以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
図1に示した画像形成装置は、給紙部1と、その給紙部1の上に配置された作像部2と、さらにその作像部2の上に配置された画像読取部3とを有している。画像読取部3の原稿台4上に載置された図示していない原稿は、同じく図示していないサイドフェンスによって幅方向の位置を揃えられ、次いで給紙ローラ5によって矢印A方向に給送され、密着型読取装置6の下を通過する。原稿台4上には、図示していない原稿幅検知センサと原稿長さ検知センサが設けられ、これらのセンサよって原稿サイズが検知される。密着型読取装置6は、図には示していないロッドレンズアレイとイメージセンサとを有していて、かかる密着型読取装置6の下を原稿が通過するとき、その原稿にLEDアレイや蛍光灯などの光源からの光が照射され、その反射光がロッドレンズを通ってイメージセンサに至り、該イメージセンサに原稿画像が結像されて光電変換される。画像の読み取りを終えた原稿は、矢印B又はCで示すように、排紙トレイ7又は8に排出される。また、画像読取部3には、プリント動作のスタート指示や、リピートコピー枚数や用紙の長さなどの情報を入力するための操作部(図示せず)が設けられている。
作像部2は、像担持体の一例であるドラム状の感光体9を有し、この感光体9は図1における反時計方向に回転駆動され、このとき帯電装置10によって感光体9が帯電される。一方、密着型読取装置6により読み取られた画像信号は画像処理され、LEDアレイを備えた露光装置11から画像信号に対応した光が出射し、その光が帯電後の感光体表面に照射される。これによって感光体9に静電潜像が形成され、その潜像が現像装置12によってトナー像として可視像化される。
一方、給紙部1は、上下2段のロール紙トレイ13,14を有し、各ロール紙トレイ13,14には、紙管の周囲に巻装されたロール紙15,16,17,18が回転可能に支持されていて、その各ロール紙に対応して給紙ローラ19,20,21,22が配置されている。各ロール紙トレイ13,14は、装置筐体から図1の左方に引き出し可能となっていて、そのロール紙トレイを引き出した状態でロール紙をセットし、或いはジャム処理を行うことができる。選択されたいずれかのロール紙15,16,17又は18から、これに対応する給紙ローラ19,20,21又は22によって用紙が繰り出され、その用紙は作像部2に送り込まれる。用紙は、カッターユニット23又は24によって所定の長さに切断される。かかる用紙は、レジストローラ対25によって所定のタイミングで感光体9に給送され、このとき転写装置26の作用によって、感光体9に形成されたトナー像が用紙に転写される。次いで、用紙は分離装置27の作用によって感光体9から分離され、引き続き搬送ベルト28によって定着装置29に搬送される。トナー像転写後の感光体9の表面に付着する転写残トナーは、クリーニング装置50によって除去される。用紙が定着装置29を通過するとき、転写されたトナー像が用紙に定着される。定着装置29を通った用紙は排紙ローラ30又は31によって、作像部2の上面により構成された排紙部32、又はその作像部2の後方に配置された排紙部33に排出される。
図1に示した画像形成装置は、ロール紙15乃至18から繰り出されて切断される用紙に画像を形成するので、用紙の長さを実質的に自由に選択することができる。従って、用紙の長さを定形サイズの長さよりも長くすることができ、その長さを例えば15mに及ぶような長尺なものにすることができる。かかる長尺な記録媒体として紙以外の記録媒体を用いることもできる。以下の説明では、ロール紙から繰り出されてカッターユニット23又は24によって切断されるか、又は既に切断された用紙などから成る長尺な記録媒体を長尺記録媒体P(図2参照)と称することにする。
図1に示した画像形成装置においては、感光体9より成る像担持体にトナー像を形成し、そのトナー像を定形サイズよりも長尺な長尺記録媒体に転写し、その長尺記録媒体に転写したトナー像を定着装置29によって当該長尺記録媒体に定着するように構成されているが、感光体上のトナー像を中間転写体に一次転写し、その中間転写体上のトナー像を長尺記録媒体に二次転写するように構成することもできる。この場合には、中間転写体が像担持体を構成し、かかる像担持体に形成されたトナー像が長尺記録媒体に転写される。
図2は図1に示した定着装置29の拡大断面図である。ここに示した定着装置29は、定着部材の一例である定着ローラ36と、かかる定着ローラ36に圧接した加圧部材の一例である加圧ローラ37と、定着ローラ36の表面の温度を検知する温度検知手段38と、定着ローラ36を加熱する加熱手段39とを有している。図2に例示した定着ローラ36は、アルミニウム又は炭素鋼などから成る円筒状の金属管40と、その金属管40の外周面に積層された離型層41により構成されている。また加圧ローラ37は、アルミニウム又は炭素鋼などの金属より成る円筒状の芯金42と、その芯金の外周面に固定されたシリコーンゴムなどから成る弾性層43と、さらにその弾性層43の外周面に積層された離型層44により構成されている(図19も参照)。温度検知手段38は、例えば定着ローラ36の周面に当接したサーミスタ、又はその他の温度センサなどから構成される。また、図2に示した加熱手段39は、後に詳しく説明する主電源から電力を供給されて発熱する主加熱部材39Aと、補助電源から電力を供給されて発熱する補助加熱部材39Bとから構成されていて、これらの加熱部材39A,39Bは定着ローラ36の内部に配置されている。かかる加熱部材39A,39Bとしては、例えばハロゲンヒータ、ニクロム線ヒータ又はIHヒータなどを用いることができる。
トナー像の定着動作時に定着ローラ36は図示していない駆動装置によって、図2における反時計方向に回転駆動され、加圧ローラ37は定着ローラ36の回転に従動して図2における時計方向に回転する。このとき、定着ローラ36は加熱手段39によって後述する態様で加熱される。かかる定着ローラ36と加圧ローラ37とのニップ部Nに、トナー像Tを担持した長尺記録媒体Pを、そのトナー像Tが定着ローラ36に接する向きにして通過させ、その通過時に、トナー像Tのトナーに熱と圧力を加えて該トナー像を長尺記録媒体Pに定着する。
図2に示した定着装置29においては、その定着ローラ36と加圧ローラ37の間を、長さの長い長尺記録媒体Pが通過するので、定着ローラ36の熱が長尺記録媒体Pに長い時間に亘って奪われ続ける。このため、定着ローラ36と加圧ローラ37の間を長尺記録媒体Pが通過している間に、定着ローラ36の温度がトナー像の定着に適した温度よりも低くなったり、定着ローラ36が長尺記録媒体P上のトナーに供給する熱量がトナー像を定着するのに適した量よりも少なくなるおそれがある。
そこで、本例の定着装置には、定着ローラ36の表面温度が高いときよりも低いときの方が、定着ローラ36と加圧ローラ37の間のニップ部Nの幅が大きくなるように、定着ローラ36と加圧ローラ37との圧接力を段階的に変化させる圧力調整手段が設けられている。ここで、ニップ部Nの幅とは、定着部材と加圧部材が互いに当接したニップ部の長尺記録媒体搬送方向に沿った幅のことであり、図2に示した定着装置29の場合には、定着ローラ36と加圧ローラ37が互いに圧接したニップ部Nの長尺記録媒体搬送方向に沿う幅Wである。
図18乃至図20は、上述した圧力調整手段の一例を示す図である。図19に示すように、加圧ローラ37の内部には、その加圧ローラ37に対して固定された軸51が貫通して延びていて、加圧ローラ37の内部に位置する軸51の部分には加圧ローラ37の内周面に当接する円板52が固定されている。図18及び図19に示すように、軸51の長手方向各端部には、軸受53がそれぞれ嵌合し、軸51が各軸受53を介して、定着装置29にケーシング54に回転自在に組み付けられている。その際、各軸受53は、ケーシング54の各側板55に形成された上下に長い長孔56に、その長手方向に摺動可能に嵌合している。また、定着ローラ36は、その各長手方向端部がケーシング54の各側板55に軸受を介して回転自在ではあるが位置不動に支持されている。
各軸受53の下側には加圧レバー57がそれぞれ配置され、各加圧レバー57は、その一方の端部が、図18に示すように、ピン58を介してケーシング54の側板55に揺動可能に支持され、該加圧レバー57の他方の端部には引張りばね59の一端が係止されている。この引張りばね59の他端は、可動板60の下部に係止されている。可動板60には長孔61が形成され、その長孔61は、側板55に突設されたピン66に摺動可能に嵌合している。これにより、可動板60は側板55に沿って上下動することができる。さらに、側板55には、回転軸62が、その側板55に対して回転可能ではあるが、位置不動に貫通し、この回転軸62にはカム63が固定されている。回転軸62は、可動板60に形成された上下に互い長孔(図示せず)を貫通して延びている。これにより、可動板60は回転軸62に邪魔されることなく、所定のストロークを上下動することができ、可動板60の上部の曲折部64が、引張りばね59の作用によって、カム63に圧接する。図18には、加圧ローラ37の一方の端部側の加圧レバー57と、引張りばね59と、可動板60と、回転軸62に固定されたカム63とを示したが、加圧ローラ37の他方の端部側も全く同じく構成されている。
また、上述した回転軸62の一方の端部にはギア65が固定され、このギア65は、これに噛み合った図示していない中間ギアを介して、同じく図示していないモータに駆動連結されている。
上述したモータの回転がギア65に伝えられ、該ギア65とカム63が回転することにより、可動板60は上下方向位置に移動する。その際、可動板60が上方位置を占めれば占めるほど、加圧ローラ37と定着ローラ36との圧接力が強まり、図2に示した定着ローラ36と加圧ローラ37との間のニップ部Nの幅Wが大きくなる。図示した例では、図20に示すように、可動板60の上下方向位置とニップ部Nの幅Wが5段階に切り換えられ、加熱手段38によって加熱された定着ローラ36の温度THが低くなると、ニップ部Nの幅Wが大きくなるように、可動板60の上下方向位置が切り換えられる。すなわち、TH>180℃のとき、図20の(a)に示すように、可動板60が最も下方の位置を占め、図2に示したニップ部Nの幅Wが最小のW1となる。また180℃≧TH>170℃のときは、図20の(b)に示すように、可動板60が次に低い位置を占め、ニップ部Nの幅WがW2となる。以下同様に、170℃≧TH>160℃、160℃≧TH>150℃、150℃≧THのときは、可動板60がそれぞれ図20の(c),(d),(e)に示す高さ位置を占め、ニップ部Nの幅WがそれぞれW3,W4,W5となる。各ニップ部Nの幅の大小関係は、W1<W2<W3<W4<W5であり、定着ローラ36の温度THが150℃以下となったとき、ニップ部Nの幅Wが最大のW5となる。このように、定着ローラ36の温度THが低いほど、ニップ部Nの幅Wが大きくなるように、定着ローラ36と加圧ローラ37との圧接力が段階的に切り換えられるのである。このため、定着ローラ36と加圧ローラ37の間を長さの長い長尺記録媒体が通過するとき、定着ローラ36の熱が長尺記録媒体に奪われて、定着ローラ36の温度THが低下しても、その低下にあわせてニップ部Nの幅Wが大きくなるので、定着ローラ36から長尺記録媒体上のトナーに供給される熱量の低下が補われ、トナー像の定着不良の発生を防止することが可能である。なお、定着部材ないしは定着ローラ36の温度THとは、その定着部材ないしは定着ローラ36の表面の温度を意味する。
ところが、上述した構成だけでは、定着ローラ36の温度THがトナー像の定着に適した温度よりも低くなる不具合を防止することはできない。また、定着ローラ36の温度THが大きく低下し、例えば、その温度THが上述の150℃以下となったような場合には、定着ローラ36の温度THを、トナー像の定着に必要な温度に維持することは困難であるばかりか、定着ローラ36が長尺記録媒体上のトナーに対して、トナー像の定着に適した熱量を供給し続けることが困難となる。
そこで、本例の画像形成装置においては、前述のように、定着装置29に設けられた加熱手段39が、AC電源より成る主電源から電力を供給される主加熱部材39Aと、補助電源から電力を供給される補助加熱部材39Bとから構成され、しかも、トナー像の定着に必要な温度を維持できず、かつニップ部Nにおいて、定着ローラ36が長尺記録媒体上のトナーに対し、トナー像の定着に適した熱量を供給し続けることができないと判断される定着ローラの温度THを定着温度閾値Tlimとしたとき、温度検知手段38によって検知された定着ローラ36の温度THが定着温度閾値Tlimよりも高い場合には、主電源から電力を供給されて発熱する主加熱部材39Aだけで定着ローラ36を加熱し、温度検知手段38により検知された定着ローラ36の温度THが定着温度閾値Tlim以下となった場合には、補助加熱部材39Bにも、後に詳しく説明する補助電源から電力を供給して、その補助加熱部材39Bを発熱させ、主加熱部材39Aと補助加熱部材39Bの両者によって定着ローラ36を急速に加熱するように構成されている。以下に、これらに関連する制御態様の一例を説明する。
図3及び図4は長尺記録媒体に画像を形成するプリント動作の一例を示すフロー図である。図1乃至図4において、プリント指令が入力されると、先ず温度検知手段38によってが検知された定着ローラ36の温度THが、定着ローラ36と加圧ローラ37のニップ部に長尺記録媒体を送り込んで、その長尺記録媒体上のトナー像の定着動作を開始できる温度(以下、通紙可能温度という)Ttに達しているか否かが判断され(図3のS1)、定着ローラ36の温度THが通紙可能温度Ttに達していれば、図2に示した定着ローラ36と加圧ローラ37の回転を開始して、トナー像Tを担持した長尺記録媒体Pを定着ローラ36と加圧ローラ37の間に送り込み、トナー像の定着動作を開始する(図3のS3)。トナー像の定着動作は、長尺記録媒体の先端が定着ローラ36と加圧ローラ37の間に入り込んだ時点から長尺記録媒体の後端が定着ローラ36と加圧ローラ37の間を出た時点までの間の動作である。一方、S1において、定着ローラ36の温度THが通紙可能温度Ttに達していなければ、主電源からの電力を主加熱部材39Aに供給しつづけて定着ローラ36を加熱し(図3のS2)、S1→S2を繰り返す。この段階では、補助電源から補助加熱部材39Bへ電力は供給されず、定着ローラ36は主加熱部材39Aだけで加熱される。また、通紙可能温度は、長尺記録媒体の長さによって異なり、長尺記録媒体の長さが長いほど、通電可能温度は高くなる。通電可能温度は、例えば160℃乃至200℃程度である。
定着動作が開始されると、前述のように、温度検知手段38により検知された定着ローラ36の表面温度THに応じて、ニップ部Nの幅Wが段階的に調整される。
また、定着動作の開始後、定着ローラ36がニップ部Nにおいて長尺記録媒体とその長尺記録媒体上のトナーに供給する供給熱量QHが算出される(図3のS4)。この供給熱量QHは、それ自体公知のように、例えば次式の数1により求められる。
但し、cは長尺記録媒体上のある点がニップ部Nを通過するのに要する時間(sec)である。また、√T0は記録媒体上のトナーと記録媒体の熱取得度(J/(cm2℃√sec))であり、√Rは定着ローラ36の離型層41の熱取得度(J/(cm2℃√sec))である。さらに、TTCは、定着ローラ36に接触する前の記録媒体とこれに担持されたトナーの温度であり、通常、この温度TTCは20℃程度である。また、THは温度検知手段38により検知された定着ローラ36の表面温度であることは前述のとおりである。
次いで、上述の供給熱量QHが、トナー像を定着できない定着不能熱量QNG以下となったか否かがチェックされると共に、定着ローラ36の温度THがトナー像を定着できない定着不能温度TNG(本例ではこれを140℃とする)以下となったか否かが判断される(図4のS5)。QH≦QNGとTH≦TNGの少なくとも一方の状態となったときは、プリント動作を中断する(図3のS6)。この場合には、いずれかのロール紙から繰り出されている記録媒体を即座にカッターユニット23又は24によって切断すると共に、感光体9へのトナー像の形成動作を停止して、その記録媒体を排紙部32又は33に排出させる。このようにして、未定着トナー像を担持した長尺記録媒体が、そのまま排出され続けることが阻止される。プリント動作を中断した後、画像読取部3に設けられた操作部に、通紙可能温度Ttを大きく設定し直すことをユーザに促す表示がなされ、図3のS7において、ユーザにより通紙可能温度Ttが大きく再設定されたことが判定されたときは、S2に進み、先に述べたS1からの動作が再開される。ユーザによって通紙可能温度の再設定が行われなかったときは、プリント動作を終了する。
一方、図3のS5において、定着ローラ36が長尺記録媒体とその長尺記録媒体上のトナーに供給する供給熱量QHが定着不能熱量QNGを上回り、しかも定着ローラ36の温度THが定着不能温度TNGを上回っていれば、図3のS8に進み、図示していないセンサによって、長尺記録媒体の後端が定着ローラ36と加圧ローラ37のニップ部Nを出たか否か、すなわち長尺記録媒体が定着ローラ36と加圧ローラ37の間を通過する通紙を終了して定着動作を完了したか否かの判断を行う。長尺記録媒体の通紙を終了して、トナー像の定着動作を完了していれば、定着ローラ36及び加圧ローラ37の回転を一旦、停止させ(図3のS9)、次いでセット枚数の到達を判断し(図3のS10)、到達していなければS1からの動作を繰り返し、到達していればプリント動作を終了する。また、長尺記録媒体の通紙が終了したとき、圧力調整手段によって、定着ローラ36と加圧ローラ37との圧接力が一番弱くなるように調整される。
長尺記録媒体の後端が定着ローラ36と加圧ローラ37の間のニップ部Nを未だ出ておらず、トナー像の定着動作が行われている場合には、定着ローラ36の温度THが、前述の定着温度閾値Tlim以下になったか否かが判断される(図4のS11)。その際、本例の画像形成装置においては、この定着温度閾値Tlimと、前述の圧力調整手段によってニップ部Nの幅Wを最大のW5に調整するときの定着ローラ36の温度THとが等しく設定され、これらの温度が共に150℃となっている。圧力調整手段は、温度検知手段38により検知された定着ローラ36の温度THが定着温度閾値Tlim以下となったときに、ニップ部Nの幅Wが最も大きくなるように、定着ローラ36と加圧ローラ37の圧接力を調整するのである。
図4のS11において、定着ローラ36の温度THが定着温度閾値Tlimよりも高いと判断された場合は、補助加熱部材39Bに電力を供給せずに、主加熱部材39Aだけで定着ローラ36を加熱しながら、トナー像の定着動作を継続する(図4のS15)。一方、定着ローラ36の温度THが、トナー像の定着に必要な温度を維持できず、かつニップ部Nにおいて、定着ローラ36が長尺記録媒体上のトナーに対し、トナー像の定着に適した熱量を供給し続けることができないと判断される所定の定着温度閾値Tlim以下となったときは、補助電源から補助加熱部材39Bにも電力を供給し、主加熱部材39Aと補助加熱部材39Bを共に発熱させて定着ローラ36を加熱する。これにより、定着ローラ36に大きな熱量を与えることができ、該定着ローラ36が長尺記録媒体上のトナーに対してトナー像の定着に適した熱量を供給し、かつ当該定着ローラ36の温度THをトナー像の定着に適した温度に維持することが可能である。定着ローラ36の温度THが定着温度閾値Tlim以下に低下しているときは、前述の圧力調整手段によって、定着ローラ36と加圧ローラ37との間のニップ部Nの幅Wが最大の大きさW5に調整されているので、ニップ部Nの幅Wをこれ以上大きくすることはできず、ニップ部Nの幅Wの調整によっては、長尺記録媒体上のトナーに供給する熱量をこれ以上大きくできないのであるが、加熱手段39の補助加熱部材39Bにも補助電源から電力が供給されるので、定着ローラ36の温度を定着に適した温度に保ち、かつ長尺記録媒体上のトナーに対して、トナー像の定着に適した熱量を供給することができるのである。
その際、定着ローラ36の温度THが急激に低下して、その温度THが定着温度閾値Tlim以下となった場合と、定着ローラ36の温度THが緩やかに低下して定着温度閾値Tlim以下となった場合とがあるが、前者の場合には、後者の場合よりも、定着ローラ36に多量の熱量を与えて該定着ローラ36を加熱しないと、定着ローラ36の温度THがトナー像の定着に適した温度よりも低くなるおそれがある。同様に、定着ローラ36が長尺記録媒体上のトナーに供給する供給熱量QHが急激に低下して、定着ローラ36の温度THが定着温度閾値Tlim以下となった場合と、その供給熱量QHが緩やかに低下して、定着ローラ36の温度THが定着温度閾値Tlim以下となった場合とがあり、前者の場合には、後者の場合よりも定着ローラ36に多量の熱量を与えて定着ローラ36を加熱する必要がある。
そこで、本例の画像形成装置においては、直列接続と並列接続とに切換可能な複数の補助電源が設けられていると共に、温度検知手段38によって検知された定着ローラ36の温度THの変化の傾き(単位時間当りの定着ローラ温度THの変化量)dTH/dt=KTを算出すると共に、前述のように、定着ローラ36がニップ部Nにおいて長尺記録媒体とその長尺記録媒体上のトナーに供給する供給熱量QHを算出し(図3のS4)、かつその供給熱量QHの変化の傾き(単位時間当りの供給熱量QHの変化量)dQH/dt=KQを算出する演算手段が設けられている。そして、温度検知手段38によって検知された定着ローラ温度THの変化の傾きKTを一定時間刻みで算出し、図4のS12において、その傾きの絶対値|KT|が予め決められた傾き閾値|KTlim|以上であるか否かを判断すると共に、供給熱量QHの傾きKQを一定時間刻みで算出し、図4のS12において、その傾きの絶対値|KQ|が予め決められた閾値|KQlim|以上であるか否かがチェックされる。その際、定着ローラ36の温度変化の傾きの絶対値|KT|と、供給熱量QHの傾きの絶対値|KQ|が、共にその各傾き閾値|KTlim|と|KQlim|より小さいときは、補助電源出力制御手段により、複数の補助電源を並列に接続して、その複数の補助電源から補助加熱部材39Bに電力を供給する(図4のS13)。同時に、主加熱部材39Aに主電源からの電力を供給して、主加熱部材39Aと補助加熱部材39Bの両者で定着ローラ36を加熱しながら、トナー像の定着動作を継続する(図4のS15)。一方、傾きの絶対値|KT|と|KQ|の少なくとも一方が、それぞれ予め決められた傾き閾値|KTlim|と|KQlim|以上であるときは、補助電源制御手段によって、複数の補助電源を直列に接続し、その複数の補助電源から補助加熱部材39Bに電力を供給する(図4のS14)と共に、主加熱部材39Aに主電源からの電力を供給して、主加熱部材39Aと補助加熱部材39Bの両者で定着ローラ36を加熱しながら、トナー像の定着動作を継続する(図4のS15)。複数の補助電源を直列に接続すると、その複数の補助電源を並列に接続した場合よりも多量の電力を補助加熱部材39Bに供給できるので、定着ローラ36の温度低下の傾きの絶対値|KT|と、供給熱量QHの低下の傾きの絶対値|KQ|が大きくとも、その定着ローラ36に多量の熱量を与えて、定着ローラ36の温度THがトナー像の定着に適した温度よりも低くなることを阻止し、かつ定着ローラ36が、長尺記録媒体上のトナーに供給する供給熱量QHがトナー像の定着に適した熱量よりも少なくなることを阻止できる。
上述のように、本例の画像形成装置は、その定着装置29の加熱手段39が、主電源から電力を供給される主加熱部材39Aと、直列接続と並列接続とに切換可能な複数の補助電源から電力を供給される補助加熱部材39Bを有していると共に、主電源から電力を供給された主加熱部材39Aだけで定着ローラ36を加熱しながら、該定着ローラ36と加圧ローラ37の間に長尺記録媒体を通過させてトナー像の定着を行っているとき、温度検知手段38によって検知された定着ローラ36の温度THが、トナー像の定着に必要な温度を維持できず、かつニップ部Nにおいて、定着ローラ36が長尺記録媒体上のトナーに対し、トナー像の定着に適した熱量を供給し続けることができないと判断される所定の定着温度閾値Tlim以下となった場合に、その定着ローラ36の温度変化の傾きの絶対値|KT|と、供給熱量QHの変化の傾きの絶対値|KQ|の少なくとも一方が、それぞれ予め決められた傾き閾値|KTlim|、|KQlim|以上であるときには、複数の補助電源を直列に接続して、該複数の補助電源から補助加熱部材39Bに電力を供給し、定着ローラ36の温度変化の傾きの絶対値|KT|と、供給熱量QHの変化の傾きの絶対値|KQ|が、共に各傾き閾値|KTlim|、|KQlim|よりも小さいときには、複数の電源を並列に接続して、該複数の補助電源から補助加熱部材39Bに電力を供給する補助電源出力制御手段が設けられている。かかる補助電源出力制御手段の具体的構成は後述する。
上述した構成によれば、特に大きな熱容量を有する定着ローラ36を用いずとも、長尺記録媒体上のトナー像の定着動作中に、定着ローラ36の温度THがトナー像の定着に適した温度よりも低くなったり、定着ローラ36が長尺記録媒体上のトナーに与える供給熱量が、トナー像の定着に適した量よりも少なくなる不具合を防止することができる。
上述した補助電源としては、充放電可能な電気二重層キャパシタ、又は燃料を交換して繰り返し使用することのできる燃料電池を用いることが望ましい。
次に、図3及び図4を参照して先に説明したプリント動作のより具体的な例を明らかにする。
図5乃至図10は、補助電源として電気二重層キャパシタを用いた場合の例を示し、そのうちの図5及び図6は、主電源から電力を供給された主加熱部材の発熱だけで定着ローラ36を加熱する場合の動作例を示している。図5及び図6において、t0の時点で、AC電源より成る主電源から主加熱部材39Aに電力が供給され始める。これによって主加熱部材39Aが発熱して定着ローラ36が加熱され、図5の(A)に示すように、t1の時点で定着ローラ36の温度THが前述の通紙可能温度Ttに達し、定着装置29の立ち上げ動作を終了する。ここに示した例では、立ち上げ動作時に、補助加熱部材39Bを発熱させずに定着ローラ36を加熱しているが、補助加熱部材39Bにも電気二重層キャパシタより成る補助電源から電力を供給して、その補助加熱部材39Bも発熱させれば、定着装置29の立ち上げ時間をより短縮することができる。
上述のようにして定着装置29の立ち上げ動作を終了した後、定着ローラ36の温度THが通紙可能温度Ttに保たれるように、主加熱部材39Aへの電力の供給がオン、オフされる(図6の(C))。この状態が定着装置29の待機状態であり、このとき図示していない電圧センサによって電気二重層キャパシタの充電電圧が検出され、その電気二重層キャパシタに充電する余地が残っている場合には、主電源から主加熱部材39Aに電力が供給されていない時に、電気二重層キャパシタを充電する(図6の(C)及び(E))。これにより、効率よく電気二重層キャパシタの充電を行い、その電気二重層キャパシタの使用時の電力を大きく確保することができる。立ち上げ動作時と待機時には、定着ローラ36と加圧ローラ37は回転せず、停止している。
図5及び図6におけるt2の時点で定着ローラ36と加圧ローラ37の回転が開始されると共に、その定着ローラ36と加圧ローラ37の間のニップ部への長尺記録媒体の送り込みが開始される。ニップ部Nへの長尺記録媒体の通紙が開始され、その長尺記録媒体上のトナー像の定着動作が開始されるのである。図6の(C)に示すように、主加熱部材39Aの消費電力が、立ち上げ時よりも定着動作が開始された後の方が少ない理由は、定着動作の開始に伴って、AC電源より成る主電源のAC電力がDC電力に変換されて定着ローラ36の回転動作などに使用されるためである。
t2の時点で定着動作が開始されると、定着ローラ36の熱が長尺記録媒体に奪われるため、図5の(A)に示されているように定着ローラ36の温度THは漸次低下するが、図5及び図6に示した動作例では、定着ローラ36の温度THが定着温度閾値Tlim以下となることなく、t3の時点で定着動作を終了する。すなわち、この時点で長尺記録媒体の後端が定着ローラ36と加圧ローラ37のニップ部Nを出て、定着ローラ36と加圧ローラ37の回転が停止するのである。
定着動作を終了すると、主加熱部材39Aに、主電源から電力が供給され続けるので、定着ローラ36の温度THが上昇し、t4の時点で定着ローラ36の温度THが通紙可能温度Ttに達する(図5の(A)及び図6の(C))。それ以降の待機時には、定着ローラ36の温度THが通紙可能温度Ttに保たれるように、主電源から主加熱部材39Aへの電力の供給がオン、オフされ(図6の(C))、電気二重層キャパシタに充電する余地が残っていれば、主電源から主加熱部材39Aに電力が供給されていない時に、電気二重層キャパシタを充電する(図6の(C)及び(E))。
また、時点t3からt4の時期に、電気二重層キャパシタから補助加熱部材39Bにも電力を供給して、両加熱部材39A,39Bによって定着ローラ36を加熱するように構成すれば、定着ローラ36の温度THが通紙可能温度Ttに達するまでの時間を短縮することができる。
図7及び図8に示した動作例においては、時点t0からt2までと、t3以降の動作は、図5及び図6に示した動作と変りはない。異なるところは、時点T1において、定着ローラ36の温度THが定着温度閾値Tlim以下となる点である。このとき図7の(B)から判るように、定着ローラ36の温度変化の傾きの絶対値|KT|が、傾き閾値|KTlim|よりも小さく、しかも図には示していないが、前述の供給熱量QHの傾きの絶対値|KQ|が、傾き閾値|KQlim|よりも小さいので、複数の電気二重層キャパシタが並列に接続され、主電源から主加熱部材39AにAC電力を供給しながら、複数の電気二重層キャパシタからも補助加熱部材39Bに電力を供給して該補助加熱部材39Bを発熱させ、両加熱部材39A,39Bによって定着ローラ36を加熱する。このため、図7の(C)と図8の(D),(E)から判るように、主加熱部材39Aの消費電力と補助加熱部材39Bの消費電力の和である加熱手段39の総消費電力は、T1の時点で不連続に増加している。電気二重層キャパシタは放電を続けると出力が低下するので、加熱手段39の総消費電力も、T1の時点から漸次減少する(図7の(C)及び図8の(E))。
また、図8の(E),(F)から判るように、電気二重層キャパシタから補助加熱部材39Bに電力を供給しているときは、電気二重層キャパシタを充電していない。このため、主電源のAC電力を全て主加熱部材39Aに供給できるので、定着ローラ36を効果的に加熱して、その温度を上昇させることができる。
図9及び図10に示した動作例においては、同図の(A),(B)から判るように、時点T1にて定着ローラ36の温度が定着温度閾値Tlimとなり、このとき定着ローラ36の温度変化の傾きの絶対値|KT|が、傾き閾値|KTlim|以上となっている。このため、供給熱量QHの変化の傾きの絶対値|KQ|が、その傾き閾値|KQlim|以上であるか否かにかかわらず、複数の電気二重層キャパシタが直列に接続され、主電源から主加熱部材39AへAC電力を供給しながら、直列接続された複数の電気二重層キャパシタから補助加熱部材39Bに大きな電力を供給し、その補助加熱部材39Bを発熱させる。補助加熱部材39Bには、直列に接続された電気二重層キャパシタから電力が供給されるので、図10の(E)から判るように、補助加熱部材39Bの消費電力は、図8の(E)の場合よりも大きくなり、図9の(C)から判るように、加熱手段39の総消費電力は、図7の(C)の場合よりも大きくなる。これにより、複数の電気二重層キャパシタを並列に接続して、その電力を補助加熱部材39Bに供給する場合よりも定着ローラ36を急速に加熱して、その温度を上昇させることができる。
図9及び図10に示した例の他の動作は、図7及び図8に示したところと変りはない。
図11及び図12は、補助電源として燃料電池を用いたときの動作例を示している。この場合も、時点T1において、定着ローラ36の温度THが定着温度閾値Tlim以下となり、このとき図には示していないが定着ローラ36の温度変化の傾きの絶対値|KT|が傾き閾値|KTlim|よりも小さく、しかも供給熱量QHの変化の傾きの絶対値|KQ|が、傾き閾値|KQlim|よりも小さいものとする。従って、この場合も、複数の燃料電池を並列に接続して、主電源から主加熱部材39AへのAC電力の供給を行いながら、複数の燃料電池から補助加熱部材39Bへ電力を供給する。このときの加熱手段39の総消費電力は、主加熱部材39Aの消費電力と補助加熱部材39Bの消費電力の和となる(図11の(B)及び図12の(C),(D))。
図12の(E)から判るように、燃料電池は放電を行うことにより燃料が減少するので、その燃料残量を常に監視し、操作部に燃料残量を表示して、ユーザにその残量を報せる必要がある。燃料電池の燃料は、カートリッジ式のような交換可能な構成とし、燃料残量が少なくなったことを、ユーザが認知したとき、これを交換できるように構成することが望ましい。このように、燃料電池は、燃料の残量を検知する手段と、燃料残量を表示する手段と、燃料残量が一定値を下回ると燃料の交換を促す手段を具備することが好ましい。
次に、補助電源と補助電源出力制御手段の具体的構成例を説明する。
図13乃至図16は、2つの電気二重層キャパシタC1,C2を並列又は直列に接続して、これらの電気二重層キャパシタC1,C2から補助加熱部材39Bに電力を供給する補助電源出力制御手段の一例を示す回路図である。各電気二重層キャパシタC1,C2は、複数のキャパシタセルから構成されている。メインスイッチS5は、AC電源より成る主電源45から主加熱部材39Aに供給する電力をオン、オフする。充電器46は、主電源45から供給される電力によって2つの電気二重層キャパシタC1,C2を充電する用をなす。また、スイッチS2は電気二重層キャパシタC1,C2の充電と、電気二重層キャパシタC1,C2から補助加熱部材39Bへの電力の供給を切り換える。定着ローラ36の表面に当接したサーミスタなどから成る温度検知手段38にて生じた検知信号はCPU47に取り込まれ、そのCPU47からの指令によって、各スイッチS1乃至S5が切り換え制御される。
図13は、メインスイッチS5を閉じて主電源45からの電力を主加熱部材39Aに供給し、その主加熱部材39Aを加熱している状態を示している。このとき、スイッチS3、S4は両電気二重層キャパシタC1,C2を並列に接続し、スイッチS2はスイッチS1側に切り換えられているが、スイッチS1がオフしているので、電気二重層キャパシタC1,C2の電力が補助加熱部材39Bに供給されることはない。
電気二重層キャパシタC1,C2の充電時には、図14に示すように、メインスイッチS5がオフされて、主電源45から主加熱部材39Aへの電力の供給が遮断される。同時に、スイッチS2が充電器46の側に切り換えられ、充電器46は、主電源45から供給される電力で電気二重層キャパシタC1,C2を充電する。
主加熱部材39Aだけで定着ローラ36を加熱しながらトナー像の定着動作を行っているとき、温度検知手段38により検知された定着ローラ36の温度THが定着温度閾値Tlim以下となり、しかもCPU47にて演算された定着ローラ36の温度変化の傾きの絶対値|KT|と、供給熱量QHの変化の傾きの絶対値|KQ|が、それぞれの傾き閾値|KTlim|、|KQlim|よりも小さいときは、図15に示すようにメインスイッチS5がオンされて主電源45からの電力が主加熱部材39Aに供給され、しかも両電気二重層キャパシタC1,C2が並列に接続されたまま、スイッチS2がスイッチS1の側に切り換えられ、スイッチS1は閉じられる。これにより、並列に接続された電気二重層キャパシタC1,C2からの電力が補助加熱部材39Bに供給され、両加熱部材39A,39Bが発熱する。
定着ローラ36の温度THが定着温度閾値Tlim以下となり、かつその定着ローラ36の温度変化の傾きの絶対値|KT|と、供給熱量QHの変化の傾きの絶対値|KQ|の少なくとも一方が、各傾き閾値|KTlim|、|KQlim|以上であるときは、スイッチS3,S4が図16に示すように切り換えられて両電気二重層キャパシタC1,C2が直列に接続される。他の状態は図15と変りはない。このため、主加熱部材39Aに主電源45からの電力が供給されると共に、補助加熱部材39Bには、直列接続された両電気二重層キャパシタC1,C2から電力が供給される。
図17は、補助電源として2つの燃料電池C3,C4を用いた場合の回路図である。この場合には、図13乃至図16に示した充電器46は設けられていない。図17は、スイッチS1とS5が閉じられ、両燃料電池C3,C4が並列に接続され、その燃料電池C3,C4と主電源45からの電力がそれぞれ補助加熱部材39Bと主加熱部材39Aに供給されている状態を示している。主電源45の電力を主加熱部材39Bに供給し、燃料電池C3,C4からの電力を補助加熱部材39Bに供給しないときは、スイッチS1が開き、両燃料電池C3,C4を直列に接続するときは、スイッチS3,S4が図16と同じく切り換えられる。
図13乃至図17に示したCPU47を含む補助電源出力制御手段と補助電源を一体的に組み付けることにより、直列接続と並列接続とに切換可能な複数の補助電源と、定着部材の温度が、所定の定着温度閾値以下となった場合に、該定着部材の温度変化の傾きの絶対値と、定着部材が長尺記録媒体と該長尺記録媒体上のトナーに供給する供給熱量の変化の傾きの絶対値の少なくとも一方が、それぞれ予め決められた傾き閾値以上であるときには、複数の補助電源を直列に接続して、該複数の補助電源から定着部材加熱用の補助加熱部材に電力を供給し、定着部材の温度変化の傾きの絶対値と、上記供給熱量の変化の傾きの絶対値が、共に上記傾き閾値よりも小さいときには、複数の電源を並列に接続して、該複数の補助電源から定着部材加熱用の補助加熱部材に電力を供給する補助電源出力制御手段とを具備する定着装置用の補助電源装置48を構成することができる。
以上、定着ローラ36より成る定着部材と、加圧ローラ37より成る加圧部材を有する定着装置を示したが、複数の支持ローラに巻き掛けられて走行駆動される定着ベルトより成る定着部材を有する定着装置や、加圧部材も加圧ベルトとして構成された定着装置などにも本発明を適用することができる。