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JP4780740B2 - 耐劣化性に優れた感圧接着剤組成物およびそれを用いた情報担持用シート - Google Patents

耐劣化性に優れた感圧接着剤組成物およびそれを用いた情報担持用シート Download PDF

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JP4780740B2 JP2000157159A JP2000157159A JP4780740B2 JP 4780740 B2 JP4780740 B2 JP 4780740B2 JP 2000157159 A JP2000157159 A JP 2000157159A JP 2000157159 A JP2000157159 A JP 2000157159A JP 4780740 B2 JP4780740 B2 JP 4780740B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐劣化性に優れた感圧接着剤組成物およびそれを用いた情報担持用シートに関し、さらに詳しくは、折り重ねや切り重ねにより重ね合わせた面を情報担持面としてなる折り畳みシート、重ね合わせシートのような親展性を有する情報伝達用シートや、寸法拡大可能な整理シート、複写用紙などの事務用シートなどの情報伝達用シート、およびこれに使用する耐劣化性に優れた感圧接着剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、重ね合わせ面に情報を担持する情報担持用シートにおいては、その重ね合わせ面同士が接着するように、通常、重ね合わせた際に対接するようなパターンで、重ね合わせ面の全面や特定部分、あるいは線状に感圧接着剤の接着層が設けられている。この感圧接着剤は自接着性感圧接着剤とも言われ、その接着層同士を対接させた状態で強圧をかけることにより、互いの高分子が自己拡散により密着するタイプものであって、組成物の種類や加圧の程度により、永久接着性や再剥離接着性を具現するものである。
【0003】
従来、この種の情報担持用シートで使用される感圧接着剤の主成分は、一般にメタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴム系粘着剤を主成分として含むものである。しかし、メタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴム系粘着剤を主成分として含む感圧接着剤は、前記接着層の耐酸化劣化性能、耐熱性能、耐UV性能が劣り、空気中に放置されたり、加熱されたり、紫外線(UV)を照射されたりすると90°剥離接着力が低下するという問題があった。
【0004】
すなわち従来の情報担持用シートは、空気中に放置されたり、加熱されたり、紫外線(UV)を照射されたりすると劣化して90°剥離接着力が低下し、甚だしい場合は、90°剥離接着力があまりに低いために、親展情報が隠蔽されて郵送されたハガキなどの情報担持用シートの感圧接着部が自然に剥離するなどして、郵送中は第三者の目に触れてはいけない親展情報が第三者の目に触れてしまう状態になり、親展性情報担持用シートとしての本来の機能を果たさなくなる問題があった。
【0005】
本発明の第1の目的は、従来の問題を解決し、耐酸化劣化性能、耐熱性能、耐UV性能、耐ブロッキング性能に優れた感圧接着剤組成物を提供することであり、本発明の第2の目的は、そのような耐劣化性に優れた感圧接着剤組成物を用いた情報担持用シートを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、エチレン−酢酸ビニル系ポリマー接着剤基剤、特に特定のTgを有するエチレン−酢酸ビニル系ポリマー接着剤基剤と、この接着剤基剤に対し、スターチ、シリカゲルなどの微粒状充填剤を特定量配合した感圧接着剤組成物を用いることにより、耐酸化劣化性能、耐熱性能、耐UV性能、耐ブロッキング性能に優れた感圧接着剤組成物を提供できるとともに、耐劣化性に優れた安価な情報担持用シートを提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の請求項1記載の耐劣化性に優れた感圧接着剤組成物は、シートの重ね合わせ面に塗布され、乾燥処理により通常状態では接着しない接着層を形成し、前記重ね合わせ面同士を対接させ所定の圧力を付与することにより、その重ね合わせ面同士を剥離可能に接着させる感圧接着剤であって、
Tgが−25〜−45℃のエチレン−酢酸ビニル系ポリマー接着剤基剤と、この接着剤基剤固形分100質量部に対し、平均粒子径が0.1〜20μmの微粒状充填剤を30〜100質量部の割合で配合してなることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項記載の情報担持用シートは、基体シートの重ね合わせ面の全面にあるいは隠蔽情報担持面にあるいは線状に請求項1記載の耐劣化性に優れた感圧接着剤組成物の微細な多数の凸状パターンからなる接着層を有してなることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項1および請求項2記載の感圧接着剤組成物によれば、エチレン−酢酸ビニル系ポリマー接着剤を基剤として用い、特に特定のTgを有するエチレン−酢酸ビニル系ポリマーを基剤として用い、この接着剤基剤に対し、微粒状充填剤を特定量配合した感圧接着剤組成物を用いたので、耐酸化劣化性能、耐熱性能、耐UV性能、耐ブロッキング性能に優れており、シートの重ね合わせ面に塗布し、乾燥処理により通常状態では接着しない接着層を形成し、重ね合わせ面同士を対接させた状態で強圧をかけて密着させて接着した後は必要に応じて剥離する際は容易に剥離できる。
【0011】
請求項記載の情報担持用シートは、基体シートの重ね合わせ面の全面にあるいは隠蔽情報担持面にあるいは線状に請求項1記載の感圧接着剤組成物を例えばグラビアコーターにより塗布し、乾燥処理により通常状態では接着しない微細な多数の凸状パターンからなる接着層を形成し、重ね合わせ面同士を対接させた状態で強圧をかけ密着させて接着すると十分な接着力が得られると共に、必要に応じて剥離する際は容易に剥離できる。
請求項記載の情報担持用シートはその接着層が、空気中に放置されたり、加熱されたり、紫外線(UV)を照射されたりしても90°剥離接着力が低下することがなく、耐劣化性に優れている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の感圧接着剤組成物は、通常状態では接着することがなく、加圧により接着し、かつ必要時に剥離しうる接着層を形成するものであって、エチレン−酢酸ビニル系ポリマー接着剤基剤と、この接着剤基剤固形分100質量部に対し、微粒状充填剤を30〜100質量部配合してなる。
【0013】
本発明の感圧接着剤組成物においてはエチレン−酢酸ビニル系ポリマー接着剤を基剤として用いることが肝要である。エチレン−酢酸ビニル系ポリマー接着剤を基剤として用いることにより耐酸化劣化性能、耐熱性能、耐UV性能が改善され、空気中に放置されたり、加熱されたり、紫外線(UV)を照射されたりしても90°剥離接着力が低下することがなくなる。
本発明の感圧接着剤組成物においてTgが−25〜−45℃のエチレン−酢酸ビニル系ポリマー接着剤基剤を用いることが好ましい。Tgが−25℃より高いと90°剥離接着力が好ましい範囲に入らない恐れがあり、Tgが−45℃より低いと90°剥離接着力がやはり好ましい範囲に入らない恐れがある。
【0014】
本発明の感圧接着剤組成物において用いられるTgが−25℃〜−45℃のエチレン−酢酸ビニル系ポリマーは、例えばエチレンモノマーと酢酸ビニルモノマーを共重合して得ることができる。共重合して得られるエチレン−酢酸ビニル系ポリマーのTgの目安は、次式(1)により計算される。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn 式(1)
式(1)において
Tg:得られるエチレン−酢酸ビニル系ポリマーのTg(°K)
W1:エチレンモノマーの質量分率
W2:酢酸ビニルモノマーの質量分率
Wn:共重合する他のモノマーの質量分率
Tg1:エチレンホモポリマーのTg(°K)(エチレンホモポリマーのTgは−125℃)
Tg2:酢酸ビニルホモポリマーのTg(°K)(酢酸ビニルホモポリマーのTgは28℃)
Tgn:他のモノマーのホモポリマーのTg(°K)
【0015】
例えば、エチレンモノマーと酢酸ビニルモノマーを共重合してエチレン−酢酸ビニル系ポリマーを得る場合は、エチレンの共重合量を変えることにより本発明で用いるTgが−25℃〜−45℃のエチレン−酢酸ビニル系ポリマー接着剤を得ることが可能である。
エチレンモノマー、酢酸ビニルモノマーと共重合する他のモノマーは共重合可能であって、かつTgが−25℃〜−45℃の範囲内のエチレン−酢酸ビニル系ポリマー接着剤を得ることが可能であれば特に限定されない。他のモノマーとしては、下記のようなモノマーを挙げることができる。それぞれに記載した数字はそのモノマーを重合して得られるホモポリマーのTg(℃)を示す。
【0016】
モノマー;
メタクリル酸メチル(105)、メタクリル酸エチル(47〜65)、メタクリル酸n−ブチル(20〜22)、メタクリル酸イソブチル(48)、メタクリル酸t−ブチル(107)、アクリロニトリル(105)、メタクリル酸2−エチルヘキシル(−10)、メタクリル酸ラウリル(−65)、アクリル酸メチル(8〜9)、アクリル酸エチル(−22)、アクリル酸n−ブチル(−54〜−56)、アクリル酸イソブチル(−30)、アクリル酸2−エチルヘキシル(−55〜−70)、メタクリル酸オクタデシル(−100)など。
【0017】
(共)重合方法は特に限定されず、例えば、全乳化剤と水、または必要に応じて一部のモノマーと重合開始剤も共に反応器に仕込み、モノマー必要ならば重合開始剤も重合の進行とともに後添加する重合方法であるモノマー添加方法や、最初に一部の重合配合物を乳化して重合し、残りは乳化してエマルジョンとして重合中に逐次添加する重合方法であるエマルジョン添加方法やこれらの組み合わせなどを挙げることができる。
【0018】
このようにして得られるエチレン−酢酸ビニル系ポリマー接着剤からなる接着剤基剤には、所望に応じて接着剤基剤固形分100質量部に対して粘着付与剤(テルペンフェノール樹脂、ポリブテン樹脂、ロジンエステル樹脂、石油樹脂など)を10〜30質量部添加することが好ましい。
【0019】
エチレン−酢酸ビニル系ポリマー接着剤からなる接着剤基剤には、所望に応じて、粘着剤に慣用されている他の添加剤、例えば分散剤、粘度調整剤、流動性改良剤、消泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、帯電防止剤、老化防止剤、などを適宜添加することができる。
【0020】
本発明の感圧接着剤組成物においては、接着剤基剤に対して微粒状充填剤を配合する。微粒状充填剤としては、接着剤基剤との親和力が無いか、あるいは極めて小さく、また、接着剤基剤へ溶解し難いものを用いるのがよい。
【0021】
このようなものとしては、例えば、各種デンプン系、シリカ、合成ゼオライト、微球状アクリル樹脂、微球状メタクリル樹脂、微球状ポリエチレン、球状アルミナ、ガラス粉末、シラスバルーン、活性白土などが挙げられる。
これらの微粒状充填剤は、単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの微粒状充填剤は、その平均粒子径が0.1〜20μm、好ましくは0.5〜10μmの範囲にあるものが好適である。
【0022】
本発明の感圧接着剤組成物においては、接着剤基剤(固形分)100質量部に対し、微粒状充填剤を30〜100質量部、好ましくは40〜100質量部、より好ましくは50〜100質量部の範囲で配合する。30質量部未満で微粒状充填剤の配合量が少なすぎると、耐ブロッキング性能が低下したり、また、接着力が強すぎて剥離しにくくなるし、また、100質量部を超えて多すぎると接着力が低くなりすぎ、十分な粘着性を示さなくなる。
【0023】
本発明の感圧接着剤組成物は、グラビアコーター、フレキソ、エアナイフコーター、バーコーターなどの塗布手段により基体シート面に塗布され、二つ折り、三つ折り、切り重ね、あるいは別体同士の重ね合わせなど、各種の重ね合わせの形で、一時的には接着するが、必要に応じて容易に剥離できる見開き面を有するハガキ、各種帳票、通知書、各種カードなどに好適に利用できる。
【0024】
次に、本発明の感圧接着剤組成物が塗布される基体シートとしては、通常の紙の他に、合成紙、あるいはポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニルなどの合成フィルムを用いることもできる。これらの合成フィルムを用いる場合には、基体シートの表面をマット処理、コロナ処理などの表面処理を施すのが好ましい。また、基体シート面への感圧接着剤組成物の塗布量は、接着層の接着性、剥離性などのため、1〜30g/m2 、好ましくは3〜20g/m2 、さらに好ましくは5〜15g/m2 とするのがよい。
【0025】
本発明の情報担体用シートは、基体シート面の少なくとも一部に、本発明の感圧接着剤組成物から成る微細な多数の凸状パターンからなる接着層が設けられていることが肝要である。
本発明の感圧接着剤組成物の微細な多数の凸状パターンからなる接着層を基体シート面に設ける方法は、特に限定されるものではないが、グラビアコーターによる塗布方法が経済的にも、紙への定着性、接着剤皮膜の凝集力がともに強く、印刷機やプリンターなどを走行中に接着剤が摩耗したり、脱落しないなどの特性を情報担体用シートに付与させ易い点からも最も好ましい方法である。
エアーナイフコーターでコーテイングすると、接着層の表面は均一な状態となるため、接着剤基剤100質量部に対して100質量部を超える微粒状充填剤の配合が必要となるのに対し、グラビアコーターによる塗布方法によれば微粒状充填剤は30〜100質量部とすることができる。
【0026】
これはエアーナイフコーターでコーテイングすると微粒状充填剤が基体シート面上に平坦に且つ均一に塗布されるが、グラビアコーターは彫刻ロールのメッシュの凹状パターンで基体シート面に塗布されるからであり、一回の塗布で本発明の感圧接着剤組成物の微細な多数の凸状パターンからなる接着層を設けることができる。彫刻ロールのメッシュの凹状パターンは表1に示すように、山の幅(a)、山と山の幅(b)、谷の幅(c)、山の高さ(d)の異なるピラミッド型や格子型などがあり、これらの凹部に感圧接着剤組成物が保持される。通常は一旦、彫刻ロールから転写ロール(プリントロール)に感圧接着剤組成物が転写された後、基体シートへ塗布されるグラビアオフセット方式が採用される。
このメッシュの凹状パターンの大きさと形状で、基体シート面上に設けられる本発明の感圧接着剤組成物の接着層の微細な凸状パターンの大きさや形状が異なってくる。なお、グラビアコーターによるコーティング時に本発明の感圧接着剤組成物は広がるので、上記メッシュの凹状パターンの大きさや形状そのままの微細な凸状パターンが形成されないことは勿論である。
【0027】
【表1】
Figure 0004780740
【0028】
グラビアコーターによるコーティング時に、接着剤基剤は、微粒状充填剤のシリカゲルや小麦デンプンより速やかに広がるため、塗布された本発明の感圧接着剤組成物の凸状パターンの中心部の組成は、元の接着剤の組成より、微粒状充填剤のシリカゲルや小麦デンプンが多くなる。従って、基体シート面との接着は、凸状パターンの中の接着剤基剤と広がった接着剤基剤によってなされるものと考えられる。
本発明の情報担体用シートの耐ブロッキング性は微粒状充填剤であるシリカゲルや小麦デンプンにより改善されるが、本発明の感圧接着剤組成物の接着層は多数の微細な凸状パターンから形成されているので、均一に塗布されている時より情報担体用シートの耐ブロッキング性はより改善される。また、凸状パターンの中の微粒状充填剤は接着剤基剤で固着され、さらにその凸状パターンは広がった接着剤基剤により基体シート面に接着される。
このようにして、本発明の感圧接着剤組成物が基体シート面上に均一に存在する時よりも、本発明の感圧接着剤組成物の接着層を強固に基体シート面に定着させることができると共に、微粒状充填剤の配合量が少ないこともあり、微粒状充填剤の脱落がなく、印刷適性、プリンター適性、シーラー適性などが大いに改善された情報担体用シートを得ることができるものと考えられる。なお、上記のような優れた特性を有する本発明の情報担体シートが得られる理由はこの考えのみに限定されるものではない。
さらに、形成された剥離可能な接着層を加圧ローラにて加圧することにより、耐ブロッキング性をさらに向上させることができる。
【0029】
次に、本発明の情報担持用シートの構成について添付図面に基づき詳細に説明する。ここで、図1は本発明の三つ折りハガキの表面展開図、図2はこのハガキの裏面展開図、図3は図1のX−X線断面図、図4は図1のハガキを折り込む際の状態説明図、図5は本発明の二つ折りハガキの表面展開図、図6はこのハガキの裏面展開図、図7は図5のハガキを折り込む際の状態説明図、図8は本発明の部分二つ折りハガキの表面展開図、図9はこのハガキの裏面展開図、図10は図8のハガキを折り込む際の状態説明図である。
【0030】
先ず、図1ないし図3に示す三つ折りハガキ1は、定型ハガキサイズの3倍のサイズを有する基体シート2から構成され、折り線3a、3bによって3つの領域に区画されるものである。左側区画領域Aの表面には、郵便番号、宛て名、住所等の宛て先情報印刷4が、また中央区画領域Bの表裏面及び右側区画領域Cの表面には隠蔽情報印刷5が、基体シート2に直接印刷されている。さらに、この印刷された基体シート2の区画領域B及びCの表面全体と区画領域A及びBの裏面全体に対し、本発明の感圧接着剤組成物が塗布されて剥離可能な接着層6が形成されている。このように構成された三つ折りハガキ1は、図4に示すように、各区画の重ね合わせ面を折り線3a、3bにてZ型に折り込んで接着層同士を対接させ、この状態でドライシーラーで加圧することにより、その接着層6が活性化されて接着される。
【0031】
次に、図5及び図6に示す二つ折りハガキ11は、定型ハガキサイズの2倍のサイズを有する基体シート2から構成され、中央部の折り線3によって2つの領域D及びEに区画されるものである。左側区画領域Dの表面には、郵便番号、宛て名、住所等の宛て先情報印刷4が、また区画領域D及びEの裏面には隠蔽情報印刷5が、基体シート2に直接印刷されている。さらに、この印刷された基体シート2の区画領域D及びEの裏面全体に対し、本発明の感圧接着剤組成物が塗布されて剥離可能な接着層6が形成されている。このように構成された二つ折りハガキ11は、図7に示すように、上記の三つ折りハガキと同様に、左右区画裏面の接着層同士が対接するように折り線3で折り込んで加圧することにより、その接着層6が活性化されて接着される。
【0032】
また、図8及び図9に示す部分二つ折りハガキ21は、定型ハガキサイズの1.5倍のサイズを有する基体シート2から構成され、折り線3によってサイズの異なる左右2つの領域F及びGに区画されるものである。左側区画領域Fの表面には、郵便番号、宛て名、住所等の宛て先情報印刷4が、また右側区画領域Gの裏面には隠蔽情報印刷5が、基体シート2に直接印刷されている。さらに、この印刷された基体シート2の区画領域Gの裏面全体及び区画領域Gを折り線3で折り込んだ際に重ね合わされる区画領域Fの一部裏面に対し、本発明の感圧接着剤組成物が塗布されて剥離可能な接着層6が形成されている。このように構成された部分二つ折りハガキ21は、図10に示すように、上記の二つ折りハガキと同様に、左右区画裏面の接着層同士が対接するように折り線3で折り込んで加圧することにより、その接着層6が活性化されて接着される。
【0033】
また、本発明の感圧接着組成物により形成される剥離可能な接着層は、それ自体印刷インキ及びトナーの受容性をも有するため、必要に応じ、さらにその表面に通常の印刷装置あるいはノンインパクトプリンタで付加情報(図示せず)をプリントすることができる。
【0034】
【実施例】
以下実施例および比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
(実施例1)
Tg−45℃のエチレン−酢酸ビニル系ポリマー接着剤基剤(固形分)100質量部に対し、シリカゲル(日本シリカ工業(株)製、ニップジェルBY−400、平均粒径4.0μmあるいは富士シリシア(株)製、サイシリア446、平均粒径4.5μm)15質量部、スターチ15質量部配合して本発明の感圧接着剤組成物を調製した。
この本発明の感圧接着剤組成物を連量70kgの上質紙にグラビアオフセット方式により10g/m2 の割合で塗布し、接着層を形成し、次いで、120℃、30秒間加熱を行い乾燥処理した。
このようにして作った情報担持用シートの製造直後の90°剥離(T型剥離)接着力、耐酸化劣化性能、耐熱性能、耐UV性能を下記の方法により評価し、評価結果を表2に示す。
【0035】
(1)90°剥離(T型剥離)接着力の測定方法:
得られた情報担持用シートを、幅25mm、長さ100mmに裁断して試料を作成し、この試料2枚を25mmの長さで重ね合わせ7MPaの荷重を加えて圧着した。接着剤の剥離接着強さ試験方法JISK6854に準じて、オートグラフAGS50(島津製作所製)を用いて90°剥離(T型剥離)接着力を測定する。
◎:優、○:良、△:可、×:不可
◎:100〜150(gf/25mm)
○:150〜200(gf/25mm)あるいは
50〜100(gf/25mm)
△:200〜300(gf/25mm)あるいは
30〜 50(gf/25mm)
×:300(gf/25mm)以上あるいは
30(gf/25mm)以下
【0036】
(2)耐酸化劣化性能:
得られた情報担持用シートを、ヤマト科学製の送風定温器中に入れて、40℃で24時間放置した後に上記のようにして90°剥離(T型剥離)接着力を測定する。
◎:優、○:良、△:可、×:不可
◎:90°剥離接着力が80〜100%保持されている。
○:90°剥離接着力が60〜80%保持されている。
△:90°剥離接着力が40〜60%しか保持されていない。
×:90°剥離接着力が40%以下になった。
【0037】
(3)耐熱性能:
得られた情報担持用シートを、140℃のステンレス板に挟み、30分放置した後に上記のようにして90°剥離(T型剥離)接着力を測定する。
◎:優、○:良、△:可、×:不可
◎:90°剥離接着力が80〜100%保持されている。
○:90°剥離接着力が60〜80%保持されている。
△:90°剥離接着力が40〜60%しか保持されていない。
×:90°剥離接着力が40%以下になった。
【0038】
(4)耐UV性能:
得られた情報担持用シートを、アイグラフィックス製メタルハライドランプを使用して、57mJ/cm2 の紫外線(UV)を照射した後に上記のようにして90°剥離(T型剥離)接着力を測定する。
◎:優、○:良、△:可、×:不可
◎:90°剥離接着力が80〜100%保持されている。
○:90°剥離接着力が60〜80%保持されている。
△:90°剥離接着力が40〜60%しか保持されていない。
×:90°剥離接着力が40%以下になった。
【0039】
(実施例2〜3)
表2に示した各成分の配合割合とした以外は、実施例1と同様にして本発明の感圧接着剤組成物を調製し、実施例1と同様にして得た情報担持用シートの90°剥離接着力、耐酸化劣化性能、耐熱性能、耐UV性能を評価した結果を表2に示す。
【0040】
(実施例4〜6)
Tg−35℃のエチレン−酢酸ビニル系ポリマー接着剤基剤を用い表2に示した各成分の配合割合とした以外は、実施例1〜3と同様にして本発明の感圧接着剤組成物を調製し、実施例1〜3と同様にして得た情報担持用シートの90°剥離接着力、耐酸化劣化性能、耐熱性能、耐UV性能を評価した結果を表2に示す。
【0041】
(実施例7〜9)
Tg−25℃のエチレン−酢酸ビニル系ポリマー接着剤基剤を用い表2に示した各成分の配合割合とした以外は、実施例1〜3と同様にして本発明の感圧接着剤組成物を調製し、実施例1〜3と同様にして得た情報担持用シートの90°剥離接着力、耐酸化劣化性能、耐熱性能、耐UV性能を評価した結果を表2に示す。
【0042】
(比較例1)
天然ゴム(NR)100質量部とMMA25重量部とを混合してグラフト共重合して得たMMAグラフト共重合天然ゴムエマルジョン100質量部(固形分)に対して、スチレンリッチSBRラテックス(ニポール2507H、日本ゼオン(株))を固形分が20質量部となるように配合した接着剤基剤を用いた以外は、実施例1〜3と同様にして比較のための感圧接着剤組成物を調製し、実施例1〜3と同様にして得た情報担持用シートの90°剥離接着力、耐酸化劣化性能、耐熱性能、耐UV性能を評価した結果を表3に示す。
【0043】
(比較例2〜3)
表3に示した配合とした以外は比較例1と同様にして、比較のための感圧接着剤組成物を調製し、実施例1〜3と同様にして得た情報担持用シートの90°剥離接着力、耐酸化劣化性能、耐熱性能、耐UV性能を評価した結果を表3に示す。
【0044】
(比較例4〜6)
スチレンリッチSBRラテックスの替わりにポリスチレンエマルジョン(ニポールLX303、日本ゼオン(株))を用いた以外は、比較例1と同様にして比較のための感圧接着剤組成物を調製し、実施例1〜3と同様にして得た情報担持用シートの90°剥離接着力、耐酸化劣化性能、耐熱性能、耐UV性能を評価した結果を表3に示す。
【0045】
(比較例7〜9)
Tg−20℃のエチレン−酢酸ビニル系ポリマー接着剤基剤を用い表4に示した各成分の配合割合とした以外は、実施例1〜3と同様にして比較のための感圧接着剤組成物を調製し、実施例1〜3と同様にして得た情報担持用シートの90°剥離接着力、耐酸化劣化性能、耐熱性能、耐UV性能を評価した結果を表4に示す。
【0046】
(比較例10〜12)
Tg−50℃のエチレン−酢酸ビニル系ポリマー接着剤基剤を用い表4に示した各成分の配合割合とした以外は、実施例1〜3と同様にして比較のための感圧接着剤組成物を調製し、実施例1〜3と同様にして得た情報担持用シートの90°剥離接着力、耐酸化劣化性能、耐熱性能、耐UV性能を評価した結果を表4に示す。
【0047】
【表2】
Figure 0004780740
【0048】
【表3】
Figure 0004780740
【0049】
【表4】
Figure 0004780740
【0050】
表2から、実施例1〜9の本発明の感圧接着剤組成物は90°剥離接着力、耐酸化劣化性能、耐熱性能、耐UV性能がいずれも優れていることが判る。
表3から、比較例1〜6の比較の感圧接着剤組成物は90°剥離接着力はよいが、耐酸化劣化性能、耐熱性能、耐UV性能がいずれも劣ることが判る。
表4から、比較例7〜12の比較の感圧接着剤組成物はいずれも特に90°剥離接着力が劣ることが判る。
【0051】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の感圧接着剤組成物は、Tgが−25〜−45℃のエチレン−酢酸ビニル系ポリマー接着剤基剤と、この接着剤基剤固形分100質量部に対し、平均粒子径が0.1〜20μmの微粒状充填剤を特定量配合したので、耐酸化劣化性能、耐熱性能、耐UV性能、耐ブロッキング性能に優れ、空気中に放置されたり、加熱されたり、紫外線(UV)を照射されたりしても接着力が低下しないという顕著な効果を奏する。
【0053】
請求項2記載の情報担持用シートは、基体シートの重ね合わせ面の全面にあるいは隠蔽情報担持面にあるいは線状に請求項1記載の感圧接着剤組成物を例えばグラビアコーターにより塗布し、乾燥処理により通常状態では接着しない微細な多数の凸状パターンからなる接着層を形成し、重ね合わせ面同士を対接させた状態で強圧をかけ密着させて接着すると十分な接着力が得られるとともに、必要に応じて剥離する際は容易に剥離できるという効果を奏する。
また、請求項2記載の情報担持用シートは、耐酸化劣化性能、耐熱性能、耐UV性能に優れ、加熱されたり、紫外線(UV)を照射されたりしても接着力が低下しないという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の三つ折りハガキの表面展開図。
【図2】図1のハガキの裏面展開図。
【図3】図1のX−X線断面図。
【図4】図1のハガキを折り込む際の状態説明図。
【図5】本発明の二つ折りハガキの表面展開図。
【図6】図5のハガキの裏面展開図。
【図7】図5のハガキを折り込む際の状態説明図。
【図8】本発明の部分二つ折りハガキの表面展開図。
【図9】図8のハガキの裏面展開図。
【図10】図8のハガキを折り込む際の状態説明図。
【符号の説明】
2、12、22 基体シート
3、3a、3b 折り線
5 隠蔽情報印刷
6 剥離可能な接着層

Claims (2)

  1. シートの重ね合わせ面に塗布され、乾燥処理により通常状態では接着しない接着層を形成し、前記重ね合わせ面同士を対接させ所定の圧力を付与することにより、その重ね合わせ面同士を剥離可能に接着させる感圧接着剤であって、
    Tgが−25〜−45℃のエチレン−酢酸ビニル系ポリマー接着剤基剤と、この接着剤基剤固形分100質量部に対し、平均粒子径が0.1〜20μmの微粒状充填剤を30〜100質量部の割合で配合してなることを特徴とする耐劣化性に優れた感圧接着剤組成物。
  2. 基体シートの重ね合わせ面の全面にあるいは隠蔽情報担持面にあるいは線状に請求項1記載の耐劣化性に優れた感圧接着剤組成物の微細な多数の凸状パターンからなる接着層を有してなる情報担持用シート。
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