以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の実施形態に係る管理装置10の構成の一例を示す図である。管理装置10は、複数の製造工程により電子デバイスを製造する被管理製造ライン100について、それぞれの製造工程において用いられるそれぞれの製造装置を管理する。本例において管理装置10は、予め定められた基準製造ライン200により製造された基準デバイスの特性と、管理すべき製造装置による製造工程を被管理製造ライン100により処理し、他の製造工程を基準製造ライン200により処理して製造された比較デバイスの特性とを比較することにより、当該製造装置の良否を判定する。
被管理製造ライン100は、複数の製造工程により電子デバイスを製造する。例えば、これらの製造工程は、素子分離工程群110、素子形成工程群114、又は配線形成工程群118に分類される。被管理製造ライン100は、例えば電子デバイスを市場に供給するデバイス製造者が有するデバイス製造システム20に含まれる。デバイス製造システム20は、被管理製造ライン100、組立工程群120、及び試験工程群130を備え、電子デバイスの製造、組み立て、及び試験を行う。
組立工程群120は、被管理製造ライン100により製造されたウェハから電子デバイスを切り出し、パッケージングする。組立工程群120は、ウェハから各電子デバイスを切り出すスクライビング工程、電子デバイスをパッケージに張り付けるダイボンディング工程、チップとパッケージの配線を接続するワイヤボンディング工程、パッケージにガスを封入する封止工程等を含んでよく、複数の組立装置により実現される。
試験工程群130は、製品としてパッケージ化された電子デバイスの電流試験、論理試験等を行い、不良品を取り除く。試験工程群130は、1または複数の試験装置により実現される。
基準製造ライン200は、被管理製造ライン100と同一の複数の製造工程を実行することができる。例えば、基準製造ライン200は、素子分離工程群210、素子形成工程群114、及び配線形成工程群218を有する。基準製造ライン200は、それぞれの製造工程に用いられるそれぞれの製造装置の特性が予め測定され、それぞれの製造装置が良品であることが予め保証される。基準製造ライン200は、例えば公的な検証機関が有する製造ラインであってよく、デバイス製造者が有する製造ラインであってもよい。また、電子デバイスの需要者により認証された検証機関が有する製造ラインであってもよい。
被管理製造ライン100及び基準製造ライン200は、複数の製造工程により電子デバイスを製造する。本実施形態において、これらの製造ラインは、電子デバイスが形成されたウェハを製造する。また、これらの製造ラインは、各製造工程における製造品質を管理することを目的として、複数の被測定トランジスタを含むテスト回路を有するウェハを製造する。ここで、これらの製造ラインは、電子デバイスおよびテスト回路を分離して形成してよく、電子デバイスの内部にテスト回路を形成してもよい。
管理装置10は、基準特性測定部140、比較特性測定部142、特性比較部150、判定部160、及び比較デバイス製造制御部170を備える。基準特性測定部140は、全ての工程を基準製造ラインにより処理して製造された基準デバイスの特性を取得する。基準特性測定部140は、例えば基準デバイスの電気的特性を測定してよい。
比較デバイス製造制御部170は、電子デバイスを製造する複数の製造工程のうち、少なくとも一つの製造工程を被管理製造ライン100により処理させ、他の製造工程を基準製造ライン200により処理させた比較デバイスを製造する。比較デバイス製造制御部170は、例えば被管理製造ライン100及び基準製造ライン200において、比較デバイスを処理すべき製造工程をそれぞれ指定する。また、比較デバイス製造制御部170は、当該製造工程を実行する製造装置に比較デバイスを搬送させ、当該製造装置を動作させる制御を行ってもよい。比較デバイス製造制御部170は、基準製造ライン200及び被管理製造ライン100のそれぞれに対して設けられてよい。また、比較デバイス製造制御部170は、被管理製造ライン100と基準製造ライン200との間で、製造過程の電子デバイスを搬送する手段を有してよい。
比較特性測定部142は、比較デバイスの特性を測定する。基準特性測定部140は、基準特性測定部140が取得した基準デバイスの特性と同一の測定項目について、それぞれのデバイスの特性を測定する。例えば、基準特性測定部140及び比較特性測定部142は、それぞれのデバイスに設けられるTEG(Test Element Group)について、同一の電気的特性を取得する。
基準特性測定部140及び比較特性測定部142が取得するべきデバイスの特性の項目は予め定められてよく、また基準特性測定部140が、取得するべき項目を比較特性測定部142に通知してよく、また比較特性測定部142が、取得するべき項目を基準特性測定部140に通知してもよい。
特性比較部150は、基準特性測定部140が取得した基準デバイスの特性と、比較特性測定部142が測定した比較デバイスの特性とを比較する。判定部160は、特性比較部150が比較した特性の差異に基づいて、比較デバイスを処理した被管理製造ライン100の製造工程において用いられた製造装置の良否を判定する。例えば、判定部160は、当該特性の差異が、予め定められた範囲内である場合に、当該製造装置を良品と判定し、当該特性の差異が、予め定められた範囲外である場合に、当該製造装置を不良品と判定してよい。また判定部160は、当該判定結果を、被管理製造ライン100の使用者に通知することが好ましい。
このような構成により、当該製造装置の良否を精度よく判定することができる。また、デバイスの電気的特性を比較すればよいので、当該製造装置の良否を容易に判定することができる。
図2は、被管理製造ライン100の構成の一例を示す図である。また、本例においては被管理製造ライン100の構成を示すが、基準製造ライン200も、同一の構成を有する。前述したように、被管理製造ライン100は、素子分離工程群110、素子形成工程群114、及び配線形成工程群118のそれぞれにおいて、複数の製造装置105を有する。それぞれの製造装置105は、対応する製造工程を実行する。
それぞれの製造装置105は、与えられるウェハに対して所定の処理を行い、後段の製造装置105にウェハを搬送する。それぞれの製造装置105において順次処理を行うことにより、ウェハ上に電子デバイスが形成される。また、比較デバイスを製造する場合、それぞれの製造装置105は、比較デバイス製造制御部170からの制御に応じて、単独でウェハを処理する。比較デバイスを製造するべく動作する製造装置105には、比較デバイス製造制御部170からの制御に応じて、比較デバイスを形成するべきウェハが基準製造ライン200から搬入される。また、当該製造装置105によって処理されたウェハは、比較デバイス製造制御部170からの制御に応じて、基準製造ライン200に搬出される。
このような制御により、被管理製造ライン100において管理するべき製造装置105を選択し、対応する製造工程を被管理製造ライン100において処理し、他の製造工程を基準製造ライン200において処理した比較デバイスを製造することができる。
また、素子分離工程群110、素子形成工程群114、及び配線形成工程群118は、それぞれ以下の処理を行ってよい。素子分離工程群110(アイソレーション工程群)は、1または複数の製造装置105により基板(ウェハ)上においてトランジスタ等の各素子を配置する領域の間を電気的に分離する。素子形成工程群114は、1または複数の製造装置105によりウェハ上に各素子を形成する。
素子分離工程群110および素子形成工程群114は、基板上にトランジスタ等の素子を形成する基板工程とも呼ばれ、また、前工程(FEOL:Front End Of the Line)とも呼ばれる。配線形成工程群118は、1または複数の製造装置105により、ウェハ上に形成された素子の間、または素子と端子の間等を接続する配線を形成する。配線形成工程群118は、素子が形成された基板上に配線を形成する配線工程とも呼ばれ、また、後工程(BEOL:Back End Of the Line)とも呼ばれる。
素子分離工程群110、素子形成工程群114、および配線形成工程群118は、一例として以下の工程を1または複数組み合わせて、各工程群の結果物を製造する。ここで、1または2以上の製造装置105は、以下の各工程の処理を行う。これに代えて、1の製造装置105が以下の工程を複数処理してもよい。
(1)洗浄工程
基板表面のパーティクルまたは金属汚染等を除去して基板表面を清浄にする工程である。ウェット洗浄またはドライ洗浄等が用いられる。
(2)熱処理(Thermal Process)
ウェハを加熱する工程である。熱酸化膜の形成を目的とする熱酸化プロセス、イオン注入後の活性化等のためのアニールプロセス等がある。
(3)不純物導入工程
基板上に不純物を導入する。例えば、シリコン基板等の半導体基板にボロン(B)、またはリン(P)等の不純物をイオン注入等により導入し、pn接合を形成する等である。
(4)成膜工程(薄膜形成工程)
CVD(Chemical Vapor Deposition)、PVD(Physical Vapor Deposition)、塗布・コーティング、電気メッキ等により基板上にSi酸化膜、Si窒化膜、ポリシリコン膜、Cu膜等の薄膜を堆積させる。
(5)リソグラフィー工程
基板上にホトレジストを塗布し、マスクによりパターンを露光した後、ホトレジストを現像する。
(6)エッチング工程
ホトレジストの下層の膜における、ホトレジストが現像により除去された結果露出した部分をエッチングにより除去した後、ホトレジストを除去する。プラズマエッチング法、反応性イオンエッチング(RIE)法等を用いる。
(7)平坦化工程
基板表面を研削し、平坦化する。CMP(Chemical and Mechanical Polishing)法等を用いる。
例えば、DRAM(Dynamic RAM)は、一例として500〜600工程を経て製造される。また、CMOS−LSIは、一例として300〜400工程を経て製造される。比較デバイス製造制御部170は、上述したいずれかの製造工程を選択し、被管理製造ライン100において、当該製造工程に対応する製造装置105を動作させてよい。
図3は、管理装置10の動作の一例を示すフローチャートである。まず、基準特性段階S600において、基準特性測定部140が、基準デバイスの特性を取得する。次に、比較デバイス製造段階S602において、比較デバイス製造制御部170が、対応する製造装置の良否を判定するべき一部の製造工程を被管理製造ライン100で処理させ、他の製造工程を基準製造ライン200で処理させた比較デバイスを製造する。
次に、比較特性測定段階S604において、比較特性測定部142が、比較デバイスの特性を測定する。次に、特性比較段階S606において、特性比較部150が、基準デバイスの特性と、比較デバイスの特性とを比較する。
そして、判定段階S608において、判定部160が、当該比較結果に基づいて、被管理製造ライン100で用いた製造装置の良否を判定する。このような処理により、当該製造装置の良否を判定することができる。また、デバイス製造者は、図3に関連して説明した管理方法により管理された製造ラインにより、電子デバイスを製造してよい。
図4は、被管理製造ライン100をデバイス製造者が有し、基準製造ライン200を外部の検証機関が有する場合の処理の一例を示すチャートである。この場合、検証機関が管理装置10を有してよい。
まず、検証機関は、基準製造ライン200に用いられる複数の製造装置105の特性を予め測定する(S610)。そして、それぞれの製造装置105が良品であることを予め保証する(S612)。S610及びS612において、検証機関は、基準製造ライン200により製造した電子デバイスの電気的特性を測定し、当該電子デバイスの電気的特性が予め定められた許容範囲内である場合に、それぞれの製造装置105が良品であると保証してよい。また、検証機関は、それぞれの製造装置105に、所定のウェハを処理させ、処理前のウェハの特性と、処理後のウェハの特性との差異が、予め定められた期待範囲内である場合に、当該製造装置105が良品であると保証してもよい。また、検証機関は、S610において複数のウェハを処理させ、全てのウェハの特性が、予め定められた許容範囲内である場合に、それぞれの製造装置105が良品であると保証してよい。
次に、デバイス製造者は、市場に出荷するべき電子デバイスを製造する被管理製造ライン100を構築する(S614)。デバイス製造者は、構築した被管理製造ライン100に含まれるそれぞれの製造装置105の情報を、検証機関に通知する(S616)。
検証機関は、被管理製造ライン100に用いられる製造装置105の情報を取得し(S616)、当該情報に基づいて、被管理製造ライン100と同一の基準製造ライン200を構築する(S620)。このとき、検証機関は、S612により良品であることが保証された製造装置105を用いて、基準製造ライン200を構築する。また、他の例においては、検証機関は、基準製造ライン200を構築した後に、基準製造ライン200を構築する製造装置105に対して、S610及びS612の処理を行ってもよい。
検証機関は、構築した基準製造ライン200により、基準デバイスを製造する(S620)。また、検証機関は、製造した基準デバイスの特性を測定する(S622)。そして、デバイス製造者は、被管理製造ライン100において、良否を判定する製造装置105を選択し、検証機関に通知する(S624)。
検証機関は、通知された製造装置105に対応する製造工程の前工程まで、基準製造ライン200によりウェハを処理し、比較デバイスの中間製造物を生成する(S626)。そして、検証機関は、S626において処理したウェハをデバイス製造者に搬送する(S628)。
デバイス製造者は、受け取ったウェハを、被管理製造ライン100の当該製造装置105により処理する(S630)。そして、デバイス製造者は、当該製造装置105で処理したウェハを、検証機関に搬送する(S632)。
検証機関は、受け取ったウェハを、基準製造ライン200により残りの製造工程を処理し、比較デバイスを製造する(S634)。そして、比較デバイスの特性を測定し(S636)、基準デバイスの特性と比較することにより、当該製造装置105の良否を判定する(S638)。そして、検証機関は、当該製造装置105の判定結果をデバイス製造者に通知する。このような処理により、デバイス製造者は、外部の機関により当該製造装置105の良否が保証される。
図5は、デバイス製造者が有する複数の製造ラインのうち、一つの製造ラインを基準製造ライン200として機能させ、他の製造ラインを被管理製造ライン100として機能させる場合の処理の一例を示すフローチャートである。本例において、デバイス製造者が有する複数の製造ラインは、同一の製造工程により電子デバイスを製造する。
まず、それぞれの製造ラインにより電子デバイスを製造し、製造した電子デバイスの特性をそれぞれ測定する(S642)。次に、測定した電子デバイスの特性に基づいて、複数の製造ラインから基準製造ライン200を選択する(S644)。例えば、製造した電子デバイスの特性が、予め定められた基準値に最も近い製造ラインを、基準製造ライン200として選択する。このとき、それぞれの製造ラインにおいて複数の電子デバイスを製造し、製造ライン毎に、電子デバイスの特性の平均値を算出し、当該平均値が当該基準値に最も近い製造ラインを選択してもよい。
そして、複数の製造ラインのうち、基準製造ライン200として選択されなかった他の製造ラインを、被管理製造ライン100として管理する(S646)。S646における管理は、例えば図3に示した処理により、それぞれの製造ラインに対して実施されてよい。
図6は、被管理製造ライン100又は基準製造ライン200により、複数の電子デバイス510が形成されたウェハ500の上面図の一例を示す。被管理製造ライン100は、ライン管理または歩留まり管理の目的で、それぞれが複数の被測定トランジスタを含む複数のテスト回路300と、複数の電子デバイス510とを有するウェハ500を製造してよい。電子デバイス510は、実動作デバイスとして出荷されるべき製品用のデバイスである。
テスト回路300は、各電子デバイス510の境界毎に設けられていてもよい。この場合、複数のテスト回路300は、電子デバイス510の間における、複数の電子デバイス510をダイシングする場合に切断されるダイシング領域に設けられてもよい。これに代えて、テスト回路300は、電子デバイス510の内部に設けられてもよい。また、ライン管理に用いられるウェハの場合には、ウェハ500の表面に、複数のテスト回路300のみを形成してもよい。基準特性測定部140及び比較特性測定部142は、基準デバイス又は比較デバイスに対応して形成されるテスト回路300の電気的特性を測定してよい。
図3において説明した基準特性取得段階S600及び比較デバイス製造段階S602は、図7又は図11に関連して説明するテスト回路を有する電子デバイス又はウェハを、複数の製造工程により製造させる。
図7は、テスト回路300の回路構成の一例を示す。当該テスト回路300は、多数の被測定トランジスタ314のそれぞれの電気的特性を効率よく測定可能とする。これにより、基準特性測定部140及び比較特性測定部142は、電気的特性を測定する被測定トランジスタのサンプル数を、十分得ることができる。この結果、基準特性測定部140及び比較特性測定部142は、基準デバイス及び比較デバイスの特性の比較を精度よく行うことができる。
テスト回路300は、列選択部302、行選択部304、複数の列選択トランジスタ(306−1、306−2、以下306と総称する)、複数の電流源(318−1、318−2、以下318と総称する)、出力部320、及び複数のセル(310−1〜310−4、以下310と総称する)を有する。列選択トランジスタ306は、複数のセル310の各列に対応して設けられ、行選択部304により選択信号が入力されたセル310に指定されたソースドレイン間電流を流す複数の電流源(318−1〜2)を更に含む。
複数のセル310は、本発明に係る被測定回路の一例であり、ウェハ500の面内において行列の2次元マトリクス状に配列される。そして、複数のセル310は、2次元マトリクスの行方向及び列方向に沿って、それぞれが並列に設けられる。本例においては、行方向及び列方向に2つずつのセル310を設けた回路を示すが、行方向及び列方向に更に多数のセル310を設けることができる。また、複数のセル310は、複数の分割領域に渡って設けられる。例えば、各分割領域は、行方向に128列、列方向に512行のセル310を有する。この場合、セル310に含まれる素子のプロセスルールやデバイスサイズは、分割領域毎に異なってもよい。
各セル310は、被測定トランジスタ314、スイッチ用トランジスタ312、及び行選択トランジスタ316を有する。各セル310のトランジスタは、電子デバイス510が有する実動作トランジスタと同一のプロセスにより形成されるMOSトランジスタであってよい。
各セル310の被測定トランジスタ314は、互いに電気的に並列に設けられる。本実施形態に係る被測定トランジスタ314は、NMOSトランジスタである場合を例として説明する。これに代えて、被測定トランジスタ314は、PMOSトランジスタであってもよく、この場合にはソースとドレインを入れ替えた回路が用いられてもよい。
それぞれの被測定トランジスタ314のドレイン端子およびソース端子のうち一方の基準電圧側端子には、予め定められた基準電圧VDDが入力される。各セル310において外部から入力される基準電圧を被測定トランジスタの基準電圧側端子に供給する配線は、本発明に係る基準電圧入力部として機能する。ここで、基準電圧側端子は、被測定トランジスタ314がNMOSトランジスタの場合にはドレイン端子であってよく、PMOSトランジスタの場合にはソース端子であってよい。被測定トランジスタ314のウェル電圧を与える端子は図示していないが、ウェル電圧端子は接地電位に接続してよく、またウェル電圧をトランジスタ毎に独立に制御できるようにして、被測定トランジスタ314のウェル電圧端子とソース端子とを接続してもよい。図7に示す電圧VDD、電圧VG、電圧φj、電圧VREFは、図1に示した基準特性測定部140又は比較特性測定部142がテスト回路300に供給してよい。
各セル310のスイッチ用トランジスタ312は、各セルの被測定トランジスタ314と対応して設けられる。各スイッチ用トランジスタ312は、基準特性測定部140又は比較特性測定部142により指定されたゲート電圧を、それぞれ対応する被測定トランジスタ314のゲート端子に印加するゲート電圧制御部として機能する。本例において、スイッチ用トランジスタ312がNMOSトランジスタの場合、スイッチ用トランジスタ312のドレイン端子には予め定められた電圧VGが与えられ、ゲート端子にはスイッチ用トランジスタ312の動作を制御する電圧φjが与えられ、ソース端子は被測定トランジスタ314のゲート端子に接続される。つまり、スイッチ用トランジスタ312は、電圧φjによってオン状態に制御された場合、電圧VGと略等しい電圧を被測定トランジスタ314のゲート端子に印加し、オフ状態に制御された場合、初期電圧が略VGの浮遊状態の電圧を被測定トランジスタ314のゲート端子に印加する。
図7では、電圧φjを全セル310一括に印加する例を示したが、他の例においては、PN接合リーク電流測定時のリーク時間を全セル同一にするべく、電圧φjを行選択部304から、列方向に並ぶセル310毎にパルス信号として順次印加してもよい。
各セル310の行選択トランジスタ316は、各セルの被測定トランジスタと対応して設けられる。各行選択トランジスタ316は、セル310の外部から選択信号が入力されたことを条件として、被測定トランジスタ314のドレイン端子およびソース端子のうち基準電圧側端子以外の端子の端子電圧を出力信号として出力する端子電圧出力部として機能する。本例において、行選択トランジスタ316がPMOSトランジスタの場合、それぞれの行選択トランジスタ316のソース端子は、被測定トランジスタ314のドレイン端子に接続される。また、行選択トランジスタ316のドレイン端子は、対応する列選択トランジスタ306のドレイン端子に接続される。つまり、それぞれの列選択トランジスタ306のドレイン端子は、対応する複数の行選択トランジスタ316のドレイン端子と接続される。
行選択部304は、2次元マトリクス状に配列された複数のセル310のうち、指定された行に対応するセル310に選択信号を出力する。これにより、行選択部304は、列方向に沿って設けられる複数のセル310群(本例においては、セル群(310−1、310−2)及びセル群(310−3、310−4))を順次選択する。また、列選択部302は、選択信号が入力された行に位置する2以上のセル310のうち、指定された列に対応するセル310の端子電圧を選択して出力信号線に出力させる。これにより、列選択部302は、行方向に沿って設けられる複数のセル310群(本例においては、セル群(310−1、310−3)及びセル群(310−2、310−4))を順次選択する。このような構成により、行選択部304及び列選択部302は、各セル310を順次選択することができる。
本例において、行選択部304は、基準特性測定部140又は比較特性測定部142から与えられる行選択データに応じた行位置毎に、各列のセル群に設けられた行選択トランジスタ316を順次オン状態に制御する。また、列選択部302は、基準特性測定部140又は比較特性測定部142から与えられる列選択データに応じた列位置毎に、各行方向のセル群に対応して設けられた列選択トランジスタ306を順次オン状態に制御する。これにより列選択部302および行選択部304は、本発明に係る選択部として機能し、測定制御部146により指定された一のセル310の出力信号を複数のセル310に共通して設けられた、各列選択トランジスタ306および出力部320を接続する出力信号線と、出力部320とを介して出力させることができる。
基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、各セル310を順次選択する選択信号を、行選択部304及び列選択部302に供給する。また、列選択部302及び行選択部304は、与えられる列選択データ及び行選択データを、選択すべきセル310の位置に応じた選択信号に変換するデコーダやシフトレジスタ等の回路を含んでよい。ここで、選択信号とは、選択データに応じて選択すべきセル310に対応する列選択トランジスタ306及び行選択トランジスタ316をオン状態に制御する信号である。
このような構成により、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、各セル310に設けられた被測定トランジスタ314を順次選択する。これにより、順次選択された被測定トランジスタ314の端子電圧を出力部320に順次出力させることができる。出力部320は、端子電圧を基準特性測定部140又は比較特性測定部142に順次出力する。出力部320は、例えばボルテージフォロワバッファであってよい。基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、それぞれの被測定トランジスタ314の端子電圧に基づいて、被測定トランジスタ314のしきい値電圧、電流電圧特性、低周波雑音、PN接合リーク電流等の電気的特性を測定する。
また、各電流源318は、予め定められた電圧VREFをゲート端子に受け取るMOSトランジスタである。各電流源318のドレイン端子は、対応する複数の行選択トランジスタ316のドレイン端子に接続される。つまり、各電流源318は、同一の列位置に設けられる複数の被測定トランジスタ314に対して共通に設けられ、対応する被測定トランジスタ314に流れるソースドレイン間電流を規定する。
図7に示した回路構成によれば、それぞれのテスト回路300において、複数の被測定トランジスタ314を電気的に順次選択し、選択した被測定トランジスタ314の端子電圧を順次出力することができるので、それぞれの被測定トランジスタ314の端子電圧を短時間に高速に測定することができる。このため、多数の被測定トランジスタ314をウェハ500に設けた場合であっても、短時間で全ての被測定トランジスタ314について測定することができる。
このため、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、基準デバイス又は比較デバイスの電気的特性を、効率よく且つ精度よく測定することができる。本例においては、ウェハ500の面内に、1万〜1000万個程度の被測定トランジスタ314を設けてよい。多数の被測定トランジスタ314について測定を行うことにより、被測定トランジスタ314の特性のバラツキを精度よく算出することができる。
図8は、基準デバイス及び比較デバイスの特性として、それぞれの被測定トランジスタ314のしきい値電圧のバラツキを測定する場合における、基準特性測定部140又は比較特性測定部142の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、テスト回路300に、図7において説明した電圧VDD、電圧VG、電圧φj、電圧VREFを供給する(S440)。このとき、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、一定の電圧VREFを各電流源318に供給し、各電流源318に同一の定電流を生成させる電流制御部として機能する。また、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、被測定トランジスタ314をオン状態に制御するゲート電圧VGを供給し、それぞれのスイッチ用トランジスタ312をオン状態に制御する電圧φjを供給する。このような制御により、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、それぞれの被測定トランジスタ314のゲート端子に、当該被測定トランジスタ314をオン状態に制御するゲート電圧を印加させるゲート制御部として機能する。
次に、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、しきい値電圧を測定するべき被測定トランジスタ314を選択する選択データを、列選択部302及び行選択部304に供給する(S442)。これにより、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、列選択部302及び行選択部304により複数のセル310を順次選択させる。そして、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、出力部320の出力電圧を測定する(S444)。これにより、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、選択されたセル310が出力信号線に出力する出力信号に基づいて、それぞれのセル310が有する被測定トランジスタ314の電気的特性を測定することができる。
次に、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、当該被測定トランジスタ314に印加されるゲート電圧VG、及び出力部320の出力電圧に基づいて、それぞれの被測定トランジスタ314のしきい値電圧を算出する(S446)。被測定トランジスタ314のしきい値電圧は、例えばゲート電圧VGと出力電圧との差分、即ち被測定トランジスタ314におけるゲートソース間電圧を算出することにより得ることができる。
次に、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、全ての被測定トランジスタ314についてしきい値電圧を測定したか否かを判定し(S448)、まだ測定していない被測定トランジスタ314がある場合には、次の被測定トランジスタ314を選択し、S444及びS446の処理を繰り返す。全ての被測定トランジスタ314についてしきい値電圧を測定した場合、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、しきい値電圧のバラツキを算出する(S450)。
このような動作により、複数の被測定トランジスタ314のしきい値電圧のバラツキを効率よく測定することができる。また、プロセスルール毎に、被測定トランジスタ314のしきい値電圧のバラツキを測定することもできる。また、ウェハ500に設けられた複数のテスト回路300に対して測定を行うことにより、ウェハ500の表面におけるしきい値電圧のバラツキの分布を測定することができる。
図9は、基準デバイス及び比較デバイスの特性として、それぞれの被測定トランジスタ314の電流電圧特性のバラツキを測定する場合における、基準特性測定部140又は比較特性測定部142の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、テスト回路300に、図7において説明した電圧VDD、電圧VG、電圧φj、電圧VREFを供給する(S400)。このとき、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、一定の電圧VREFを各電流源318に供給し、各電流源318に同一の定電流を生成させる。また、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、被測定トランジスタ314をオン状態に制御するゲート電圧VGを供給し、それぞれのスイッチ用トランジスタ312をオン状態に制御する電圧φjを供給する。
次に、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、電流電圧特性を測定するべき被測定トランジスタ314を選択する選択データを、列選択部302及び行選択部304に供給する(S402)。そして、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、所定の範囲内において、所定の分解能でVREFを変化させる(S406〜S408)。このとき、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、それぞれのVREF毎に、出力部320の出力電圧を測定する(S404)。つまり、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、電流源318が生成するソースドレイン間電流を順次変化させ、ソースドレイン間電流毎に、被測定トランジスタ314のソース電圧を測定する。これにより、被測定トランジスタ314の電流電圧特性を測定することができる。
そして、全ての被測定トランジスタ314について、電流電圧特性を測定したか否かを判定する(S410)。測定していない被測定トランジスタ314が有る場合、S400〜S410の処理を繰り返す。このとき、S402において次の被測定トランジスタ314を選択する。
全ての被測定トランジスタ314について、電流電圧特性を測定した場合、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、電流電圧特性のバラツキを算出する(S412)。例えば、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、各電流電圧特性の相互コンダクタンスgmを算出し、当該相互コンダクタンスgmのバラツキを算出する。また、サブスレッショルド領域の電流電圧特性から、傾きスイングやシリコンゲート絶縁膜界面準位密度を算出し、バラツキを算出する。
図10は、基準デバイス及び比較デバイスの特性として、それぞれの被測定トランジスタ314のPN接合リーク電流のバラツキを測定する場合における、基準特性測定部140又は比較特性測定部142の動作の一例を示すフローチャートである。
それぞれのスイッチ用トランジスタ312は、対応する被測定トランジスタ314のゲート端子と接続されるPN接合を有する。本例においては、当該PN接合におけるリーク電流を測定する。
まず、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、テスト回路300に、図7において説明した電圧VDD、電圧VG、電圧φj、電圧VREFを供給する(S460)。このとき、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、一定の電圧VREFを各電流源318に供給し、各電流源318に同一の定電流を生成させる。また、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、被測定トランジスタ314をオン状態に制御するゲート電圧VGを供給し、それぞれのスイッチ用トランジスタ312をオン状態に制御する電圧φjを供給する。また、行選択部304から行方向に並ぶセル310毎にパルス信号を順次供給することで、全セルのリーク電流測定時間を同一にすることができる。
次に、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、PNリーク電流を測定するべき被測定トランジスタ314を選択する選択データを、列選択部302及び行選択部304に供給する(S462)。そして、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、選択した被測定トランジスタ314に対応するスイッチ用トランジスタ312をオフ状態に制御する(S464)。つまり、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、それぞれのスイッチ用トランジスタ312に、対応する被測定トランジスタ314をオン状態とするゲート電圧と、被測定トランジスタ314をオフ状態とするゲート電圧とを、被測定トランジスタ314に順次印加させる。
次に、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、当該被測定トランジスタ314に対して、オン状態時のソース電圧と、オン状態からオフ状態に切り替わってから所定の時間経過した後のソース電圧とを測定する(S466)。本例では、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、当該所定時間における出力部320の出力電圧の変化を測定する。
次に、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、ソース電圧の変化に基づいて、PN接合におけるリーク電流を算出する(S468)。スイッチ用トランジスタ312がオン状態のとき、被測定トランジスタ314のゲート容量には、ゲート電圧に応じた電荷が蓄積されている。そして、スイッチ用トランジスタ312がオフ状態に切り替わったとき、ゲート容量の電荷は、PN接合におけるリーク電流により放電される。このため、PN接合リーク電流の大きさは、所定時間における被測定トランジスタ314のソース電圧の変化量により定まる。
次に、全ての被測定トランジスタ314について、PN接合リーク電流を測定したか否かを判定する(S470)。測定していない被測定トランジスタ314が有る場合、S462〜S470の処理を繰り返す。このとき、S462において次の被測定トランジスタ314を選択する。全ての被測定トランジスタ314について、PN接合リーク電流を測定した場合、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、PN接合リーク電流のバラツキを算出する(S472)。
図11は、テスト回路300が有するそれぞれのセル310の回路構成の他の例を示す。本例における回路は、被測定トランジスタ372に電気的ストレスを印加し、被測定トランジスタ372のゲート絶縁膜に一定の電界を印加した状態における、被測定トランジスタ372のゲートリーク電流により、キャパシタ388を充放電する。そして、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、所定の時間におけるキャパシタ388の電圧値の変化に基づいて、それぞれの被測定トランジスタ372のゲートリーク電流を算出する。
本例におけるテスト回路300の回路構成は、図7に示したテスト回路300の回路構成に対し、各セル310の構成が異なる。図11においては、テスト回路300の各セル310の構成を示し、列選択部302、行選択部304、複数の列選択トランジスタ(306−1、306−2、以下306と総称する)、複数の電流源(318−1、318−2、以下318と総称する)、及び出力部320については、図7と同様であるため省略する。
各セル310は、ストレス印加部394、被測定トランジスタ372、ゲート電圧制御部371、第1のスイッチ374、第2のスイッチ376、電圧印加部382、キャパシタ388、行選択トランジスタ392、リセット用トランジスタ378、380、及び出力用トランジスタ390を有する。
ストレス印加部394は、第1のスイッチ374を介して、被測定トランジスタ372のゲート絶縁膜に電気的ストレスを印加する。例えば、被測定トランジスタ372をFLASHメモリの記憶素子として用いる場合に、ストレス印加部394は、被測定トランジスタ372に対してデータの書き込み、データの消去を行わせるために要する電圧を印加する。
ストレス印加部394がストレスを印加する場合、ストレス印加部394は、第1のスイッチ374をオン状態として、被測定トランジスタ372のソース端子及びドレイン端子をストレス印加部394にそれぞれ接続する。また、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、第2のスイッチ376をオフ状態とする。このような制御により、ストレス印加部394は、被測定トランジスタ372の各端子に所望の電圧を印加し、ストレスを印加することができる。
本例において、ストレス印加部394は以下の4種のストレスを、被測定トランジスタ314に対して独立に、又は順次に印加する。
(1)FN(Fowler−Nordheim) Gate injection
(2)FN Substrate injection
(3)Hot Electron injection
(4)Source Erase
上記の(1)〜(4)は、被測定トランジスタ372にデータを書き込み、又は被測定トランジスタ372のデータを消去することにより、被測定トランジスタ372にストレスを印加する手法である。ここで、ストレス印加部394は、実動作時において、被測定トランジスタ372にデータを書き込み、又は被測定トランジスタ372のデータを消去する場合に印加するべき電圧を、被測定トランジスタ372の各端子に印加してよく、または実動作時に印加するべき電圧より大きい電圧を、被測定トランジスタ372の各端子に印加してもよい。
また、各セル310には、基準特性測定部140又は比較特性測定部142から、リセット信号φRES、制御電圧VRN、VRP、VR1、VR2、VDD、及びゲート電圧VGが与えられる。ゲート電圧制御部371は、基準特性測定部140又は比較特性測定部142により指定されたゲート電圧VGを、被測定トランジスタ372のゲート端子に印加する。
第2のスイッチ376は、被測定トランジスタ372のソース端子及びドレイン端子を、電圧印加部382を介してキャパシタ388に接続するか否かを切り替える。電圧印加部382は、被測定トランジスタ372のソース端子及びドレイン端子に対して、第2のスイッチ376を介して一定の電圧を印加する。基準特性測定部140又は比較特性測定部142により第2のスイッチ376がオン状態とされた場合、電圧印加部382が生成する電圧が、被測定トランジスタ372のソース端子及びドレイン端子に印加される。つまり、電圧印加部382は、一定の電圧を被測定トランジスタ372のソース端子及びドレイン端子に印加することにより、被測定トランジスタ372のゲート絶縁膜に印加される電界を略一定に制御する。
電圧印加部382は、NMOSトランジスタ384及びPMOSトランジスタ386を有する。NMOSトランジスタ384は、被測定トランジスタ372のソース端子及びドレイン端子に印加するべき電圧に応じたゲート電圧VRNが与えられ、ソース端子が第2のスイッチ376を介して被測定トランジスタ372のソース端子及びドレイン端子に接続され、ドレイン端子がキャパシタ388に接続される。また、PMOSトランジスタ386は、NMOSトランジスタ384と並列に設けられ、被測定トランジスタ372のソース端子及びドレイン端子に印加するべき電圧に応じたゲート電圧VRPが与えられ、ドレイン端子が第2のスイッチ376を介して被測定トランジスタ372のソース端子及びドレイン端子に接続され、ソース端子がキャパシタ388に接続される。NMOSトランジスタ384及びPMOSトランジスタ386は、キャパシタ388にゲートリーク電流が積分されて電位が変化しても、被測定トランジスタ372のゲート・ソース又はゲート・ドレイン間に印加される電圧を略一定に保つ。
このような構成により、被測定トランジスタ372がP型又はN型のいずれであっても、被測定トランジスタ372のゲート絶縁膜に一定の電界を印加することができ、また被測定トランジスタ372のゲートリーク電流によりキャパシタ388を充放電させることができる。
キャパシタ388は、被測定トランジスタ372のソース端子及びドレイン端子から出力されるゲートリーク電流により充放電される。つまり、キャパシタ388は、ゲート端子からソース端子およびドレイン端子へ流れるゲートリーク電流を蓄積し、電圧値に変換する。また、リセット用トランジスタ378、380は、ゲート端子にリセット信号φRESを受け取った場合に、キャパシタ388における電圧値を所定の電圧VR1に初期化する。
出力用トランジスタ390は、ゲート端子にキャパシタ388における電圧を受け取り、当該電圧に応じたソース電圧を出力する。行選択トランジスタ392は、行選択部304からの選択信号が入力されたことを条件として、出力用トランジスタ390のソース電圧を、列選択トランジスタ306に出力する。これにより、出力用トランジスタ390および行選択トランジスタ392は、キャパシタ388におけるソース端子およびドレイン端子側の端部のキャパシタ電圧を出力信号として出力するキャパシタ電圧出力部として機能することができる。
図12は、基準デバイス及び比較デバイスの特性として、それぞれの被測定トランジスタ372のゲートリーク電流を測定する場合の、基準特性測定部140又は比較特性測定部142の動作の一例を示す。それぞれの被測定トランジスタ372のゲートリーク電流を測定する前に、まず基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、各セル310の被測定トランジスタ372に、電気的ストレスを印加する。
このとき、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、第1のスイッチ374をオン状態に制御し、第2のスイッチ376をオフ状態に制御する。そして、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、各セル310のストレス印加部394を制御し、被測定トランジスタ372にストレスを印加させる。また、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、図10において説明した(1)〜(4)のストレスを独立に、又は順次に被測定トランジスタ372に印加させてよい。また、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、各セル310の被測定トランジスタ372に対して、略同時にストレスを印加する。
以上の動作を行った後、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、それぞれの被測定トランジスタ372を順次選択し、選択した被測定トランジスタ372のゲートリーク電流を測定するが、被測定トランジスタ372の選択動作は、図8及び図9において説明した選択動作と同一であるため、その説明を省略する。本例においては、一つの被測定トランジスタ372のゲートリーク電流を測定する動作について説明する。
まず、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、第1のスイッチ374をオフ状態に制御し、第2のスイッチ376をオン状態に制御する。そして、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、被測定トランジスタ372のゲート端子に、略0Vのゲート電圧を印加する(S416)。このとき、被測定トランジスタ372にゲートリーク電流は生じない。
次に、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、キャパシタ388の電圧を、所定の初期電圧値に設定する。このとき、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、リセット用トランジスタ380を制御して、キャパシタ388に初期電圧VR1を設定する。当該設定は、リセット用トランジスタ378、380をオン状態に制御するリセット信号φRESを供給することにより行う。
次に、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、キャパシタ388の電圧を初期電圧値に設定してから、所定の時間における、キャパシタ388の電圧値の変化を読み出す(S418)。このとき、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、列選択部302及び行選択部304に、当該セル310を選択させる。また、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、出力部320が出力する電圧を、キャパシタ388の電圧として受け取る。
次に、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、当該所定の期間における、出力部320が出力する電圧の変化量に基づいて、セル310のバックグラウンド電流の電流値(第1の電流値)を算出する(S420)。このとき、被測定トランジスタ372には、ゲートリーク電流が生じていないので、キャパシタ388は、バックグラウンド電流により充放電される。このため、所定の期間におけるキャパシタ388の電圧変化に基づいて、バックグラウンド電流を測定することができる。
次に、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、被測定トランジスタ372のゲート端子に、正又は負のゲート電圧を印加する(S422)。このとき、電圧VRN、VRPを制御し、被測定トランジスタ372のゲート・ソース又はゲート・ドレイン間に印加される電圧を、略一定に保つ。このとき、被測定トランジスタ372には、ゲート電圧に応じたゲートリーク電流が生じる。
次に、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、キャパシタ388の電圧を、所定の初期電圧値に設定する。そして、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、キャパシタ388の電圧を初期電圧値に設定してから、前述した所定の期間における、キャパシタ388の電圧値の変化を読み出す(S424)。
次に、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、当該所定の期間における、キャパシタ388の電圧値の変化量に基づいて、バックグラウンド電流とゲートリーク電流との和を示す第2の電流値を算出する(S426)。このとき、キャパシタ388は、バックグラウンド電流とゲートリーク電流との和の電流により充放電される。このため、所定の期間におけるキャパシタ388の電圧変化に基づいて、バックグラウンド電流とゲートリーク電流との和の電流を測定することができる。
次に、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、算出した第2の電流値から、第1の電流値を減算することにより、ゲートリーク電流の電流値を算出する(S428)。
以上に示した通り、基準特性測定部140又は比較特性測定部142は、それぞれの被測定トランジスタ372の電気的特性として、キャパシタ388の電圧を出力用トランジスタ390および行選択トランジスタ392を介して測定することができる。この結果、以上に示した制御により、バックグラウンド電流の影響を排除して、被測定トランジスタ372のゲートリーク電流を精度よく測定することができる。また、ゲートーリーク電流を積分して測定するため、微小なゲートリーク電流を測定することができる。
図13は、被管理製造ライン100について、それぞれの製造工程において用いられるそれぞれの製造装置105を管理する管理方法の他の例を示すフローチャートである。本例における管理方法は、被管理製造ライン100に含まれるプラズマ照射装置の良否を判定する。
まず、同一の製造ラインにより製造された第1デバイス及び第2デバイスを準備する(S648)。第1デバイス及び第2デバイスは、例えば図1に関連して説明した基準製造ライン200により製造してよい。また、第1デバイス及び第2デバイスは、同一の回路構成を有するデバイスであり、図7又は図11に関連して説明したテスト回路300を有してよい。
次に、基準製造ライン200において用いられるプラズマ照射装置により、第1デバイスにプラズマを照射する(S650)。また、被管理製造ライン100において用いられるプラズマ照射装置により、第2デバイスにプラズマを照射する(S652)。
次に、プラズマが照射された第1デバイス及び第2デバイスの特性をそれぞれ測定する(S654)。S654においては、図1に関連して説明した基準特性測定部140及び比較特性測定部142を用いて、それぞれのデバイスの特性を測定してよい。
次に、第1デバイスの特性と、第2デバイスの特性とを比較する(S656)。そして、第1デバイス及び第2デバイスの特性の差異に基づいて、被管理製造ライン100におけるプラズマ照射装置の良否を判定する。当該判定は、図1に関連して説明した判定部160と同様の方法で行ってよい。係る方法により、被管理製造ライン100におけるプラズマ照射装置の良否を判定することができる。
例えば、当該プラズマ照射装置により、nMOSトランジスタに対して基準値より大きいプラズマダメージが発生した場合、当該トランジスタのしきい値電圧は小さくなる。一方、pMOSトランジスタに対して基準値より大きいプラズマダメージが発生した場合等には、しきい値電圧は大きくなる。判定部160は、第1デバイス及び第2デバイスに含まれる被測定トランジスタのしきい値電圧の差異に基づいて、プラズマ照射装置の良否を判定してよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
10・・・管理装置、20・・・デバイス製造システム、100・・・被管理製造ライン、105・・・製造装置、110・・・素子分離工程群、114・・・素子形成工程群、118・・・配線形成工程群、120・・・組立工程群、130・・・試験工程群、140・・・基準特性測定部、142・・・比較特性測定部、146・・・測定制御部、150・・・特性比較部、160・・・判定部、170・・・比較デバイス製造制御部、200・・・基準製造ライン、210・・・素子分離工程群、218・・・配線形成工程群、300・・・テスト回路、302・・・列選択部、304・・・行選択部、306・・・列選択トランジスタ、310・・・セル、312・・・スイッチ用トランジスタ、314・・・被測定トランジスタ、316・・・行選択トランジスタ、318・・・電流源、320・・・出力部、371・・・ゲート電圧制御部、372・・・被測定トランジスタ、374・・・第1のスイッチ、376・・・第2のスイッチ、378、380・・・リセット用トランジスタ、382・・・電圧印加部、384・・・NMOSトランジスタ、386・・・PMOSトランジスタ、388・・・キャパシタ、390・・・出力用トランジスタ、392・・・行選択トランジスタ、394・・・ストレス印加部、500・・・ウェハ、510・・・電子デバイス