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JP4772338B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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JP4772338B2
JP4772338B2 JP2005044098A JP2005044098A JP4772338B2 JP 4772338 B2 JP4772338 B2 JP 4772338B2 JP 2005044098 A JP2005044098 A JP 2005044098A JP 2005044098 A JP2005044098 A JP 2005044098A JP 4772338 B2 JP4772338 B2 JP 4772338B2
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Description

本発明は、超音波診断装置に係り、特に、複数方向からの超音波反射波を略同時に受信する機能を有した超音波診断装置に関する。
超音波診断装置は、超音波プローブに内蔵された超音波振動素子から発生する超音波を被検体内に放射し、被検体組織の音響インピーダンスの差異によって生ずる反射波を前記超音波振動素子によって受信してモニタ上に表示するものである。この診断方法は、超音波プローブを体表に接触させるだけの簡単な操作でリアルタイムの2次元画像データが容易に得られるため、臓器の機能診断や形態診断に広く用いられている。
被検体の組織あるいは血球からの反射波により生体情報を得る超音波診断法は、超音波パルス反射法と超音波ドプラ法の2つの大きな技術開発により急速な進歩を遂げ、上記技術を用いて得られるBモード画像とカラードプラ画像は、今日の超音波診断において不可欠なものとなっている。
今日、最も普及している電子走査方式の超音波診断装置では、一般に複数個の超音波振動素子を一次元に配列し、これらの超音波振動素子の夫々に対する駆動を高速制御することによって2次元画像データのリアルタイム表示を行なっている。
カラードプラ法は、超音波パルスにより生体内の所定断面を走査し、血液(血球)などの移動する反射体に対して超音波が照射された場合に、上記反射体の速度(血流速度)に対応して生ずるドプラ周波数偏移を捉えて画像化を行なうものである。このカラードプラ法は、当初、血流速度の速い心腔内血流情報の画像化に用いられたが、今日では、腹部臓器の組織血流など極めて遅い血流の画像化に対しても適用が可能となってきている。
カラードプラ法における診断能を高めるためには、優れた計測精度(低流速検出能及び高流速検出能)や時間分解能、更には、空間分解能が要求される。移動している反射体に対して超音波パルスを照射し、その反射波のドプラ周波数偏移から反射体の移動速度を計測する場合、従来は、この反射体に対して超音波による送受信を所定の送受信間隔Trで複数回(L回)繰り返して行ない、観測時間Tobs(Tobs=Tr・L)で得られた一連の反射波に基づいてその移動速度を計測してきた。
この場合、低流速の反射体に対する検出能(低流速検出能:測定可能な流速の下限値)Vminは、上記L回の超音波送受信(以下、送受信と呼ぶ。)によって得られる一連の反射波の中からドプラ成分を検出するために用いられるフィルタ(例えば、MTIフィルタ)の特性、即ち、フィルタのカットオフ周波数と肩特性で決定され、このときのVminは、送受信繰り返し周波数(レート周波数)をfr(fr=1/Tr)とすれば、次式(1)で示される。
Figure 0004772338
一方、測定可能な流速の上限値(高流速検出能)Vmaxは、送受信繰り返し周波数(レート周波数)frの1/2で定義されるナイキスト周波数によって決定され、次式(2)によって示される。但し、Cは被検体内の音速値、f0は受信超音波の中心周波数、ξは超音波送受信方向と血流方向のなす角度である。そして、ドプラ周波数偏移が上記ナイキスト周波数を超えた場合には、ドプラ信号の周波数スペクトラムに折り返り現象が発生するため正確な血流速度の計測が不可能となる。
Figure 0004772338
即ち、カラードプラ法における第1の要求項目である低流速検出能Vminを向上させるためにはレート周波数frを低く設定するか、所定方向に対して繰り返し行なう送受信回数Lを増加させる必要があり、高流速検出能Vmaxを向上させるためには、レート周波数frを高く設定しなくてはならない。しかしながら、レート周波数frを高くした場合には、深部からの反射波が受信されないうちに次の超音波が放射されるため、隣接したレート区間の反射波が混入して受信される、所謂残留エコーの問題が生ずる。
又、第2の要求項目であるリアルタイム性は、単位時間当たりの表示画像枚数(フレーム周波数)Fnによって決定され、このフレーム周波数Fnは次式(3)によって示される。但し、Nは、1枚のカラードプラ画像データの生成に必要な走査方向の総数であり、リアルタイム性を向上させるためには、送受信回数L、あるいは走査方向総数Nを小さく設定しなくてはならない。
Figure 0004772338
更に、第3の要求項目である空間分解能を向上させるためには、上記走査方向総数Mを増加させる必要がある。即ち、フレーム周波数Fn、低流速検出能Vmin及び高流速検出能Vmax、空間分解能は相反する関係にあり、これらを同時に満足させることは困難であった。このため、循環器領域における血流計測の場合にはフレーム周波数Fnと高流速検出能Vmaxを、又、腹部や末梢臓器における血流計測の場合にはフレーム周波数と低流速検出能Vminが重要視されてきた。
このような問題点を解決するために、被検体の所定方向に対して送信超音波を放射し、この送信超音波による反射波(受信超音波)を前記所定方向に隣接した複数方向から略同時に受信して単位時間当たりのデータ量を増大させる所謂並列同時受信法が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
但し、並列同時受信において送信ビームの中心軸と受信ビームの中心軸が異なる場合には送受信感度が劣化し、更に、並列同時受信方向が3方向以上の場合には、方位方向(超音波送受信方向に対して垂直な方向)に対して均一な送受信感度を得ることができなかった。
このような問題点を改善するために、1回の超音波送信に用いる超音波振動子の素子数(開口)を低減する方法や、各振動素子の駆動信号振幅を配列方向に対して重み付けして送信音場のビーム幅を広げる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、異なる複数の方向に対して超音波の送受信を同時に行なう方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、配列された複数の超音波振動素子を所定の遅延時間を有した駆動信号によって駆動することにより所定方向に対して送信超音波を放射する際、複数の送信方向の各々に対応した遅延時間を有する駆動信号を合成して前記超音波振動素子に供給することにより複数方向に対する送信を略同時に行なっている。
河野俊彦他、循環器用超音波診断装置のハイフレームレート化の検討、日本超音波医学会論文集、55,727(1989) 特開平3−155843号公報(第4−6頁、第1−9図) 米国特許第5856955号明細書
特許文献1の方法によれば、送信音場のビーム幅を広げることによって従来法(即ち、並列同時受信を行なわない場合と同程度の送信音場を用いた場合)より改善されるものの、収束された送信音場を用いているため受信音場に対応させてビーム幅を広げることは困難であり、このため、以下に述べる送受信音場の歪(以下では、ビーム曲がりと呼ぶ。)や送受信感度における不均一の問題が依然として残存する。
図18は、従来法あるいは上記特許文献1の方法の第1の問題点であるビーム曲がりについて、又、図19は、上述の方法の第2の問題点である受信感度の不均一について示している。
図18(a)は、凸面上に超音波振動子が配列されたコンベックス走査用超音波プローブを用い、所定方向(送信音場の中心軸方向)に対して超音波送信を行なった場合の送信音場(実線)とこの送信音場と重複して形成される複数の受信音場(破線)による並列同時受信を示している。尚、この図では説明を簡単にするために送信音場Btの端部に対応した受信音場Br−1及びBr−3と送信音場Btの中央部に位置した受信音場Br−2のみを示している。
従来の並列同時受信法における送信超音波は、非並列同時受信の場合と同様にして、被検体の所定位置(深さ)に収束されており、この領域に超音波エネルギーが集中する。一方、受信超音波は、受信タイミングに対応して収束点を順次深部方向に移動させる所謂ダイナミック収束法が適用され、深部方向に連続して収束された受信音場を形成することが可能となる。
ところで、このような場合に超音波受信感度は送信音場と受信音場の積(即ち、送受信音場)によって決定される。そして、図18(a)に示した送信音場Btと、この送信音場Btの端部に位置する受信音場(例えば、受信音場Br−1)によって形成される送受信音場では、収束領域における送信音場が送受信音場に特に大きな影響を及ぼす。その結果、図18(b)に示すように送信音場の中心方向にビーム曲りが発生し、このようなビーム曲がりを有した送受信音場Bo−1あるいは図示しない送受信音場Bo−3によって生成される超音波画像データにおいて画像歪が生ずる。
次に、図19(a)は、上記並列同時受信の方位方向における送信音場パターン、受信音場パターン及び送受信音場パターンを模式的に示したものであり、送信音場の端部における送信音場の音圧は中央部より小さい。このため、同時受信方向が3方向以上設定された場合には送受信音場パターンの大きさ(即ち、送受信感度)は方位方向で不均一となり、この不均一な送受信音場によって生成される超音波画像データ上では濃淡の縞模様が発生して画質が劣化する。又、送信音場の端部における受信感度の著しい低下は、Bモード画像データの画質を劣化させるのみならずカラードプラ画像データの生成における流速値や分散値等の推定を困難にする。
又、上述の感度の不均一の改善を目的として図19(b)のように送信音場パターンを方位方向に広げた場合には、画像データの生成に関与しない領域に無駄な送信超音波のエネルギーが放射され、受信感度を低下させるのみならず、サイドローブや多重反射による虚像(アーチファクト)の発生頻度が増大する。
即ち、上述のビーム曲がりや受信感度の不均一、更には受信感度の劣化は超音波画像データの画質を劣化させ、その診断能を低下させる。
一方、心臓のように動きの激しい臓器に対して並列同時受信を行なう場合、臓器の動きの影響を低減し空間的な連続性に優れた画像データを得るためには隣接した超音波送受信方向に対して並列同時受信を行なう必要がある。このような並列同時受信に上述の特許文献2の方法を適用した場合送信超音波の干渉(合成)が生ずるため、並列同時受信における複数の受信方向の感度を均一に設定することが困難となる。
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、並列同時受信における送受信音場のビーム曲りを排除すると共に、各並列受信方向における送受信感度の低下や不均一を低減させることによって、リアルタイム性と画質に優れた超音波画像データの生成が可能な超音波診断装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、実施例に係る超音波診断装置は、配列された複数の振動素
子を備えた超音波プローブと、前記複数の振動素子あるいは前記複数の振動素子の一部か
ら構成された送信用振動素子群に対し、第1の送信音場を形成する遅延時間が与えられた
第1の送信遅延信号と、前記送信音場の収束領域において前記第1の送信音場と端部が重な
る第2の送信音場を形成する遅延時間が与えられた第2の送信遅延信号を生成する素子制御
手段と、前記複数の振動素子の駆動を、前記第1の送信遅延信号に基づく駆動と前記第2の
送信遅延信号に基づく駆動とで順に行い、前記第1及び前記第2の送信音場とが合成され、
前記第1及び第2の送信音場より広い幅を有した合成送信音場を形成する超音波を送信する
送信手段と、所定の受信方向から得られた前記超音波の反射波に基づいて受信信号を生成
する受信手段と、前記受信信号に基づいて画像データを生成する画像データ生成手段とを
有する。

本発明によれば、並列同時受信における送受信音場のビーム曲りあるいは各並列受信方向における送受信感度の低下と不均一を低減することが可能となる。このため、方位方向の感度が高く画質に優れた超音波画像データの生成が可能となり、診断能が大幅に向上する。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
以下に述べる本発明の第1の実施例の第1の特徴は、凸面上に超音波振動素子(以下、振動素子と呼ぶ。)が1次元配列されたコンベックス走査用の超音波プローブを用いて並列同時受信を行なう際に、隣接した複数個の振動素子で構成された第1の送信用振動素子群とこの第1の送信用振動素子群に対して所定間隔離れた第2の送信用振動素子群を略同時に駆動し、各々の送信用振動素子群から放射された送信超音波を合成することによって広いビーム幅を有した送信音場を形成することにある。
又、本実施例の第2の特徴は、前記第1の送信用振動素子群及び前記第2の送信用振動素子群における各振動素子を駆動する際に、駆動信号の振幅を振動素子配列方向に対してSinc関数をベースとした重み付けを行なうことにより方位方向に均一な送信音場を得ることにある。
(装置の構成)
以下では、本発明の第1の実施例における超音波診断装置の構成と各ユニットの基本動作につき図1乃至図6を用いて説明する。尚、図1は、本実施例における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図であり、図2及び図6は、この超音波診断装置を構成する送受信部及びデータ生成部を示すブロック図である。
図1に示す超音波診断装置100は、凸面上に1次元配列された複数個(M1個)の振動素子を備え被検体に対して超音波の送受信を行なうコンベックス走査用の超音波プローブ3と、M1個の振動素子の中から選択された隣接するM2個の振動素子からなる第1の送信用振動素子群とこの第1の送信用振動素子群に対しM0素子シフトして選択された隣接するM2個の振動素子からなる第2の送信用振動素子群の各々に対して駆動信号を供給すると共に、前記M1個の振動素子の中から選択された隣接するM4個の振動素子からなる受信用振動素子群から得られた受信信号に対しM方向並列同時受信のための整相加算を行なう送受信部2を備えている。
又、超音波診断装置100は、送受信部2から得られた受信信号を信号処理してBモードデータ及びカラードプラデータを生成するデータ生成部4と、このデータ生成部4において生成された上記データを保存して2次元あるいは3次元のBモード画像データ及びカラードプラ画像データを生成する画像データ生成記憶部5と、得られた画像データを表示する表示部6を備えている。
更に、超音波診断装置100は、送受信部2及びデータ生成部4に対して送信超音波の中心周波数と略等しい周波数の連続波あるいは矩形波を供給する基準信号発生部1と、操作者によって被検体情報や装置の初期設定情報、更には各種コマンド信号等が入力される入力部7と、超音波診断装置100の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部8を備えている。
超音波プローブ3は、被検体の表面に対してその前面を接触させ超音波の送受信を行なうものであり、被検体との接触面にはM1個の振動素子が凸状に1次元配列されている。この振動素子は電気音響変換素子であり、送信時には電気的なパルス(駆動信号)を超音波パルス(送信超音波)に変換し、又、受信時には超音波反射波(受信超音波)を電気信号(受信信号)に変換する機能を有している。
次に、図2に示した送受信部2は、後述する素子選択部22により前記M1個の振動素子の中から選択された隣接するM2個の振動素子から構成される第1の送信用振動素子群及び第2の送信用振動素子群に対し駆動信号を供給する送信部21と、素子選択部22によって選択された隣接するM4個の振動素子から構成される受信用振動素子群から得られた受信信号に対しM方向並列同時受信のための整相加算を行なう受信部23と、第1の送信用振動素子群、第2の送信用振動素子群及び受信用振動素子群を選択して送信部21及び受信部23との接続を行なう素子選択部22と、この素子選択部22を制御する素子選択制御部24を備えている。
送信部21は、レートパルス発生器211と、送信信号生成回路212と、送信振幅制御回路213と、送信遅延回路214と、送信信号合成回路215と、駆動回路216を備えている。
レートパルス発生器211は、基準信号発生部1から供給される連続波を分周することによって送信超音波の繰り返し周期を決定するレートパルスを生成する。又、送信信号生成回路212は、レートパルス発生器211から供給されるレートパルスのタイミングに同期して第1の送信用振動素子群及び第2の送信用振動素子群におけるM2個の振動素子に対応した所定振幅の送信信号P乃至PM2を生成する。尚、送信信号P乃至PM2の振幅a乃至aM2は、送信振幅制御回路213から供給される振幅分布情報に基づいて設定される。
一方、送信振幅制御回路213は、システム制御部8から供給される重み付け関数に基づいて第1の送信用振動素子群及び第2の送信用振動素子群に対する送信信号の振幅分布を算出し、得られた振幅分布情報を送信信号生成回路212に供給する。
図3は、送信信号生成回路212によって生成される送信信号P乃至PM2の信号振幅a乃至aM2を示したものであり、信号振幅a乃至aM2は、例えば、送信振幅制御回路213から供給されるSinc関数(Sinc(y)=siny/y)の振幅分布情報に基づいて設定される。
又、送信遅延回路214は、第1の送信用振動素子群の振動素子に対する送信信号の送信遅延時間を設定する送信遅延回路214aと、第2の送信用振動素子群の振動素子に対する送信信号の送信遅延時間を設定する送信遅延回路214bから構成されている。そして、M2チャンネルから構成された送信遅延回路214a及び214bの各々は、送信信号生成回路212から供給される送信信号P乃至PM2に対し送信超音波を所定距離に収束させるための遅延時間を与える。
一方、送信信号合成回路215は、送信遅延回路214aにて上述の遅延時間が与えられた送信信号Pa乃至PaM2と送信遅延回路214bにて前記遅延時間が与えられた送信信号Pb乃至PbM2を後述の素子選択制御部24から供給される素子選択情報に基づいて合成し、M3チャンネル(M2<M3<M1)の送信信号Pc乃至PcM3を生成する。尚、素子選択情報に基づく送信信号Pa乃至PaM2及び送信信号Pb乃至PbM2の合成の詳細については後述する。
そして、駆動回路216は、送信信号合成回路215における合成によって生成された送信信号Pc乃至PcM3を増幅し、素子選択部22によって選択接続された第1の送信用振動素子群及び第2の送信用振動素子群の振動素子を駆動するための駆動信号を生成する。
次に、受信部23は、M4チャンネルから構成されるプリアンプ231及びA/D変換器232と、チャンネル選択回路233と、Mチャンネルのビームフォーマ234−1乃至234−Mを備えている。プリアンプ231は、素子選択部22から供給されるM4チャンネルの受信信号を増幅して十分なS/Nを確保するためのものであり、その初段部には送信部21の駆動回路216において発生する高電圧の駆動信号から保護するための図示しないリミッタ回路が設けられている。
プリアンプ231において所定の大きさに増幅され、A/D変換器232にてデジタル信号に変換されたM4チャンネルの受信信号に対して、チャンネル選択回路233は、M方向の並列同時受信を行うためにM4チャンネルの中の隣接するM5チャンネル(M5<M4)をM箇所で選択し、M5チャンネルから構成される受信信号群の各々をビームフォーマ234−1乃至234−Mに供給する。
ビームフォーマ234−1乃至234−Mの各々は、図示しない遅延回路と加算回路を有し、A/D変換器232においてデジタル信号に変換されチャンネル選択回路233で選択されたM5チャンネルの受信信号群に対して、所定の深さからの超音波反射波を収束するための収束用遅延時間を与えた後加算合成(整相加算)する。この場合、受信タイミングに伴って焦点領域が深部に順次変更される所謂ダイナミックフォーカスを行なうことによって、深さによらずに略均一なビーム幅を有した受信音場が形成される。
次に、上述の素子選択部22による第1の送信用振動素子群、第2の送信用振動素子群及び受信用振動素子群の選択と、チャンネル選択回路233によって生成されるM個の受信信号群につき図4を用いて説明する。
図4は、隣接したM方向に対して並列同時受信を行なう際の第1の送信用振動素子群及び第2の送信用振動素子群と受信用振動素子群の選択方法を模式的に示したものであり、説明を簡単にするために第1及び第2の送信用振動素子群における振動素子数M2を6、第1の送信用振動素子群と第2の送信用振動素子群のシフト素子数M0を2、受信用振動素子群における振動素子数M4を8、整相加算チャンネル数M5を5、並列同時受信の受信方向数Mを4としているが、これらに限定されるものではない。
この場合、第1の送信用振動素子群の中の4個の振動素子は第2の送信用振動素子群の振動素子として共通に使用され、従がって、1回の超音波送信において同時に使用される送信用振動素子群(以下、第3の送信用振動素子群と呼ぶ。)の素子数M3は8となる。
即ち、図4に示したコンベックス走査用の超音波プローブ3を用いて任意の隣接した4方向に対し並列同時受信を行なう場合、素子選択部22は、超音波プローブ3において凸面状に配列された振動素子32−1乃至32−M1の中から振動素子32−X乃至32−(X+7)を第3の送信用振動素子群及び受信用振動素子群として選択する。尚、選択されたこれらの振動素子のうち振動素子32−X乃至32−(X+5)は第1の送信用振動素子群として、又、振動素子32−(X+2)乃至32−(X+7)は第2の送信用振動素子群として機能するが、その詳細は後述する。
上述の振動素子32−X乃至32−(X+7)から得られた8(M4=8)チャンネルの受信信号は、チャンネル選択回路233において隣接した振動素子32−X乃至32−(X+4)、振動素子32−(X+1)乃至32−(X+5)、振動素子32−(X+2)乃至32−(X+6)、振動素子32−(X+3)乃至32−(X+7)から得られた5チャンネルの受信信号からなる4個(M=4)の受信信号群に纏められ、これらの受信信号群の各々はビームフォーマ234−1乃至234−Mに供給される。
即ち、振動素子32−X乃至32−(X+4)の受信信号はビームフォーマ234−1に供給され、振動素子32−(X+1)乃至32−(X+5)、振動素子32−(X+2)乃至32−(X+6)、振動素子32−(X+3)乃至32−(X+7)の各受信信号は夫々ビームフォーマ234−2乃至ビームフォーマ234−4に供給される。そして、ビームフォーマ234−1乃至234−Mの各々は、チャンネル選択回路233から供給されるM5チャンネルの受信信号に対してダイナミックフォーカスのための整相加算処理を行ない、振動素子32−(X+2)乃至32−(X+5)を中心とした4つの受信音場を形成する。
以上述べた送受信方法により、第1及び第2の送信用振動素子群によって形成された均一な合成送信音場の中に振動素子32−(X+2)乃至32−(X+5)を中心とした4つの受信音場が形成され、4方向の並列同時受信が行なわれる。この場合の超音波の送信方向及び受信方向は振動素子の配列面に対して垂直な方向に設定されるが、送信遅延回路214あるいはビームフォーマ234にて偏向用遅延時間を与えることにより送信音場及び受信音場を任意の方向に設定することも可能である。しかしながら、何れの場合においても、本実施例の並列同時受信では第1及び第2の送信用振動素子群による合成送信音場の中に複数個の受信音場が形成される。
次に、送信部21の送信信号合成回路215における送信信号の合成方法につき図5を用いて説明する。尚、この場合も図4と同様にして第1及び第2の送信用振動素子群における振動素子数M2を6、第3の送信用振動素子群における振動素子数M3を8、第1の送信用振動素子群と第2の送信用振動素子群のシフト素子数M0を2としている。
図5(a)は、図2に示した送信部21における送信信号生成回路212によって生成される6チャンネルの送信信号P乃至Pであり、各々の送信信号の振幅は送信振幅制御回路213から供給される振幅分布情報に基づいて設定される。尚、この図では、端部ほど振幅が小さくなる振幅分布の送信信号を示しているが、実際には、図3のSinc関数をベースとした振幅分布が設定される。
又、図5(b)は、送信遅延回路214aあるいは送信遅延回路214bにおいて収束用遅延時間が与えられた第1の送信信号Pa乃至Paあるいは第2のPb乃至Pbを示す。一方、図5(c)は、送信遅延回路214a及び送信遅延回路214bの出力信号が素子選択制御部24から供給される素子選択情報に基づいて合成された合成送信信号Pc乃至Pcと、この合成送信信号Pc乃至Pcが駆動回路216を介して供給される振動素子32−X乃至32−(X+7)を対応させて示している。
即ち、この場合、図4に示すように第1の送信用振動素子群と第2の送信用振動素子群は2素子分離れて選択されているため、図5(b)に示した6チャンネルの第1の送信信号Pa乃至Paと第2の送信信号Pb乃至Pbは2素子分シフトさせて合成される。従がって、第1及び第2の送信用振動素子群として使用される振動素子32−(X+2)には送信信号PaとPbが、振動素子32−(X+3)には送信信号PaとPbが、振動素子32−(X+4)には送信信号PaとPbが、振動素子32−(X+5)には送信信号PaとPbが合成された合成送信信号が駆動回路216及び素子選択部22を介して与えられる。
図1に戻って、データ生成部4は、上述の受信部23のビームフォーマ234−1乃至234−Mから出力されたMチャンネルの受信信号を信号処理してBモードデータを生成するBモードデータ生成部41と、前記受信信号を信号処理してカラードプラデータを生成するカラードプラデータ生成部42を備えている。
図6に示したデータ生成部4のBモードデータ生成部41は、包絡線検波器411と対数変換器412を備えている。この包絡線検波器411は、送受信部2の受信部23におけるビームフォーマ234−1乃至234−Mから出力されたMチャンネルの受信信号に対して包絡線検波を行ない、対数変換器412は、この包絡線検波後の受信信号に対する対数変換処理によって小さな信号振幅を相対的に強調してM個の並列同時受信方向に対するBモードデータを生成する。
一方、データ生成部4のカラードプラデータ生成部42は、π/2移相器421、ミキサ422−1及び422−2、LPF(低域通過フィルタ)423−1及び423−2を備えており、送受信部2の受信部23から供給されたMチャンネルの受信信号に対して直交位相検波を行なって複素信号(I信号とQ信号)を生成する。
更に、カラードプラデータ生成部42は、ドプラ信号記憶部424、MTIフィルタ425及び自己相関演算器426を備えている。そして、直交位相検波によって得られた複素信号は、ドプラ信号記憶部424に一旦保存され、次いで、高域通過用のデジタルフィルタであるMTIフィルタ425は、ドプラ信号記憶部424に保存された前記複素信号を読み出し、この複素信号に対して臓器の固定反射体あるいは臓器の呼吸性移動や拍動性移動などに起因するドプラ成分(クラッタ成分)の除去を行なう。又、自己相関演算器426は、MTIフィルタ425によって抽出された血流情報のドプラ信号に対して自己相関値を算出し、更に、この自己相関値に基づいて血流の平均流速値、分散値及びパワー値を算出してM個の並列同時受信方向に対するカラードプラデータを生成する。
再び図1に戻って、画像データ生成記憶部5は、データ生成部4においてM個のラスタ単位で生成されるBモードデータ及びカラードプラデータを順次保存して、2次元あるいは3次元のBモード画像データ及びカラードプラ画像データを生成する。
表示部6は、図示しない表示データ生成回路、変換回路及びモニタを備えており、表示データ生成回路は、画像データ生成記憶部5において生成されたBモード画像データやカラードプラ画像データに対し所定の表示形態に対応した走査変換処理を行なって表示データを生成する。次いで、前記変換回路は、この表示データに対してD/A変換とテレビフォーマット変換を行ない前記モニタに表示する。
一方、入力部7は、操作パネル上に表示パネルやキーボード、トラックボール、マウス、選択ボタン、入力ボタン等の入力デバイスを備え、患者情報の入力、データ収集条件、表示条件等の設定、更には、種々のコマンド信号の入力等を行なう。特に、本実施例では、並列同時受信の方向数M、第1の送信用振動素子群及び第2の送信用振動素子群における振動素子数M2、第3の送信用振動素子群における振動素子数M3、更には、受信用振動素子群における振動素子数M4、整相加算における受信信号群のチャンネル数M5、更には駆動信号の重み付け関数等の設定を行なう。但し、上述の送信用及び受信用の振動素子数や重み付け関数等は、使用する超音波プローブ3の情報(例えば、プローブID)と並列同時受信の方向数Mの情報に基づいて自動設定してもよい。
システム制御部8は、図示しないCPUと記憶回路を備え、操作者によって入力部7から入力あるいは設定される上述の各種情報は前記記憶回路に保存される。そして、前記CPUは、これらの情報に基づいて、送受信部2、データ生成部4、更には画像データ生成記憶部5の制御やシステム全体の制御を統括して行なう。又、システム制御部8は、送受信部2における素子選択制御部24と受信部23に対して制御信号を供給し、第1及び第2の送信用振動素子群によって形成された送信音場内のM方向に対して並列同時受信を行なうための制御と、第1及び第2の送信用振動素子群と受信用振動素子群を振動子配列方向に順次シフトすることによって被検体に対しコンベックス走査の制御を行なう。
(画像データの生成手順)
次に、本実施例における画像データの生成手順につき図7のフローチャートに沿って説明する。但し、説明を容易にするために第3の送信用振動素子群の振動素子数M3と受信用振動素子群の振動素子数M4は等しい場合について述べるが、これに限定されない。
超音波診断装置100の操作者は、先ず、図1の入力部7において超音波プローブ3のプローブIDや画像データの収集に必要な諸条件を初期設定し、これらの入力情報は、システム制御部8の図示しない記憶回路に保存される。上記諸条件として、並列同時受信の方向数M、第1の送信用振動素子群及び第2の送信用振動素子群における振動素子数M2、第3の送信用振動素子群における振動素子数M3、受信用振動素子群における振動素子数M4(M4=M3)、整相加算における受信信号群のチャンネル数M5、駆動信号の重み付け関数等がある(図7のステップS1)。
そして、上記の初期設定が終了したならば、操作者は、超音波プローブ3の先端(超音波送受信面)を被検体体表面上の所定位置に固定し、超音波の送受信を開始する。このとき、システム制御部8は、自己の記憶回路に一旦保存した第1及び第2の送信用振動素子群の振動素子数M2、第3の送信用振動素子群の振動素子数M3及び受信用振動素子群の振動素子数M3の情報を送受信部2の素子選択制御部24に、整相加算における受信信号群のチャンネル数M5及び並列同時受信における受信方向数Mの情報を受信部23のチャンネル選択回路233に,更には、駆動信号の重み付け関数に関する情報を送信部21の送信振幅制御回路213に夫々供給する。
一方、送信部21の送信振幅制御回路213は、システム制御部8から供給された駆動信号振幅の重み付け関数に基づいて例えばSinc関数による送信信号振幅値を算出し、この算出結果を送信信号生成回路212に供給する(図7のステップS2)。
次に、最初の走査方向に対する超音波送受信に際し、素子選択制御部24は、システム制御部8から供給された上述の送信時における振動素子数M2及びM3の情報と受信時における振動素子数M3の情報に基づいて素子選択部22の図示しないマルチプレクサに対し制御信号を供給し、素子選択部22は、最初の走査方向の超音波送受信に用いる第1の送信用振動素子群の振動素子32−1乃至32−M2と第2の送信用振動素子群の振動素子32−(M0+1)乃至32−(M0+M2)を選択する。但し、上記M0(M0素子)は、第1の送信用振動素子群と第2の送信用振動素子群のシフト素子数を示す(図7のステップS3)。
一方、図2のレートパルス発生器211は、基準信号発生部1から供給される基準信号を分周することによって超音波パルスの繰り返し周期Trを決定するレートパルスを生成し送信信号生成回路212に供給する。
送信信号生成回路212は、このレートパルスに同期したインパルスあるいは所定波形形状の送信信号をM2チャンネル分生成し、更に、送信振幅制御回路213から供給された送信信号振幅値に基づいて前記M2チャンネルの送信信号における振幅を設定する。次いで、送信遅延回路214a及び214bは、振幅が設定されたM2チャンネルの送信信号に対して送信超音波を収束するための遅延時間を与え、第1の送信信号と第2の送信信号を生成する(図7のステップS4)。
一方、送信信号合成回路215は、素子選択制御部24から供給される振動素子数M2及びM3から算出される第1の送信用振動素子群と第2の送信用振動素子群のシフト量(シフト素子数)M0に基づき、送信遅延回路214a及び214bの各々から出力されるM2チャンネルの第1の送信信号と第2の送信信号を合成してM3チャンネルの合成送信信号を生成し駆動回路216に供給する(図7のステップS5)。
そして、駆動回路216は、M3チャンネルの合成送信信号を増幅して駆動信号を生成し、素子選択部22を介して超音波プローブ3の振動素子32−1乃至32−M3(M3=M0+M2)に供給し送信超音波を送信する(図7のステップS6)。
振動素子32−1乃至32−M3の駆動によって被検体に放射された送信超音波の一部は、音響インピーダンスの異なる臓器間の境界面あるいは組織にて反射する。又、この超音波が心臓壁や血球などの動きのある反射体で反射する場合、その超音波周波数はドプラ偏移を受ける。
被検体の組織や血球にて反射した超音波反射波(受信超音波)は、既に素子選択部22において選択されている受信用の振動素子32−1乃至32−M3で受信されて電気信号(受信信号)に変換される。更に、この受信信号は、素子選択部22を介して受信部23に供給され、受信部23のプリアンプ231にて所定の大きさに増幅された後、A/D変換器232にてデジタル信号に変換される。
デジタル信号に変換されたM3チャンネルの受信信号は、チャンネル選択回路233に供給され、チャンネル選択回路233は、これらM3チャンネルの受信信号の中から隣接したM5チャンネル(M5<M4)の受信信号群をM個選択し(図4参照)、これらM個の受信信号群をビームフォーマ234−1乃至234−Mに供給する。
即ち、振動素子32−1乃至32−M5によって得られたM5チャンネルの受信信号群はビームフォーマ234−1に、又、振動素子32−2乃至32−(M5+1)によって得られたM5チャンネルの受信信号群はビームフォーマ234−2に夫々供給される。同様にして、振動素子32−3乃至32−(M5+2)、振動素子32−4乃至32−(M5+3)・・・によって得られた受信信号群はビームフォーマ234−3、ビームフォーマ234−4・・・に供給される。そして、ビームフォーマ234−1乃至234−Mの各々は、M5チャンネルの受信信号を整相加算してダイナミックフォーカスを行なう。
ビームフォーマ234−1乃至234−Mにおいて整相加算されたMチャンネルの受信信号は、図6のデータ生成部4におけるBモードデータ生成部41に供給され、包絡線検波と対数変換がなされた後、図1の画像データ生成記憶5におけるBモードデータ記憶領域に保存される。
一方、最初の走査方向に対するカラードプラデータの生成に際し、送信用振動素子32−1乃至32−M3及び受信用振動素子32−1乃至32−M3を用い、上述と同様な手順により前記走査方向に対し連続した複数回(L回)の超音波送受信を行ない、このとき得られた受信信号に対してドプラ信号を検出する。
即ち、システム制御部8は素子選択制御部24を制御し、振動素子32−1乃至32−M3を選択してカラードプラ用の超音波送受信を行なう。そして、得られたMチャンネルの受信信号をカラードプラデータ生成部42に供給し、ミキサ422−1、422−2及びLPF423−1、423−2による直交位相検波から複素信号を生成する。次いで、この複素信号の実数成分(I成分)及び虚数成分(Q成分)の各々をドプラ信号記憶部424に一旦保存する。同様にして、同一の振動素子群を用いた2回目乃至L回目の超音波送受信によって得られた受信信号についても同様な手順によって複素信号を収集し、ドプラ信号記憶部424に保存する。
振動素子32−1乃至32−M3を用いたL回の超音波送受信によって得られたMチャンネルの複素信号の保存が終了したならば、システム制御部8は、ドプラ信号記憶部424に保存されているMチャンネルの複素信号の各々において所定位置(深さ)に対応したL個の複素信号成分を順次読み出し、MTIフィルタ425に供給する。そして、MTIフィルタ425は、供給された複素信号成分に対してフィルタ処理を行ない、例えば生体組織などの固定反射体からの反射波成分や心筋などの組織の運動によって生ずる組織ドプラ成分(クラッタ成分)を排除して血流の流れに起因する血流ドプラ成分を抽出する。
次いで、血流ドプラ成分の複素信号が前記MTIフィルタ425から供給された自己相関演算器426は、この複素信号を用いて自己相関処理を行ない、更に、自己相関処理結果に基づいて血流の平均速度値、分散値、パワー値などを算出する。このような演算を、他の位置(深さ)に対しても行ない、算出された血流の平均速度値、分散値、更にはパワー値などを図1の画像データ生成記憶部5におけるカラードプラデータ記憶領域に保存する。
即ち、画像データ生成記憶部5のBモードデータ記憶領域及びカラードプラデータ記憶領域には、振動素子32−1乃至32−M5、振動素子32−2乃至32−(M5+1)、・・・からの受信信号群の整相加算により、第1の走査方向に対応したM個の並列同時受信方向のBモードデータ及びカラードプラデータが保存される(図7のステップS7)。
同様の手順によって、システム制御部8は素子選択制御部24を制御して、振動素子32−(M3+1)乃至32−2M3による第2の走査方向の超音波送受信、振動素子32−(2M3+1)乃至32−3M3による第3の走査方向の超音波送受信、・・・を第Nの走査方向まで繰り返し、夫々の走査方向におけるM方向の並列同時受信によって得られたBモードデータとカラードプラデータをデータ記憶部6のBモードデータ記憶領域及びカラードプラデータ記憶領域に保存する(図7のステップS3乃至S7)。
上述の手順によって、第1の走査方向乃至第Nの走査方向の各々におけるM方向から得られたBモードデータとカラードプラデータは画像データ生成記憶部5に順次保存され、2次元あるいは3次元のBモード画像データ及びカラードプラ画像データが生成される。そして、表示部6の表示データ生成回路は、画像データ生成記憶部5において生成されたBモード画像データ及びカラードプラ画像データに対して所定の表示形態に対応した走査変換等の処理を行なって表示データを生成し、この表示データは、変換回路においてD/A変換とテレビフォーマット変換が行われモニタに表示される(図7のステップS8)。
(送信音場の均一性)
次に、本実施例における第1の送信用振動素子群及び第2の送信用振動素子群によって形成される送信音場につき図8及び図9を用いて説明する。図8は、既に示した図4の場合と同様にして第1及び第2の送信用振動素子群における素子数M2を6、第3の送信用振動素子群における素子数M3を8とした場合に形成される送信音場について示したものであり、第1の送信用振動素子群を構成する振動素子32−X乃至32−(X+5)によって形成される第1の送信音場Bt1を実線で、又、第2の送信用振動素子群を構成する振動素子32−(X+2)乃至32−(X+7)によって形成される第2の送信音場Bt2を破線で、更に第1の送信音場と第2の送信音場が合成されて形成された第3の送信音場(以下、合成音場と呼ぶ。)Bt3を一点鎖線で示している。
尚、第1の送信音場Bt1及び第2の送信音場Bt2の距離方向(図8のZ方向)におけるZ=0の振動素子配列面からZ=Zoまでの領域は近距離領域であり、Z=Zoより遠方は収束領域である。そして、この収束領域において第1の送信音場Bt1の端部と第2の送信音場Bt2の端部は重なるようにして合成送信音場Bt3が形成される。尚、上述の近距離領域と収束領域の境界Z=Zoは第1及び第2の送信用振動素子群の幅(開口幅)や焦点距離、更には超音波周波数等によって一義的に決定される。
一方、図9は、図8に示した第1の送信音場Bt1及び第2の送信音場Bt2のZ=Zx(Zx>Zo)における方位方向の第1の送信音場パターンCt1及び第2の送信音場パターンCt2と合成送信音場パターンCt3を示したものである。通常、収束領域における送信音場パターンは、送信用振動素子群の大きさと送信用振動素子群に対する駆動信号振幅分布によって決定される開口関数をフーリエ変換することによって求めることができる。
本実施例における送信信号生成回路212は、送信振幅制御回路213から供給されるSinc関数の情報に基づいて第1の送信用振動素子群及び第2の送信用振動素子群に対する駆動信号の振幅分布を設定しており、従がって、Z=ZxではSinc関数のフーリエ変換によって決定される矩形形状の第1の送信音場パターンCt1及び第2の送信音場パターンCt2が形成される。
即ち、第1及び第2の送信用振動素子群の駆動振幅分布をSinc関数に基づいて設定することにより、これら送信用振動素子群によって形成される送信音場Bt1及びBt2の方位方向(図8のX方向)では、均一な強度のビーム幅BW1及びBW2を有した第1の送信音場パターンCt1及び第2の送信音場パターンCt2が得られ、送信音場Bt1及び送信音場Bt2を合成して得られた合成送信音場Bt3では、約2倍のビーム幅WB3を有した均一でしかも端部が急峻に減衰した合成送信音場パターンCt3を得ることができる。
但し、上述のようなX方向に均一な合成送信音場パターンCt3を生成するためには第1の送信音場と第2の送信音場をその端部が重なるように合成することが重要であり、このような条件を満足するように、例えば、第1の送信用振動素子群と第2の送信用振動素子群とのシフト量M0が決定される。
図10は、本実施例の並列同時受信における送信音場パターン、受信音場パターン及び送受信音場パターンを示したものであり、図10(a)は、合成送信音場パターンCt3と4方向の並列同時受信における受信音場パターンCr−1乃至Cr−4を、又、図10(b)は、これらの合成送信音場パターンCt3と受信音場パターンCr−1乃至Cr−4によって形成される送受信音場パターンCo−1乃至Co−4を示している。この図からも明らかなように、Sinc関数に基づく振幅分布の駆動信号を用いた場合には、方位方向(X方向)に対して略一様な大きさの送受信音場が得られる。
以上述べた本発明の第1の実施例によれば、コンベックス走査用超音波プローブを用い被検体の診断対象部位に対して並列同時受信を行なう際に、複数の送信用振動素子群の各々が形成する送信音場を合成することにより、広いビーム幅と均一な送信強度を有する合成送信音場を得ることができる。従がって方位方向に略一様でしかもビーム曲がりが大幅に低減された送受信音場が得られ、感度ムラや画像歪の無いBモード画像データやカラードプラ画像データを生成することが可能となる。
又、本実施例によれば、送信用振動素子群を構成する振動素子に対してSinc関数をベースとした振幅分布の駆動を行なうことにより、均一性に優れしかも端部においては急峻な減衰特性を有した合成送信音場を得ることができる。従がって、並列同時受信が行なわれる領域以外に放射される送信超音波は微小となり送信エネルギーを有効に用いることができるため、サイドローブや多重反射によるアーチファクトが低減され感度に優れたBモード画像データやカラードプラ画像データを生成することが可能となる。
即ち、本実施例の並列同時受信によれば、リアルタイム性と画質に優れた超音波画像データの生成が可能となり、診断能が大幅に向上する。
次に、本発明の第2の実施例について説明する。この第2の実施例の特徴は、直線状に振動素子が1次元配列されたセクタ走査用の超音波プローブを用いて並列同時受信を行なう際に、前記複数の振動素子の一部あるいは全てによって構成された送信用振動素子群に対して第1の方向に送信超音波を放射するための第1の送信信号群と前記第1の方向に隣接した第2の方向に送信超音波を放射するための第2の送信信号群を合成した合成送信信号群を生成し、この合成送信信号群を前記送信用振動素子群に供給することにより、広いビーム幅を有した送信音場を形成することにある。
又、本実施例の第2の特徴は、前記第1の送信信号群及び前記第2の送信信号群の振幅分布を、Sinc関数をベースとして設定することにより方位方向において均一な送信音場を得ることにある。
(装置の構成)
本発明の第2の実施例における超音波診断装置と上述の第1の実施例における超音波診断装置は特に送受信部の構成と超音波プローブにおいて顕著な差異がある。本実施例における超音波診断装置の構成と動作につき図11乃至図13を用いて説明する。
図11は、本実施例における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図であり、図12は、この超音波診断装置を構成する送受信部のブロック図である。尚、以下に述べる本実施例の超音波診断装置において、上述の第1の実施例のユニットと同一の動作及び機能を有したユニットは同一の符号を付加し、詳細な説明は省略する。
図11に示す超音波診断装置200は、M1個の振動素子が直線状に1次元配列され被検体に対して超音波送受信を行なうセクタ走査用の超音波プローブ31と、前記振動素子に対して駆動信号を供給すると共に、これらの振動素子から得られた受信信号に対して整相加算を行なう送受信部26を備え、更に、第1の実施例の超音波診断装置100の場合と同様の機能を有するデータ生成部4、画像データ生成記憶部5、表示部6、基準信号発生部1、入力部7及びシステム制御部8を備えている。
図12に示した送受信部26は、予め設定されたM2個(M2≦M1)の送信用振動素子に対してM2チャンネルからなる駆動信号群を供給する送信部27と、M3個(M3≦M1)の受信用振動素子から得られた受信信号に対して整相加算を行なう受信部28を備えている。
そして、送信部27は、レートパルス発生器211と、送信信号生成回路212と、送信信号制御回路213と、送信遅延回路214と、送信信号合成回路215と、駆動回路216を備えている。
送信遅延回路214は、送信信号生成回路212によって生成されたM2チャンネルの送信信号に対し、被検体の第1の方向−Δθtに対する超音波の送信に必要な遅延時間を与えて第1の送信信号群を生成する送信遅延回路214aと前記被検体の第2の方向Δθtに対する超音波の送信に必要な遅延時間を与えて第2の送信信号群を生成する送信遅延回路214bを備えている。
送信信号合成回路215は、第1の送信信号群と第2の送信信号群を合成して合成送信信号群を生成する。そして、駆動回路216は、合成送信信号群を増幅してM2チャンネルの駆動信号群を生成し、超音波プローブ31の隣接したM2個の送信用振動素子群を駆動して被検体の第1の方向−Δθt及び第2の方向Δθtに送信超音波を放射する。
一方、受信部28は、M3チャンネルから構成されるプリアンプ231及びA/D変換器232と、Mチャンネルのビームフォーマ234−1乃至234−Mを備えている。そして、ビームフォーマ234−1乃至234−Mの各々はM3チャンネルの受信信号に対して整相加算を行ない、M方向からの受信信号を並列同時受信する。
次に、送信部27の送信信号合成回路215における送信信号の合成方法につき図13の模式図を用いて説明する。尚、図13では、送信用振動素子群の振動素子数M2を8としているが、これに限定されない。
図13(a)は、図12に示した送信部27の送信信号生成回路212によって生成されるM2チャンネルの送信信号であり、各々の送信信号の振幅は送信振幅制御回路213から供給される振幅分布情報に基づいて設定される。この場合も、端部ほど振幅が小さくなる振幅分布の送信信号を示しているが、実際には、Sinc関数をベースとした振幅分布が設定される。
又、図13(b)は、送信遅延回路214aにおいて−Δθt方向に対する偏向用遅延時間と収束用遅延時間が与えられた第1の送信信号群と、送信遅延回路214bにおいΔθt方向に対する偏向用遅延時間と収束用遅延時間が与えられた第2の送信信号群を示す。一方、図13(c)は、前記第1の送信信号群と前記第2の送信信号群を合成して生成された合成送信信号群と、この合成送信信号群が駆動回路216を介して供給される送信用振動素子群の振動素子32−1乃至32−8を対応させて示している。
(画像データの生成手順)
次に、本実施例における画像データの生成手順につき図14のフローチャートに沿って説明する。尚、本実施例では、セクタ走査用の超音波プローブ31を使用し、第1の方向に対する送信音場と第2の方向に対する送信音場を合成することによって形成された合成送信音場に対してM段の並列同時受信を適用して被検体に対するBモード画像データ及びカラードプラ画像データの生成と表示を行なう場合について述べる。
超音波診断装置100の操作者は、先ず、図11の入力部7において使用する超音波プローブ31のプローブIDや上記画像データの収集に必要な諸条件を入力し、これらの入力情報はシステム制御部8の図示しない記憶回路に保存される。上記諸条件として、例えば、並列同時受信の方向数M、送信時の振動素子数M2、受信時の振動素子数M3、駆動信号の重み付け関数等がある。但し、以下では受信用振動素子数M3は送信用振動素子数M2と等しい場合について述べるが、これに限定されない(図14のステップS11)。
上記初期設定が終了したならば、操作者は、超音波プローブ31の先端(超音波送受信面)を被検体体表面上の所定位置に固定し、超音波の送受信を開始する。このとき、システム制御部8は、自己の記憶回路に一旦保存された駆動信号の重み付け関数に関する情報を送信部27の送信振幅制御回路213に供給する。一方、送信部27の送信振幅制御回路213は、システム制御部8から供給された駆動信号振幅の重み付け関数の情報に基づいて例えばSinc関数による送信信号振幅値を算出し、この算出結果を送信信号生成回路212に供給する。
次に、最初の走査方向θ1に対する超音波送受信に際し、図2のレートパルス発生器211は、基準信号発生部1から供給される基準信号を分周してレートパルスを生成し、送信信号生成回路212に供給する(図14のステップS12)。
送信信号生成回路212は、このレートパルスに同期したインパルスあるいは所定波形形状の送信信号をM2チャンネル生成し、更に、送信振幅制御回路213から供給された送信信号振幅値に基づいて前記M2チャンネルの送信信号における振幅を設定する。次いで、送信遅延回路214a及び214bは、送信超音波をθ1−Δθt及びθ1+Δθtに放射するための偏向用遅延時間と所定距離に収束するための収束用遅延時間を送信信号生成回路212から供給されたM2チャンネルの送信信号に与え、第1の送信信号群と第2の送信信号群を生成する(図14のステップS13)。
一方、送信信号合成回路215は、送信遅延回路214a及び214bの各々から出力されたM2チャンネルの第1の送信信号群と第2の送信信号群を合成して合成送信信号群を生成し駆動回路216に供給する(図14のステップS14)。そして、駆動回路216は、合成送信信号群の各々を増幅して駆動信号群を生成し、超音波プローブ31の振動素子32−1乃至32−M2に供給して送信超音波を放射する(図14のステップS15)。
振動素子32−1乃至32−M2の駆動によって被検体に放射された送信超音波の一部は、音響インピーダンスの異なる臓器間の境界面あるいは組織にて反射する。又、この超音波が心臓壁や血球などの動きのある反射体で反射する場合、その超音波周波数はドプラ偏移を受ける。
被検体の組織や血球にて反射した超音波反射波(受信超音波)は、振動素子1乃至M2で受信されて電気信号(受信信号)に変換される。更に、この受信信号は、受信部28に供給され、受信部28のプリアンプ231にて所定の大きさに増幅された後、A/D変換器232にてデジタル信号に変換される。
デジタル信号に変換されたM2チャンネルの受信信号は、ビームフォーマ234−1乃至234−Mの各々に供給され、例えば、θ1−3Δθr、θ1−Δθr、θ1+Δθr、θ1+3Δθrの4方向に対して受信指向性を設定するための偏向用遅延時間と、ダイナミックフォーカスを行なうための収束用遅延時間が与えられ整相加算される。
ビームフォーマ234−1乃至234−4Mにおいて整相加算されたMチャンネルの受信信号は、図11のデータ生成部4におけるBモードデータ生成部41及びカラードプラデータ生成部42に供給される。そして、上述の第1の実施例の場合と同様の方法によってθ1−3Δθr、θ1−Δθr、θ1+Δθr及びθ1+3Δθrに対するBモードデータ及びカラードプラデータが生成され、得られたこれらのデータは、図11の画像データ生成記憶部5におけるBモードデータ記憶領域及びカラードプラデータ記憶領域に保存される(図14のステップS16)。
同様の手順によって、システム制御部8はθ2−Δθt、θ2+Δθtに対する送信超音波の放射とθ2−3Δθr、θ2−Δθr、θ2+Δθr及びθ2+3Δθrに対する並列同時受信を行ない、θ2−3Δθr、θ2−Δθr、θ2+Δθr及びθ2+3Δθrに対するBモードデータとカラードプラデータを前記画像データ生成記憶部5の各記憶領域に保存する。
上記手順によって、走査方向θ3乃至θNの各々に対して並列同時受信を繰り返し(図14のステップS13乃至S16)、得られたBモードデータとカラードプラデータは画像データ生成記憶部5に順次保存されて2次元あるいは3次元のBモード画像データ及びカラードプラ画像データが生成される。そして、表示部6の表示データ生成回路は、画像データ生成記憶5において生成されたBモード画像データ及びカラードプラ画像データに対して所定の表示形態に対応した走査変換等の処理を行なって表示データを生成し、この表示データは、変換回路においてD/A変換とテレビフォーマット変換が行われてモニタに表示される(図14のステップS17)。
尚、上述の並列同時受信における受信音場間隔2Δθrは、通常、走査方向間隔(例えばθ2−θ1)の1/Mに設定される。
(送信音場の均一性)
次に、本実施例の送信用振動素子群によって形成される送信音場及び送受信音場につき図15及び図16を用いて説明する。図15は、図13の場合と同様にして送信用振動素子群の素子数M2を8とし、θ=0に対して4方向(M=4)の並列同時受信を行なう際に、送信超音波を−θt及びθtの2方向に送信することによって形成される送信音場について示したものである。尚、この図において、送信遅延回路214aの遅延時間に基づいてθ=−θt方向に形成される第1の送信音場Bt1を実線で、又、送信遅延回路214bの遅延時間に基づいてθ=θt方向に形成される第2の送信音場Bt2を破線で、更に第1の送信音場と第2の送信音場が合成されて形成された合成送信音場Bt3を一点鎖線にて示している。
そして、Z=Zx(Zx>Zo)の収束領域において第1の送信音場Bt1の端部と第2の送信音場Bt2の端部は重なるようにして合成送信音場Bt3が形成される。このとき、合成送信音場Bt3の合成音場パターンは、送信超音波の送信方向θt及び−θtを好適な値に設定することにより、第1の送信音場Bt1のビーム幅BW1あるいは第2の送信音場Bt2のビーム幅BW2に対して約2倍のビーム幅BW3を有し、均一でしかも端部が急峻に減衰した合成送信音場Bt3を形成することができる。
図16は、本実施例の並列同時受信における合成送信音場パターン、受信音場パターン及び送受信音場パターンを示した図であり、図16(a)は合成送信音場Bt3に設定された並列同時受信の受信音場Br−1乃至Br−4を示す。そして、図16(b)は、例えば、Z=Zxにおける合成送信音場パターンCt3と4方向の並列同時受信における受信音場パターンCr−1乃至Cr−4を、又、図16(c)は、合成送信音場パターンCt3と受信音場パターンCr−1乃至Cr−4によって形成される送受信音場パターンCo−1乃至Co−4を示している。
以上述べた本発明の第2の実施例によれば、セクタ走査用超音波プローブを用い被検体の診断対象部位に対して並列同時受信を行なう際に、隣接した複数の方向に対して形成した送信音場を合成することにより、広いビーム幅と均一な送信強度を有する合成送信音場を得ることができる。従がって、方位方向に略一様でしかもビーム曲がりが大幅に低減された送受信音場が得られ、感度ムラや画像歪の無いBモード画像データやカラードプラ画像データを生成することが可能となる。
又、本実施例によれば、第1の実施例の場合と同様にして送信用振動素子群を構成する振動素子に対してSinc関数をベースとした振幅分布の駆動を行なうことにより、均一性に優れしかも端部においては急峻な減衰特性を有した合成送信音場を得ることができる。従がって、並列同時受信が行なわれる領域以外に放射される送信超音波は微小となり送信エネルギーを有効に用いることができるため、サイドローブや多重反射によるアーチファクトが低減され感度に優れたBモード画像データやカラードプラ画像データを生成することが可能となる。
即ち、本実施例の並列同時受信法によれば、リアルタイム性と画質に優れた超音波画像データの生成が可能となり、診断能が大幅に向上する。
以上、本発明の実施例について述べてきたが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施例における送信信号群の振幅分布はSinc関数としたが、他の振幅分布であってもよい。例えば、Sinc関数にハミングの窓関数を乗算することにより振幅分布の端部における不連続の影響を低減することができるため、更に良好な送信音場を形成することができる。
又、上述の実施例では、収束領域において均一な合成送信音場を形成する場合について述べたが、近距離領域において送信音場を合成することも可能である。但し、この場合に形成される第1の送信音場パターン及び第2の送信音場パターンは図17に示すように端部における急峻さが劣化するため、例えば、ピーク値に対し−2.4dB乃至−3.5dBとなる位置あるいは角度において隣接した第1の送信音場パターンと第2の送信音場パターンを一致させて合成するようにシフト量M0あるいは送信方向Δθtの設定を行なう。
尚、上述の実施例では、振動素子を1次元に配列した超音波プローブについて述べたが2次元配列された超音波プローブであってもよい。又、コンベックス走査用やセクタ走査用の超音波プローブに限定されない。特に、リニア走査用の超音波プローブを使用する場合には、第1の実施例において述べた方法と同様な方法によって均一な合成送信音場を形成することができる。
本発明の第1の実施例における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。 同実施例における送受信部の構成を示すブロック図。 同実施例の送信用振動素子群に対する送信信号の振幅分布を示す図。 同実施例の並列同時受信における送信用振動素子群及び受信用振動素子群の選択方法を模式的に示す図。 同実施例における送信信号の合成方法を示す図。 同実施例におけるデータ生成部の構成を示すブロック図。 同実施例における画像データの生成手順をしめすフローチャート。 同実施例における駆動信号と送信音場の関係を示す図。 同実施例における第1の送信音場パターン及び第2の送信音場パターンと合成送信音場パターンを示す図。 同実施例における合成送信音場パターン、受信音場パターン及び送受信音場パターンを示す図。 本発明の第2の実施例における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。 同実施例における送受信部の構成を示すブロック図。 同実施例における送信信号群の合成方法を示す図。 同実施例における画像データの生成手順をしめすフローチャート。 同実施例における駆動信号と送信音場の関係を示す図。 本実施例の並列同時受信における合成送信音場パターン、受信音場パターン及び送受信音場パターンを示す図。 本発明の第1の実施例及び第2の実施例の変形例における第1の送信音場パターン及び第2の送信音場パターンと合成送信音場パターンを示す図。 従来の並列同時受信における送受信音場のビーム曲がりを説明するための図。 従来の並列同時受信における受信感度の不均一を説明するための図。
符号の説明
1…基準信号発生部
2、26…送受信部
3、31…超音波プローブ
4…データ生成部
5…画像データ生成記憶部
6…表示部
7…入力部
8…システム制御部
21、27…送信部
22…素子選択部
23、28…受信部
24…素子選択制御部
41…Bモードデータ生成部
42…カラードプラデータ生成部
100、200…超音波診断装置
211…レートパルス発生器
212…送信信号生成回路
213…送信振幅制御回路
214…送信遅延回路
215…送信信号合成回路
216…駆動回路
231…プリアンプ
232…A/D変換器
233…チャンネル選択回路
234…ビームフォーマ
411…包絡線検波器
412…対数変換器
421…π/2移相器
422…ミキサ
423…LPF
424…ドプラ信号記憶部
425…MTIフィルタ
426…自己相関演算器

Claims (5)

  1. 配列された複数の振動素子を備えた超音波プローブと、
    前記複数の振動素子あるいは前記複数の振動素子の一部から構成された送信用振動素子
    群に対し、第1の送信音場を形成する遅延時間が与えられた第1の送信遅延信号と、前記送
    信音場の収束領域において前記第1の送信音場と端部が重なる第2の送信音場を形成する遅
    延時間が与えられた第2の送信遅延信号を生成し、前記第1及び第2の送信遅延信号を合成
    した合成遅延信号を生成する素子制御手段と、
    前記送信用振動素子群の駆動を、前記合成遅延信号により行い、前記第1及び前記第2の
    送信音場とが合成され、前記第1及び第2の送信音場より広い幅を有した合成送信音場を形
    成する超音波を送信する送信手段と、
    所定の受信方向から得られた前記超音波の反射波に基づいて受信信号を生成する受信手
    段と、
    前記受信信号に基づいて画像データを生成する画像データ生成手段と
    を有することを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記素子制御手段は、第1の受信方向に対応した遅延時間が与えられた第1の受信遅延
    信号と、第2の受信方向に対応した遅延時間が与えられた第2の受信遅延信号とを生成し、
    前記受信手段は、前記第1及び第2の受信方向から得られた前記超音波の反射波に基づい
    て前記受信信号を生成する
    ことを特徴とする請求項に記載の超音波診断装置。
  3. 前記合成送信音場は、前記合成送信音場内の所定の位置において、前記超音波の送信方
    向に対し直交する方向において略均一な強度を有する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
  4. 前記素子制御手段は、前記第1の送信音場と前記第2の送信音場それぞれが、前記超音波
    の送信方向に対し直交する方向において矩形形状の強度分布を有するように、前記複数の
    振動素子の各々から送信される超音波の強度を制御する
    ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  5. 前記素子制御手段は、前記第1及び第2の受信方向が、前記合成送信音場内にあるよう前
    記第1及び第2の受信方向を制御する
    ことを特徴とする請求項2記載の超音波診断装置。
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