(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。本実施形態では、粒子状物質(PM)の浄化を行う排気浄化装置が搭載されたディーゼルエンジン(エンジン1)においてPMを浄化する要求に基づいて排気系の温度上昇を図る装置として本発明を具体化している。
<ディーゼルエンジンの構造>
図1に、本発明の排気系温度制御装置が適用されたエンジン1の概略構造を示す。
エンジン1は、シリンダブロック11とシリンダヘッド12との組み合わせにより構成されている。また、燃料供給装置5、排気再循環装置6及び排気浄化装置7を備えて構成されている。また、各種装置を統括的に制御する電子制御装置9が備えられている。なお、排気系温度制御装置は電子制御装置9を含めて構成されている。
シリンダブロック11には、複数のシリンダ13が設けられている。各シリンダ13には、空気及び燃料の混合気を燃焼させるための燃焼室14が形成されている。シリンダヘッド12には、各燃焼室14に燃料を直接的に噴射するインジェクタ51、及び燃焼室14や燃料を加熱するグロープラグ15が設けられている。
シリンダヘッド12のインテークポートには、インテークマニホールド21が接続されている。インテークマニホールド21の集合管には、インテークパイプ22が接続されている。エンジン1においては、インテークパイプ22内の通路とインテークマニホールド21内の通路とにより、外部の空気を各燃焼室14に流通させるための吸気通路23が形成されている。シリンダヘッド12のエキゾーストポートには、エキゾーストマニホールド24が接続されている。エキゾーストマニホールド24の集合管には、エキゾーストパイプ25が接続されている。エンジン1においては、エキゾーストマニホールド24内の通路とエキゾーストパイプ25内の通路とにより、燃焼室14の燃焼ガスを外部に流通させるための排気通路26が形成されている。
吸気通路23には、空気の流れ方向の上流側から順に、エアクリーナ31、ターボチャージャ34のコンプレッサーホイール35、インタークーラ32及びスロットルバルブ33が配置されている。排気通路26には、排気の流れ方向の上流側から順に、排気浄化装置7のサブインジェクタ71、ターボチャージャ34のタービンホイール36並びに排気浄化装置7のNOx触媒コンバータ72及び触媒担持型フィルタ73が配置されている。なお、本実施形態においては、NOx触媒コンバータ72が第1浄化装置に相当する。また、触媒担持型フィルタ73が第2浄化装置に相当する。
燃料供給装置5は、高圧の燃料を燃焼室14に噴射することのできるコモンレール式の装置として構成されている。具体的には、インジェクタ51、フューエルタンク52、フューエルポンプ53及びコモンレール54を含めて構成されている。インジェクタ51は、燃焼室14に対して直接的に燃料を噴射する。フューエルポンプ53は、フューエルタンク52内の燃料を吸引した後に燃料を所定の圧力まで加圧してコモンレール54に供給する。コモンレール54は、フューエルポンプ53から供給された燃料を高圧の状態に維持する。コモンレール54内の燃料は、各インジェクタ51の開弁にともない対応する燃焼室14に噴射される。
排気再循環装置6は、インテークパイプ22内に排気の一部を供給する排気再循環(いわゆるEGR)を行うことにより窒素酸化物の発生量を低減することのできる装置として構成されている。具体的には、EGRパイプ61、EGRクーラ62及びEGRバルブ63を含めて構成されている。EGRパイプ61は、タービンホイール36よりも上流の排気通路26とスロットルバルブ33よりも下流の吸気通路23とを連通する。EGRクーラ62は、EGRパイプ61を介してインテークパイプ22に供給される排気を冷却する。EGRバルブ63は、EGRパイプ61を介してインテークパイプ22へ供給される排気の流量を調整する。
排気浄化装置7は、排気中の粒子状物質(PM)、窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)の浄化を行うことのできる装置として構成されている。具体的には、サブインジェクタ71、NOx触媒コンバータ72及び触媒担持型フィルタ73を含めて構成されている。
サブインジェクタ71は、エキゾーストマニホールド24の集合管内の排気に燃料を噴射する。サブインジェクタ71には、コモンレール54に供給される燃料よりも圧力の低い燃料がフューエルポンプ53を通じて供給される。サブインジェクタ71を通じて噴射された燃料は、排気とともにNOx触媒コンバータ72や触媒担持型フィルタ73に供給される。
NOx触媒コンバータ72は、吸蔵還元型のNOx触媒が担持された触媒担体を備えて構成されている。排気中のNOxは、排気が酸化雰囲気(リーン)のとき、NOx触媒に吸蔵される。一方で、NOx触媒に吸蔵されているNOxは、排気が還元雰囲気(ストイキあるいはリッチ)のとき、一酸化窒素(NO)として離脱してHCやCOにより還元される。なお、「ストイキ」は排気の空燃比が理論空燃比に相当する状態を、「リーン」は排気の空燃比が理論空燃比よりも大きい状態を、「リッチ」は排気の空燃比が理論空燃比よりも小さい状態をそれぞれ示す。
触媒担持型フィルタ73は、排気中のPMを捕捉することのできる多孔質セラミック構造体(PMフィルタ)を備えて構成されている。また、PMフィルタには、吸蔵還元型のNOx触媒が担持されている。排気中のPMは、排気が多孔質セラミック構造体を通過する際に同構造体の壁に捕捉される。一方で、セラミック構造体に捕捉されているPMは、排気が高温のときに排気中の酸素により酸化される。また、NOxの吸蔵時や放出時に生成される活性酸素によっても酸化される。なお、触媒担持型フィルタ73においては、NOx触媒コンバータ72と同様の態様をもってNOxの浄化も行われる。
エンジン1には、上記各装置に加えて、クランクシャフトのトルクを通じて発電を行うオルタネータ16が備えられている。オルタネータ16により発電された電力は車両のバッテリ17に供給される。インジェクタ51、グロープラグ15、サブインジェクタ71及びスロットルバルブ33等の補機類はバッテリ17の電力により駆動される。
電子制御装置9は、エンジン制御にかかる演算処理を実行する中央演算処理装置、エンジン制御に必要なプログラムやマップが予め記憶された読み出し専用メモリ、中央演算処理装置の計算結果等を一時的に記憶するランダムアクセスメモリ、外部の信号を入力するための入力ポート、及び外部の装置に信号を出力するための出力ポート等を備えて構成されている。入力ポートには、エンジン1の運転状態を検出するためのクランクポジションセンサ91、スロットルポジションセンサ92、入口排気温度センサ93及び出口排気温度センサ94等が接続されている。出力ポートには、インジェクタ51、グロープラグ15、サブインジェクタ71及びスロットルバルブ33等が接続されている。
クランクポジションセンサ91は、エンジン1のクランクシャフトの近傍に設けられており、クランクシャフトの回転角度(クランク回転角度CA)に応じた電力信号を出力する。クランクポジションセンサ91の出力信号は、電子制御装置9に入力された後、クランク回転角度計測値CAMとして各種制御に用いられる。電子制御装置9は、クランク回転角度計測値CAMに基づいて、クランクシャフトの回転速度(エンジン回転速度NE)を算出する。
スロットルポジションセンサ92は、スロットルバルブ33の近傍に設けられており、スロットルバルブ33の開度(スロットル開度TA)に応じた電気信号を出力する。スロットルポジションセンサ92の出力信号は、電子制御装置9に入力された後、スロットル開度計測値TAMとして各種制御に用いられる。
入口排気温度センサ93は、NOx触媒コンバータ72の下流且つ触媒担持型フィルタ73の上流の排気通路26に設けられており、触媒担持型フィルタ73に流れ込む直前の排気の温度(入口排気温度TGI)に応じた電気信号を出力する。入口排気温度センサ93の出力信号は、電子制御装置9に入力された後、入口排気温度計測値TGIMとして各種制御に用いられる。
出口排気温度センサ94は、触媒担持型フィルタ73の下流且つ触媒担持型フィルタ73の近傍の排気通路26に設けられており、触媒担持型フィルタ73を通過した直後の排気の温度(出口排気温度TGO)に応じた電気信号を出力する。出口排気温度センサ94の出力信号は、電子制御装置9に入力された後、出口排気温度計測値TGOMとして各種制御に用いられる。
電子制御装置9は、上記各センサの出力信号等を通じて把握されるエンジン運転状態に基づいて、スロットルバルブ33の開度を調整するスロットル制御、インジェクタ51による燃料の噴射量を調整する燃料噴射制御、サブインジェクタ71による燃料の噴射量を調整する補助燃料噴射制御、及びオルタネータ16の発電量を調整する充電制御等の各種制御を行う。
燃料噴射制御においては、基本的にはエンジン回転速度NE及びスロットル開度TAに基づいて燃料噴射量の基本値(基本噴射量Fbse)を設定する。また、補機の駆動によりエンジン1の負荷が増大するときには、負荷の大きさに応じて燃料噴射量の補正量(補正噴射量Fadd)を設定する。そして、補正噴射量Faddを設定したときには、基本噴射量Fbseと補正噴射量Faddとを加算した噴射量を最終的なインジェクタ51の燃料噴射量(最終噴射量Ffin)として設定する。一方、補正噴射量Faddを設定していないときには、基本噴射量Fbseを最終的なインジェクタ51の燃料噴射量(最終噴射量Ffin)として設定する。
充電制御においては、電動式補機(グロープラグ15等)の駆動によるバッテリ17の電力の消費量に基づいて、オルタネータ16の発電量の大きさを設定する。具体的には、バッテリ17の電力の消費量が増大するにつれてオルタネータ16の発電量を大きくなる方向に設定する。従って、バッテリ17の電力の消費量が増大するにつれてオルタネータ16からエンジン1に付与される負荷が大きくなるため、これに応じて補正噴射量Faddが大きくなる方向に設定される。なお、電動式補機は、バッテリ17から電力の供給を受けて駆動する補機を示す。
このように、エンジン1においては、電動式補機が駆動するときにオルタネータ16がエンジン1に与える負荷の大きさに応じた分の補正噴射量Faddが基本噴射量Fbseに加えられるため、同補機が駆動していないときに比べてインジェクタ51の最終噴射量Ffinが大きい値に設定される。例えば、グロープラグ15への通電が実行されているとき、インジェクタ51の最終噴射量Ffinは、グロープラグ15への通電が実行されていないときに比べて少なくともグロープラグ15による電力の消費量に応じた分だけ大きい値に設定される。
<再生制御の概要>
エンジン1においては、触媒担持型フィルタ73に捕捉されているPMの量が多くなるにつれて圧力損失が増大するため、運転状態の悪化をまねく前に同フィルタ73上に堆積しているPMを除去することが要求される。そこで、電子制御装置9は、触媒担持型フィルタ73に堆積しているPMの量が許容量を超えていると推定されるとき、PMを燃焼させて除去することにより触媒担持型フィルタ73のPM捕捉能力を再生するための再生制御を実行するようにしている。なお、以降では触媒担持型フィルタ73のPM捕捉能力を再生する動作を適宜「フィルタ再生」として示す。
再生制御においては、NOx触媒が十分に活性している状態において排気中に燃料(添加剤)を供給することにより、触媒担持型フィルタ73の温度(下流触媒床温TR)をフィルタ再生に必要な温度(再生触媒床温TRfin(例えば600℃))以上の温度にまで上昇させるようにしている。排気中に供給された燃料がNOx触媒コンバータ72で酸化されたとき、触媒担持型フィルタ73に供給される排気の温度が高められるため、下流触媒床温TRの上昇が図られるようになる。また、排気中に供給された燃料が触媒担持型フィルタ73で酸化されたとき、酸化反応にともなう発熱を通じて下流触媒床温TRの上昇が図られるようになる。また、排気中に供給された燃料が触媒担持型フィルタ73よりも上流側の排気中で酸化されたとき、触媒担持型フィルタ73に供給される排気の温度が高められるため、下流触媒床温TRの上昇が図られるようになる。なお、以降では、排気中に燃料を供給する動作を適宜「燃料添加」として示す。燃料添加の方法としては、主に(a)サブインジェクタ71を通じて燃料噴射を実行する方法、(b)インジェクタ51を通じてポスト噴射(詳細は後述)を実行する方法、及びこれら(a)の方法と(b)の方法とを組み合わせて実行する方法が挙げられる。
NOx触媒が十分に活性している状態においては、基本的にはインジェクタ51のメイン噴射での燃料噴射量にかかわらず燃料添加により下流触媒床温TRを再生触媒床温TRfin以上の温度にまで上昇させることが可能となる。一方で、NOx触媒が十分に活性していない状態においては、下流触媒床温TRを再生触媒床温TRfin以上にまで上昇させるために必要となる量の燃料を排気中に供給してもこの燃料がNOx触媒上で酸化されないため、基本的にはフィルタ再生を完了させることができない。こうしたことから、触媒担持型フィルタ73のPMの堆積量が許容量を超えているとき、より早期にNOx触媒を十分に活性させることが要求される。
そこで、再生制御においては、実行条件が成立している状態においてNOx触媒が十分に活性していないとき、NOx触媒を十分な活性状態に移行させるための処理として、インジェクタ51のアフター噴射(詳細は後述)やサブインジェクタ71による少量の燃料添加にあわせてグロープラグ15への通電を実行するようにしている。ちなみに、グロープラグ15への通電が行われたときには、オルタネータ16の発電量に応じてインジェクタ51の燃料噴射量が増量されることにより、燃焼室14から排気通路26に送り出される排気の温度が高められるため、下流触媒床温TRの上昇が図られるようになる。なお、以降ではグロープラグ15に通電する動作を適宜「グロー通電」として示す。
インジェクタ51の燃料噴射形態の種類について説明する。
「メイン噴射」:メイン噴射は、主に圧縮行程で燃料を噴射するインジェクタ51の燃料噴射形態を示す。すなわち、噴射した燃料を燃焼室14で燃焼させてピストンを押し下げるための膨張力を得ることをねらいとして行われる。
「アフター噴射」:アフター噴射は、メイン噴射がなされた後の膨張行程中に燃料を噴射するインジェクタ51の燃料噴射形態を示す。すなわち、噴射した燃料の大部分を燃焼室14で燃焼させて排気の温度を上昇させることをねらいとして行われる。なお、アフター噴射を通じて噴射された燃料の一部は、排気とともに排気通路26に送り出される。
「ポスト噴射」:ポスト噴射は、アフター噴射がなされた後の膨張−排気行程中に燃料を噴射するインジェクタ51の燃料噴射形態を示す。すなわち、噴射した燃料の大部分を燃焼室14で燃焼させることなく排気とともに排気通路26に送り出すことをねらいとして行われる。
サブインジェクタ71の燃料添加態様の種類について説明する。
「基本燃料添加」:基本燃料添加は、NOx触媒が活性状態にあるもののその活性度合いが十分でない状態(NOx触媒の弱い活性状態)に適合した量の燃料を噴射するサブインジェクタ71の燃料添加態様を示す。すなわち、弱い活性状態のNOx触媒に対して同触媒上で十分に酸化させることのできる少量の燃料を噴射する燃料添加態様を示す。
「再生燃料添加」:再生燃料添加は、下流触媒床温TRを再生触媒床温TRfin以上の温度にまで上昇させることをねらいとして行われるサブインジェクタ71の燃料添加態様を示す。すなわち、十分な活性状態にあるNOx触媒に対して同触媒上で十分に酸化させることのできる多量の燃料を噴射する燃料添加態様を示す。なお、再生触媒床温TRfinは、触媒担持型フィルタ73に堆積しているPMを十分に燃焼させることのできる下流触媒床温TRとして設定される。
<再生制御処理の概要について>
図2及び図3を参照して、「再生制御処理(図4〜図6)」の概要について説明する。
図2に示すように、「再生制御処理」ではNOx触媒コンバータ72の温度(上流触媒床温TF)の領域を以下の(a)〜(d)に、NOx触媒コンバータ72に流れ込む直前の排気温度(基準排気温度TG)の領域を以下の(e)〜(h)の領域にそれぞれ区分し、上流触媒床温TF及び基準排気温度TGの属する温度領域に基づいて、アフター噴射及び燃料添加の実行態様を設定するようにしている。
(a)触媒床温領域FA:第1触媒床温TF1未満。
(b)触媒床温領域FB:第1触媒床温TF1以上かつ第2触媒床温TF2未満。
(c)触媒床温領域FC:第2触媒床温TF2以上かつ第3触媒床温TF3未満。
(d)触媒床温領域FD:第3触媒床温TF3以上。
(e)排気温度領域GA:第1排気温度TG1未満。
(f)排気温度領域GB:第1排気温度TG1以上かつ第2排気温度TG2未満。
(g)排気温度領域GC:第2排気温度TG2以上かつ第3排気温度TG3未満。
(h)排気温度領域GD:第3排気温度TG3以上。
具体的には、上流触媒床温TFが触媒床温領域FBに属すること及び基準排気温度TGが排気温度領域GBに属することを第1昇温条件として、この条件が成立していることに基づいてアフター噴射を実行する。また、上流触媒床温TFが触媒床温領域FCに属すること及び基準排気温度TGが排気温度領域GCに属することを第2昇温条件として、この条件が成立していることに基づいて基本燃料添加を実行する。また、上流触媒床温TFが触媒床温領域FDに属すること及び基準排気温度TGが排気温度領域GDに属することを第3昇温条件として、この条件が成立していることに基づいて再生燃料添加を実行する。なお、上流触媒床温TFについての上記各閾値は、触媒の活性状態を分類するために予め設定される触媒の温度に相当する。
上記各温度領域の境界を示す各上流触媒床温TF及び各基準排気温度TGは、例えば次のように設定することができる。なお、本実施形態の「再生制御処理」では以下の温度設定を採用している。
・第1触媒床温TF1:150℃
・第2触媒床温TF2:200℃
・第3触媒床温TF3:260℃
・第1排気温度TG1:150℃
・第2排気温度TG2:200℃
・第3排気温度TG3:260℃
以下の(A)〜(F)において、上記各温度領域の境界を示す各上流触媒床温TF及び各基準排気温度TGについて説明する。なお、以下の説明ではNOx触媒コンバータ72を対象としているが、触媒担持型フィルタ73についても同様の説明を適用することができる。
(A)上流触媒床温TFが第1触媒床温TF1未満のとき、NOx触媒が活性していない状態(NOx触媒の不活性状態)にあるため、排気中に含まれる燃料が微量であってもこの燃料がNOx触媒上で酸化されない。すなわち、第1触媒床温TF1は、NOx触媒上で微量の燃料を酸化させることのできる状態を把握するための上流触媒床温TFの閾値に相当する。こうしたことから、上流触媒床温TFが触媒床温領域FAに属する状態においては、排気中に供給される燃料が微量となるアフター噴射についてもその実行を許容することができない。そこで、本実施形態では、少なくともアフター噴射の実行を許容することのできる状態にあるか否かを判定するための値として、第1触媒床温TF1を予め電子制御装置9に記憶させるようにしている。
(B)上流触媒床温TFが第1触媒床温TF1以上かつ第2触媒床温TF2未満のとき、NOx触媒が活性状態にあるもののその活性度合いが極めて弱い状態(NOx触媒の極めて弱い活性状態)にあるため、排気中に含まれる燃料が微量の場合にはこの燃料がNOx触媒上で十分に酸化されるものの、それよりも多い量の燃料(少量の燃料)が排気中に含まれる場合にはこの燃料がNOx触媒上で十分に酸化されない。すなわち、第2触媒床温TF2は、NOx触媒上で少量の燃料の酸化させることのできる状態を把握するための上流触媒床温TFの閾値に相当する。こうしたことから、上流触媒床温TFが触媒床温領域FBに属する状態においては、排気中に少量の燃料を供給する基本燃料添加(及び少量の燃料を供給するポスト噴射(基本ポスト噴射))の実行を許容することができない。そこで、本実施形態では、少なくとも基本燃料添加(及び基本ポスト噴射)の実行を許容することのできる状態にあるか否かを判定するための値として、第2触媒床温TF2を予め電子制御装置9に記憶させるようにしている。
(C)上流触媒床温TFが第2触媒床温TF2以上かつ第3触媒床温TF3未満のとき、NOx触媒が活性状態にあるもののその活性度合いが弱い状態(NOx触媒の弱い活性状態)にあるため、排気中に含まれる燃料が少量である場合にはこの燃料がNOx触媒上で十分に酸化されるものの、それよりも多い量の燃料(多量の燃料)が排気中に含まれる場合にはこの燃料がNOx触媒上で十分に酸化されない。すなわち、第3触媒床温TF3は、NOx触媒上で多量の燃料を酸化させることのできる状態を把握するための上流触媒床温TFの閾値に相当する。こうしたことから、上流触媒床温TFが触媒床温領域FCに属する状態においては、排気中に多量の燃料を供給する再生燃料添加(及び多量の燃料を供給するポスト噴射(再生ポスト噴射))の実行を許容することができない。そこで、本実施形態では、再生燃料添加(及び再生ポスト噴射)の実行を許容することのできる状態にあるか否かを判定するための値として、第3触媒床温TF3を予め電子制御装置9に記憶させるようにしている。
(D)基準排気温度TGが第1排気温度TG1未満かつ上流触媒床温TFが第1触媒床温TF1以上のとき、排気と触媒担持型フィルタ73との熱交換により上流触媒床温TFが第1触媒床温TF1を下回るおそれがある。従って、基準排気温度TGが排気温度領域GAに属する状態においては、排気中に供給される燃料が微量となるアフター噴射についてもその実行を許容することが望ましくない。そこで、本実施形態では、アフター噴射の実行を許容することのできる状態にあるか否かを判定するための値として、第1排気温度TG1を予め電子制御装置9に記憶させるようにしている。
(E)基準排気温度TGが第2排気温度TG2未満かつ上流触媒床温TFが第2触媒床温TF2以上のとき、排気と触媒担持型フィルタ73との熱交換により上流触媒床温TFが第2触媒床温TF2を下回るおそれがある。従って、基準排気温度TGが排気温度領域GBに属する状態においては、排気中に少量の燃料を供給する基本燃料添加(及び少量の燃料を供給するポスト噴射(基本ポスト噴射))の実行を許容することが望ましくない。そこで、本実施形態では、基本燃料添加(及び基本ポスト噴射)の実行を許容することのできる状態にあるか否かを判定するための値として、第2排気温度TG2を予め電子制御装置9に記憶させるようにしている。
(F)基準排気温度TGが第3排気温度TG3未満かつ上流触媒床温TFが第3触媒床温TF3以上のとき、排気と触媒担持型フィルタ73との熱交換により上流触媒床温TFが第3触媒床温TF3を下回るおそれがある。従って、基準排気温度TGが排気温度領域GCに属する状態においては、排気中に多量の燃料を供給する再生燃料添加(及び多量の燃料を供給するポスト噴射(再生ポスト噴射))の実行を許容することが望ましくない。そこで、本実施形態では、再生燃料添加(及び再生ポスト噴射)の実行を許容することが望ましい状態にあるか否かを判定するための値として、第3排気温度TG3を予め電子制御装置9に記憶させるようにしている。なお、上流触媒床温TFが第3触媒床温TF3以上であれば、基本的には排気中に多量の燃料を供給して触媒の温度上昇を図ることが可能となるため、基準排気温度TGが第2排気温度TG2以上であることをもって再生燃料添加(及び再生ポスト噴射)の実行を許容することもできる。すなわち、上流触媒床温TFが触媒床温領域FDに属すること及び基準排気温度TGが排気温度領域GCに属することを条件として、この条件が成立していることに基づいて再生燃料添加を実行することもできる。
図3に示すように、「再生制御処理」では上流触媒床温TFの領域を以下の(a)〜(c)の領域に、基準排気温度TGの領域を以下の(d)〜(f)の領域にそれぞれ区分し、上流触媒床温TF及び基準排気温度TGの属する温度領域に基づいて、グロー通電の実行態様を設定するようにしている。
(a)触媒床温領域FE:第1触媒床温TF1以上かつ第4触媒床温TF4未満。
(b)触媒床温領域FF:第5触媒床温TF5以上。
(c)触媒床温領域FG:第4触媒床温TF4以上かつ第5触媒床温TF5未満。
(d)排気温度領域GE:第1排気温度TG1以上かつ第4排気温度TG4未満。
(e)排気温度領域GF:第5排気温度TG5以上。
(f)排気温度領域GG:第4排気温度TG4以上かつ第5排気温度TG5未満。
具体的には、上流触媒床温TFが触媒床温領域FGに属すること、及び基準排気温度TGが排気温度領域GGに属することを第4昇温条件として、この条件が成立していることに基づいてグロー通電を実行する。一方で、第4昇温条件が成立していないときには、再生制御の実行条件が成立していることに基づくグロー通電を禁止する。なお、触媒床温領域FGは、触媒の温度に対して予め設定される特定範囲に相当する。また、第4触媒床温TF4及び第5触媒床温TF5は、触媒の温度についての閾値として予め設定される境界温度に相当する。また、排気温度領域GGは、排気の温度に対して予め設定される特定範囲に相当する。また、第4排気温度TG4及び第5排気温度TG5は、排気の温度についての閾値として予め設定される境界温度に相当する。
上記各温度領域の境界を示す各上流触媒床温TF及び各基準排気温度TGは、例えば次のように設定することができる。なお、本実施形態の「再生制御処理」では以下の温度設定を採用している。
・第4触媒床温TF4:240℃
・第5触媒床温TF5:310℃
・第4排気温度TG4:180℃
・第5排気温度TG5:310℃
以下の(A)〜(D)において、上記各温度領域の境界を示す各上流触媒床温TF及び各基準排気温度TGについて説明する。なお、以下の説明ではNOx触媒コンバータ72を対象としているが、触媒担持型フィルタ73についても同様の説明を適用することができる。
(A)上流触媒床温TFが第4触媒床温TF4未満のとき、基本燃料添加にあわせてグロー通電を実行しても上流触媒床温TFが第3触媒床温TF3以上の温度にまで上昇することを見込むことができない。従って、上流触媒床温TFが触媒床温領域FEに属する状態においては、グロー通電の実行により得られる排気温度の上昇分が再生燃料添加や再生ポスト噴射を開始または継続させることに寄与しないため、グロー通電を実行してもそれが無駄になると考えることができる。そこで、本実施形態では、グロー通電の実行が無駄となる状態にあるか否かを判定するための値として、第4触媒床温TF4を予め電子制御装置9に記憶させるようにしている。ちなみに、グロー通電の実行により得られる排気温度の上昇代には上限があるため、メイン噴射を通じて得られる排気の温度が過度に低い状態、すなわちメイン噴射の燃料噴射量(最終噴射量Ffin)が少量となる運転状態(主にアイドル運転状態)においては、基本燃料添加にあわせてグロー通電を実行しても上流触媒床温TFを第3触媒床温TF3以上の温度にまで上昇させることができない。
第4触媒床温TF4は、第2触媒床温TF2以上かつ第3触媒床温TF3未満の範囲に属する値として設定することができる。また、グロー通電の実行により上流触媒床温TFが第3触媒床温TF3以上の温度にまで上昇することを見込むことのできる上流触媒床温TFの閾値として設定することができる。なお、実際にはエンジン運転状態に応じて排気の温度が変化するため、上流触媒床温TFが第4触媒床温TF4以上であることに基づいてグロー通電が実行された場合においても、上流触媒床温TFが確実に第3触媒床温TF3以上の温度にまで上昇するとは限らない。すなわち、第4触媒床温TF4は、グロー通電の実行により上流触媒床温TFが確実に第3触媒床温TF3以上の温度にまで上昇することを担保するものではない。
(B)上流触媒床温TFが第5触媒床温TF5以上のとき、再生燃料添加にあわせてグロー通電を実行しなくとも上流触媒床温TFが第3触媒床温TF3以上の温度に維持されることを見込むことができる。また、再生燃料添加により下流触媒床温TRが再生触媒床温TRfin以上の温度にまで上昇することを見込むことができる。従って、上流触媒床温TFが触媒床温領域FFに属する状態においては、グロー通電の実行により得られる排気温度の上昇分が再生燃料添加や再生ポスト噴射を継続させることに寄与しないため、グロー通電を実行してもそれが無駄になると考えることができる。また、グロー通電の実行により得られる排気温度の上昇分が下流触媒床温TRを再生触媒床温TRfin以上の温度にまで上昇させることにも寄与しないため、こうしたこともあわせてグロー通電の実行が無駄になると考えることができる。そこで、本実施形態では、グロー通電の実行が無駄となる状態にあるか否かを判定するための値として、第5触媒床温TF5を予め電子制御装置9に記憶させるようにしている。
第5触媒床温TF5は、第3触媒床温TF3以上かつ再生触媒床温TRfin未満の範囲に属する値として設定することができる。また、グロー通電を実行しなくとも上流触媒床温TFが第3触媒床温TF3以上の温度に維持されることを見込むことのできる上流触媒床温TFの閾値として設定することができる。なお、実際にはエンジン運転状態に応じて排気の温度が変化するため、上流触媒床温TFが第5触媒床温TF5以上であることに基づいてグロー通電が停止された場合においても、それ以降に上流触媒床温TFが確実に第3触媒床温TF3以上の温度に維持されるとは限らない。すなわち、第5触媒床温TF5は、グロー通電を実行しなくとも上流触媒床温TFが確実に第3触媒床温TF3以上の温度に維持されることを担保するものではない。
(C)基準排気温度TGが第4排気温度TG4未満のとき、アフター噴射にあわせてグロー通電を実行しても基準排気温度TGが第2排気温度TG2以上の温度にまで上昇することを見込むことができない。従って、基準排気温度TGが排気温度領域GEに属する状態においては、グロー通電の実行により得られる排気温度の上昇分が基本燃料添加や基本ポスト噴射を開始または継続させることに寄与しないため、グロー通電を実行してもそれが無駄になると考えることができる。そこで、本実施形態では、グロー通電の実行が無駄となる状態にあるか否かを判定するための値として、第4排気温度TG4を予め電子制御装置9に記憶させるようにしている。ちなみに、グロー通電の実行により得られる排気温度の上昇代には上限があるため、メイン噴射を通じて得られる排気の温度が過度に低い状態、すなわちメイン噴射の燃料噴射量(最終噴射量Ffin)が少量となる運転状態(主にアイドル運転状態)においては、アフター噴射にあわせてグロー通電を実行しても基準排気温度TGを第2排気温度TG2以上の温度にまで上昇させることができない。
第4排気温度TG4は、第1排気温度TG1以上かつ第2排気温度TG2未満の範囲に属する値として設定することができる。また、グロー通電の実行により基準排気温度TGが第2排気温度TG2以上の温度にまで上昇することを見込むことのできる基準排気温度TGの閾値として設定することができる。なお、実際にはエンジン運転状態に応じて排気の温度が変化するため、基準排気温度TGが第4排気温度TG4以上であることに基づいてグロー通電が実行された場合においても、基準排気温度TGが確実に第2排気温度TG2以上の温度にまで上昇するとは限らない。すなわち、第4排気温度TG4は、グロー通電の実行により基準排気温度TGが確実に第2排気温度TG2以上の温度にまで上昇することを担保するものではない。
(D)基準排気温度TGが第5排気温度TG5以上のとき、再生燃料添加にあわせてグロー通電を実行しなくとも基準排気温度TGが第3排気温度TG3以上の温度に維持されることを見込むことができる。また、再生燃料添加により下流触媒床温TRが再生触媒床温TRfin以上の温度にまで上昇することを見込むことができる。従って、基準排気温度TGが排気温度領域GFに属する状態においては、グロー通電の実行により得られる排気温度の上昇分が再生燃料添加や再生ポスト噴射を継続させることに寄与しないため、グロー通電を実行してもそれが無駄になると考えることができる。また、グロー通電の実行により得られる排気温度の上昇分が下流触媒床温TRを再生触媒床温TRfin以上の温度にまで上昇させることにも寄与しないため、こうしたこともあわせてグロー通電の実行が無駄になると考えることができる。そこで、本実施形態では、グロー通電の実行が無駄となる状態にあるか否かを判定するための値として、第5排気温度TG5を予め電子制御装置9に記憶させるようにしている。
第5排気温度TG5は、第3排気温度TG3以上かつ再生触媒床温TRfin未満の範囲に属する値として設定することができる。また、グロー通電を実行しなくとも基準排気温度TGが第3排気温度TG3以上の温度に維持されることを見込むことのできる基準排気温度TGの閾値として設定することができる。なお、実際にはエンジン運転状態に応じて排気の温度が変化するため、基準排気温度TGが第5排気温度TG5以上であることに基づいてグロー通電が停止された場合においても、それ以降に基準排気温度TGが確実に第3排気温度TG3以上の温度に維持されるとは限らない。すなわち、第5排気温度TG5は、グロー通電を実行しなくとも基準排気温度TGが確実に第3排気温度TG3以上の温度に維持されることを担保するものではない。
<再生制御処理の詳細について>
電子制御装置9は、エンジン1の運転中、再生制御を行うための「再生制御処理(図4〜図6)」を実行する。また、基準排気温度TGを推定するための「排気温度推定処理」、上流触媒床温TFを推定するための「第1触媒床温推定処理」、及び下流触媒床温TRを推定するための「第2触媒床温推定処理」をそれぞれ「再生制御処理」と並行して実行する。
「排気温度推定処理」では、排気温度に影響を及ぼすパラメータ(主にエンジン回転速度NE及びインジェクタ51の燃料噴射量)に基づいて、基準排気温度TGの推定値(推定基準排気温度TGV)を算出する。
「第1触媒床温推定処理」では、入口排気温度センサ93の入口排気温度計測値TGIMを上流触媒床温TFの推定値(推定上流触媒床温TFV)として設定する。なお、入口排気温度センサ93を通過した排気の温度が上流触媒床温TFに反映されるまでの応答遅れを加味して推定上流触媒床温TFVを算出することもできる。すなわち、入口排気温度計測値TGIMを排気流量に基づいて補正した値を推定上流触媒床温TFVとして算出することもできる。
「第2触媒床温推定処理」では、出口排気温度センサ94の出口排気温度計測値TGOMを下流触媒床温TRの推定値(推定下流触媒床温TRV)として設定する。なお、下流触媒床温TRが出口排気温度センサ94に反映されるまでの応答遅れを加味して推定下流触媒床温TRVを算出することもできる。すなわち、出口排気温度計測値TGOMを排気流量に基づいて補正した値を推定下流触媒床温TRVとして算出することもできる。
〔1〕「再生制御処理」
図4を参照して、「再生制御処理」の詳細な処理手順について説明する。なお、本処理は、アフター噴射及び燃料添加の実行態様を設定する「第1昇温処理(図5)」と、グロー通電の実行態様を設定する「第2昇温処理(図6)」とを含めて構成されている。また、エンジン1の運転中において所定の制御周期(例えば65msec)毎に繰り返し実行される。
[ステップS110]再生制御の実行中か否かを判定する。再生制御の停止中のとき、ステップS120の処理に移行する。再生制御の実行中のとき、ステップS130の処理に移行する。
[ステップS120]再生制御の実行条件が成立しているか否かを判定する。再生制御の実行条件が成立しているとき、ステップS122の処理に移行する。再生制御の実行条件が成立していないとき、当該「再生制御処理」を一旦終了する。
ステップS120の処理では、次の[実行条件A]及び[実行条件B]が成立していることに基づいて、再生制御の実行条件が成立していると判断するようにしている。
[実行条件A]:触媒担持型フィルタ73に堆積しているPMの量の推定値(推定堆積量)が堆積量上限値を超えている。推定堆積量は、エンジン1の運転状態の履歴を示すパラメータ(主に吸入空気量及び最終噴射量Ffin)に基づいて算出することができる。また、堆積量上限値は、触媒担持型フィルタ73の目詰まりや背圧の増大に起因するエンジン運転状態の悪化をまねく程度にPMが堆積していることを判定するための値として、試験等を通じて予め設定しておくことができる。なお、[実行条件A]に代えて、触媒担持型フィルタ73の上流の圧力と下流の圧力との差(フィルタ間圧力差)が圧力差上限値を超えていることを実行条件として採用することもできる。
[実行条件B]:上流触媒床温TFが第1触媒床温TF1以上かつ基準排気温度TGが第1排気温度TG1以上である。すなわち、アフター噴射の実行条件である第1昇温条件が成立している。
[ステップS122]実行条件が成立していることに基づいて再生制御を開始する。すなわち、「第1昇温処理(図5)」及び「第2昇温処理(図6)」を開始する。これら各処理の終了後は当該「再生制御処理」を一旦終了する。なお、各処理の詳細については後述する。
[ステップS130]再生制御の終了条件が成立しているか否かを判定する。すなわち、触媒担持型フィルタ73に堆積しているPMが十分に除去されたか否かを判定する。再生制御の終了条件が成立していないとき、ステップS132の処理に移行する。再生制御の終了条件が成立しているとき、ステップS134の処理に移行する。
ステップS130の処理では、触媒担持型フィルタ73に堆積しているPMの量の推定値(推定堆積量)が下限堆積量未満であることに基づいて、再生制御の終了条件が成立していると判断するようにしている。下限堆積量は、触媒担持型フィルタ73上にPMが実質的に堆積していない状態を判定するための値として、試験等を通じて予め設定しておくことができる。なお、上記終了条件に代えて、触媒担持型フィルタ73の上流の圧力と下流の圧力との差(フィルタ間圧力差)が下限圧力差未満であることを終了条件として採用することもできる。
[ステップS132]「第1昇温処理(図5)」及び「第2昇温処理(図6)」を継続して実行する。これら各処理の終了後は当該「再生制御処理」を一旦終了する。
[ステップS134]再生制御を終了する。すなわち、再生制御の実行条件が成立していることに基づいて実行されている処理(基本的には再生燃料添加)を終了する。ステップS134の処理を実行した後は、当該「再生制御処理」を一旦終了する。
〔2〕「第1昇温処理」
図5を参照して、「第1昇温処理」の詳細な処理手順について説明する。本処理では、各判定処理を通じて、上流触媒床温TF及び基準排気温度TGがそれぞれいずれの温度領域(図2参照)に属しているかを判定する。そして、判定結果に応じて再生燃料添加、基本燃料添加及びアフター噴射のいずれかを実行する。
[ステップS210]推定上流触媒床温TFVが第2触媒床温TF2(例:200℃)以上かつ推定基準排気温度TGVが第2排気温度TG2(例:200℃)以上か否かを判定する。すなわち、基本燃料添加の実行条件である第2昇温条件が成立しているか否かを判定する。「TFV≧TF2」の関係及び「TGV≧TG2」の関係が成立しているとき、ステップS220の処理に移行する。「TFV≧TF2」の関係及び「TGV≧TG2」の関係の少なくとも一方が成立していないとき、ステップS226の処理に移行する。
[ステップS220]推定上流触媒床温TFVが第3触媒床温TF3(例:260℃)以上かつ推定基準排気温度TGVが第3排気温度TG3(例:260℃)以上か否かを判定する。すなわち、再生燃料添加の実行条件である第3昇温条件が成立しているか否かを判定する。「TFV≧TF3」の関係及び「TGV≧TG3」の関係が成立しているとき、ステップS222の処理に移行する。「TFV≧TF3」の関係及び「TGV≧TG3」の関係の少なくとも一方が成立していないとき、ステップS224の処理に移行する。
[ステップS222]第3昇温条件が成立していることに基づいてサブインジェクタ71の再生燃料添加を開始する。再生燃料添加がすでに開始されているときは継続して実行する。アフター噴射または基本燃料添加が実行されているときは、実行されている処理を終了して再生燃料添加を開始する。ステップS222の処理を実行した後は当該「第1昇温処理」を一旦終了する。
再生燃料添加は、基本的には触媒担持型フィルタ73の温度(推定下流触媒床温TRV)に基づいて実行される。すなわち、推定下流触媒床温TRVが最終的に再生触媒床温TRfin以上の温度にまで上昇するようにサブインジェクタ71の燃料噴射量が設定される。
[ステップS224]第2昇温条件が成立していることに基づいてサブインジェクタ71の基本燃料添加を開始する。基本燃料添加がすでに開始されているときは継続して実行する。アフター噴射または再生燃料添加が実行されているときは、実行されている処理を終了して基本燃料添加を開始する。ステップS224の処理を実行した後は当該「第1昇温処理」を一旦終了する。
[ステップS226]第1昇温条件が成立していることに基づいてインジェクタ51のアフター噴射を開始する。アフター噴射がすでに開始されているときは継続して実行する。基本燃料添加または再生燃料添加が実行されているときは、実行されている処理を終了してアフター噴射を開始する。ステップS226の処理を実行した後は当該「第1昇温処理」を一旦終了する。
〔3〕「第2昇温処理」
図6を参照して、「第2昇温処理」の詳細な処理手順について説明する。本処理では、各判定処理を通じて、上流触媒床温TF及び基準排気温度TGがそれぞれいずれの温度領域(図3参照)に属しているかを判定する。そして、判定結果に応じてグロー通電を実行または停止する。
[ステップS310]推定上流触媒床温TFVが第5触媒床温TF5(例:310℃)未満か否かを判定する。「TFV<TF5」の関係が成立しているとき、ステップS320の処理に移行する。「TFV<TF5」の関係が成立していないとき、ステップS344の処理に移行する。
[ステップS320]推定上流触媒床温TFVが第4触媒床温TF4(例:240℃)以上か否かを判定する。「TFV≧TF4」の関係が成立しているとき、ステップS330の処理に移行する。「TFV≧TF4」の関係が成立していないとき、ステップS344の処理に移行する。
[ステップS330]推定基準排気温度TGVが第5排気温度TG5(例:310℃)未満か否かを判定する。「TGV<TG5」の関係が成立しているとき、ステップS340の処理に移行する。「TGV<TG5」の関係が成立していないとき、ステップS344の処理に移行する。
[ステップS340]推定基準排気温度TGVが第4排気温度TG4(例:180℃)以上か否かを判定する。「TGV≧TG4」の関係が成立しているとき、ステップS342の処理に移行する。「TGV≧TG4」の関係が成立していないとき、ステップS344の処理に移行する。
[ステップS342]第4昇温条件が成立していることに基づいてグロー通電を開始する。グロー通電がすでに開始されているときは継続して実行する。ステップS342の処理を実行した後は当該「第2昇温処理」を一旦終了する。
[ステップS344]第4昇温条件が成立していないことに基づいてグロー通電を禁止する。ステップS344の処理を実行した後は当該「第2昇温処理」を一旦終了する。
ステップS342及びステップS344におけるグロー通電の実行及び停止の切り替えは次の(A)〜(C)の条件に基づいて行われる。なお、以降ではグロープラグ15の連続した通電時間を連続通電時間HGとする。
(A)グロー通電を開始した後において、連続通電時間HGが許容通電時間HXに達したときグロー通電を終了する。すなわち、第4昇温条件の成立に基づいてグロー通電が実行されている場合においても、連続通電時間HGが許容通電時間HXに達したときには第4昇温条件の成立にかかわらずグロー通電を終了する。そして、連続通電時間HGに基づいてグロー通電を終了した後において、後述の最低非通電時間HBが経過したときに第4昇温条件が成立している場合には再度グロー通電を開始する。なお、許容通電時間HXは、過熱等によるグロープラグ15の寿命の低下を抑制することのできる値として予め設定される。
(B)グロー通電を開始した後において、連続通電時間HGが最低通電時間HAに達するまではグロー通電の終了を禁止する。すなわち、グロー通電の実行中に第4昇温条件の不成立が判定された場合においても、連続通電時間HGが最低通電時間HA未満のときにはグロー通電の終了を禁止する。そして、連続通電時間HGが最低通電時間HAに達したときにグロー通電の終了を許可する。なお、最低通電時間HAは、通電の実行及び停止の切り替えにともなうリレー回路の寿命の低下を抑制することのできる値として予め設定される。
(C)グロー通電を終了した後において、連続非通電時間が最低非通電時間HBに達するまではグロー通電の実行を禁止する。すなわち、グロー通電の停止中に第4昇温条件の成立が判定された場合においても、連続非通電時間が最低非通電時間HB未満のときにはグロー通電の実行を禁止する。そして、連続非通電時間が最低非通電時間HBに達したときにグロー通電の実行を許可する。なお、最低非通電時間HBは、通電の実行及び停止の切り替えにともなうリレー回路の寿命の低下を抑制することのできる値として予め設定される。
<再生制御の一例>
図7を参照して、再生制御の実行態様の一例について説明する。
[時刻t71]:この時刻において再生制御の実行条件の成立が判定されたとする。このとき、第1昇温条件が成立していることに基づいてアフター噴射が開始される。一方、第4昇温条件が成立していないことに基づいてグロー通電の実行が禁止される。
[時刻t72]:アフター噴射にともなう上流触媒床温TF及び基準排気温度TGの上昇により、この時刻において第2昇温条件の成立が判定されたとする。このとき、第2昇温条件が成立していることに基づいて基本燃料添加が開始される。一方、第4昇温条件が成立していないことに基づいてグロー通電の実行が禁止される。
[時刻t73]:基本燃料添加にともなう上流触媒床温TFの上昇により、この時刻において第4昇温条件の成立が判定されたとする。このとき、第4昇温条件が成立していることに基づいてグロー通電の実行が開始される。また、第2昇温条件が成立していることに基づいて基本燃料添加の実行が継続される。
[時刻t74]:基本燃料添加及びグロー通電にともなう上流触媒床温TF及び基準排気温度TGの上昇により、この時刻において第3昇温条件の成立が判定されたとする。このとき、第3昇温条件が成立していることに基づいて、再生燃料添加の実行が開始される。また、第4昇温条件が成立していることに基づいてグロー通電の実行が継続される。
[時刻t75]:再生燃料添加及びグロー通電にともなう上流触媒床温TF及び基準排気温度TGの上昇により、この時刻において第4昇温条件の不成立が判定されたとする。このとき、第4昇温条件が成立していないことに基づいてグロー通電の実行が禁止される。一方、第3昇温条件が成立していることに基づいて再生燃料添加の実行が継続される。
[時刻t76]:上流触媒床温TFが一定の期間にわたって再生上流触媒床温TFfin以上の温度に維持されたことにより、この時刻において再生制御の終了条件の成立が判定されたとする。このとき、同終了条件が成立したことに基づいて、再生制御(再生燃料添加)が終了される。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この実施形態にかかるエンジンの排気系温度制御装置によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態の排気系温度制御装置では、再生制御の実行条件が成立している状態において、上流触媒床温TFが第4触媒床温TF4未満のとき、すなわちグロー通電の実行により得られる排気温度の上昇分が再生燃料添加を開始または継続させることに寄与しないとき、グロー通電を禁止するようにしている。このように、グロー通電を実行しても上流触媒床温TFが要求値(第3触媒床温TF3)に達しないと推定されるときにグロー通電を禁止することにより、無駄なグロー通電の実行が抑制されるようにしている。これにより、グロープラグ15の寿命の向上及び燃料消費率の向上を図ることができるようになる。
(2)本実施形態の排気系温度制御装置では、再生制御の実行条件が成立している状態において、上流触媒床温TFが第5触媒床温TF5以上のとき、すなわちグロー通電の実行により得られる排気温度の上昇分が再生燃料添加を継続させること、ひいては下流触媒床温TRを再生触媒床温TRfin以上の温度にまで上昇させることに寄与しないとき、グロー通電を禁止するようにしている。このように、グロー通電を実行しなくとも上流触媒床温TFが要求値(第3触媒温度TF3)以上の温度に維持されると推定されるときにグロー通電を禁止することにより、無駄なグロー通電の実行が抑制されるようにしている。これにより、グロープラグ15の寿命の向上及び燃料消費率の向上を図ることができるようになる。
(3)本実施形態の排気系温度制御装置では、再生制御の実行条件が成立してから終了条件が成立するまでの間、上流触媒床温TFに基づくグロー通電の実行態様の制御を継続して行うようにしている。これにより、エンジン運転状態等の変化により無駄なグロー通電が行われると推定されるときには、的確にグロー通電の実行が禁止されるため、グロープラグ15の寿命及び燃料消費率をより好適に向上させることができるようになる。
(4)本実施形態の排気系温度制御装置では、再生制御の実行条件が成立している状態において、基準排気温度TGが第4排気温度TG4未満のとき、すなわちグロー通電の実行により得られる排気温度の上昇分が基本燃料添加を開始または継続させることに寄与しないとき、グロー通電を禁止するようにしている。このように、グロー通電を実行しても基準排気温度TGが要求値(第2排気温度TG2)に達しないと推定されるときにグロー通電を禁止することにより、無駄なグロー通電の実行が抑制されるようにしている。これにより、グロープラグ15の寿命の向上及び燃料消費率の向上を図ることができるようになる。
(5)本実施形態の排気系温度制御装置では、再生制御の実行条件が成立している状態において、基準排気温度TGが第5排気温度TG5以上のとき、すなわちグロー通電の実行により得られる排気温度の上昇分が再生燃料添加を継続させること、ひいては下流触媒床温TRを再生触媒床温TRfin以上の温度にまで上昇させることに寄与しないとき、グロー通電を禁止するようにしている。このように、グロー通電を実行しなくとも基準排気温度TGが要求値(第3排気温度TG3)以上の温度に維持されると推定されるときにはグロー通電を禁止することにより、無駄なグロー通電の実行が抑制されるようにしている。これにより、グロープラグ15の寿命の向上及び燃料消費率の向上を図ることができるようになる。
(6)本実施形態の排気系温度制御装置では、再生制御の実行条件が成立してから終了条件が成立するまでの間、基準排気温度TGに基づくグロー通電の実行態様の制御を継続して行うようにしている。これにより、エンジン運転状態等の変化により無駄なグロー通電が行われると推定されるときには、的確にグロー通電の実行が禁止されるため、グロープラグ15の寿命及び燃料消費率をより好適に向上させることができるようになる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について、図8を参照して説明する。
本実施形態の排気系温度制御装置は、上流触媒床温TF及び基準排気温度TGに基づくグロー通電の実行範囲の設定態様について、前記第1実施形態の設定態様に対して以下の変更を適用した制御装置として構成されている。なお、以下で説明する変更点以外は、前記第1実施形態と同様の構成が採用されている。
<再生制御処理の主な変更点>
図8に示すように、本実施形態の「再生制御処理」では上流触媒床温TFの領域を以下の(a)〜(c)の領域に、基準排気温度TGの領域を以下の(d)〜(f)の領域にそれぞれ区分し、上流触媒床温TF及び基準排気温度TGの属する温度領域に基づいて、グロー通電の実行態様を設定するようにしている。
(a)触媒床温領域FH:第1触媒床温TF1以上かつ第6触媒床温TF6未満。
(b)触媒床温領域FF:第5触媒床温TF5以上。
(c)触媒床温領域FI:第6触媒床温TF6以上かつ第5触媒床温TF5未満。
(d)排気温度領域GH:第1排気温度TF1以上かつ第6排気温度TG6未満。
(e)排気温度領域GF:第5排気温度TG5以上。
(f)排気温度領域GI:第6排気温度TG6以上かつ第5排気温度TG5未満。
具体的には、上流触媒床温TFが触媒床温領域FIに属すること、及び基準排気温度TGが排気温度領域GIに属することを第5昇温条件として、この条件が成立していることに基づいてグロー通電を実行する。一方で、第5昇温条件が成立していないときには、再生制御の実行条件が成立していることに基づくグロー通電を禁止する。なお、触媒床温領域FIは、触媒の温度に対して予め設定される特定範囲に相当する。また、第6触媒床温TF6は、触媒の温度についての閾値として予め設定される境界温度に相当する。また、排気温度領域GIは、排気の温度に対して予め設定される特定範囲に相当する。また、第6排気温度TG6は、排気の温度についての閾値として予め設定される境界温度に相当する。
上記各温度領域の境界を示す各上流触媒床温TF及び各基準排気温度TGは、例えば次のように設定することができる。なお、本実施形態の「再生制御処理」では以下の温度設定が採用されている。
・第6触媒床温TF6:180℃
・第5触媒床温TF5:310℃
・第6排気温度TG6:240℃
・第5排気温度TG5:310℃
以下の(A)及び(B)において、上記各温度領域の境界を示す第6触媒床温TF6及び第6排気温度TG6について説明する。なお、以下の説明ではNOx触媒コンバータ72を対象としているが、触媒担持型フィルタ73についても同様の説明を適用することができる。
(A)上流触媒床温TFが第6触媒床温TF6未満のとき、アフター噴射にあわせてグロー通電を実行しても上流触媒床温TFが第2触媒床温TF2以上の温度にまで上昇することを見込むことができない。従って、上流触媒床温TFが触媒床温領域FHに属する状態においては、グロー通電の実行により得られる排気温度の上昇分が基本燃料添加や基本ポスト噴射を開始または継続させることに寄与しないため、グロー通電を実行してもそれが無駄になると考えることができる。そこで、本実施形態では、グロー通電の実行が無駄となる状態にあるか否かを判定するための値として、第6触媒床温TF6を予め電子制御装置9に記憶させるようにしている。
第6触媒床温TF6は、第1触媒床温TF1以上かつ第2触媒床温TF2未満の範囲に属する値として設定することができる。また、グロー通電の実行により上流触媒床温TFが第2触媒床温TF2以上の温度にまで上昇することを見込むことのできる上流触媒床温TFの閾値として設定することができる。なお、実際にはエンジン運転状態に応じて排気の温度が変化するため、上流触媒床温TFが第6触媒床温TF6以上であることに基づいてグロー通電が実行された場合においても、上流触媒床温TFが確実に第2触媒床温TF2以上の温度にまで上昇するとは限らない。すなわち、第6触媒床温TF6は、グロー通電の実行により上流触媒床温TFが確実に第2触媒床温TF2以上の温度にまで上昇することを担保するものではない。
(B)基準排気温度TGが第6排気温度TG6未満のとき、基本燃料添加にあわせてグロー通電を実行しても基準排気温度TGが第3排気温度TG3以上の温度にまで上昇することを見込むことができない。従って、基準排気温度TGが排気温度領域GHに属する状態においては、グロー通電の実行により得られる排気温度の上昇分が再生燃料添加や再生ポスト噴射を開始または継続させることに寄与しないため、グロー通電を実行してもそれが無駄になると考えることができる。そこで、本実施形態では、グロー通電の実行が無駄となる状態にあるか否かを判定するための値として、第6排気温度TG6を予め電子制御装置9に記憶させるようにしている。
第6排気温度TG6は、第2排気温度TG2以上かつ第3排気温度TG3未満の範囲に属する値として設定することができる。また、グロー通電の実行により基準排気温度TGが第3排気温度TG3以上の温度にまで上昇することを見込むことのできる基準排気温度TGの閾値として設定することができる。なお、実際にはエンジン運転状態に応じて排気の温度が変化するため、基準排気温度TGが第6排気温度TG6以上であることに基づいてグロー通電が実行された場合においても、基準排気温度TGが確実に第3排気温度TG3以上の温度にまで上昇するとは限らない。すなわち、第6排気温度TG6は、グロー通電の実行により基準排気温度TGが確実に第3排気温度TG3以上の温度にまで上昇することを担保するものではない。
本実施形態の「再生制御処理」では、「第2昇温処理(図6)」の一部を以下の[A]〜[C]に示すように変更して実行する。
[A]:ステップS320の処理において、推定上流触媒床温TFVが第6触媒床温TF6(例:180℃)以上か否かを判定する。「TFV≧TF6」の関係が成立しているとき、ステップS330の処理に移行する。「TFV≧TF6」の関係が成立していないとき、ステップS344の処理に移行する。
[B]:ステップS340の処理において、推定基準排気温度TGVが第6排気温度TG6(例:240℃)以上か否かを判定する。「TGV≧TG6」の関係が成立しているとき、ステップS342の処理に移行する。「TGV≧TG6」の関係が成立していないとき、ステップS344の処理に移行する。
[C]:ステップS342の処理では、第5昇温条件が成立していることに基づいてグロー通電を実行する。ステップS344の処理では、第5昇温条件が成立していないことに基づいてグロー通電を禁止する。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第2実施形態にかかるエンジンの排気系温度制御装置によれば、先の第1実施形態による(2)、(3)、(5)及び(6)の作用効果に加えて、以下に示す作用効果が得られるようになる。
(7)本実施形態の排気系温度制御装置では、再生制御の実行条件が成立している状態において、上流触媒床温TFが第6触媒床温TF6未満のとき、すなわちグロー通電の実行により得られる排気温度の上昇分が基本燃料添加を開始または継続させることに寄与しないとき、グロー通電を禁止するようにしている。このように、グロー通電を実行しても上流触媒床温TFが要求値(第2触媒床温TF2)に達しないと推定されるときにグロー通電を禁止することにより、無駄なグロー通電の実行が抑制されるようにしている。これにより、グロープラグ15の寿命の向上及び燃料消費率の向上を図ることができるようになる。
(8)本実施形態の排気系温度制御装置では、再生制御の実行条件が成立している状態において、基準排気温度TGが第6排気温度TG6未満のとき、すなわちグロー通電の実行により得られる排気温度の上昇分が再生燃料添加を開始または継続させることに寄与しないとき、グロー通電を禁止するようにしている。このように、グロー通電を実行しても基準排気温度TGが要求値(第3排気温度TG3)に達しないと推定されるときにグロー通電を禁止することにより、無駄なグロー通電の実行が抑制されるようにしている。これにより、グロープラグ15の寿命の向上及び燃料消費率の向上を図ることができるようになる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について、図9を参照して説明する。
本実施形態の排気系温度制御装置は、上流触媒床温TF及び基準排気温度TGに基づくグロー通電の実行範囲の設定態様について、前記第1実施形態の設定態様と前記第2実施形態の設定態様とを組み合わせて同実行範囲を設定した制御装置として構成されている。なお、以下で説明する変更点以外は、前記第1実施形態と同様の構成が採用されている。
<再生制御処理の主な変更点>
図9に示すように、本実施形態の「再生制御処理」では上流触媒床温TFの領域を以下の(a)〜(c)の領域に、基準排気温度TGの領域を以下の(d)〜(f)の領域にそれぞれ区分し、上流触媒床温TF及び基準排気温度TGの属する温度領域に基づいて、グロー通電の実行態様を設定するようにしている。
(a)触媒床温領域FH:第1触媒床温TF1以上かつ第6触媒床温TF6未満。
(b)触媒床温領域FF:第5触媒床温TF5以上。
(c)触媒床温領域FI:第6触媒床温TF6以上かつ第5触媒床温TF5未満。
(d)排気温度領域GE:第1排気温度TG1以上かつ第4排気温度TG4未満。
(e)排気温度領域GF:第5排気温度TG5以上。
(f)排気温度領域GG:第4排気温度TG4以上かつ第5排気温度TG5未満。
具体的には、上流触媒床温TFが触媒床温領域FIに属すること、及び基準排気温度TGが排気温度領域GGに属することを第6昇温条件として、この条件が成立していることに基づいてグロー通電を実行する。一方で、第6昇温条件が成立していないときには、再生制御の実行条件が成立していることに基づくグロー通電を禁止する。
本実施形態の「再生制御処理」では、「第2昇温処理(図6)」の一部を次のように変更して実行する。すなわち、ステップS320の処理において、推定上流触媒床温TFVが第6触媒床温TF6(例:180℃)以上か否かを判定する。「TFV≧TF6」の関係が成立しているとき、ステップS342の処理に移行する。「TFV≧TF6」の関係が成立していないとき、ステップS344の処理に移行する。ステップS342の処理では、第6昇温条件が成立していることに基づいてグロー通電を実行する。ステップS344の処理では、第6昇温条件が成立していないことに基づいてグロー通電を禁止する。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第3実施形態にかかるエンジンの排気系温度制御装置によれば、先の第1実施形態による前記(2)〜(6)の作用効果、並びに先の第2実施形態による前記(7)の作用効果が得られるようになる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について、図10及び図11を参照して説明する。
本実施形態の排気系温度制御装置は、上流触媒床温TF及び基準排気温度TGに基づくグロー通電の実行範囲の設定態様について、前記第3実施形態の設定態様に対して以下の変更を適用した制御装置として構成されている。なお、以下で説明する変更点以外は、前記第1実施形態と同様の構成が採用されている。
<再生制御処理の主な変更点>
図10に示すように、本実施形態の「再生制御処理」では上流触媒床温TFの領域を以下の(a)〜(c)の領域に、基準排気温度TGの領域を以下の(d)〜(f)の領域にそれぞれ区分し、上流触媒床温TF及び基準排気温度TGの属する温度領域に基づいて、グロー通電の実行態様を設定するようにしている。
(a)触媒床温領域FH:第1触媒床温TF1以上かつ第6触媒床温TF6未満。
(b)触媒床温領域FJ:第7触媒床温TF7以上。
(c)触媒床温領域FK:第6触媒床温TF6以上かつ第7触媒床温TF7未満。
(d)排気温度領域GE:第1触媒床温TF1以上かつ第4排気温度TG4未満。
(e)排気温度領域GF:第5排気温度TG5以上。
(f)排気温度領域GG:第4排気温度TG4以上かつ第5排気温度TG5未満。
具体的には、上流触媒床温TFが触媒床温領域FKに属すること、及び基準排気温度TGが排気温度領域GGに属することを第7昇温条件として、この条件が成立していることに基づいてグロー通電を実行する。一方で、第7昇温条件が成立していないときには、再生制御の実行条件が成立していることに基づくグロー通電を禁止する。なお、触媒床温領域FKは、触媒の温度に対して予め設定される特定範囲に相当する。また、第7触媒床温TF7は、触媒の温度についての閾値として予め設定される境界温度に相当する。本実施形態の「再生制御処理」では第7触媒床温TF7を250℃に設定している。
上流触媒床温TFが第7触媒床温TF7以上のとき、基本燃料添加にあわせてグロー通電を実行しなくとも上流触媒床温TFが第2触媒床温TF2以上の温度に維持されることを見込むことができる。従って、上流触媒床温TFが触媒床温領域FKに属する状態においては、グロー通電の実行により得られる排気温度の上昇分が基本燃料添加や基本ポスト噴射を継続させることに寄与しないため、グロー通電を実行してもそれが無駄になると考えることができる。そこで、本実施形態では、グロー通電の実行が無駄となる状態にあるか否かを判定するための値として、第7触媒床温TF7を予め電子制御装置9に記憶させるようにしている。
第7触媒床温TF7は、第2触媒床温TF2以上かつ再生触媒床温TRfin(または第3触媒床温TF3)未満の範囲に属する値として設定することができる。また、グロー通電を実行しなくとも上流触媒床温TFが第2触媒床温TF2以上の温度に維持されることを見込むことのできる上流触媒床温TFの閾値として設定することができる。なお、実際にはエンジン運転状態に応じて排気の温度が変化するため、上流触媒床温TFが第7触媒床温TF7以上であることに基づいてグロー通電が停止された場合においても、それ以降に上流触媒床温TFが確実に第2触媒床温TF2以上の温度に維持されるとは限らない。すなわち、第7触媒床温TF7は、上流触媒床温TFが確実に第2触媒床温TF2以上の温度に維持されることを担保するものではない。
<第3昇温処理の処理手順>
本実施形態の「再生制御処理」では、先の「第2昇温処理(図6)」に代えて「第3昇温処理(図11)」を実行する。本処理では、各判定処理を通じて、上流触媒床温TF及び基準排気温度TGがそれぞれいずれの温度領域(図10参照)に属しているかを判定する。そして、判定結果に応じてグロー通電を実行または停止する。
[ステップS410]推定上流触媒床温TFVが第7触媒床温TF7(例:250℃)未満か否かを判定する。「TFV<TF7」の関係が成立しているとき、ステップS420の処理に移行する。「TFV<TF7」の関係が成立していないとき、ステップS444の処理に移行する。
[ステップS420]推定上流触媒床温TFVが第6触媒床温TF6(例:180℃)以上か否かを判定する。「TFV≧TF6」の関係が成立しているとき、ステップS430の処理に移行する。「TFV≧TF6」の関係が成立していないとき、ステップS444の処理に移行する。
[ステップS430]推定基準排気温度TGVが第5排気温度TG5(例:310℃)未満か否かを判定する。「TGV<TG5」の関係が成立しているとき、ステップS440の処理に移行する。「TGV<TG5」の関係が成立していないとき、ステップS444の処理に移行する。
[ステップS440]推定基準排気温度TGVが第4排気温度TG4(例:180℃)以上か否かを判定する。「TGV≧TG4」の関係が成立しているとき、ステップS442の処理に移行する。「TGV≧TG4」の関係が成立していないとき、ステップS444の処理に移行する。
[ステップS442]第7昇温条件が成立していることに基づいてグロー通電を開始する。グロー通電がすでに開始されているときは継続して実行する。ステップS442の処理を実行した後は当該「第3昇温処理」を一旦終了する。
[ステップS444]第7昇温条件が成立していないことに基づいてグロー通電を禁止する。ステップS444の処理を実行した後は当該「第3昇温処理」を一旦終了する。なお、ステップS442及びステップS444におけるグロー通電の実行及び停止は、前記「第2昇温処理」のステップS342及びステップS344と同様の態様をもって行われる。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第4実施形態にかかるエンジンの排気系温度制御装置によれば、先の第1実施形態による(3)〜(6)の作用効果、並びに先の第2実施形態による前記(7)の作用効果に加えて、以下に示す作用効果が得られるようになる。
(9)本実施形態の排気系温度制御装置では、再生制御の実行条件が成立している状態において、推定上流触媒床温TFVが第7触媒床温TF7以上のとき、すなわちグロー通電の実行により得られる排気温度の上昇分が基本燃料添加を継続させることに寄与しないとき、グロー通電を禁止するようにしている。このように、グロー通電を実行しなくとも上流触媒床温TFが要求値(第2触媒床温TF2)以上の温度に維持されると推定されるときにグロー通電を禁止することにより、無駄なグロー通電の実行が抑制されるようにしている。これにより、グロープラグ15の寿命の向上及び燃料消費率の向上を図ることができるようになる。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について、図12を参照して説明する。
本実施形態の排気系温度制御装置は、上流触媒床温TF及び基準排気温度TGに基づくグロー通電の実行範囲の設定態様について、前記第3実施形態の設定態様に対して以下の変更を適用した制御装置として構成されている。なお、以下で説明する変更点以外は、前記第3実施形態と同様の構成が採用されている。
<再生制御処理の主な変更点>
図12に示すように、本実施形態の「再生制御処理」では上流触媒床温TFの領域を以下の(a)〜(c)の領域に、基準排気温度TGの領域を以下の(d)〜(f)の領域にそれぞれ区分し、上流触媒床温TF及び基準排気温度TGの属する温度領域に基づいて、グロー通電の実行態様を設定するようにしている。
(a)触媒床温領域FH:第1触媒床温TF1以上かつ第6触媒床温TF6未満。
(b)触媒床温領域FF:第5触媒床温TF5以上。
(c)触媒床温領域FI:第6触媒床温TF6以上かつ第5触媒床温TF5未満。
(d)排気温度領域GE:第1排気温度TG1以上かつ第4排気温度TG4未満。
(e)排気温度領域GJ:第7排気温度TG7以上。
(f)排気温度領域GK:第4排気温度TG4以上かつ第7排気温度TG7未満。
具体的には、上流触媒床温TFが触媒床温領域FIに属すること、及び基準排気温度TGが排気温度領域GKに属することを第8昇温条件として、この条件が成立していることに基づいてグロー通電を実行する。一方で、第8昇温条件が成立していないときには、再生制御の実行条件が成立していることに基づくグロー通電を禁止する。なお、排気温度領域GKは、排気の温度に対して予め設定される特定範囲に相当する。また、第7排気温度TG7は、排気の温度についての閾値として予め設定される境界温度に相当する。本実施形態の「再生制御処理」では第7排気温度TG7を250℃に設定している。
基準排気温度TGが第7排気温度TG7以上のとき、再生燃料添加にあわせてグロー通電を実行しなくとも基準排気温度TGが第2排気温度TG2以上の温度に維持されることを見込むことができる。従って、基準排気温度TGが排気温度領域GKに属する状態においては、グロー通電の実行により得られる排気温度の上昇分が基本燃料添加や基本ポスト噴射を継続させることに寄与しないため、グロー通電を実行してもそれが無駄になると考えることができる。そこで、本実施形態では、グロー通電の実行が無駄となる状態にあるか否かを判定するための値として、第7排気温度TG7を予め電子制御装置9に記憶させるようにしている。
第7排気温度TG7は、第2排気温度TG2以上かつ再生触媒床温TRfin(または第3排気温度TG3)未満の範囲に属する値として設定することができる。また、グロー通電を実行しなくとも基準排気温度TGが第2排気温度TG2以上の温度に維持されることを見込むことのできる基準排気温度TGの閾値として設定することができる。なお、実際にはエンジン運転状態に応じて排気の温度が変化するため、基準排気温度TGが第7排気温度TG7以上であることに基づいてグロー通電が停止された場合においても、それ以降に基準排気温度TGが確実に第2排気温度TG2以上の温度に維持されるとは限らない。すなわち、第7排気温度TG7は、基準排気温度TGが確実に第2排気温度TG2以上の温度に維持されることを担保するものではない。
本実施形態の「再生制御処理」では、前記第4実施形態の「第3昇温処理(図11)」の一部を次のように変更して実行する。すなわち、ステップS430の処理において、推定基準排気温度TGVが第7排気温度TG7(例:250℃)未満か否かを判定する。「TGV<TG7」の関係が成立しているとき、ステップS440の処理に移行する。「TGV<TG7」の関係が成立していないとき、ステップS444の処理に移行する。ステップS442の処理では、第8昇温条件が成立していることに基づいてグロー通電を実行する。ステップS444の処理では、第8昇温条件が成立していないことに基づいてグロー通電を禁止する。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第5実施形態にかかるエンジンの排気系温度制御装置によれば、先の第1実施形態による前記(2)、(3)、(4)及び(6)の作用効果、並びに先の第2実施形態による前記(7)の作用効果に加えて、以下に示す作用効果が得られるようになる。
(10)本実施形態の排気系温度制御装置では、再生制御の実行条件が成立している状態において、基準排気温度TGが第7排気温度TG7以上のとき、すなわちグロー通電の実行により得られる排気温度の上昇分が基本燃料添加を継続させることに寄与しないとき、グロー通電を禁止するようにしている。このように、グロー通電を実行しなくとも基準排気温度TGが要求値(第2排気温度TG2)以上の温度に維持されると推定されるときにグロー通電を禁止することにより、無駄なグロー通電の実行が抑制されるようにしている。これにより、グロープラグ15の寿命の向上及び燃料消費率の向上を図ることができるようになる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、例えば以下に示すように変更して実施することもできる。
・上記各実施形態では、上流触媒床温TF及び基準排気温度TGの属する温度領域に基づいてグロー通電の実行態様を設定する構成を採用したが、例えば次のように変更することもできる。すなわち、上流触媒床温TFのみに基づいてグロー通電の実行態様を設定する構成に変更することもできる。また、基準排気温度TGのみに基づいてグロー通電の実行態様を設定する構成に変更することもできる。
・上流触媒床温TF及び基準排気温度TGに基づくグロー通電の実行領域は、上記各実施形態にて例示した領域に限られるものではない。例えば、上記各実施形態の上流触媒床温TF及び基準排気温度TGの閾値を適宜組み合わせて上記各実施形態の実行領域とは異なるその他の実行領域を設定することもできる。
・エンジン1においては、グロー通電の実行により排気の温度を上昇させることのできる期間がグロープラグ15の許容通電時間HXに応じて異なる。すなわち、許容通電時間HXが短くなるにつれてグロー通電の実行により排気温度を上昇させることのできる期間が短くなる。そこで、上流触媒床温TFや基準排気温度TGについての要求に対してグロー通電がより好適に貢献できるようにするため、上記各実施形態に対して次の[構成1]〜[構成4]を適用することもできる。なお、以下の各構成は対応する閾値を含む実施形態に対して適用することができる。
[構成1]:許容通電時間HXが短くなるにつれて第4触媒床温TF4を第3触媒床温TF3に近づける方向に変更する。具体的には、「再生制御処理」において第4触媒床温TF4及び推定上流触媒床温TFVに基づく判定処理を行う前に、許容通電時間HXと第4触媒床温TF4との関係が規定されたマップ(図13(A)参照)を通じて、そのときの許容通電時間HXに適合した第4触媒床温TF4を算出する。この構成によれば、許容通電時間HXが短くなるに連れて上流触媒床温TFがより第3触媒床温TF3に近づいた状態でグロー通電が開始されるため、許容通電時間HXが短い場合においてもグロー通電の実行により上流触媒床温TFが第3触媒床温TF3以上の温度にまで上昇する頻度が高められるようになる。
[構成2]:許容通電時間HXが短くなるにつれて第6触媒床温TF6を第2触媒床温TF2に近づける方向に変更する。具体的には、「再生制御処理」において第6触媒床温TF6及び推定上流触媒床温TFVに基づく判定処理を行う前に、許容通電時間HXと第6触媒床温TF6との関係が規定されたマップ(図13(B)参照)を通じて、そのときの許容通電時間HXに適合した第6触媒床温TF6を算出する。この構成によれば、許容通電時間HXが短くなるに連れて上流触媒床温TFがより第2触媒床温TF2に近づいた状態でグロー通電が開始されるため、許容通電時間HXが短い場合においてもグロー通電の実行により上流触媒床温TFが第2触媒床温TF2以上の温度にまで上昇する頻度が高められるようになる。
[構成3]:許容通電時間HXが短くなるにつれて第6排気温度TG6を第3排気温度TG3に近づける方向に変更する。具体的には、「再生制御処理」において第6排気温度TG6及び推定基準排気温度TGVに基づく判定処理を行う前に、許容通電時間HXと第6排気温度TG6との関係が規定されたマップ(図13(C)参照)を通じて、そのときの許容通電時間HXに適合した第6排気温度TG6を算出する。この構成によれば、許容通電時間HXが短くなるに連れて基準排気温度TGがより第3排気温度TG3に近づいた状態でグロー通電が開始されるため、許容通電時間HXが短い場合においてもグロー通電の実行により基準排気温度TGが第3排気温度TG3以上の温度にまで上昇する頻度が高められるようになる。
[構成4]:許容通電時間HXが短くなるにつれて第4排気温度TG4を第2排気温度TG2に近づける方向に変更する。具体的には、「再生制御処理」において第4排気温度TG4及び推定基準排気温度TGVに基づく判定処理を行う前に、許容通電時間HXと第4排気温度TG4との関係が規定されたマップ(図13(D)参照)を通じて、許容通電時間HXに適合した第4排気温度TG4を算出する。この構成によれば、許容通電時間HXが短くなるに連れて基準排気温度TGがより第2排気温度TG2に近づいた状態でグロー通電が開始されるため、許容通電時間HXが短い場合においてもグロー通電の実行により基準排気温度TGが第2排気温度TG2以上の温度にまで上昇する頻度が高められるようになる。
・上記各実施形態では、グロー通電の実行により排気温度の上昇を図る排気系温度制御装置を想定したが、その他の電動式補機への通電により排気温度の上昇を図る排気系温度制御装置に対して本発明を適用することもできる。また、電気的な負荷以外の負荷をエンジン1に対して付与する補機の駆動を通じて排気温度の上昇を図る排気系温度制御装置に対しても同様に本発明を適用することができる。そうした補機としては、例えば排気通路に設けられて排気の流量を調整する排気絞り弁が挙げられる。ちなみに、排気絞り弁を備えたエンジンにおいては、排気絞り弁の開度の変更にともなう背圧の増大を通じて燃料噴射量が増量されるため、排気絞り弁の制御を通じて排気温度の上昇を図ることが可能となる。
・上記各実施形態では、ディーゼルエンジンにおいて排気系の温度の上昇を図る排気系温度制御装置を想定したが、本発明の適用対象となる制御装置は各実施形態にて例示した制御装置に限られるものではない。要するに、補機の駆動に基づいて燃料噴射量が増量側に補正されるエンジンにおいて、同補機を駆動させることにより排気系の温度の上昇を図る排気系温度制御装置であれば、いずれの制御装置に対しても本発明を適用することができる。
1…エンジン、11…シリンダブロック、12…シリンダヘッド、13…シリンダ、14…燃焼室、15…グロープラグ、16…オルタネータ、17…バッテリ、21…インテークマニホールド、22…インテークパイプ、23…吸気通路、24…エキゾーストマニホールド、25…エキゾーストパイプ、26…排気通路、31…エアクリーナ、32…インタークーラ、33…スロットルバルブ、34…ターボチャージャ、35…コンプレッサーホイール、36…タービンホイール、5…燃料供給装置、51…インジェクタ、52…フューエルタンク、53…フューエルポンプ、54…コモンレール、6…排気再循環装置、61…EGRパイプ、62…EGRクーラ、63…EGRバルブ、7…排気浄化装置、71…サブインジェクタ、72…NOx触媒コンバータ、73…触媒担持型フィルタ、9…電子制御装置、91…クランクポジションセンサ、92…スロットルポジションセンサ、93…入口排気温度センサ、94…出口排気温度センサ。