクリンプ部404から基端方向に伸びる係止用突起408の回りに形成されている。はと目406に加わる末端方向の作動力は、はと目を係止用突起408の上方にて動かしアンカー400を作動させ且つ係止することになる。
図15には、拡張形態にあるアンカー400が示されている。アンカー400が非拡張形態に圧縮されると、アンカーワイヤーにループとして形成された曲げ点410が変形し、末端側支柱の上側アーム412が曲げ点410を中心に曲がり且つ末端側支柱の下側アーム414に向けて動く。その他の実施形態におけるように、基端側アンカー400は、末端側アンカーと、アンカー間に配設されたコネクタとを有する組織整形装置(図8及び図9に示したもののような)の一部とすることができる。
その他の実施形態におけるように、アンカー400の一つの特徴は、多岐に亘る血管の寸法に適合し且つ順応する能力である。例えば、アンカー400が冠状静脈洞のような血管内にて拡張したとき、アンカーのワイヤーアームは、はと目406が係止用突起408の上方を末端方向に前進してアンカーを所要位置に係止する前に、冠状静脈洞の壁に接触することができる。はと目406が末端方向へ前進を続けると、冠状静脈洞の壁に多少の外方への力が生じ、アクチュエータの作動力によりアンカー内へ入力されたエネルギの多くは、末端側支柱が曲げ点410を中心に変形することにより吸収されるであろうし、該末端側支柱は、拡張エネルギ吸収要素として作用し且つ冠状静脈洞の壁に加わる半径方向外方への力を制限する。
その他の実施形態において、図15の実施形態のループ状の曲げ点は末端側支柱における曲げ点に加え又はそれに代えてアンカーの基端側支柱に形成することができる。ループ状曲げ点の実施形態は、図16に示すように末端側アンカーにおいて(クリンプ部又はコネクタ無しで)使用することもできる。図16の実施形態において、アンカー420の基端側支柱及び末端側支柱並びにはと目422、曲げ点424は、単一のワイヤーから形成されていることに注目すべきである。
図17には、より短い組織整形装置にて使用するのに適した図10に示したものと同様の末端側アンカー440の一つの実施形態が示されている。しかし、この実施形態においては、追加の捩れ部442がアンカーの8の字形パターンの頂点に追加されている。図10の実施形態におけるように、曲げ点444はアンカーの末端側支柱に形成されている。図示するように、アンカー440は、はと目446をコネクタ450に形成された係止用突起448の上方を末端方向に動かすことにより作動可能である。アンカー440は、図11に示した実施形態におけるように、コネクタ450に沿ったアンカー440の基端側支柱の動きを制限し又は解消することにより、自然拡張型アンカーとして形成することもできる。その他の実施形態におけるように、曲げ点はアンカー440が異なる血管の寸法に順応し且つ適合するのを助ける。更に、追加の捩れ部442は、アンカーの頂点を互いに合わせた状態に保つことにより、アンカーが異なる血管の直径に順応することも助ける。
その他の実施形態におけるように、アンカー440は、ニチノールワイヤーによって形成されることが好ましい。アンカー440は、図10のアンカー(作動型アンカーの実施形態の場合)又は図11のアンカー(自然拡張型アンカーの実施形態の場合)と同様の要領にて組織整形装置の一部として使用することが可能である。アンカー440は、基端側アンカーとして使用してもよい。
図18には、図17のアンカーと同様の末端側アンカー460の一つの実施形態が示されている。しかし、この実施形態においては、曲げ点462は図12に示した自然拡張型アンカーにおけるようにアンカーの基端側支柱に形成されている。図17の実施形態におけるように、追加の捩れ部464がアンカーの8の字形パターンの頂点に追加されている。図示するように、アンカー460は、はと目466をコネクタ470に形成された係止用突起468の上方を末端方向に動かすことにより作動可能である。アンカー460は、図11に示した実施形態におけるように、コネクタ470に沿ったアンカー460の基端側接続点の動きを制限し又は解消することにより、自然拡張型アンカーとすることもできる。図17の実施形態におけるように、曲げ点はアンカー460が異なる血管の寸法に順応し且つ適合するのを助ける。更に、追加の捩れ部464は、アンカーの頂点を互いに合わせた状態に保つことにより、アンカーが異なる血管の直径に順応することも助ける。
その他の実施形態におけるように、アンカー460は、ニチノールワイヤーによって形成されるのが好ましい。アンカー460は、図10のアンカー(作動型アンカーの実施形態の場合)又は図11のアンカー(自然拡張型アンカーの実施形態の場合)に対するのと同様の要領にて組織整形装置の一部として使用することができる。アンカー460は、基端側アンカーとして使用することもできる。
図19には、より短い組織整形装置において使用するのに適した自然拡張型末端側アンカー480の一つの実施形態が示されている。その他の実施形態におけるように、アンカー480は、クリンプ管482により保持されたニチノールのような可撓性ワイヤーから8の字形の形態に形成されている。しかし、8の字形パターンの基部は、この実施形態においては比較的狭小であり、アンカーの基端支柱484はクリンプ部482を貫通して伸びている。
末端側アンカー480は、基端側アンカーと、アンカー間に配設されたコネクタとを有する組織整形装置(図8及び図9に示したもののような)の一部とすることができる。僧帽弁逆流を治療するため、末端側アンカー480は、カテーテルから配備し且つ自然拡張して冠状静脈洞の壁に対して定着し、少なくとも0.453kg(1ポンド)好ましくは少なくとも0.907kg(2ポンド)の定着力を提供することができる。患者の外部から作動される繋ぎ材又は制御ワイヤーを引っ張ることにより、基端側アンカーを約1ないし6cmより好ましくは少なくとも2cmたけ基端方向に動かす等によって基端方向の力がコネクタ486を通じて末端側アンカー480に加えられる。次に、基端側アンカーを配備し装置の再整形力を維持することができる。
図20には、より短い組織整形装置において使用するのに適しており且つ図10のアンカーと同様である末端側アンカーの一つの実施形態が示されている。この実施形態においては、末端側アンカー500は、コネクタ502の末端側に配備されている。その他の実施形態におけるように、アンカー500は、クリンプ管504によって保持されたニチノールのような可撓性ワイヤーから8の字形態に形成されている。はと目506は、コネクタ502の長手方向軸線の回りに形成されている。はと目506に対する末端方向の作動力によって、はと目はコネクタ502に形成された係止用突起508の上方を動いてアンカー500を作動させ且つ係止する。
しかし、基端側支柱501の角度及び末端側支柱503の角度は図10の実施形態の相応する角度よりも大きく、アンカー500は、図示するように、拡張したときに高さよりも幅がより広く拡張する。アンカー500及び組織整形装置の他の部分をアンカー内に装填して最初に配備し、僧帽弁逆流を治療するのに適した形態のような非拡張形態にあるとき、はと目506は、係止用突起508の基端側に配備され、アンカー500の8の字形ループはクリンプ部504に圧縮される。アンカー500を非拡張形態に圧縮するためにはと目506がコネクタに沿って動かなければならない基端方向距離を制限するために、曲げ点510が図10の実施形態におけるように、末端側支柱503に形成されてカテーテル内での非拡張形態における装置の幅を制限している。
末端側アンカー500は、基端側アンカーとアンカー間に配設されたコネクタとを有する組織整形装置(図8及び図9に示したもののような)の一部とすることができる。僧帽弁逆流を治療するため、末端側アンカー500は、カテーテルから配備し且つ作動力によって拡張させ、冠状静脈洞の壁に対して定着し、少なくとも0.453kg(1ポンド)好ましくは少なくとも0.907kg(2ポンド)の定着力を提供し且つアンカー500を拡張した形態にて係止する。患者の外側から作動される繋ぎ材又は制御ワイヤーを引っ張ることにより、基端側アンカーを基端方向に約1ないし6cmより好ましくは少なくとも2cmだけ動かす等により、基端方向の力がコネクタ502を通じて末端側アンカー500に加えられる。次に、基端側アンカーを配備して装置の再整形力を維持することができる。
図20に示したアンカーは基端側アンカーとして使用することができる。このアンカーは自然拡張型アンカーとして形成してもよい。
図21には、本発明に従った別の実施形態によるタンデム型末端側アンカーが示されている。自然拡張型アンカー520は、クリンプ管522によって保持されたニチノールのような可撓性ワイヤーから8の字形態に形成されている。はと目524は、作動型アンカー540の末端により所要位置に保持され、アンカー520の基端側支柱の基端方向及び末端方向への動きを制限し又は解消する。図11に示したアンカーにおけるように、曲げ点530がアンカー520の末端側支柱に形成されている。曲げ点530の正確な位置に依存して、アンカー520がその非拡張形態にあるときに、アンカー540の末端の基端側に配設されるアンカー520のワイヤー部分は極めて少なく又は皆無である。
同様に、末端側アンカーが再配備のため又は患者から除去するためにカテーテル内に再拘束されたならば、アンカー520は、曲げ点530を中心に変形し、カテーテル内でのアンカーの断面の輪郭外形を制限することになろう。曲げ点は、また、同様の要領にて基端側アンカーに設けてもよい。
アンカー540は図8に示したアンカー120と同様である。アンカー540は、クリンプ管544により保持されたニチノールのような可撓性ワイヤーから8の字形態に形成されている。はと目546がコネクタ542の長手方向軸線を中心に形成される。はと目546に加わる末端方向の作動力により、はと目はコネクタ542に形成された係止用突起548の上方にて動き、アンカー540を作動させ且つ係止する。
タンデム型アンカー520、540は、基端側アンカーとアンカー間に配設されたコネクタとを有する組織整形装置(図8及び図9に示したもののような)の一部とすることができる。アンカー520、540は、単一のワイヤー又は別個のワイヤー片から形成することができる。僧帽弁逆流を治療するために、末端側アンカー520、540は、カテーテルから配備することができる。次に、自然拡張型アンカー520は、自然拡張し、作動可能なアンカー540は、作動力によって拡張させ且つ係止して、双方のアンカーを冠状静脈洞の壁に対して定着し、少なくとも0.453kg(1ポンド)好ましくは少なくとも0.907kg(2ポンド)の定着力を提供する。患者の外側から作動される繋ぎ材又は制御ワイヤーを引っ張ることにより、基端側アンカーを基端方向に約1ないし6cmより好ましくは少なくとも2cmだけ動かす等により、基端方向の力がコネクタ542を介してアンカー520、540に加えられる。次に、基端側アンカーを配備し、装置の再整形力を維持することができる。
上述したアンカーの設計は、より短い組織整形装置の一部分として説明したが、これらのアンカーは、任意の長さの組織整形装置において使用することができる。
図22及び図23には、装置のコネクタ560が末端側及び基端側クリンプ管562、564と一体化された一つの代替的な実施形態が示されている。この実施形態においては、コネクタ560は、ニチノール円筒体又は管のようなブランク材の一部分を削り取り、クリンプ管部分562、564を無傷のまま残すことにより形成される。このため、半円形断面のコネクタの半径は2つのアンカークリンプ管の半径と等しい。
勿論、一体的なコネクタ及びクリンプの設計に対するその他のコネクタの形状が可能である。例えば、装置は、矩形の端縁部分を中央部分から除去し、端部により広い幅を有し中央のコネクタ部分により狭い幅を有するI字形シート(例えば、ニチノール又はステンレス鋼)を形成することにより、装置は平坦なリボン又はシートの形状とされたブランク材から形成することができる。次に、端部を圧延してクリンプ管を形成し、コネクタが実質的に平坦なままであるようにすることができる。更に、代替的な実施形態において、コネクタを一つのアンカーと一体化することができる。
図23に示すように、末端側アンカー566は、ニチノールのような可撓性ワイヤーから8の字形態に形成される。末端側アンカー566は自然拡張型であり、また、その基端側支柱568はクリンプ管562により所要位置に保持される。選択的な曲げ点をアンカー566の基端側支柱568又は末端側支柱570に形成することができる。
基端側アンカー572はまた、基端にはと目574を有するニチノールのような可撓性ワイヤーから8の字形態に形成される。はと目574に加わる末端方向の作動力は、該はと目をクリンプ管564から基端方向に伸びる係止用突起576の上方にて動かし、アンカー572を作動させ且つ係止することになる。係止用突起576は、繋ぎ材又は制御ワイヤーに対する接続箇所としても作用し、図8及び図9に関して上述した要領にて装置を配備し且つ作動させる。選択的な曲げ点をアンカー572の基端側支柱又は末端側支柱に形成することができる。
僧帽弁逆流を治療すべく冠状静脈洞内に配備されたとき、本発明の組織整形装置には、患者の心臓が拍動するときに周期的な曲げ及び引っ張り負荷が加わる。図24には、拍動間の曲げ及び引っ張り負荷に起因する全ての歪みを装置のより広い範囲に亘って分配する本発明の組織整形装置と共に使用される代替的なコネクタが示されている。
コネクタ600は、基端側アンカー領域602と、末端側アンカー領域604と、中央領域606とを有している。末端側アンカー領域は、該末端側アンカー領域に取り付けられた末端側アンカーよりも長くし、また、基端側アンカー領域は、該基端側アンカー領域に取り付けられた基端側アンカーよりも長くすることができる。選択的な係止用突起608は、上述したように、作動型基端側アンカーと共に使用され且つ繋ぎ材又は制御ワイヤーと接続するために、コネクタ600の基端に形成することができる。選択的な拡張部610をコネクタ600の末端に形成して末端側アンカーが偶発的に末端方向に滑るのを防止することができる。
組織整形装置の心拍間の負荷及び負荷除去に起因する材料の疲労を減少させるために、コネクタ600の慣性モーメントは、その長さに沿って、特に、2つのアンカーの間に配設されたコネクタの部分にて変化する。例えば、この実施形態において、コネクタ600は、リボン又はシートとして形成され且つ矩形の断面領域を有するニチノールによって形成されることが好ましい。コネクタ600の厚さは、基端側アンカー領域602及び末端側アンカー領域604内にて一定であり、クリンプ部及びアンカーのその他の構成要素を取り付け易くしたものであることが好ましい。中央領域606は、中央領域606と基端側アンカー領域602との間の境界から中央領域606のほぼ中心点まで減少する厚さ(このため、慣性モーメントは減少する)を有しており、また、その箇所から中央領域606と末端側アンカー領域604との間の境界まで増大する厚さ(慣性モーメントは増大する)を有している。コネクタ600の変化する厚さ及び変化する断面形状は、その長さに沿った慣性モーメントを変化させ、これにより、装置の心拍間の負荷及び負荷除去に起因する全ての歪みをより広い領域に亘って分配し且つコネクタ材料の疲労破断の機会を減少させるのに役立つ。
図25にはコネクタの別の実施形態が示されている。以前の実施形態と同様に、コネクタ620は、基端側アンカー領域622と、末端側アンカー領域624と、中央領域626とを有している。基端側アンカー領域622は、クリンプ部及びその他のアンカー要素を取り付け易くするために、その基端に形成された選択的な2つの股状分岐部628を有している。曲がった分岐部分629を分岐部の基端に形成して基端側アンカーの偶発的な滑りを防止することができる。選択的な拡張部630は、コネクタ620の末端に形成された末端側アンカーの偶発的な滑りを防止することができる。
図24の実施形態と同様に、コネクタ620は、リボン又はシートとして形成されており、また、矩形の断面領域を有するニチノールによって形成されることが好ましい。コネクタ620の厚さは、クリンプ部及びアンカーの他の構成要素を取り付け易くするため、基端側アンカー領域622及び末端側アンカー領域624内にて一定であることが好ましい。中央領域626は、中央領域626と基端側アンカー領域622との間の境界から中央領域626のほぼ中心点まで減少する厚さ(慣性モーメントは減少する)を有しており、また、その箇所から中央領域626と末端側アンカー領域624との間の境界まで増大する厚さ(慣性モーメントは増大する)を有している。コネクタ620の変化する厚さ及び変化する断面形状は、その長さに沿った慣性モーメントを変化させ、これにより、装置の心拍間の負荷及び負荷除去に起因する全ての歪みをより広い領域に亘って分配し且つコネクタ材料が疲労破断する機会を減少させるのに役立つ。
図26にはコネクタ640の輪郭外形が示されている。コネクタ640は、図24又は図25にそれぞれ示したコネクタ600、620のように形成することができ、又は、幾つかの他の形態を有することができる。コネクタ640は、基端側アンカー領域642と、末端側アンカー領域644と、中央領域646とを有している。コネクタ640は、リボン又はシートとして形成されることが好ましく、また、矩形の断面領域を有するニチノールによって形成されることが好ましい。
図26に示した実施形態において、基端側アンカー領域642及び末端側アンカー領域644の厚さは一定である。中央領域646の厚さは、中央領域646と基端側アンカー領域642との間の境界からその境界の末端側の箇所まで減少し且つ末端側アンカー領域644と中央領域646との間の境界の基端側の箇所からその境界まで増大する。厚さの減少が停止し、厚さの増大が開始する中央領域における箇所は一致するか又は分離させ、中央領域646内にて均一な厚さの領域を形成することができる。この実施形態においては、中央領域の厚さは、中央領域と基端側アンカー領域及び末端側アンカー領域との間の境界からの距離の平方根の関数として変化する。
図27には、コネクタの更に別の実施形態が示されている。図26の実施形態におけるように、コネクタ650は、図24、図25のそれぞれコネクタ600、620と同様に形成することができ、又は、幾つかの他の形態を有することができる。コネクタ650は、基端側アンカー領域652と、末端側アンカー領域654と、中央領域656とを有している。コネクタ650は、リボン又はシートとして形成されることが好ましく、また、矩形の断面領域を有するニチノールによって形成されることが好ましい。
図27に示した実施形態において、基端側アンカー領域652及び末端側アンカー領域654の厚さは一定である。中央領域656の基端側部分658の厚さは、中央領域656と基端側アンカー領域652との間の境界から直線状に中央領域656の一定厚さの中央部分662まで減少し、また、中央領域656の末端側領域600の厚さは、中央領域662から直線状に末端側アンカー領域654と中央領域656との間の境界まで増大する。
他の実施形態において、コネクタの厚さはその他の要領にて変化する。更に、コネクタの断面形状は、矩形以外の形状としてもよく、また、コネクタの長さに沿って変化するようにしてもよい。
図28及び図29には本発明の更に別の実施形態が示されている。組織整形装置700は、基端側アンカー702と末端側アンカー704との間に配設されたコネクタ706を有している。コネクタ706は、図24ないし図27に示したテーパー付きコネクタのようなリボン又はシートとして形成することができる。作動型基端側アンカー702は、ニチノールのような可撓性ワイヤーから8の字形態に形成され且つクリンプ管708によりコネクタ706に締結されている。同様に、自然拡張型末端側アンカー704は、ニチノールのような可撓性ワイヤーによって8の字形態に形成され且つクリンプ管710によりコネクタ706に締結されている。基端側係止用突起716は、基端側アンカー702を作動させ且つ係止するときに使用し、また、上述したように繋ぎ材又は制御ワイヤーと接続するために、基端側アンカー702から基端方向に伸びている。
曲げ点712は、基端側アンカー702のループに形成され、また、曲げ点714は、末端側アンカー704のループに形成されている。カテーテルによるの送り出し及び配備のため、又は、配備又は除去のためカテーテル内に再拘束すべくその非拡張形態に圧縮されたとき、アンカー702、704のワイヤー部分は曲げ点712、714を中心にそれぞれ曲がり、カテーテル内のアンカーの断面輪郭外形を制限する。曲げ点は、上述したように、アンカーのアンカー強度、アンカーの異なる血管の直径に対する順応性にも影響を与える。
異なる冠状静脈洞の長さ、及び心門から冠状静脈洞と回旋動脈との間の交差点までの距離の変化に加えて、末端側及び基端側アンカー箇所における冠状静脈洞の直径は患者毎に相違する。上述したアンカーは、多岐に亘る高さにて形成し且つ長さの相違するコネクタと組み合わせて患者毎の相違に対応することができる。例えば、僧帽弁逆流を治療するために冠状静脈洞内に配備された組織整形装置は、約7mmないし約16mmの範囲にある末端側アンカーの高さと、約9mmないし約20mmの範囲にある基端側アンカーの高さとを有するものとすることができる。
僧帽弁逆流の患者を治療するとき、組織整形装置の適正な長さ及び末端側アンカー及び基端側アンカーに対する適正なアンカーの高さについて推定することができる。次に、臨床医は、例えば、上述した実施形態に従い、形成された異なる長さ及び異なるアンカー寸法を有する一組の又は複数組の装置から適正な長さ及びアンカー寸法を有する組織整形装置を選ぶことができる。これらの装置の組みは、複数の組又はキットに集合化することができ又は単に異なる組織整形装置の集合体又は在庫品とすることもできる。
僧帽弁逆流に対する組織整形装置の適正な長さ及びアンカー寸法を推定する一つの方法は、X線透視法により視認可能な標識を有するカテーテルが挿入された冠状静脈洞のX線透視像を観察することである。冠状静脈洞と回旋動脈との間の交差点は、上述したように決定し、また、その箇所の基端側の冠状静脈洞の長さ及び所期のアンカー箇所における冠状静脈洞の直径のスクリーン寸法を測定することができる。このようにカテーテルの標識のスクリーン上における距離を測定し且つその距離をカテーテル標識間の実際の距離と比較することにより、長さ及び直径の測定値を実際の寸法に調節することができる。適正な長さ及びアンカー寸法を有する組織整形装置は、僧帽弁逆流を治療すべく患者の体内に配備される一組の装置又は在庫の装置から選ぶことができる。
図30には本発明の方法の更に別の実施形態が示されている。この実施形態においては、実質的に真っ直ぐな剛直の部材802から形成された組織整形装置800は、僧帽弁逆流を治療すべく冠状静脈洞804内に配設される。図示するように配備されたとき、剛直な部材802の中央部分は、僧帽弁806に向けて冠状静脈洞を介して前方に再形成力を加える一方、剛直な部材802の基端808及び末端810は、それぞれ、冠状静脈洞の壁に後方の力を加える。本発明に従い、装置800は、回旋動脈812に対して配設され、このため、装置800の末端810及びガイドワイヤー部分814が交差点に対して末端側であるにも拘らず、剛直な部材802から前方へ向けた力の全ては、動脈812と冠状静脈洞804との間の交差点の後側となる。
図30の装置は、交差点の末端側にて僧帽弁に向けられた全ての力を更に解消するために、部材802の末端810に剛性の低い部分を有することもできる。装置の更なる詳細(本発明の方法以外の)は、その開示内容を参考として引用し本明細書に含めた米国特許公開明細書第2002/018838号として公開された米国特許出願明細書S.N.10/112,354号に見出すことができる。
図31には本発明による方法の別の実施形態が示されている。装置900は、冠状静脈洞908内にて基端側角度付き部分904と末端側角度付き部分906との間に配設された実質的に真っ直ぐな剛性部分902を有している。図示するように、基端側角度付き部分904は、カテーテル(図示せず)内にて冠状静脈洞の心門910を貫通して伸びている。末端側角度付き部分906は、AIVに配設されることが好ましいフック付き部分912まで末端方向に伸びている。
僧帽弁逆流を治療するために、装置の真っ直ぐな部分902は、冠状静脈洞及び隣接する組織を再整形し、前方の力を冠状静脈洞の壁を介して僧帽弁914に向けて加える。装置の設計のため、装置の末端部分906及びフック付き部分912の少なくとも一部分が交差点の末端側に配設されるにも拘らず、この再整形力は、冠状静脈洞908と患者の回旋動脈916との間の交差点に対して基端方向にのみ加えられる。
特許請求の範囲に記載した本発明のその他の形態変更例は、当該技術分野の当業者に明らかであろうし、また、特許請求の範囲に包含することを意図するものである。