JP4763143B2 - 光学シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置のバックライトユニットに組み込んで用いられる光学シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置には、光源と該光源から出射した光線を液晶表示装置の画面に集光させるための部材とからなるバックライトユニットが組み込まれている。即ち、光源より出射された光線を、光源に隣接して配置される導光板とその他の光学シートとによって液晶表示装置の画面へと導き、該画面を鮮明に表示できるようにされている。
【0003】
図7に、従来のバックライトユニット30の一例についての概略構成を示す。
【0004】
図7において、矢印Aは前後方向を示し、矢印Bは左右方向を示し、矢印Cは上下方向を示している。図7に示されるように、バックライトユニット30は、光源としてのランプ31と、その左端の外側にランプ31が位置するように配置される導光板32と、導光板32の上側に配置される光学シートとしての光拡散シート33と、光拡散シート33の上側に配置される光学シートとしてのプリズムシート34とを備えて構成されている。
【0005】
このバックライトユニット30において、ランプ31より導光板32に入射した光線は、導光板32の上面から右斜め上方の特定の角度をなす方向にピークを示す分布の光線として出射され、光拡散シート33に入射する。そして、光拡散シート33に入射した光線は、該光拡散シート33を伝わる際の拡散によって、より上方に近い方向にピークを示す分布の光線としてその上面より出射され、プリズムシート34に入射する。
【0006】
そして、プリズムシート34に入射した光線は、そのプリズム部34aによって、より真上に近い方向にピークを示す分布の光線としてプリズムシート34の上面より出射される。これにより、プリズムシートの上面を出射した光線が、さらに上方の図示していない液晶表示装置の画面に集光され、該画面が照明されることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来のバックライトユニットにおいて、光拡散シートを出射する光線について、該光拡散シートによる拡散をより強めるようにすると、液晶表示装置の画面正面の方向である真上方向により近づく光線として出射させることができる。
【0008】
しかし、光拡散シートの拡散を強くしすぎると、光線のピークの方向を目的の真上方向に近づけることができるとしても、液晶の画面に導かれる光量自体を減少させることになり、光源に対する効率の低下を招く。
【0009】
また、前記プリズムシートにあっては、プリズムの角部分が他の部材によって物理的な損傷を受けやすいという問題があった。そして、この問題を回避する等のため、プリズムシートの上にさらに光拡散シートを配置する場合もあった。そのため、バックライトユニットを構成する部材数が嵩むこともあり、小型化の要請に反することがあった。
【0010】
そこで、本発明は、光源に対する効率を低下させることなく、液晶表示装置の画面の正面の方向である真上方向により近づけるように光線を導くことができ、かつ小型化の要請に反することのない、光学シートを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の光学シートは、下方から入射した光線を上方へ出射させる光学シートであって、下基材部、及び断面形状が正方形又は長方形をなし多数平行に配設された第一の四角形部と、断面形状が正方形又は長方形をなし多数平行に配設された第二の四角形部とによって形成された光線制御部とを有し、前記光線制御部は、前記下基材部上に積層されており、前記第一の四角形部と第二の四角形部は、上下方向の高さを等しくして横方向に交互に配列され、第一の四角形部が第二の四角形部より屈折率の高い材質によって形成されており、前記第一の四角形部の上面部分と第二の四角形部の上面部分とによって形成される光線制御部の上面、及び前記第一の四角形部の下面部分と第二の四角形部の下面部分とによって形成される光線制御部の下面が略平面に形成されており、前記下方から入射した光線を、より真上方向に近づけるように上方へ出射させることができるサイドライト型バックライトユニット用光学シートである(請求項1)。
【0012】
この発明の光学シートによると、従来のプリズムシートのごとく外部に向かって角部分をなすプリズム形状を形成することなく、下方から入射した光線をより真上方向に近づけるように上方へ出射させることができる。これにより、従来のプリズムシートのように角をなす部分が外部に晒されることがないので、光学的に機能する部分が損傷を受けやすいという問題を解消できる。
【0013】
また、従来の光拡散シートのように光線のピークの方向をより真上方向に近づけようとすると上方に導かれる光量自体を減少させてしまうということがなく、光源に対する効率の低下を招くことがない。
【0014】
これにより、本発明の光学シートを用いると、バックライトユニットを構成する部材数を増加させることなく、光源に対する高い効率で液晶画面を照明することができる。
【0015】
そして、光学シートにおける前記第一の四角形部と第二の四角形部との屈折率の差を0.15以上とすることができ(請求項2)、第一の四角形部と第二の四角形部との屈折率の差を0.3以上とすることもできる(請求項3)。即ち、第一の四角形部と第二の四角形部との屈折率の差をより大きく設定すると、光線制御部によってより真上方向に近づけるように光線を導くことができる。
【0016】
また、前記第一の四角形部の屈折率を1.57以上とすることができ(請求項4)、前記第一の四角形部の屈折率を1.6以上とすることもできる(請求項5)。即ち、第一の四角形部の屈折率をより大きく設定すると、光線制御部によってより真上方向に近づけるように光線を導くことができる。
【0017】
また、前記光学シートの最上層に光拡散層を設けることができる(請求項6)。
これにより、光学シートより上方へ光線を出射させるにあたり、最上層の光拡散層によって光拡散させることによってより真上方向に近づけるように光線を導くことができる。
【0018】
また、前記光学シートの最下層にスティッキング防止層を設けることもできる(請求項7)。かかるスティッキング防止層を設けると、光学シートをバックライトユニットに組み込んだ場合に、スティッキング防止層を介して光学シートを導光板と接するようにできるので、ぎらつく光のイメージが液晶画面に投影されることを防止できる。これにより、この発明の光学シートによると、下方から入射した光線をより真上方向に導いて上方へ出射させることにより液晶画面を効率良く照明できるとともに、ぎらつく光のイメージが液晶画面に投影されることを防止することもできる。これにより、この発明の光学シートによると、限られた光源の明るさの下で、液晶画面に映し出される画像の品質をより向上させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、図1乃至図6に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
図1は、本発明の光学シートの一実施形態である光学シート1が用いられたバックライトユニット10の斜視図である。図1において、矢印Aは前後方向を示し、矢印Bは左右方向を示し、矢印Cは上下方向を示している。以下、他の図面においても、これらの各方向について同様に示す。
【0021】
バックライトユニット10は、ランプ8と導光板7と光学シート1を備えて構成されている。ランプ8は、バックライトユニット10における光源であり、前後方向に沿って配置されている。導光板7は、その左端部の外側にランプ8が位置するように配置されている。導光板7は、左側から入射したランプ8の光線を後に説明する光学シート1へ導くための部材であり、その下面の外側には、図示していない反射ドットが形成され、または、反射シートが設けられている。そして、導光板7に入射した光線は、前記反射ドット等により右斜め上方へ反射され、導光板7の上面より光学シート1へ出射される。
【0022】
また、導光板7は、導光板の材料として典型的であるポリメチルメタクリレート(PMMA)により形成される。この導光板7の上面より出射される光線について、図2により説明する。図2において、横軸は左右方向における右向きを正方向にとり、縦軸は上下方向における上向きを正方向にとっている。導光板7の上面より出射される光線は、図2に示されるように、左右方向に対して右斜め上方の特定の角度θ1の方向にピークを示す分布となる。
【0023】
次に、光学シート1について、図3を参酌しつつ説明する。図3は、図1におけるIII−III線矢視断面に含まれる、光学シート1の部分断面図である。光学シート1は、前記導光板7に対する上側に配置されており、導光板7を出射した光線を、さらに上方の特に図示していない液晶表示装置の画面へと導くための部材である。
【0024】
光学シート1は、下基板部2と光線制御部4を備えている。下基板部2は、光線制御部4に対する下側に設けられている。そして、下基板部2の下面2aは略平面に形成されており、導光板7を出射した光線は下基板部2の下面2aより光学シート1へ入射する。また、下基板部2の上面2bは略平面に形成されており、この下基板部2の上面2bに光線制御部4が付設されている。
【0025】
光線制御部4は、多数平行に配設された第一の四角形部3と第二の四角形部5とによって形成されている。そして、第一の四角形部3と第二の四角形部5は、横方向(左右方向)に交互に配列されており、第一の四角形部3の上下方向の高さと第二の四角形部5の上下方向の高さとが略等しくなるように形成されている。
【0026】
第一の四角形部3は、その断面形状が正方形又は長方形をなしており、第一の四角形部3を形成する四つの角部分の内角は略直角に形成されている。そして、第一の四角形部3には、側方に位置する第一の側面3a及び第二の側面3bが形成されている。これら第一の側面3a及び第二の側面3bは、左右方向Bに対して略垂直をなしている。
【0027】
第二の四角形部5は、その断面形状が正方形又は長方形をなしており、第二の四角形部5を形成する四つの角部分の内角は略直角に形成されている。そして、第二の四角形部5には、側方に位置する第一の側面5a及び第二の側面5bが形成されている。これら第二の側面5a及び第二の側面5bは、左右方向Bに対して略垂直をなしている。
【0028】
光線制御部4の上面は、第一の四角形部3の上面部分と第二の四角形部5の上面部分とによって形成されている。また、光線制御部4の下面は、第一の四角形部3の下面部分と第二の四角形部5の下面部分とによって形成されている。そして、光線制御部4の上面及び下面は略平面をなすように形成されている。
【0029】
上記光学シート1を構成する下基板部2、第一の四角形部3及び第二の四角形部5は樹脂により形成される。そして、下基板部2、第一の四角形部3及び第二の四角形部5を形成するための樹脂として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂を含む)を用いることができる。
【0030】
光学シート1の上記各部のうち、第一の四角形部3については、熱可塑性樹脂により形成するのがより好ましい。即ち、光線制御部4を形成する場合に、まず第一の四角形部3を形成する場合には、熱可塑性樹脂によると容易に形成できるからである。
【0031】
また、第二の四角形部5については、熱硬化性樹脂により形成するのがより好ましい。即ち、光線制御部4を形成する場合に、先に形成された第一の四角形部3の間に樹脂を埋め込むことによって第二の四角形部5を形成する場合には、熱硬化性樹脂を用いると容易に形成できるからである。
【0032】
また、上記第一の四角形部3及び第二の四角形部5を形成するにあたり、所定の形状の精度に形成する観点からは、電離放射線硬化樹脂により形成するのが好ましい。電離放射線硬化樹脂によると、第一の四角形部3及び第二の四角形部5の四角形状について、所定の精度に形成することを容易とできるからである。
【0033】
この光学シート1を形成するためのより具体的な樹脂の例として、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオレフィン、セルロースアセテート、ポリエステル、耐候性塩化ビニル等を挙げることができる。
【0034】
また、これらの樹脂に関して、光学シート1が光線の導光に用いられることから、透明の樹脂が用いられ、特に無色透明であることがより好ましい。
【0035】
また、光学シート1を樹脂により形成するにあたり、必要に応じて可塑剤、安定化剤、劣化防止剤、分散剤、帯電防止剤等を配合させることもできる。
【0036】
そして、第一の四角形部3及び第二の四角形部5を形成するための樹脂を選択するにあたり、第一の四角形部3の屈折率n1が第二の四角形部5の屈折率n2より大きくなるように選択される。下基板部2については、第一の四角形部3と同一の材質によって形成されており、その屈折率はn1とされている。
【0037】
そして、第一の四角形部3の屈折率n1と第二の四角形部5の屈折率n2との差が、0.15以上となるように選択するのがより好ましく、0.3以上となるように選択するのがさらに好ましい。これにより、後に説明する光線制御部4によって光線を導くことに関して、より真上方向に近づけるように導き得るからである。
【0038】
また、第一の四角形部3の屈折率n1について、1.57以上とするのがより好ましく、1.6以上とするのがさらに好ましい。これにより、光線制御部4によって光線を導くことに関して、より真上方向に近づけるように導き得るからである。
【0039】
また、下基板部2と第一の四角形部3と第二の四角形部5とによって形成される光学シート1について、その上下方向の厚さは約50μm以上500μm以下の範囲に形成される。また、前記光学シート1の上下方向の厚さを70μm以上200μm以下の範囲とするのがより好ましい。
【0040】
次に、導光板7を出射した光線が光学シート1により導光される様子について、図3に基づいて説明する。この図3において、光線の方向を表す角度θ1乃至θ7について、左右方向を基準として測られる角度で表わされている。
【0041】
導光板7を出射した光線は、上記図2に基づき説明したように、左右方向に対してθ1で表される方向にピークを示す分布をなしている。かかるピークの方向に沿って進行する光線のうちL1は、以下のように導かれる。
【0042】
光線L1は、下基板部2の下面2aより光学シート1へ入射するが、下基板部2への入射に際して上方に近づくように屈折する(θ1<θ2)。次に、光線L1は、下基板部2から第一の四角形部3をとおり、第一の四角形部3の第二の側面3bを通って第一の四角形部3を出射する。
【0043】
次に、第二の四角形部5の第一の側面5aより第二の四角形部5へと入射するが、この第二の四角形部5への入射に際してさらに上方に近づくように屈折する(θ2<θ3)。そして、光線L1は、第二の四角形部5の内部を進行した後に光学シート1の上面より、真上方向から遠ざかるように屈折して外部へ出射する(θ4<θ3)。
【0044】
上記光線L1について、上記θ1の角度をなして光学シート1へ入射し、光学シート1より上記θ4の角度をなして出射されるので、導光板7を出射して下方から入射し、より真上方向に近づくように上方へ出射される(θ1<θ4)。
【0045】
一方、導光板7を出射した光線の分布のピークを示す角度θ1の方向に沿って進行する光線のうちL2は、以下のように導かれる。光線L2は下基板部2の下面2aより光学シート1へ入射するが、その入射に際して上方に近づくように屈折する(θ1<θ2)。次に、光線L2は、下基板部2を出射して第二の四角形部5へ入射する。この第二の四角形部5への入射に際して、真上方向から遠ざかるように屈折する(θ5<θ2)。
【0046】
そして、光線L2は、第二の四角形部5の内部を進行した後に、第二の四角形部5の第二の側面5bを出射し、第一の四角形部3の第一の側面3aを通って第一の四角形部3へ入射する。光線L2は、第一の四角形部3への入射に際して、真上方向から遠ざかるように屈折する(θ6<θ5)。
【0047】
そして、光線L2は、第一の四角形部3内を通って第一の四角形部3の上面部分に到達する。そして、第一の四角形部3の上面部分に到達した光線L2は下方へ光線L2’として反射される(θ7)。
【0048】
この第一の四角形部3の上面部分に到達して下方に反射された光線L2’は、光学シート1内を伝達され、第一の四角形部3や第二の四角形部5の界面等において透過又は反射を繰り返すが、最終的に光学シート1の上方へ出射される部分について、下基板部2及び第一の四角形部3の屈折率n1と第二の四角形部5の屈折率n2との関係から、上記θ1で表される方向に比べ、より真上方向に近づくように出射させることができる。
【0049】
このように、光学シート1に対して入射した光線のうち光線L2についても、より真上方向に近づくように上方へ出射させることができる。
【0050】
以上に説明したように、この光学シート1によると、前記θ1の方向にピークを示す分布をなして光学シート1の下面より入射した光線について、光学シート1の上面全体の平均において、前記θ1より大きい角度をなす方向にピークを示す分布の光線として出射させることができ、より真上方向に近づけるように上方へと出射させることができる。
【0051】
これにより、本発明の光学シート1によると、従来のプリズムシートのごとく外部に向かって角部分をなすプリズム形状を形成することなく、下方から入射した光線をより真上方向に近づけるように上方へ出射させることができる。これにより、従来のプリズムシートのように角をなす部分が外部に晒されることがないので、光学的に機能する部分が損傷を受けやすいという問題を解消できる。
【0052】
そして、第一の四角形部3の屈折率n1と第二の四角形部5の屈折率n2との相互の調節により、光学シート1の上面より光線を出射させる方向をコントロールできる。これにより、光学シート1をバックライトユニットとして用いるにあたり、必ずしもプリズムシート等の他のシートを多数組み合わせて用いる必要がなく、少ない部材数でバックライトユニットを構成することができ、バックライトユニットを小型化することを可能にできる。
【0053】
また、光学シート1にあっては、光線制御部4を構成する第一の四角形部3及び第二の四角形部5が正方形又は長方形をなす形状に基づいて形成されるので、後に説明する製法により形成するにあたり、成形が容易である。即ち、従来のプリズムシートであれば、三角形状をなすプリズムを形成するにあたり、その三角の角度を所要の角度に形成することは容易でなかったが、本発明の光学シート1にあっては、このような成形上の困難を伴うことがない。
【0054】
なお、以上に説明した光学シート1について、下基板部2を第一の四角形部3と異なる材質によって形成することもできる。下基板部2を第一の四角形部3と異なる材質により形成する場合、第一の四角形部3の屈折率と略等しい屈折率を与える材質によって形成するのがより好ましい。例えば、第一の四角形部3をPS系樹脂(ポリスチレン系樹脂、屈折率1.57)により形成し、下基板部2をPET(ポリエチレンテレフタレート、屈折率1.575)により形成することができる。
【0055】
また、以上に説明した光学シート1の例では、光線制御部4と下基板部2とにより光学シートを構成する例を説明したが、光学シートを図4に示されるように構成することもできる。即ち、図4に示される光学シート11のように、光線制御部4に対する上側に上基板部6を備えて構成することもできる。
【0056】
この光学シート11のように上基板部6を設ける場合には、上基板部6の材質について、第二の四角形部5と同じ材質により形成することができる。また、上基板部6を第二の四角形部5と異なる材質により形成する場合、第二の四角形部5と屈折率を略等しくするように材質を選択するのがより好ましい。
【0057】
なお、この光学シート11において、下基板部2の屈折率にかかる材質の選択については、光学シート1と同様であり、第一の四角形部3と同一の材質とすることができ、また異なる材質とすることもできる。光学シート11の下基板部2を第一の四角形部3と異なる材質により形成する場合、屈折率n1に略等しい屈折率となる材質を選択するのがより好ましい。
【0058】
次に、本発明の光学シートの製造方法について説明する。図5は、光学シートの製法の一例である押し出し成形工程の概略を示す図である。図5には、シート成形機を用いて押し出し成形を行う例が示されている。
【0059】
図5に示されるシート成形機20は、樹脂溶融装置21と、成形ロール部22と、シート巾調整装置23と、巻き取り装置25とを備えている。
【0060】
樹脂溶融装置21では、投入部21Aを介して投入された樹脂が250〜300℃の範囲で加熱され溶融される。成形ロール部22には、形成したい形状を反転させた形状に切削された一のロールと、この一のロールとの間で溶融された樹脂をニップするための他のロールが設けられている。
【0061】
シート巾調整装置23は、成形ロールを通って成形されたシートを所要のシート巾に裁断するための装置である。また、巻き取り装置25は、形成されたシートを巻き取るための装置である。巻き取り装置25により巻き取られたシートは、巻き取り装置25より取り外されてシート成型機20より取り出される。
【0062】
シート成形機20を用いて上記光学シート1を形成するにあたり、成形ロール部22の一のロールについて、第一の四角形部3を反転させた形状が多数平行に切削されたものを用意する。そして、第一の四角形部3及び下基板部2を形成するための樹脂を樹脂溶融装置21の投入部21Aより投入して溶融させた後、成形ロール部22を通過させる。これにより、下基板部2と第一の四角形部3とを備える形状とされたシートが形成される。
【0063】
そして、下基板部2及び第一の四角形部3の形状とされたシートをシート巾調整装置23を通した後に巻き取り装置25で巻き取ると、光学シート1の下基板部2及び第一の四角形部3を構成するシートを形成できる。
【0064】
次に、以上に得られたシートに対して、その第一の四角形部3の各々の間に形成される空隙に、第二の四角形部5を形成するための溶融された樹脂を注入して埋め込むことにより、第二の四角形部5を形成できる。
【0065】
次に、下基板部2の下面について略平面となるよう仕上げ加工を施す。また、第一の四角形部3の上面部分及び第二の四角形部5の上面部分を光線制御部4の上面として形成するべく、仕上げ加工を施す。即ち、第一の四角形部3の上面部分が外部に晒されるようにするととともに略平面となるようにし、また、第二の四角形部5の上面部分を略平面に形成するよう仕上げ加工を施し、第一の四角形部3の上面部分と第二の四角形部5の上面部分とにより一の略平面を形成して光線制御部4の上面が形成されるようにする。
【0066】
また、上記シート成形機20を用いて上記光学シート11を形成するにあたっては、以上に説明した光学シート1の下基板部2及び第一の四角形部3を形成するための工程と同様の工程を実行することにより、下基板部2及び第一の四角形部3に加えて、第二の四角形部5及び上基板部6を形成することができ、光学シート11を得ることができる。
【0067】
光学シート11については、下基板部2及び第一の四角形部3と、第二の四角形部5及び上基板部6との形状に関して、下基板部2及び第一の四角形部3を反転させると、第二の四角形部5及び上基板部6を得ることができる。従って、下基板部2及び第一の四角形部3を形成するための樹脂に変えて、第二の四角形部5及び上基板部6を形成するための樹脂を用い、下基板部2及び第一の四角形部3を形成する工程と同様の工程を実行することにより第二の四角形部5及び上基板部6を得ることができる。
【0068】
そして、下基板部2及び第一の四角形部3を構成するシート、及び第二の四角形部5及び上基板部6を構成するシートを形成した後に、これらのシートを互いに上下に嵌め合わせることにより光学シート11を得ることができる。
【0069】
次に、本発明の光学シートを製造するための他の製法の例について説明する。図6は、本発明の光学シートの他の製法の一例である、樹脂を紫外線(UV)硬化させる方法を用いる工程の概略を示している。以下の説明では、光学シート11の形態に構成される光学シート、即ち下基板部2及び第一の四角形部3と第二の四角形部5及び上基板部6とにより構成される光学シートの例を挙げて説明する。
【0070】
まず、下基板部2及び第一の四角形部3を形成するための金型M0を用意する。この金型M0は、その表面に第一の四角形部3を反転させた形状が多数平行に切削されて形成されている。
【0071】
まず、第一工程(a)により、前記金型M0の表面に液状にされた紫外線硬化樹脂R1’を供給し、この紫外線硬化樹脂と同じ材質で形成された透明ベースSをその上に載せる。
【0072】
次に、第二工程(b)により、透明ベースSの上から紫外線UVを照射し、樹脂R1’を硬化させて樹脂層R1を形成する。次に、第三工程(c)により、透明ベースSと硬化させた樹脂層R1をともに剥離すると、下基板部2及び第一の四角形部3を構成するシートを得ることができる。
【0073】
次に、第四工程(d)により、以上の下基板部2及び第一の四角形部3を構成するシートに対して、その第一の四角形部3の各々の間に形成される空隙に、第二の四角形部5及び上基板部6を形成するための液状にされた樹脂を注入して埋め込むと、第二の四角形部5及び上基板部6に相当する樹脂層R2を形成できる。
【0074】
そして、図示されない仕上げ工程を実行することにより、光学シート1を得ることができる。この仕上げ工程として、下基板部2の下面について略平面となるよう仕上げ加工を施す。また、上基板部6の上面について略平面となるように仕上げ加工を施す。
【0075】
次に、本発明にかかる光学シートのより具体的な例について、図3に示された光学シート1の例に基づいて説明する。光学シート1の下基板部2及び第一の四角形部3について、屈折率n1=1.586となるように形成する。また、第二の四角形部5について、屈折率n2=1.35となるように形成する。また、光学シート1の上方及び下方は空気層であるとし、空気層の屈折率をn0=1.0とする。
【0076】
表1は、光学シート1を構成する前記各部分を前記屈折率n1、n2とした場合に、光学シート1により光線が導かれる光学シート1中の各部における方向を表す角度を示している。表1におけるθ1乃至θ7の各々が表す量については、上記図3に基づき説明したとおりである。
【0077】
【表1】
【0078】
θ1は、導光板7を出射して光学シート1の下面へ入射する光線の分布のピークに沿って進行する光線L1、L2の方向を左右方向を基準として角度により表したものである。θ2は、下基板部2へ入射する際に屈折した光線L1、L2の方向を左右方向を基準として角度により表したものである。
【0079】
θ3は、第一の四角形部3より第二の四角形部5へ入射する際に屈折した光線L1の方向を左右方向を基準として角度により表したものである。θ4は、第二の四角形部5より上方へ出射する際に屈折した光線L1の方向を左右方向を基準として角度により表したものである。
【0080】
θ5は、下基板部2より第二の四角形部5へ入射する際に屈折した光線L2の方向を左右方向を基準として角度により表したものである。θ6は、第二の四角形部5より第一の四角形部3へ入射する際に屈折した光線L2の方向を左右方向を基準として角度により表したものである。
【0081】
θ7は、第一の四角形部3の上面に到達した光線のうち下方へ反射する光線の方向を左右方向を基準として角度により表したものである。この例では、第一の四角形部3の上面に到達した光線は全て下方へと反射される。
【0082】
この光学シート1の例について、下基板部2及び第一の四角形部3を屈折率n1=1.586となるように形成するにあたり、樹脂としてポリカーボネートを用いることができる。また、第二の四角形部5を屈折率がn2=1.35となるように形成するにあたり、樹脂としてフッ素含有アクリル系樹脂を用いることができる。
【0083】
表1に示されるθ1とθ4の比較から、この光学シート1によれば、下方から入射した光線をより真上方向に近づく方向として上方へ出射させ得ることが判る。また、上記θ7で表される方向へ反射されたものについても、最終的に、より真上方向に近づく方向として上方へ出射させることができる。
【0084】
また、第一の四角形部3及び第二の四角形部5について、これらの屈折率n1、n2に関して、表2に示される組み合わせを採用することもできる。
【0085】
【表2】
【0086】
この表2におけるサンプル1、サンプル2について、第一の四角形部3の屈折率をn1=1.479とするにあたり、ポリメチルメタクリレート(PMMA)により形成することができる。
【0087】
また、サンプル3乃至サンプル6について、第一の四角形部3の屈折率をn1=1.586とするにあたり、ポリカーボネート(PC)により形成することができる。また、サンプル7乃至サンプル10について、第一の四角形部3の屈折率をn1=1.669とするにあたり、ポリ−p−キシリレン(p-xylylene)により形成することができる。
【0088】
また、サンプル1、サンプル4、サンプル10について、第二の四角形部5の屈折率をn2=1.45とするにあたり、フッ素含有アクリル系樹脂により形成することができる。また、サンプル2、サンプル6について、第二の四角形部5の屈折率をn2=1.4とするにあたり、フッ素含有アクリル系樹脂により形成することができる。
【0089】
また、サンプル3、サンプル8について、第二の四角形部5の屈折率をn2=1.5とするにあたり、アクリル系樹脂により形成することができる。また、サンプル5について、第二の四角形部5の屈折率をn2=1.44とするにあたり、フッ素含有アクリル系樹脂により形成することができる。
【0090】
また、サンプル7について、第二の四角形部5の屈折率をn2=1.363とするにあたり、フッ素含有アクリル系樹脂により形成することができる。
【0091】
以上の説明では、図3及び図4に示したように、第一の四角形部3及び第二の四角形部5により形成される光線制御部4を一層設ける例を挙げて説明したが、光線制御部4を上下に二層以上重ねて設けるようにしてもよい。光線制御部4を上下により多層に設けると、下方から入射した光線をより真上方向に近づけるように上方へ導くことができる。
【0092】
また、以上の説明では、本発明の光学シートを用いるにあたり、図1に基づき説明したように、導光板7の一方側にのみランプ8が配置されるバックライトユニットに組み込む例を挙げて説明したが、光源としてのランプ8は、導光板7の一方側のみに配置されるとは限らない。
【0093】
即ち、本発明の光学シートを用いるにあたっては、図1に示される導光板7と光学シート1の配置を基準として説明すると、導光板7に対する右側にランプ8をもう一本配置するようにしても構わない。このように、導光板7に対する左右両側にランプが配置される場合であっても、前記二つのランプを出射し導光板7を通って光学シートに下方から入射した光線を、より真上方向に近づく方向として上方へ出射させることができる。
【0094】
また、以上に説明した光学シートに関して、特に図示しない光拡散層を最上層に設けることができる。光拡散層については周知の各種の光拡散層によって形成することができ、ビーズとバインダーとにより形成されてなるものや、光線の出射面側をエンボス形状に加工する等、光拡散層として周知の構成を用いることができる。
【0095】
本発明の光学シートに光拡散層を設けると、光線を上方へ出射させる際の光拡散層による光拡散によって、さらに光線のピークの方向を真上方向に近づけることができる。従って、従来の光拡散シートに比べて光線をより真上方向に近づけるように導くことができ、バックライトユニットを構成する部材数を増加させることなく、液晶画面の正面の方向へ効率良く光線を導くことができる。
【0096】
また、以上に説明した光学シートに関して、特に図示しないスティッキング防止層を最下層に設けることもできる。このスティッキング防止層は、周知のスティッキング防止層により形成することができ、互いに離間したビーズ下方に突出させるように最下層に設けることによって形成できる。このスティッキング防止層を設けると、バックライトユニットを構成した場合に、光学シートがスティッキング防止層を介して導光板と接するようにできるので、ぎらつく光のイメージが液晶画面に投影されることを防止できる。
【0097】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の光学シートによると、下方から入射した光線を液晶の画面の正面に向かって集光させるにあたり、該シートが損傷を受けることを防止できるという効果を奏する。また、本発明の光学シートを用いると、第一の四角形部と第二の四角形部との材質の選択に基づく相互の屈折率の調整により、液晶画面の正面の方向である真上方向により近づけるように光線を導くことができる。これにより、バックライトユニットを構成する部材数を低減させることができるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるバックライトユニットの斜視図である。
【図2】光学シートに入射する光線を示す図である。
【図3】図1におけるIII−III線矢視断面に含まれる光学シートの一部断面図である。
【図4】本発明の光学シートの他の例を示す図である。
【図5】シート成形機を用いて光学シートを製造する工程を示す図である。
【図6】光硬化させる工程を用いて光学シートを製造する工程を示す図である
【図7】従来のバックライトユニットの斜視図である。
【符号の説明】
1 光学シート
2 下基板部
3 第一の四角形部
3a 第一側面
3b 第二側面
4 光線制御部
5 第二の四角形部
5a 第一側面
5b 第二側面
6 上基板部
7 導光板
8 ランプ
10 バックライトユニット
11 光学シート
20 シート成形機
21 樹脂溶融装置
22 成形ロール部
23 シート巾調整装置
25 巻き取り装置
30 バックライトユニット
31 ランプ
32 導光板
33 光拡散シート
34 プリズムシート
Claims (7)
- 下方から入射した光線を上方へ出射させる光学シートであって、
下基材部、及び
断面形状が正方形又は長方形をなし多数平行に配設された第一の四角形部と、断面形状が正方形又は長方形をなし多数平行に配設された第二の四角形部とによって形成された光線制御部
を有し、
前記光線制御部は、前記下基材部上に積層されており、
前記第一の四角形部と第二の四角形部は、上下方向の高さが等しくされて横方向に交互に配列され、
第一の四角形部が、第二の四角形部より屈折率の高い材質によって形成されており、
前記第一の四角形部の上面部分と第二の四角形部の上面部分とによって形成される光線制御部の上面、及び前記第一の四角形部の下面部分と第二の四角形部の下面部分とによって形成される光線制御部の下面が略平面に形成されており、
前記下方から入射した光線を、より真上方向に近づけるように上方へ出射させることができるサイドライト型バックライトユニット用光学シート。 - 前記第一の四角形部と第二の四角形部との屈折率の差が、0.15以上とされることを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
- 前記第一の四角形部と第二の四角形部との屈折率の差が、0.3以上とされることを特徴とする請求項2に記載の光学シート。
- 前記第一の四角形部の屈折率が、1.57以上とされることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光学シート。
- 前記第一の四角形部の屈折率が1.6以上とされることを特徴とする請求項4に記載の光学シート。
- 前記光学シートの最上層に光拡散層が設けられてなる、請求項1乃至5のいずれかに記載の光学シート。
- 前記光学シートの最下層にスティッキング防止層が設けられてなる、請求項1乃至6のいずれかに記載の光学シート。
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