JP4781378B2 - 食品貯蔵装置、冷蔵庫、製氷装置並びに高周波加熱調理器 - Google Patents
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Description
食品に応じたきめ細かな温度制御、いいかえれば温度低下速度の制御、温度上昇速度の制御、温度維持制御は、圧縮機の回転数、送風ファンの回転数、風路上に設置したダンパによる冷気風量などを制御して行っている。しかし、これらの制御のためには、ダンパなどの部品点数の増加のほか、圧縮機の回転数制御、送付ファンの回転制御、ダンパの開度制御などに関して、制御プロセスの複雑化を招くなどの課題があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、冷却装置の構成や制御を複雑化することなしに、貯蔵される食品の温度低下速度や温度上昇速度を変化させることができ、また温度維持ができる食品貯蔵装置、及びそれを備えた機器を提案する。
さらに、温度低下を低速で実現することで、食品を過冷却状態にしたり、透明度の高い製氷を実現できる効果がある。
その他、温度上昇を低速で実現することで、品質の高い食品解凍を実施できる効果もある。
本発明の実施の形態を図1、図2を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態に係る食品貯蔵装置の外観斜視図であり、図2はその食品貯蔵装置の側断面図である。
なお、本発明の食品貯蔵装置は、食品収容ケース1Aを用いることなく、貯蔵室1に直接食品を収容し、その貯蔵室1をヒンジなど支持された扉により開閉する構成とすることもできる。
なお、高周波放射装置8の通電時間を積算カウントするタイマーを設け、積算時間が事前に記憶してある所定の時間に到達した場合には、高周波放射装置を通電停止とし、操作パネル21などに別途設けた報知手段により、使用者に報知して部品の点検や交換を促すようにするのが良い。
食品を効率よく加熱するには、食品内の水分を効率的に加熱する必要があり、好適な周波数としては、例えば、915MHz付近や2450MHz付近が上げられる。高周波給電装置8で発生した高周波は、同軸ケーブルや導波管などの送電手段を介して、高周波放射手段であるアンテナ9に送電される。
ここで、アンテナ9の駆動方式の一例を説明しておく。図8はアンテナ9の駆動方式の一例を示したもので、アンテナ9は回転や反復動作をするモータ15の駆動力を伝達装置16を介して歯車23に与え、それによりアンテナ9の放射方向を変化させる。これにより、食品収容ケース1A内に満遍なく高周波を放射させたり、一部分を狙って放射させたりすることが可能となる。
また、貯蔵室1の内面は高周波を反射しやすくするため導電性を付与して構成する。このため、貯蔵室1の内面は、ステンレス、アルミ、鋼板などで構成するのが好ましい。樹脂の表面に対して金属蒸着などを実施することによって導電性を付与することもできる。
前述の通り、冷却器4により冷却された冷気を、冷却風路6を介して食品収納ケース1A内に導入して食品を冷却するが、その冷却能力は、冷却風温度および冷却風量ともに、任意の一定の冷却能力にて冷却を行う。
なお、冷却能力>加熱能力の関係は、温度低下速度>温度上昇速度の関係とみなすことができる。また、冷却能力=加熱能力の関係は、温度低下速度=温度上昇速度の関係とみなすことができる。
なお、冷却能力<加熱能力の関係は、温度低下速度<温度上昇速度の関係とみなすことができる。
最初に、冷却装置が一定の能力で運転されている冷蔵装置内に食品を設置し、温度検知装置10により食品の初期温度Toを検知する(S1)。その後暫定として、事前に設定済の高周波出力Pにて(S2)、高周波給電装置8を駆動して高周波を放射する(S3)。次に、同じく事前に設定済の目標冷却速度Vmを参照し、現在の食品冷却速度Vx(=温度上昇または温度下降時間)と比較しながら、高周波の出力増減を実施していく(S4〜S7)。そして、食品の現在温度Tnが目標温度Txに到達したか否か判断し(S8)、到達した場合には、冷却能力と加熱能力を同等にした温度維持工程に移行し、食品貯蔵を継続する(S9)。
続いて、加熱速度Vbと熱容量Qaから高周波加熱出力Pを決定するとともに、定常温度(温度維持工程)到達時間tbを再計算する(S13)。その後、高周波加熱出力Pにより高周波放射をスタートさせる(S14)。そして、経過時間tが定常温度到達時間tbに達したか否か判断し(S15)、達した場合には、温度維持工程に入る(S16)。
図7は本発明の実施の形態2を示すもので、実施の形態1の食品貯蔵装置を製氷装置として利用する例を示す図である。図7で、図1〜2と同一符号は、同一物または相当物を示している。
食品収納ケース1内には製氷皿22が設置されており、製氷皿22内に投入した水を冷却することで製氷する。符号17で表されているのは給水タンクであり、あらかじめ使用者により投入された水が貯蔵される。給水タンク17自体は扉2を開いた状態において、前面から着脱が可能である。符号18で表されているのは給水タンク17に連結された給水ポンプであり、給水タンク17内の水をパイプ19を介して製氷皿22に導入する。
図3で示したとおり、食品収納ケース1A内においては、貯蔵室1背面の冷却風路6から導入される冷気による冷却と、同じく背面から放射される高周波による誘電加熱を同時に実施することで、極めて低速で冷却していくことが可能である。なお、製氷工程の全部ではく、一部を低速冷却工程により製氷するようにしてもよい。
製氷の際、冷却速度をできるだけ低下させることで、氷結晶内の空気が結晶生成時の内圧により徐々に外に放出されることから、透明度の高い氷を生成することが可能となる。
図9は本発明の実施の形態3を示すもので、実施の形態1の食品貯蔵装置を冷凍冷蔵庫に組み込んだ例を示す図である。図9で、図1〜2と同一符号は、同一物または相当物を示している。
冷凍冷蔵庫に設置されている圧縮機3、冷却器4、ファン5は、実施の形態1に対応する食品貯蔵装置100以外の部屋、すなわち冷凍室や冷蔵室を冷却する冷気風路と共用されている。この冷凍冷蔵庫の食品貯蔵装置100部分は、冷却能力にかかわらず高周波加熱の能力のみで温度をコントロールする。したがって、例えば、冷却風を他室に振り分けたような場合においても、食品貯蔵装置100内の温度コントロールは、実施の形態1のように、食品貯蔵装置100をスタンドアロンで使用する場合となんらかわらず実現が可能となる。
図10は本発明の実施の形態4を示すもので、実施の形態1の食品貯蔵装置を高周波加熱調理器(電子レンジ)に組み込んだ例を示す図である。図10で、図1〜2と同一符号は、同一物または相当物を示している。
この高周波加熱調理器は、圧縮機3、冷却機4、ファン5などから成る冷却装置を備える。その冷却装置は運転・停止可能に構成される。また、図2に示した高周波給電装置8とアンテナ9に対応するものとして、マグネトロン24と、マグネトロン24に連結された導波管25を備える。
冷却装置を停止した使用の場合は、貯蔵室1背面に設けられたマグネトロン24より、約2.45GHzのマイクロ波が放射され、放射されたマイクロ波は導波管25、給電口26を介して、食品収納ケース1A内に放射されることで、貯蔵室1内に設置された食品を加熱する。
一方、冷却装置を運転した使用の場合は、実施の形態1で示した態様と同様に制御することで、冷却と誘電加熱を同時に行う貯蔵装置として利用することができる。すなわち、食品の凍結保存、あるいは解凍保存に利用が可能となる。なお、マグネトロン24の低出力化が困難な場合は、断続運転において低速冷凍、低速解凍を実施する。
Claims (16)
- 食品を貯蔵する貯蔵室と、前記貯蔵室の内部および前記貯蔵室に貯蔵された食品を冷却する冷却器及び前記冷却器からの冷気を前記貯蔵室に送風するファンを有した冷却装置と、前記貯蔵室に貯蔵された食品に高周波を照射する高周波放射装置とを備え、
前記冷却装置により一定の冷却能力で冷却しながら、前記高周波放射装置による高周波照射によって、前記貯蔵室内の食品の誘電加熱の出力を変化させることにより、食品の冷却速度あるいは加熱速度を変化させる温度変化工程と、
前記冷却装置による食品の温度低下速度を超えない範囲の加熱速度となる出力にて、前記高周波放射装置による食品の誘電加熱を行う低速冷却工程とを備え、
前記高周波放射装置の高周波放射手段が前記冷却装置で冷却された冷気が通る冷却風路内に配置されており、前記冷却装置が配置されている背面側空間と前記高周波放射手段が配置されている冷却風路空間との間に、金属板に微小開口を施した高周波遮蔽板を配置したことを特徴とする食品貯蔵装置。 - 前記高周波放射装置は、高周波給電装置と、前記高周波給電装置からの高周波を放射する高周波放射手段としてのアンテナと、前記アンテナの放射方向を変化させる駆動部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の食品貯蔵装置。
- 前記冷却装置による食品の温度低下速度と、前記高周波放射装置による食品の誘電加熱による温度上昇速度とを、略平衡状態に保つ温度維持工程を備えたことを特徴とした請求項1又は2に記載の食品貯蔵装置。
- 前記冷却装置による食品の温度低下速度より、食品の誘電加熱による温度上昇速度を早めた出力にて、前記高周波放射装置による食品の誘電加熱を行う低速温度上昇工程を備えたことを特徴とした請求項1〜3のいずれか1項に記載の食品貯蔵装置。
- 貯蔵された食品の温度を計測する温度検知手段を設け、前記温度計測手段の計測結果に基づいて、冷却装置と高周波放射装置の出力を調整することを特徴とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の食品貯蔵装置。
- 貯蔵された食品の重量を計測する重量検知手段を設け、前記重量検知手段の計測結果に基づいて、冷却装置と高周波放射装置の出力を調整することを特徴とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の食品貯蔵装置。
- 貯蔵された食品の温度を計測する温度検知手段又は貯蔵された食品の重量を計測する重量検知手段を設け、前記温度検知手段又は前記重量検知手段の少なくとも一方の計測結果に基づいて、前記貯蔵室に貯蔵された食品を凍結点以下の温度でも凍らない過冷却状態にて維持するように、前記冷却装置と前記高周波放射装置の出力を調整することを特徴とした請求項1〜6のいずれか1項に記載の食品貯蔵装置。
- 前記貯蔵室内に、高周波を反射攪拌するスタラーを設けたことを特徴とした請求項1〜7のいずれか1項に記載の食品貯蔵装置。
- 前記貯蔵室内の壁面に導電性が付与されていることを特徴とした請求項1〜8のいずれか1項に記載の食品貯蔵装置。
- 前記貯蔵室は、引き出し可能で上面が開放された食品収容ケースを備え、前記食品収容ケースにはその前面に前記貯蔵室を開閉する作用を果たす扉が一体に形成されており、
前記扉の前記貯蔵室との当接部分には、前記扉が閉状態のときに前記貯蔵室を密閉する導電性のパッキンを配置したことを特徴とした請求項1〜9のいずれか1項に記載の食品貯蔵装置。 - 前記扉の開閉に応じて、前記高周波放射装置への通電回路を遮断/導通させる回路開閉装置を備え、前記回路開閉装置は前記扉が開状態の時、前記通電回路を遮断するように設定されていることを特徴とした請求項10記載の食品貯蔵装置。
- 前記貯蔵室内に製氷皿を設け、前記製氷皿での製氷工程の少なくとも一部を、前記低速冷却工程により製氷することを特徴とした請求項1〜11のいずれか1項に記載の食品貯蔵装置。
- 前記高周波放射装置の通電時間をカウントする計時手段と、前記計時手段から信号を受けて積算する積算手段と、利用者へ情報を報知する報知手段とを設け、
前記積算手段による通算通電時間が事前に記憶してある所定の時間に到達した場合に、前記高周波放射装置への通電を停止し、前記報知手段により前記高周波放射装置の点検を報知することを特徴とした請求項1〜12のいずれか1項に記載の食品貯蔵装置。 - 請求項1〜13のいずれかに1項に記載の食品貯蔵装置を内蔵し、前記冷気導入経路を他室と共用していることを特徴とする冷蔵庫。
- 請求項12に記載の食品貯蔵装置を内蔵し、製氷用の給水タンクと、前記給水タンクの水を前記製氷皿へ投入する給水ポンプとを設け、前記製氷皿に自動給水可能としたことを特徴とする製氷装置。
- 請求項1に記載の食品貯蔵装置を内蔵し、前記高周波放射装置は少なくともマグネトロンとマグネトロンに連結された導波管から成り、前記貯蔵室は前記導波管に設けられた給電口から放射されるマイクロ波により食品を加熱可能な加熱調理室としても利用可能としたことを特徴とする高周波加熱調理器。
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