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JP4752109B2 - 樹脂ペースト組成物及びこれを用いた半導体装置 - Google Patents

樹脂ペースト組成物及びこれを用いた半導体装置 Download PDF

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JP4752109B2
JP4752109B2 JP2000377198A JP2000377198A JP4752109B2 JP 4752109 B2 JP4752109 B2 JP 4752109B2 JP 2000377198 A JP2000377198 A JP 2000377198A JP 2000377198 A JP2000377198 A JP 2000377198A JP 4752109 B2 JP4752109 B2 JP 4752109B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はIC、LSI等の半導体素子をリードフレーム、ガラスエポキシ配線板等に接着するのに好適な樹脂ペースト組成物及びこれを用いた半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体のダイボンディング材としては、Au−Si共晶、半田、樹脂ペースト組成物等が知られているが、作業性及びコストの点から樹脂ペースト組成物が広く使用されている。
【0003】
従来のエポキシ樹脂系ペーストでは、加熱硬化の際にペーストに含まれる溶剤や反応性希釈剤が揮発して、ペースト硬化物中にボイドと呼ばれる空隙が発生する。その結果、接着強度のばらつきが大きくなり、また半導体素子の傾きが生じ、結果としてワイヤーボンド時に不良となる確率が高いという欠点があった。
さらに半導体装置の実装方式は高密度実装の点から、従来のピン挿入方式から表面実装方式へと移行しているが、基板への実装には基板全体を赤外線等で加熱するリフローソルダリングが用いられ、パッケージが200℃以上の高温に加熱されるため、パッケージ内部、特に接着剤層中又は封止材中に含まれる水分の急激な気化・膨張によりパッケージクラックが発生し、半導体装置の信頼性が低下するという問題があった。この問題は42アロイリードフレームよりも銅リードフレームにおいて特に深刻である。その理由としては、銅リードフレームに対して接着剤の接着力が低いことと、銅リードフレームのほうが42アロイリードフレームよりも線膨張係数が大きいためにSiチップとの線膨張係数の差が大きくなり、チップクラックやチップ反りが発生するということがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、樹脂ペースト組成物のボイドを低減し、且つ接着層の厚み(ボンドライン厚み)を一定にすることにより、接着強度のばらつきや半導体素子の傾きを低減でき、その結果ワイヤーボンド時の不良を低減することができる樹脂ペースト組成物を提供することを目的とする。更に、本発明は、樹脂ペースト組成物の銅リードフレームに対するピール強度を向上させ、かつ樹脂ペースト組成物を低応力化することによりチップクラックやチップ反りの発生を抑制することで半田リフロー時のリフロークラックの発生を低減させることができる樹脂ペースト組成物及びこれを用いた生産性が高く、高信頼性の半導体装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)アクリル酸エステル化合物又はメタクリル酸エステル化合物、(B)ラジカル開始剤、(C)エポキシ樹脂、(D)エポキシ樹脂硬化剤、(E)平均粒径10μm未満の充填材、(F)平均粒径(R)が10〜50μmで且つ粒子の90%体積以上が0.5R〜1.5Rμmの範囲内の粒径を有する球状銀粉を均一分散させてなる樹脂ペースト組成物に関する。
また、本発明は、この樹脂ペースト組成物を用いて半導体素子を支持部材に接着した後、封止してなる半導体装置に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる(A)成分のアクリル酸エステル化合物又はメタクリル酸エステル化合物は、1分子中に1個以上のアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する化合物であり、例えば、下記の一般式(I)〜(X)で表される化合物が使用できる。
(1)一般式(I)
【0007】
【化1】
Figure 0004752109
〔式中、Rは水素又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜100、好ましくは炭素数1〜36の2価の脂肪族又は環状構造を持つ脂肪族炭化水素基を表す。〕で示される化合物。
【0008】
一般式(I)で示される化合物としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート、2−(トリシクロ)[5.2.1.02,6]デカ−3−エン−8又は9−イルオキシエチルアクリレート等のアクリレート化合物、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、イソステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメタクリレート、2−(トリシクロ)[5.2.1.0 ,6]デカ−3−エン−8又は9−イルオキシエチルメタクリレート等のメタクリレート化合物がある。
(2)一般式(II)
【0009】
【化2】
Figure 0004752109
〔式中、R及びRはそれぞれ前記のものを表す。〕
で示される化合物。
【0010】
一般式(II)で示される化合物としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ダイマージオールモノアクリレート等のアクリレート化合物、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ダイマージオールモノメタクリレート等のメタクリレート化合物等がある。
(3)一般式(III)
【0011】
【化3】
Figure 0004752109
〔式中、Rは前記のものを表し、Rは水素、メチル基又はフェノキシメチル基を表し、Rは水素、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はベンゾイル基を表し、nは1〜50の整数を表す。〕
で示される化合物。
【0012】
一般式(III)で示される化合物としては、ジエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等のアクリレート化合物、ジエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート等のメタクリレート化合物がある。
(4)一般式(IV)
【0013】
【化4】
Figure 0004752109
〔式中、Rは前記のものを表し、Rはフェニル基、ニトリル基、−Si(OR(Rは炭素数1〜6のアルキル基を表す)又は下記の式の基
【0014】
【化5】
Figure 0004752109
(R、R及びRはそれぞれ独立に水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R10は水素又は炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す)を表し、mは0、1、2又は3の数を表す。〕
で示される化合物。
【0015】
一般式(IV)で示される化合物としては、ベンジルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロピラニルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジニルアクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルアクリレート、アクリロキシエチルホスフェート、アクリロキシエチルフェニルアシッドホスフェート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート等のアクリレート化合物、ベンジルメタクリレート、2−シアノエチルメタクリレート、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、テトラヒドロピラニルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジニルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレート、メタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロキシエチルフェニルアシッドホスフェート等のメタクリレート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート等のメタクリレート化合物がある。
(5)一般式(V)
【0016】
【化6】
Figure 0004752109
〔式中、R及びRはそれぞれ前記のものを表す。〕
で示される化合物。
【0017】
一般式(V)で示される化合物としては、エチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ダイマージオールジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート等のジアクリレート化合物、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ダイマージオールジメタクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジメタクリレート等のジメタクリレート化合物がある。
(6)一般式(VI)
【0018】
【化7】
Figure 0004752109
〔式中、R、R及びnはそれぞれ前記のものを表し、ただしRが水素又はメチル基であるとき、nは1ではない。〕
で示される化合物。
【0019】
一般式(VI)で示される化合物としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート等のジアクリレート化合物、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート等のジメタクリレート化合物がある。
(7)一般式(VII)
【0020】
【化8】
Figure 0004752109
〔式中、Rは前記のものを表し、R11及びR12はそれぞれ独立に水素又はメチル基を表す。〕
で示される化合物。
【0021】
一般式(VII)で示される化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールAD1モルとグリシジルアクリレート2モルとの反応物、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールAD1モルとグリシジルメタクリレート2モルとの反応物等がある。
(8)一般式(VIII)
【0022】
【化9】
Figure 0004752109
〔式中、R、R11及びR12はそれぞれ前記のものを表しR13及びR14はそれぞれ独立に水素又はメチル基を表し、p及びqはそれぞれ独立に1〜20の整数を表す。〕
で示される化合物。
【0023】
一般式(VIII)で示される化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールADのポリエチレンオキサイド付加物のジアクリレート、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールADのポリプロピレンオキサイド付加物のジアクリレート、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールADのポリエチレンオキサイド付加物のジメタクリレート、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールADのポリプロピレンオキサイド付加物のジメタクリレート等がある。
(9)一般式(IX)
【0024】
【化10】
Figure 0004752109
〔式中、Rは前記のものを表し、R15、R16、R17及びR18はそれぞれ独立に水素又はメチル基を表し、xは1〜20の整数を表す。〕
で示される化合物。
【0025】
一般式(IX)で示される化合物としては、ビス(アクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アクリロキシプロピル)メチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ビス(メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、ビス(メタクリロキシプロピル)メチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー等がある。
(10)一般式(X)
【0026】
【化11】
Figure 0004752109
〔式中、Rは前記のものを表し、r、s、t及びuはそれぞれ独立に繰り返し数の平均値を示す0以上の数であり、r+tは0.1以上、好ましくは0.3〜5であり、s+uは1以上、好ましくは1〜100である。〕
で示される化合物。
【0027】
一般式(X)で示される化合物としては、無水マレイン酸を付加させたポリブタジエンと、2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレートとを反応させて得られる反応物及びその水素添加物があり、例えばMM−1000−80、MAC−1000−80(共に、日本石油化学(株)商品名)等がある。
【0028】
(A)成分のアクリル酸エステル化合物又はメタクリル酸エステル化合物としては、上記の化合物を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0029】
本発明に用いられる(B)成分のラジカル開始剤としては特に制限はないが、ボイド等の点から過酸化物が好ましく、また樹脂ペースト組成物の硬化性及び粘度安定性の点から、急速加熱試験での過酸化物の分解温度が70〜170℃のものが好ましい。
【0030】
ラジカル開始剤の具体例としては、1,1,3,3−テトラメチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、クメンハイドロパーオキサイド等がある。
【0031】
(B)成分のラジカル開始剤の配合量は、(A)成分の総量100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部が特に好ましい。この配合割合が0.1重量部未満であると、硬化性が低下する傾向があり、10重量部を超えると、揮発分が多くなり、硬化物中にボイドと呼ばれる空隙が生じ易くなる傾向がある。
【0032】
本発明に用いられる(C)成分のエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば特に制限はないが、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂[AER−X8501(旭化成工業(株)、商品名)、R−301(油化シェルエポキシ(株)、商品名)、YL−980(油化シェルエポキシ(株)、商品名)]、ビスフェノールF型エポキシ樹脂[YDF−170(東都化成(株)、商品名)]、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂[R−1710(三井化学工業(株)、商品名)]、フェノールノボラック型エポキシ樹脂[N−730S(大日本インキ化学工業(株)、商品名)、Quatrex−2010(ダウ・ケミカル社、商品名)]、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂[YDCN−702S(東都化成(株)、商品名)、EOCN−100(日本化薬(株)、商品名)]、多官能エポキシ樹脂[EPPN−501(日本化薬(株)、商品名)、TACTIX−742(ダウ・ケミカル社、商品名)、VG−3010(三井化学(株)、商品名)、1032S(油化シェルエポキシ(株)、商品名)]、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂[HP−4032(大日本インキ化学工業(株)、商品名)]、脂環式エポキシ樹脂[CELー3000(ダイセル化学工業(株)、商品名)]、エポキシ化ポリブタジエン[PB−3600(ダイセル化学工業(株)商品名)、E−1000−6.5(日本石油化学(株)、商品名)]、アミン型エポキシ樹脂[ELM−100(住友化学工業(株)、商品名)、YH−434L(東都化成(株)、商品名)]、レゾルシン型エポキシ樹脂[デナコールEX−201(ナガセ化成工業(株)、商品名)]、ネオペンチルグリコール型エポキシ樹脂[デナコールEX−211(ナガセ化成工業(株)、商品名)]、ヘキサンディネルグリコール型エポキシ樹脂[デナコールEX−212(ナガセ化成工業(株)、商品名)]、エチレン・プロピレングリコール型エポキシ樹脂[デナコールEX−810、811、850、851、821、830、832、841、861(ナガセ化成工業(株)、商品名)]、下記一般式(XI)で表されるエポキシ樹脂[E−XL−24、E−XL−3L(三井化学(株)、商品名)]
【0033】
【化12】
Figure 0004752109
〔式中、vは0〜5の整数を表す。〕
などが挙げられる。なかでも、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン、ノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
これらのエポキシ樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
(C)成分のエポキシ樹脂としては、分子量又は数平均分子量が160〜3000のものが好ましい。数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより標準ポリスチレンの検量線を利用して測定(以下、GPC法という)した値である。また、エポキシ当量が80〜1000であることが好ましく、100〜500であることがより好ましい。
また、(C)成分のエポキシ樹脂は(A)成分の総量100重量部に対して1〜100重量部使用するのが好ましく、5〜30重量部使用することがより好ましい。この配合量が1重量部未満であるか又は100重量部を超えると接着強度が低下する傾向がある。
【0035】
また、エポキシ樹脂として、1分子中に1個のエポキシ基を有する化合物[単官能エポキシ化合物(反応性希釈剤)]を含んでいてもよい。このような単官能エポキシ化合物の市販品としては、PGE(日本化薬(株)、商品名、フェニルグリシジルエーテル)、PP−101(東都化成(株)、商品名、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル)、ED−502(旭電化工業(株)、商品名、脂肪族モノグリシジルエーテル)、ED−509(旭電化工業(株)、商品名、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル)、YED−122(油化シェルエポキシ(株)、商品名、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル)、KBM−403(信越化学工業(株)、商品名、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、TSL−8350、TSL−8355、TSL−9905(東芝シリコーン(株)、商品名、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン)などが挙げられる。単官能エポキシ化合物は、本発明の樹脂ペースト組成物の特性を阻害しない範囲で使用されるが、エポキシ樹脂全量100重量部に対して10重量部以下で使用されることが好ましく、1〜5重量部で使用されることが好ましい。
【0036】
本発明に(D)成分として用いられるエポキシ樹脂硬化剤としては、特に制限はないが、ジシアンジアミド、下記一般式(XII)
【0037】
【化13】
Figure 0004752109
(式中、R19はm−フェニレン基、p−フェニレン基等の2価の芳香族基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す)
で表される二塩基酸ジヒドラジド[ADH、PDH、SDH(いずれも日本ヒドラジン工業(株)、商品名)]、エポキシ樹脂とアミン化合物の反応物からなるマイクロカプセル型硬化剤[ノバキュア(旭化成工業(株)、商品名)]等が挙げられる。また、これらのエポキシ樹脂硬化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分のエポキシ樹脂硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部が好ましく、1〜20重量部がより好ましい。エポキシ樹脂硬化剤の配合量が0.1重量部未満であると硬化性に劣る傾向があり、50重量部を超えると樹脂組成物の安定性が悪くなる傾向がある。
【0038】
さらに、本発明の樹脂ペースト組成物には必要に応じて硬化促進剤を添加することができる。硬化促進剤としては、有機ボロン塩化合物[EMZ・K、TPPK(北興化学工業(株)製、商品名)等]、三級アミン類又はその塩[DBU、U−CAT102、106、830、840、5002(いずれもサンアプロ社商品名)等]、イミダゾール類[キュアゾール、2P4MHZ、C17Z、2PZ−OK(いずれも四国化成(株)商品名)等]などが挙げられる。硬化促進剤の配合量は、通常、エポキシ樹脂に対して20重量部以下の量とされることが好ましい。
必要に応じて添加される硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、複数種の硬化促進剤を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0039】
本発明に用いられる(E)成分の充填材としては、平均粒径が10μm未満であれば特に制限はなく、各種のものが用いられるが、例えば金、銀、銅、ニッケル、鉄、アルミニウム、ステンレス、酸化ケイ素、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素等の粉体が挙げられる。この充填材の平均粒径が10μm以上であると、ペーストの均一性、各種物性が低下する。好ましい平均粒径は0.5〜7μmであり、0.8〜5μmであることがより好ましい。形状としては、鱗片状、球状、塊状、樹枝状、板状等が挙げられるが、鱗片状、球状が好ましい。
(E)成分の充填材の配合量は特に限定しないが、樹脂ペースト組成物総量に対して20〜85重量%が好ましく、40〜82重量%がより好ましい。この配合量が20重量%未満であると、熱時の接着強度が低下する傾向があり、85重量%を超えると、粘度が増大し、作製時の作業性及び使用時の塗布作業性が低下する傾向がある。
【0040】
本発明に用いられる(F)成分の球状銀粉は、平均粒径が10〜50μm、好ましくは10〜30μm、より好ましくは10〜25μm、特に好ましくは12〜20μmのものである。平均粒径が10μm未満ではボンドライン厚みを一定に保つのが難しく、50μmを超えると、樹脂ペースト組成物の使用時の塗布作業性が低下する傾向がある。また、(F)成分の球状銀粉は、その粒子の90体積%以上、好ましくは93体積%以上が、平均粒径(R)に対して0.5R〜1.5Rμmの範囲内の粒径を有するものである。粒径の範囲が上記条件からはずれると、ボンドライン厚みを一定に保つのが難しくなる。
(F)成分の球状銀粉の配合量としては、樹脂ペースト組成物総量に対して好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは0.8〜15重量%、さらに好ましくは1〜12重量%である。この配合量が0.5重量%未満ではボンドライン厚みを一定に保つのが難しくなり、20重量%を超えると樹脂ペースト組成物中の樹脂分と(F)成分の球状銀粉とが分離し、沈降が起こりやすくなる傾向がある。
【0041】
本発明の樹脂ペースト組成物には可とう化材を添加することができる。
本発明に用いられる可とう化材としては、各種の液状ゴムや熱可塑性樹脂が用いられるが、例えばポリブタジエン、マレイン化ポリブタジエン、アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシ末端アクリロニトリルブタジエンゴム、アミノ末端アクリロニトリルブタジエンゴム、ビニル末端アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム等の液状ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸メチル、ε−カプロラクトン変性ポリエステル、フェノキシ樹脂、ポリイミド等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0042】
液状ゴムとしては、数平均分子量が500〜10,000のものが好ましく、1,000〜5,000のものがより好ましい。分子量が小さすぎると可とう化効果に劣る傾向があり、分子量が大きすぎると樹脂ペースト組成物の粘度が上昇し作業性に劣る傾向がある。数平均分子量は蒸気圧浸透法で測定した値又はGPC法により測定した値である。熱可塑性樹脂としては、数平均分子量が10,000〜300,000のものが好ましく、20,000〜200,000のものがより好ましい。分子量が小さすぎると可とう化効果に劣る傾向があり、分子量が大きすぎると、樹脂ペースト組成物の粘度が上昇し作業性に劣る傾向がある。
また可とう化材の配合量としては、(A)成分100重量部に対して10〜100重量部使用することが好ましく、30〜80重量部使用することがより好ましい。この配合量が10重量部未満であると可とう化効果に劣り、100重量部を超えると、粘度が増大し、樹脂ペースト組成物の作業性が低下する傾向がある。
【0043】
本発明の樹脂ペースト組成物にはカップリング剤を添加することができる。
本発明に用いられるカップリング剤としては特に制限はなく、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコネート系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤等の各種のものが用いられる。
【0044】
カップリング剤の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリ(メタクリロキシエトキシ)シラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−(4,5−ジヒドロイミダゾリル)プロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリグリシドキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、トリメチルシリルイソシアネート、ジメチルシリルイソシアネート、フェニルシリルトリイソシアネート、テトライソシアネートシラン、メチルシリルトリイソシアネート、ビニルシリルトリイソシアネート、エトキシシラントリイソシアネート等のシランカップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピル(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等のチタネート系カップリング剤、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピオネート等のアルミニウム系カップリング剤、テトラプロピルジルコネート、テトラブチルジルコネート、テトラ(トリエタノールアミン)ジルコネート、テトライソプロピルジルコネート、ジルコニウムアセチルアセトネートアセチルアセトンジルコニウムブチレート、ステアリン酸ジルコニウムブチレート等のジルコネート系カップリング剤等がある。
【0045】
カップリング剤の配合量は、(A)成分の総量100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部が特に好ましい。この配合割合が0.1重量部未満であると、接着強度の向上効果に劣り、10重量部を超えると、揮発分が多くなり、硬化物中にボイドが生じ易くなる傾向がある。
【0046】
本発明になる樹脂ペースト組成物には、さらに必要に応じて酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の吸湿剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、高級脂肪酸等の濡れ向上剤、シリコーン油等の消泡剤、無機イオン交換体等のイオントラップ剤等、粘度調整のための溶剤を単独又は数種類を組み合わせて、適宜添加することができる。なお、溶剤を添加する場合、ボイドの点から3重量%以下とすることが好ましい。
【0047】
本発明になる樹脂ペースト組成物を製造するには、(A)アクリル酸エステル化合物又はメタクリル酸エステル化合物、(B)ラジカル開始剤、(C)エポキシ樹脂、(D)エポキシ樹脂硬化剤、(E)平均粒径10μm未満の充填材及び(F)平均粒径(R)が10〜50μmで且つ粒子の90体積%以上が0.5R〜1.5Rμmの範囲の粒径を有する球状銀粉を、必要に応じて用いられる各種添加剤とともに、一括又は分割して撹拌器、ライカイ器、3本ロール、プラネタリーミキサー等の分散・溶解装置を適宜組み合わせた装置に投入し、必要に応じて加熱して混合、溶解、解粒混練又は分散して均一なペースト状とすれば良い。
【0048】
本発明においては、さらに上記のようにして製造した樹脂ペースト組成物を用いて半導体素子を支持部材に接着した後、封止することにより半導体装置とすることができる。
【0049】
支持部材としては、例えば、42アロイリードフレーム、銅リードフレーム等のリードフレーム、ガラスエポキシ基板(ガラス繊維強化エポキシ樹脂からなる基板)、BT基板(シアネートモノマー及びそのオリゴマーとビスマレイミドからなるBTレジン使用基板)等の有機基板が挙げられる。
【0050】
本発明の樹脂ペースト組成物を用いて半導体素子をリードフレーム等の支持部材に接着させるには、まず支持部材上に樹脂ペースト組成物をディスペンス法、スクリーン印刷法、スタンピング法等により塗布した後、半導体素子を圧着し、その後オーブン又はヒートブロック等の加熱装置を用いて加熱硬化することにより行うことができる。さらに、ワイヤボンド工程を経た後、通常の方法により封止することにより完成された半導体装置とすることができる。
【0051】
上記加熱硬化は、低温での長時間硬化の場合や、高温での速硬化の場合により異なるが、通常、温度100〜300℃、好ましくは130〜220℃で、5秒〜3時間、好ましくは15秒〜1時間行うことが好ましい。
【0052】
【実施例】
次に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれによって制限されるものではない。
【0053】
比較例で用いたエポキシ樹脂、硬化剤は以下のようにして作製したものを用いた。
(1)エポキシ樹脂の調製
YDFー170(東都化成(株)製、商品名、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量=170)7.5重量部及びYL−980(油化シェルエポキシ(株)製、商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量=185)7.5重量部を80℃に加熱し、1時間撹拌を続け、均一なエポキシ樹脂溶液を得た。
(2)硬化剤の調製
H−1(明和化成(株)製、商品名、フェノールノボラック樹脂、OH当量=106)1.0重量部及び希釈剤としてPP−101(東都化成(株)製、商品名、アルキルフェニルグリシジルエーテル、エポキシ当量=230)2.0重量部を100℃に加熱し、1時間撹拌を続け、均一なフェノール樹脂溶液を得た。
【0054】
比較例及び実施例で用いた化合物を以下に例示する。
(1)硬化促進剤
2P4MHZ(四国化成(株)製のイミダゾール類の商品名)
(2)希釈剤
PP−101(東都化成(株)製アルキルフェニルグリシジルエーテルの商品名、エポキシ当量=230)
(3)アクリル酸エステル化合物及びメタクリル酸エステル化合物
R−551(日本化薬(株)製ジアクリレートの商品名、ビスフェノールAポリエチレングリコールジアクリレート、一般式(VIII)、R=H、R11=CH、R12=CH、R13=H、R14=H、p+q=約4)、
ラウリルアクリレート(一般式(I)、R=H、R=−C1224−)
(4)ラジカル開始剤
ジクミルパーオキサイド
(5)エポキシ樹脂
YDF−170(東都化成(株)製、商品名、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量=170、分子量=340)
E−1000−6.5(日本石油化学(株)製エポキシ化ポリブタジエンの商品名、エポキシ当量=246、数平均分子量=約1,000)
(6)エポキシ樹脂硬化剤
ジシアンジアミド
(7)可とう化材
CTBN1300×31(宇部興産(株)製カルボキシ末端アクリロニトリルポリブタジエン共重合体の商品名)
(8)カップリング剤
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(9)充填材
TCG−1(徳力化学研究所社製の銀粉の商品名、形状:鱗片状、平均粒径=2μm)
AGF−20S(徳力化学研究所社製の球状銀粉の商品名、平均粒径(R)=20μm、0.5R〜1.5Rの範囲内の粒径を有する粒子の割合=93体積%)
【0055】
表1に示す配合割合で、各材料を混合し、3本ロールを用いて混練した後、666.61Pa(5トル(Torr))以下で10分間脱泡処理を行い、樹脂ペースト組成物を得た。
この樹脂ペースト組成物の特性(粘度、接着強度、ボンドライン厚み、ピール強度、チップ反り、耐リフロー性)を下記に示す方法で調べた。その結果を表1に示す。
【0056】
(1)粘度:EHD型回転粘度計(東京計器社製)を用いて25℃における粘度(Pa・s)を測定した。
(2)ダイシェア強度:樹脂ペースト組成物をAgめっき付き銅リードフレーム上に約0.2mg塗布し、この上に2mm×2mmのSiチップ(厚さ約0.4mm)を圧着し、さらにオーブンで150℃まで30分で昇温し150℃で1時間硬化させた。これを自動接着力試験装置(BT100、Dage社製)を用い、室温の剪断接着強度(N/チップ)を測定した。なおダイシェア強度の測定は20個の試験片について行った。
(3)ボンドライン厚み:樹脂ペースト組成物をあらかじめマイクロメータで厚みを測っておいた銅リードフレーム上に約0.2mgを塗布し、この上にあらかじめマイクロメータで厚みを測っておいた2mm×2mmのSiチップを圧着し、さらにオーブンで150℃まで30分で昇温し150℃で1時間硬化させた。硬化後にマイクロメータで厚みを測定し、この値からあらかじめ測っておいたリードフレームとチップの厚みを減じた値をボンドライン厚みとした。なおボンドライン厚みの測定は20個の試験片について行った。
(4)ボイド:樹脂ペースト組成物を銅リードフレーム上に約4.0mgを塗布し、この上に8mm×10mmのSiチップ(厚さ0.4mm)を圧着し、さらにオーブンで150℃まで30分で昇温し150℃で1時間硬化させた。これを、走査型超音波顕微鏡を用い観察し、硬化後の樹脂ペースト組成物中に含まれるチップと基材の間の水平方向の断面のボイドの占有面積を求めた。
(5)ピール強度:樹脂ペースト組成物を銅リードフレーム上に約3.2mgを塗布し、この上に8mm×8mmのSiチップ(厚さ0.4mm)を圧着し、さらにオーブンで105℃まで30分で昇温し150℃で1時間硬化させた。これを自動接着力装置(日立化成工業(株)製、内製)を用い、240℃における引き剥がし強さ(N/チップ)を測定した。
(6)チップ反り:樹脂ペースト組成物を銅リードフレーム上に約3.2mgを塗布し、この上に5mm×13mmのSiチップ(厚さ0.4mm)を圧着し、さらにオーブンで150℃まで30分で昇温し150℃で1時間硬化させた。これを表面粗さ計(sloan社製、Dektuk 3030)を用い、チップ反り(μm)を測定した。
(7)耐リフロー性:実施例及び比較例により得た樹脂ペースト組成物を用い、下記リードフレームとSiチップを、下記の硬化条件により硬化し接着した。その後日立化成工業(株)製エポキシ封止材(商品名CEL−4620)により封止し、半田リフロー試験用パッケージを得た。そのパッケージを温度及び湿度がそれぞれ85℃、85%の条件に設定された恒温高湿槽中で96時間吸湿させた。その後240℃/10秒のリフロー条件で半田リフローを行い、パッケージの内部クラックの発生数を走査型超音波顕微鏡で観察した。7個のサンプルについてクラックの発生したサンプル数を示す。
チップサイズ:4.9mm×9.5mm
パッケージサイズ:8mm×18mm×2.7mm
支持部材:銅リードフレーム
硬化条件:150℃まで30分で昇温、150℃で1時間硬化
【0057】
【表1】
Figure 0004752109
【0058】
表1の結果から、本発明の樹脂ペースト組成物(実施例1及び2)は従来のエポキシ樹脂を用いた樹脂ペースト組成物(比較例1)に比較してボイドが占有率が小さく、ボンドライン厚みを一定にすることが可能になっている。
このことから、本発明の樹脂ペースト組成物によれば、ボイドを低減し、ボンドライン厚みを一定にすることができ、その結果、接着強度のばらつきや半導体素子の傾きを低減できることが確認された。
さらに、本発明の樹脂ペースト組成物(実施例1及び2)は従来のエポキシ樹脂を用いた樹脂ペースト組成物(比較例1)及び同一のアクリル酸エステル化合物を用いてエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を添加しない場合(比較例2)に比較してピール強度、チップ反りで良好な値を示し、耐リフロー性も優れていた。
【0059】
【発明の効果】
本発明の樹脂ペースト組成物は、半導体装置のダイボンディング材として使用した場合にボンドライン厚みを一定にすることができ、接着強度のばらつきやチップの傾きを低減することができる。その結果ワイヤーボンド時の不良を低減でる。
さらに銅リードフレームにおいても、チップクラックやチップ反り及び半田リフロー時のペースト層の剥離を抑えることができ、リフロークラックの発生を低減させる。その結果、半導体装置としての信頼性を向上させることができる。

Claims (10)

  1. 半導体素子を支持部材に接着するための樹脂ペースト組成物であって、(A)アクリル酸エステル化合物又はメタクリル酸エステル化合物、(B)ラジカル開始剤、(C)エポキシ樹脂、(D)エポキシ樹脂硬化剤、(E)平均粒径10μm未満の充填材及び(F)平均粒径(R)が10〜50μmで且つ粒子の90体積%以上が0.5R〜1.5Rμmの範囲内の粒径を有する球状銀粉を均一分散させてなり、樹脂ペースト組成物総量に対して(E)成分の充填材を20〜85重量%、(F)成分の球状銀粉を0.5〜20重量%含有する樹脂ペースト組成物。
  2. (A)成分のアクリル酸エステル化合物又はメタクリル酸エステル化合物100重量部に対して(C)成分のエポキシ樹脂を1〜100重量部含有する請求項1に記載の樹脂ペースト組成物。
  3. (C)成分のエポキシ樹脂100重量部に対して、(D)成分のエポキシ樹脂硬化剤を0.1〜50重量部含有する請求項1又は2に記載の樹脂ペースト組成物。
  4. (A)成分のアクリル酸エステル化合物又はメタクリル酸エステル化合物100重量部に対して(B)成分のラジカル開始剤を0.1〜10重量部含有する請求項1、2又は3に記載の樹脂ペースト組成物。
  5. さらに可とう化材を添加してなる請求項1、2、3又は4に記載の樹脂ペースト組成物。
  6. 可とう化材が液状ゴム又は熱可塑性樹脂である請求項に記載の樹脂ペースト組成物。
  7. (A)成分のアクリル酸エステル化合物又はメタクリル酸エステル化合物100重量部に対して可とう化材を10〜100重量部含有する請求項又はに記載の樹脂ペースト組成物。
  8. さらにカップリング剤を添加してなる請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載の樹脂ペースト組成物。
  9. (A)成分のアクリル酸エステル化合物又はメタクリル酸エステル化合物100重量部に対してカップリング剤を0.1〜10重量部含有する請求項に記載の樹脂ペースト組成物。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の樹脂ペースト組成物を用いて半導体素子を支持部材に接着した後、封止してなる半導体装置。
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