[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP4749964B2 - トナーの原料油滴の粘度評価方法 - Google Patents

トナーの原料油滴の粘度評価方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4749964B2
JP4749964B2 JP2006198566A JP2006198566A JP4749964B2 JP 4749964 B2 JP4749964 B2 JP 4749964B2 JP 2006198566 A JP2006198566 A JP 2006198566A JP 2006198566 A JP2006198566 A JP 2006198566A JP 4749964 B2 JP4749964 B2 JP 4749964B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
viscosity
mass
resin
dispersion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006198566A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008026567A (ja
Inventor
寛 高橋
園生 松岡
昇 黒田
壽修 西崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2006198566A priority Critical patent/JP4749964B2/ja
Publication of JP2008026567A publication Critical patent/JP2008026567A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4749964B2 publication Critical patent/JP4749964B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Description

本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷等における静電潜像を現像するためのトナー及び該トナーの製造方法、並びに該トナーを用いた画像形成方法に関する。
電子写真法は、一般には、光導電性物質を利用した感光体層に種々の手段を用いて電気的な潜像を形成する静電潜像形成工程、トナーを用いて現像してトナー像を形成する現像工程、該トナー像を紙などの記録材に転写する転写工程、該記録材に転写されたトナー像を加熱、圧力、熱圧あるいは溶剤蒸気などにより記録材に定着する定着工程、感光体層に残存したトナーを除去するクリーニング工程、などから成り立っている。
このような静電潜像を現像するための現像剤として、キャリアとトナーからなる二成分系現像剤と、キャリアを必要としない一成分系現像剤(磁性トナー又は非磁性トナー)とがある。
従来より、トナーの製造方法としては、溶融混練粉砕法が知られている。前記粉砕法はその粒子形状が不定形であり、現像装置内でのキャリアとの攪拌や、キャリアのない一成分系現像剤でも、現像ローラ、トナー供給ローラ、層厚規制ブレード、摩擦帯電ブレード等による接触ストレスによりトナーが粉砕され、極微粒子が発生したり、流動化剤がトナー表面に埋め込まれているため、画像品質が低下することがある。また、粉砕法ではトナーの形状から粉体としての流動性が悪く、多量の流動化剤が必要となり、トナーボトル内への充填率が低く、コンパクト化への阻害要因となっている。
また近時、高品位かつ高画質な画像を得るため、トナーの粒子径を小さくすることによる改良が図られているが、更に、粉砕法では粒子径の限界が存在し、更なる小粒径化には対応できないという不具合がある。
このため、上記粉砕法以外にも種々のトナーの製造方法が検討されている。例えば、樹脂、着色剤、及びワックス等を含有するトナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散した油相を水相中で機械的乳化によってトナーサイズの液滴まで乳化する工程を含むポリマー懸濁法が提案されている。また、この提案では、水相中に固体の有機微粒子分散剤を乳化液滴の安定剤に用いると、粒度分布(Dv/Dn)が比較的狭い微細な液滴を作製することができる。
また、特許文献1には、ビーズによる衝突せん断力を用い、乳化させてO/W型エマルジョンを得る工程において、トナー組成液と分散液の粘度範囲や粘度の関係を既定している。この特許文献1によれば、粒度分布がシャープなトナーを効率良く製造できることが開示されている。しかし、この提案では、トナー組成液及び分散液共に粘度の点にしか着目しておらず、乳化工程においてはせん断によりエマルジョンが形成されるため、粘度一点での特性では不十分である。
また、特許文献2には、分散液の動的粘着性挙動の範囲を規定することで、優れた低温定着性及び広い温度範囲における耐オフセット性を有し、高精細画像に使用し得るシャープな粒度分布が得られる。
この特許文献2では、高せん断作用により乳化させるために分散液の粘性挙動まで考慮に入れている。しかし、この提案では、水性媒体の中に分散液を投入して乳化を実施するため、スムーズな分散液の分散やエマルジョンの安定性に大きく寄与する各液の比重には何ら着目していない。
また、特許文献3には、有機溶媒中に、結着樹脂、着色剤、及び離型剤を溶解させた分散液を水系溶媒中で分散させて、乳化させることでトナーを製造する方法において、前記分散液の粘度を回転粘度計で測定し、粘度範囲、及び粘度比を規定している。このような手段をとることによって、着色剤が分散された目的の粒子径と粒度分布がコントロールできるようになる。この特許文献3では、分散液の粘度、及び粘度比を規定しているものの、粘弾性については考慮されておらず、せん断を与えて液滴を形成させる方法の場合には、粘弾性を含めた溶解乃至分散物の特性値を規定することが重要である。
更に、ブラックトナーに比べてカラートナーは、色の異なるトナーを重ねることで種々の色を再現するため、帯電条件の制御が問題となり、優れた帯電特性を付与する必要がある。そのため、例えば、特許文献4では、溶解乃至分散物を界面活性剤の存在する水系媒体中で乳化分散し、乳化分散後に前記界面活性剤と逆極性の界面活性剤を添加することが提案されている。
しかしながら、安定した体積平均粒径、及びシャープな粒度分布を有する組成の均一なトナーを容易に効率よく製造することができるトナーの製造方法、及び該トナーの製造方法により製造され、帯電性が向上する結果、地汚れの発生を防止でき、細線再現性が向上し、高画質なフルカラー画像を形成できるトナーは未だ得られておらず、更なる改良、開発が望まれているのが現状である。
特開平11−249336号公報 特開2003−162095号公報 特開2005−173017号公報 特開平2004−54139号公報
本発明は、前記要望に応え、従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、安定した体積平均粒径及びシャープな粒度分布を有する組成の均一なトナーを効率よく容易に製造することができるトナーの製造方法、及び該トナーの製造方法により製造され、帯電性が向上する結果、地汚れの発生を防止でき、細線再現性が向上し、高画質なフルカラー画像を形成できるトナー、並びに該トナーを用いた画像形成方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、乳化機によるせん断を受ける前(プレ攪拌後)のトナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散させた溶解乃至分散物(油相)と水相の供給条件、プレミックス条件などを設定することによって、組成が均一な目的とする体積平均粒径、及びシャープな粒度分布を有するトナーを効率良く製造できることを知見した。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも2種の樹脂と、着色剤と、離型剤とを少なくとも含有するトナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散した溶解乃至分散物を、樹脂微粒子を含有する水系媒体中に乳化乃至分散させる乳化工程を少なくとも含むトナーの製造方法であって、
前記溶解乃至分散物の25℃における粘度特性tanθが0.70〜0.95であり、かつ前記溶解乃至分散物のハイシェア粘度計による見掛け粘度が100〜400mPa・sであることを特徴とするトナーの製造方法である。
<2> 溶解乃至分散物のハイシェア粘度計による下記数式1で表される粘度比が1.5〜2.5である前記<1>に記載のトナーの製造方法である。
<数式1>
粘度比=(100rpmでの見掛け粘度)÷(1,000rpmでの見掛け粘度)
<3> 溶解乃至分散物の構造粘性の回復率が90%以上である前記<1>から<2>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<4> 溶解乃至分散物のハイシェア粘度計によるCasson降伏値が5.0〜10.0である前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<5> 溶解乃至分散物の酸価が5.0〜15.0mgKOH/gである前記<1>から<4>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<6> 溶解乃至分散物のアミン価が1.0〜10.0mgKOH/gである前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<7> 溶解乃至分散物の固形分換算濃度が40〜60質量%である前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<8> 溶解乃至分散物と水系媒体の混合質量比率(溶解乃至分散物:水系媒体)が、50:50〜30:70である前記<1>から<7>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<9> 溶解乃至分散物の比重をρ1とし、水系媒体の比重をρ2とすると、比(ρ1/ρ2)が0.95〜1.05である前記<1>から<8>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<10> 少なくとも2種の樹脂が、互いに重量平均分子量が異なるポリエステル樹脂である前記<1>から<9>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<11> 前記<1>から<10>のいずれかに記載のトナーの製造方法により製造されたことを特徴とするトナーである。
<12> 体積平均粒径が3〜10μmであり、該体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.05〜1.25である前記<11>に記載のトナーである。
<13> 前記<11>から<12>のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤である。
<14> 前記<11>から<12>のいずれかに記載のトナーが充填されてなることを特徴とするトナー入り容器である。
<15> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成した静電潜像を前記<11>から<12>のいずれかに記載のトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有することを特徴とするプロセスカートリッジである。
<16> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を前記<11>から<12>のいずれかに記載のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含むことを特徴とする画像形成方法である。
<17> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を前記<11>から<12>のいずれかに記載のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有することを特徴とする画像形成装置である。
本発明のトナーの製造方法は、少なくとも2種の樹脂と、着色剤と、離型剤とを少なくとも含有するトナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散した溶解乃至分散物を、樹脂微粒子を含有する水系媒体中に乳化乃至分散させる乳化工程を少なくとも含み、
前記溶解乃至分散物の25℃における粘度特性tanθが0.70〜0.95であり、かつ前記溶解乃至分散物のハイシェア粘度計による見掛け粘度が25℃で100〜400mPa・sである。本発明のトナーの製造方法においては、安定した体積平均粒径及びシャープな粒度分布を有する組成の均一なトナーを容易に効率よく製造することができる。
本発明のトナーは、本発明の前記トナーの製造方法により製造されるので、安定した体積平均粒径、及びシャープな粒度分布を有し、静電潜像を忠実に現像することができ、地汚れの発生を防止でき、高画質のフルカラー画像を形成できる。
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を本発明の前記トナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含む。該画像形成方法においては、前記静電潜像形成工程において、静電潜像担持体上に静電潜像が形成される。前記現像工程において、静電潜像を本発明の前記トナーを用いて現像して可視像を形成する。前記転写工程において、前記可視像が記録媒体に転写される。前記定着工程において、前記記録媒体に転写された転写像が定着される。本発明の画像形成方法においては、本発明の前記トナーを用いているので、静電潜像を忠実に現像することができ、地汚れの発生を防止でき、高画質のフルカラー画像が形成できる。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、安定した体積平均粒径及びシャープな粒度分布を有する組成の均一なトナーを効率よく容易に製造することができるトナーの製造方法、及び該トナーの製造方法により製造され、帯電性が向上する結果、地汚れの発生を防止でき、細線再現性が向上し、高画質なフルカラー画像を形成できるトナー、並びに該トナーを用いた画像形成方法を提供することができる。
(トナー及びトナーの製造方法)
本発明のトナーの製造方法は、少なくとも2種の樹脂と、着色剤と、離型剤とを少なくとも含有するトナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散した溶解乃至分散物を、樹脂微粒子を含有する水系媒体中に乳化乃至分散させる乳化工程を少なくとも含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明のトナーは、本発明のトナーの製造方法により製造される。
以下、本発明のトナーの製造方法の説明を通じて本発明のトナーの詳細についても明らかにする。
ここで、図1は、本発明のトナーの製造方法における連続乳化工程の一例を示す図である。少なくとも2種の樹脂と、着色剤と、離型剤とを少なくとも含有するトナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散した溶解乃至分散物に伸長剤としてのケチミン化合物を混合したもの(以下、「A油相」203と称することもある)と、分散剤としての樹脂微粒子を含有する水系媒体(以下、「水相」204と称することもある)と、イソシアンネート結合を有するプレポリマーを有機溶剤に溶解乃至分散した溶解乃至分散物(以下、「B油相」202と称することもある)とを、ある一定量で連続的に送液し、前記A油相203と前記B油相202を、前記水相204と混合する前にスタティクミキサー205でプレ攪拌を行う(このプレ攪拌後の液体を「油相」と称する;即ちトナー材料の溶解乃至分散物)。次いで、スタティクミキサーで混合された油相と水相204が混じり合い、乳化機構部分の滞留容積内のパイプラインホモミキサー201により、せん断を受けて、連続的に乳化が行われる。
この場合、安定した体積平均粒径、及びシャープな粒度分布を有する乳化液滴を得るためには、前記A油相と前記B油相との混合物である油相成分がせん断速度(せん断力)に対してある特性を示すことが重要であり、それに付随した「見掛け粘度」や「粘度比」もある一定の範囲となることが重要である。また、水系媒体中でスムーズに油相成分が分散され、その分散状態を維持するためには各成分の比重の比率が重要である。
前記トナー材料の溶解乃至分散物(前記油相)の25℃における粘度特性tanθは、0.70〜0.95であり、0.70〜0.80が好ましい。前記粘度特性tanθが0.70未満であると、溶解乃至分散物のチクソトロピック性が強く、せん断の状態により液滴の形状や粒度分布に大きな感度が生じる結果、安定した粒度が得られなくなることがあり、0.95を超えると、チクソトロピック性が弱く、せん断の状態による液滴の形状や粒度分布に感度がなくなり、造粒調整等が困難となることがある。
前記溶解乃至分散物のハイシェア粘度計による見掛け粘度は、100〜400mPa・sであり、200〜400mPa・sが好ましく、300〜400mPa・sがより好ましい。前記見掛け粘度が100mPa・s未満であると、乳化機のせん断翼からのエネルギーが効率良く溶解乃至分散物に伝わらなくなることがあり、400mPa・sを超えると、水系媒体との粘度差が大きくなり、エマルジョン生成の安定性に欠けることがある。
前記溶解乃至分散物のハイシェア粘度計による下記数式1で表される粘度比は1.5〜2.5が好ましく、2.0〜2.5がより好ましい。前記粘度比が1.5未満であると、乳化機のせん断翼からのエネルギーが効率良く溶解乃至分散物に伝わらないことがあり、2.5を超えると、乳化機のせん断翼からのエネルギー効率は上がるが、液滴の形状や粒度分布に大きな感度が生じる結果、安定した粒度が得られなくなることがある。
<数式1>
粘度比=(100rpmでの見掛け粘度)÷(1,000rpmでの見掛け粘度)
また、液滴は乳化機構部分の滞留容積内で何度もせん断を受けるため、せん断を受けた後の油滴の粘弾性の評価が必要となる。前記溶解乃至分散物の構造粘性の回復率は90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。前記回復率が90%以上であると、連続せん断においても粒度が崩れず、シャープな粒度分布が得られる。
前記溶解乃至分散物のハイシェア粘度計によるCasson降伏値は、5.0〜10.0が好ましく、8.0〜10.0がより好ましい。前記Casson降伏値が5.0未満であると、目標とする形状が得にくくなることがあり、10.0を超えると、液滴の形状制御性が困難となることがある。
乳化機により溶解乃至分散物(油相)がせん断を受けることでエマルジョンが生成し、せん断の状態により液滴の形状や粒度分布が大きな影響を受ける。また、乳化機のせん断翼の中心近傍と先端ではせん断周速が異なり、油滴は乳化機の構部分滞留容積内で何度もせん断を受けるため、溶解乃至分散物の粘弾性が重要な要素となってくる。
そのため、油相の粘弾性を考慮した特性を規定する必要性がある。このように特性を規定することで、比較的幅広いせん断周速域に対応することが可能である。この粘弾性は溶解乃至分散物の分散レベル(具体的には分散機の周速や分散時間等)を変化させることで制御が可能である。また、ある一定以上の見掛け粘度と粘度比が存在するため、せん断によるエネルギーが効率良く溶解乃至分散物に伝わって、シャープな粒度分布が安定に形成できる。その結果、地汚れの発生防止に非常に効果があり、静電潜像を忠実に現像できる高画質のフルカラー画像を再現できる。
−油相粘度特性の測定方法−
前記粘度特性tanθ及びCasson降伏値は、ハイシェア粘度計を用いて、下記の条件で測定することができる。
〔測定条件〕
・装置:AR2000(TAインスツルメンツ社製)
・シア−ストレス:120Pa/5分
・ジオメトリー:40mmスチールプレート
・ジオメトリーギャップ:1mm
・解析ソフト:TA DATA ANALYSIS(TAインスツルメンツ社製)
Casson降伏値(応力降伏値Pa)は、Casson流動方程式より、せん断速度s−1=1とs−1=2のs−1=0の外挿点とする。測定上のせん断速度の範囲は0s−1〜300s−1である。
粘度特性tanθは、油相のフローカーブを測定する。条件は25℃でギャップ(GAP)は0.5mmとし、測定範囲は、せん断速度が0s−1→1800s−1→0s−1とする。そして、粘度特性tanθは、せん断速度s−1と、せん断応力のLog−Logグラフから求めることができる。なお、せん断速度の範囲は0s−1〜2000s−1である。
また、前記見掛け粘度は、せん断速度100s−1時のせん断応力値をPとした時の「P/100」を示す。
また、前記粘度比は、せん断速度100s−1時の見掛け粘度と、せん断速度1000s−1時の見掛け粘度の比率を示す。
また、前記構造粘性の回復率は、油相のフローカーブにおいて、せん断速度が0s−1→1800s−1のせん断応力値をP1とし、せん断速度が1800s−1→0s−1のせん断応力値をP2とすると、「P2/P1」を示す。
前記トナー材料の溶解乃至分散物(油相)の酸価は、5.0〜15.0mgKOH/gが好ましく、10.0〜15.0mgKOH/gがより好ましい。
前記トナー材料の溶解乃至分散物(油相)のアミン価は、1.0〜10.0mgKOH/gが好ましく、5.0〜10.0mgKOH/gがより好ましい。
前記酸価及びアミン価の範囲において、粒径コントロール、低温定着性、耐高温オフセット性、耐熱保存性、帯電安定性等のトナー特性をより高品位にすることが可能である。前記酸価が15.0mgKOH/gを超えると、変性ポリエステルの伸張乃至架橋反応が不十分であり、耐高温オフセット性に影響が生じることがある。一方、5.0mgKOH/g未満であると、塩基化合物による分散安定効果が得られず、また変性ポリエステルの伸張乃至架橋反応が進みやすく、製造安定性に問題が生じることがある。
前記溶解乃至分散物の酸価を考慮するとシャープな粒度分布を形成するためには、アミン価を上記範囲に収めることが有効である。
前記溶解乃至分散物の酸価は、低分子ポリエステルの合成時に使用する無水トリメリット酸の添加部数を変更することで調整可能である。また、前記溶解乃至分散物のアミン価は、伸長剤としてのケチミン化合物の添加部数を変更することで調整可能である。
ここで、前記酸価は、JIS K0070−1992に記載の測定方法に準拠して、以下の条件で測定することができる。
試料調製:トナー0.5gをトルエン120mlに添加して室温(23℃)で約10時間撹拌して溶解した。更に、エタノール30mlを添加して試料溶液とした。
測定は、上記の装置にて計算することができるが、具体的には次のように計算することができる。
予め、標定されたN/10苛性カリウム〜アルコール溶液で滴定し、アルコールカリウム液の消費量から次の計算式で酸価を求める。
酸価=KOH(ml数)×N×56.1/試料質量
ただし、Nは、(N/10)KOHのファクターである。
また、前記アミン価は、予め評定されたN/10塩酸〜アルコール溶液で滴定し、塩酸〜アルコール液の消費量から次の計算式でアミン価を求めることができる。
アミン価=HCl(ml数)×N×56.1/試料質量
ただし、Nは、(N/10)HClのファクターである。
前記溶解乃至分散物の固形分換算濃度は、40〜60質量%が好ましく、40〜50質量%がより好ましい。前記分散物の固形分換算値が上記記載の範囲であると、エマルジョン形成後の凝集による合着等が防止され、安定なエマルジョン状態を堅持できる。
前記溶解乃至分散物の固形分換算値は、酢酸エチルの添加部数を変更することで調整可能である。
前記溶解乃至分散物と水系媒体の混合質量比率(溶解乃至分散物:水系媒体)は、50:50〜30:70が好ましく、40:60〜45:55がより好ましい。粒子の衝突確率の面から、前記溶解乃至分散物と疝気水系媒体の混合質量比率を上記範囲内に収めることがシャープな粒度分布を形成するのに有効である。
前記溶解乃至分散物の比重をρ1とし、水系媒体の比重をρ2とすると、比(ρ1/ρ2)は0.95〜1.05が好ましく、1.00〜1.05がより好ましい。この範囲において、水系媒体中でスムーズに油相成分が分散される。また、その分散状態を維持するためには溶解乃至分散物と水系媒体の比重の比が重要である。
前記比重は、例えば、流量計として設備導入されている「オーバルコリオリ流量計」により測定することができる。
前記トナーの体積平均粒径(Dv)は3〜10μmが好ましく、5〜8μmがより好ましい。
前記体積平均粒径が3μm未満であると、二成分現像剤では現像器における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがあり、また、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するため、ブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがあり、10μmを超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
前記体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は、1.05〜1.25が好ましく、1.05〜1.15がより好ましい。
一般的には、トナーの粒子径は小さければ小さいほど、高解像で高画質の画像を得るために有利であると言われているが、逆に転写性やクリーニング性に対しては不利である。また、本発明の範囲よりも体積平均粒子径が小さい場合、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力の低下を招いたり、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着を発生させやすくなる。また、これらの現象は微粉の含有率が本発明の範囲より多いトナーにおいても同様である。逆に、トナーの粒子径が本発明の範囲よりも大きい場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなる場合が多い。また、体積平均粒子径/個数平均粒子径が1.25よりも大きい場合も同様であることが明らかとなった。
一方、前記体積平均粒子径/個数平均粒子径が1.05より小さい場合には、トナーの挙動の安定化、帯電量の均一化の面から好ましい面もあるが、トナーの帯電が不十分になる場合が見られ、また、クリーニング性を悪化させる場合があることが明らかとなった。
前記体積平均粒子径(Dv)、及び、前記体積平均粒子径と個数平均粒子径との比(Dv/Dn)は、例えば、粒度測定器(「コールターカウンターTAII」、コールターエレクトロニクス社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定し、解析ソフト(Beckman Coulter Mutlisizer 3 Version3.51)にて解析を行うことにより測定することができる。
本発明のトナーに用いられる少なくとも2種の樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、異なる材料からなる樹脂は勿論、同系統の樹脂において物性が異なる場合(例えば低分子量のポリエステル樹脂と、高分子量のポリエステル樹脂)も含まれる。また、樹脂と該樹脂前駆体との組み合わせ(例えばポリエステル樹脂と、ポリエステル樹脂前駆体)も含まれる。また、非変性樹脂と変性樹脂との組み合わせ(例えば非変性ポリエステル樹脂と、変性ポリエステル樹脂)も含まれる。
このような結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリ−α−スチルスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体)、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、石油樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラート樹脂、などが挙げられ、これらの中でも、定着性、フルカラー画像の再現性の点から、変性ポリエステル樹脂と未変性ポリエステル樹脂との組み合わせが特に好ましい。
−変性ポリエステル樹脂−
前記変性ポリエステル樹脂とは、ポリエステル樹脂中に酸、アルコールのモノマーユニットに含まれる官能基とエステル結合以外の結合基が存在したり、またポリエステル樹脂中に構成の異なる樹脂成分が共有結合、イオン結合などで結合した状態を意味する。
このような変性ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエステル末端をエステル結合以外のもので反応させたもの、具体的には、末端に酸基、水酸基と反応するイソシアネート基などの官能基を導入し、活性水素化合物と更に反応させて末端を変性させたり、伸長反応させたものも含まれる。
また、活性水素基が複数存在する化合物であればポリエステル末端同士を結合させたものも含まれる(ウレア変性ポリエステル、ウレタン変性ポリエステルなど)。
また、ポリエステル主鎖中に二重結合などの反応性基を導入し、そこからラジカル重合を起こして側鎖に炭素−炭素結合のグラフト成分を導入させたり、二重結合同士を橋かけしたものも含まれる(例えば、スチレン変性ポリエステル、アクリル変性ポリエステルなど)
また、ポリエステルの主鎖中に構成の異なる樹脂成分を共重合させたり、末端のカルボキシル基や水酸基と反応させたもの(例えば末端がカルボキシル基、水酸基、エポキシ基)、メルカプト基によって変性されたシリコーン樹脂と共重合させたもの(シリコーン変性ポリエステル等)なども含まれる。
これらの中でも、ウレア結合で変性されたポリエステル(ウレア変性ポリエステル系樹脂)が特に好ましい。
前記ウレア結合で変性されたポリエステル(i)としては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との反応物などが挙げられる。
前記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルを更にポリイソシアネート(3)と反応させた物などが挙げられる。前記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられる。これらの中でも、アルコール性水酸基が特に好ましい。
前記ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)又は3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、ジオール(1−1)単独、又はジオール(1−1)と少量の3価以上の(1−2)の混合物が好ましい。
前記ジオール(1−1)としては、例えばアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物が好ましく、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
前記3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
前記ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)、3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、ジカルボン酸(2−1)単独、及びジカルボン酸(2−1)と少量の3価以上のポリカルボン酸(2−2)の混合物が好ましい。
前記ジカルボン酸(2−1)としては、例えばアルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
前記3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
前記ポリオール(1)と前記ポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、2/1〜1/1が好ましく、1.5/1〜1/1がより好ましく、1.3/1〜1.02/1が更に好ましい。
前記ポリイソシアネート(3)としては、例えば脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;及びこれら2種以上の併用が挙げられる。
前記ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]としては、5/1〜1/1が好ましく、4/1〜1.2/1がより好ましく、2.5/1〜1.5/1が更に好ましい。前記[NCO]/[OH]が5を超えると、低温定着性が悪化することがある。一方、前記[NCO]のモル比が1未満であると、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が更に好ましい。前記含有量が0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、1個以上が好ましく、平均1.5〜3個がより好ましく、平均1.8〜2.5個が更に好ましい。前記1分子当たり1個未満であると、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記アミン類(B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、前記(B1)〜(B5)のアミノ基をブロックしたもの(B6)等、が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジアミン(B1)、ジアミン(B1)と少量の3価以上のポリアミン(B2)との混合物、が特に好ましい。
前記ジアミン(B1)としては、例えば、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミン、等が挙げられる。該芳香族ジアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。該脂環式ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等が挙げられる。前記脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
前記3価以上のポリアミン(B2)としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、等が挙げられる。
前記アミノアルコール(B3)としては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン、等が挙げられる。
前記アミノメルカプタン(B4)としては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン、等が挙げられる。
前記アミノ酸(B5)としては、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸、等が挙げられる。
前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、例えば、前記(B1)から(B5)のいずれかのアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物、等が挙げられる。
更に、必要により伸長停止剤を用いてウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。前記伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、又はそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
前記アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、1/2〜2/1が好ましく、1.5/1〜1/1.5がより好ましく、1.2/1〜1/1.2が更に好ましい。前記[NCO]/[NHx]が2を超えたり、1/2未満であると、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
本発明においては、ウレア結合で変性されたポリエステル(i)中に、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、100/0〜10/90が好ましく、80/20〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が更に好ましい。前記ウレア結合のモル比が10モル%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記ウレア変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。前記ウレア変性ポリエステル(i)の質量平均分子量は1万以上が好ましく、2万〜1000万がより好ましく、3万〜100万が更に好ましい。前記質量平均分子量が1万未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記ウレア変性ポリエステルの数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステル(ii)を用いる場合には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記質量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。(i)単独の場合は、数平均分子量は、20,000以下が好ましく、1,000〜10,000がより好ましく、2,000〜8,000が更に好ましい。前記数平均分子量が20,000を超えると、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化することがある。
−未変性ポリエステル樹脂−
本発明においては、前記ウレア結合で変性されたポリエステル(i)単独使用だけでなく、この(i)と共に、変性されていないポリエステル(ii)をトナーバインダー成分として含有させることもできる。未変性ポリエステル樹脂(ii)を併用することで、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。未変性ポリエステル樹脂(ii)としては、前記(i)のポリエステル成分と同様なポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられる。また、未変性ポリエステル樹脂(ii)は、無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。
前記未変性ポリエステル樹脂(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の質量比は、5/95〜80/20が好ましく、5/95〜30/70がより好ましく、5/95〜25/75が更に好ましく、7/93〜20/80が特に好ましい。(i)の質量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
前記未変性ポリエステル樹脂(ii)のピーク分子量は、1,000〜30,000が好ましく、1,500〜10,000がより好ましく、2,000〜8,000が更に好ましい。1,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあり、10,000を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記未変性ポリエステル樹脂(ii)の水酸基価は、5mgKOH/g以上が好ましく、10〜120mgKOH/gがより好ましく、20〜80mgKOH/gが更に好ましい。前記水酸基価が5mgKOH/g未満であると、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になることがある。
前記未変性ポリエステル樹脂(ii)の酸価は、1〜30mgKOH/gが好ましく、5〜20mgKOH/gがより好ましい。
本発明において、トナーバインダーのガラス転移温度(Tg)は、50〜70℃が好ましく、55〜65℃がより好ましい。前記ガラス転移温度が50℃未満であると、トナーの耐熱保存性が悪化することがあり、70℃を超えると、低温定着性が不十分となることがある。ウレア変性ポリエステル樹脂の共存により、本発明のトナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移温度が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。トナーバインダーの貯蔵弾性率としては、測定周波数20Hzにおいて10,000dyne/cmとなる温度(TG’)が、100℃以上が好ましく、110〜200℃がより好ましい。前記温度(TG’)が100℃未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。トナーバインダーの粘性としては、測定周波数20Hzにおいて1,000ポイズとなる温度(Tη)が、180℃以下が好ましく、90〜160℃がより好ましい。前記温度(Tη)が180℃を超えると、低温定着性が悪化することがある。即ち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、TG’はTηより高いことが好ましい。言い換えるとTG’とTηの差(TG’−Tη)は0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、20℃以上が更に好ましい。差(TG’−Tη)の上限は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、TηとTgの差(Tη−Tg)は0〜100℃が好ましく、10〜90℃がより好ましく、20〜80℃が更に好ましい。
−樹脂微粒子−
前記樹脂微粒子としては、水系媒体中で水性分散液を形成しうる樹脂であれば特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂でもよく、例えば、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細な球状の樹脂粒子の水性分散液が得られ易い点から、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂が特に好ましい。
前記ビニル樹脂は、ビニルモノマーを単独重合又は共重合したポリマーであり、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、などが挙げられる。
また、前記樹脂微粒子としては、少なくとも2つの不飽和基を有する単量体を含んでなる共重合体を用いることもできる。
前記少なくとも2つの不飽和基を持つ単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(「エレミノールRS−30」、三洋化成工業株式会社製)、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールアクリレートなどが挙げられる。
前記樹脂微粒子は、目的に応じて適宜選択した公知の方法に従って重合させることにより得ることができるが、該樹脂微粒子の水性分散液として得るのが好ましい。該樹脂微粒子の水性分散液の調製方法としては、例えば、(1)前記ビニル樹脂の場合、ビニルモノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法及び分散重合法から選択されるいずれかの重合反応により、直接、樹脂微粒子の水性分散液を製造する方法、(2)前記ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の場合、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液を適当な分散剤の存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱、又は硬化剤を添加して硬化させて、樹脂微粒子の水性分散体を製造する方法、(3)前記ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の場合、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化してもよい)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法、(4)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を機械回転式又はジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによって樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤存在下、水中に分散させる方法、(5)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を霧状に噴霧することにより樹脂微粒子を得た後、該樹脂微粒子を適当な分散剤存在下、水中に分散させる方法、(6)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液に貧溶剤を添加するか、又は予め溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂微粒子を析出させ、次に溶剤を除去して樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下、水中に分散させる方法、(7)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱又は減圧等によって溶剤を除去する方法、(8)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法、などが好適に挙げられる。
前記樹脂微粒子のガラス転移温度は、65〜85℃が好ましい。前記ガラス転移温度が65℃未満であると、高温環境下での耐熱保存性が低下し、トナーのブロッキングが発生する不具合があり、トナーの転写性にも影響を与えることがある。一方、前記ガラス転移温度が85℃を超えると、低温定着性を阻害してオフセットが発生する不具合がある。
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の前記トナーにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。前記含有量が1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られることがあり、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン、等が挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、などが挙げられる。
前記マスターバッチは、前記マスターバッチ用樹脂と、前記着色剤とを高せん断力をかけて混合又は混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。このフラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶剤成分を除去する方法である。前記混合又は混練には、例えば三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。
−離型剤−
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ワックス類、等が好適に挙げられる。
前記ワックス類としては、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトン、等が挙げられる。前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート等が挙げられる。前記ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等が挙げられる。前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミド等が挙げられる。前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミド等が挙げられる。前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトン等が挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
前記ポリオレフィンワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。
前記長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワックス、サゾールワックス等が挙げられる。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40〜160℃が好ましく、50〜120℃がより好ましく、60〜90℃が特に好ましい。前記融点が、40℃未満であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。
前記離型剤の溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、10〜100cpsがより好ましい。前記溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
前記離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0〜40質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましい。前記含有量が、40質量%を超えると、トナーの流動性が悪化することがある。
−帯電制御剤−
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(いずれも、オリエント化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(いずれも、保土谷化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(いずれも、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料;スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等を有する高分子系の化合物、などが挙げられる。
前記帯電制御剤は、前記マスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解乃至分散させてもよく、あるいは前記トナーの各成分と共に前記有機溶剤に直接、溶解乃至分散させる際に添加してもよく、あるいはトナー粒子製造後にトナー表面に固定させてもよい。
前記帯電制御剤の前記トナーにおける含有量としては、前記結着樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、前記結着樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。前記含有量が、0.1質量部未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
−外添剤−
前記トナーの流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子が好適である。前記無機微粒子の一次粒子径は、5nm〜2μmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。また、前記無機微粒子のBET法による比表面積は、20〜500m/gが好ましい。前記無機微粒子の添加量は、トナー100質量部に対し0.01〜5質量部が好ましく、0.01〜2.0質量部がより好ましい。
前記無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
その他の外添剤としては、高分子系微粒子が挙げられる。該高分子系微粒子としては、例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような流動化剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。該ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径は0.01〜1μmが好ましい。
本発明のトナーの製造方法は、少なくとも2種の樹脂と、着色剤と、離型剤とを少なくとも含有するトナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散した溶解乃至分散物(油相)を、樹脂微粒子を含有する水系媒体中に乳化乃至分散させて、反応させた後、前記有機溶剤を除去する。
−−有機溶剤−−
前記有機溶剤としては、前記トナー材料を溶解乃至分散可能な溶媒であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除去の容易性の点で沸点が150℃未満の揮発性のものが好ましく、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、等が挙げられる。これらの中でも、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、等が好ましく、酢酸エチルが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記トナー材料100質量部に対し、40〜300質量部が好ましく、60〜140質量部がより好ましく、80〜120質量部が更に好ましい。
−分散液−
前記分散液の調製は、前記トナー溶液を水系媒体中に分散させることにより行う。
前記トナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散した溶解乃至分散物を前記水系媒体中に分散させると、該水系媒体中に、前記溶解乃至分散物からなる分散体(油滴)が形成される。
−−水系媒体−−
前記水系媒体としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、水、該水と混和可能な溶剤、これらの混合物、などが挙げられるが、これらの中でも、水が特に好ましい。
前記水と混和可能な溶剤としては、前記水と混和可能であれば特に制限はなく、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類、などが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。前記低級ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記トナー溶液は、前記水系媒体中で攪拌しながら分散させるのが好ましい。
前記分散の方法としては特に制限はなく、公知の分散機等を用いて適宜選択することができ、該分散機としては、例えば、低速せん断式分散機、高速剪断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機、などが挙げられる。これらの中でも、前記分散体(油滴)の粒径を2〜20μmに制御することができる点で、高速剪断式分散機が好ましい。
前記高速剪断式分散機を用いた場合、回転数、分散時間、分散温度などの条件については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記回転数としては、1,000〜30,000rpmが好ましく、5,000〜20,000rpmがより好ましく、前記分散時間としては、バッチ方式の場合は、0.1〜5分が好ましく、前記分散温度としては、加圧下において0〜150℃が好ましく、40〜98℃がより好ましい。なお、前記分散温度は高温である方が一般に分散が容易である。
前記トナーの製造方法の一例について、以下に示す。水系媒体相の調製、前記トナー溶液の調製、前記分散液の調製、前記水系媒体の添加、その他の工程を行う。
前記水系媒体相の調製は、例えば、前記樹脂微粒子を前記水系媒体に分散させることにより行うことができる。該樹脂微粒子の該水系媒体中の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.5〜10質量%が好ましい。
前記トナー溶液の調製は、前記有機溶剤中に、前記アミン類(B)、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)、前記着色剤、前記離型剤、前記帯電制御剤、前記未変性ポリエステル樹脂等のトナー材料を、溶解乃至分散させることにより行うことができる。
なお、前記トナー材料の中で、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)以外の成分は、前記水系媒体相調製において、前記樹脂微粒子を前記水系媒体に分散させる際に該水系媒体中に添加混合してもよいし、あるいは、前記トナー溶液を前記水系媒体相に添加する際に、該トナー溶液と共に前記水系媒体相に添加してもよい。
前記分散液の調製は、先に調製した前記トナー溶液を、先に調製した前記水系媒体相中に乳化乃至分散させることにより行うことができる。そして、該乳化乃至分散の際、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)と、前記アミン類(B)とを伸長反応乃至架橋反応させると、前記ウレア変性ポリエステル樹脂が生成する。
前記ウレア変性ポリエステル樹脂は、例えば、(1)前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)を含む前記トナー溶液を、前記アミン類(B)と共に、前記水系媒体相中に乳化乃至分散させ、分散体を形成し、該水系媒体相中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよく、(2)前記トナー溶液を、予め前記活性水素基含有化合物を添加した前記水系媒体中に乳化乃至分散させ、分散体を形成し、該水系媒体相中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよく、あるいは(3)前記トナー溶液を、前記水系媒体中に添加混合させた後で、前記活性水素基含有化合物を添加し、分散体を形成し、該水系媒体相中で粒子界面から両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよい。なお、前記(3)の場合、生成するトナー表面に優先的に変性ポリエステル樹脂が生成され、該トナー粒子において濃度勾配を設けることもできる。
前記乳化乃至分散により、前記ウレア変性ポリエステル系樹脂を生成させるための反応条件としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、反応時間としては、10分間〜40時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましく、反応温度としては、0〜150℃が好ましく、40〜98℃がより好ましい。
前記水系媒体相中において、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)を含む前記分散体を安定に形成する方法としては、例えば、前記水系媒体相中に、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)、前記着色剤、前記離型剤、前記帯電制御剤、前記未変性ポリエステル樹脂等の前記トナー材料を前記有機溶剤に溶解乃至分散させて調製した前記トナー溶液を添加し、剪断力により分散させる方法、等が挙げられる。なお、前記分散の方法の詳細については上述した通りである。
前記分散液の調製においては、必要に応じて、前記分散体(前記トナー溶液からなる油滴)を安定化させ、所望の形状を得つつ粒度分布をシャープにする観点から、分散剤を用いることが好ましい。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が好ましい。
前記界面活性剤としては、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、等が挙げられる。
前記陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられ、フルオロアルキル基を有するものが好適に挙げられる。該フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(炭素数6〜11)オキシ]−1−アルキル(炭素数3〜4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(炭素数6〜8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(炭素数11〜20)カルボン酸又はその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(炭素数7〜13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(炭素数4〜12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(炭素数6〜16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。該フルオロアルキル基を有する界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113(いずれも、旭硝子株式会社製);フローラドFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(いずれも、住友3M株式会社製);ユニダインDS−101、DS−102(いずれも、ダイキン工業株式会社製);メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(いずれも、ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−100、F150(いずれも、ネオス社製)等が挙げられる。
前記陽イオン界面活性剤としては、例えば、アミン塩型界面活性剤、四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤等が挙げられる。前記アミン塩型界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等が挙げられる。前記四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。該陽イオン界面活性剤の中でも、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級又は三級アミン酸、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10個)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、などが挙げられる。
前記カチオン界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−121(旭硝子株式会社製);フローラドFC−135(住友3M株式会社製);ユニダインDS−202(ダイキン工業株式会社製)、メガファックF−150、F−824(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);エクトップEF−132(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等が挙げられる。
前記難水溶性の無機化合物分散剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト、等が挙げられる。
前記高分子系保護コロイドとしては、例えば、酸類、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、アミド化合物又はこれらのメチロール化合物、クローライド類、窒素原子若しくはその複素環を有するもの等のホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン系、セルロース類、等が挙げられる。
前記酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。前記水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。前記ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等が挙げられる。前記ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。前記アミド化合物又はこれらのメチロール化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド酸、又はこれらのメチロール化合物、などが挙げられる。前記クローライド類としては、例えば、アクリル酸クローライド、メタクリル酸クローライド等が挙げられる。前記窒素原子若しくはその複素環を有するもの等ホモポリマー又は共重合体としては、例えば、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等が挙げられる。前記ポリオキシエチレン系としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等が挙げられる。前記セルロース類としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
前記分散液の調製においては、必要に応じて分散安定剤を用いることができる。
該分散安定剤としては、例えば、リン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能なもの等が挙げられる。
該分散安定剤を用いた場合は、塩酸等の酸によりリン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する方法、酵素により分解する方法等によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去することができる。
前記分散液の調製においては、前記伸長反応乃至前記架橋反応の触媒を用いることができる。該触媒としては、例えば、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、等が挙げられる。
得られた分散液(乳化スラリー)から、有機溶剤を除去する。該有機溶剤の除去は、(1)反応系全体を徐々に昇温させて、前記油滴中の前記有機溶剤を完全に蒸発除去する方法、(2)乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、油滴中の非水溶性有機溶剤を完全に除去してトナー微粒子を形成し、併せて水系分散剤を蒸発除去する方法、等が挙げられる。
前記有機溶剤の除去が行われると、トナー粒子が形成される。該トナー粒子に対し、洗浄、乾燥等を行うことができ、更にその後、所望により分級等を行うことができる。該分級は、例えば液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができ、乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよい。
こうして、得られたトナー粒子を、前記着色剤、離型剤、前記帯電制御剤等の粒子と共に混合したり、更に機械的衝撃力を印加することにより、該トナー粒子の表面から該離型剤等の粒子が脱離するのを防止することができる。
前記機械的衝撃力を印加する方法としては、例えば、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し加速させて粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法、等が挙げられる。この方法に用いる装置としては、例えば、オングミル(ホソカワミクロン株式会社製)、I式ミル(日本ニューマチック株式会社製)を改造して粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業株式会社製)、自動乳鉢、等が挙げられる。
<現像剤>
本発明で用いられる現像剤は、本発明の前記トナーを少なくとも含有してなり、キャリア等の適宜選択したその他の成分を含有してなる。該現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンター等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
本発明の前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。また、本発明の前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像装置における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている感光体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
前記芯材の粒径としては、平均粒径(体積平均粒径(D50))で、10〜200μmが好ましく、40〜100μmがより好ましい。前記平均粒径(体積平均粒径(D50))が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、200μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
前記樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アミノ系樹脂としては、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。前記ポリビニル系樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。前記ポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等が挙げられる。前記ハロゲン化オレフィン樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
前記樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、該導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、などが挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。前記平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテート、などが挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
前記樹脂層の前記キャリアにおける量としては、0.01〜5.0質量%が好ましい。前記量が、0.01質量%未満であると、前記芯材の表面に均一な前記樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、前記樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
前記現像剤が前記二成分現像剤である場合、前記キャリアの該二成分現像剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、90〜98質量%が好ましく、93〜97質量%がより好ましい。
前記二成分系現像剤のトナーとキャリアの混合割合は、一般にキャリア100質量部に対しトナー1〜10.0質量部である。
前記現像剤は、本発明の前記トナーを含有しているので、優れた鮮明な高画質な画像を安定に形成することができる。
本発明で用いられる現像剤は、磁性一成分現像方法、非磁性一成分現像方法、二成分現像方法等の公知の各種電子写真法による画像形成に好適に用いることができ、以下のトナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に特に好適に用いることができる。
<トナー入り容器>
本発明で用いられるトナー入り容器は、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を容器中に収容してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、トナー容器本体とキャップとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記トナー容器本体としては、その大きさ、形状、構造、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、円筒状などが好ましく、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより内容物であるトナーが排出口側に移行可能であり、かつ該スパイラル部の一部又は全部が蛇腹機能を有しているもの、などが特に好ましい。
前記トナー容器本体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、寸法精度がよいものが好ましく、例えば、樹脂が好適に挙げられ、これらの中でも、例えば、ポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、などが好適に挙げられる。
前記トナー入り容器は、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れ、後述する本発明のプロセスカートリッジ、画像形成装置等に、着脱可能に取り付けてトナーの補給に好適に使用することができる。
<プロセスカートリッジ>
本発明で用いられるプロセスカートリッジは、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に担持された静電潜像を、現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像手段とを、少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、帯電手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等のその他の手段を有してなる。
前記現像手段としては、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容されたトナー乃至現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、現像剤担持体表面に担持させるトナー層厚を規制するための層厚規制部材を有していてもよい。
前記プロセスカートリッジは、各種電子写真方式の画像形成装置、ファクシミリ、プリンターに着脱可能に備えさせることができ、後述する画像形成装置に着脱可能に備えさせるのが好ましい。
ここで、前記プロセスカートリッジは、例えば、図2に示すように、静電潜像担持体(感光体ドラム)101を内蔵し、帯電装置102、現像手段104、クリーニング手段107を有してなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。なお、103は露光装置による露光、105は記録媒体、108は転写手段である。
次に、図2に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて説明する。静電潜像担持体としての感光体ドラム101は、矢印方向に回転しながら、帯電装置102による帯電、露光装置(不図示)による露光103により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段104で現像され、得られた可視像は転写手段108により、記録媒体105に転写され、プリントアウトされる。次いで、転写後の感光体ドラム表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、更に除電手段(不図示)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
本発明で用いられる画像形成装置としては、前記静電潜像担持体と、現像装置、クリーニング装置等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。また、帯電装置、現像装置、転写装置、分離装置、及びクリーニング装置から選択される少なくとも1つを静電潜像担持体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱可能な単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱可能に構成してもよい。
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明で用いられる画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記静電潜像形成工程は前記静電潜像形成手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記定着工程は前記定着手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
−静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段−
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体としては、その材質、形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、ドラム状、シート状、エンドレスベルト状などが挙げられる。前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記画像形成装置の大きさや仕様等に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン、CdS、ZnO等の無機感光体;ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)、などが挙げられる。
前記アモルファスシリコン感光体は、例えば、支持体を50〜400℃に加熱し、該支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法により、a−Siからなる感光層を形成したものである。これらの中でも、プラズマCVD法が特に好ましく、具体的には、原料ガスを直流、高周波又はマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa−Siからなる感光層を形成する方法が好適である。
前記有機感光体(OPC)は、(1)光吸収波長域の広さ、光吸収量の大きさ等の光学特性、(2)高感度、安定な帯電特性等の電気的特性、(3)材料の選択範囲の広さ、(4)製造の容易さ、(5)低コスト、(6)無毒性、等の理由から一般に広く応用されている。このような有機感光体の層構成としては、単層構造と、積層構造とに大別される。
前記単層構造の感光体は、支持体と、該支持体上に単層型感光層を設けてなり、更に必要に応じて、保護層、中間層、その他の層を有してなる。
前記積層構造の感光体は、支持体と、該支持体上に電荷発生層、及び電荷輸送層を少なくともこの順に有する積層型感光層を設けてなり、更に必要に応じて、保護層、中間層、その他の層を有してなる。
前記静電潜像の形成は、例えば前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
前記帯電部材の形状としてはローラの他にも、磁気ブラシ、ファーブラシ等、どのような形態をとってもよく、画像形成装置の仕様や形態にあわせて選択可能である。磁気ブラシを用いる場合、該磁気ブラシとしては、例えばZn−Cuフェライト等、各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。磁気ブラシを用いる場合には、例えば、ファーブラシの材質としては、カーボン、硫化銅、金属又は金属酸化物により導電処理されたファーを用い、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり、張り付けたりすることで帯電器とする。
前記帯電器は、上記のような接触式の帯電器に限定されるものではないが、帯電器から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られるので、接触式の帯電器を用いることが好ましい。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。前記現像手段は、例えば、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、本発明の前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられ、本発明の前記トナー入り容器を備えた現像器などがより好ましい。
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体(感光体)の表面に該トナーによる可視像が形成される。
前記現像器に収容させる現像剤は、本発明の前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。該現像剤に含まれるトナーは、本発明の前記トナーである。
−転写工程及び転写手段−
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト、転写ローラなどが好適に挙げられる。
前記中間転写体の静止摩擦係数は、0.1〜0.6が好ましく、0.3〜0.5がより好ましい。前記中間転写体の体積抵抗は数Ωcm以上10Ωcm以下であることが好ましい。このように中間転写体の体積抵抗を数Ωcm以上10Ωcm以下とすることにより、中間転写体自身の帯電を防ぐとともに、電荷付与手段により付与された電荷が該中間転写体上に残留しにくくなるので、二次転写時の転写ムラを防止できる。また、二次転写時の転写バイアス印加を容易にすることができる。
前記中間転写体の材質としては、特に制限はなく、公知の材料の中から目的に応じて適宜選択することができるが、以下のものが好適である。
(1)ヤング率(引張弾性率)の高い材料を単層ベルトとして用いたものであり、例えばPC(ポリカーボネート)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PAT(ポリアルキレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)とPAT(ポリアルキレンテレフタレート)とのブレンド材料、ETFE(エチレンテトラフロロエチレン共重合体)とPCとのブレンド材料、ETFEとPATとのブレンド材料、PCとPATとのブレンド材料、カーボンブラック分散の熱硬化性ポリイミドなどが挙げられる。これらヤング率の高い単層ベルトは画像形成時の応力に対する変形量が少なく、特にカラー画像形成時にリブズレが生じにくいという利点を有している。
(2)上記(1)のヤング率の高いベルトを基層とし、その外周上に表面層又は中間層を形成した2〜3層構成のベルトであり、このような2〜3層構成のベルトは単層ベルトの硬さに起因して発生するライン画像の中抜けを防止しうる性能を有している。
(3)樹脂、ゴム又はエラストマーを用いたヤング率の比較的低い弾性ベルトであり、このような弾性ベルトは、その柔らかさによりライン画像の中抜けが殆ど生じないという利点を有している。また、弾性ベルトの幅を駆動ロール及び張架ロールより大きくし、ロールより突出したベルト耳部の弾力性を利用して蛇行を防止できるので、リブや蛇行防止装置を必要とせず低コストを実現できる。
これらの中でも、前記(3)の弾性ベルトが特に好ましい。
前記弾性ベルトは、転写部においてトナー層、平滑性の悪い記録媒体に対応して変形する。つまり、局部的な凹凸に追従して弾性ベルトは変形するため、トナー層に対して過度に転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られ、文字の中抜けが無く、平面性の悪い記録媒体に対しても均一性の優れた転写画像が得られる。
前記弾性ベルトに用いる樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリカーボネート樹脂、フッ素系樹脂(ETFE,PVDF)、ポリスチレン樹脂、クロロポリスチレン樹脂、ポリ−α−メチルスチレン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(例えば、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(例えば、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(例えば、シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記弾性ベルトに用いるゴムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば天然ゴム、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDMゴム、NBRゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記弾性ベルトに用いるエラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレア熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記弾性ベルトに用いる抵抗値調節用導電剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル等の金属粉末;酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物などが挙げられる。なお、前記導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。
また、前記弾性ベルトの表層は、弾性材料による静電潜像担持体への汚染防止、ベルト表面の摩擦抵抗を低減させてトナーの付着力を小さくし、クリーニング性、二次転写性を高めることができるものが好ましい。前記表層は、例えばポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等のバインダー樹脂と、表面エネルギーを小さくして潤滑性を高めることができる材料、例えばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、二酸化チタン、シリコンカーバイト等の粉体又は粒子とを含有することが好ましい。また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行いフッ素リッチな表層を形成して、表面エネルギーを小さくしたものを使用することもできる。
前記弾性ベルトの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、(1)回転する円筒形の型に材料を流し込みベルトを形成する遠心成型法、(2)液体塗料を噴霧して膜を形成するスプレー塗工法、(3)円筒形の型を材料の溶液中に浸けて引き上げるディッピング法、(4)内型や外型の中に注入する注型法、(5)円筒形の型にコンパウンドを巻き付けて加硫研磨を行う方法などが挙げられる。
また、前記弾性ベルトの伸びを防止する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば(1)芯体層に伸びを防止する材料を添加する方法、(2)伸びの少ない芯体層にゴム層を形成する方法、などが挙げられる。
前記伸びを防止する材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、綿、絹等の天然繊維;ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフロロエチレン繊維、フェノール繊維等の合成繊維;炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維等の無機繊維;鉄繊維、銅繊維等の金属繊維などが挙げられ、これら材料を織布状又は糸状としたものが好適に用いられる。
前記芯体層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、(1)筒状に織った織布を金型等に被せ、その上に被覆層を設ける方法、(2)筒状に織った織布を液状ゴム等に浸漬して芯体層の片面又は両面に被覆層を設ける方法、(3)糸を金型等に任意のピッチで螺旋状に巻き付け、その上に被覆層を設ける方法などが挙げられる。
前記被覆層の厚みは、該被覆層の硬度にもよるが、厚すぎると表面の伸縮が大きくなり表層に亀裂が発生しやすくなる。また、伸縮量が大きくなって画像の伸びや縮みが大きくなることから厚すぎる(約1mm以上)ことは好ましくない。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2以上であってもよい。前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ、などが挙げられる。前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御手段は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
次に、本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の態様について、図3を参照しながら説明する。図3に示す画像形成装置100は、前記静電潜像担持体としての感光体ドラム10と、前記帯電手段としての帯電ローラ20と、前記露光手段としての露光装置30と、前記現像手段としての現像装置40と、中間転写体50と、クリーニングブレードを有する前記クリーニング手段としてのクリーニング装置60と、前記除電手段としての除電ランプ70とを備える。
中間転写体50は、無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ51によって、矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50には、その近傍にクリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されており、また、記録媒体95に転写像を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー画像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、該中間転写体50の回転方向において、静電潜像担持体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と記録媒体95との接触部との間に配置されている。
現像装置40は、前記現像剤担持体としての現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えており、イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えており、マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えており、シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラに回転可能に張架され、一部が静電潜像担持体10と接触している。
図3に示す画像形成装置100において、例えば、帯電ローラ20が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光装置30が感光体ドラム10上に像様に露光を行い、静電潜像を形成する。感光体ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40からトナーを供給して現像して可視像(トナー像)を形成する。該可視像が、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に記録媒体95上に転写(二次転写)される。その結果、記録媒体95上には転写像が形成される。なお、静電潜像担持体10上の残存トナーは、クリーニング装置60により除去され、静電潜像担持体10における帯電は除電ランプ70により一旦、除去される。
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図4を参照しながら説明する。図4に示す画像形成装置100は、図3に示す画像形成装置100において、現像ベルト41を備えてなく、静電潜像担持体10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されていること以外は、図3に示す画像形成装置100と同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図4においては、図3におけるものと同じものは同符号で示した。
次に、本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施するタンデム型の画像形成装置について説明する。
前記タンデム型画像形成装置は、少なくとも静電潜像担持体、帯電手段、現像手段、及び転写手段を含む画像形成要素を複数配列したものである。このタンデム型画像形成装置では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の4つの画像形成要素を搭載し、各々の可視像を4つの画像形成要素で並列に作成し、記録媒体又は中間転写体上で重ね合わせることから、より高速にフルカラー画像を形成できる。
前記タンデム型の画像形成装置としては、(1)図5に示すように、複数の画像形成要素の各静電潜像担持体1との対向領域である転写位置を通過するように表面が移動する記録媒体Sに転写手段2により、順次、前記各静電潜像担持体1上に形成された可視像を転写する直接転写方式と、(2)図6に示すように、複数の画像形成要素の各静電潜像担持体1上の可視像を転写手段(一次転写手段)2により一旦中間転写体4に順次転写した後、中間転写体4上の画像を二次転写手段5により記録媒体Sに一括転写する間接転写方式とがある。なお、図6では二次転写手段として転写搬送ベルトを用いているが、ローラ形状であってもよい。
前記(1)の直接転写方式と、前記(2)の間接転写方式とを比較すると、前記(1)の直接転写方式は、静電潜像担持体1を並べたタンデム型画像形成部Tの上流側に給紙装置6を、下流側に定着手段としての定着装置7を配置しなければならず、記録媒体の搬送方向に大型化する。これに対し、前記(2)の間接転写方式は、二次転写位置を比較的自由に設置することができ、給紙装置6、及び定着装置7をタンデム型画像形成部Tと重ねて配置することができ、小型化が可能となるという利点がある。
また、前記(1)の直接転写方式では、記録媒体の搬送方向に大型化しないためには、定着装置7をタンデム型画像形成部Tに接近して配置することとなる。そのため、記録媒体Sがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができず、記録媒体Sの先端が定着装置7に進入するときの衝撃(特に厚い記録媒体で顕著となる)や、定着装置7を通過するときの記録媒体の搬送速度と、転写搬送ベルトによる記録媒体の搬送速度との速度差により、定着装置7が上流側の画像形成に影響を及ぼしやすい。これに対し、前記(2)の間接転写方式は、記録媒体Sがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができるから、定着装置7がほとんど画像形成に影響を及ぼさない。
以上のようなことから、最近では、特に間接転写方式のものが注目されてきている。この種のカラー画像形成装置では、図6に示すような、一次転写後に静電潜像担持体1上に残留する転写残トナーを、クリーニング手段としてのクリーニング装置8で除去して静電潜像担持体1表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えている。また、二次転写後に中間転写体4上に残留する転写残トナーを、中間転写体クリーニング装置9で除去して中間転写体4表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えている。
また、図7に示すタンデム画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置である。タンデム画像形成装置は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図7中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される記録媒体と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。
なお、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、記録媒体の両面に画像形成を行うために該記録媒体を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
次に、タンデム型現像器120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段、及びシアン用画像形成手段)は、図8に示すように、それぞれ、静電潜像担持体10(ブラック用静電潜像担持体10K、イエロー用静電潜像担持体10Y、マゼンタ用静電潜像担持体10M、及びシアン用静電潜像担持体10C)と、該静電潜像担持体を一様に帯電させる帯電装置160と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記静電潜像担持体を露光(図8中、L)し、該感光体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光装置(不図示)と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー、及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する現像装置61と、該トナー画像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、クリーニング装置63と、除電装置64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用静電潜像担持体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用静電潜像担持体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用静電潜像担持体10M上に形成されたマゼンタ画像、及びシアン用静電潜像担持体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つから記録媒体を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ142を回転して手差しトレイ54上の記録媒体を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間に記録媒体を送出させ、二次転写装置22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該記録媒体上に転写(二次転写)することにより、該記録媒体上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
カラー画像が転写され形成された前記記録媒体は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25へと送出され、この定着装置25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該記録媒体上に定着される。その後、該記録媒体は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
本発明の画像形成方法及び画像形成装置では、安定した体積平均粒径、及びシャープな粒度分布を有し、静電潜像を忠実に現像することができ、地汚れの発生を防止できる本発明の前記トナーを用いているので、高画質なフルカラー画像を形成できる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
下記実施例及び比較例において、溶解乃至分散物の油相粘度特性、比重、トナーの体積平均粒子径(Dv)及び粒度分布(Dv/Dn)、ポリエステル樹脂の質量平均分子量、酸価、アミン価の測定は、以下のようにして行った。
<溶解乃至分散物の油相粘度特性の測定方法>
前記溶解乃至分散物の粘度特性tanθ及びCasson降伏値は、ハイシェア粘度計を用いて、下記の条件で測定した。
〔測定条件〕
・装置:AR2000(TAインスツルメンツ社製)
・シア−ストレス:120Pa/5分
・ジオメトリー:40mmスチールプレート
・ジオメトリーギャップ:1mm
・解析ソフト:TA DATA ANALYSIS(TAインスツルメンツ社製)
Casson降伏値(応力降伏値Pa)は、Casson流動方程式より、せん断速度s−1=1とs−1=2のs−1=0の外挿点とする。測定上のせん断速度の範囲は0s−1〜300s−1である。
粘度特性tanθは、油相のフローカーブを測定する。条件は25℃でGAPは0.5mmとし、測定範囲は、せん断速度が0s−1→1800s−1→0s−1とする。
粘度特性tanθは、せん断速度s−1と、せん断応力のLog−Logグラフから求めることができる。なお、せん断速度の範囲は0s−1〜2000s−1である。
また、前記見掛け粘度は、せん断速度100s−1時のせん断応力値をPとした時の「P/100」を示す。
また、前記粘度比は、せん断速度100s−1時の見掛け粘度と、せん断速度1000s−1時の見掛け粘度の比率を示す。
また、前記構造粘性の回復率は、油相のフローカーブにおいて、せん断速度が0s−1→1800s−1のせん断応力値をP1とし、せん断速度が1800s−1→0s−1のせん断応力値をP2とすると、「P2/P1」を示す。
<溶解乃至分散物の酸価及びアミン価の測定方法>
前記溶解乃至分散物の酸価及びアミン価は、具体的には、次のような手順で決定した。ただし、サンプルが溶解しない場合は、溶媒にジオキサン又はTHF等の溶媒を用いた。
・測定装置:電位差自動滴定装置DL−53 Titrator(メトラー・トレド社製)
・使用電極 :DG113−SC(メトラー・トレド社製)
・解析ソフト:LabX Light Version1.00.000
・装置の校正:トルエン120mlとエタノール30mlの混合溶媒を使用した。
・測定温度:23℃
具体的な測定条件は以下のとおりである。
Stir
Speed[%] 25
Time[s] 15
EQP titration
Titrant/Sensor
Titrant CH3ONa
Concentration[mol/L] 0.1
Sensor DG115
Unit of measurement mV
Predispensing to volume
Volume[mL] 1.0
Wait time[s] 0
Titrant addition Dynamic
dE(set)[mV] 8.0
dV(min)[mL] 0.03
dV(max)[mL] 0.5
Measure mode Equilibrium controlled
dE[mV] 0.5
dt[s] 1.0
t(min)[s] 2.0
t(max)[s] 20.0
Recognition
Threshold 100.0
Steepest jump only No
Range No
Tendency None
Termination
At maximum volume[mL] 10.0
At potential No
At slope No
After number EQPs Yes
n=1
comb. Termination conditions No
Evaluation
Procedure Standard
Potential 1 No
Potential 2 No
Stop for reevaluation No
−酸価の測定方法−
前記酸価は、JIS K0070−1992に記載の測定方法に準拠して、以下の条件で測定した。
試料調製:トナー0.5gをトルエン120mlに添加して室温(23℃)で約10時間撹拌して溶解した。更に、エタノール30mlを添加して試料溶液とした。
前記酸価の測定は、上記の条件及び装置にて計算することができるが、具体的には次のように計算した。
予め標定されたN/10苛性カリウム〜アルコール溶液で滴定し、アルコールカリウム液の消費量から次の計算式で酸価を求めた。
酸価=KOH(ml数)×N×56.1/試料質量
ただし、Nは、(N/10)KOHのファクターである。
−アミン価の測定方法−
前記アミン価の測定は、上記の条件及び装置にて計算することができるが、具体的には次のように計算した。
予め評定されたN/10塩酸〜アルコール溶液で滴定し、塩酸〜アルコール液の消費量から次の計算式でアミン価を求めた。
アミン価=HCl(ml数)×N×56.1/試料質量
ただし、Nは、(N/10)HClのファクターである。
<溶解乃至分散物の比重の測定>
前記溶解乃至分散物の比重は、流量計として設備導入されている「オーバルコリオリ流量計」により測定した。
<トナーの体積平均粒径(Dv)及び粒度分布(Dv/Dn)の測定>
前記トナーの体積平均粒径及び粒度分布は、コールターマルチサイザーIII(コールター社製)を用い、パーソナルコンピューター(IBM社製)を接続し、専用解析ソフト(コールター社製)を用いてデータ解析した。粒径10μmの標準粒子を用いて設定し、アパーチャカレントはオートマティックの設定で行った。電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1質量%NaCl水溶液を調製する。その他、ISOTON−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加えた。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、100μmアパーチャーチューブを用いて、2μm以上のトナーの体積、及び個数を5万カウント測定して体積分布(Dv)及び個数分布(Dn)を算出した。そして、体積分布から求めた体積基準の体積平均粒径及び個数分布から求めた個数基準の個数平均粒径を求めた。
<ポリエステル樹脂の質量平均分子量の測定>
前記ポリエステル樹脂の質量平均分子量はGPC(gel permeation chromatography)によって以下の条件で測定した。
・装置:GPC−150C(ウォーターズ社製)
・カラム:KF801〜807(ショウデックス社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
・試料:濃度0.05〜0.6%の試料を0.1mL注入した。
以上の条件で測定したポリエステル樹脂の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用してポリエステル樹脂の質量平均分子量を算出した。なお、イソシアネート末端変性ポリエステル樹脂の場合には、該ポリエステル樹脂に存在するイソシアネート基の3倍mol量のn−ジブチルアミンを添加し、イソシアネート末端を封止したサンプルを用いた。
(実施例1)
<トナー1の作製>
−低分子ポリエステル1の合成−
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器内に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529質量部、テレフタル酸208質量部、アジピン酸46質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応した。次いで、10〜15mmHgの減圧下で5時聞反応した後、反応容器内に無水トリメリット酸44質量部を入れ、常圧下、180℃にて2時間反応し、「低分子ポリエステル1」を合成した。得られた[低分子ポリエステル1〕は、数平均分子量2,500、質量平均分子量6,700、ガラス転移温度(Tg)43℃、酸価25mgKOH/gであった。
−マスターバッチ(MB)1の作製−
水1,200質量部、カーボンブラック(Printex35、デクサ社製)540部〔DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5〕、ポリエステル樹脂1,200質量部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合した。得られた混合物を2本ロールを用いて150℃で30分間混練した後、圧延冷却し、パルペライザーで粉砕して、「マスターバッチ1」を作製した。
−ケチミン化合物(伸長剤)1の合成−
撹拌棒、及び温度計をセットした反応容器内に、イソホロンジアミン170質量部、及びメチルエチルケトン(MEK)75質量部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、「ケチミン化合物1」を合成した。得られた「ケチミン化合物1」のアミン価は418mgKOH/gであった。
−A油相1の作製−
撹拌棒、及び温度計をセットした容器内に、「低分子ポリエステル1」378質量部、カルナバワックス110質量部、帯電制御剤(CCA、サリチル酸金属錯体E−84、オリエント化学工業株式会社製)22質量部、及び酢酸エチル947質量部を仕込み、撹拌下、80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで、容器内に「マスターバッチ1」500質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、1時間混合して、「原料溶解液1」を得た。
得られた「原料溶解液1」1,324質量部を容器内に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填し、3パスの条件で、カーボンブラック、及びカルナバワックスの分散を行った。次いで、「低分子ポリエステル1」の65質量%酢酸エチル溶液1,324質量部を加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料及びワックス分散液1]を得た。得られた「顔料及びワックス分散液1」の固形分濃度(130℃、30分)は50質量%であった。
次に、「顔料及びワックス分散液1」749質量部、及び「ケチミン化合物1」2.9質量部を容器内に入れ、ホモディスパー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、5,000rpmで15分間混合した。以上により、「A油相1」を作製した。
−B油相1の作製−
冷却管、撹拌機、及び窒索導入管の付いた反応容器内に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81質量部、テレフタル酸283質量部、無水トリメリット酸22質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応し、次いで、10〜15mmHgの減圧で5時間反応して、「中間体ポリエステル1」を合成した。得られた「中間体ポリエステル1」は、数平均分子量2,100、質量平均分子量9,500、ガラス転移温度(Tg)55℃、酸価0.5mgKOH/g、水酸基価51mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器内に、「中間体ポリエステル1」410質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、及び酢酸エチル500質量部を入れ、100℃で5時間反応し、「プレポリマー1」を合成した。得られた「プレポリマー1」の遊離イソシアネート質量%は、1.53%であった。以上により、「B油相1」を作製した。
−水相1の調製−
撹拌棒、及び温度計をセットした反応容器内に、水683質量部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業株式会社製)11質量部、スチレン83質量部、メタクリル酸83質量部、アクリル酸ブチル110質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。更に、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液(「微粒子分散液1」)を得た。
得られた「微粒子分散液1」を粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ体積平均粒径は105nmであった。また、[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のガラス転移温度(Tg)は59℃であり、質量平均分子量は15万であった。
次に、「微粒子分散液1」83質量部、水990質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを「水相1」とする。
−乳化工程−
「A油相1」を60.4質量部、「B油相1」を7.4質量部、及び「水相1」を101.6質量部用いて、乳化機のせん断周速を17.0mとし、エマルジョンを形成した。乳化機によるせん断を受ける前(プレ攪拌後)の「A油相1」及び「B油相1」からなる溶解乃至分散物(油相)の諸物性を測定したところ、以下の結果が得られた。
・粘度特性tanθ(25℃):0.92
・ハイシェア粘度計による見掛け粘度:250mPa・s
・粘度比:1.7
・構造粘性の回復率:95%
・Casson降伏値:6.0
・分散物の酸価:11.0mgKOH/g
・分散物のアミン価:4.5mgKOH/g
・分散物の固形分換算値:40質量%
・分散物/水系媒体 質量比:40/60
・分散物の比重ρ1/水系媒体の比重ρ2:0.97
−トナーの作製−
得られた乳化分散液を45℃まで昇温して、攪拌翼外周端周速10.5m/s、大気圧下(101.3kPa)で溶剤を除去した。脱溶剤時間は20時間を要した。その後、濾別し、洗浄し、乾燥させて、「トナー母体粒子1」を作製した。
得られた「トナー母体粒子1」100質量部、及び帯電制御剤(オリエント化学株式会社製、ボントロン E−84)0.25質量部をQ型ミキサー(三井鉱山株式会社製)に仕込み、タービン型羽根の周速を50m/secに設定し、2分間運転、1分間休止を5サイクル行い、合計10分間処理した。
次に、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)を0.5質量部添加し、周速を15m/secとして30秒間混合し、1分間休止を5サイクル行った。更に、疎水性シリカ0.5質量部と、疎水化酸化チタン0.5質量部をヘンシェルミキサーにて混合し、目開き37μmのスクリーンで粗大粒子を除去して、実施例1のブラックトナーを作製した。
(実施例2)
<トナー2の作製>
実施例1において、「A油相1の作製」を、下記の「A油相2の作製」に変更した以外は、実施例1と同様にして、「A油相2」を作製した。
−A油相2の作製−
撹拌棒、及び温度計をセットした容器内に、「低分子ポリエステル1」378質量部、カルナバワックス110質量部、帯電制御剤(CCA、サリチル酸金属錯体E−84、オリエント化学工業株式会社製)22質量部、酢酸エチル947質量部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで、容器内に「マスターバッチ1」500質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、1時間混合して、「原料溶解液1」を得た。
得られた「原料溶解液1」1,324質量部を容器内に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填し、3パスの条件で、カーボンブラック、ワックスの分散を行った。次いで、「低分子ポリエステル1」の65質量%酢酸エチル溶液1,324質量部加え、上記条件のビーズミルで1パスし、「顔料及びワックス分散液1」を得た(「顔料及びワックス分散液1」の固形分濃度(130℃、30分)は50質量%であった)。
得られた「顔料及びワックス分散液1」749質量部、及び「ケチミン化合物1」3.5質量部を容器内に入れ、エバラマイルダー(荏原製作所製)を用い、3,000rpmで15分間混合した。以上により、「A油相2」を作製した。
−乳化工程−
「A油相2」を68.0質量部、「B油相1」を8.3質量部、及び「水相1」を93.1質量部用いて、乳化機のせん断周速を17.0mとし、エマルジョンを形成した。乳化機によるせん断を受ける前(プレ攪拌後)の「A油相2」及び「B油相1」からなる溶解乃至分散物(油相)の諸物性を測定したところ、以下の結果が得られた。
・粘度特性tanθ(25℃):0.90
・ハイシェア粘度計による見掛け粘度:300mPa・s
・粘度比:1.5
・構造粘性の回復率:95%
・Casson降伏値:6.0
・分散物の酸価:11.0mgKOH/g
・分散物のアミン価:5.4mgKOH/g
・分散物の固形分換算値:40質量%
・分散物/水系媒体 質量比:45/55
・分散物の比重ρ1/水系媒体の比重ρ2:0.98
−トナーの作製−
以下、実施例1と同様にして、実施例2のブラックトナーを作製した。
(実施例3)
<トナー3の作製>
実施例1において、「A油相1の作製」を、下記の「A油相3の作製」に変更した以外は、実施例1と同様にして、「A油相3」を作製した。
−A油相3の作製−
撹拌棒、及び温度計をセットした容器内に、「低分子ポリエステル1」378質量部、カルナバワックス110質量部、帯電制御剤(CCA、サリチル酸金属錯体E−84、オリエント化学工業株式会社製)22質量部、及び酢酸エチル947質量部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで、容器内に「マスターバッチ1」500質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、1時間混合し、「原料溶解液1」を得た。
得られた「原料溶解液1」1,324質量部を容器内に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填し、3パスの条件で、カーボンブラック、及びワックスの分散を行った。次いで、「低分子ポリエステル1」の65質量%酢酸エチル溶液1,324質量部を加え、上記条件のビーズミルで1パスし、「顔料及びワックス分散液1」を得た。得られた「顔料及びワックス分散液1」の固形分濃度(130℃、30分)は50質量%であった。
得られた「顔料及びワックス分散液1」749質量部、及び「ケチミン化合物1」3.5質量部を容器内に入れ、ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用い3,000rpmで15分間混合した。以上により、「A油相3」を作製した。
−乳化工程−
「A油相3」を52.9質量部、「B油相1」を6.5質量部、及び「水相1」を110.1質量部用いて、乳化機のせん断周速を17.0mとし、エマルジョンを形成した。乳化機によるせん断を受ける前(プレ攪拌後)の「A油相3」及び「B油相1」からなる溶解乃至分散物(油相)の諸物性を測定したところ、以下の結果が得られた。
・粘度特性tanθ(25℃):0.91
・ハイシェア粘度計による見掛け粘度:350mPa・s
・粘度比:2.0
・構造粘性の回復率:93%
・Casson降伏値:7.0
・分散物の酸価:11.0mgKOH/g
・分散物のアミン価:5.4mgKOH/g
・分散物の固形分換算値:40質量%
・分散物/水系媒体 質量比:35/65
・分散物の比重ρ1/水系媒体の比重ρ2:0.98
−トナーの作製−
以下、実施例1と同様にして、実施例3のブラックトナーを作製した。
(実施例4)
<トナー4の作製>
−マスターバッチ(MB)2の作製−
水1,200質量部、C.I.Pigment Yellow 4G(PY 4G)(クラリアント社製、商品名:Novoperm Yellow 4G)540質量部、及びポリエステル樹脂1,200質量部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合し、得られた混合物を2本ロールを用いて150℃で30分間混練した後、圧延冷却し、パルペライザーで粉砕して、「マスターバッチ2」を作製した。
−A油相4の作製−
撹拌棒、及び温度計をセットした容器内に、「低分子ポリエステル1」378質量部、カルナバワックス110質量部、帯電制御剤(CCA、サリチル酸金属錯体E−84、オリエント化学工業株式会社製)22質量部、及び酢酸エチル947質量部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで、容器内に「マスターバッチ2」500質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、1時間混合し「原料溶解液1」を得た。
得られた「原料溶解液1」1,324質量部を容器内に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填し、3パスの条件で、C.I.Pigment Yellow 4G、及びワックスの分散を行った。次いで、「低分子ポリエステル1」の65質量%酢酸エチル溶液1,324質量部を加え、上記条件のビーズミルで1パスし、「顔料及びワックス分散液1」を得た。得られた「顔料及びワックス分散液1」の固形分濃度(130℃、30分)は50質量%であった。
得られた「顔料及びワックス分散液1」749質量部、及び「ケチミン化合物1」3.5質量部を容器内に入れ、ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、3,000rpmで15分間混合した。以上により、「A油相4」を作製した。
−乳化工程−
「A油相4」を52.9質量部、「B油相1」を6.5質量部、及び「水相1」を110.1質量部用いて、乳化機のせん断周速を17.0mとし、エマルジョンを形成した。乳化機によるせん断を受ける前(プレ攪拌後)の「A油相4」及び「B油相1」からなる溶解乃至分散物(油相)の諸物性を測定したところ、以下の結果が得られた。
・粘度特性tanθ(25℃):0.88
・ハイシェア粘度計による見掛け粘度:380mPa・s
・粘度比:1.6
・構造粘性の回復率:92%
・Casson降伏値:8.5
・分散物の酸価:11.0mgKOH/g
・分散物のアミン価:5.4mgKOH/g
・分散物の固形分換算値:40質量%
・分散物/水系媒体 質量比:35/65
・分散物の比重ρ1/水系媒体の比重ρ2:0.96
−トナーの作製−
以下、実施例1と同様にして、実施例4のイエロートナーを作製した。
(実施例5)
−トナー5の作製−
実施例4において、乳化工程で「A油相4」を60.4質量部、「B油相1」を7.4質量部、及び「水相1」を101.6質量部用いて、乳化機のせん断周速を17.0mとし、エマルジョンを形成した。乳化機によるせん断を受ける前(プレ攪拌後)の「A油相4」及び「B油相1」からなる溶解乃至分散物(油相)の諸物性を測定したところ、以下の結果が得られた。
・粘度特性tanθ(25℃):0.88
・ハイシェア粘度計による見掛け粘度:380mPa・s
・粘度比:1.7
・構造粘性の回復率:92%
・Casson降伏値:8.5
・分散物の酸価:11.0mgKOH/g
・分散物のアミン価:5.4mgKOH/g
・分散物の固形分換算値:40質量%
・分散物/水系媒体 質量比:40/60
・分散物の比重ρ1/水系媒体の比重ρ2:0.96
−トナーの作製−
以下、実施例1と同様にして、実施例5のイエロートナーを作製した。
(実施例6)
<トナー6の作製>
−マスターバッチ(MB)3の作製−
水1,200質量部、C.I.Pigment Red 1022(PR 1022)(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:TOSHIKI RED 1022)540質量部、及びポリエステル樹脂1,200質量部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合し、得られた混合物を2本ロールを用いて、150℃で30分間混練後、圧延冷却し、パルペライザーで粉砕して、「マスターバッチ3」を作製した。
−A油相6の作製−
撹拌棒、及び温度計をセットした容器内に、「低分子ポリエステル1」378質量部、カルナバワックス110質量部、帯電制御剤(CCA、サリチル酸金属錯体E−84、オリエント化学工業株式会社製)22質量部、及び酢酸エチル947質量部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで、容器内に「マスターバッチ3」500質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、1時間混合して「原料溶解液1」を得た。
得られた「原料溶解液1」1,324質量部を容器内に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填し、3パスの条件で、C.I.Pigment Red 1022、及びワックスの分散を行った。次いで、「低分子ポリエステル1」の65質量%酢酸エチル溶液1,324質量部を加え、上記条件のビーズミルで1パスし、「顔料及びワックス分散液1」を得た。得られた「顔料及びワックス分散液1」の固形分濃度(130℃、30分)は50質量%であった。
得られた「顔料及びワックス分散液1」749質量部、及び「ケチミン化合物1」3.5質量部を容器内に入れ、ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて3,000rpmで15分間混合した。以上により、「A油相6」を作製した。
−乳化工程−
「A油相6」を52.9質量部、「B油相1」を6.5質量部、及び「水相1」を110.1質量部用いて、乳化機のせん断周速を17.0mとし、エマルジョンを形成した。乳化機によるせん断を受ける前(プレ攪拌後)の「A油相6」及び「B油相1」からなる溶解乃至分散物(油相)の諸物性を測定したところ、以下の結果が得られた。
・粘度特性tanθ(25℃):0.89
・ハイシェア粘度計による見掛け粘度:350mPa・s
・粘度比:1.8
・構造粘性の回復率:91%
・Casson降伏値:8.5
・分散物の酸価:11.0mgKOH/g
・分散物のアミン価:5.4mgKOH/g
・分散物の固形分換算値:40質量%
・分散物/水系媒体 質量比:35/65
・分散物の比重ρ1/水系媒体の比重ρ2:0.96
−トナーの作製−
以下、実施例1と同様にして、実施例6のマゼンタトナーを作製した。
(実施例7)
<トナー7の作製>
実施例6において、「ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて3,000rpmで15分間混合」を「エバラマイルダー(荏原製作所製)を用いて3,000rpmで15分間混合」に変えた以外は、実施例6と同様にして、「A油相7」を作製した。
−乳化工程−
「A油相7」を52.9質量部、「B油相1」を6.5質量部、及び「水相1」を110.1質量部用いて、乳化機のせん断周速を17.0mとし、エマルジョンを形成した。乳化機によるせん断を受ける前(プレ攪拌後)の「A油相7」及び「B油相1」からなる溶解乃至分散物(油相)の諸物性を測定したところ、以下の結果が得られた。
・粘度特性tanθ(25℃):0.78
・ハイシェア粘度計による見掛け粘度:180mPa・s
・粘度比:1.85
・構造粘性の回復率:88%
・Casson降伏値:4.5
・分散物の酸価:11.0mgKOH/g
・分散物のアミン価:5.4mgKOH/g
・分散物の固形分換算値:40質量%
・分散物/水系媒体 質量比:35/65
・分散物の比重ρ1/水系媒体の比重ρ2:0.96
−トナーの作製−
以下、実施例1と同様にして、実施例7のマゼンタトナーを作製した。
(比較例1)
<比較トナー1の作製>
−低分子ポリエステル2の合成−
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器内に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529質量部、テレフタル酸208質量部、アジピン酸46質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応した。次いで、10〜15mmHgの減圧下で5時聞反応した後、反応容器内に無水トリメリット酸64質量部を入れ、常圧下、180℃にて2時間反応し、「低分子ポリエステル2」を合成した。得られた「低分子ポリエステル2」は、数平均分子量2,600、質量平均分子量6,800、ガラス転移温度(Tg)43.2℃、酸価32.0mgKOH/gであった。
次に、実施例4のA油相4の作製において、「「ケチミン化合物1」3.5質量部を容器内に入れ、ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて3,000rpmで15分間混合」を、「「ケチミン化合物1」1.5質量部を容器内に入れ、ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて2,000rpmで10分間混合」に変更した以外は、実施例4と同様にして、「A油相8」を作製した。
−乳化工程−
「A油相8」を45.3質量部、「B油相1」を4.9質量部、及び「水相1」を128.5質量部用いて、乳化機のせん断周速を17.0mとし、エマルジョンを形成した。乳化機によるせん断を受ける前(プレ攪拌後)の「A油相8」及び「B油相1」からなる溶解乃至分散物(油相)の諸物性を測定したところ、以下の結果が得られた。
・粘度特性tanθ(25℃):0.96
・ハイシェア粘度計による見掛け粘度:450mPa・s
・粘度比:1.4
・構造粘性の回復率:85%
・Casson降伏値:4.5
・分散物の酸価:16.0mgKOH/g
・分散物のアミン価:2.3mgKOH/g
・分散物の固形分換算値:35質量%
・分散物/水系媒体 質量比:30/70
・分散物の比重ρ1/水系媒体の比重ρ2:0.94
−トナーの作製−
以下、実施例1と同様にして、比較例1のイエロートナーを作製した。
(比較例2)
<比較トナー2の作製>
−低分子ポリエステル3の合成−
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器内に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529質量部、テレフタル酸208質量部、アジピン酸46質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応した。次いで、10〜15mmHgの減圧下で5時聞反応した後、反応容器内に無水トリメリット酸16質量部を入れ、常圧下、180℃にて2時間反応し、「低分子ポリエステル3」を合成した。得られた「低分子ポリエステル3」は、数平均分子量2,350、質量平均分子量6,500、ガラス転移温度(Tg)42.5℃、酸価32.0mgKOH/gであった。
次に、実施例4のA油相4の作製において、「「ケチミン化合物1」3.5質量部を容器内に入れ、ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて3,000rpmで15分間混合」を、「「ケチミン化合物1」1.5質量部を容器内に入れ、ホモディスパー(特殊機化工業株式会社製)を用いて2,000rpmで10分間混合」に変更した以外は、実施例4と同様にして、「A油相9」を作製した。
−乳化工程−
「A油相9」を45.3質量部、「B油相1」を4.9質量部、及び「水相1」を128.5質量部用いて、乳化機のせん断周速を17.0mとし、エマルジョンを形成した。乳化機によるせん断を受ける前(プレ攪拌後)の「A油相9」及び「B油相1」からなる溶解乃至分散物(油相)の諸物性を測定したところ、以下の結果が得られた。
・粘度特性tanθ(25℃):0.96
・ハイシェア粘度計による見掛け粘度:90mPa・s
・粘度比:1.4
・構造粘性の回復率:88%
・Casson降伏値:4.5
・分散物の酸価:16.0mgKOH/g
・分散物のアミン価:6.0mgKOH/g
・分散物の固形分換算値:35質量%
・分散物/水系媒体 質量比:30/70
・分散物の比重ρ1/水系媒体の比重ρ2:0.94
−トナーの作製−
以下、実施例1と同様にして、比較例2のイエロートナーを作製した。
次に、得られた各トナーについて、以下のようにして、画像評価(細線再現性)及び帯電量を評価した。結果を表1及び表2に示す。
<画像評価(細線再現性)>
各トナーを、中間転写方式のカラー複写機(イマジオカラー5000、株式会社リコー製)の定着オイル部分を除去した改造機に入れ、画像占有率7%の印字率で株式会社リコー製の6000ペーパーを用いてランニングを実施した。その時の初期10枚目の画像と3万枚目の画像の細線部を原稿と比較し、光学顕微鏡を用いて100倍で拡大観察し、ラインの抜けの状態を段階見本と比較しながら5段階で評価した。1〜5の評価で5が一番良い。なお、3.5以上を合格とする。
<帯電量の測定>
フェライトキャリア60gとトナー3gとを混合して現像剤を作製し、その現像剤6gを計量し、密閉できる金属円柱に仕込み、ブローして帯電量を求めた。なお、トナー濃度は4.5〜5.5質量%に調整した。帯電量の最適範囲は−35±4μC/gである。
表1及び表2の結果から、実施例1〜7は、比較例1〜2に比べて、トナー帯電量が適正であり、画像評価(細線再現性)も良好であることが認められる。
実施例4及び5における画像評価が「4」であり、他の実施例に比べてやや劣るのは、Dv/Dnが1.21、1.22と若干悪いことに起因している。
本発明のトナーの製造方法により製造された本発明のトナーは、帯電性が向上する結果、地汚れの発生を防止でき、細線再現性が向上し、高画質なフルカラー画像を形成できるので、フルカラーの電子写真方式の現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置などに幅広く適用される。
図1は、本発明のトナーの製造方法における連続乳化プロセスの一例を示す図である。 図2は、本発明で用いるプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。 図3は、本発明の画像形成方法に用いる画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 図4は、本発明の画像形成方法に用いる画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。 図5は、本発明の画像形成方法に用いる画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。 図6は、本発明の画像形成方法に用いる画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。 図7は、本発明の画像形成方法に用いる画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。 図8は、図7の画像形成要素部分の概略拡大図である。
符号の説明
1 静電潜像担持体(感光体ドラム)
2 転写装置
3 シート搬送ベルト
4 中間転写体
5 二次転写装置
6 給紙装置
7 定着装置
8 クリーニング装置
9 中間転写体クリーニング装置
10 静電潜像担持体(感光体ドラム)
10K ブラック用静電潜像担持体
10Y イエロー用静電潜像担持体
10M マゼンタ用静電潜像担持体
10C シアン用静電潜像担持体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック用現像器
45Y イエロー用現像器
45M マゼンタ用現像器
45C シアン用現像器
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
60 クリーニング装置
61 現像装置
62 転写帯電器
63 クリーニング装置
64 除電装置
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 記録媒体
100 画像形成装置
101 静電潜像担持体
102 帯電装置
103 露光
104 現像手段
105 記録媒体
107 クリーニング手段
108 転写手段
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
160 帯電装置
200 給紙テーブル
210 画像定着装置
220 加熱ローラ
230 加圧ローラ
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)

Claims (10)

  1. 少なくとも2種の樹脂と、着色剤と、離型剤とを少なくとも含有するトナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散した油相を、樹脂微粒子を含有する水系媒体中に乳化乃至分散させて油滴を形成する乳化工程を少なくとも含むトナーの製造方法における前記油滴の粘度を評価する方法であって、
    前記油滴の25℃における粘度特性tanθが0.70〜0.95であり、かつ前記油滴のハイシェア粘度計による見掛け粘度が100〜400mPa・sであるか否かを評価することを含むことを特徴とするトナーの原料油滴の粘度評価方法。
  2. 油滴のハイシェア粘度計による下記数式1で表される粘度比が1.5〜2.5である請求項1に記載のトナーの原料油滴の粘度評価方法。
    <数式1>
    粘度比=(100rpmでの見掛け粘度)÷(1,000rpmでの見掛け粘度)
  3. 油滴の構造粘性の回復率が90%以上である請求項1から2のいずれかに記載のトナーの原料油滴の粘度評価方法。
  4. 油滴のハイシェア粘度計によるCasson降伏値が5.0〜10.0である請求項1から3のいずれかに記載のトナーの原料油滴の粘度評価方法。
  5. 油滴の酸価が5.0〜15.0mgKOH/gである請求項1から4のいずれかに記載のトナーの原料油滴の粘度評価方法。
  6. 油滴のアミン価が1.0〜10.0mgKOH/gである請求項1から5のいずれかに記載のトナーの原料油滴の粘度評価方法。
  7. 油滴の固形分換算濃度が40〜60質量%である請求項1から6のいずれかに記載のトナーの原料油滴の粘度評価方法。
  8. 油相と水系媒体の混合質量比率(油相:水系媒体)が、50:50〜30:70である請求項1から7のいずれかに記載のトナーの原料油滴の粘度評価方法。
  9. 油相の比重をρ1とし、水系媒体の比重をρ2とすると、比(ρ1/ρ2)が0.95〜1.05である請求項1から8のいずれかに記載のトナーの原料油滴の粘度評価方法。
  10. 少なくとも2種の樹脂が、互いに重量平均分子量が異なるポリエステル樹脂である請求項1から9のいずれかに記載のトナーの原料油滴の粘度評価方法。
JP2006198566A 2006-07-20 2006-07-20 トナーの原料油滴の粘度評価方法 Expired - Fee Related JP4749964B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006198566A JP4749964B2 (ja) 2006-07-20 2006-07-20 トナーの原料油滴の粘度評価方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006198566A JP4749964B2 (ja) 2006-07-20 2006-07-20 トナーの原料油滴の粘度評価方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008026567A JP2008026567A (ja) 2008-02-07
JP4749964B2 true JP4749964B2 (ja) 2011-08-17

Family

ID=39117264

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006198566A Expired - Fee Related JP4749964B2 (ja) 2006-07-20 2006-07-20 トナーの原料油滴の粘度評価方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4749964B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5755423B2 (ja) * 2009-09-15 2015-07-29 三洋化成工業株式会社 分散液の製造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005173017A (ja) * 2003-12-09 2005-06-30 Ricoh Co Ltd 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法
JP2006016473A (ja) * 2004-06-30 2006-01-19 Sanyo Chem Ind Ltd 樹脂分散体の製造方法及び樹脂粒子
JP2006085095A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Ricoh Co Ltd トナー、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP2006084742A (ja) * 2004-09-15 2006-03-30 Ricoh Co Ltd トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法
JP2006085094A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Ricoh Co Ltd トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005173017A (ja) * 2003-12-09 2005-06-30 Ricoh Co Ltd 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法
JP2006016473A (ja) * 2004-06-30 2006-01-19 Sanyo Chem Ind Ltd 樹脂分散体の製造方法及び樹脂粒子
JP2006084742A (ja) * 2004-09-15 2006-03-30 Ricoh Co Ltd トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法
JP2006085095A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Ricoh Co Ltd トナー、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP2006085094A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Ricoh Co Ltd トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008026567A (ja) 2008-02-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5042889B2 (ja) トナー及び現像剤、並びにこれを用いた画像形成方法
JP4541814B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法
JP5526556B2 (ja) トナー、並びに現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法
JP5086739B2 (ja) トナー、及びその製造方法、並びに該トナーを用いた現像剤
JP5022046B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに画像形成方法
JP4966057B2 (ja) トナー、並びに現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP2010096987A (ja) 電子写真用トナー及び画像形成方法
JP4597821B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法
JP4815306B2 (ja) トナー、並びにそれを用いた現像剤及び画像形成方法
JP4746480B2 (ja) トナー、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP5347367B2 (ja) トナー、現像剤、画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ、トナー入り容器
JP4313300B2 (ja) トナーの製造方法
JP4944549B2 (ja) トナー及びそれを用いた画像形成方法
JP4749964B2 (ja) トナーの原料油滴の粘度評価方法
JP5081719B2 (ja) 静電荷像現像用トナー、現像剤、画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ
JP2008262166A (ja) トナー、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法
JP4319634B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法
JP4566869B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP4602880B2 (ja) トナー、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP2006227190A (ja) トナー及びその製造方法、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP4607228B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法
JP4917931B2 (ja) トナーの製造方法
JP4806252B2 (ja) トナー、並びに現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP5233574B2 (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP4401914B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに、画像形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090423

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110222

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110422

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110517

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110518

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4749964

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140527

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees