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JP4764337B2 - 消炎鎮痛貼付剤 - Google Patents

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Description

本発明は、消炎鎮痛剤を含有する、安定性及び経皮吸収性に優れた、皮膚に対して刺激の少ない経皮吸収貼付剤に関する。より詳細には、本発明は、ジクロフェナクナトリウム、室温で固形状の有機酸、及びクロタミトンを含有することを特徴とするゴム系粘着剤からなる消炎鎮痛貼付剤に関する。
ジクロフェナクナトリウム(化学名:2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸 モノナトリウム塩)は、1965年、スイスのCiba-Geigy社のサリマン(Salimann)らにより開発された非ステロイド抗炎症薬であり、内用では慢性関節リウマチ、変形性関節症などの疾患や、鎮痛、解熱などに効果があり、また、0.1%点眼薬は術後炎症防止等に適用されている。一方、近年開発された外用1%ゲル剤は変形性関節症や筋肉痛等に用いられている。用量は、内用の場合ジクロフェナクナトリウムとして1日量75〜100mgである。
ジクロフェナクナトリウムは、優れた非ステロイド系消炎・鎮痛剤であるが、これを経口投与した場合は、胃腸障害などの副作用を示すという問題点があるために、ジクロフェナクナトリウムを有効成分とした局所外用剤が種々開発されてきている。最近、我が国ではジクロフェナクナトリウム含有のテープ剤が医薬品として承認され、海外では、ジクロフェナクナトリウムのパップ剤、ジクロフェナクジエチルアミン塩のパップ剤及びパッチが上市されている。
しかし、ジクロフェナクナトリウムは、エーテルにはほとんど溶けないが、水には比較的溶けやすく経皮吸収性が充分ではなく、各種の工夫がなされてきている。
例えば、ジクロフェナクナトリウムと有機酸を含有する感圧性接着材層を、柔軟な支持体上に積層してなる、ジクロフェナクナトリウムの溶解性と経皮吸収性を高めた消炎鎮痛貼付剤(特許文献1参照)、非ステロイド抗炎症薬の塩化合物、有機酸、グリコール類を含有する、薬物の基剤成分への溶解性が高く、かつ角質透過性も高い外用剤(特許文献2参照)、ジクロフェナクナトリウム、クロタミトン、及び2−エチルヘプタン酸、ペラルゴン酸、カプリル酸、オレイン酸、リノール酸等の炭素数6〜18の常温で液状の脂肪酸を溶解補助剤として含有することを特徴とするジクロフェナクナトリウム含有貼付剤(特許文献3参照)、(i)ジクロフェナクナトリウム、(ii)ポリカルボン酸ポリアルキルエステル、中鎖脂肪酸トリグリセリドまたはクロタミトンの中から選ばれた少なくとも一種の油分、(iii)常温で液状の脂肪酸、(iv)親水性界面活性剤、(v)水を含有してなるジクロフェナクナトリウム含有O/W型エマルションを貼付剤の膏体中に分散してなることを特徴とするジクロフェナクナトリウム含有貼付剤(特許文献4参照)、薬物、クロタミトン、ゴム系粘着剤、流動パラフィン、支持体からなる、使用感が良好な貼付剤(特許文献5参照)、消炎鎮痛薬、クロタミトン、及びスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体を含有する、薬物放出性及び持続性に優れる消炎鎮痛貼付剤(特許文献6参照)、ジクロフェナクナトリウム、有機酸、ピロリドン(誘導体)、多価アルコール脂肪酸エステルを含有する粘着膏体からなる、ジクロフェナクナトリウム経皮吸収性の高い油性の鎮痛抗炎症局所作用型貼付剤(特許文献7参照)などが報告されている。また、クロフェナクナトリウム及び有機酸を重量比1:0.1〜1:5.0で含有する薬物貯蔵層、ジクロフェナクナトリウムの拡散制御膜、並びに皮膚貼付可能な親油性粘着層を有することを特徴とする全身投与用の貼付剤も報告されており、当該有機酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、クエン酸 、シュウ酸、酢酸等が使用される旨報告されている(特許文献8参照)。
このように多数の外用剤が提案されてきているが、経皮吸収性が優れ、かつ皮膚に対する刺激性が少なく、経時保存性に優れた、有効性、安全性、及び安定性に優れた実用的な外用剤の開発が十分になされてきていないのが現状である。
特開昭61−280426号 特開昭62−181226号 特開平7−89853号 特開平6−219940号 特開平9−291028号 特開平4−321624号 特開2002−338462号 特開平11−322595号
本発明は、経皮吸収性及び安定性に優れ、且つ皮膚に対して低刺激性の消炎鎮痛貼付剤を提供する。さらに、長時間の保存に対しても、有効成分の結晶が析出することなく、保存安定性にも優れたジクロフェナクナトリウムの外用剤を提供することを課題としている。
本発明者らは、有効性、安全性に優れた外用剤を開発するために種々検討してきており、ジクロフェナクナトリウムの吸収を上げるために、固形状の有機酸を使用することが好ましいことを見出してきた。しかし、固形状の有機酸を用いた場合には、製剤の経時安定性が悪く、有機酸が析出することがわかり、かかる析出を防止するための改良が求められていた。そこで、各種の溶媒について、かかる析出を防止できる方法を検討してきたところ、クロタミトンが優れた析出防止作用を有していることを見出した。さらに、驚くべきことに、かかる製剤は、(クロタミトン+多価アルコール)吸収促進組成の先行技術と比較して皮膚刺激性が著しく低減され、ジクロフェナクナトリウム及び有機酸が製剤中で再結晶化しない、ジクロフェナクナトリウム経皮吸収性の高い、基剤組成及び製造方法を見出した。
即ち、本発明は、ゴム系粘着剤からなる消炎鎮痛貼付剤において、薬物層にジクロフェナクナトリウム、室温で固形状の有機酸、及びクロタミトンを含有することを特徴とする消炎鎮痛貼付剤、より詳細には、クロタミトンに、室温で固形状の有機酸とジクロフェナクナトリウムを混合溶解し、該溶液をゴム系粘着剤と混練することにより得られることを特徴とする、薬物層にジクロフェナクナトリウム、室温で固形状の有機酸、及びクロタミトンを含有することを特徴とするゴム系粘着剤からなる消炎鎮痛貼付剤に関する。
また、本発明は、クロタミトンに、室温で固形状の有機酸とジクロフェナクナトリウムを混合溶解し、該溶液をゴム系粘着剤と混練することからなる、薬物層にジクロフェナクナトリウム、室温で固形状の有機酸、及びクロタミトンを含有することを特徴とするゴム系粘着剤からなる消炎鎮痛貼付剤の製造方法に関する。
本発明の消炎鎮痛貼付剤は、支持体と、薬物層を含有する粘着層と、剥離フィルムとから構成され、使用時に剥離フィルムを剥がして、薬物層を含有する粘着層を皮膚に接着させて使用する。
本発明の貼付剤の粘着層は、少なくともジクロフェナクナトリウム、クロタミトン、室温で固形状の有機酸、及びゴム系粘着剤を含有している。粘着層はこれらの成分を混合した単一の層を形成していてもよいし、ゴム系粘着剤を含有する層と薬物を含有する薬物層とからなっていてもよい。
本発明の室温で固形状の有機酸における「固形状」とは、室温で固体状態であるということであり、より詳細には、本発明の室温で固形状の有機酸とは、融点が室温以上、通常は30℃以上の有機酸ということである。好ましい本発明における室温で固形状の有機酸としては、クエン酸、酒石酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸からなる群から選択される1種または2種以上のカルボン酸である。
より好ましい本発明の室温で固形状の有機酸としては、クエン酸、酒石酸、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸からなる群から選択される1種または2種以上の室温で固形状の有機カルボン酸、が挙げられる。さらに好ましい室温で固形状の有機酸としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸からなる群から選択される1種または2種以上の室温で固形状の有機ヒドロキシカルボン酸が挙げられる。好ましい室温で固形状の有機ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、例えばクエン酸、酒石酸などが挙げられる。
本発明の室温で固形状の有機酸は、ジクロフェナクナトリウムの経皮吸収性を改善できる量であればよく、多量に配合することもできるが、多量に配合した場合には有機酸の結晶が析出する可能性が大きくなり、多量の溶媒を必要とすることになる。好ましい配合量としては、有効成分であるジクロフェナクナトリウムの1重量部に対して、0.01〜10重量部、0.1〜5重量部、又は0.1〜1重量部程度、好ましくは0.3〜1重量部程度が挙げられる。また、本発明の貼付剤における粘着層全体に対して0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、0.1〜2重量%の割合で配合される。
本発明において使用される室温で固形状の有機酸の結晶の析出を防止するための成分としては、室温においてジクロフェナクナトリウム及び室温で固形状の有機酸をほぼ完全に溶解することができる溶媒が用いられる。このような溶媒としては、N−メチル−ピロリドン、クロタミトン、メタノールなどが挙げられるが、本発明の貼付剤におけるゴム系粘着剤との相溶性や、粘着層の安定性を考慮すれば、N−メチル−ピロリドンや、クロタミトンが好ましい。
このような溶媒を配合することにより有機酸の結晶の析出を防止することはできるが、皮膚刺激性の点からはクロタミトンの使用が好ましいことが本発明において見出された(後記する比較例2参照)。
本発明におけるクロタミトンの使用量は、有機酸の結晶の析出が防止できる量であれば特に制限は無いが、好ましくは粘着層全体に対して1〜20質量%、2〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%程度である。
本発明の貼付剤の粘着層のゴム系粘着剤は、天然または合成ゴムを主体とする粘着組成物からなる非水系又は無水系の粘着層である。当該粘着組成物は、天然及び/または合成ゴムと、粘着付与樹脂、軟化剤を含有してなり、目的に応じてその他の添加剤を加えることもできる。
本発明の貼付剤の粘着層のゴム系粘着剤に用いられる合成ゴムは、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエンゴム、スチレン-イソプレンゴムからなる群から選択される1種または2種以上であり、好ましいゴムとしては、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレンなどが挙げられる。ゴム系粘着層全体に占める天然及び/または合成ゴムの割合は、10〜40質量%、20〜40質量%程度が好ましい。
本発明貼付剤の粘着層のゴム系粘着剤に用いられる粘着付与樹脂は、一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、ポリテルペン樹脂、ロジンエステル樹脂、水素添加ロジンエステル樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂などが好ましく用いられる。ゴム系粘着組成物全体に占める粘着付与樹脂の割合は、10〜40質量%が好ましい。
本発明貼付剤の粘着層のゴム系粘着剤に用いられる軟化剤は、一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、流動パラフィン、ポリブテン、液状ポリイソブチレン、動植物油などが好ましく用いられる。ゴム系粘着層全体に占める軟化剤の割合は、20〜70質量%、30〜70質量%が好ましい。
本発明の貼付剤の粘着層には、必要に応じて各種の添加剤をさらに配合することもできる。このような添加剤としては、薬物、吸収促進剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、香料、色素などが挙げられる。
薬物としては、ジクロフェナクナトリウムに加えて相乗的な治療効果等を期待して加えられるもので、トウガラシ成分(カプサイシンなど)、ノニル酸ワニリルアミドなどの温感剤、メントールなどの冷感剤、精油成分、その他(植物エキス、酢酸トコフェロールなど)などを例示することができる。
吸収促進剤としては、オレイルアルコールなどの脂肪族アルコール、オレイン酸などの脂肪酸、ステアリン酸ナトリウムなどの脂肪酸金属塩、脂肪酸エステルなどを例示することができる。また、充填剤としては、無水珪酸、珪酸アルミニウムなどを例示することができる。
本発明の貼付剤の支持体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエステル、ナイロン、セルロース誘導体、ポリウレタンなどの合成樹脂のフィルム、シート、シート状多孔質体、シート状発泡体、織布、編布、不織布、紙、またはこれらの積層体を用いることができる。編布などの伸縮性を有するものが、貼付剤の皮膚への付着性を確保する点で好ましい。また、自己支持性を有するものが、貼付剤のハンドリング性の点で好ましい。
このような支持体の上に、粘着層の厚みが、10〜500μm、好ましくは30〜300μmとなるように塗布又は展開することができる。
本発明の貼付剤の剥離フィルムは、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、紙、あるいはこれらの積層体からなるシート状材料に離型処理(シリコンコーティングなど)を施したものが好ましく使用される。

本発明の貼付剤の製造方法としては、通常の非水系又は無水系の貼付剤の製造方法に準じて製造することができるが、好ましい製造方法としては、クロタミトンに、室温で固形状の有機酸とジクロフェナクナトリウムをそれぞれ混合して溶解し、当該溶液を既に混練して調製されたゴム系粘着剤と混練して、粘着層となる組成物を製造し、これを支持体に塗布などにより展開して、次いで剥離フィルムを接合させて製造することができる。さらに必要に応じて、適当な大きさに切断して製品とすることができる。
また、クロタミトンに有機酸とジクロフェナクナトリウムを一緒に混合して、溶解させて製造することもできる。
本発明は、ジクロフェナクナトリウムと室温で固形状の有機酸をゴム系粘着剤に配合しすることにより、有効成分であるジクロフェナクの経皮吸収性に優れた貼付剤を提供するものであり、さらに、クロタミトンを配合することにより、ジクロフェナクの経皮吸収性のみならず、経時安定性に優れ、かつ皮膚に対して刺激の少ない貼付剤とすることができることを見出したものである。したがって、本発明の貼付剤は、有効成分であるジクロフェナクの経皮吸収性に優れているだけでなく、経時安定性に優れ、かつ皮膚に対して刺激の少ない、優れた抗炎症・鎮痛作用を有する、有効性、安全性、及び安定性に優れた実用的な貼付剤を提供するものである。
また、本発明の貼付剤は、有効成分および吸収促進剤を含有するクロタミトン溶液とゴム系粘着剤を混練するという簡便かつ安定した方法で製造することができる。
図1は、本発明の貼付剤及び比較貼付剤における経皮吸収性試験の結果を示すグラフである。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
実験例1
溶解性試験
本発明者らは、まず室温で固形状の有機酸としてクエン酸を例として、ジクロフェナクナトリウムと室温で固形状の有機酸に対する各種の溶媒の溶解性を検討した。
その結果を次の表1に示す。

Figure 0004764337
この中で、水酸基を有する溶媒は、保存中にジクロフェナクナトリウムとエステルを形成する可能性があることから、本発明の製剤における溶媒としては好ましくなく、選定対象外とした。その結果、好ましい溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドンとクロタミトンを選定することができた。
本発明の貼付剤(1)の製造
次に示す方法により、以下に示す組成からなる本発明の貼付剤(1)を製造した。
まず、ジクロフェナクナトリウム1部をクロタミトン3部に加温溶解させ、一方、クエン酸0.4部をクロタミトン1部に加温溶解させ、両溶液を併せてひとつの溶液とした。さらに、この溶液にセフソール(グリセリン脂肪酸エステル、日光ケミカルズ)を加えて混合し、均一な溶液とした。
スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体(SIS)、ポリイソブチレン(PIB)、流動パラフィン、及び脂環族系石油樹脂を混合して、加熱しながらこれらを混練する。これに前記で調製したクロタミトン溶液を添加して、均一に混合して粘着層となる組成物を製造した。
前記で得られた粘着剤組成物を支持体に塗布展延して、ライナーを被覆し、適当な大きさに裁断して貼付剤(1)を得た。
組成
ジクロフェナクナトリウム 1 溶解
クロタミトン 3 溶解
クエン酸 0.4 溶解
クロタミトン 1 溶解
セフソール 2
スチレン‐イソプレン‐スチレンブロック共重合体(SIS) 14
ポリイソブチレン(PIB) 14
流動パラフィン 32.3
脂環族系石油樹脂 32.3

比較例1 比較貼付剤(1)
以下に示す組成からなる比較貼付剤(1)を実施例2に記載の方法に準じて製造した。
ジクロフェナクナトリウム 1 溶解
クロタミトン 4 溶解
セフソール 2 溶解
スチレン‐イソプレン‐スチレンブロック共重合体(SIS) 14
ポリイソブチレン(PIB) 14
流動パラフィン 32.5
脂環族系石油樹脂 32.5
本発明の貼付剤(2)の製造
実施例2に記載の方法に準じて、以下の組成を有する本発明の貼付剤(2)を製造した。
組成
ジクロフェナクナトリウム 1 溶解
クロタミトン 3 溶解
クエン酸 0.4 溶解
クロタミトン 1 溶解
スチレン−イソプレン‐スチレンブロック共重合体(SIS) 14
ポリイソブチレン(PIB) 14
流動パラフィン 33.3
脂環族系石油樹脂 33.3
本発明の貼付剤(3)の製造
実施例2に記載の方法に準じて、以下の組成を有する本発明の貼付剤(3)を製造した。
組成
ジクロフェナクナトリウム 1 溶解
クロタミトン 3 溶解
酒石酸 0.4 溶解
クロタミトン 1 溶解
セフソール 2
スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS) 14
ポリイソブチレン(PIB) 14
流動パラフィン 32.3
脂環族系石油樹脂 32.3
比較例2
以下に示す組成からなる比較貼付剤(2)を実施例2に記載方法に準じて製造した。
組成
ジクロフェナクナトリウム 1 溶解
N−メチル−2−ピロリドン 2 溶解
クエン酸 0.4 溶解
N−メチル−2−ピロリドン 1 溶解
セフソール 2
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS) 14
ポリイソブチレン(PIB) 14
流動パラフィン 32.3
脂環族系石油樹脂 32.3
本発明の貼付剤(4)の製造
実施例2に記載の方法に準じて、以下の組成を有する本発明の貼付剤(4)を製造した。
組成
ジクロフェナクナトリウム 1 溶解
クロタミトン 3 溶解
酒石酸 0.28溶解
クロタミトン 1 溶解
セフソール 2
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS) 14
ポリイソブチレン(PIB) 14
流動パラフィン 32.36
脂環族系石油樹脂 32.36
本発明の貼付剤(5)の製造
実施例2に記載の方法に準じて、以下の組成を有する本発明の貼付剤(5)を製造した。
組成
ジクロフェナクナトリウム 1 溶解
クロタミトン 3 溶解
クエン酸 0.4 溶解
クロタミトン 1 溶解
セフソール 2
スチレン−イソプレン‐スチレンブロック共重合体(SIS) 14
ポリイソブチレン(PIB) 14
流動パラフィン 32.3
水素添加ロジンエステル樹脂 32.3
実験例2
インビトロ(in vitro)における皮膚透過試験
試験方法
ヘアレスマウスの体側部皮膚を摘出し、真皮側の脂肪を注意深く除き、真皮側がレセプター槽となるように、37℃の水を外周部に循環させたフロースルーセルに装着した。この角質層側に貼付剤を適用し、レセプター槽にリン酸緩衝液を1mL/hrで通水し、4時間ごとに緩衝液を採取した。これらのサンプルから、HPLC法により薬物濃度を定量し、次式によって各採取時間ごとの透過速度(Flux)を算出した。
Flux=〔サンプル濃度(μg/mL)×4hrの流量(mL)〕/製剤の適用面積(cm)×4hr
試験条件:
使用動物及び皮膚: ヘアレスマウス(メス、8週齢)の剃毛した体側部皮膚(真皮まで)
例数 : 4
透過セル : 縦型フロースルーセル
製剤 : 直径10mm円形
レセプター液 : 50mMリン酸緩衝液、pH 7.4
試験温度 : 37℃
この試験に使用した本発明の貼付剤及び比較貼付剤の組成の概要を次の表2に示す。
Figure 0004764337

この結果を図1にグラフで示す。図1の横軸は時間(時間)を示し、縦軸は、透過量(μg/cm/時間)を示す。黒四角印(■)は本発明の貼付剤(1)(実施例2)を示し、黒菱形(◆)は本発明の貼付剤(2)(実施例3)を示し、黒丸印(●)は本発明の貼付剤(3)(実施例4)を示し、黒三角印(▲)は比較貼付剤(1)(比較例1)を示す。この結果、本発明の室温で固形状の有機酸を配合した貼付剤は極めて経皮吸収性に優れていることがわかる。
実験例3
安定性試験
実施例4、及び5で得られた貼付剤の保存安定性を以下のようにして評価した。すなわち、貼付剤を25℃、40℃で保存し、1ヶ月後にサンプルを採取した。これらのサンプルから、HPLC法により薬物濃度を定量し、保存前の含量を100%として、各1ヶ月後の含量を対初期比率(%)として算出した。
結果を次の表3に示す。
表3 本発明の貼付剤の安定性試験の結果
Figure 0004764337
この結果、酒石酸の量が多い実施例の貼付剤の方がより保存安定性に優れることが判明した。
実験例4
安全性試験
健常成人男子(3名)の左右上腕内側に、それぞれ実施例2、比較例2の貼付剤を貼付し、24時間後に剥離した。剥離1時間後に皮膚の状態を観察し、下記の基準でスコアリングした。なお、何らかの皮膚反応を認めた人数比率を陽性率(%)とした。
++ 紅斑十浮腫、丘疹
+ 明らかな紅斑
± わずかな紅斑
− 反応なし
結果を次の表4に示す。
表4 本発明の貼付剤の安全性試験の結果
Figure 0004764337
この結果、クロタミトンを用いた本発明の貼付剤は皮膚刺激性が極めてすくないことがわかった。
本発明は、消炎鎮痛剤を含有する、安定性及び経皮吸収性に優れた、皮膚に対して刺激の少ない経皮吸収貼付剤に利用され、産業上極めて有用である。

Claims (6)

  1. ゴム系粘着剤、薬物としてジクロフェナクナトリウム、クエン酸及び酒石酸のみからなる群から選ばれる室温で固形状の有機酸、及びクロタミトンを含有する貼付剤の粘着層を有することを特徴とする消炎鎮痛貼付剤。
  2. クロタミトンに、室温で固形状の有機酸とジクロフェナクナトリウムを混合溶解し、該溶液をゴム系粘着剤と混練することにより得られることを特徴とする請求項1に記載の消炎鎮痛貼付剤。
  3. ゴム系粘着剤が、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、天然ゴムから選択される1種または2種以上からなる、請求項1又は2に記載の消炎鎮痛貼付剤。
  4. 室温で固形状の有機酸及びクロタミトンを含有した消炎鎮痛貼付剤が、ジクロフェナクの経皮吸収性に優れ、経時安定性に優れ、かつ皮膚に対して刺激の少ない消炎鎮痛貼付剤である、請求項1から3のいずれかに記載の消炎鎮痛貼付剤。
  5. クロタミトンに、クエン酸及び酒石酸のみからなる群から選ばれる室温で固形状の有機酸とジクロフェナクナトリウムを溶解し、該溶液をゴム系粘着剤と混練することからなる、粘着層にジクロフェナクナトリウム、前記の室温で固形状の有機酸、クロタミトン、及びゴム系粘着剤を含有してなる消炎鎮痛貼付剤の製造方法。
  6. クロタミトンへの溶解が、ジクロフェナクナトリウムをクロタミトンに加温溶解させ、一方、室温で固形状の有機酸をクロタミトンに加温溶解させ、両溶液を併せてひとつの溶液とすることにより行われる、請求項5に記載の製造方法。
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