JP4759824B2 - Toroidal continuously variable transmission - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車の変速機に利用されるトロイダル型無段変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の自動変速機には、トロイダル型無段変速機が使用されている。
【0003】
こうしたトロイダル型無段変速機には、例えば特許第2734583号あるいは特開平5−39850号公報などに開示されているように、一組のパワーローラの両側の該パワーローラを挟み付けるように一対の入出力ディスクを組合わせた構造が用いられている。具体的には、各ディスクのトラクション面は、パワーローラの揺動軸を中心とする円弧で得られる凹面形状に形成されていて、パワーローラを傾転させると、パワーローラと入出力ディスクとの接触点の回転半径比が変化して変速が行われるようにしてある。
【0004】
トロイダル型無段変速機では、トラクション性の確保のため、各ディスクとパワーローラ間の動力伝達は、両者の間に油膜を介在させ、この油膜の剪断力によって動力を伝えることが行われている。
【0005】
このため、パワーローラ、入出力ディスクを有して構成されるバリエータでは、最後に各ディスクのトラクション面へ潤滑油が送出されるという、トロイダル型無段変速機の特有の潤滑系が採用されている。
【0006】
従来、この潤滑系には、バリエータの下側に潤滑油を集溜しておく集溜部を形成しておき、バリエータに潤滑油が通る油路を形成しておく。そして、油路から流出した潤滑油を、入出力ディスクのトラクション面へ流出させたり、パワーローラのトラクション面へ流出させたりすることが行われている。
【0007】
例えば特開平11−51141号公報や特開平11−210855号公報に開示されているような各ディスクの上側あるいは下側に、各ディスクのトラクション面に向く噴出孔を配置して、該噴出孔から直接、トラクション面に潤滑油を噴出させる構造は代表的な例である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
こうしたトロイダル型無段変速機で、安定した性能を保つためには、潤滑油に混じる異物が、各ディスクとパワーローラとの面転がり接触点にかみ込まれることを避けることが求められる。
【0009】
このため、従来、トロイダル型無段変速機では、オイルポンプの吸込み側にラインフィルタを組込んで、ある規定以上の大きさの異物を取り除く構造が採用してある。
【0010】
ところが、吸込み側に有るラインフィルタでは、除去しきれない場合がある。
【0011】
例えば変速機の組立時にラインフィルタから噴出孔までの油路中に、ごみなどの異物が入ったり、油路の開口に孔加工したときのバリが残っていたような場合、それら異物が、ラインフィルタを通過する前に各ディスクのトラクション面、パワーローラのトラクション面へ噴き出されてしまう。
【0012】
この他、オイルパンの油中に残っていた金属製の異物が、ラインフィルタで除去しきれずれに、トラクション面へ噴き出されてしまうこともある。
【0013】
こうした場合、異物がディスクやパワーローラの転がり接触点にかみ込むおそれがある。またかみ込まずに異物が潤滑油と共に、バリエータの下側で溜まっている潤滑油に落ちたとしても、油中の異物(既に集溜部の潤滑油に有る異物も含む)は、変速機作動中の振動により暴れてディスクにより掻き上げられる集溜部の潤滑油と共に、再びディスクやパワーローラのトラクション面にかみ込まれるおそれがある。
【0014】
こうした異物のかみ込みは、入出力ディスクやパワーローラの寿命を低下させてしまう。
【0015】
そこで、本発明の第1の目的は、ラインフィルタから噴出孔までの区間に存在する異物がトラクション面へ噴き出される前に取り除けるようにしたトロイダル型無段変速機を提供することにある。
【0016】
さらに第2の目的は、ラインフィルタで除去しきれなかった金属製の異物を取り除けるようにしたトロイダル型無段変速機を提供することにある。
【0017】
さらに第3の目的は、集溜部からトラクション面へ異物が掻き上げられないようにしたトロイダル型無段変速機を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
トロイダル型無段変速機は、バリエータと潤滑系とを有する。バリエータは、向き合って配置される入力ディスクおよび出力ディスクでパワーローラを挟み、パワーローラを傾転させて入力ディスクおよび出力ディスクとパワーローラとの接触点を変化させることによって、入力ディスクの回転を出力ディスクに伝達する際の変速比を無段階に変える。潤滑系は、バリエータに組付けられ、ラインフィルタを通過した後の潤滑油を入力ディスクおよび出力ディスクのトラクション面とパワーローラのトラクション面へ流出させる油路を構成する。この潤滑系は、第1系統と第2系統と第3系統とを含む。第1系統は、入力ディスクと出力ディスクで構成されるキャビティの中央に保持された支持ポストの中を通じ、入力ディスクおよび出力ディスクのトラクション面とパワーローラのトラクション面とに噴出孔から潤滑油を噴射する系統である。第2系統は、パワーローラを回転自在に支持する軸部を有した偏心軸の中を通じ、軸部の外周に開口する噴出孔から潤滑油を吐出する系統である。第3系統は、入力ディスクと出力ディスクの回転中心を貫通する入力軸の中およびこの入力軸に連結された駆動軸部材の中を通じ、入力軸の周壁に開口する噴出孔から潤滑油を吐出する系統である。そして、第1系統の噴出孔、第2系統の噴出孔、第3系統の噴出孔の少なくとも1つの上流部分に、油路を塞ぐように据付けられる二次フィルタおよび潤滑油の流れを損なわないように取着される磁石部材の少なくとも一方を設置する。
【0019】
第1系統の噴出孔は、支持ポストの先端部にボルト部材で締結される噴射ヘッドの外周面に形成され、ボルト部材の軸部先端から頭部近くまでに形成された孔に連通する。二次フィルタおよび磁石部材の少なくとも一方は、ボルト部材の孔に挿着される。
【0020】
第2系統の噴出孔は、偏心軸の軸部内に形成された通路と連通する。二次フィルタおよび磁石部材の少なくとも一方は、軸部の通路に挿着される。
【0021】
第3系統の噴出孔は、入力軸の軸心に沿って複数個所に設けられる。二次フィルタおよび磁石部材の少なくとも一方は、複数ある噴出孔の最も上流側となる入力軸と駆動軸部材の連結部近くの油路に挿着される。
【0022】
二次フィルタは、ラインフィルタよりもメッシュが粗いものを採用する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1〜図7に示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
【0025】
図1は、本発明を適用したダブルキャビティ式のハーフトロイダル型無段変速機の主要部を構成するバリエータ10を示し、図2は図1中のA−A線に沿う断面を示し、図3は図1中のB−B線に沿う断面を示している。バリエータ10は、最下部にオイルパン8(潤滑油を集溜する集溜部に相当)が形成されたミッションケース9(図1に二点鎖線で一部図示)内に収めてある。このバリエータ10は、第1のキャビテイ11を構成する入力ディスク12aおよび出力ディスク13aと、第2のキャビテイ14を構成する入力ディスク12bおよび出力ディスク13bとを備えている。
【0026】
そして、入出力ディスク12a,13aの間には、一対(ここでは2つ)のパワーローラ15a,15bが設けられている。なお、パワーローラ15a,15bの外周面は、入出力ディスク12a,13aのトラクション面に挟み込まれる。また入出力ディスク12b、13bの間にも、一対(ここでは2つ)のパワーローラ15c、15dが設けられている。なお、パワーローラ15c、15dの外周面は、入出力ディスク12b、13bのトラクション面に挟み込まれる。
【0027】
パワーローラ15a,15bは、図2に示されるようにニードルベアリング1を介してトラニオン17a,17bに回転自在に植え込んだ各クランク形の偏心軸18にそれぞれニードルベアリング2を用いて回転自在に取付けてある。パワーローラ15c、15dも、同様な構造で、ニードルベアリング1を介してトラニオン17c,17dに回転自在に植え込んだクランク形の偏心軸18にそれぞれニードルベアリング2を用いて回転自在に取付けてある。
【0028】
各トラニオン17a〜17dは、図2に示されるようにそれぞれパワーローラ15a〜15dを挟む上下部に一対のトラニオン軸19を有している。各トラニオン軸19は、枠形のリンク20で、それぞれ対角線上で向き合うように連結されていて、パワーローラ15a〜15dを押付けるときに発生する反力がキャンセルされる構造にしてある。但し、各トラニオン軸19の先端部および根元部は、軸受部5を用いて、上下リンク20に対して回転自在ならびに揺動自在に支持してある。
【0029】
各パワーローラ15a〜15dと各トラニオン17a〜17dとの間は、それぞれスラスト玉軸受27とスラスト軸受28とを組合わせて構成されるパワーローラ軸受25を介して支持されていて、パワーローラ15a〜15dを押付けるときに発生するスラスト力に耐える構造にしてある。
【0030】
また入力ディスク12a,12bと出力ディスク13a,13bの中心部には、図3に示されるように中空軸で形成される入力軸30が貫通している。この入力軸30の一端部が、転がり軸受33、カムディスク51を介して、入力軸30と同軸な駆動軸部材31に連結してある。なお、駆動軸部材31は、エンジン(図示しない)等の駆動源からの駆動力が入力される部材である。
【0031】
この入力軸30は、一端部にボールスプライン34を有し、他端部にボールスプライン37、弾性受け具35(ローディングナット36a,皿ばね36bなどからなる)を有してなる。そして、入力ディスク12aが、ボールスプライン34により回り止めされた状態で、入力軸30に対して、軸線方向に移動可能に取付けてある。入力ディスク12bも、同様に、ボールスプライン37により回り止めされた状態で、入力軸30に対して、軸線方向に移動可能に取付けてある。
【0032】
出力ディスク13aは入力ディスク12aと向き合い、出力ディスク13bは入力ディスク12bと向き合うよう、それぞれ入力ディスク12a,12b間に配置してある。これら出力ディスク13a,13bは、それぞれベアリング40,41を介して、入力軸30の外周部に回転自在に支持してある。これら出力ディスク13a,13bが、両者間に介在された筒形の連結部材42によって連結してある。そして、連結部材42の外周部に設けた出力ギヤ43から、出力ディスク13a,13bからの回転が出力されるようにしてある。この出力ギヤ43に、出力軸(図示しない)のギヤ44が噛合っている。なお、44aは出力ギヤ43の周囲を覆うハウジングを示す。
【0033】
入力ディスク12aの背面側にはローディングカム機構50が組付けてある。ローディングカム機構50は、互いに向き合うカムディスク51の側面と、入力ディスク」12aの背面とにそれぞれカム面54,55を形成し、これらカム面54,55間にローラ52を挟み込んでなる。
【0034】
これにより、駆動軸部材31が回転すると、カムディスク51が回転され、カム面54,55に挟まれたローラ52がもたらす楔作用で、入力ディスク12aは出力ディスク13aに向って押圧されながらカムディスク51と一緒に回転する。またカムディスク51が受ける反力が、転がり軸受33を介して入力軸30に加わり、入力ディスク12bは出力ディスク13bに向って押圧される。つまり、入力ディスク12a,12bの回転が、入力軸30の両端側からパワーローラ15a〜15dを介して、出力ディスク13a,13bへ伝わり、出力ギヤ43から出力されるようにしてある。
【0035】
一方、パワーローラ15a〜15dの下側には、ミッションケース9内に設置したバルブユニット60が据付けてある。バルブユニット60は、例えばパワーローラ15a〜15dの列にならってミッションケース9内に組付けた一対のバルブボディ61内に、パワーローラ15a〜15d毎、油圧ピストン機構62を収めて構成してある。具体的には、各油圧ピストン機構62は、偏平状のシリンダ63内に油圧ピストン64をトラニオン軸線沿いに移動可能に収めて構成される。そして、各油圧ピストン64と下部のトラニオン軸19とが駆動ロッド63aを介して連結され、油圧ピストン64を挟んで両側に形成されたシリンダ室の一方あるいは他方に油圧を加えると、各トラニオン17a〜17dが昇降するようにしてある。このときの各パワーローラ15a,15dの各ディスク12a,12b、13a、13bの回転中心に対するオフセットにより、各パワーローラ15a〜15dが傾転(接触点で発生するモーメントによる)するようにしてある。そして、この傾転がもたらすパワーローラ15a,15bと入出力ディスク12a,13aとの接触点での回転半径比の変化、パワーローラ15c,15dと入出力ディスク12b,13bとの接触点での回転半径比の変化から、変速比が変えられるようにしてある。なお、トラニオン軸19には、各パワーローラ15a〜15dの傾転動作の同期が行われるよう、例えば無端状のワイヤ66と滑車67を用いた同期機構68が組付けてある。
【0036】
トロイダル型無段変速機では、図1に示されるように潤滑が求められる摺動部分の潤滑を行う潤滑系70が組付けられている。またこの潤滑系70を用いて、各ディスク12a,12b,13a,13bとパワーローラ15a〜15d間に油膜を介在させ、油膜の剪断力により動力の伝達が行われるようにしてある。
【0037】
この潤滑系70には、例えば吸込側にラインフィルタ71aを有したエンジン駆動式のオイルポンプ71で、オイルパン8に集溜した潤滑油を吸い上げて、複数に分かれた系統へ圧送する構造が用いられている。
【0038】
具体的には、潤滑系70は、例えば
a.潤滑油を、直接、バリエータ10の上方から各ディスク12a,12b,13a,13bやパワーローラ15a〜15dのトラクション面に供給する第1系統。
【0039】
b.潤滑油を、各トラニオン軸19の軸受部分、各パワーローラ15a〜15dの軸受部分に導いてから、各ディスク12a,12b,13a,13bのトラクション面へ流出させる第2系統。
【0040】
c.潤滑油を、入力軸30内を通して、各ディスク12a,12b,13a,13bの軸受部分に導いてから、各ディスク12a,12b,13a,13bのトラクション面へ流出させる第3系統。
【0041】
がある。
【0042】
第1系統は、図1および図2で示されるように上側のリンク20をキャビティ中央でミッションケース9の上壁から変位自在に支持している支持ポスト73内を通じて、潤滑油をバリエータ10の各トラクション面へ噴出させる系統である。
【0043】
詳しくは、支持ポスト73の先端部は、リンク20を貫通している。そして、この貫通端に、ボルト部材74で、ストッパ75(トラニオン17a〜17dの過剰な動きを規制する)が固定してある。この部分を通じて潤滑油を噴出させるために、ボルト部材74には、軸部74a先端から頭部74b近くの地点まで孔74cが形成された部材を用い、さらに頭部74bと支持ポスト73端との間には、ストッパ75と一緒に締結される噴射ヘッド76が介在させてある。具体的には、図4に示されるように噴射ヘッド76の外周面には、各パワーローラのトラクション面、ディスクのトラクション面に向く斜め下向きの噴出孔77が複数個形成してある。この噴出孔77から続く油路が、環状の隙間79b、軸部74aの根元に形成してある通孔74dを通じて、軸部74aの孔74c(いずれも油路)に連通している。そして、軸部74aの先端部は、通路72aを介して、それぞれオイルポンプ71の吐出部につなげられていて、ラインフィルタ71aを通過した後の潤滑油がそれぞれトラクション面へ向けて噴射されるようにしてある。なお、76aはボルト部材74の抜け止めをなす皿ばねを示す。
【0044】
第2系統は、図1および図2に示されるようにバルブボディ61を通じて、潤滑油を、駆動ロッド63aの内部、下部トラニオン軸19の内部、各トラニオン17a〜17dを順に通じ、ニードルベアリング1、スラスト軸受28、ニードルベアリング2を順に経て、トラクション面へ流れ出すようにした系統である。
【0045】
詳しくは、駆動ロッド63aならびに下部トラニオン軸19の内部には互いに連通して軸心方向に延びる通路80aが形成され、各トラニオン17a〜17dの内部には通路80aの出口からニードルベアリング1へ至る通路80bが形成され、偏心軸18の先端側の軸部18c(各パワーローラ15a〜15dを支持している軸部分)内には通路80bの途中から軸部外周に開口している噴出孔80dへ至る通路80cが形成されている。そして、通路80aの入口は、通路72bを介して、オイルポンプ71の吐出部に連通され、オイルポンプ71から吐出した潤滑油、すなわちラインフィルタ71aを通過した後の潤滑油が、それぞれ軸受部分を潤滑してから、最後にトラクション面へ流出されるようにしてある。
【0046】
第3の系統は、図3に示されるように潤滑油を駆動軸部材31の内部から、入力軸30の内部を通じて、入力軸30上の転がり軸受33、ボールスプライン34,37、連結部材42、ベアリング40,41にそれぞれ供給してから、トラクション面へ流れ出すようにした系統である。
【0047】
詳しくは、駆動軸部材31の内部は、通路72cを介して、オイルポンプ71の吐出部に連通している。また直列に並んでいる駆動軸部材31と入力軸30との相互は、シール部材81を介してシールしてある。さらに入力軸30の外周面のうち、一方のベアリング40から連結部材42を経て他方のベアリング41に至る外周面部分には、複数条の溝部82aが形成してある。そして、入力軸30の周壁のうち、転がり軸受33、ボールスプライン34、溝部82a、ボールスプライン37と対応する地点には、入力軸30の内部とこれら各部とを連通する通路82bがそれぞれ形成されていて、オイルポンプ71から吐出した潤滑油(ラインフィルタ71aを通過した後の潤滑油)が、それぞれの軸受部分を潤滑してから、最後にトラクション面へ流出されるようにしてある。
【0048】
こうした各潤滑系統の各出口側には、ラインフィルタ71aから出口側までの区間に有する異物(組立時に入ったごみ、機械加工の際のばりがそのまま残ることで発生したものなど)を取り除くフィルタが設けられている。
【0049】
具体的には、第1系統では、図4に示されるように噴出孔77から近い油路の上流側の地点、例えば噴射ヘッド76に近いボルト部材74の孔部分に段差を形成し、この段差に、通路を塞ぐようにして例えばメッシュ式の二次フィルタ84a(表面式フィルタ:二次フィルタに相当:以下、単にフィルタ84aという)が据付けてある。このフィルタ84aには、通常、ラインフィルタで用いられるメッシュ(150〜200程度)より、メッシュが粗いフィルタ部材(例えば50〜200位)が用いてある。さらに噴出孔77から近い油路の上流側の地点、例えばフィルタ84aの直後で潤滑油の流れを変える油路部分を形成しているボルト部材74内の底部分には、潤滑油の流れを損なわないよう、偏平形状の磁石部材85a(磁気式フィルタ)が取着してある。
【0050】
第2系統では、図5に示されるように噴出孔80dから近い油路の上流側の地点、例えば偏心軸18の通路80cの噴出孔80dから近い孔部分に段差を形成し、この段差に、通路を塞ぐようにして例えば先のフィルタ84aと同じ機能のメッシュ式のフィルタ84b(表面式フィルタ:二次フィルタに相当)が据付けてある。さらに噴出孔80dから近い油路の上流側の地点、例えばフィルタ84b直後の細径となる通路の壁面には、潤滑油の流れを損なわないよう、壁面に沿わせて、偏平形状の磁石部材85b(磁気式フィルタ)が取着してある。
【0051】
第3系統では、図6に示されるように噴出孔となる通路82bのうち、最も上流側の通路82bから近い油路の上流側の地点、例えば駆動軸部材31の先端に、通路を塞ぐようにして例えば先のフィルタ84aと同じ機能のメッシュ式のフィルタ84c(表面式フィルタ:二次フィルタに相当)が据付けてある。この通路82bの手前(上流側)にフィルタ84cを設けることにより、転がり軸受33への潤滑油中に異物が混入することを防いでいる。さらに、ラインフィルタ71aから最も上流側の通路82b(出口側)から近い油路の上流側の地点、例えばフィルタ直後の細径となる通路の壁面には、潤滑油の流れを損なわないよう、壁面に沿わせて、偏平形状の磁石部材85c(磁気式フィルタ)が取着してある。
【0052】
また図1に示されるように各ディスク12a,12b,13a,13bの下側には、それぞれカバー部材86が設けてある。カバー部材86には、いずれも図7に代表して示されるように断面がほぼU字状の板部材が用いられる。そして、カバー部材86の外形は、ディスク形状に連なるような略扇形をなしていて、閉じた側が入力ディスク12aの下側の円弧域と近接して配置され、開放した側がオイルパン8に溜まっている潤滑油に向って延びている。このカバー部材86により、入力ディスク12aの下側の全域を覆い隠している。
【0053】
こうした各フィルター84a〜84c、磁石部材85a〜85c、カバー部材86により、油中の異物、特にラインフィルタ71aから潤滑油が噴射される地点までに残る異物から、バリエータ10を保護している。
【0054】
すなわち、潤滑油の流れとしては、トロイダル型無段変速機の運転に伴い、オイルポンプ71が作動して、オイルパン8の潤滑油を吸い上げる。そして、ラインフィルタ71aを通過したオイルポンプ71からの潤滑油は、潤滑系統毎に分かれ、一部がボルト部材74内、噴射ヘッド76を通じて、噴出孔77から、各ディスク12a,12b,13a,13bのトラクション面、パワーローラ15a〜15dのトラクション面へ供給される。また一部は、各駆動ロッド63内、各トラニオン軸19の内部、各トラニオン17a〜17dの内部を通り、ニードルベアリング1、スラスト軸受28、ニードルベアリング2を潤滑しながら、トラクション面へ流れ出す。また一部は、駆動軸部材31内、入力軸30内、各通路82bを通り、転がり軸受33、ボールスプライン34,37、連結部材42、ベアリング40,41をそれぞれ潤滑しながら、トラクション面へ流れ出す。
【0055】
この際、ラインフィルタ71aから出口までの区間に、組立時に入ったごみ、機械加工の際のばりがそのまま残るような異物が残っていたとする。
【0056】
このとき、噴出孔77の近くの油路(第1系統)には、フィルタ84aと磁石部材85aとが有り、噴出孔80dの近くの油路(第2系統)には、フィルタ84bと磁石部材85bとが有り、最も上流側の通路82bの油路(第3系統)には、フィルタ84cと磁石部材85cとが有る。
【0057】
このため、初期組立時の異物は、各フィルタ84a〜84cにより取り除かれる。しかも、ラインフィルタ71aでは除去しきれなかった金属製の細かい異物は、磁石部材85a〜85cによる吸着によって取り除かれる。
【0058】
これにより、初期組立時の異物や金属製の異物が、ディスク12a,12b,13a,13bやパワーローラ15a〜15dの転がり接触点にかみ込むのが防げる。もちろん、オイルパン8から吸い上げられる潤滑油に混じっている異物も取り除かれる。
【0059】
それ故、各ディスク12a,12b,13a,13bや各パワーローラ15a〜15dのトラクション面は異物から保護され、寿命の向上が図れる。しかも、2つのフィルタ(表面フィルタ、磁気フィルタ)を併用したことにより、油中の異物は、より多く、しかも表面フィルタでは除去しきれない細かい金属製の異物も取り除けるので、異物の除去が効果的に行える。特にフィルタ84a〜84cは、ラインフィルタ71aより粗いメッシュを採用したので、変速機運転中、フィルタ84a〜84cが異物で詰まることはない(ラインフィルタ71aより細かいと、変速機の運転中、徐々に異物が溜まり、フィルタ詰まりを起こし、トラクション面に潤滑油が供給されなくなるおそれがある)。
【0060】
そのうえ、第2系統や第3系統のように各フィルタを油路のうち、潤滑が求められるベアリングなど部品の潤滑油入口に設置し、同部分から異物の除去を行うようにすると、ベアリングなどの転動面における異物のかみ込みも防げ、ベアリングなどの転動面を有する部品や部材の寿命の向上が図れる。
【0061】
一方、異物がバリエータ下のオイルパン8に溜まっている潤滑油中に落ちたとする。
【0062】
ここで、ディスク12a,12b,13a,13bのトラクション面は、他のベアリングなどの周囲が覆われている転動面とは異なり、むき出しとなる部分なので、各ディスクにより掻き上げられる油中の異物(変速機作動中の振動により油面が暴れることによる)が、ディスクやパワーローラのトラクション面にかみ込まれるおそれがある。
【0063】
このとき、各ディスク12a,12b,13a,13bの下側は、カバー部材86で覆い隠されている。
【0064】
これにより、上側からの潤滑油はカバー部材86に付着してそのままカバー面を伝わって下に流れ、オイルパン8の潤滑油は暴れてもカバー部材86で抑制されて上側に上がらなくなるから、各ディスクが、汚れた潤滑油を掻き上げるという現象が抑えられる。
【0065】
それ故、油中の異物のかみ込みを防ぐことができ、汚れた潤滑油からトラクション面を守ることができる。このカバー部材86による掻き上げ抑制効果は非常に高く、先の表面式フィルタ、磁気式フィルタとの併用により、トラクション面を守る効果が十分に効果される。しかも、潤滑油の掻き上げ作用を抑えることで、ディスク周囲の油量が減少するので、各ディスク12a,12b,13a,13bにおける撹拌抵抗が低減され、動力伝達の効率が高められる利点ももたらす。
【0066】
図8(a)〜(e)は、本発明の第2〜第6の実施形態を示す。
【0067】
各実施形態は、第1系統における異なる磁石部材85aの設置例を示している。
【0068】
具体的には、図8(a)に示す第2の実施形態は、噴射ヘッド76の噴出孔77間を中継している、ボルト部材74の軸心方向とは直角方向に延びる孔部分77aの壁面に、該壁面に沿わせて、偏平形状の磁石部材85aを取着した例を示している。
【0069】
図8(b)に示す第3の実施形態は、磁石部材85aをフィルタ84aの直後に形成されている細径の通孔壁面に、偏平形状の磁石部材85aを取着した例を示している。
【0070】
図8(c)に示す第4の実施形態は、フィルタ84aの直後に形成されている細径の通孔に、コイル状に形成された磁石部材85aを収めた例を示している。
【0071】
図8(d)に示す第5の実施形態は、フィルタ84aの前側に形成されている大径の通孔の壁面に、該壁面に沿わせて、偏平形状の磁石部材85aを取着した例を示している。
【0072】
図8(e)に示す第6の実施形態は、フィルタ84aの前側に形成されている大径の通孔に、コイル状に形成された磁石部材85aを収めた例を示している。
【0073】
このようにしても、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0074】
図9(a)〜(c)は、本発明の第7〜第9の実施形態を示す。
【0075】
各実施形態は、第2系統における異なる磁石部材85bの設置例を示している。
【0076】
具体的には、図9(a)に示す第7の実施形態は、フィルタ84bの後側に形成されている細径の通路に、コイル状に形成された磁石部材85bを収めた例を示している。
【0077】
図9(b)に示す第8の実施形態は、フィルタ84bの前側に形成されている大径の通路の壁面に、偏平形状の磁石部材85bを取着した例を示している。
【0078】
図9(c)に示す第9の実施形態は、フィルタ84bの前側に形成されている大径の通路に、コイル状に形成された磁石部材85bを収めた例を示している。
【0079】
このようにしても、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0080】
図10は、本発明の第10の実施形態を示す。
【0081】
本実施形態は、第3系統における異なる磁石部材85cの設置例を示している。
【0082】
具体的には、フィルタ84c直後の細径となる通路部分に、コイル状に形成された磁石部材85cを収めた例を示している。
このようにしても、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0083】
また表面式フィルタは、磁気式フィルタと一緒に設けるのではなく、図11に示す第11の実施形態のように噴射ヘッド76にフィルタ84aだけを設けた構造や、図12に示される第12の実施形態のように偏心軸18にフィルタ84bだけを設けた構造や、図13に示される第13の実施形態のように駆動軸部材31内にフィルタ84cだけを設けただけの構造にしてもよい。また磁気式フィルタ85も、潤滑油の潤滑系統の油路中であればよく、特に図1中の破線で示されるようなラインフィルタ71aの下流に設置すれば、ラインフィルタ71aで除去しきれなかった金属製の異物を吸着させることができ、第1の実施形態と同様の効果をもたらす。この場合、磁気式フィルタ85は、例えば図14に示される第14の実施形態のような例えば複数の磁石部材87を組合わせて、筐体88内に蛇行した流通路88aを形成したBOX構造が好適である。
【0084】
また、図15に示す第15の実施形態のように第3系統におけるフィルタ84cの設置位置を入力軸30の上流側、詳しくは駆動軸部材31の先端近くとなる入力軸30の孔部分に設けるようにしても構わない。具体的には、フィルタ84cの設置構造には、図15に示されるように駆動軸部材31の先端近くとなる入力軸30の孔部分に段差を形成して、この段差に孔部分(通路)を塞ぐようにフィルタ84cを設けた構造が採用されている。なお、この地点での設置には、転がり軸受33は、高速回転をしないため、異物を噛み込んだとしても、それほど影響はないことによる。
【0085】
むろん、油路出口側に表面式フィルタと磁気式フィルタを設ける構造に加えて、潤滑系統の油路中に、別途、磁気式フィルターをなす磁石部材を設けるようにしても構わない。
【0086】
但し、上述した第2〜第15の実施形態において、第1の実施形態と同じ部分には同一符号を付してその説明を省略した。
【0087】
なお、各実施形態は、ハーフトロイダル型無段変速機に本発明を適用した例を挙げたが、これに限らず、フルトロイダル型変速機に本発明を適用してもよいことはいうまでもない。むろん、ダブルキャビティ式でなく、シングルキャビティ式でも構わない。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、二次フィルタにより、ラインフィルタから噴出孔までの区間に存在する異物がトラクション面へ噴き出される前に取り除くことができる。
【0089】
これにより、初期組立時の異物が、入出力ディスクやパワーローラの転がり接触点にかみ込むのを防ぐことができ、入出力ディスクやパワーローラの寿命が向上できる。
【0090】
本発明によれば、磁石部材の吸着作用により、ラインフィルタで除去しきれなかった金属製の異物を取り除くことができる。
【0091】
これにより、異物が、入出力ディスクやパワーローラの転がり接触点にかみ込むのを防ぐことができ、入出力ディスクやパワーローラの寿命が向上できる。
【0092】
本発明によれば、カバー部材により、入出力ディスクが汚れた潤滑油を掻き揚げる作用を抑えることができる。
【0093】
これにより、汚れた潤滑油に含まれる異物が、入出力ディスクやパワーローラの転がり接触点にかみ込むのを防ぐことができ、入出力ディスクやパワーローラ寿命が向上できる。
【0094】
本発明によれば、入出力ディスクやパワーローラのトラクション面を守る作用を十分に発揮できるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部外観を示す斜視図。
【図2】図1中のA−A線に沿う断面図。
【図3】図1中のB−B線に沿う断面図。
【図4】同変速機のキャビティ上方に組付く第1系統(潤滑系統)の流出部分に設けたフィルタ構造を示す断面図。
【図5】同変速機のトラニオンに組付く第2系統(潤滑系統)の流出部分に設けたフィルタ構造を示す断面図。
【図6】同変速機の入力軸内部に組付く第3系統(潤滑系統)の流出側に設けたフィルタ構造を示す断面図。
【図7】同変速機のディスク下側に配置されるカバー部材の構造を示す斜視図。
【図8】(a)は、本発明の第2の実施形態の要部となる第1系統(潤滑系統)の流出部分に設けたフィルタ構造を示す断面図。
(b)は、本発明の第3の実施形態の要部となる第1系統(潤滑系統)の流出部分に設けたフィルタ構造を示す断面図。
(c)は、本発明の第4の実施形態の要部となる第1系統(潤滑系統)の流出部分に設けたフィルタ構造を示す断面図。
(d)は、本発明の第5の実施形態の要部となる第1系統(潤滑系統)の流出部分に設けたフィルタ構造を示す断面図。
(e)は、本発明の第6の実施形態の要部となる第1系統(潤滑系統)の流出部分に設けたフィルタ構造を示す断面図。
【図9】(a)は、本発明の第7の実施形態の要部となる第2系統(潤滑系統)の流出部分に設けたフィルタ構造を示す断面図。
(b)は、本発明の第8の実施形態の要部となる第2系統(潤滑系統)の流出部分に設けたフィルタ構造を示す断面図。
(c)は、本発明の第9の実施形態の要部となる第2系統(潤滑系統)の流出部分に設けたフィルタ構造を示す断面図。
【図10】本発明の第10の実施形態の要部となる第3系統(潤滑系統)の流出側に設けたフィルタ構造を示す断面図。
【図11】本発明の第11の実施形態の要部となる第1系統(潤滑系統)の流出部分に設けたシングル式の表面フィルタを示す断面図。
【図12】本発明の第12の実施形態の要部となる第2系統(潤滑系統)の流出部分に設けたシングル式の表面フィルタを示す断面図。
【図13】本発明の第13の実施形態の要部となる第3系統(潤滑系統)の流出側に設けたシングル式の表面フィルタを示す断面図。
【図14】本発明の第14の実施形態の要部となる油路中の一部に組付けたシングル式の磁気式フィルタを示す断面図。
【図15】本発明の第15の実施形態の要部となる第3系統(潤滑系統)の流出側に設けたフィルタ構造を示す断面図。
【符号の説明】
10…バリエータ
12a,12b…入力ディスク
13a,13b…出力ディスク
15a〜15d…パワーローラ
18…偏心軸
18c…軸部
30…入力軸
31…駆動軸部材
70…潤滑系
71a…ラインフィルタ
73…支持ポスト
74…ボルト部材
74c…孔
76…噴射ヘッド
77…噴出孔
80c…通路(油路)
80d…噴射孔
82b…通路(噴出孔)
84a〜84c…フィルタ(二次フィルタ)
85a〜85c…磁石部材(磁気式フィルタ)。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a toroidal-type continuously variable transmission used, for example, in an automobile transmission.
[0002]
[Prior art]
A toroidal type continuously variable transmission is used for an automatic transmission of an automobile.
[0003]
In such a toroidal-type continuously variable transmission, a pair of power rollers is sandwiched between the pair of power rollers, as disclosed in, for example, Japanese Patent No. 2734583 or Japanese Patent Laid-Open No. 5-39850. A structure combining input and output disks is used. Specifically, the traction surface of each disk is formed in a concave shape obtained by an arc centering on the swing axis of the power roller, and when the power roller is tilted, the power roller and the input / output disk The rotation speed ratio is changed by changing the rotation radius ratio of the contact point.
[0004]
In the toroidal type continuously variable transmission, in order to ensure traction, the power transmission between each disk and the power roller is performed by interposing an oil film between them and transmitting the power by the shear force of the oil film. .
[0005]
For this reason, a variator configured with power rollers and input / output disks employs a unique lubrication system for toroidal continuously variable transmissions, in which lubricating oil is finally delivered to the traction surface of each disk. Yes.
[0006]
Conventionally, in this lubrication system, a collecting portion for collecting lubricating oil is formed below the variator, and an oil passage through which the lubricating oil passes is formed in the variator. Then, the lubricating oil that has flowed out of the oil passage is caused to flow out to the traction surface of the input / output disk or to the traction surface of the power roller.
[0007]
For example, an ejection hole facing the traction surface of each disk is arranged on the upper side or the lower side of each disk as disclosed in JP-A-11-511141 and JP-A-11-210855. A structure in which lubricating oil is directly jetted onto the traction surface is a typical example.
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
In order to maintain stable performance in such a toroidal-type continuously variable transmission, it is required to prevent foreign matters mixed in the lubricating oil from being caught in the rolling contact point between each disk and the power roller.
[0009]
For this reason, conventionally, in the toroidal type continuously variable transmission, a structure in which a line filter is incorporated on the suction side of the oil pump to remove foreign substances having a size larger than a specified size is employed.
[0010]
However, the line filter on the suction side may not be completely removed.
[0011]
For example, when assembling the transmission, if foreign matter such as dust enters the oil passage from the line filter to the ejection hole, or if burrs are left after drilling in the opening of the oil passage, these foreign matter Before passing through the filter, it is ejected to the traction surface of each disk and the traction surface of the power roller.
[0012]
In addition, metal foreign matters remaining in the oil of the oil pan may be ejected to the traction surface without being completely removed by the line filter.
[0013]
In such a case, there is a possibility that foreign matter may bite into the rolling contact point of the disk or power roller. Even if foreign matter falls into the lubricating oil that has accumulated in the lower part of the variator without being caught, foreign matter in the oil (including foreign matter already in the lubricating oil in the collecting part) Along with the lubricating oil in the collecting portion that is violated by the internal vibration and scraped up by the disc, there is a risk that it will be caught again in the traction surface of the disc or power roller.
[0014]
Such biting of foreign matter reduces the life of the input / output disk and the power roller.
[0015]
SUMMARY OF THE INVENTION Accordingly, a first object of the present invention is to provide a toroidal continuously variable transmission that can remove foreign matters existing in a section from a line filter to an ejection hole before being ejected to a traction surface.
[0016]
A second object is to provide a toroidal continuously variable transmission that can remove metal foreign matters that could not be removed by the line filter.
[0017]
A third object is to provide a toroidal continuously variable transmission that prevents foreign matter from being scraped up from the collecting portion to the traction surface.
[0018]
[Means for Solving the Problems]
The toroidal continuously variable transmission has a variator and a lubrication system. The variator outputs the rotation of the input disk by sandwiching the power roller between the input disk and the output disk that are placed facing each other and tilting the power roller to change the contact point between the input disk, the output disk, and the power roller. The transmission ratio when transmitting to the disc is changed steplessly. The lubrication system is assembled to the variator and constitutes an oil path through which the lubricating oil after passing through the line filter flows out to the traction surface of the input disk and output disk and the traction surface of the power roller. The lubrication system includes a first system, a second system, and a third system. The first system injects lubricating oil from the injection holes into the traction surface of the input disk and output disk and the traction surface of the power roller through the support post held in the center of the cavity composed of the input disk and output disk. It is a system to do. The second system is a system that discharges lubricating oil from an ejection hole that opens to the outer periphery of the shaft portion through an eccentric shaft having a shaft portion that rotatably supports the power roller. The third system discharges lubricating oil from an injection hole opened in the peripheral wall of the input shaft through the input shaft passing through the rotation center of the input disk and the output disk and through the drive shaft member connected to the input shaft. It is a system. And the flow of the secondary filter and the lubricating oil installed so as to block the oil passage in at least one upstream portion of the first system ejection hole, the second system ejection hole, and the third system ejection hole is not impaired. Install at least one of the magnet members attached to.
[0019]
The first system ejection holes are formed on the outer peripheral surface of the ejection head fastened to the front end of the support post by a bolt member, and communicate with a hole formed from the front end of the bolt member to the vicinity of the head. At least one of the secondary filter and the magnet member is inserted into the hole of the bolt member.
[0020]
The second system injection hole communicates with a passage formed in the shaft portion of the eccentric shaft. At least one of the secondary filter and the magnet member is inserted into the shaft passage.
[0021]
The third system ejection holes are provided at a plurality of locations along the axis of the input shaft. At least one of the secondary filter and the magnet member is inserted into an oil passage near the connection portion between the input shaft and the drive shaft member that is the most upstream side of the plurality of ejection holes.
[0022]
A secondary filter having a coarser mesh than the line filter is employed.
[0024]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described based on a first embodiment shown in FIGS.
[0025]
1 shows a
[0026]
A pair (here, two) of
[0027]
As shown in FIG. 2, the
[0028]
Each
[0029]
Between each
[0030]
The input disk 12a, 1As shown in FIG. 3, an
[0031]
The
[0032]
The
[0033]
A
[0034]
ThisDynamic shaftWhen the
[0035]
On the other hand, a
[0036]
In the toroidal type continuously variable transmission, as shown in FIG. 1, a
[0037]
The
[0038]
Specifically, the
a. A first system for supplying lubricating oil directly from above the
[0039]
b. A second system in which the lubricating oil is guided to the bearing portions of the
[0040]
c. A third system that guides the lubricating oil through the
[0041]
There is.
[0042]
In the first system, as shown in FIGS. 1 and 2, the lubricating oil is supplied to each of the
[0043]
Specifically, the tip of the
[0044]
The second system passes through the
[0045]
More specifically,
[0046]
As shown in FIG. 3, the third system passes the lubricating oil from the inside of the
[0047]
Specifically, the inside of the
[0048]
At each outlet side of each of these lubrication systems, there is a filter for removing foreign matters (such as dust that has entered during assembly or generated by leaving flashes during machining) in the section from the line filter 71a to the outlet side. Is provided.
[0049]
Specifically, in the first system, as shown in FIG. 4, a step is formed at a point upstream of the oil passage near the
[0050]
In the second system, as shown in FIG. 5, a step is formed at a point on the upstream side of the oil passage near the
[0051]
In the third system, as shown in FIG. 6, among the
[0052]
Further, as shown in FIG. 1, a
[0053]
The
[0054]
That is, as the flow of the lubricating oil, the
[0055]
At this time, it is assumed that the foreign matter that remains in the section from the line filter 71a to the outlet and remains in the dust at the time of assembly and the flash at the time of machining remains.
[0056]
At this time, the oil passage (first system) near the
[0057]
For this reason, the foreign material at the time of an initial assembly is removed by each
[0058]
Thereby, it is possible to prevent foreign matters at the time of initial assembly and metallic foreign matters from being caught in the rolling contact points of the
[0059]
Therefore, the traction surfaces of the
[0060]
In addition, if each filter is installed at the lubricating oil inlet of a part such as a bearing that requires lubrication in the oil passage as in the second system or the third system and foreign matter is removed from the same part, the It is possible to prevent foreign matter from being caught on the rolling surface, and to improve the life of parts and members having the rolling surface such as a bearing.
[0061]
On the other hand, it is assumed that the foreign matter has fallen into the lubricating oil accumulated in the
[0062]
Here, the traction surfaces of the
[0063]
At this time, the lower side of each
[0064]
As a result, the lubricating oil from the upper side adheres to the
[0065]
Therefore, the foreign matter in the oil can be prevented from being bitten, and the traction surface can be protected from the dirty lubricating oil. The effect of suppressing the scraping by the
[0066]
8 (a) to 8 (e) show second to sixth embodiments of the present invention.
[0067]
Each embodiment has shown the example of installation of a
[0068]
Specifically, the second embodiment shown in FIG.injectionA
[0069]
The third embodiment shown in FIG. 8B shows an example in which a
[0070]
The fourth embodiment shown in FIG. 8C shows an example in which a
[0071]
In the fifth embodiment shown in FIG. 8D, a
[0072]
The sixth embodiment shown in FIG. 8E shows an example in which a
[0073]
Even if it does in this way, there exists an effect similar to 1st Embodiment.
[0074]
FIGS. 9A to 9C show seventh to ninth embodiments of the present invention.
[0075]
Each embodiment has shown the example of installation of the
[0076]
Specifically, the seventh embodiment shown in FIG. 9A shows an example in which a
[0077]
The eighth embodiment shown in FIG. 9B shows an example in which a
[0078]
The ninth embodiment shown in FIG. 9C shows an example in which a
[0079]
Even if it does in this way, there exists an effect similar to 1st Embodiment.
[0080]
FIG. 10 shows a tenth embodiment of the present invention.
[0081]
The present embodiment shows an installation example of
[0082]
Specifically, an example is shown in which a
Even if it does in this way, there exists an effect similar to 1st Embodiment.
[0083]
Further, the surface type filter is not provided together with the magnetic type filter, but a structure in which only the
[0084]
Further, as in the fifteenth embodiment shown in FIG. 15, the installation position of the
[0085]
Of course, in addition to the structure in which the surface filter and the magnetic filter are provided on the oil passage outlet side, a magnet member that forms a magnetic filter may be separately provided in the oil passage of the lubrication system.
[0086]
However, in the second to fifteenth embodiments described above, the same parts as those in the first embodiment are denoted by the same reference numerals, and the description thereof is omitted.
[0087]
In addition, although each embodiment gave the example which applied this invention to the half toroidal type continuously variable transmission, it cannot be overemphasized that this invention may be applied to a full toroidal type transmission. Absent. Of course, a single cavity type may be used instead of a double cavity type.
[0088]
【The invention's effect】
As explained aboveBookAccording to the invention,NextBy the filter, the foreign matter existing in the section from the line filter to the ejection hole can be removed before being ejected to the traction surface.
[0089]
As a result, it is possible to prevent foreign matter during initial assembly from getting caught in the rolling contact point of the input / output disk and power roller, and the life of the input / output disk and power roller can be improved.
[0090]
BookAccording to the invention, metal foreign matter that could not be removed by the line filter can be removed by the adsorption action of the magnet member.
[0091]
As a result, foreign matter can be prevented from biting into the rolling contact points of the input / output disk and the power roller, and the life of the input / output disk and the power roller can be improved.
[0092]
BookAccording to the invention, the cover member can suppress the action of scooping up the dirty lubricating oil on the input / output disk.
[0093]
As a result, foreign matter contained in the contaminated lubricating oil can be prevented from being caught at the rolling contact point of the input / output disk and the power roller, and the life of the input / output disk and the power roller can be improved.
[0094]
BookAccording to the invention, there is an effect that the function of protecting the traction surface of the input / output disk and the power roller can be sufficiently exhibited.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a perspective view showing an external appearance of a main part of a toroidal type continuously variable transmission according to a first embodiment of the present invention.
2 is a cross-sectional view taken along line AA in FIG.
FIG. 3 is a sectional view taken along line BB in FIG.
FIG. 4 is a cross-sectional view showing a filter structure provided at an outflow portion of a first system (lubricating system) assembled above the cavity of the transmission.
FIG. 5 is a cross-sectional view showing a filter structure provided at an outflow portion of a second system (lubricating system) assembled to a trunnion of the transmission.
FIG. 6 is a cross-sectional view showing a filter structure provided on the outflow side of a third system (lubricating system) assembled inside the input shaft of the transmission.
FIG. 7 is a perspective view showing a structure of a cover member disposed on the lower side of the disk of the transmission.
FIG. 8A is a cross-sectional view showing a filter structure provided at an outflow portion of a first system (lubricating system), which is a main part of a second embodiment of the present invention.
(B) is sectional drawing which shows the filter structure provided in the outflow part of the 1st system | strain (lubricating system | strain) used as the principal part of the 3rd Embodiment of this invention.
(C) is sectional drawing which shows the filter structure provided in the outflow part of the 1st system (lubricating system) used as the principal part of the 4th Embodiment of this invention.
(D) is sectional drawing which shows the filter structure provided in the outflow part of the 1st system (lubricating system) used as the principal part of the 5th Embodiment of this invention.
(E) is sectional drawing which shows the filter structure provided in the outflow part of the 1st system (lubricating system) used as the principal part of the 6th Embodiment of this invention.
FIG. 9A is a cross-sectional view showing a filter structure provided at an outflow portion of a second system (lubricating system), which is a main part of a seventh embodiment of the present invention.
(B) is sectional drawing which shows the filter structure provided in the outflow part of the 2nd system (lubricating system) used as the principal part of the 8th Embodiment of this invention.
(C) is sectional drawing which shows the filter structure provided in the outflow part of the 2nd system (lubricating system) used as the principal part of the 9th Embodiment of this invention.
FIG. 10 is a cross-sectional view showing a filter structure provided on the outflow side of a third system (lubricating system), which is a main part of a tenth embodiment of the present invention.
FIG. 11 is a cross-sectional view showing a single-type surface filter provided at an outflow portion of a first system (lubricating system) as a main part of an eleventh embodiment of the present invention.
FIG. 12 is a cross-sectional view showing a single-type surface filter provided at an outflow portion of a second system (lubricating system) as a main part of a twelfth embodiment of the present invention.
FIG. 13 is a cross-sectional view showing a single-type surface filter provided on the outflow side of a third system (lubricating system) as a main part of a thirteenth embodiment of the present invention.
FIG. 14 is a cross-sectional view showing a single-type magnetic filter assembled to a part of an oil passage as a main part of a fourteenth embodiment of the present invention.
FIG. 15 is a cross-sectional view showing a filter structure provided on the outflow side of a third system (lubricating system), which is a main part of a fifteenth embodiment of the present invention.
[Explanation of symbols]
10... variator
12a, 12b ... Input disk
13a, 13b ... Output disk
15a-15d ... Power roller
18 ... Eccentric shaft
18c ... Shaft
30 ... Input shaft
31 ... Drive shaft member
70 ... Lubrication system
71a ... Line filter
73 ... Support post
74: Bolt member
74c ... hole
76 ... Ejection head
77 ... Blowout hole
80c ... passage (oil passage)
80d ... Injection hole
82b ... passage (jet hole)
84a-84c... fuYilta (2NextYilta)
85a-85c ... Magnet member (magnetic filter).
Claims (5)
前記バリエータに組付けられラインフィルタを通過した後の潤滑油を前記入力ディスクおよび出力ディスクのトラクション面と前記パワーローラのトラクション面へ流出させる油路を構成する潤滑系と
を有し、前記潤滑系は、
前記入力ディスクと前記出力ディスクで構成されるキャビティの中央に保持された支持ポストの中を通じて前記入力ディスクおよび出力ディスクのトラクション面と前記パワーローラのトラクション面とに噴出孔から前記潤滑油を噴射する第1系統と、
前記パワーローラを回転自在に支持する軸部を有した偏心軸の中を通じ前記軸部の外周に開口する噴出孔から前記潤滑油を吐出する第2系統と、
前記入力ディスクと前記出力ディスクの回転中心に貫通する入力軸の中およびこの入力軸に連結された駆動軸部材の中を通じ前記入力軸の周壁に開口する噴出孔から前記潤滑油を吐出する第3系統とを含み、
前記第1系統の前記噴出孔、前記第2系統の前記噴出孔、前記第3系統の前記噴出孔の少なくとも1つの上流部分に、前記油路を塞ぐように据付けられる二次フィルタおよび前記潤滑油の流れを損なわないように取着される磁石部材の少なくとも一方を設置した
ことを特徴とするトロイダル形無段変速機。 The output disk is rotated by changing the contact point between the input disk, the output disk and the power roller by tilting the power roller with the input roller and the output disk arranged opposite to each other and tilting the power roller. A variator that changes the transmission gear ratio to the disk steplessly,
A lubrication system that constitutes an oil passage that allows the lubricating oil assembled with the variator to flow through the line filter to flow out to the traction surface of the input disk and the output disk and to the traction surface of the power roller;
And the lubricating system is
The lubricating oil is sprayed from the ejection hole to the traction surface of the input disk and the output disk and the traction surface of the power roller through a support post held in the center of the cavity constituted by the input disk and the output disk. The first system;
A second system that discharges the lubricating oil from an ejection hole that opens to the outer periphery of the shaft portion through an eccentric shaft having a shaft portion that rotatably supports the power roller;
The lubricating oil is discharged from a jet hole opened in a peripheral wall of the input shaft through an input shaft that penetrates through the rotation center of the input disk and the output disk and through a drive shaft member connected to the input shaft. Including
The secondary filter and the lubricating oil installed so as to block the oil passage in at least one upstream portion of the ejection holes of the first system, the ejection holes of the second system, and the ejection holes of the third system Installed at least one of the magnet members to be attached so as not to impair the flow of
Toroidal type continuously variable transmission, wherein a call.
前記二次フィルタおよび前記磁石部材の少なくとも一方は、前記ボルト部材の前記孔に挿着される
ことを特徴とする請求項1に記載されたトロイダル型無段変速機。 The ejection hole of the first system is formed on an outer peripheral surface of an ejection head fastened with a bolt member to a distal end portion of the support post, and is formed from a distal end portion of the bolt member to the vicinity of the head portion. Communication,
At least one of the secondary filter and the magnet member is inserted into the hole of the bolt member.
Toroidal type continuously variable transmission as claimed in claim 1, wherein the this.
前記二次フィルタおよび前記磁石部材の少なくとも一方は、前記軸部の前記通路に挿着される
ことを特徴とする請求項1に記載されたトロイダル型無段変速機。 The ejection hole of the second system communicates with a passage formed in the shaft portion of the eccentric shaft,
At least one of the secondary filter and the magnet member is inserted into the passage of the shaft portion.
Toroidal type continuously variable transmission as claimed in claim 1, wherein the this.
前記二次フィルタおよび前記磁石部材の少なくとも一方は、複数ある前記噴出孔の最も上流側となる前記入力軸と前記駆動軸部材との連結部近くの油路に挿着される
ことを特徴とする請求項1に記載されたトロイダル型無段変速機。 The ejection holes of the third system are provided at a plurality of locations along the axis of the input shaft,
At least one of the secondary filter and the magnet member is inserted into an oil passage near the connecting portion between the input shaft and the drive shaft member that is the most upstream side of the plurality of ejection holes.
Toroidal type continuously variable transmission as claimed in claim 1, wherein the this.
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載されたトロイダル型無段変速機。 The secondary filter has a coarser mesh than the line filter
Toroidal type continuously variable transmission as claimed in any one of claims 4 and this claim, wherein.
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