以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(プッシュプル成分の受光領域近傍に設けた迷光受光領域の受光結果を用いる例)
2.第2の実施の形態(レンズシフト成分の受光領域近傍に設けた迷光受光領域の受光結果をも用いる例)
3.第3の実施の形態(反射光ビームの一部領域について0次光を生成しない例)
4.他の実施の形態
<1.第1の実施の形態>
[1−1.光ディスク装置の構成]
図4に示すように、光ディスク装置10は、統括制御部11を中心に構成されており、光ディスク100に対して情報を記録し、また当該光ディスク100から情報を再生し得るようになされている。
光ディスク100は、図5(A)に断面図を示すように、例えば4層の記録層Y0、Y1、Y2及びY3(以下、これらをまとめて記録層Yと呼ぶ)を有している。各記録層Yは、螺旋状又は同心円状のトラック溝が形成されており、当該トラック溝に沿って情報が記録されるようになされている。
統括制御部11は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、各種プログラム等が格納されるROM(Read Only Memory)と、当該CPUのワークメモリとして用いられるRAM(Random Access Memory)とによって構成されている。
統括制御部11は、光ディスク100から情報を再生する場合、駆動制御部12を介してスピンドルモータ15を回転駆動させ、ターンテーブル15Tに載置された光ディスク100を所望の速度で回転させる。
また統括制御部11は、駆動制御部12を介してスレッドモータ16を駆動させることにより、光ピックアップ17を移動軸に沿ってトラッキング方向、すなわち光ディスク100の内周側又は外周側へ向かう方向へ大きく移動させるようになされている。
光ピックアップ17は、対物レンズ18や2軸アクチュエータ19等の複数の部品が取り付けられており、統括制御部11の制御に基づいて光ディスク100へ光ビームを照射するようになされている。
因みに統括制御部11は、光ディスク100に光ビームを照射する場合、記録層Y0〜Y3のうち情報を読み出す対象とする記録層Y、すなわち光ビームの焦点を合わせるべき記録層Yを対象記録層YTとして選定するようになされている。
また光ピックアップ17は、光ビームが光ディスクにより反射されてなる反射光ビームを受光し、その受光結果に応じた受光信号を生成して信号処理部13へ供給するようになされている。
信号処理部13は、供給された受光信号を用いた所定の演算処理を行うことによりフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をそれぞれ生成し、これらを駆動制御部12へ供給する。
駆動制御部12のサーボ制御部12Aは、供給されたフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を基に、対物レンズ18を駆動するための駆動信号を生成し、これを光ピックアップ17の2軸アクチュエータ19へ供給する。
光ピックアップ17の2軸アクチュエータ19は、この駆動信号に基づいて対物レンズ18のフォーカス制御及びトラッキング制御を行い、当該対物レンズ18により集光される光ビームの焦点位置を調整するようになされている。
また駆動制御部12は、統括制御部11から対象記録層YTの通知を受け、当該対象記録層YTに当該光ビームの焦点を合わせるようフォーカス制御を行うようになされている。
信号処理部13は、受光信号に対し所定の演算処理、復調処理及び復号化処理等を施すことにより、光ディスク100に記録されている情報を再生し得るようになされている。
また統括制御部11は、光ディスク100に情報を記録する場合、図示しない外部機器等から記録すべき情報を受け付け、これを信号処理部13へ供給する。信号処理部13は、当該情報に対し所定の符号化処理や変調処理等を施すことにより記録用信号を生成し、これを光ピックアップ17へ供給する。
光ピックアップ17は、光ビームを記録用の強度とすると共に記録用信号に応じて変調させることにより、記録用信号に応じた記録マークを形成していく。例えば光ディスク100がBD−RE(Blu-ray Disc-Rewritable)と同様の記録方式の場合、記録層を形成する材料を局所的に相変化させることにより当該記録マークを形成する。
このように光ディスク装置10は、光ディスク100に対し光ピックアップ17から光ビームを照射させ、その反射光を基にフォーカス制御及びトラッキング制御を行いながら、情報の再生処理や記録処理を行い得るようになされている。
[1−2.光ピックアップの構成]
光ピックアップ17は、図6に示すように、光ディスク100に光ビームL1を照射し、当該光ディスク100により当該光ビームL1が反射されてなる反射光ビームLRを受光するようになされている。
レーザダイオード21は、光源制御部31の制御の基で、波長約405[nm]の青紫色レーザ光でなる光ビームL1を発散光として出射し得るようになされている。またレーザダイオード21は、光ビームL1がP偏光となるようにその取付角度等が調整されている。
実際上統括制御部11は、光源制御部31を制御することにより、レーザダイオード21から光ビームL1を発射させ、コリメータレンズ22へ入射させる。コリメータレンズ22は、光ビームL1を発散光から平行光に変換し、偏光ビームスプリッタ23へ入射させる。
偏光ビームスプリッタ23は、光ビームの偏光方向に応じて透過率が相違する反射透過面23Sを有しており、P偏光の光ビームをほぼ全て透過すると共に、S偏光の光ビームをほぼ全て反射するようになされている。
実際上偏光ビームスプリッタ23は、反射透過面23Sにより光ビームL1をほぼ全て透過させ、球面収差補正部24へ入射させる。
球面収差補正部24は、例えば液晶素子でなり、光ビームL1の球面収差を変化させ1/4波長板25へ入射させるようになされている。また球面収差補正部24は、サーボ制御部12Aの球面収差制御部12ASにより、液晶素子による球面収差の変化度合いを調整し得るようにもなされている。
実際上球面収差補正部24は、統括制御部11及び球面収差制御部12ASの制御に基づき、光ビームL1が集光され光ディスク100の対象記録層YTに到達した際に生じる球面収差と逆特性となるような球面収差を当該光ビームL1に予め与える。これにより球面収差補正部24は、光ビームL1の対象記録層YTへの到達時における球面収差を補正し得るようになされている。
1/4波長板25は、光ビームを直線偏光と円偏光との間で相互変換し得るようになされており、例えばP偏光でなる光ビームL1を左円偏光に変換し、対物レンズ18へ入射させる。
対物レンズ18は、光ビームL1を集光する。ここで統括制御部11は、フォーカス制御部12AFを介して、フォーカスアクチュエータ9Fにより対物レンズ18のフォーカス方向に関する位置を調整している。このため対物レンズ18は、光ビームL1の焦点F1を光ディスク100の対象記録層YTにおおよそ合わせるよう照射する。
このとき光ビームL1は、対象記録層YTで反射されることにより、反射光ビームLRとなり、対物レンズ18へ入射される。また反射光ビームLRは、円偏光における回転方向が反射時に反転されるため、右円偏光となる。
例えば記録層Y0が対象記録層YTであった場合(図5(A))、光ビームL1は、記録層Y0において反射されることにより反射光ビームLRとなる。
この後反射光ビームLRは、対物レンズ18により発散光から平行光に変換され、1/4波長板25により右円偏光からS偏光(直線偏光)へ変換され、さらに球面収差補正部24へ入射される。
球面収差補正部24は、反射光ビームLRが対象記録層YTにより反射されてから対物レンズ18を通過するまでの間に生じた球面収差を補正し、当該反射光ビームLRを偏光ビームスプリッタ23へ入射させる。
偏光ビームスプリッタ23は、S偏光でなる反射光ビームLRを反射透過面23Sにおいて反射し、集光レンズ26へ入射させる。集光レンズ26は、反射光ビームLRを収束光に変換し、ホログラム素子27へ入射させる。
ホログラム素子27は、回折素子としての性質により、反射光ビームLRを回折させて少なくとも0次光及び1次光に分離する。このときホログラム素子27は、0次光でなる反射光ビームLR0をほぼ直進させると共に、1次光でなる反射光ビームLR1については0次光と異なる方向へ進行させ、シリンドリカルレンズ28へ入射させる。
ところで反射光ビームLR(図5)は、光ビームL1の焦点F1が光ディスク100における所望のトラックに対し内周側又は外周側へ変位した際に、当該トラックの溝構造による回折作用に起因して、図1の斜線部分における光量が変動する。この斜線部分は、プッシュプル領域とも呼ばれ、この斜線部分に相当する光量の成分は、プッシュプル成分とも呼ばれる。
このプッシュプル成分は、光ビームL1の焦点F1が所望のトラックから変位した際の変位量に応じて、その光量が変化することが知られている。そこで光ディスク装置10では、このプッシュプル成分を検出することにより、対物レンズ18のトラッキング制御を行うようになされている。
かかるプッシュプル領域と対応するべく、ホログラム素子27は、図7(A)に示すように反射光ビームLRの通過部分が複数の領域27E〜27Jに分割されており、また図7(B)に示すように各領域ごとに反射光ビームLRの回折方向が設定されている。
領域27Eは、反射光ビームLR1のうち、光ディスク100におけるトラックの溝構造により回折された1次回折光(すなわち+1次光又は−1次光)を多く含み、且つ当該光ディスク100の内周側部分に相当する部分を反射光ビームLR1Eとする。このとき領域27Eは、反射光ビームLR1Eをほぼトラックの走行方向に沿った方向(便宜上、以下この方向を縦方向と呼ぶ)から内周側(図の左側)へ傾いた方向へ回折させる。
領域27Fは、反射光ビームLR1のうち、光ディスク100におけるトラックの溝構造により回折された1次回折光(すなわち−1次光又は+1次光)を多く含み、且つ当該光ディスク100の外周側部分に相当する部分を反射光ビームLR1Fとする。このとき領域27Fは、反射光ビームLR1Fを縦方向から外周側(図の右側)へ傾いた方向へ回折させる。
ここで反射光ビームLR1Fの進行方向は、縦方向と直交する横方向に関して反射光ビームLR1Eの進行方向とほぼ対称となっている。これを換言すれば、反射光ビームLR1E及びLR1Fは、縦方向に関しては互いにほぼ同一の方向へ、横方向に関しては互いに反対の方向へそれぞれ進行することになる。
領域27G1及び27G2は、反射光ビームLR1における、光ディスク100のトラックにより回折された1次回折光を殆ど含まず、且つ当該反射光ビームLR1の中央部分を除いた領域のうち、当該光ディスク100の内周側部分に相当する部分を反射光ビームLR1G1及びLR1G2とする。このとき領域27G1及び27G2(以下、これらをまとめて領域27Gと呼ぶ)は、反射光ビームLR1G1及びLR1G2(以下、これらをまとめて反射光ビームLR1Gと呼ぶ)をほぼ横方向の外周方向(図の右方向)へ回折させる。
領域27H1及び27H2は、反射光ビームLR1における、光ディスク100のトラックにより回折された1次回折光を殆ど含まず、且つ当該反射光ビームLR1の中央部分を除いた領域のうち、当該光ディスク100の外周側部分に相当する部分を反射光ビームLR1H1およびLR1H2とする。このとき領域27H1及び27H2(以下、これらをまとめて領域27Hと呼ぶ)は、反射光ビームLR1H1及びLR1H2(以下、これらをまとめて反射光ビームLR1Hと呼ぶ)をほぼ横方向の外周方向へ、且つ反射光ビームLR1Gよりも僅かに大きく回折させる。
領域27Jは、反射光ビームLR1の中央部分を反射光ビームLR1Jとする。このとき領域27Jは、反射光ビームLR1Jを縦方向及び横方向のほぼ中間となる斜め方向、すなわち図の右下方向へ回折させる。
かくしてホログラム素子27は、1次光でなる反射光ビームLR1のうち、プッシュプル成分を含む部分を反射光ビームLR1E及びLR1Fとし、これらを縦方向の内周側及び外周側へそれぞれ回折させる。
またホログラム素子27は、反射光ビームLR1のうち、プッシュプル成分を殆ど含まず、且つトラックの走行方向における前後部分を反射光ビームLR1G及びLR1Hとし、これらを横方向へそれぞれ回折させる。
因みにホログラム素子27は、各領域27E〜27Jにいわゆるバイナリ型のホログラムが形成されているため、実際には回折作用によりそれぞれ+1次光及び−1次光が生じる。しかしながら光ピックアップ17では、1次回折光としては、+1次光又は−1次光のいずれか一方のみを利用するようになされており、他方は利用しないようになされている。
このようにホログラム素子27は、反射光ビームLR1を領域ごとに設定された方向へ回折させることにより、複数の反射光ビームLR1E〜LR1Jに分割し互いに分離させるようになされている。
シリンドリカルレンズ28は、0次光でなる反射光ビームLR0に非点収差を持たせ、光検出器29へ照射する。
因みにシリンドリカルレンズ28は、その光学的性質により、1次光でなる反射光ビームLR1E、LR1F、LR1G、LR1H及びLR1Jについても同様に非点収差を持たせることになる。しかしながら反射光ビームLR1E〜LR1Jは、ホログラム素子27に形成された回折格子により、予め当該非点収差を相殺するような収差が与えられ、これによりシリンドリカルレンズ28から出射される時点で収差を殆ど持たないようになされている。
ここで、反射光ビームLRがホログラム素子27により分割され光検出器29に照射される様子を模式的に表すと、図8のようになる。
光検出器29は、図9に示すように、複数の受光部DA、DE、DF、DG、DH及びDJが形成され、さらに各受光部にそれぞれ複数の受光領域が形成されている。
受光部DAは、0次光でなる反射光ビームLR0の光軸に対応する基準点P2を中心に、縦方向及び横方向にそれぞれ2分割された、すなわち格子状に4分割された受光領域RA、RB、RC及びRDにより構成されている。因みに受光領域RA〜RDは、いずれもほぼ同等の大きさでなる略正方形状に形成されている。
受光領域RA、RB、RC及びRDは、反射光ビームLR0により形成されるスポットTAの一部をそれぞれ受光し、その受光量に応じた受光信号SA、SB、SC及びSDをそれぞれ生成してヘッドアンプ32(図6)へ送出するようになされている。
受光部DEは、全体として縦方向に長い長方形状に形成されると共に、縦方向に3分割されている。受光部DEの中央部分は、略正方形状の受光領域REとなっており、その両端部分は、それぞれ縦方向に短い迷光受光領域REN1及びREN2となっている。
すなわち受光部DEでは、中央に受光領域REが配置されると共に、横方向に関して当該受光領域REとほぼ同等の範囲に渡り当該受光領域REに隣接して迷光受光領域REN1及びREN2が配置されている。
受光領域REは、反射光ビームLR1Eにより形成されるスポットTEを受光し、その受光量に応じた受光信号SEを生成してヘッドアンプ32(図6)へ送出するようになされている。また迷光受光領域REN1及びREN2は、それぞれの受光量の加算値に相当する受光信号SENを生成してヘッドアンプ32へ送出するようになされている。
受光部DFは、基準点P2を通り縦方向に延長された仮想的な直線V1を対称軸として、受光部DEとほぼ対称な位置に設けられている。また受光部DFは、受光部DEと同様の形状になされており、受光領域RE並びに迷光受光領域REN1及びREN2とそれぞれ対応する受光領域RF並びに迷光受光領域RFN1及びRFN2により構成されている。
受光領域RFは、反射光ビームLR1Fにより形成されるスポットTFを受光し、その受光量に応じた受光信号SFを生成してヘッドアンプ32(図6)へ送出するようになされている。また迷光受光領域RFN1及びRFN2は、それぞれの受光量の加算値に相当する受光信号SFNを生成してヘッドアンプ32へ送出するようになされている。
受光部DGは、基準点P2を通り横方向に延長された仮想的な直線V2上に配置されている。受光部DGは、受光部DEと同様、全体として縦方向に長い長方形状に形成されると共に、縦方向に3分割されている。受光部DGの中央部分は、略正方形状の受光領域RGとなっており、その両端部分は、それぞれ縦方向に短い迷光受光領域RGN1及びRGN2となっている。
すなわち受光部DGでは、受光部DEと同様、中央に受光領域RGが配置されると共に、当該受光領域RGに対して縦方向にそれぞれ隣接して迷光受光領域RGN1及びRGN2が配置されている。
受光領域RGは、反射光ビームLR1G1及びLR1G2により形成されるスポットTG1及びTG2を受光し、その受光量に応じた受光信号SGを生成してヘッドアンプ32(図6)へ送出するようになされている。また迷光受光領域RGN1及びRGN2は、それぞれの受光量の加算値に相当する受光信号SGNを生成してヘッドアンプ32へ送出するようになされている。
受光部DHは、仮想的な直線V2上における、基準点P2から見て受光部DGよりも遠方に、当該受光部DGからやや離隔するよう配置されている。また受光部DHは、受光部DGと同様の形状になされており、受光領域RG並びに迷光受光領域RGN1及びRGN2とそれぞれ対応する受光領域RH並びに迷光受光領域RHN1及びRHN2により構成されている。
受光領域RHは、反射光ビームLR1H1及びLR1H2により形成されるスポットTH1及びTH2を受光し、その受光量に応じた受光信号SHを生成してヘッドアンプ32(図6)へ送出するようになされている。また迷光受光領域RHN1及びRHN2は、それぞれの受光量の加算値に相当する受光信号SHNを生成してヘッドアンプ32へ送出するようになされている。
受光部DJは、基準点P2から斜め方向(すなわち縦方向及び横方向のほぼ中間となる方向)における、当該基準点P2から離隔し、且つ受光部DFからもやや離隔した箇所に配置されている。
受光部DJは、格子状に4分割された受光領域RJA、RJB、RJC及びRJDにより反射光ビームLR1Jを受光するようになされている。因みに受光部DJにおける各受光領域の分割方向は、受光部DAにおける分割方向と約45度の角度をなすようになされている。また受光領域RJA〜RJDは、いずれもほぼ同等の大きさでなる略正方形状に形成されている。
受光領域RJA、RJB、RJC及びRJDは、それぞれの受光量に応じた受光信号SJA、SJB、SJC及びSJDを生成し、これらをヘッドアンプ32(図6)へ送出するようになされている。
このように光検出器29は、受光部DA及びDE〜DJの各受光領域Rにより、それぞれの受光量に応じた受光信号Sをそれぞれ生成してヘッドアンプ32へ送出するようになされている。
因みに光ピックアップ17では、集光レンズ26及びホログラム素子27の設計等により、反射光ビームLR0、LR1E〜LR1Jが光検出器29の照射面付近においてそれぞれ焦点を結ぶようになされている。
[1−3.迷光の照射と受光部の配置]
ところで光ディスク100(図5)は、記録層Y1〜Y3において常にそれぞれ所定の反射率で光ビームLを反射すると共にその残りを透過し、記録層Y1を透過した光ビームL1を記録層Y0において反射するようになされている。
このため光ビームL1は、光ディスク装置10により例えば記録層Y0が対象記録層YTとして選定されていたとしても、常に他の記録層Y1〜Y3によってもそれぞれ反射されることになる。このように、他の記録層Y1〜Y3により光ビームL1の一部が反射されてなる光ビームを層間迷光ビームLNと呼ぶ。
層間迷光ビームLNは、反射光ビームLRと同様の光路を通り、ホログラム素子27により回折された上で、最終的に光検出器29に照射される。
しかしながら層間迷光ビームLNは、反射光ビームLRと比較して、対物レンズ18から光ビームL1として出射されてから再び対物レンズ18へ入射されるまでの光路長が相違する。このため層間迷光ビームLNは、対物レンズ18へ入射される際の収束状態(発散状態)が反射光ビームLRと相違する。
一方、光ピックアップ17では、反射光ビームLRについて、光検出器29が対象記録層YTの共焦点となるように各種光学部品の配置や光学特性等が定められている。
このため層間迷光ビームLNは、ホログラム素子27により反射光ビームLRと同様の分割パターンに分割され、且つ焦点が外れた状態、いわゆるデフォーカスした状態で光検出器29に照射される。
また光ディスク100は、他の記録層Yを複数(この場合は3層)有している。このため層間迷光ビームLNは、反射された記録層Y(すなわち記録層Y1〜Y3)に応じて、反射光ビームLRとの光路長差も相違し、光検出器29上に照射されたときのデフォーカスの状態が相違することになる。
すなわち光検出器29では、層間迷光ビームLNを生じた記録層Yと対象記録層YTとの層間隔により、当該層間迷光ビームLNの照射パターン(以下これを迷光パターンWと呼ぶ)が相違する。
以下では、対象記録層YTと層間迷光ビームLNを生じた記録層Yとの層間隔が広い場合及び狭い場合のそれぞれについて、迷光パターンWが照射される様子を説明する。
[1−3−1.層間隔が広い場合]
ここでは、まず光ディスク100における最も奥側の記録層Y0が対象記録層YTとして選定され、光ビームL1の焦点F1が当該記録層Y0に合焦している場合を想定する(図5(A))。
この場合、最も手前側の記録層Y3により光ビームL1が反射されてなる層間迷光ビームLN(以下これを層間迷光ビームLN3と呼ぶ)は、光検出器29上において、図10に示すような迷光パターン群W3を形成する。
この迷光パターン群W3は、ホログラム素子27により0次光の迷光パターンWAが形成されている。また迷光パターン群W3は、ホログラム素子27の領域27E、27F、27G1、27G2、27H1及び27H2により1次光の迷光パターンWE、WF、WG1、WG2、WH1及びWH2がそれぞれ形成されている。
迷光パターンWEは、迷光パターンWAと同等の半径でなりスポットTEの照射位置を中心とした仮想的な迷光パターンVWE(図中一点鎖線で示す)のうち、ホログラム素子27の領域27Eに対応する部分となっている。他の迷光パターンWF、WG1、WG2、WH1及びWH2についても同様である。
ここで記録層Y3(図5(A))は、対象記録層YTである記録層Y0から最も離隔した記録層Yである。すなわち各記録層Yによる層間迷光ビームLNと反射光ビームLRとの光路長差は、層間迷光ビームLN3についての光路長差が最長となる。
このため迷光パターン群W3は、各層間迷光ビームLNによりそれぞれ形成される迷光パターン群Wのうち、最も拡大されたものとなる。
そこで光検出器29の受光部DE、DF、DG及びDHは、この迷光パターン群W3に関し、迷光パターンWA、WE、WF、WG1、WG2、WH1及びWH2のいずれにもかからないように大きさや配置等が定められている。
次に、図5(A)と対応する図5(B)に示すように、光ディスク100における最も手前側の記録層Y3が対象記録層YTとして選定され、光ビームL1の焦点F1が当該記録層Y3に合焦している場合を想定する。
この場合、最も奥側の記録層Y0により光ビームL1が反射されてなる層間迷光ビームLN(以下これを層間迷光ビームLN0と呼ぶ)は、光検出器29上において、図10と対応する図11に示すような迷光パターン群W0を形成する。
この迷光パターン群W0は、迷光パターン群W3の場合と同様、ホログラム素子27により0次光の迷光パターンWAが形成されている。また迷光パターン群W0は、ホログラム素子27の領域27E、27F、27G1、27G2、27H1及び27H2により1次光の迷光パターンWE、WF、WG1、WG2、WH1及びWH2がそれぞれ形成されている。
このとき層間迷光ビームLN0の光路長は、反射光ビームLRの光路長よりも延長されている。このため層間迷光ビームLN0は、集光レンズ26により集光されると、反射光ビームLRよりも手前で、すなわち光検出器29に到達する前に一度焦点を結び、その後発散光となる。このとき層間迷光ビームLN0の像(すなわち断面の形状)は、光軸を中心に180度回転する。
このため、例えば迷光パターン群W0(図11)における迷光パターンWEは、迷光パターン群W3(図10)の迷光パターンWEと比較して、スポットTEの照射位置を中心に180度回転されたような状態で形成されている。他の迷光パターンWF、WG1、WG2、WH1及びWH2についても同様である。
因みに、迷光パターン群W3及び迷光パターン群W0に関して、迷光パターンWAは円形状であるため、また迷光パターンWJは長方形状であるために、いずれも180度回転されても同等の形状となる。
このように迷光パターン群W0(図11)は、迷光パターンWE、WF、WG1、WG2、WH1及びWH2の形成位置及び方向が迷光パターン群W3(図10)と相違している。
すなわち層間迷光ビームLNは、反射光ビームLRとの光路長差が同等であっても、当該反射光ビームLRよりも光路長が延長されているか或いは短縮されているかにより、光検出器29上に照射されたときに形成する迷光パターンの形状が相違することになる。
そこで光検出器29の受光部DE、DF、DG及びDHは、迷光パターン群W3に加えて迷光パターン群W0についても、迷光パターンWA、WE、WF、WG1、WG2、WH1及びWH2のいずれにもかからないよう配置されている。
ここでは、光検出器29において受光部DE及びDFが迷光パターンWE及びWFをいずれも回避するための具体的な回避条件について検討する。
まず、ホログラム素子27(図7)における、領域27H1及び27H2の境界線と、領域27F及び27Jの境界線との間隔をd1とし、反射光ビームLRの半径をr1とする。また光検出器29(図10)における、受光部DE及びDFの間隔(すなわち受光領域RE及びRFの間隔又はスポットTE及びTFの間隔)をd2とし、迷光パターンWAの半径をr2とする。
次に、ホログラム素子27における反射光ビームLRの半径r1と光検出器29における迷光パターンWAの半径r2が同等であったと仮定する。このときの回避条件は、「間隔d2が半径r1及び間隔d1の加算値よりも大きいこと」となる。
実際上、半径r1及び半径r2は、光ピックアップ17の光学的設計等により、互いに相違する。そこで上述した回避条件に半径r1及び半径r2の比率を反映させると、次に示す(1)式のように表すことができる。
この(1)式を変形すると、次に示す(2)式が得られる。
そこで光検出器29は、受光部DE及びDFの間隔d2について、この(2)式を満たすように設計されている。
[1−3−2.層間隔が狭い場合]
次に、再び光ディスク100における記録層Y0が対象記録層YTとして選定され、光ビームL1の焦点F1が当該記録層Y0に合焦している場合(図5(A))を想定する。
この場合、当該記録層Y0に近い、すなわち層間隔が狭い記録層Y1により光ビームL1が反射されてなる層間迷光ビームLN(以下これを層間迷光ビームLN1と呼ぶ)は、光検出器29上において、図10と対応する図12に示すような迷光パターン群W1を形成する。
この迷光パターン群W1は、迷光パターン群W3の場合と同様、ホログラム素子27により0次光の迷光パターンWAが形成されている。また迷光パターン群W1は、ホログラム素子27の領域27E、27F、27G1、27G2、27H1及び27H2により1次光の迷光パターンWE、WF、WG1、WG2、WH1及びWH2がそれぞれ形成されている。
ここで、光ディスク100の記録層Y1で反射された層間迷光ビームLN1と反射光ビームLRとの光路長差は、記録層Y3で反射された層間迷光ビームLN3と当該反射光ビームLRとの光路長差よりも短くなる。
このため、迷光パターン群W1の各迷光パターンWは、迷光パターン群W3(図10)の各迷光パターンWを、対応するスポットTを中心に縮小したような形状となっている。
これに伴い、迷光パターン群W1の迷光パターンWE、WF、WG1、WG2、WH1及びWH2は、それぞれ検出部DE、DF、DG及びDHにそれぞれ近接している。
ここで記録層Y1(図5(A))は、対象記録層YTである記録層Y0に最も近接した記録層Yである。すなわち各記録層Yによる層間迷光ビームLNと反射光ビームLRとの光路長差は、層間迷光ビームLN1についての光路長差が最短となる。
このため迷光パターン群W1は、各層間迷光ビームLNによりそれぞれ形成される迷光パターン群Wのうち、最も縮小されたものとなる。
そこで光検出器29の受光部DE、DF、DG及びDHは、この迷光パターン群W1に関しても、迷光パターンWA、WE、WF、WG1、WG2、WH1及びWH2のいずれにもかからないよう大きさや配置等が定められている。
このように光検出器29は、受光部DE、DF、DG及びDHについて、各迷光パターン群Wにおける各迷光パターンのいずれにもかからないよう大きさや配置等が定められている。
[1−3−3.他の記録層のトラックに起因した迷光の影響]
ところで光ディスク100(図5(A)及び(B))では、上述したように、目標記録層YTと異なる他の記録層Yにより光ビームL1の一部が反射され層間迷光ビームLNとなる。
これに加えて光ディスク100では、他の記録層Yに形成されているトラックの溝構造に起因して光ビームL1の一部が反射及び回折されることにより、+1次及び−1次の回折光でなる他層回折迷光ビームLMが発生する。
この他層回折迷光LMは、光検出器29に到達した際、図13に示すように、スポットTE及びTFの照射位置をそれぞれ中心として、略楕円状若しくはレモン型の他層回折迷光パターンWME及びWMFをそれぞれ形成する。
ここで光検出器29では、上述したように受光部DE及びDFがある程度離隔して配置されている。このため光検出器29では、スポットTEの照射位置を中心とした他層回折迷光パターンWMEについては、検出領域REにはかかるものの検出領域RFにはかからない。これと反対にスポットTFの照射位置を中心とした他層回折迷光パターンWMFについては、検出領域RFにはかかるものの検出領域REにはかからない。
このように光検出器29では、他層回折迷光ビームLMに起因した他層回折迷光パターンWME及び他層回折迷光パターンWMFを互いに分離することができるので、当該他層回折迷光パターンWME及びWMFが重なることがない。
[1−4.フォーカス制御及びトラッキング制御]
光ディスク装置10のヘッドアンプ32(図6)は、受光信号SA、SB、SC及びSD、SE及びSF、SG及びSH、並びにSJA、SJB、SJC及びSJDをそれぞれ増幅し、信号処理部13へ供給する。
またヘッドアンプ32は、迷光受光信号SEN、SFN、SGN及びSHNについてもそれぞれ増幅し、信号処理部13へ供給するようになされている。
信号処理部13は、フォーカスエラー信号演算回路13Fによって次の(3)式に従った演算を行うことにより、非点収差法によるフォーカスエラー信号SFEを算出し、これをサーボ制御部12Aのフォーカス制御部12AFへ供給する。
このフォーカスエラー信号SFEは、光ディスク100において、光ビームL1の焦点F1と対象記録層YTとのずれ量を表すことになる。
サーボ制御部12Aのフォーカス制御部12AF(図6)は、フォーカスエラー信号SFEを基にフォーカス駆動信号SFDを生成し、これをフォーカスアクチュエータ19Fへ供給する。フォーカスアクチュエータ19Fは、フォーカス駆動信号SFDに基づき対物レンズ18をフォーカス方向へ駆動する、いわゆるフォーカス制御を行う。
光ディスク装置10は、このフォーカス制御を繰り返し行う(すなわちフィードバック制御を行う)ことにより、光ビームL1の焦点F1と対象記録層YTとのフォーカス方向に関するずれ量を任意の目標値に収束させていく。
また信号処理部13は、光ビームL1の焦点F1と対象記録層YTにおける所望のトラックとのずれ量を表すトラッキングエラー信号の生成については、1ビームプッシュプル法を用いるようになされている。この1ビームプッシュプル法では、基本的に、反射光ビームLRのうち図1に斜線で示したプッシュプル成分の差分値を算出するようになされている。
ところで光ディスク装置10では、対物レンズ18により集光する光ビームL1の焦点F1を光ディスク100における所望のトラックに追従させるようになされている。ここで当該トラックが偏心等している場合、光ディスク装置10は、焦点F1を当該トラックに追従させるべく、光ピックアップ17の対物レンズ18を半径方向に移動させる、いわゆるレンズシフトを行う。
このレンズシフトが生じた場合、図1の斜線部分に対応するスポットTE及びTF(図9)は、当該レンズシフトにより光量が変化することになる。
信号処理部13は、このレンズシフトに対応すべく、トラッキングエラー信号演算回路13Tによって次の(4)式に従った演算を行うことにより、トラッキングエラー信号STE1を算出することができる。
この(4)式において、前半の項にはプッシュプル成分及びレンズシフト成分が含まれており、後半の項にはレンズシフト成分のみが含まれる。係数Ktは、光ピックアップ17においてレンズシフトが生じた際に、前半の項に含まれるレンズシフト成分を相殺し得るよう適宜定められた係数である。
ところで対物レンズ18のレンズシフトが生じた場合、光検出器29に形成される迷光パターン群W1は、図12と対応する図15に示すように、例えば迷光パターンWFが内周側に延長され検出部DFにかかってしまう場合がある。
このとき受光領域RFは、スポットTF及び迷光パターンWFの双方が加算された光量を検出してしまい、トラッキングエラー信号STEの算出に必要なスポットTFの光量のみを検出することができない。
ここで迷光パターンWFにおける内周側の辺は、縦方向とほぼ平行な直線状となっている。このため、受光領域RFに照射される迷光パターンWFの光量は、受光領域RFN1及びRFN2に照射される迷光パターンWFの光量と、常にほぼ一定の比率を保つことになる。
そこで光ディスク装置10は、受光領域RFN1及びRFN2の光量を用いて受光領域RFに照射される迷光パターンWFの光量を相殺すれば、スポットTFの光量を算出することができる。
また光ディスク装置10は、受光領域REについても同様に、受光領域REN1及びREN2の光量を用いて受光領域REに照射される迷光パターンWEの光量を相殺すれば、スポットTEの光量を算出することができる。
すなわち光ディスク装置10の信号処理部13は、上述した(4)式に代えて次に示す(5)式に従って演算することにより、検出領域RE及びRFにおける迷光パターンの影響を排除したトラッキングエラー信号STE2を算出することができる。
ここで係数Kppは、当該係数Kppに合わせて最適な係数Ktを定める場合に、光ディスク100における各記録層Yの反射率が変化したときに係数Ktの変動幅が最も小さくなるように定められた値となっている。
サーボ制御部12Aのトラッキング制御部12AT(図6)は、トラッキングエラー信号STE2を基に、トラッキング駆動信号STDを生成し、これをトラッキングアクチュエータ19Tへ供給する。トラッキングアクチュエータ19Tは、トラッキング駆動信号STDに基づき対物レンズ18をトラッキング方向へ駆動する、いわゆるトラッキング制御を行う。
光ディスク装置10は、このトラッキング制御についても繰り返し行う(すなわちフィードバック制御を行う)ことにより、光ビームL1の焦点F1と対象記録層YTにおける所望のトラックとのトラッキング方向に関するずれ量を任意の目標値に収束させていく。
かくして光ディスク装置10は、フォーカス制御及びトラッキング制御を行うことにより、光ビームL1の焦点F1を対象記録層YTにおける所望のトラックに合わせるようになされている。
また光ディスク装置10は、信号処理部13の再生信号演算回路13Rにおいて、次の(6)式に従って受光信号SA〜SDを加算することにより再生RF信号SRFを算出するようになされている。
この再生RF信号SRFは、0次光でなる反射光ビームLR0全体の光量に相当すると共に、光ディスク100に記録された信号を表している。その後再生信号演算回路13Rは、再生RF信号SRFに対し所定の復調処理や復号化処理等を施すことにより、光ディスク100に記録されている情報を再生するようになされている。
[1−5.取付位置の調整]
さらに光ピックアップ17では、ホログラム素子27及び光検出器29等の取付位置を調整する際、受光部DA及びDJにおける検出結果を用いるようになされている。
すなわち光ピックアップ17は、その組立工程等において、調整用の光ディスクが装填された上で、統括制御部11の制御に基づき、光ビームL1を当該調整用の光ディスクへ照射する。
これに応じて光検出器29の受光部DAには、0次光でなる反射光ビームLR0が非点収差を持った状態で照射される。
この組立工程において、光検出器29は、まず反射光ビームLR0の光軸に沿った方向に関する取付位置及び当該光軸に直交する平面における取付位置が微調整される。このとき光検出器29は、フォーカスエラー信号SFEが値「0」となり、受光信号SA及びSBの和と受光信号SC及びSDの和とがほぼ同等の信号レベルとなり、さらに受光信号SA及びSDの和と受光信号SB及びSCの和がほぼ同等となるように調整される。これにより光検出器29は、反射光ビームLR0の光軸に沿った方向に関する取付位置が最適化され、また縦方向及び横方向に関する取付位置も最適化される。
また光検出器29は、受光部DJにより生成される受光信号SJA及びSJBの和と受光信号SJC及びSJDの和がほぼ同等の信号レベルになるよう、基準点P2を中心とした取付角度が調整される。これにより光検出器29は、基準点P2を中心とした回転方向に関する取付角度についても最適化される。
さらにホログラム素子27は、受光部DJにより生成される受光信号SJA及びSJDの和と受光信号SJB及びSJCの和とがほぼ同等の信号レベルになるよう、反射光ビームLR0の光軸に沿った方向に関する位置が調整される。これによりホログラム素子27は、基準点P2からの反射光ビームLR1Jの距離、並びに反射光ビームLR1E、LR1F、LR1G及びLR1Hまでの距離が最適化された状態となる。
[1−6.動作及び効果]
以上の構成において、光ディスク装置10の光ピックアップ17は、光ビームL1を光ディスク100へ照射し、当該光ディスク100により反射されてなる反射光ビームLRをホログラム素子27により分割すると共に分離する。
すなわちホログラム素子27は、0次光でなる反射光ビームLR0をほぼ直進させると共に、領域27E〜27J(図7(A))の回折作用により、1次光でなる反射光ビームLR1E〜LR1Jに分離する。
このときホログラム素子27は、プッシュプル成分、レンズシフト成分及び迷光成分を含む反射光ビームLR1E及びLR1Fを縦方向の内周側及び外周側へそれぞれ回折させる。またホログラム素子27は、レンズシフト成分及び迷光成分を含む反射光ビームLR1G及びLR1Hをそれぞれ横方向へ回折させ、さらに反射光ビームLR1Jを斜め方向へ回折させる。
これに応じて光検出器29は、受光部DAの受光領域RA〜RDにより反射光ビームLR0を受光し、受光信号SA〜SDを生成する。また光検出器29は、受光部DEの受光領域RE及び受光部DFの受光領域RFにより反射光ビームLR1E及びLR1Fをそれぞれ受光し、受光信号SE及びSFを生成する。さらに光検出器29は、受光部DGの受光領域RG及び受光部DHの受光領域RHにより反射光ビームLR1G及びLR1Hをそれぞれ受光し、受光信号SG及びSHを生成する。
さらに光検出器29は、受光部DEの迷光受光領域REN1及びREN2により迷光を受光して受光信号SENを生成し、受光部DFの迷光受光領域RFN1及びRFN2により迷光を受光して受光信号SFNを生成する。また光検出器29は、受光部DGの迷光受光領域RGN1及びRGN2により迷光を受光して受光信号SGNを生成し、受光部DHの迷光受光領域RHN1及びRHN2により迷光を受光して受光信号SHNを生成する。
信号処理部13は、フォーカスエラー信号演算回路13Fにより(3)式に従ってフォーカスエラー信号SFEを算出する。サーボ制御部12Aのフォーカス制御部12AFは、当該フォーカスエラー信号SFEを基にフォーカス制御を行う。
また信号処理部13は、トラッキングエラー信号演算回路13Tにより(5)式に従ってトラッキングエラー信号STE2を算出する。サーボ制御部12Aのトラッキング制御部12ATは、当該トラッキングエラー信号STE2を基にトラッキング制御を行う。
さらに信号処理部13は、再生信号演算回路13Rにより(6)式に従って再生RF信号SRFを生成し、これを基に光ディスク100に記録されている情報を再生する。
ここで、1ビームプッシュプル法では、一般に、再生RF信号SRFの信号レベルを高めるべく、ホログラム素子27の回折作用により0次光でなる反射光ビームLR0の光強度を1次光でなる反射光ビームLR1の光強度よりも高めるようになされている。
これに伴い光検出器29では、1次光でなる反射光ビームLR1E、LR1F、LR1G及びLR1Hの照射強度が相対的に弱くなり、受光信号SE等のS/N(Signal/Noise)比等も比較的低くなってしまう。
このため光ディスク装置10では、光検出器29において1次光を受光するための受光領域DE、DF、DG及びDHに迷光パターンWがかかった場合、トラッキングエラー信号STE1のリニアリティが低下する等、精度が大幅に低下してしまうおそれがあった。
これに対しホログラム素子27は、プッシュプル成分を多く含む反射光ビームLR1E及びLR1Fと、レンズシフト成分を多く含む反射光ビームLR1G及びLR1Hとを、互いに異なる方向へ回折させている。
これにより光検出器29では、領域27E及び27Fによる迷光パターンWE及びWFが受光部DG及びDH照射されることを回避できると共に、領域27G及び27Hによる迷光パターンWG及びWHが受光部DE及びDFに照射されることも回避できる。
このため光検出器29では、受光部DE及びDFについては、0次光並びに領域27E及び27Fに起因した迷光パターンWを回避するよう設計すれば良い。また光検出器29では、受光部DG及びDHについては、0次光並びに領域27G及び27Hに起因した迷光パターンWを回避するよう設計すれば良いため、設計上の難易度を緩和することができる。
かくして光検出器29は、光ディスク100における対象記録層YTの奥又は手前にあり層間距離が相違する複数の記録層Yに起因した種々の迷光パターンWを効果的に回避し得るよう、受光部DE、DF、DG及びDHを配置することができる。
実際上、光検出器29は、レンズシフトが生じなかった場合には、図10〜図12に示したように、受光部DE、DF、DG及びDHに対する層間迷光の照射を回避することができる。
このため光ディスク装置10では、レンズシフトが生じていない場合、受光部DE、DF、DG及びDHに迷光パターンWがかかることなく、品質の良好なトラッキングエラー信号を生成することができる。
ところで、光検出器29では、光ディスク100におけるトラック溝の偏心等に起因して対物レンズ18のレンズシフトが生じた場合、図15に示したように、層間距離が短い記録層Yに起因した迷光パターンWが受光領域RE又はRFにかかる場合がある。
特に、図3に示したように、受光領域RE及びRFを隣接配置した場合、迷光パターンWF又はWEが受光領域RE又はRFに中途半端に照射され、迷光受光領域における受光量からは受光領域RE又はRFにおける迷光成分を相殺できないおそれがあった。
これに対し光検出器29では、(2)式を満たすように受光部DE及び受光部DFを分離配置した(図9)。このため光検出器29の受光領域REは、対物レンズ18のレンズシフトが生じた場合等に、迷光パターンWEは照射され得るものの、迷光パターンWFは照射を回避することができる(図14)。また受光領域RFも、同様に迷光パターンWEの照射を回避することができる。
このとき光検出器29は、受光領域REに迷光が照射されており受光信号SEに迷光成分が含まれていたとしても、迷光パターンWFの影響を受けることなく、当該迷光成分に応じた光量を迷光受光領域REN1及びREN2により検出することができる。
これと同様に光検出器29は、受光領域RFに迷光が照射されており受光信号SFに迷光成分が含まれていたとしても、迷光パターンWEの影響を受けることなく、当該迷光成分に応じた光量を迷光受光領域RFN1及びRFN2により検出することができる。
このため光ディスク装置10では、(5)式の演算を行うことにより、受光領域RE及びRFにより生成した受光信号SE及びSFから、迷光成分を確実に相殺することができる。
また光検出器29では、受光部DEにおいて、受光領域REを縦方向から挟むように2つの迷光受光領域REN1及びREN2を設けている。
このため光検出器29は、反射光ビームLR0が垂直に入射されない場合や当該光検出器29及びホログラム素子27等の取付位置・角度等がずれている場合でも、受光領域REに照射される迷光パターンWEの光量に応じた受光信号SENを生成できる。迷光受光領域RFN1及びRFN2についても同様に受光信号SFNを生成できる。
また、図3と対応する図16に示すように、受光領域RE及びRFを隣接配置した場合には、他層回折迷光パターンWME及びWMFが重なり、さらにスポットTE又はTFが重なることにより、複雑な干渉縞が形成されるおそれがあった。
特にこの場合、光ディスク100の面ブレやレンズシフト等の要因により、当該干渉縞の状態が変化してトラッキングエラー信号の品質を大幅に低下させるおそれがあり、しかも当該トラッキングエラー信号から当該干渉縞の影響を排除することは困難であった。
またこの構成では、0次光の光軸が光検出器に対し垂直に入射しない場合やホログラム素子及び光検出器の取付位置・角度等に誤差がある場合等にレンズシフトが生じると、他層回折迷光パターンWME及びWMFがアンバランスに照射されるおそれもあった。このとき、トラッキングエラー信号にオフセットが生じてしまい、トラッキング制御の精度を低下させるおそれがあった。
この点において光検出器29では、受光領域RE及びRFを互いに離隔して配置したことにより、他層回折迷光ビームLMに起因した他層回折迷光パターンWME及びWMFを重ねることなく互いに分離することができる(図13)。
このため光検出器29では、受光領域RE及びRFにおける干渉縞の形成を排除することができ、当該干渉縞の変動等に応じて受光信号SE及びSFに含まれるノイズ成分を大幅に低減することができる。
かくして光ディスク装置10は、受光領域RE及びRFを分離配置した光検出器29により生成した受光信号Sに基づき(5)式に従った演算処理を行うことにより、迷光の影響を殆ど排除した高精度なトラッキングエラー信号STE2を算出することができる。
さらに光ピックアップ17は、集光レンズ26及びホログラム素子27の設計により、光検出器29の受光部DE、DF、DG及びDHへ照射される反射光ビームLR1E等を比較的小さなビームスポットとするよう集光している。
このため光ピックアップ17は、光検出器29における各受光領域の面積を小さく抑えることができると共に、対物レンズ18のレンズシフトが生じた際の各ビームスポットの移動量も小さく抑えることができる。
このとき光ピックアップ17は、迷光パターンWについても極力小さく集光することになるため、当該迷光パターンWの照射範囲をできるだけ狭めることができる。
さらに光ピックアップ17は、その組立工程等において、受光部DA及びDJにおける検出結果を用いて、ホログラム素子27及び光検出器29等の取付位置や取付角度等が調整される。
これにより光ディスク装置10において、反射光ビームLR等に種々の摂動が生じた際に、各反射光ビームLR1E〜LR1Jがそれぞれ受光領域RE〜RG及びRJA〜RJDからはみ出してしまうことを防止できる。これに伴い光ディスク装置10は、トラッキングエラー信号STE2等の各種信号にオフセット成分が含まれ、或いは信号レベルが低下するといった問題の発生を未然に防ぐことができる。
以上の構成によれば、光ディスク装置10の光ピックアップ17は、反射光ビームLRをホログラム素子27により回折させる。ホログラム素子27は、プッシュプル成分及びレンズシフト成分を含む反射光ビームLR1E及びLR1Fを縦方向の内周側及び外周側へ分離して進行させ、レンズシフト成分を含む反射光ビームLR1G及びLR1Hをそれぞれ横方向へ進行させる。光検出器29は、横方向に距離d2だけ離隔された受光領域RE及びRF、受光領域RG及びRH、並びに当該受光領域RE、RF、RG及びRHにそれぞれ隣接して配置された迷光受光領域により受光信号Sを生成する。光ディスク装置10は、受光信号Sを用い(5)式に従ってトラッキングエラー信号STE2を算出することにより、迷光パターンW及びレンズシフトの影響を排除でき、高精度なトラッキング制御を行うことができる。
<2.第2の実施の形態>
[2−1.光ディスク装置及び光ピックアップの構成]
第2の実施の形態による光ディスク装置50は、第1の実施の形態による光ディスク10(図4)と比較して、信号処理部13に代えて信号処理部53が設けられている点が異なっているものの、他は同様に構成されている。
信号処理部53は、第1の実施の形態による信号処理部13と比較して、トラッキングエラー信号演算回路13Tに代わるトラッキングエラー信号演算回路53Tが設けられている点が相違するものの、他は同様に構成されている。
[2−2.迷光の照射及びトラッキングエラー信号の生成]
第2の実施の形態では、光ディスク100(図5)における記録層Y同士の層間隔が極めて狭いものとする。
ここで、例えば光ディスク100における記録層Y0が対象記録層YTとして選定され、光ビームL1の焦点F1が当該記録層Y0に合焦している場合を想定する(図5(A))。
この場合、当該記録層Y0に近い記録層Y1による層間迷光ビームLN1は、光検出器29上において、図12と対応する図17に示すような迷光パターン群W1を形成する。
図17において、迷光パターン群W1の迷光パターンWE及びWFは、それぞれ受光部DE及び受光部DFにかかっている。このとき受光信号SE及びSFには、それぞれ迷光パターンWE及びWFの成分が含まれており、迷光受光領域REN1及びREN2並びにRFN1及びRFN2により生成される受光信号SEN及びSFNには、それぞれ迷光パターンWE及びWFの成分が含まれている。
このとき信号処理部53は、(5)式によりトラッキングエラー信号STE2を算出すれば、第1の実施の形態と同様に、迷光パターンWE及びWFの影響を排除することができる。
次に、対物レンズ18のレンズシフトが生じ、図14に示したように、ホログラム素子27に対する反射光ビームLR0の照射位置が横方向に移動した場合を想定する。
このとき光検出器29では、図17と対応する図18に示すように、迷光パターンWEが外周方向へ短縮されると共に、迷光パターンWFが内周方向へ延長される。
ここで、光ディスク100における対象記録層YTと層間迷光ビームLNを発生した記録層Yとの層間隔を迷光層間隔dn(図5)とする。また、(5)式における(SF−SE)の項(以下、これを第1項と呼ぶ)に含まれる迷光成分をプッシュプル迷光成分SNppと呼ぶ。
光ピックアップ57においてレンズシフトが生じたときの迷光層間隔dnに対するプッシュプル迷光成分SNppの関係は、図19(A)における特性曲線Q1のようになる。
この特性曲線Q1によれば、迷光層間隔dnが比較的大きい場合(dn>dn2)、プッシュプル迷光成分SNppは値「0」となる。これは、第1の実施の形態において上述した図10、図12及び図13のように、受光領域RE及びRFのいずれにも迷光パターンWが全くかかっていない状態に相当する。
また特性曲線Q1によれば、迷光層間隔dnが狭くなるに連れて、すなわちdn1<dn<dn2のとき、プッシュプル迷光成分SNppの値は徐々に増加する。
ここで、(5)式における(SFN−SEN)の項(以下、これを第2項と呼ぶ)について、迷光層間隔dnとの関係は、図19(A)における特性曲線Q2のようになる。これは、図15に示したように、レンズシフトにより受光領域RE又はRFに迷光パターンWE又はWFがかかっている状態に相当する。
この特性曲線Q2によれば、迷光層間隔dnが(dn1<dn<dn2)の範囲にあるとき、特性曲線Q1とQ2とはほぼ比例関係にあるといえる。これは(5)式に示したように、第2項に係数Kppを乗じた値を第1項から差し引くことにより、当該第1項に含まれるプッシュプル迷光成分SNppを相殺し得ることを意味している。
さらに特性曲線Q1によれば、迷光層間隔dnがさらに狭くなるに連れて、すなわちdn<dn1のとき、プッシュプル迷光成分SNppの値は急激に増加する。しかしながら特性曲線Q2では、(SFN−SEN)の値は徐々にしか増加せず、比例関係にはない。このことは、dn<dn1のとき、(5)式によってはプッシュプル迷光成分SNppを相殺できないことを意味している。
ここで光検出器29の迷光受光領域RGN1、RGN2、RHN1及びRHN2に着目すると、図17及び18において、迷光パターンWG1、WG2、WH1及びWH2がそれぞれかかった状態となっている。
さらに図17及び図18を比較すると、レンズシフトが生じた図18の状態では、迷光パターンWG1及びWG2がそれぞれ外周方向へ短縮されると共に、迷光パターンWH1及びWH2がそれぞれ内周方向へ延長されている。このため図18の場合、図17の場合と比較して、受光信号SGNの値は減少し、受光信号SHNの値は増加することになる。
このようなレンズシフトによる迷光パターンWの形状の変化は、図14に示したように、ホログラム素子27に対する反射光ビームLRの照射位置が移動したことに起因している。
かかる点を考慮すると、レンズシフトに伴う受光領域RFにおける迷光成分の増加分と、迷光受光領域RHN1及びRHN2による迷光受光量の増加分、すなわち受光信号SHNの増加分との間には、何らかの相関関係があるものと推察される。これと同様に、レンズシフトに伴う受光領域REにおける迷光成分の減少分と、迷光受光領域RGN1及びRGN2による受光量の減少分、すなわち受光信号SGNの減少分との間には、何らかの相関関係があるものと推察される。
実際上、(SHN−SGN)の値について、(SFN−SEN)の場合と同様に迷光層間隔dnとの関係を表すと、図19の特性曲線Q3のようになる。
この特性曲線Q3は、迷光層間隔dnが比較的広いとき、すなわちdn>dn1のとき、ほぼ値「0」となっている。このことは、図10、図11及び図12のように迷光層間隔dnが比較的広い場合には、迷光受光領域RGN1、RGN2、RHN1及びRHN2のいずれにも迷光パターンWG1、WG2、WH1及びWH2がかかっていないことを表している。
一方、特性曲線Q3は、迷光層間隔dnが比較的狭いとき、すなわちdn≦dn1のとき、当該迷光層間隔dnが狭くなるに連れて(SHN−SGN)の値が急激に増加しており、特性曲線Q1とほぼ比例関係にあるといえる。
そこで信号処理部53のトラッキングエラー信号演算回路53Tは、上述した(5)式に代えて、次に示す(7)式に従ってトラッキングエラー信号STE3を算出するようになされている。
ここで係数Klsは、係数Kppの場合と同様、当該係数Kls及びKppに合わせて最適な係数Ktを定める場合に、光ディスク100における各記録層Yの反射率が変化したときに当該係数Ktの変動幅が最も小さくなるように定められた値となっている。
ここで、(7)式において(SFN−SEN)の項及び(SHN−SGN)の項により相殺した後のプッシュプル迷光成分SNppの値と迷光層間隔dnとの関係を、図19(A)と対応する図19(B)に特性曲線Q4として示す。なお図19(B)には、比較用に特性曲線Q1も示している。
図19(B)において、特性曲線Q4は、迷光層間隔dnの値に拘わらず、ほぼ全範囲に渡って光量の値がほぼ「0」となっている。このことから、(7)式において、(SFN−SEN)の項及び(SHN−SGN)の項により、(SF−SE)の項に含まれるプッシュプル迷光成分SNppが良好に相殺されていることが分かる。
このように信号処理部53は、迷光受光領域RGN1、RGN2、RHN1及びRHN2における受光結果をも利用した(7)式に従った演算を行うようになされている。これにより信号処理部53は、迷光層間隔dnが極めて狭く、且つレンズシフトが生じた場合にもプッシュプル迷光成分SNppを良好に相殺した高品質なトラッキングエラー信号STE3を生成することができる。
[2−3.動作及び効果]
以上の構成において、第2の実施の形態による光ディスク装置50の光ピックアップ57は、第1の実施の形態と同様、反射光ビームLRをホログラム素子27により分割すると共に分離する。
光検出器29は、受光領域RA、RB、RC及びRDにより受光信号SA、SB、SC及びSDをそれぞれ生成し、受光領域RE、RF、RG及びRHにより受光信号SE、SF、SG及びSHをそれぞれ生成する。また光検出器29は、各迷光受光領域によりそれぞれ迷光を受光して受光信号を生成する。
信号処理部53は、トラッキングエラー信号演算回路53Tにより(7)式に従ってトラッキングエラー信号STE3を算出し、これをトラッキング制御部12ATへ供給することによりトラッキング制御を行わせる。
このとき信号処理部53は、迷光受光領域RGN1、RGN2、RHN1及びRHN2における受光結果をも利用する。特に迷光受光領域RGN1、RGN2、RHN1及びRHN2は、迷光層間隔dnが狭いとき(dn<dn1のとき)に特性曲線Q3(図19(A))が特性曲線Q1とほぼ比例するように形状及び配置が定められている。
この結果光ディスク装置50では、特に迷光層間隔dnが狭くレンズシフトが生じた場合であっても、プッシュプル迷光成分SNppが殆ど相殺された高品質なトラッキングエラー信号STE3を基に、高精度なトラッキング制御を行うことができる。
また光検出器29では、受光部DGにおいて、受光領域RGを縦方向から挟むように2つの迷光受光領域RGN1及びRGN2を設けている。
このため光検出器29は、反射光ビームLR0が垂直に入射されない場合や当該光検出器29及びホログラム素子27等の取付位置・角度等がずれている場合でも、受光領域REに照射される迷光パターンWEの光量に応じた受光信号SGNを生成できる。迷光受光領域RHN1及びRHN2についても同様に受光信号SHNを生成できる。
また(7)式では、(5)式と比較して、(SHN−SGN)に所定の係数Klsを乗算して減算する項が追加された形となっている。このため信号処理部53のトラッキングエラー信号演算回路53Tでは、減算処理及び乗算処理といった極めて単純な演算処理が増加しただけであり、第1の実施の形態における信号処理部13の構成から敢えて処理能力の増強等を行う必要がない。
また光ディスク装置50は、その他の点について、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、光ディスク装置50の光ピックアップ57は、反射光ビームLRをホログラム素子27により回折させ、複数に分割すると共に分離する。光検出器29は、受光領域RE、RF、RG及びRHにより受光信号SE、SF、SG及びSHをそれぞれ生成する。また光検出器29は、迷光受光領域REN1、REN2、RFN1、RFN2、RGN1、RGN2、RHN1及びRHN2により、受光信号SEN、SFN、SGN及びSHNを生成する。信号処理部53は、(7)式により、受光信号SE及びSFに含まれるプッシュプル迷光成分SNppを、受光信号SEN及びSFNに加えて受光信号SGN及びSHNを利用して相殺したトラッキングエラー信号STE3を生成する。この結果光ディスク装置50では、迷光層間隔dnが狭い場合であっても、プッシュプル迷光成分SNppが殆ど相殺された高品質なトラッキングエラー信号STE3を基に、高精度なトラッキング制御を行うことができる。
<3.第3の実施の形態>
[3−1.光ディスク装置及び光ピックアップの構成]
第3の実施の形態による光ディスク装置70は、第1の実施の形態による光ディスク10(図4)と比較して、信号処理部13及び光ピックアップ17に代えて信号処理部73及び光ピックアップ77が設けられている点が異なっているものの、他は同様に構成されている。
信号処理部73は、第1の実施の形態による信号処理部13と比較して、再生信号演算回路13Rに代わる再生信号演算回路73Rが設けられている点が相違するものの、他は同様に構成されている(詳しくは後述する)。
光ピックアップ77は、第1の実施の形態による光ピックアップ17(図6)と比較して、ホログラム素子27及び光検出器29に代えてホログラム素子87及び光検出器89が設けられている点が異なっているものの、他は同様に構成されている。
光ピックアップ77のホログラム素子87(図7)は、第1の実施の形態によるホログラム素子27と比較して、同様の分割パターンにより、領域87E、87F、87G1、87G2、87H1、87H2及び87Jに分割されている。
領域87G1、87G2、87H1及び87H2については、それぞれ領域27G1、27G2、27H1及び27H2と同様の回折格子が形成されており、それぞれ反射光ビームLRの一部を回折させるようになされている。
一方領域87E及び87Fは、領域27E及び27Fと比較して形成されている回折格子の性質が相違しており、いわゆるブレーズドホログラムとなっている。このため領域87E及び87Fは、それぞれ反射光ビームLRのほぼ全てを1次光として回折させることにより反射光ビームLR1E及びLR1Fとするようになされている。
すなわちホログラム素子87は、領域87E及び87F以外の部分についてのみ0次光でなる反射光ビームLR0を生成するようになされている。
因みに領域87E及び87Fは、領域27E及び27Fと比較して、1次光の回折角度が比較的小さくなるように設計されている。
また領域87Jは、領域27Jと同様に反射光ビームLR0の一部を回折させるものの、シリンドリカルレンズ28により付与される非点収差を完全には相殺しない程度の収差を持たせるようになされている。
ここで、反射光ビームLRがホログラム素子87により分割され光検出器89に照射される様子を模式的に表すと、図8と対応する図20のようになる。
光検出器89は、図9と対応する図21に示すように、光検出器29と比較して、光検出部DE及びDFが縦方向に関し光検出部DAに近接して配置されている点が相違するものの、他は同様に構成されている。すなわち検出部DE及びDFの間隔d2は、(2)式を満たすように設計されている。
図21において、0次光でなる反射光ビームLR0が受光部DAに照射されてなるスポットTAは、ホログラム素子87における領域87E及び87Fに相当する部分、すなわちプッシュプル領域に相当する部分が欠落したような形状となっている。
また反射光ビームLR1Jが受光部DJに照射されてなるスポットTJは、第1の実施の形態(図9)と比較して、やや拡大された状態となっている。
受光領域RA、RB、RC及びRDは、それぞれ光強度に応じた受光信号SA、SB、SC及びSDを生成する。また受光領域RE、RF、RG、RH、RJA、RJB、RJC及びRJDは、それぞれ光強度に応じた受光信号SE、SF、SG、SH、SJA、SJB、SJC及びSJDを生成する。さらに各迷光受光領域は、それぞれの光強度に応じて受光信号を生成する。
このように第3の実施の形態による光ディスク装置70では、0次光でなる反射光ビームLR0においてプッシュプル領域が欠落しており、また受光部DJに形成されるスポットTJが比較的大きくなるようになされている。
[3−2.迷光の照射と受光部の配置]
光ディスク100における最も奥側の記録層Y0を対象記録層YTとした場合(図5(A))、層間迷光ビームLN3による迷光パターン群W3は、図10と対応する図22に示すように形成される。
光検出器89では、第1の実施の形態における光検出器29と同様、光検出部DE及びDFの間隔d2が(2)式を満たすように設計されている。このため受光領域RE及びRFは、対物レンズ18のレンズシフトが生じていない場合、迷光パターンWE及びWFのいずれにもかかることはない。
また受光領域RE及びRFは、対物レンズ18のレンズシフトが生じていない場合、迷光パターンWG1、WG2、WH1及びWH2のいずれにもかかることはない。
さらに光検出部DG及びDHは、光検出器29の場合と同様、対物レンズ18のレンズシフトが生じていない場合、迷光パターンWA、WE、WF、WG1、WG2、WH1及びWH2のいずれにもかかることはない。
一方光検出器89では、上述したように、光検出部DE及びDFが縦方向に関し光検出部DAに近接して配置されているため、迷光パターンWAが受光領域RE及びRFにかかっている。
[3−3.フォーカス制御及びトラッキング制御]
第3の実施の形態では、上述したように、0次光でなる反射光ビームLR0において、プッシュプル領域に相当する部分が欠落している。
フォーカスエラー信号演算回路13Fは、第1の実施の形態と同様、(3)式に従ってフォーカスエラー信号SFEを算出し、これをサーボ制御部12Aのフォーカス制御部12AFへ供給する。
ここで、反射光ビームLR0においてプッシュプル領域に相当する部分が欠落しているため、受光信号SA、SB、SC及びSDには、プッシュプル成分が殆ど含まれないことになる。このためフォーカスエラー信号SFEについても、プッシュプル成分が殆ど含まれないことになる。
またトラッキングエラー信号演算回路13Tは、第1の実施の形態と同様、(5)式に従ってトラッキングエラー信号STE2を算出し、これをサーボ制御部12Aのトラッキング制御部12ATへ供給する。
ここで受光信号SE及びSFには、いずれも迷光パターンWAに起因した成分が含まれることになる。
しかしながら、迷光パターンWA(図22)は、横方向に関し、仮想直線V1を対称軸としてほぼ対称な形状となっている。また受光部DE及びDFは、当該仮想直線V1を対称軸としてほぼ対称に配置されている。このため、受光信号SE及びSFに含まれる迷光パターンWAに起因した成分は、互いにほぼ同程度となる。
また(5)式では、受光信号SE及びSFの減算が行われる。このため(5)式に従ってトラッキングエラー信号STEを算出する場合、受光信号SE及びSFに含まれる迷光パターンWAに起因した成分は、相殺されることになり、当該トラッキングエラー信号STEに対して殆ど影響を与えることはない。
また再生信号演算回路73Rでは、(6)式に代えて、次に示す(8)式に従って再生RF信号SRFを算出する。
この(8)式では、0次光でなる反射光ビームLR0にプッシュプル成分が含まれないことから、当該プッシュプル成分を含めるべく、(6)式と比較して、当該プッシュプル成分に相当する受光信号SE及びSFが加算されている。
[3−4.取付位置の調整]
光ピックアップ77は、その組立工程等において、第1の実施の形態と同様に、受光部DA及びDJにおける検出結果が用いられ、ホログラム素子87及び光検出器89等の取付位置や取付角度等が調整されるようになされている。
すなわち光検出器89は、まず反射光ビームLR0の光軸に沿った方向に関する取付位置及び当該光軸に直交する平面における取付位置が微調整される。このとき光検出器89は、フォーカスエラー信号SFEが値「0」となり、受光信号SA及びSBの和と受光信号SC及びSDの和とがほぼ同等の信号レベルとなり、さらに受光信号SA及びSDの和と受光信号SB及びSCの和がほぼ同等となるように調整される。
また光検出器89は、受光部DJにより生成される受光信号SJA及びSJBの和と受光信号SJC及びSJDの和がほぼ同等の信号レベルになるよう、基準点P2を中心とした取付角度が調整される。
さらにホログラム素子87は、受光部DJにより生成される受光信号SJA及びSJDの和と受光信号SJB及びSJCの和とがほぼ同等の信号レベルになるよう、反射光ビームLR0の光軸に沿った方向に関する位置が調整される。
[3−5.動作及び効果]
以上の構成において、光ディスク装置70の光ピックアップ77は、第1の実施の形態と同様、光ビームL1を光ディスク100へ照射し、当該光ディスク100により反射されてなる反射光ビームLRをホログラム素子87により分割すると共に分離する。
すなわちホログラム素子87は、領域87E及び87F以外の部分について0次光でなる反射光ビームLR0をほぼ直進させると共に、領域87E〜87Jの回折作用により、1次光でなる反射光ビームLR1E〜LR1Jに分離する。
このときホログラム素子87は、反射光ビームLR1E及びLR1Fを縦方向の内周側及び外周側へそれぞれ回折させ、反射光ビームLR1G及びLR1Hをそれぞれ横方向へ回折させ、さらに反射光ビームLR1Jを斜め方向へ回折させる。
これに応じて光検出器89は、受光領域RA、RB、RC及びRDにより受光信号SA、SB、SC及びSDをそれぞれ生成し、受光領域RE、RF、RG及びRHにより受光信号SE、SF、SG及びSHをそれぞれ生成する。また光検出器89は、各迷光受光領域によりそれぞれ迷光を受光して受光信号を生成する。
信号処理部73は、フォーカスエラー信号演算回路13Fにより(3)式に従ってフォーカスエラー信号SFEを算出し、これをフォーカス制御部12AFへ供給することによりフォーカス制御を行わせる。
また信号処理部73は、トラッキングエラー信号演算回路13Tにより(5)式に従ってトラッキングエラー信号STE2を算出し、これをトラッキング制御部12ATへ供給することによりトラッキング制御を行わせる。
さらに信号処理部73は、再生信号演算回路73Rにより(8)式に従って再生RF信号SRFを生成し、これを基に光ディスク100に記録されている情報を再生する。
ここで光検出器89は、受光領域RE及びRFに対し、迷光パターンWAがかかっている。しかしながら受光信号SE及びSFは、それぞれに含まれる当該迷光パターンWAに起因した成分が互いにほぼ同等となる。
このため信号処理部73は、第1の実施の形態と同様、(5)式に従った演算を行うことにより、迷光パターンWAの成分が相殺されたトラッキングエラー信号STE2を算出することができる。
また光検出器89は、(2)式を満たすよう光検出部DE及びDFの間隔d2が設計されている。このため受光領域RE及びRFは、対物レンズ18のレンズシフトが生じていない場合、迷光パターンWE及びWFのいずれもがかからない。また受光領域RE及びRFは、対物レンズ18のレンズシフトが生じていない場合、第1の実施の形態と同様、迷光パターンWG1、WG2、WH1及びWH2のいずれもがかからない。
さらに受光領域RG及びRHは、対物レンズ18のレンズシフトが生じていない場合、第1の実施の形態と同様、迷光パターンWA、WE、WF、WG1、WG2、WH1及びWH2のいずれもがかからない。
このため信号処理部73は、(5)式に従った演算を行うことにより、レンズシフトが生じない場合には、迷光パターンWE、WF、WG1、WG2、WH1及びWH2の影響を受けることなく、トラッキングエラー信号STE2を算出することができる。
さらに迷光受光領域REN1及びREN2には、レンズシフト等により受光領域REに迷光パターンWEがかかる場合に、当該受光領域REに照射される迷光パターンWEの光量に対し一定の比率となる光量だけ、当該迷光パターンWEが照射される(図14)。迷光受光領域RFN1及びRFN2についても、同様に迷光パターンWFが照射され得る。
このため信号処理部73は、(5)式に従った演算を行うことにより、対物レンズ18のレンズシフトが生じた場合であっても、迷光パターンWE及びWFの成分が相殺されたトラッキングエラー信号STE2を算出することができる。
また0次光でなる反射光ビームLR0にはプッシュプル成分が含まれていないため、(3)式により算出されるフォーカスエラー信号SFEには、当該プッシュプル成分が殆ど含まれないことになる。
このことは、光検出器89の取付位置誤差がある場合や、反射光ビームLRにおける波面収差が大きい場合であっても、プッシュプル成分の漏れ込みによるフォーカスエラー信号SFEの品質劣化を防止できることを意味している。
このため信号処理部73は、レンズシフトによる影響を排除した、高品質なフォーカスエラー信号SFEを生成することができる。これに伴いフォーカス制御部12AFは、レンズシフトによる影響を排除した、極めて精度の高いフォーカス制御を行うことができる。
このときホログラム素子87の領域87E及び87Fでは、第1の実施の形態と比較して反射光ビームLR1E及びLR1Fの回折角度を小さくすることができる。これにより、領域87E及び87Fに形成する回折格子のピッチを広くすることができるので、その製造の難易度を下げることができる。
また領域87E及び87Fにブレーズドホログラムを用いる場合には、回折格子のピッチを広げることにより回折効率を向上させることも可能となるため、受光信号SE及びSFにおけるS/N(Signal/Noise)比を高めることができる。
さらに光検出器89は、光検出器29と比較して縦方向に関する長さを短縮することが可能となる。このため光ピックアップ77は、光ピックアップ17と比較して全体構成を小型化することも可能となる。
さらに光ピックアップ77は、その組立工程等において、受光部DA及びDJにおける検出結果を用いて、ホログラム素子87及び光検出器89等の取付位置や取付角度等が調整される。特に第3の実施の形態では、第1の実施の形態と比較して、スポットTJが拡大された状態となる(図22)。
スポットTJが集光されている場合、光検出器89等の取付位置や取付角度を僅かに調整したときに受光信号SJA〜SJDの値が全く変化しないか、或いは急激に大きく変化するといった「ピーキーな特性」となり、調整作業が極めて困難となるおそれがある。
これに対し、第3の実施の形態のようにスポットTJが拡大された場合、光検出器89等の取付位置や取付角度を僅かに調整したときに、受光信号SJA〜SJDの値が僅かずつ又はある程度大きく変化することになる。
これにより、調整作業等において、例えば「どちらへ動かせば最適な取付位置に近づくのか」といった判断が容易となる。この結果、光ピックアップ77の組立工程における調整作業を簡易化でき、所要時間の短縮を図ることができる。
また光ディスク装置70は、その他の点について、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、光ディスク装置70の光ピックアップ77は、反射光ビームLRをホログラム素子87により回折させる。ホログラム素子87は、プッシュプル成分が含まれない反射光ビームLR0を直進させ、反射光ビームLR1E及びLR1Fを縦方向の内周側及び外周側へ分離して進行させ、反射光ビームLR1G及びLR1Hをそれぞれ横方向へ進行させる。光検出器89は、横方向に距離d2だけ離隔された受光領域RE及びRF、受光領域RG及びRH、並びに当該受光領域RE、RF、RG及びRHにそれぞれ隣接して配置された迷光受光領域により受光信号Sを生成する。光ディスク装置70は、受光信号Sを用い(5)式に従ってトラッキングエラー信号STE2を算出することにより、迷光パターンW及びレンズシフトの影響を排除でき、高精度なトラッキング制御を行うことができる。
<4.他の実施の形態>
なお上述した第1の実施の形態においては、検出部DE及びDFを、仮想的な直線V1を対称中心線としてほぼ対称な位置に配置するようにした場合について述べた。
本発明はこれに限らず、当該対称な位置からずれた任意の位置としても良い。この場合、ホログラム素子27の領域27E及び27Fにおける回折方向を相違させ、且つ検出部DE及びDFの間隔d2が(2)式を満たせば良い。これにより、検出部DEには迷光パターンWF及び他層回折迷光パターンWMFがかからず、検出部DFには迷光パターンWE及び他層回折迷光パターンWMEがかからなければ良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
また上述した第1の実施の形態においては、検出部DG及びDHを、仮想的な直線V2に沿うように、且つ基準点P2(図10)の外周側に配置した場合について述べた。本発明はこれに限らず、検出部DG及びDHを、仮想的な直線V2から外れた位置に配置しても良く、また検出部DG及びDHの双方又はいずれか一方を基準点P2の内周側に配置しても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、受光部DG及びDHにおいて、迷光受光領域RGN1、RGN2、RHN1及びRHN2をそれぞれ設ける場合について述べた。
本発明はこれに限らず、例えば(5)式により算出したトラッキングエラー信号STE2を用いてトラッキング制御を行う場合、すなわち受光信号SGN及びSHNを用いない場合に、迷光受光領域RGN1、RGN2、RHN1及びRHN2を省略しても良い。第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光検出器29の受光部DEにおいて受光領域REに隣接して迷光受光領域REN1及びREN2を形成するようにした場合について述べた。
本発明はこれに限らず、迷光受光領域REN1又はREN2のいずれか一方のみを設けるようにしても良く、また受光領域REから離隔していても良い。また形状に関しても、長方形状以外の形状であっても良い。要は、迷光受光領域REN1等により、受光領域REにかかる迷光パターンWEの光量と相関関係のある光量を検出できれば良い。この場合、迷光パターンWEにおける受光部DE側の辺がほぼ縦方向に渡る直線状に形成されることを踏まえて、横方向に関し迷光受光領域REN1等の大きさ及び位置等を受光領域REと揃えておくことが望ましい。迷光受光領域RFN1及びRFN2についても同様であり、また第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第2の実施の形態においては、光検出器29の受光部DGにおいて受光領域RGに隣接して迷光受光領域RGN1及びRGN2を形成するようにした場合について述べた。
本発明はこれに限らず、迷光受光領域RGN1又はRGN2のいずれか一方のみを設けるようにしても良く、また受光領域RGから離隔していても良い。また形状に関しても、長方形状以外の形状であっても良い。要は、迷光受光領域REN1等により、受光領域REにかかる迷光パターンWEの光量と相関関係のある光量、特に迷光層間隔dn<dn1となるときに特性曲線Q1(図19(A))とほぼ比例関係を示すような光量を検出できれば良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、ホログラム素子27の各領域27E〜27Jにそれぞれ形成された回折格子により反射光ビームLRの一部をそれぞれ回折させるようにした場合について述べた。
本発明はこれに限らず、他の種々の光学素子により反射光ビームLRを領域毎に分割すると共に、それぞれを回折等の光学的作用によって所望の方向へ進行させるようにしても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに第3の実施の形態においては、ホログラム素子87の領域87Jに形成された回折格子により、シリンドリカルレンズ28により付与される非点収差を完全には相殺しない程度の収差を持たせる場合について述べた。
本発明はこれに限らず、領域87Jに形成された回折格子により、デフォーカス等の他の成分の収差を与えるようにしても良く、要は光検出器89に形成されるスポットTJがそれほど集光されず、ある程度拡散された状態となっていれば良い。
さらに上述した第3の実施の形態においては、ホログラム素子87の領域87Jに形成された回折格子により、シリンドリカルレンズ28により付与される非点収差を完全には相殺しない程度の収差を持たせる場合について述べた。
本発明はこれに限らず、第1及び第2の実施の形態においても、ホログラム素子27の領域27Jに形成された回折格子によりシリンドリカルレンズ28により付与される非点収差を完全には相殺しない程度の収差を持たせるようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、受光部DJを縦方向及び横方向と約45度の角度をなす分割線により4分割する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、受光部DJを分割せず単一の受光領域とし、又は当該受光部DJを2以上の任意数に分割するようにしても良く、また任意の方向に沿って分割するようにしても良い。この場合、受光部DJの分割数や分割パターン等に対応した演算処理を行い、当該演算結果に基づいてホログラム素子27や光検出器29等の取付位置や取付角度等を調整すれば良い。要は、光ピックアップ17におけるホログラム素子27や光検出器29等の取付位置や取付角度等に応じて変化する受光信号Sを生成し得れば良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、光ディスク100に4層の記録層Yを設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、光ディスク100に2層以上の任意数の記録層Yを設けるようにしても良い。
この場合、迷光層間隔dnが最も広い場合及び最も狭い場合のいずれにおいても、レンズシフトが生じていない場合において受光領域RE及びRFに迷光パターンWE及びWFのいずれもがかからないことが望ましい。また、レンズシフトにより受光領域RE又はRFに迷光パターンWE又はWFがかかる場合であっても、(5)式又は(6)式によりその迷光成分を相殺できれば良い。第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、ヘッドアンプ32内の複数のアンプ回路により受光信号SA〜SDをそれぞれ増幅してから(6)式に従って加算することにより、再生RF信号SRFを算出するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば受光信号SA〜SDを(6)式に従って加算してからヘッドアンプ32内の単一のアンプ回路により増幅して再生RF信号SRFを生成するようにしても良い。この場合、利用するアンプ回路の数を削減することができるので、アンプ回路により重畳され得るアンプノイズを低減することが可能となる。トラッキングエラー信号STE2における加算部分についても同様であり、第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光ディスク装置10が1ビームプッシュプル法によりトラッキングエラー信号を生成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、光ディスク100の種類に応じて、例えばBD−ROMの場合にはDPD(Differential Phase Detection)法等の位相差法を用い、BD−RやBD−RE等の場合には1ビームプッシュプル法を用いるようにしても良い。この場合、DPD法に対応したトラッキングエラー信号演算回路を信号処理部13に追加するようにしても良い。
さらに第1の実施の形態の場合、光ディスク装置10が、例えばBD方式等の単一の方式のみでなく、DVD方式やCD方式等を加えた2以上の方式にも対応するようにしても良い。この場合、各方式に対応した波長の光ビームを出射し得るレーザダイオードをビームスプリッタ等と共に設け、各方式に対応した受光領域を光検出器29に設ければ良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、レーザダイオード21から出射する光ビームL1の波長を405[nm]とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、光ディスク100に対応した任意の波長でなる光ビームを出射するようにしても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光ディスク装置10が光ディスク100に対し情報の記録処理及び再生処理の双方を行い得るようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば光ディスク100の再生処理のみを行い得る光ディスク装置に本発明を適用するようにしても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、光源としてのレーザダイオード21と、対物レンズとしての対物レンズ18と、レンズ移動部としての2軸アクチュエータ19と、集光レンズとしての集光レンズ26と、回折光学素子としてのホログラム素子17と、光検出器としての光検出器29とによって光ピックアップとしての光ピックアップ17を構成する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる光源と、対物レンズと、レンズ移動部と、集光レンズと、回折光学素子と、光検出器とによって光ピックアップを構成するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、光源としてのレーザダイオード21と、対物レンズとしての対物レンズ18と、レンズ移動部としての2軸アクチュエータ19と、集光レンズとしての集光レンズ26と、回折光学素子としてのホログラム素子17と、光検出器としての光検出器29と、信号処理部としての信号処理部13と、サーボ制御部としてのサーボ制御部12Aとによって光ディスク装置としての光ディスク装置10を構成する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の回路構成でなる光源と、対物レンズと、レンズ移動部と、集光レンズと、回折光学素子と、光検出器と、信号処理部と、サーボ制御部とによって光ディスク装置を構成するようにしても良い。