本発明の感放射線性樹脂組成物は、主鎖に環状構造を有する環状オレフィン系重合体100重量部、感放射線性化合物1〜100重量部及びブロックされたイソシアネート基を有するブロック型ポリイソシアネート化合物5〜80重量部を含有してなる。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、主鎖に環状構造を有する環状オレフィン系重合体と所定量のブロック型ポリイソシアネート化合物とを組合せて用いることを特徴とする。
本明細書において、環状オレフィン系重合体を「樹脂」と、環状オレフィン系重合体を含んでなる膜を「樹脂膜」という場合がある。
また、本明細書において、「耐熱形状保持性が優れる」とは、樹脂膜をパターン化して得られたパターン化樹脂膜(一次パターン化樹脂膜)をメルトフローさせて一次パターン化樹脂膜のパターン形状を変形させたパターン化樹脂膜(二次パターン化樹脂膜)を形成する場合にあっては、当初のパターン形状が過度に変形することなく、所望のパターン形状を容易に形成できることを、また、二次パターン化樹脂膜形成後に二次パターン化樹脂膜がメルトフロー時の温度以上の温度に曝された場合にあっては、所望のパターン形状の変形に対し耐性を有することを意味し、総じてパターン形状の熱制御性が高いことをいう。ここで「変形」とは、パターン化樹脂膜の加熱前後でパターン形状を対比した場合に、目視で認識し得る程度にパターン形状が変化することをいう。一方、「温度マージンが広い」とは、一次パターン化樹脂膜をメルトフローさせて二次パターン化樹脂膜を形成する際の最適温度を中心とした許容加熱温度幅が広いことをいう。本発明の感放射線性樹脂組成物に関する以上の特性は後述する実施例に記載の方法に従って評価することができる。なお、本明細書において「パターン化樹脂膜」には、特段の事情がない限り、一次パターン化樹脂膜と二次パターン化樹脂膜とを含む。
本発明に使用する環状オレフィン系重合体は、主鎖に、環状オレフィン単量体単位の環状構造(脂環又は芳香環)を有する、環状オレフィン単量体の単独重合体又は共重合体である。本発明において環状オレフィンとは、開環重合可能な炭素−炭素二重結合を含む環状構造を有するオレフィン単量体をいう。環状オレフィン系重合体は環状オレフィン単量体以外の単量体単位を有していてもよい。かかる環状オレフィン系重合体の全構造単位中、環状オレフィン単量体単位の割合は、通常、30〜100重量%、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%である。
本発明に使用する環状オレフィン単量体としては、特に限定はないが、例えば、後述の環状オレフィン単量体(a〜c)が挙げられる。一方、かかる環状オレフィン単量体以外の単量体としては、特に限定はないが、例えば、後述の、ビニル脂環式炭化水素単量体(d)、ビニル芳香族炭化水素単量体(e)、及び鎖状オレフィン(f)が挙げられる。
本発明の環状オレフィン系重合体は、これらの各単量体を任意に組合せて重合することにより形成することができる。また、得られた重合体の環状構造が不飽和結合を有するときは、これを水素化することにより、飽和の環状構造とすることも可能である。
環状オレフィン単量体の第1の群として、極性基を有しない環状オレフィン単量体(a)を挙げることができる。その具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、テトラシクロ[8.4.0.111,14.03,7]ペンタデカ−3,5,7,12,11−ペンタエン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−ビニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−3,10−ジエン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン、8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(「1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレン」ともいう。)、ペンタシクロ[7.4.0.13,6.110,13.02,7]ペンタデカ−4,11−ジエン、ペンタシクロ[9.2.1.14,7.02,10.03,8]ペンタデカ−5,12−ジエン等が挙げられる。
これらの環状オレフィン単量体は、それぞれ単独で使用しても2種以上を組合せて使用してもよい。
環状オレフィン単量体の第2の群としては、極性基を有する環状オレフィン単量体を挙げることができる。
これらの極性基を有する環状オレフィン単量体は、それぞれ単独で使用しても2種以上を組合せて使用してもよい。
極性基は、プロトン性極性基と、これ以外の極性基とに分けて示すことができる。従って、極性基を有する環状オレフィン単量体は、プロトン性極性基を有する環状オレフィン単量体(b)と、プロトン性極性基以外の極性基(非プロトン性極性基)を有する環状オレフィン単量体(c)とに分けて示すことができる。
本明細書においてプロトン性極性基とは、炭素原子以外の原子に水素原子が直接結合した原子団をいう。ここで、炭素原子以外の原子は、好ましくは周期律表第15族及び第16族に属する原子、より好ましくは周期律表第15族及び第16族の第1及び第2周期に属する原子、更に好ましくは酸素原子、窒素原子及び硫黄原子、特に好ましくは酸素原子である。
プロトン性極性基の具体例としては、カルボキシル基(ヒドロキシカルボニル基)、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキシル基等の酸素原子を有する極性基;第一級アミノ基、第二級アミノ基、第一級アミド基、第二級アミド基(イミド基)等の窒素原子を有する極性基;チオール基等の硫黄原子を有する極性基;等が挙げられる。これらの中でも、酸素原子を有するものが好ましく、より好ましくはカルボキシル基である。
プロトン性極性基を有する環状オレフィン単量体(b)の具体例としては、5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシメチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エキソ−6−エンド−ジヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エキソ−9−エンド−ジヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等のカルボキシル基を有する環状オレフィン;5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−(4−ヒドロキシフェニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−(4−ヒドロキシフェニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等のヒドロキシ基を有する環状オレフィン等が挙げられ、これらの中でもカルボキシル基を有する環状オレフィンが好ましい。
非プロトン性極性基の具体例としては、エステル基(アルコキシカルボニル基及びアリーロキシカルボニル基を総称していう。)、N−置換イミド基、エポキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボニルオキシカルボニル基(ジカルボン酸の酸無水物残基)、アルコキシ基、カルボニル基、第三級アミノ基、スルホン基、ハロゲン原子、アクリロイル基等が挙げられる。これらのうち、好ましくはエステル基、N−置換イミド基、シアノ基及びハロゲン原子であり、より好ましくはエステル基及びN−置換イミド基である。特に、N−置換イミド基が好ましい。
非プロトン性極性基を有する環状オレフィン単量体(c)としては、以下のようなものが具体的に例示される。
エステル基を有する環状オレフィンとしては、例えば、5−アセトキシビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−アセトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等が挙げられる。
N−置換イミド基を有する環状オレフィンとしては、例えば、N−(4−フェニル)−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)等が挙げられる。
シアノ基を有する環状オレフィンとしては、例えば、8−シアノテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−シアノテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が挙げられる。
ハロゲン原子を有する環状オレフィンとしては、例えば、8−クロロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−クロロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等が挙げられる。
また、前記ビニル脂環式炭化水素単量体(d)の例としては、ビニルシクロプロパン、ビニルシクロブタン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘプタン等のビニルシクロアルカン;3−メチル−1−ビニルシクロヘキサン、4−メチル−1−ビニルシクロヘキサン、1−フェニル−2−ビニルシクロプロパン、1,1−ジフェニル−2−ビニルシクロプロパン等の置換基を有するビニルシクロアルカン;等を挙げることができる。
ビニル芳香族炭化水素単量体(e)の例としては、スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、3−ビニルナフタレン等のビニル芳香族類;3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン等の置換基を有するビニル芳香族類;m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン、ビス(4−ビニルフェニル)メタン等の多官能ビニル芳香族類;等を挙げることができる。
鎖状オレフィン(f)の例としては、エチレン;プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数2〜20のα−オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等の非共役ジエン等が挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
上記各単量体の重合方法は、常法に従えばよく、例えば、開環重合法や付加重合法が採用される。重合触媒としては、例えば、モリブデン、ルテニウム、オスミウム等の金属錯体が好適に用いられる。これらの重合触媒は、それぞれ単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。例えば、環状オレフィン単量体の開環重合体や環状オレフィン単量体の開環共重合体(以下、両者を併せて「環状オレフィン単量体の開環(共)重合体」という。)を得る場合、重合触媒の量は、重合触媒中の金属化合物:環状オレフィン単量体のモル比で、通常、1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:500〜1:1,000,000、より好ましくは1:1,000〜1:500,000の範囲である。
上記重合によって得られる環状オレフィン系重合体は、所望により水素添加することができる。水素添加は、通常、水素添加触媒を用いて行われる。水素添加触媒としては、例えば、オレフィン化合物の水素添加に際して一般的に使用されているものを用いることができる。具体的には、チーグラータイプの均一系触媒、貴金属錯体触媒、担持型貴金属系触媒等が利用できる。これらの水素添加触媒のうち、プロトン性極性基等の官能基を変性させる等の副反応を起こさず、重合体中の炭素−炭素不飽和結合に選択的に水素添加できる点から、ロジウム、ルテニウム等の貴金属錯体触媒が好ましく、電子供与性の高い含窒素複素環式カルベン化合物又はホスフィン類が配位したルテニウム触媒がより好ましい。なお、環状オレフィン系重合体の水素化率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。
本発明に用いる環状オレフィン系重合体は、特に限定されないが、好ましくは、環状オレフィン単量体の開環(共)重合体及びそれらの水素添加物;環状オレフィン単量体とビニル脂環式炭化水素単量体との付加共重合体及びその水素添加物;並びに環状オレフィン単量体とビニル芳香族炭化水素単量体との付加共重合体及びその水素添加物;からなる群から選択される少なくとも1種であり、より好ましくは、環状オレフィン単量体の開環(共)重合体の水素添加物である。
本発明において、環状オレフィン系重合体は、組成等の異なるものを、それぞれ単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
本発明において使用する環状オレフィン系重合体としては、極性基を有するものが好ましい。極性基を有する環状オレフィン系重合体に含まれる極性基の数は特に限定されず、極性基は、同一又は相異なる種類のものが含まれていてもよい。また、極性基は、環状オレフィン単量体単位に結合していても、環状オレフィン単量体以外の単量体単位に結合していてもよいが、環状オレフィン単量体単位に結合しているのが好ましい。
本発明においては、環状オレフィン系重合体は、特にプロトン性極性基を有するものが好ましい。プロトン性極性基を有する環状オレフィン系重合体(以下、「プロトン性極性基含有環状オレフィン系重合体」という場合がある。)を使用することにより、得られる感放射線性樹脂組成物の放射線に対する感度や、該組成物の基板に対する密着性が向上するので好適である。プロトン性極性基含有環状オレフィン系重合体は、組成等の異なるものを、それぞれ単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
本発明においてプロトン性極性基含有環状オレフィン系重合体としては、以下に示すような、式(I)で表される構造単位を有するものが好適であり、式(I)で表される構造単位及び式(II)で表される構造単位を有するものがより好適である。式(I)で表される構造単位、及び式(II)で表される構造単位は、いずれも環状オレフィン単量体単位である。
〔式(I)中、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素原子又は-Xn-R'基(Xは二価の有機基であり、nは0又は1であり、R'は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族基、又はプロトン性極性基である。)であり、R1〜R4のうち少なくとも1つは、R'がプロトン性極性基である-Xn-R'基であり、mは0〜2の整数である。〕
〔式(II)中、R5とR6は、それらが結合する2つの炭素原子と一緒になって、置換基を有していてもよい、酸素原子又は窒素原子を含む、3員又は5員複素環構造を形成し、kは0〜2の整数である。〕
前記一般式(I)において、Xで示される二価の有機基としては、例えば、メチレン基、エチレン基及びカルボニル基などが挙げられる。R'で示される置換基を有していてもよいアルキル基は、通常、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜7のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、及びイソプロピル基などが挙げられる。置換基を有していてもよい芳香族基は、通常、炭素数6〜10の芳香族基であり、例えば、フェニル基及びベンジル基などが挙げられる。プロトン性極性基としては、前記したような基が挙げられる。アルキル基や芳香族基の基の置換基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;フェニル基、キシリル基、トリル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基;などが挙げられる。
前記一般式(II)において、R5とR6が、それらが結合する2つの炭素原子と一緒になって、置換基を有していてもよい、酸素原子又は窒素原子を含んで形成する3員複素環構造としては、例えば、エポキシ構造などが挙げられる。また、R5とR6が、それらが結合する2つの炭素原子と一緒になって、置換基を有していてもよい、酸素原子又は窒素原子を含んで形成する5員複素環構造としては、例えば、ジカルボン酸無水物構造〔-C(O)-O-C(O)-〕及びジカルボキシイミド構造〔-C(O)-N-C(O)-〕などが挙げられる。酸素原子や窒素原子の置換基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、及びアントラセニル基などが挙げられる。
プロトン性極性基含有環状オレフィン系重合体において、プロトン性極性基を有する単量体単位とこれ以外の単量体単位との比率(プロトン性極性基を有する単量体単位/これ以外の単量体単位)は、重量比で、通常、100/0〜10/90、好ましくは90/10〜20/80、より好ましくは80/20〜30/70の範囲である。
本発明において使用するプロトン性極性基含有環状オレフィン系重合体の好ましい製造方法としては、プロトン性極性基を有する環状オレフィン単量体(b)を重合し、所望により水素添加を行う方法を挙げることができる。
また、本発明において使用するプロトン性極性基含有環状オレフィン系重合体は、プロトン性極性基を有しない環状オレフィン系重合体に、公知の方法により、変性剤を用いてプロトン性極性基を導入する方法によっても得ることができる。このとき、プロトン性極性基導入前後の重合体について、水素添加を行ってもよい。
プロトン性極性基を有しない環状オレフィン系重合体にプロトン性極性基を導入するための変性剤としては、通常、一分子内に、反応性の炭素−炭素不飽和結合とプロトン性極性基とを有する化合物が用いられる。このような化合物の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、アトロパ酸、ケイ皮酸等の不飽和カルボン酸;アリルアルコール、メチルビニルメタノール、クロチルアルコール、メタリルアルコール、1−フェニルエテン−1−オール、2−プロペン−1−オール、3−ブテン−1−オール、3−ブテン−2−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、2−メチル−3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、4−メチル−4−ぺンテン−1−オール、2−ヘキセン−1−オール等の不飽和アルコール;等を挙げることができる。変性反応は、常法に従えばよく、通常、ラジカル発生剤の存在下で行われる。これらの変性剤はそれぞれ単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記プロトン性極性基含有環状オレフィン系重合体の製法において、プロトン性極性基に代えて、その前駆体を用いてもよい。即ち、プロトン性極性基を有する単量体に代えて、そのプロトン性極性基の前駆体を有する単量体を用いてもよい。また、変性剤として、プロトン性極性基に代えてその前駆体を有する変性剤を用いてもよい。プロトン性極性基の前駆体は、その種類に応じて、光や熱による分解、加水分解等の化学反応により、プロトン性極性基に変換される。
例えば、プロトン性極性基含有環状オレフィン系重合体におけるプロトン性極性基をカルボキシル基とする場合、プロトン性極性基の前駆体としてエステル基を使用し、次いで適宜カルボキシル基に変換すればよい。
一方、プロトン性極性基を有しない環状オレフィン系重合体は、常法に従って、例えば、前記単量体(a)、(c)〜(f)を使用して得ることができる。
本発明で使用する環状オレフィン系重合体の重量平均分子量(Mw)は、通常、1,000〜1,000,000、好ましくは1,500〜100,000、より好ましくは2,000〜10,000の範囲である。
本発明で使用する環状オレフィン系重合体の分子量分布は、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)比で、通常、4以下、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下である。
本発明で使用する環状オレフィン系重合体のヨウ素価は、通常、200以下、好ましくは50以下、より好ましくは10以下である。環状オレフィン系重合体のヨウ素価がこの範囲にあれば、特に耐熱形状保持性に優れ、好適である。
本発明で使用する感放射線性化合物は、紫外線や電子線等の放射線の照射により、化学反応を引き起こすことのできる化合物である。本発明においてプロトン性極性基を有する環状オレフィン系重合体を使用する場合には、この感放射線性化合物は、該環状オレフィン系重合体のアルカリ溶解性を制御できるものが好ましい。本発明においては感放射線性化合物として光酸発生剤を使用することが好ましい。
感放射線性化合物としては、例えば、アセトフェノン化合物、トリアリールスルホニウム塩、キノンジアジド化合物等のアジド化合物、等が挙げられるが、好ましくはアジド化合物、特に好ましくはキノンジアジド化合物である。
キノンジアジド化合物としては、例えば、キノンジアジドスルホン酸ハライドとフェノール性水酸基を有する化合物とのエステル化合物を用いることができる。キノンジアジドスルホン酸ハライドの具体例としては、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロライド、1,2−ベンゾキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド等が挙げられる。フェノール性水酸基を有する化合物の代表例としては、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール等が挙げられる。これら以外のフェノール性水酸基を有する化合物としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ノボラック樹脂のオリゴマー、フェノール性水酸基を1つ以上有する化合物とジシクロペンタジエンとを共重合して得られるオリゴマー等が挙げられる。
光酸発生剤としては、キノンジアジド化合物の他、オニウム塩、ハロゲン化有機化合物、α,α’−ビス(スルホニル)ジアゾメタン系化合物、α−カルボニル−α’−スルホニルジアゾメタン系化合物、スルホン化合物、有機酸エステル化合物、有機酸アミド化合物、有機酸イミド化合物等、公知のものを用いればよい。
これらの感放射線性化合物は、それぞれ単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
感放射線性化合物の使用量は、環状オレフィン系重合体100重量部に対して、通常、1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部、より好ましくは10〜40重量部の範囲である。感放射線性化合物の使用量がこの範囲にあれば、基板上に形成させた樹脂膜をパターン化する際に、放射線照射部と放射線未照射部との現像液への溶解度差が大きくなり、現像によるパターン化が容易で、かつ、放射線感度も高くなるので好適である。
本発明の感放射線性樹脂組成物には上記成分の他、ブロックされたイソシアネート基を有するブロック型ポリイソシアネート化合物が含まれる。このブロック型ポリイソシアネート化合物の含有量は、環状オレフィン系重合体100重量部に対し5〜80重量部である。
ブロック型ポリイソシアネート化合物の含有量としては、環状オレフィン系重合体100重量部に対し、好ましくは10〜60重量部、より好ましくは20〜40重量部である。
本発明においては主鎖に環状構造を有する環状オレフィン系重合体と所定量のブロック型ポリイソシアネート化合物とを組合せて用いる。環状オレフィン系重合体、好適にはプロトン性極性基含有環状オレフィン系重合体とブロック型ポリイソシアネート化合物との間の温度依存性の架橋形成作用により、樹脂膜の加熱変形に対する適度な抵抗性が付与されるものと推定される。
本発明に用いられるブロック型ポリイソシアネート化合物とは、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート等のジイソシアネート;及びジイソシアネートが重合したイソシアヌレート体(ジイソシアネートの3量体)のイソシアネート基をブロック剤(保護剤)で保護した(イソシアネート基をブロックした)ものである。ブロック型ポリイソシアネート化合物は、単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
ブロック型ポリイソシアネート化合物自体は公知の化合物であり、ブロック型ポリイソシアネートの他、ブロックイソシアネートやブロック化ポリイソシアネートとも呼ばれ、常温で安定な化合物である。ブロック型ポリイソシアネートは加熱するとブロック剤が解離し、もとの活性なイソシアネート基を再生する。
前記ジイソシアネート及び前記イソシアヌレート体は特に限定されない。好ましい具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の、脂肪族又は脂環式のジイソシアネートが挙げられる。
イソシアネート基をブロックするのに使用されるブロック剤としては、通常、活性水素を有する化合物が使用される。この活性水素を有する化合物は特に限定されない。その具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−エトキシヘキサノール、2−N,N−ジメチルアミノエタノール、2−エトキシエタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;フェノール、o−ニトロフェノール、p−クロロフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のフェノール類;1−ドデカンチオール、ベンゼンチオール等のチオール類;アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、メチルイソブチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム類;マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン化合物類;ε−カプロラクタム等のラクタム類;等が挙げられる。
ブロック型ポリイソシアネート化合物は市販されており、その例としては、住友バイエルウレタン社製のデスモジュールシリーズ(デスモジュールBL3370、デスモジュールVPLS2253)やクレランシリーズ(クレランV1、クレランVPLS2256)、三井武田ケミカル社製のタケネートシリーズ(B−815N、B−882N、B−874N)、日本ポリウレタン工業社製のコロネートシリーズ(コロネートL)等が挙げられる。本発明においては、これらのブロック型ポリイソシアネート化合物を好適に用いることができる。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物には、本発明の所望の効果の発現が阻害されない範囲であれば、所望により、環状オレフィン系重合体以外の樹脂成分や、架橋剤、その他の配合剤等のその他の成分を含ませてもよい。
環状オレフィン系重合体以外の樹脂成分としては、例えば、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ゴム、エラストマー等が挙げられる。
架橋剤としては、環状オレフィン系重合体と反応し得る官能基を、分子内に2つ以上、好ましくは3つ以上有するものが用いられる。架橋剤の有する官能基は環状オレフィン系重合体中の官能基や不飽和結合等と反応しうるものであれば、特に限定されない。環状オレフィン系重合体がプロトン性極性基を有する場合、この極性基と反応し得る好ましい官能基としては、例えば、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等が挙げられ、より好ましくはアミノ基、エポキシ基及びイソシアネート基であり、更に好ましくはエポキシ基である。
このような架橋剤の具体例としては、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ポリアミン類;4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルフォン等の芳香族ポリアミン類;2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドジフェニルスルフォン等のアジド類;ナイロン、ポリヘキサメチレンジアミンテレレフタルアミド、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド等のポリアミド類;N,N,N’,N’,N”,N”−(ヘキサアルコキシメチル)メラミン等のメラミン類;N,N’,N”,N”’−(テトラアルコキシメチル)グリコールウリル等のグリコールウリル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアクリレート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート系ポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート系ポリイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;1,4−ジ−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ−(ヒドロキシメチル)ノルボルナン;1,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン;各種の多官能エポキシ化合物;等が挙げられる。
多官能エポキシ化合物の更に具体的な例としては、エポキシ基を2つ以上、好ましくはエポキシ基を3つ以上有するエポキシ化合物であって、脂環式構造を有するもの、クレゾールノボラック骨格を有するもの、フェノールノボラック骨格を有するもの、ビスフェノールA骨格を有するもの、ナフタレン骨格を有するもの等が挙げられる。これらの中でも、環状オレフィン系重合体との相溶性の良好さから、特に、脂環式構造を有し、且つエポキシ基を2つ以上、より好ましくは3つ以上有する多官能エポキシ化合物が好ましい。
架橋剤としては中でも多官能エポキシ化合物が好適である。その具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、脂肪族グリシジルエーテル、エポキシアクリレート重合体等を挙げることができる。
架橋剤の分子量は、特に限定されないが、通常、100〜100,000、好ましくは500〜50,000、より好ましくは1,000〜10,000である。架橋剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
その他の配合剤としては、例えば、増感剤、界面活性剤、潜在的酸発生剤、帯電防止剤、酸化防止剤、接着助剤、消泡剤、顔料、染料等を挙げることができる。
増感剤の具体例としては、例えば、2H−ピリド−(3,2−b)−1,4−オキサジン−3(4H)−オン類、10H−ピリド−(3,2−b)−1,4−ベンゾチアジン類、ウラゾール類、ヒダントイン類、バルビツール酸類、グリシン無水物類、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール類、アロキサン類、マレイミド類等が好ましく挙げられる。
界面活性剤は、ストリエーション(塗布筋あと)の防止、現像性の向上等の目的で使用される。その具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレート等のポリオキシエチレンジアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;フッ素系界面活性剤;シリコーン系界面活性剤;メタクリル酸共重合体系界面活性剤;アクリル酸共重合体系界面活性剤;等が挙げられる。
潜在的酸発生剤は、本発明の感放射線性樹脂組成物の耐熱性及び耐薬品性を向上する目的で使用される。その具体例としては、加熱により酸を発生するカチオン重合触媒である、スルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、スルホニウム塩及びベンゾチアゾリウム塩が好ましい。
その他上記配合剤としては、公知のものが任意に使用される。
本発明の感放射線性樹脂組成物の形態は、特に限定されず、溶液又は分散液であってもよく、固体状であってもよい。本発明の感放射線性樹脂組成物は、溶液又は分散液の形態で使用するのが好適である。
本発明の感放射線性樹脂組成物の調製方法は、特に限定されず、本発明の感放射線性樹脂組成物の各構成成分(環状オレフィン系重合体、感放射線性化合物及びブロック型ポリイソシアネート化合物、更に所望によりその他の成分)を混合すればよいが、好適には、これらの成分を、溶媒に溶解又は分散させ、溶液又は分散液として得ればよい。得られた溶液又は分散液から、必要に応じて、溶媒を除去してもよい。
本発明で使用される溶媒は、特に限定されない。その具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のアルキレングリコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルメチルエーテル等のアルキレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノi−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノi−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノsec−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルエステル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;等が挙げられる。
これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく又は2種以上を併用してもよい。溶媒の使用量は、環状オレフィン系重合体100重量部に対して、通常、20〜10,000重量部、好ましくは50〜5,000重量部、より好ましくは100〜1,000重量部の範囲である。
本発明の感放射線性樹脂組成物を構成する各成分の溶媒への溶解又は分散方法は、常法に従えばよい。具体的には、攪拌子とマグネティックスターラーを使用した攪拌、高速ホモジナイザー、ディスパージョン、遊星攪拌機、二軸攪拌機、ボールミル、三本ロール等を使用して行うことができる。また、各成分を溶媒に溶解又は分散した後に、例えば、孔径が0.5μm程度のフィルター等を用いて濾過してもよい。
本発明の感放射線性樹脂組成物を構成する各成分を溶媒に溶解又は分散するときの固形分濃度は、通常、1〜70重量%、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。固形分濃度がこの範囲にあれば、溶解安定性、基板上への塗布性や形成される樹脂膜の膜厚均一性、平坦性等が高度にバランスされ得る。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、得られる樹脂膜の耐熱形状保持性が優れ、パターン化樹脂膜を形成する際のメルトフロー時の温度マージンが広いという特性を有する。従って、本発明の一態様として、本発明の感放射線性樹脂組成物を使用する、樹脂膜の耐熱形状保持性の向上方法、又はパターン化樹脂膜を形成する際のメルトフロー時の温度マージンの拡大方法を提供することもできる。
本発明の積層体は、基板と、この上に積層された本発明の感放射線性樹脂組成物からなる樹脂膜と、からなる積層体である。樹脂膜の厚さは、通常、0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは0.5〜30μmの範囲である。
本発明において、基板としては、例えば、プリント配線基板、シリコンウエハー基板、ガラス基板、プラスチック基板等を用いることができる。また、ディスプレイ分野において使用される、ガラス基板やプラスチック基板等に、薄型トランジスタ型液晶表示素子、カラーフィルター、ブラックマトリックス等を形成したものも好適に用いられる。
本発明の積層体は、通常、基板と、この上に直接積層された本発明の感放射線性樹脂組成物からなる樹脂膜とからなるが、例えば、平坦化膜等のその他の膜を介して間接的に樹脂膜が積層されていてもよい。また、本発明の積層体は、基板と樹脂膜とからなる2層の積層体以外に、基板と樹脂膜、更に所望によりその他の膜からなる多層の積層体をも包含する。
また、樹脂膜はパターン化されていてもよい。本発明の積層体、特に基板上にパターン化樹脂膜を形成してなる積層体は、後述するような種々の光学部品及び電子部品として有用である。
本発明の積層体は、例えば、本発明の感放射線性樹脂組成物を用いて基板上に樹脂膜を形成することにより製造することができる。
基板上に樹脂膜を形成する方法は、特に限定されず、例えば、塗布法やフィルム積層法等の方法を用いることができる。塗布法は、例えば、溶液又は分散液の形態の感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布した後、加熱乾燥して溶媒を除去する方法である。感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布する方法としては、例えば、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、ドクターブレード法、回転塗布法、バー塗布法、スクリーン印刷法等の各種の方法を採用することができる。加熱乾燥は、各成分の種類や配合割合に応じて異なるが、通常、30〜150℃、好ましくは60〜120℃で、通常、0.5〜90分間、好ましくは1〜60分間、より好ましくは1〜30分間の条件で行えばよい。
フィルム積層法は、例えば、溶液又は分散液の形態の感放射線性樹脂組成物を、樹脂フィルムや金属フィルム等のBステージフィルム形成用基材上に塗布した後に加熱乾燥により溶媒を除去してBステージフィルムを得、次いで、このBステージフィルムを積層体用の基板上に転写積層する方法である。加熱乾燥は、各成分の種類や配合割合に応じて異なるが、通常、30〜150℃、好ましくは60〜120℃で、通常、0.5〜90分間、好ましくは1〜60分間、より好ましくは1〜30分間の条件で行えばよい。フィルム積層は、加圧ラミネータ、プレス、真空ラミネータ、真空プレス、ロールラミネータ等の圧着機を用いて行うことができる。
本発明の基板と、この上に積層された感放射線性樹脂組成物からなるパターン化樹脂膜と、からなる積層体は、例えば、本発明の感放射線性樹脂組成物を用いて樹脂膜を基板上に積層し、この樹脂膜に活性放射線を照射して樹脂膜中に潜像パターンを形成し、次いで樹脂膜に現像液を接触させることにより潜像パターンを顕在化させて、基板上の樹脂膜をパターン化することにより製造することができる。
本発明の感放射線性樹脂組成物からなる樹脂膜の基板上への積層は前記方法に従って行えばよい。形成された樹脂膜に照射する活性放射線としては、感放射線性化合物を活性化させ、感放射線性化合物を含む感放射線性樹脂組成物のアルカリ可溶性を変化させることができるものであれば特に限定されない。具体的には、紫外線、g線やi線等の単一波長の紫外線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光等の光線;電子線のような粒子線;等を用いることができる。これらの活性放射線を選択的に樹脂膜上に照射して潜像パターンを形成するには、常法に従えばよく、例えば、縮小投影露光装置等により、紫外線、g線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光等の光線を所望のマスクパターンを介して照射する方法、電子線等の粒子線により描画する方法、等を用いることができる。活性放射線として光線を用いる場合は、単一波長光であっても、混合波長光であってもよい。照射条件は、使用する活性放射線に応じて適宜選択されるが、例えば、波長200〜450nmの光線を使用する場合、照射量は、通常10〜1,000mJ/cm2、好ましくは50〜500mJ/cm2の範囲であり、照射時間と照度に応じて決まる。このようにして活性放射線を照射した後、所望により、樹脂膜を60〜130℃程度の温度で1〜2分間程度加熱処理する。
次いで、樹脂膜に形成された潜像パターンを現像して顕在化させるが、本明細書においては、かかる工程を「パターン化」といい、パターン化された樹脂膜を「パターン化樹脂膜」という。現像液としては、通常、アルカリ性化合物の水性溶液(アルカリ水性溶液)が用いられる。アルカリ性化合物は、無機化合物であっても有機化合物であってもよい。アルカリ性化合物としては、例えば、アルカリ金属塩、アミン、アンモニウム塩を使用することができる。これらの化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等のアルカリ金属塩;アンモニア;エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一級アミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第二級アミン;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三級アミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン;ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、N−メチルピロリドン等の環状アミン類;等が挙げられる。これらアルカリ性化合物は、それぞれ単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
アルカリ水性溶液の水性媒体としては、水や、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を使用することができる。アルカリ水性溶液には、界面活性剤等を適当量添加してもよい。
潜像パターンが形成された樹脂膜に現像液を接触させる方法としては、例えば、パドル法、スプレー法、ディッピング法等の方法が用いられる。現像の条件は、通常、0〜100℃、好ましくは5〜55℃、より好ましくは10〜30℃の範囲で、通常、30〜180秒間の範囲で適宜選択される。
以上により目的とするパターン化樹脂膜が基板上に形成される。次いで、所望により、基板上、基板裏面及び基板端部の現像残渣を除去するために、基板を超純水等のリンス液でリンスしてもよい。リンス処理の後、残存しているリンス液を圧縮空気や圧縮窒素により除去してもよい。また、所望により、感放射線性化合物を失活させるために、パターン化樹脂膜を有する基板全面に活性放射線を照射してもよい。活性放射線の照射には、上記潜像パターンの形成において例示した方法を利用できる。照射と同時に又は照射後に樹脂膜を加熱してもよい。加熱方法としては、例えば、基板をホットプレートやオーブン内で加熱する方法が挙げられる。温度は、通常、100〜300℃、好ましくは120〜200℃の範囲、時間は、通常、1分間〜120分間の範囲が好適である。
また、上記方法で一次パターン化樹脂膜を得た後に、この樹脂膜を加熱し、加熱前のパターン形状を変形させた二次パターン化樹脂膜を得てもよい。この変形により、例えば、断面形状が角張った形状のパターンを角のないなだらかな形状のパターンに形状変化させる。具体的には、例えば、樹脂膜にドットパターンが形成されていた場合、この樹脂膜をメルトフローさせ、パターンをドット形状から半球体形状に形状変化させる。従って、本発明は基板上に形成されたパターン化樹脂膜を加熱してパターン形状を変形させる工程を更に有する積層体の製造方法をも包含する。かかる積層体の製造方法は、例えば、マイクロレンズ等の製造に有用である。
二次パターン化樹脂膜を製造する際、一次パターン化樹脂膜のパターンが加熱溶融されて所望のパターン形状を有する二次パターン化樹脂膜が形成されるのと同時にバランスよく樹脂膜の架橋が進行し、二次パターン化樹脂膜のパターン形状の保持に必要な程度の架橋構造が形成されるものと推定される。従って、本発明の感放射線性樹脂組成物によれば、メルトフローにより二次パターン化樹脂膜を容易に形成できる一方、得られた二次パターン化樹脂膜はメルトフロー時以上の温度に曝されてもパターン形状の変形に対し耐性を発揮し得る。また、メルトフロー時の温度マージンを広くとることができ二次パターン化樹脂膜を効率的に製造可能である。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、例えば、ポジ型のレジスト材としても好適に使用し得る。前記した、基板上にパターン化樹脂膜を形成してなる積層体の製造方法によれば優れた解像性のレジストパターンを得ることもできる。
以上のようにして、本発明の積層体、特に、基板と、この上に形成されたパターン化樹脂膜と、からなる積層体が製造される。本発明においては、基板上に樹脂膜(パターン化樹脂膜を含む)を形成した後に、所望により、この膜を更に架橋させてもよい。本発明は基板上に樹脂膜(パターン化樹脂膜を含む)を形成した後に、この樹脂膜の架橋を行う工程を更に有する積層体の製造方法をも包含する。
基板上に形成された樹脂膜の架橋は、例えば、用いた架橋剤の種類に応じて適宜方法を選択すればよいが、通常、加熱により行う。加熱方法は、例えば、ホットプレートやオーブン等を用いて行うことができる。加熱温度は、通常、180〜250℃であり、加熱時間は、樹脂膜の大きさや厚さ及び使用機器等に応じて適宜選択される。例えばホットプレートを用いる場合は、通常、5〜60分間、オーブンを用いる場合は、通常、30〜90分間の範囲である。加熱は、所望により不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。不活性ガスは、酸素を含まずかつ樹脂膜を酸化させないものであればよく、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノン、クリプトン等が挙げられる。これらの中でも窒素及びアルゴンが好ましく、特に窒素が好ましい。特に、酸素含有量が0.1体積%以下、好ましくは0.01体積%以下の不活性ガス、特に窒素が好適である。これらの不活性ガスは、それぞれ単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
以上のようにして得られる本発明の積層体は、例えば、集積回路素子、液晶表示素子、固体撮像素子等の電子部品や光学部品として好適に使用される。これらの光学部品や電子部品は、本発明の感放射線性樹脂組成物又は積層体を使用し、公知の方法に従って製造することができる。本発明の積層体からなる光学部品及び電子部品は本発明に包含される。
以下に合成例及び実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、各例中の部及び%は特に断りのない限り重量基準である。また、以下における試験及び評価は下記によった。
[重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)]
テトラヒドロフラン(THF)を溶離液とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフとして東ソー社製HLC−8020を用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、ポリイソプレン換算分子量として求めた。
[水素化率]
水素化率は、1H−NMRスペクトルにより、水素化された炭素−炭素二重結合モル数の水素添加前の炭素−炭素二重結合モル数に対する割合(水素添加後/水素添加前)を百分率として求めた。
[ヨウ素価]
JIS K0070Bに従って測定した。
[感放射線性樹脂組成物の評価]
(1)パターン化樹脂膜の形成
熱硬化性樹脂膜が塗布されたシリコンウェハー基板上に、感放射線性樹脂組成物をスピンコートし、ホットプレートを用いて100℃、120秒間乾燥し、乾燥後の膜厚が1.2μmになるように成膜した。
この樹脂膜に、3.5μmドット、1.5μmスペースのパターンのマスクを介して、光強度が0.5W/cm2であるi線を空気中で700ミリ秒照射した。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.6〜0.8%水溶液を用いて23℃で80〜110秒間現像処理を行った後、超純水で30秒間リンス処理し、ポジ型の3.5μmのドットパターン化樹脂膜を形成した。なお、Wは、J/secに相当する。
(2)パターン化樹脂膜の耐熱形状保持性
パターン化樹脂膜の断面形状を走査電子顕微鏡(SEM)により観察し、SEM像(倍率:10,000倍)に基づきドットパターン間の幅aを測定した。次にパターン化樹脂膜の全面に、365nmにおける光波長が5mW/cm2である紫外線を空気中で30秒間照射し、次いでホットプレートを用いてこのパターンが形成された基板に対し140〜170℃の間の最適温度で10分間にわたり1回目の加熱処理(ミドルベイク1)をし、パターン化された樹脂膜を溶融させて、パターンをドット形状から半球体形状に変形させた。更にミドルベイク1を施した基板についてホットプレートを用いて230℃、10分間で2回目の加熱処理(ポストベイク1)を施した。ポストベイク1後のパターンの断面形状を前記と同様にしてSEMで観察し、SEM像に基づいてドットパターン間の幅bを測定した。パターン化樹脂膜形成後のドットパターン間の幅aとポストベイク1後のドットパターン間の幅bとの差(a−b)を求め、以下の評価基準に従ってパターン化樹脂膜の耐熱形状保持性を評価した。
〔評価基準〕
◎(優): パターンが半球体形状で、(a−b)が0.5μm以下である。
○(良): パターンが半球体形状で、(a−b)が0.5μmを超え1μm以下である。
△(可): パターンが半球体形状で、(a−b)が1μmを超え1.5μm以下である。
×(不可): パターンが完全に溶融し、隣接パターンと融着している。
(3)パターン化樹脂膜を形成する際のメルトフロー時の温度マージン
パターン化樹脂膜の断面形状を前記と同様にしてSEMで観察し、SEM像に基づいてドットパターン間の幅a’を測定した。次にパターン化樹脂膜の全面に、365nmにおける光波長が5mW/cm2である紫外線を空気中で30秒間照射し、次いで、このパターンが形成された基板を、ホットプレートを用いて140℃から5℃刻みで170℃までの温度で、それぞれ、10分間にわたり1回目の加熱処理(ミドルベイク2)をし、パターン化された樹脂膜を溶融させて、パターンをドット形状から半球体形状に変形させた。更にミドルベイク2を施した基板についてホットプレートを用いて230℃、10分間で2回目の加熱処理(ポストベイク2)を施した。ポストベイク2後のパターンの断面形状を前記と同様にしてSEMで観察し、SEM像に基づいてドットパターン間の幅b’を測定した。パターン化樹脂膜形成後のドットパターン間の幅a’とポストベイク2後のドットパターン間の幅b’との差(a’−b’)を求め、以下の評価基準に従って、パターン化樹脂膜を形成する際のメルトフロー時の温度マージンを評価した。
〔評価基準〕
◎(優): パターンが半球体形状で、(a’−b’)が1μm以下であるミドルベイク温度の幅が20℃以上である。
○(良): パターンが半球体形状で、(a’−b’)が1μm以下であるミドルベイク温度の幅が10℃以上20℃未満である。
△(可): パターンが半球体形状で、(a’−b’)が1μm以下であるミドルベイク温度の幅が5℃以上10℃未満である。
×(不可): パターンが半球体形状で、(a’−b’)が1μm以下であるミドルベイク温度の幅が5℃未満である。
なお、前記評価基準における「ミドルベイク温度の幅」とは、ミドルベイク2を、140〜170℃の間の温度で5℃ごとの間隔で温度設定して行った場合に、(a’−b’)の値が各評価基準に規定する値(1μm以下)となる温度のうち、最低温度と最高温度との差をいう。
[合成例1]
8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン62.5部、N−(4−フェニル)−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)37.5部、1−ヘキセン1.3部、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド0.05部、及びテトラヒドロフラン400部を、窒素置換したガラス製耐圧反応器に仕込み、攪拌しつつ70℃で2時間反応させて重合体溶液A(固形分濃度:約20%)を得た。
この重合体溶液Aの一部を攪拌機付オートクレーブに移し、150℃で水素を圧力4MPaで溶存させて5時間反応させ、水素化された重合体(水素化率100%)を含む重合体溶液B(固形分濃度:約20%)を得た。
100部の重合体溶液Bと1部の活性炭粉末とを添加した耐熱容器をオートクレーブに入れ、攪拌しつつ150℃で水素を4MPaの圧力で3時間溶存させた。次いで、溶液を取り出して孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターでろ過して活性炭を分離して重合体溶液を得た。ろ過は滞りなく行えた。重合体溶液をエチルアルコール中に注いで凝固させ、生成したクラムを乾燥して環状オレフィン系重合体を得た。得られた重合体のポリイソプレン換算のMwは5,500、Mnは3,200、Mw/Mn比は1.7であった。また、ヨウ素価は1であった。
[実施例1]
合成例1で得られた環状オレフィン系重合体100部;溶媒としてプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート200部、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル100部及びN−メチル−1−ピロリドン100部;キノンジアジド化合物として1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン(1モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド(1.9モル)との縮合物25部;架橋剤として、脂環構造含有多官能エポキシ化合物(分子量2234、商品名「EHPE3150」、ダイセル化学工業社製)36部;ブロック型ポリイソシアネート化合物(商品名「デスモジュールBL3370MPA」、住化バイエルウレタン社製)5部;酸化防止剤としてペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名イルガノックス1010、チバ・スペシャリティーケミカルズ社製)を6部;並びに界面活性剤としてシリコーン系界面活性剤(商品名kp341、信越化学工業社製)0.05部を混合し、溶解させた後、孔径0.45μmのフッ素樹脂製フィルタで濾過して感放射線性樹脂組成物を調製した。上記方法に従い、得られた感放射線性樹脂組成物について評価した。なお、ミドルベイク1の温度は150℃であった。結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、ブロック型ポリイソシアネート化合物の添加量を10部に変更したこと以外は同様にして感放射線性樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、ブロック型ポリイソシアネート化合物の添加量を20部に変更したこと以外は同様にして感放射線性樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、ブロック型ポリイソシアネート化合物の添加量を40部に変更したこと以外は同様にして感放射線性樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1において、ブロック型ポリイソシアネート化合物の添加量を60部に変更したこと以外は同様にして感放射線性樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例1において、ブロック型ポリイソシアネート化合物の添加量を80部に変更したこと以外は同様にして感放射線性樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、ブロック型ポリイソシアネート化合物の添加量を1部に変更したこと以外は同様にして感放射線性樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、ブロック型ポリイソシアネート化合物の添加量を90部に変更したこと以外は同様にして感放射線性樹脂組成物を調製し、評価を行った。なお、ミドルベイク1の温度は150℃であった。結果を表1に示す。
表1に示す結果より、ブロック型ポリイソシアネート化合物を、環状オレフィン系重合体100重量部に対し5〜80重量部の範囲で含んでなる実施例1〜6の感放射線性樹脂組成物を用いて得られたパターン化樹脂は耐熱形状保持性に優れ、広い温度マージンを有することが分かる。特にブロック型ポリイソシアネート化合物の含有量が10〜60重量部のもので優れた効果が奏されることが分かる。これに対して、ブロック型ポリイソシアネート化合物の量が5重量部未満の比較例1や80重量部を超える比較例2の感放射線性樹脂組成物を用いて得られたパターン化樹脂膜は耐熱形状保持性に劣り、温度マージンも狭いことが分かる。