第1の発明は、吸引風を発生する電動送風機と、前記電動送風機に連通する吸気経路部と、前記吸気経路内に設けられた塵埃検出手段と、前記塵埃検出手段の検出結果から所定の大きさの塵埃に対して反応する第2塵埃検出信号と前記所定の大きさと異なるより大きな塵埃に対して反応する第1の塵埃検出信号とを出力する分別信号出力手段と、前記第1の塵埃検出信号をカウントする第1塵埃計数手段と、前記第2の塵埃検出信号をカウントする第2塵埃計数手段と、前記電動送風機への電力供給量を制御する判断制御手段とを備え、前記分別信号出力手段は、前記塵埃検出手段の検出結果から前記所定の大きさの塵埃に対して反応した場合には、前記第2の塵埃検出信号のみを出力するとともに、前記塵埃検出手段の検出結果から前記所定の大きさと異なるより大きな塵埃に対して反応した場合には、前記第1の塵埃検出信号及び前記第2の塵埃検出信号を出力するように構成されており、前記判断制御手段は、前記第1塵埃計数手段の出力情報D1と、前記第2塵埃計数手段の出力情報D2との比α=D2/D1が所定値βと、α>βの関係になる場合に被掃除面が布団であると判断して、前記電動送風機への電力供給量を制御するもので、使用者が床面により煩わしい切替レバーやスイッチ操作をすることなく、吸込力の制御を自動的
に行うことができる使用性の高い電気掃除機を提供することができる。
第2の発明は、第1の発明に加えて、使用者の吸込具の被掃除面への押さえつけ量を検知する圧力検知手段を備え、判断制御手段は、前記圧力検知手段からの出力情報と、第2塵埃計数手段の出力情報を基に、使用者の掃除状況及び/又は、被掃除面の汚れ具合を把握して、それに応じた電動送風機への電力供給量を制御することができるので、使用者の違いや、掃除方法の違いによる掃除仕上がりのバラツキをなくす事ができる効率が良く使用性の高い電気掃除機を提供することができる。
第3の発明は、第1または第2の発明に加えて、電動送風機に連通して塵埃を吸引するとともに電動機で回転駆動される回転体を内蔵した吸込具を備え、判断制御手段が、第2塵埃計数手段の出力情報を基に、前記電動機で回転駆動される回転体の回転数を制御することで、被掃除面の汚れ具合や、使用者による吸込具の操作速度や被掃除面への押し付け具合に応じて、回転体による被掃除面の掻き具合及び/または叩き具合を調整することができるので、使用者の違いや、掃除方法の違いによる掃除仕上がりのバラツキをなくす事ができる。被掃除面を効率良く綺麗にすることができる使用性の高い電気掃除機を提供することができる。
第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明の第2塵埃計数手段の出力情報の変化量の比から、使用者が操作する吸込具の操作回数及び/又は、操作速度を演算することができるので、使用者が急いで掃除しているのか、念入りに掃除しているかなどの掃除状況を把握でき、その時の掃除状況に応じた電動送風機への電力供給量を制御することで、掃除状況の違いによる掃除仕上がりのバラツキをなくす事ができる。被掃除面を効率良く綺麗にすることができる使用性の高い電気掃除機を提供することができる。
第5の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明の判断制御手段が、第2塵埃計数手段の出力情報の最大カウント値から、被掃除面の塵埃量を検知、予測することができるので、被掃除面の汚れ具合を把握でき、被掃除面の汚れ具合に応じて電動送風機への電力供給量を補正制御することができるので、被掃除面の汚れ具合の差によって生じる掃除仕上がりのバラツキをなくす事ができる。被掃除面を効率良く綺麗にすることができる使用性の
高い電気掃除機を提供することができる。
第6の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明の判断制御手段が、第2塵埃計数手段の出力情報の積算値から、被掃除面の塵埃量を検知、予測することができるので、被掃除面の汚れ具合を把握でき、被掃除面の汚れ具合に応じて電動送風機への電力供給量を補正制御することができるので、被掃除面の汚れ具合の差によって生じる掃除仕上がりのバラツキをなくす事ができる。被掃除面を効率良く綺麗にすることができる使用性の高い電気掃除機を提供することができる。
第7の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明の判断制御手段が、第2塵埃計数手段の出力情報を積算し、積算値の変化量より、所定時間に吸引した塵埃量の遷移がわかるので、被掃除面にまだ塵埃が残っているのか、綺麗になっているのかを把握できることにより、被掃除面の汚れ具合に応じた電動送風機への電力供給量を制御することができるので、被掃除面の汚れ具合の差によって生じる掃除仕上がりのバラツキをなくす事ができる。被掃除面を無駄な消費電力がなく、効率良く綺麗にすることができる使用性の高い電気掃除機を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
以下、本発明の第1の実施の形態を、図1、図2を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態における電気掃除機の制御ブロック図であり、図2は同電気掃除機の斜視外観図である。
図2において、掃除機本体1は吸引風を発する電動送風機2を内蔵し、当該吸引風に含まれる塵埃を遠心力等により分離して捕集する集塵容器3を着脱自在に設けてある。4はこの掃除機本体1に着脱自在に接続したホースであり、このホースの手元には操作手段6があり、各種の動作モードを選択できるようになっている。5は、操作手段6があるホース先端部に着脱自在に接続した延長パイプで、伸縮自在となっており、且つその先端部には吸引風により、塵埃を吸引する吸込具7が着脱自在に接続してある。またホース4には、赤外発光ダイオード10a(以下、発光部と称す)とフォトトランジスタ10b(以下、受光部と称す)で構成された塵埃検出手段10が収納されている。
次に、図1は、この電気掃除機の制御ブロック図で、8は電動送風機2を駆動するための双方向性サイリスタなどで構成された駆動手段である。9はマイクロコンピュータなどで構成される判断制御手段である。判断制御手段9は、操作手段6からの操作信号を受けて判断し、駆動手段8へ駆動信号を送る。11は、塵埃検出手段10の出力信号をオペアンプやコンパレータなどで構成し、増幅機能とフィルタ機能を持たせており、所定の第1増幅率をもつ第1増幅部で判定され出力する第1の塵埃検出信号と、さらに大きな第2増幅率をもつ第2増幅部で判定され出力する第2の塵埃検出信号とを出力する分別信号出力手段11である。12は第1の塵埃検出信号を受けてカウントする70μm以上の塵埃を検出する第1塵埃計数手段であり、13は第2の塵埃検出信号を受けてカウントする20μm以上の塵埃を検出する第2塵埃計数手段である。そして、20μm相当の塵埃を微細塵、70μm相当の塵埃を細塵と以下称す。14は音或いは振動やLEDなどで構成された報知手段であり、塵埃の検出状況や判断制御手段9の判断状態を、判断制御手段9からの信号を受けて表示して使用者に報知するものである。20は、電動送風機2に電力を供給する電源で、交流電源が用いてあるが直流電源であっても良いものである。
以上のように構成された電気掃除機において、以下その動作、作用を説明する。
まず、本体1を商用電源(図示せず)に接続し、使用者は操作手段6によって運転を指示する。操作手段6から判断制御手段9に操作信号が送られ、操作された内容にしたがって、判断制御手段9は初期値(例えば300W)の電力で運転が行われるように駆動手段8へ駆動信号を送る。駆動手段8は送られてきた信号によって電動送風機2への通電を行い、電動送風機2は回転を開始し、吸引力が発生する。
この吸引力によって、吸込具7より吸引された塵埃は、延長パイプ5の中を通って、ホース4を経て本体1内の集塵容器3へ集塵される。この間、集塵検出手段10の吸引経路内を、塵埃が通過する、つまり発光部10aと受光部10bの間を塵埃が通過することで受光量が変化するので、塵埃検出手段10は、検出信号として分別信号出力手段11に送る。分別信号出力手段11では、受けた信号を第1増幅部で増幅し、この結果が、所定の閾値を越えていれば、第1の塵埃検出信号として出力する。さらに、第1の塵埃検出信号として出力するレベルであるかないかに関わらず、第2増幅部での増幅結果が、所定の閾値を越えていれば、第2の塵埃検出信号として出力する。つまり、比較的大きな塵埃の場合には、第1増幅率でも反応したと判定できるので、第1の塵埃検出信号、第2の塵埃検出信号ともに出力される。小さな塵埃の場合には、第1増幅率では判定レベルに達せず、第2増幅率でのみ反応したと判定できるので、第2の塵埃検出信号のみが検出される。増幅率の差で判定を分別することで、受発光部分の通過速度が等しく、パルス幅では十分な差が得られない塵埃(例えば径が0.10mmの塵埃と0.02mmの塵埃)であっても、信号として区別できる。
次に、第1塵埃計数手段12は第1の塵埃検出信号を予め定めた所定単位時間カウントし、そのカウント結果を判断制御手段9へ送り、第2塵埃計数手段13も同様に第2の塵埃検出信号を同様に所定単位時間カウントし、そのカウント結果を判断制御手段9へ送っている。
例えば、塵埃の分布状況が異なる布団、畳、絨毯をそれぞれ掃除する。そうすると第1塵埃計数手段12と第2塵埃計数手段13の計数結果は、図3に示すようになる。
図3(a)は、布団等の寝具を掃除した場合である。布団等の寝具は、微細塵が多く、逆に大きな粒子径の塵埃は殆ど存在しない。このため、図3(a)のように20μm以上の塵埃に検出する第2塵埃計数手段13での計数結果が多くなる。そして、70μm以上の塵埃に検出する第1塵埃計数手段12は、寝具から吸引する塵埃では、粒子径が小さ過ぎて、殆ど検出できない。その為、実線で示すような、第1塵埃計数手段12の計数結果となる。
次に、絨毯を掃除した場合では、第2塵埃計数手段13での計数結果は、寝具の2倍近く増えるが、それ以上に微細塵より大きな細塵の量の割合が増えてくる。その為、絨毯掃除での第2塵埃計数手段13での計数結果が、図3(a)に示す内容だとすると、より大きな塵埃に反応する第1塵埃計数手段12での計数結果の割合は、寝具の場合より多くなり、点線で示す第1塵埃計数手段12の計数結果となる。
また、畳を掃除した場合は、図3(b)のようになる。畳は、寝具や絨毯のように微細塵は多くなく、細塵が殆どとなる。その為、第2塵埃計数手段13の計数結果と、より大きな塵埃に反応する第1塵埃計数手段12での計数結果は、殆ど同じ計数結果となる。
これらの結果をまとめたものを図4に示す。図4は、畳、絨毯、布団をそれぞれ掃除したときに得られる所定時間あたりの第1塵埃計数手段12からの出力情報D1と、同じく所定時間あたりの第2塵埃計数手段13からの出力情報D2と、それらの比α=D2/D1を、それぞれの代表的な値を示したものである。
畳を掃除した時、α=6、絨毯掃除では、α=13、布団掃除では、α=600となる。このように掃除対象の違いによって、αの値が異なることを利用すれば、掃除している掃除面の種類を判別することができる。ここで、掃除面が布団であると認識するαの閾値を絶対値βとすれば、α>βの関係が成立した時、被掃除面が布団であると判断することができる。
例えば、β=101と設定すれば、布団掃除しているとき、α=600になり、α(=600)>β(=101)の関係式が成立する。このことから、判断制御手段9は、被掃除面が布団である事を、自動で検出することができる。そして、判断制御手段9は、第1塵埃計数手段12からの出力情報D1と、第2塵埃計数手段13からの出力情報D2からの情報により、電動送風機2の消費電力を制御する。
図5に、第1塵埃計数手段12からの出力情報D1と、第2塵埃計数手段13からの出力情報D2を用いた電動送風機の制御則の一例を示す。図5には、第1塵埃計数手段12からの出力情報D1と、電動送風機2の消費電力W1の比である制御係数X=W1/D1と、第2塵埃計数手段13からの出力情報D2と、電動送風機2の消費電力W2の比である制御係数Y=W2/D2の2つの制御則を示している。
布団掃除をしている場合、布団には細塵より、粒子径のより小さな微細塵の方が多く含まれている。このため、図3(a)に示すように70μm以上の塵埃を検出する第1塵埃計数手段12からの出力情報D1より、第2塵埃計数手段13からの出力情報D2の方が、情報量が多く、布団の掃除状態をより精度良く検知できている。従って、精度が良い第2塵埃計数手段13からの出力情報D2を使用した制御係数Yを用いて電動送風機2の制御を行った方が良い。
例えば、布団掃除では、第2塵埃計数手段13からの出力情報D2=800カウント程度検出したとすると、その時の第1塵埃計数手段12からの出力情報D1は、10未満である。図5の制御則に従って制御係数Xを適用した場合、電動送風機2への電力供給量は、初期の300W+150W(=D1×制御係数X=10カウント×15)の計450Wとなる。これに対し、制御係数Yの方を適用した場合は、初期の300W+600W(=D2×制御係数Y=800カウント×0.75)の計900Wとなる。被掃除面から微細塵を多く検出している状況から見て、450Wでは、電動送風機2への電力供給量が低く、被掃除面に対する吸引力が弱い為、全ての塵埃を吸い取るのに時間がかかったり、微細塵を被掃除面に残してしまう可能性もある。この場合は、900Wで電動送風機2を運転し、高い吸引力で、被掃除面の微細塵を短時間で効率よく、取り残しの無いように一気に吸い取るという制御の方が、より綺麗に仕上がる。また、制御計数Yを用いた制御では、第2塵埃計数手段13の1カウントに対応する電動送風機2の入力が、制御計数Xに比べて小さくなる。制御計数Xでは、1カウントあたり15W。制御計数Yでは、1カウントあたり0.75Wとなる。つまり、制御計数Yの方が、電力の変化量が少ないので、より精密が良い、滑らかな入力変化を行なう電動送風機2の制御が可能となる。
従って、判断制御手段9は、被掃除面が布団である事を、自動で検出した場合、電動送風機2への電力供給量の制御を、制御計数Yを自動で選択して行うようにすれば、布団掃除により合致した掃除を実現できる。
また、床や畳などを掃除した場合、20μm相当の塵埃(微細塵)が少なく、70μm以上の塵埃(細塵)の分布割合が多くなる。例えば、微細塵が殆どない床面を掃除した場合、第1塵埃計数手段12からの出力情報D1と第2塵埃計数手段13からの出力情報D2が、図3(b)のように殆ど変わらない結果となる。
これは、第1塵埃計数手段12では、粒子径の小さな微細塵を検出することが出来ずに、第2塵埃計数手段13でのみ、微細塵を検出するためである。微細塵が多い被掃除面では、図3(a)のように第2塵埃計数手段13での計数結果だけが多くなるのに対し、微細塵が殆どない床面の掃除では、第1塵埃計数手段12がその細塵を検出する。そして、検出した細塵は、無論20μm以上の塵埃でもあるので、第2塵埃計数手段13でも同じく、塵埃を検出し計数するので、第1塵埃計数手段12及び第2塵埃計数手段13共に、殆ど同じ計数結果となる。
このような場合、電動送風機2への制御については、第1塵埃計数手段12からの出力情報D1を使用した制御係数Xを用いた方が、実際の被掃除面の状況に、より合致した掃除が実現できる。例えば、第1塵埃計数手段12及び第2塵埃計数手段13共に、20カウントとすると、図5の制御則に従って制御係数Xを適用した場合、電動送風機2への電力供給量は、初期の300W+300W(=D1×制御係数X=20カウント×15)の計600Wとなる。これに対し、制御係数Yの方を適用した場合は、初期の300W+15W(=D2×制御係数Y=20カウント×0.75)の計315Wとなる。被掃除面の塵埃を検出している状況にもかかわらず、制御係数Yを用いた電動送風機2の制御(315W)では、電動送風機2への電力供給量が低く、被掃除面に対する吸引力が弱い為、塵埃を全て吸い取るのに時間がかかったり、粒子径の大きな塵埃を吸引できずに被掃除面に残してしまう可能性もある。この場合は、制御係数Xを用いた制御(600W)で電動送風機2を運転し、高い吸引力で、被掃除面の塵埃を短時間で効率よく、取り残しのないように一気に吸い取るという制御の方が、より綺麗に仕上がる。また、制御計数Xを用いた制御では、第1塵埃計数手段12の1カウントに対応する電動送風機2の入力が、制御計数Yに比べて大きくなる。制御計数Xでは、1カウントあたり15W。制御計数Yでは、1カウントあたり0.75Wとなる。つまり、制御計数Xの方が、塵埃量の少しの変化に対しても、電動送風機2の入力をより大きく変化させることができ、塵埃の小さな変化に対して、吸引力を上げて集塵性能を追従させることができる。
このように微細塵が殆どない床面の場合、所定時間あたりの第1塵埃計数手段12からの出力情報D1と、所定時間あたりの第2塵埃計数手段13からの出力情報D2は、殆ど同じ値となるため、これらの比α=D2/D1は、限りなくゼロに近い値になる。先に述べた掃除面が布団であると認識する閾値の絶対値β(=101)に対して、α>βの関係が成立しないので、判断制御手段9は、被掃除面が布団でない事を、自動で検出することができる。
従って、判断制御手段9は、被掃除面が布団で無い事(微細塵の少ない環境下)を、自動で検出した場合、電動送風機2への電力供給量の制御を、制御計数Xを自動で選択して行うようにすれば、実際の被掃除面の状況に、より合致した効率良い掃除が実現できる。
以上のような制御を行えば、被掃除面が布団かそうでないかを使用者が煩わしい床面や制御を切替える切替レバーやスイッチ操作をすることなく、判断制御手段9が、α>βの関係式より自動で検出して、制御係数XとYを使い分けて制御を行えば、被掃除面に合致した吸込力の制御を自動的に行うことができる使用性の高い電気掃除機を提供することができる。
また、微細塵が多い布団などの寝具を掃除した場合、図3(a)のような結果となり、第2塵埃計検手段13での計数結果が多い為、使用者のノズルの往復速度、回数といった掃除状況を把握することができる。図3(a)と同内容の図6に、その説明を記す。第2の塵埃計数手段13からの計数結果のグラフより、T0で示す範囲の2つの山が、使用者がノズルを1往復させた時に、検出される第2塵埃計数手段13からの計数結果の総和である。T1の範囲で示す1つの山が、使用者がノズルを1往復させる往にあたるノズルを押した時に検出される計数結果の総和であり、T2の範囲で示す山が、使用者がノズルを1往復させる復にあたるノズルを引いた時に検出される第2塵埃計数手段13からの計数結果の総和である。T0の範囲で示す1往復を示す2つの山の周期を算出すれば、使用者がノズルを1往復させる時間、及びその速度が算出できる。つまり、2つの山の周期が短ければ、使用者は急いで掃除している事が推定できる。逆に周期が長ければ、念入りに掃除しようとしている事が推定できる。これより、使用者の要望を自動で判断して、急いで掃除したい人に対しては、判断制御手段9が、早い往復操作でも念入りに掃除している時と同等の集塵率を確保できるように、電動送風機2への電力供給量を増加させるように制御する。そして、念入りに掃除しようとしている人に対しては、判断制御手段9は、第2塵埃計数手段13からの計数結果に基づいて、係数結果が多い時には電動送風機2への電力供給量を増加させ、逆に計数結果が少ない時には電力供給量を減少させるように制御することで、無駄な消費電力を省き、被掃除面を効率良く綺麗にすることができる使用性の高い電気掃除機を提供することができる。
また、図7は、微細塵が多い布団などの寝具の掃除において、同じ場所を繰り返し掃除した場合、図6で示したグラフの縦軸である所定時間あたりの第2の塵埃計数手段13からの計数結果より、もう少し長い所定時間あたりでの第2塵埃計数手段13からの計数結果である。布団の一部の塵埃量と、所定時間あたりのピーク値S0(最大値)を検知することができる。微細塵の多い布団掃除の場合、判断制御手段9は、電動送風機2へ、図5に記載の制御計数Yに基づいて電力供給を行うと良い。これに対し、予め行った前記一部の掃除(以下、センシングと称す)で得た情報(所定時間あたりのピーク値と、一部の塵埃量(計数結果の総和))を基に、予め被掃除面の予測を行い、予測に応じて汚れ度合いの判定を行い、その結果、汚れが多い場合には、より高い吸引力で、汚れ度合いが少ない場合には、吸引力を抑える制御を行うことで、無駄がなくより効率良い掃除が実現できる。例えば、センシングで得た情報を基に、布団全体の塵埃量を予測し、予め定めた所定塵埃量より多い場合には、制御係数Yをより大きい値に、逆に予め定めた所定塵埃量より少ない場合には、制御係数Yをより小さな値に再設定すれば良い。このようにすれば、布団一部の情報から、布団全体の塵埃量(汚れ)を推定し、その汚れに応じた吸引力設定が予めでき、無駄のない効率良い掃除で、被掃除面を綺麗にすることができる使用性の高い電気掃除機を提供することができる。
また、微細塵が多い布団などの寝具を掃除した場合、第2塵埃計数手段13からの計数結果を積算していくと、図8のような結果となる。掃除時間が増えるにつれて、積算値も増えていくが、掃除が進むにつれ検出される第2塵埃計数手段13からの計数結果は徐々に減少し、積算値が、ある一定の値S1で飽和する。この結果から、布団掃除によって吸引できる布団の中に存在する微細塵が徐々になくなってきている事がわかる。つまり、被掃除面が綺麗になっている事が分かる。これを利用し、図8において積算値が大幅に増加しつづけているT3までの掃除区間では、被掃除面の微細塵が多いことがわかるので、電動送風機2の電力供給量を上げ、より高い吸引力に設定する。そして、積算値の増加率が減少してきているT3以降の区間では、被掃除面から吸引できる塵埃が少ないことがわかるので、無駄のないように、電力供給量を下げて吸引力を抑える制御を行う。このような制御を行うことで、被掃除面の汚れ具合にあった無駄のない効率良い掃除が実現できる。
また、微細塵が多い布団などの寝具の掃除において、図9に示すように、吸込具7で一列を綺麗になるまで掃除して、綺麗になったら次の列に移動するように規則正しく掃除した場合、第2塵埃計数手段13からの計数結果を積算すると、図10のような結果となる。ここで、綺麗になった事は、第2塵埃計数手段13からの計数結果を、LEDや音声、振動等の報知手段によって、使用者に知らせることによって分かるようにすることができる。まず、一列目A1を、吸込具を往復させて掃除を続ける。掃除時間が増えるにつれて、積算値も増えていく。そして、掃除が進むにつれて、布団が綺麗になり、吸引する微細塵が減少する。例えば、時間T99での積算値と、時間T100での積算値は、殆ど変わらず、積算値S1に飽和している。一列目A1が綺麗になったので、次いで、隣の列A2に移り掃除を掃除を始めると、時間T101で、積算値がT100に比べ大幅に増加する。掃除を続けると一列目同様、積算値は益々増加していき次の積算値S2で飽和する。そして2列目が綺麗になった時間T200で次の列A3に移ると、同様に積算値は増加していき次の積算値S3で飽和する。このように、第2塵埃計数手段13からの計数結果の積算値を、所定時間毎に比較すれば、吸引している塵埃量の遷移がわかるので、被掃除面に塵埃がまだ残っているのか、それとも綺麗になっているのかを把握することができる。そして、使用者が同じ場所を掃除しているのか、掃除箇所もしくは、掃除対象を変えるなどして、新しい場所を掃除し始めた事も、把握できる。これらの情報を利用して、判断制御手段9は、使用者が汚れている場所を繰り返し掃除したり、新しい場所を掃除し始めた事を検知した場合には、電動送風機2の電力供給量を上げて吸引力を増加させる。そして、使用者が同じ場所を掃除して綺麗になってきたことを検知したり、使用者が掃除場所を変えて、新しい場所を掃除し始めても、比較的汚れが少ないと検知した場合には、無駄のないように、電動送風機2の電力供給量を下げて吸引力を抑える制御を行う。このように、電動送風機2の制御を被掃除面の状態、状況に合わせて制御すれば、使用者の感覚にあった、応答性が良く、効率良い掃除ができる使用性に優れた電気掃除機を提供することができる。
また、図11は、色々な種類の布団を掃除したときの、所定時間あたりの第2塵埃計検手段13の計数結果である。布団の種類によって、所定時間当たりの第2塵埃計数手段の出力情報の最大カウント値及び、カウント値の変化量がそれぞれ異なっている。
例えば、敷き布団を掃除した場合、始めに最大カウント値を検出した後は、被掃除面から吸引する微細塵の量が急激に少なくなる。これは、掃除始めは、主に敷き布団表面に存在する細塵を吸い取っているため、最大カウント値となる。その後表面の細塵がなくなり、今度は敷き布団の中の微細塵を、表地を通して主に吸い取り始めるものである。布団の中には、微細塵が多く存在しているが、表地があるため、表地の繊維の隙間を通して抜けてくる微細塵のみ吸い取るので、検出する微細塵の量が、始めに対して急激に落ちるものである。
次に、毛布を掃除した場合では、敷き布団同様、始めに、表面の細塵を吸い取る。毛布は、表面の細塵がなくなっても、繊維のむだ毛があり、これを継続的に吸い取る。このため、始めに最大化カウント値を検出した後も、継続的にむだ毛を検出するので、敷き布団のように急激にカウント値は減少せず、継続的にカウントが続く。
次に、掛け布団を掃除した場合では、敷き布団、毛布同様、始めに、主に表面の細塵を吸い取る。掛け布団は、主に羽毛から組成されており敷き布団に比べ軽くて柔らかい。その為、吸込具が、掛け布団に良く吸い付き、操作性が悪くなる。その反面、敷き布団掃除の場合より、吸い付くことで、被掃除面に対する吸引力が上がる。その為、毛布のように繊維のむだ毛はないが、掛け布団に吸い付き吸引力が高くなる事で、掛け布団の中の微細塵を表地を通して継続的に吸い取る。このため、始めに最大カウント値を検出した後も、継続的に掛け布団の中からの微細塵を検出し、継続的にカウントが続く。ただし、毛布のむだ毛程は、微細塵は存在しないため、全体的に毛布よりは、カウント値が少なくなる。また、掛け布団は、人の上に掛けて使用するので、敷き布団のように、人体による塵埃の押さえつけや、擦り込みがないので、掛け布団に存在する塵埃の量は、敷き布団や毛布に比べ、全体的に少ない。
次に、絨毯を掃除した場合では、上記の敷き布団、毛布、掛け布団の寝具に比べ、全体を通して一様にカウント値が高い。これは、絨毯には繊維のむだ毛が多く、また、生活の場で使用される為、人による頻繁な塵埃の持ち込みや巻き上げ、塵埃の押さえつけや擦り込みがあるので、存在する塵埃の量は、布団等の寝具に比べ格段に多くなる。
以上のような特徴を利用すれば、布団の種類判別が可能となる。例えば、図12示すように閾値L1を設けると、判断制御手段は、所定時間あたりの第2塵埃計数手段の計数結果の最大カウント値が、この閾値より低ければ、被掃除面が絨毯ではなく、いずれかの布団であることを判別することができる。そして、閾値L2を設けて、所定時間あたりの第2塵埃計数手段の計数結果の最大カウント値が、閾値L2より低ければ、被掃除面が掛け布団であることが判別できる。逆に、閾値L2より高ければ、敷き布団か毛布である。敷き布団か毛布かの判別は、所定時間当たりの第2塵埃計数手段の計数結果の変化量より判別することができる。変化量が、急激であれば、敷き布団である。逆に、ゆるやかであれば、毛布となる。このように、所定時間あたりの第2塵埃計数手段の計数結果の最大カウント値及び、カウント値の変化量から、布団の種類を判別することが可能である。そして、この情報を利用して、電動送風機への電力供給量を補正制御が行える。例えば、掛け布団ならば、吸込具が吸い付きやすいので、電動送風機2の電力供給量を少し減少させて、掛け布団へのへばりつきを軽減させる。敷き布団なら、吸込具の敷き布団へのへばりつきは、掛け布団程は強くはないので、布団の中の微細塵をより多く吸い取るために、電動送風機2の電力供給量を増加させて強い吸引力を発生させて集塵性能を上げる。このように、布団の種類に応じて、電動送風機への電力供給量を補正制御することで、より掃除面にあった最適な吸引力での掃除が実現できる使用性に優れた電気掃除機を提供することができる。
また、判断制御手段9が検知している被掃除面の汚れ度合いを、報知手段14を用いて使用者に検出状況を報知すれば、汚れ度合いや清掃状況に応じた掃除を、使用者が行うことができるようになり、効率的な清掃が可能となる。また、目に見えない微細塵を吸引している状態を、使用者が知ることができるので、掃除をして被掃除面が綺麗になることに対する満足感を使用者に与えることができる。そして、布団掃除であることを自動で検出して、布団掃除に対応した制御を行っていることを使用者に知らせることで、安心感と満足感を与えることができる。また、識別した布団の種類を報知することで、電動送風機2の吸引力が変化した理由を使用者に知らせることで、安心感と満足感を与えることもできる。このように使用性の高い電気掃除機を提供することができる。もちろん、報知とは、表示だけでなく、音声や振動による報知でも同様の効果がある。
(実施の形態2)
以下、本発明の第2の実施の形態を説明する。この実施の形態2は先の実施の形態1において、吸込具を変更して制御を加えたものである。
図13は、本実施の形態における電気掃除機の制御ブロック図であり、図14は同電気掃除機の斜視外観図である。図13、図14において、18は、回転体21を回転させる電動機19を駆動する為の駆動手段である。22は、使用者による吸込具の被掃除面への押さえつけ量を検知する圧力検知手段22である。ここで回転体21は、繊維などが植毛されていて、電動機19によって回転することにより、掃除対象の塵埃を掻きだす効果を有したり、または、突起物等が形成されており、電動機19によって回転することにより、掃除対象に含まれる塵埃を叩き出す効果を有するものである。
以上のように構成された電気掃除機において、以下その動作、作用を説明する。
操作手段6により、運転を開始し、微細塵が多い布団などの寝具を掃除した場合、実施の形態1で示したように、判断制御手段9は、第2の塵埃計検出信号からの情報量が多い為、使用者のノズルの往復速度、回数といった掃除状況を把握することができる。これに加えて、圧力検知手段22を備えることで、使用者の吸込具の被掃除面への押さえつけ度合いを検出することが出来る。圧力検知手段22の検知量が多い場合には、使用者が、しっかり念入りに掃除をしたいと思っている事が推定でき、逆に圧力検知手段22の検知量が少ない場合には、使用者は、軽く、楽に掃除をしたいと思っている事が推定できる。これら使用者の要望に合わせ、しっかり念入りに掃除したい人に対しては、判断制御手段9が、要望に応えて、高い集塵性能を確保できるように、電動送風機2への電力供給量を更に増加させるように制御する。そして、軽く楽に掃除しようとしている人に対しては、判断制御手段9は、第2塵埃計数手段13からの計数結果に基づいて制御をおこなう。計数結果が多い時には電動送風機2への電力供給量を増加させて、効率よく塵埃を吸引するように制御を行う。逆に、計数結果が少ない時には電力供給量を減少させるように制御して、強い吸引力によって吸込具が被掃除面へ吸い付くことを軽減させ、使用者の操作感を軽くするとともに、無駄な消費電力なくすように制御を行う。これらの制御によって、使用者にとって操作が楽な効率良い掃除が実現できる。このように使用者の掃除意図を把握し、それに応じた電動送風機2の制御を行うことで使用性の高い電気掃除機を提供することができる。
また、吸込具部は電動送風機2に連通して塵埃を吸引するとともに電動機19で回転駆動される回転体21を備えており、微細塵が多い布団などの寝具を掃除した場合、判断制御手段9は、第2塵埃計数手段13からの計数結果を基に、電動機19で回転駆動される回転体21の回転数を制御する。例えば、第2塵埃計数手段13からの計数結果が所定の計数結果より多い場合は、被掃除面の汚れ度合いが高いと判断し、回転体21による被掃除面の掻き具合及び/または叩き具合を増加するように電動機19の回転数を速く調整する。逆に、第2塵埃計数手段13からの計数結果が所定の計数結果より低い場合には、被掃除面の汚れ度合いが低いと判断し、回転体21による被掃除面の掻き具合及び/または叩き具合が少なくするように電動機19の回転数を遅く調整する。このように、被掃除面の汚れ具合に応じて、回転体21による被掃除面の掻き具合及び/または叩き具合を制御することで、集塵性能を調整することができる。
また、判断制御手段9は、実施の形態1で示したように、第2の塵埃計検出信号からの情報量から、使用者のノズルの往復速度、回数といった掃除状況を把握することができる。この情報を用いて、使用者が急いで掃除していると判断した時には、使用者による吸込具の操作速度が速いので、電動機19の回転数を遅くして、回転体21による被掃除面の掻き具合及び/または叩き具合が少なくする。逆に、使用者が念入りに掃除をしていると推定した時には、使用者による吸込具の操作速度が遅いので、電動機19の回転数を速くして、回転体21による被掃除面の掻き具合及び/または叩き具合を多くなるように制御する。このように制御すれば、使用者が吸込具を、速く動作させても遅く動作させても回転体21による被掃除面の掻き具合及び/または叩き具合を同程度に調整でき、操作の違いがあっても、同程度の集塵性能を確保出来るようにすることができる。よって、掃除後の仕上がり具合が、操作の違いによって大きく異なることがない、安定した集塵性能の掃除が提供できる使用性の高い電気掃除機を提供することができる。