一方、ユーザが前記携帯電話機のメモリー内に保存したデジタル写真、ビジネス文書等のデータを印刷する方法としては、前記携帯電話機のメモリーを画像形成装置の読み取り装置に直接つないで印刷すべきデータ(以下、印刷データ)を前記画像形成装置に送信して印刷を行う方法と、前記携帯電話機と無線のデータ送受信可能な画像形成装置に無線で印刷データを送信して印刷を行う方法等がある。
上記の前記携帯電話機のメモリーを画像形成装置の読み取り装置に直接つなぐ方法の場合は、カード型のメモリーを前記携帯電話機から引き出し、前記画像形成装置のメモリーカードリーダに挿入して行う必要がある。また、印刷が完了した後は、再び、カード型のメモリーを前記携帯電話機に挿入する必要があり、非常に煩わしい作業が要求されるうえに、印刷の完了後に、前記画像形成装置のメモリーカードリーダからカード型のメモリーを抜き忘れする恐れもある。
また、画像形成装置に無線で印刷データを送信して印刷を行う方法としては、例えば、Bluetooth(登録商標)技術による無線通信を行う場合、RFIDシステムを用いた無線通信を行う場合、前記携帯電話機及び画像形成装置の間で赤外線通信が行われる場合等がある。
Bluetooth技術による無線通信を行う場合においては、双方の機器間を通信可能な状態に設定(認証)を行う操作が必要である。例えば、前記携帯電話機及び画像形成装置が、共にBluetooth対応可能であって、互いにBluetooth技術による無線通信を行う場合、通称ペアリング(又はボンディング)と呼ばれる設定操作によって相手を特定し、双方を通信可能な状態に設定する必要がある。
しかしながら、前記ペアリングには複雑で面倒な操作が必要である。例えば、ユーザが前記携帯電話機のメモリー内の画像データを、画像形成装置を用いて印刷する場合、ユーザは前記携帯電話機を用いて、所定半径範囲(例えば、100m)の無線通信可能な画像形成装置を検索し、該検索の結果として前記携帯電話機の表示部に表示される複数の画像形成装置のBluetoothアドレスの中から、前記画像形成装置のBluetoothアドレスを判別することを必要とするが、前記判別は非常に難しい作業である。なお、前記判別が正常的に行われたとしても、その後、双方を通信可能な状態に設定するための細かい操作が更に必要である。なお、前記画像形成装置が、コンビニエンスストアに設置された貸し出しの画像形成装置である場合は、新規のユーザが多いので、はじめての無線通信が多く、その都度前記ペアリングを行う必要もある。
一方、前記携帯電話機及び画像形成装置の間で赤外線通信が行われる場合には、ユーザは、前記印刷データを無線で送信する間、印刷すべき前記携帯電話機の赤外線ポートと、画像形成装置の赤外線ポートとを向き合わせた状態で、前記携帯電話機を所定時間固定する煩雑な操作も必要である。
また、例えば、Felica(登録商標)、Edy(登録商標)等のRFIDシステムを用いた無線通信を行う場合、通信速度が遅いことから、前記印刷データを無線で送信するために、前記携帯電話を前記画像形成装置に所定時間かざしておく必要がる。
これらを簡単に行う方法として特許文献1の無線通信方法及び特許文献2の通信システムが知られている。すなわち、特許文献1の無線通信方法及び特許文献2の通信システムは何れも、いわゆるRFIDシステムを用い、非接触IDカード(非接触ICカード)を画像処理装置のカードリーダライタ部(パーソナルコンピュータのリーダライタ)に近づけた場合は、自動的に非接触IDカードのユーザID(非接触ICカードのカードID)を画像処理装置(パーソナルコンピュータ)へ送信するように構成されている。しかしながら、特許文献1の無線通信方法及び特許文献2の通信システムでは以下のような問題を抱えている。
特許文献1の無線通信方法及び特許文献2の通信システムでは、上述したように、非接触IDカード(非接触ICカード)を画像処理装置のカードリーダライタ部(パーソナルコンピュータのリーダライタ)に近づける操作だけで、自動的に非接触IDカードのユーザID(非接触ICカードのカードID)を画像処理装置(パーソナルコンピュータ)へ送信して接続が確立されるので、既に画像処理装置との接続が確立されている状態で、悪意を持つ第3者が前記操作を行った場合、更に画像処理装置との接続が確立されてネットワーク通信が可能となり、既に接続が確立されている側の非接触IDカード(非接触ICカード)のデータ(例えば、個人情報)を改竄したり盗んだりする虞がある。
また、特許文献1の無線通信方法及び特許文献2の通信システムでは、以前に前記画像処理装置との通信を行ったことがあり、該画像処理装置にその履歴が残っているユーザが、他のユーザが既に接続が確立されている状態で、前記履歴を利用して前記画像処理装置との通信を図った場合、更に画像処理装置との接続が確立されてネットワーク通信が可能となり、既に接続が確立されている側の非接触IDカード(非接触ICカード)のデータを改竄したり盗んだりする虞がある。
本発明は、斯かる事情に鑑みてされたものであり、その目的とするところは、複数の無線通信手段を備え、互いに通信を行う第1通信装置(通信端末装置)及び第2通信装置(情報処理装置)を有する通信システム(情報処理システム)において、相手装置に自機の識別データを送信し、接続確立を容易にする一方、一の装置との接続を確立した後は、他の装置から前記複数の無線通信手段の何れへの接続確立の要求を拒否することにより、上述したようにネットワーク通信が可能である場合、既に接続が確立されている装置側のデータの盗用を未然に防止することが出来るうえ、通信(データの送受信)が終了した後は、該通信に用いられた相手装置の識別データを削除することにより、上述したような個人情報又は秘密情報の流出を未然に防止可能であり、また、各装置において制限されている記憶領域をより有効に使用できる通信システム及び情報処理システムを提供することにある。
本発明の他の目的は、携帯通信装置と、該携帯通信装置からデータを取得して、該データに基づく画像を形成する画像形成装置とを備える画像形成システムにおいて、相手装置に自機の識別データを送信し、接続確立を容易にする一方、前記画像形成装置は前記携帯通信装置との接続を確立した後は、他装置からの接続確立の要求を拒否することにより、上述したようにネットワーク通信が可能である場合、既に接続が確立されている装置側のデータの盗用を未然に防ぐことが出来るうえ、データの送受信が終了した後は、該送受信に用いられた相手装置の識別データを削除することにより、上述したような個人情報又は秘密情報の流出を未然に防止可能であり、また、制限されている記憶領域をより有効に使用できる画像形成システムを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、外部から画像データを取得して、該画像データに基づく画像を形成する画像形成装置において、相手装置に自機の識別データを送信し、接続確立を容易にする一方、外部の一の装置との接続を確立した後は、他の装置からの接続確立の要求を拒否することにより、上述したようにネットワーク通信が可能である場合、既に接続が確立されている装置側のデータの盗用を未然に防ぐことが出来るうえ、画像データの取得が終了した後は、該画像データの取得に用いられた相手装置の識別データを削除することにより、上述したような個人情報又は秘密情報の流出を未然に防止可能であり、また、制限されている記憶領域をより有効に使用できる画像形成装置を提供することにある。
本発明に係る通信システムは、複数の無線通信手段を夫々備え、互いに通信する第1通信装置及び第2通信装置を有する通信システムにおいて、前記第1通信装置は、前記第2通信装置との接続を確立して通信を行う第1通信手段と、第1通信装置用の識別データを、前記第2通信装置に送信する第2通信手段と、前記第2通信装置との接続を確立した後は、他装置からの接続確立の要求を拒否する接続拒否手段と、前記第2通信装置との接続を確立した後は、前記第2通信手段による前記第1通信装置用の識別データの送信を中止させる送信中止手段とを備えており、前記第2通信装置は、前記第1通信装置用の識別データを受信する第3通信手段と、前記第3通信手段によって受信した第1通信装置用の識別データを用い、前記第1通信手段との接続を確立して通信を行う第4通信手段とを備えていることを特徴とする。
本発明にあっては、前記第1通信装置及び第2通信装置の間で接続を確立して通信を行う際には、前記第1通信装置の前記第2通信手段が前記第1通信装置用の識別データを取得し、該識別データを前記第2通信装置の第3通信手段に送信する。該第3通信手段が前記識別データを受信した場合、第2通信装置の前記第4通信手段が前記第3通信手段を介して前記識別データを取得し、該識別データを用いて前記第1通信装置の第1通信手段との接続を確立する。このようにして、接続が確立した後は、前記接続拒否手段は、接続が確立された相手装置以外の他装置からの接続の要求を拒否する。接続が確立した後は、前記送信中止手段は、前記第2通信手段による前記第1通信装置用の識別データの送信を中止させ、接続が確立された相手装置以外の他装置からの接続の要求を抑制する。
本発明に係る通信システムは、前記第2通信装置は、受信した第1通信装置用の識別データを記憶する第1記憶手段と、前記第4通信手段による通信の終了後、前記第1通信装置用の識別データを消去する第1消去手段とを備えていることを特徴とする。
本発明にあっては、前記第2通信装置の第1記憶手段は、前記第3通信手段が受信した第1通信装置用の識別データを記憶し、前記第4通信手段による通信が終了した後は、前記第1消去手段が前記第1通信装置用の識別データを前記第1記憶手段から消去する。
本発明に係る通信システムは、前記第1通信装置は、第2通信装置用の識別データを受信して記憶する第2記憶手段と、前記第1通信手段による通信の終了後、前記第2通信装置用の識別データを消去する第2消去手段とを備えていることを特徴とする。
本発明にあっては、前記第1通信装置が第2通信装置用の識別データを受信した場合、前記第2記憶手段が受信した第2通信装置用の識別データを記憶し、前記第1通信手段による通信が終了した場合、前記第2消去手段が前記第2通信装置用の識別データを前記第2記憶手段から消去する。
本発明に係る通信システムは、前記第2通信手段及び第3通信手段はRFIDシステムを用いた通信を行うように構成され、前記第1通信手段及び第4通信手段は、前記RFIDシステムより遠距離での無線通信を行うように構成されていることを特徴とする。
本発明にあっては、例えば、前記第3通信手段及び第2通信手段は、夫々接触又は非接触ICカード及びカードリーダであって、RFIDシステムを用いた通信を行い、前記第1通信手段及び第4通信手段は共にBluetooth対応デバイスであって、前記RFIDシステムを用いた通信より遠距離での無線通信を行う。
本発明に係る通信システムは、前記第1記憶手段は、受信した第1通信装置用の識別データを、前記RFIDシステム内の記憶領域中の、フリーエリアに記憶するように構成されていることを特徴とする。
本発明にあっては、前記第2通信装置の第3通信手段が、第1通信装置用の識別データを受信した場合、前記第1記憶手段が前記RFIDシステム内の記憶領域中の、フリーエリアに、受信した第1通信装置用の識別データを記憶する。
本発明に係る情報処理システムは、通信端末装置と、該通信端末装置からデータを取得して、該データの処理を行う情報処理装置とを備える情報処理システムにおいて、前記情報処理装置は、前記通信端末装置との接続を確立してデータを送受信する第1送受信手段と、情報処理装置用の識別データを、前記通信端末装置に送信する第1送信手段と、前記通信端末装置との接続を確立した後は、他装置からの接続確立の要求を拒否する接続拒否手段と、前記通信端末装置との接続を確立した後は、前記第1送信手段による前記情報処理装置用の識別データの送信を中止させる送信中止手段とを備えており、前記通信端末装置は、前記情報処理装置用の識別データを受信する第1受信手段と、前記第1受信手段によって受信した情報処理装置用の識別データを用い、前記第1送受信手段との接続を確立してデータを送受信する第2送受信手段とを備えていることを特徴とする。
本発明にあっては、前記通信端末装置及び情報処理装置の間で接続を確立してデータの送受信を行う際には、前記情報処理装置の第1送信手段が前記情報処理装置用の識別データを取得し、前記通信端末装置の第1受信手段に送信する。該第1受信手段が前記情報処理装置用の識別データを受信した場合、前記通信端末装置の第2送受信手段が前記情報処理装置用の識別データを取得し、該情報処理装置用の識別データを用いて前記情報処理装置の第1送受信手段との接続を確立する。このようにして、接続が確立した後は、前記接続拒否手段は、接続が確立された相手装置以外の他装置からの接続の要求を拒否する。また、接続が確立した後は、前記送信中止手段は、前記第1送信手段による前記情報処理装置用の識別データの送信を中止させ、接続が確立された相手装置以外の他装置からの接続の要求を抑制する。
本発明に係る情報処理システムは、前記情報処理装置は、表示部と、前記通信端末装置が有するコンテンツデータを取得する取得手段と、該取得手段が取得したコンテンツデータに係る画像を前記表示部に表示する表示手段とを備えていることを特徴とする。
本発明にあっては、前記情報処理装置の取得手段が、前記通信端末装置が有するコンテンツデータを取得し、前記表示手段は前記取得手段が取得したコンテンツデータに係る画像を前記表示部に表示する。
本発明に係る情報処理システムは、前記情報処理装置は、データの処理における、異常発生又は正常終了の旨を、前記通信端末装置に通知する通知手段を備えていることを特徴とする。
本発明にあっては、前記情報処理装置が前記通信端末装置からデータを取得し、該データの処理(例えば、前記データに基づく画像の生成、変倍、回転等)を行う際に、異常が発生した場合、又は正常に終了した場合は、その旨を、前記通知手段が前記通信端末装置に通知する。
本発明に係る画像形成システムは、携帯通信装置と、該携帯通信装置からデータを取得して、該データに基づく画像を形成する画像形成装置とを備える画像形成システムにおいて、前記画像形成装置は、前記携帯通信装置との接続を確立してデータを送受信する第1送受信手段と、画像形成装置用の識別データを、前記携帯通信装置に送信する第1送信手段と、前記携帯通信装置との接続を確立した後は、他装置からの接続確立の要求を拒否する接続拒否手段と、前記携帯通信装置との接続を確立した後は、前記第1送信手段による前記画像形成装置用の識別データの送信を中止させる送信中止手段とを備えており、前記携帯通信装置は、前記画像形成装置用の識別データを受信する第1受信手段と、前記第1受信手段によって受信した画像形成装置用の識別データを用い、前記第1送受信手段との接続を確立してデータを送受信する第2送受信手段とを備えていることを特徴とする。
本発明にあっては、前記携帯通信装置及び画像形成装置の間でデータの送受信を行う際には、前記画像形成装置の前記第1送信手段が前記画像形成装置用の識別データを取得し、該識別データを前記携帯通信装置の第1受信手段に送信する。該第1受信手段が前記識別データを受信した場合、前記携帯通信装置の前記第2送受信手段が前記識別データを取得し、該識別データを用いて前記画像形成装置の第1送受信手段との接続の確立を行う。このようにして、接続が確立した後は、前記接続拒否手段は、接続が確立された相手装置以外の他装置からの接続の要求を拒否する。また、接続が確立した後は、前記送信中止手段は、前記第1送信手段による前記画像形成装置用の識別データの送信を中止させ、接続が確立された相手装置以外の他装置からの接続の要求を抑制する。
本発明に係る画像形成システムは、前記画像形成装置は、表示部と、前記携帯通信装置が有するコンテンツデータを取得する取得手段と、該取得手段が取得したコンテンツデータに係る画像を前記表示部に表示する表示手段とを備えていることを特徴とする。
本発明にあっては、前記画像形成装置の取得手段が、前記携帯通信装置が有するコンテンツデータを取得し、前記表示手段は前記取得手段が取得したコンテンツデータに係る画像を前記表示部に表示する。
本発明に係る画像形成システムは、前記画像形成装置は、画像の形成における、異常発生又は正常終了の旨を、前記携帯通信装置に通知する通知手段を備えていることを特徴とする。
本発明にあっては、前記画像形成装置が前記携帯通信装置からデータを取得し、該データに基づく画像を形成する際に、異常が発生した場合、又は正常に終了した場合は、その旨を、前記通知手段が前記携帯通信端装置に通知する。
本発明に係る画像形成システムは、前記携帯通信装置は、記憶しているコンテンツデータに基づく画像を表示する表示部を備えており、任意のコンテンツデータに係る画像を前記表示部に表示して前記第1送信手段から所定距離以内に接近した場合、前記第2送受信手段が前記任意のコンテンツデータを前記第1送受信手段に送信するように構成されていることを特徴とする。
本発明にあっては、例えば前記携帯通信装置のユーザが希望する画像を前記表示部に表示させた状態で、前記画像形成装置の第1送信手段にかざした場合、第2送受信手段は、前記画像に係る画像データを、前記画像形成装置の第1送受信手段に送信する。
本発明に係る画像形成装置は、外部から画像データを取得して、該画像データに基づく画像を形成する画像形成装置において、一の装置との接続を確立して画像データを受信する受信手段と、自機の識別データを、前記一の装置に送信する送信手段と、前記一の装置との接続を確立した後は、他の装置からの接続確立の要求を拒否する接続拒否手段と、前記一の装置との接続を確立した後は、前記送信手段による自機の識別データの送信を中止させる送信中止手段とを備えていることを特徴とする。
本発明にあっては、前記画像形成装置が外部の装置から画像データを受信する際、前記送信手段が自機の識別データを前記装置に送信する。前記識別データを受信した前記装置は、前記識別データを用いて前記受信手段との接続を確立し、画像データを送信することが出来る。このようにして、接続が確立した後は、前記接続拒否手段は、接続が確立された相手装置以外の他装置からの接続の要求を拒否する。また、接続が確立した後は、前記送信中止手段は前記送信手段による自機の識別データの送信を中止させる。
本発明に係る画像形成装置は、表示部と、前記受信手段が受信した画像データに係る画像を前記表示部に表示する表示手段とを備えていることを特徴とする。
本発明にあっては、前記受信手段が画像データを受信した場合、前記表示手段は前記受信手段が受信した画像データに係る画像を前記表示部に表示する。
本発明に係る画像形成装置は、画像の形成における、異常発生又は正常終了の旨を、前記一の装置に通知する通知手段を備えていることを特徴とする。
本発明にあっては、前記受信手段が例えば、外部の装置から画像データを受信し、該画像データに基づく画像の形成を行う際に、異常が発生した場合、又は正常に終了した場合は、その旨を、前記通知手段が外部の装置に通知する。
本発明によれば、複数の無線通信手段を備え、互いに通信を行う第1通信装置(通信端末装置)及び第2通信装置(情報処理装置)を有する通信システム(情報処理システム)において、相手装置に自機の識別データを送信し、接続確立を容易にする一方、一の装置との接続を確立した後は、他の装置から前記複数の無線通信手段の何れへの接続確立の要求を拒否するので、前記第2通信手段(第1送信手段)から前記識別データを受信した第2通信装置(通信端末装置)のみが前記第1通信装置(情報処理装置)との通信ができ、上述したようにネットワーク通信が可能である場合、既に接続が確立されている装置側のデータの盗用を未然に防止することが出来るうえ、通信(データの送受信)が終了した後は、該通信に用いられた相手装置の識別データを削除することにより、上述したような個人情報又は秘密情報の流出を未然に防止可能であり、また、各装置において制限されている記憶領域をより有効に使用できる。
本発明によれば、携帯通信装置と、該携帯通信装置からデータを取得して、該データに基づく画像を形成する画像形成装置とを備える画像形成システムにおいて、相手装置に自機の識別データを送信し、接続確立を容易にする一方、前記画像形成装置は前記携帯通信装置との接続を確立した後は、他装置からの接続確立の要求を拒否するので、前記第1送信手段から前記識別データを受信した携帯通信装置のみが前記画像形成装置との通信ができ、上述したようにネットワーク通信が可能である場合、既に接続が確立されている装置側のデータの盗用を未然に防ぐことが出来るうえ、送受信が終了した後は、該送受信に用いられた相手装置の識別データを削除することにより、上述したような個人情報又は秘密情報の流出を未然に防止可能であり、また、制限されている記憶領域をより有効に使用できる。
本発明によれば、外部から画像データを取得して、該画像データに基づく画像を形成する画像形成装置において、相手装置に自機の識別データを送信し、接続確立を容易にする一方、外部の一の装置との接続を確立した後は、他の装置からの接続確立の要求を拒否するので、前記送信手段から前記識別データを受信した一の装置のみが前記画像形成装置との通信ができ、上述したようにネットワーク通信が可能である場合、既に接続が確立されている装置側のデータの盗用を未然に防ぐことが出来るうえ、画像データの取得が終了した後は、該画像データの取得に用いられた相手装置の識別データを削除することにより、上述したような個人情報又は秘密情報の流出を未然に防止可能であり、また、制限されている記憶領域をより有効に使用できる。
以下、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置(第1通信装置、情報処理装置)を、コピー機能、印刷機能等を有するデジタル複合機とし、本発明に係る通信システム、情報処理システム及び画像形成システムが前記デジタル複合機及び携帯電話機(第2通信装置、通信端末装置、携帯通信装置)を構成要素として有する場合を例として、図面を用いて具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る通信システム、情報処理システム及び画像形成システムの概念図であり、図2は本発明の実施の形態1に係る通信システム、情報処理システム及び画像形成システムの要部構成を示すブロック図である。実施の形態1に係る通信システム、情報処理システム及び画像形成システムは、画像形成装置1及び携帯電話機2を有している。
画像形成装置1は、制御部11、画像入力部17、画像処理部18、画像出力部19、記憶部14、無線通信部16、リーダライタ15及び操作パネル12等のハードウェアを備え、全体としてデジタル複合機を構成している。
制御部11は、これらのハードウェアを制御するCPUと、制御の際に必要なデータ等を一時的に保持するRAMとを備えている。記憶部14は、例えば、不揮発性の半導体メモリであり、画像処理用の画像データ、ハードウェア各部を制御するための制御プログラム、後述するファイル名一覧の画面を表示するためのプログラム、無線通信部16を介して受信した画像データ等を記憶する。なお、記憶部14には、予めパスキーが複数格納されており、制御部11のCPUは操作パネル28、12を介してパスキーを受け付けた場合は、該パスキーと、記憶部14に記憶のパスキーとの比較を行う。
また、制御部11は必要に応じて記憶部14から制御プログラムをロードし、ロードした制御プログラムを実行することにより、装置全体を本発明に係る画像形成装置として動作させる。
また、操作パネル12は、ユーザの指示を受け付けるための各種ボタン、指示の確定を受け付けるエンターキー、テンキー等を備えている。また、操作パネル12は、液晶ディスプレイ等の表示部13を備え、携帯電話機2が有する画像、文書等のファイル名の一覧(コンテンツデータ)を表示する。なお、表示部13はタッチパネルとして機能するように構成されている。
画像入力部17は、原稿の画像を光学的に読取る読取手段であり、読取用の原稿に光を照射する光源、例えばCCD(Charge Coupled Device)のようなイメージセンサ等を備えている。画像入力部17では、所定の読取り位置にセットされた原稿からの反射光像を当該イメージセンサに結像させ、RGB(R : Red, G : Green, B : Blue)のアナログ電気信号を出力する。画像入力部17が出力したアナログ電気信号は画像処理部18に入力される。
画像出力部19は、画像処理部18から出力される画像データに基づいて用紙、OHPフィルム等のシート上に画像形成を行う。そのため、画像出力部19は、感光体ドラム、該感光体ドラムを所定の電位に帯電させる帯電器、外部から受付けた画像データに応じてレーザ光を発して感光体ドラム上に静電潜像を生成させるレーザ書込装置、感光体ドラム表面に形成された静電潜像にトナーを供給して顕像化する現像器、感光体ドラム表面に形成されたトナー像を用紙上に転写する転写器等(図示せず)を備えており、電子写真方式にて利用者が所望する画像をシート上に形成する。なお、レーザ書込装置を用いた電子写真方式により画像形成を行う他、インクジェット方式、熱転写方式、昇華方式等により画像形成を行う構成であってもよい。
画像処理部18は、画像入力部17を通じて入力されるアナログ電気信号を基にデジタル形式の画像データを生成し、画像の種類に応じた処理を施した後、出力用の画像データを生成する。生成した画像データは画像出力部19又は無線通信部16に出力される。
無線通信部16は、例えばBluetooth技術に対応できるものであり、所定近距離(例えば100m)内の他のBluetooth対応デバイス(例えば、後述の無線通信部27)と無線での接続を行う。詳しくは、Bluetooth対応デバイスは固有のBluetoothアドレス(識別データ)を有しており、ピコネットと呼ばれる近距離の臨時ネットワークを経由して、相互のBluetoothアドレスを用いた通称ペアリングと呼ばれる接続相手の特定処理(認証)を行い、他のBluetooth対応デバイスと無線で接続及び通信することができるように構成されている。前記ピコネットは、他のBluetooth対応デバイスが所定距離範囲内に入ったとき、及び所定距離範囲から外れたときに、動的かつ自動的に確立又は消滅される。無線通信部16は、Bluetooth対応デバイスに限るものでなく、例えば、IEEE802.11対応デバイスであっても良い。ただし、斯かる場合、無線通信部16に対応する後述の無線通信部27もIEEE802.11対応デバイスである必要がある。
リーダライタ15は、後述する接触・非接触ICカード26と、いわゆる非接触方式の通信方式(RFID(Radio Frequency Identification)システム)を用いて、接触・非接触の状態でのデータの送受信を行う。以下、リーダライタ15と、接触・非接触ICカード26との間における非接触方式の通信について説明する。リーダライタ15からは常時起動信号(電磁波)が送信されており、接触・非接触ICカード26及びリーダライタ15が、互いに通信することが可能な程度にまで接近した場合に、接触・非接触ICカード26がリーダライタ15から送出された電磁波を受信する。接触・非接触ICカード26は、前記電磁波を受信した場合、該電磁波の搬送波を整流して直流電源を生成し、それで内部回路を駆動させる。そして、接触・非接触ICカード26は、振幅変調を行い、前記起動信号に応じて応答信号をリーダライタ15に送出する。例えば、Felica(登録商標)、Edy(登録商標)等のRFIDシステム等が採用される。リーダライタ15は、無線通信部16の固有のBluetoothアドレス(識別データ)を接触・非接触ICカード26に送信する。一のBluetooth対応デバイスが前記ペアリングを行って、接続相手との接続を確立するためには、まず所定範囲内にあって、前記一のBluetooth対応デバイスとの接続が可能として、該デバイスによって検索される複数のデバイスのアドレスうちから、希望するデバイス(画像形成装置1)を指定する煩わしい操作を省くことが出来る。
一方、携帯電話機2は、装置全体を制御するCPU、プログラム、各種データ等を記録するROM、高速な書込/読取が可能なRAM等を有する制御部21と、電話番号、画像データ等を記憶する大容量のフラッシュメモリ24とを備えている。また、フラッシュメモリ24には、携帯電話機2が有する画像、文書等のファイル名の一覧(コンテンツデータ)、各画像のサムネイル等のデータが記憶されている。
さらに本発明に係る携帯電話機2は、通信インタフェースを備え基地局との通信を行う基地局通信部25と、ユーザの操作を受け付ける押釦等の操作パネル28と、撮影により映像を取得するカメラ、音声の入力を受け付けるマイク等の入力部23と、映像を出力する液晶モニタ、音声を出力するスピーカ等の出力部22とを備えている。
また、接触・非接触ICカード26と、無線通信部27とを備えている。接触・非接触ICカード26は、いわゆる非接触方式の通信方式を用い、リーダライタ15と接触・非接触の状態でデータの送受信を行う。上述と同様に、Felica(登録商標)、Edy(登録商標)等が採用される。また、無線通信部27は、上述と同様に、例えばBluetooth技術に対応できるものであり、他のBluetooth対応デバイス(例えば、無線通信部16)が所定近距離(例えば100m)内にある場合、前記他のBluetooth対応デバイスと無線での接続及び通信を行う。
以下、本発明の実施の形態1に係る通信システム、情報処理システム及び画像形成システムにおける、画像形成装置1及び携帯電話機2の通信処理及び画像形成処理について説明する。また、デジタル複合機を本発明に係る画像形成装置1とし、該デジタル複合機を用いてユーザの携帯電話機2に記憶されている画像データに基づく画像を印刷する場合を例として説明する。図3及び図4は画像形成装置1の制御部11及び携帯電話機2の制御部21のCPUによる処理手順を示すフローチャートである。なお、上述したように、本発明の実施の形態1に係る通信システム、情報処理システム及び画像形成システムにおいて、画像形成装置1及び携帯電話機2は共にBluetooth対応デバイスである。
画像形成装置1のCPUは携帯電話機2が所定範囲内に接近しているか否かを判定する(ステップS101)。上述したように、画像形成装置1にはリーダライタ15が設けられており、携帯電話機2には接触・非接触ICカード26が設けられている。画像形成装置1のリーダライタ15では、常時起動信号(電磁波)が送信されており、例えば、ユーザが携帯電話機2を、画像形成装置1のリーダライタ15にかざした場合には、上述した手法によって、携帯電話機2の接触・非接触ICカード26から、前記起動信号に応じた応答信号がリーダライタ15に送出される。画像形成装置1のCPUは、該応答信号を受信した場合に、携帯電話機2が所定範囲内に接近していると判定する。
画像形成装置1のCPUは、携帯電話機2が所定範囲内に接近していないと判定した場合(ステップS101:NO)、携帯電話機2が所定範囲内に接近するまで待機する。一方、画像形成装置1のCPUは、携帯電話機2が所定範囲内に接近していると判定した場合(ステップS101:YES)、無線通信部16が有するBluetoothアドレス(以下、画像形成装置側アドレスという。)を読み出してリーダライタ15に送り、リーダライタ15は前記画像形成装置側アドレス(識別データ)を、携帯電話機2の接触・非接触ICカード26に送信する(ステップS102)。
一方、携帯電話機2のCPUは、接触・非接触ICカード26を監視することによって、前記画像形成装置側アドレスを受信したか否かを判定する(ステップS201)。携帯電話機2のCPUは、前記画像形成装置側アドレスを受信していないと判定した場合(ステップS201:NO)、前記画像形成装置側アドレスを受信するまで待機する。携帯電話機2のCPUは、前記画像形成装置側アドレスを受信したと判定した場合(ステップS201:YES)、受信した前記画像形成装置側アドレスを接触・非接触ICカード26の記憶領域に記憶する。
図5は接触・非接触ICカード26の記憶領域の構成を説明するための説明図である。接触・非接触ICカード26の記憶領域は、共通領域26B及びプライベート領域26A(フリーエリア)を備えている。受信した前記画像形成装置側アドレス(識別データ)は、接触・非接触ICカード26のプライベート領域26Aに書き込まれる。プライベート領域26Aは、サービス事業者が自由に利用することが可能な領域である。プライベート領域26Aを用いることで自由度の高い書き込みが可能となる。一方共通領域にデータを書き込むことも可能であるが、この場合はカードのネットワークスのリモート発行システムを利用しなければならず、書き込む場合の自由度が低いと言う問題がある。
次いで、携帯電話機2のCPUは、画像形成装置1にペアリングの要求、及び後述する携帯電話機側アドレスを送信する(ステップS202)。斯かる処理は、携帯電話機2の無線通信部27が、無線通信部27のBluetoothアドレス(以下、携帯電話機側アドレスという。)と、ペアリングを要求する旨のデータとを、画像形成装置1の無線通信部16に送信することにより行われる。
一方、画像形成装置1のCPUは無線通信部16を監視することにより、携帯電話機2からペアリングの要求及び前記携帯電話機側アドレスの受信があったか否かを判定する(ステップS103)。画像形成装置1のCPUは、ペアリングの要求及び前記携帯電話機側アドレスの受信がなかったと判定した場合(ステップS103:NO)、携帯電話機2からペアリングの要求及び前記携帯電話機側アドレスの受信があるまで待機する。画像形成装置1のCPUは、ペアリングの要求及び前記携帯電話機側アドレスの受信があったと判定した場合(ステップS103:YES)、受信した携帯電話機側アドレスを記憶部14に記憶し、操作パネル12の表示部13にパスキーの入力を促すパスキー入力画面を表示し(ステップS104)、ユーザにパスキーの入力を要求する。画像形成装置1のCPUは操作パネル12(又は表示部13のタッチパネル)を介してユーザが入力したパスキーを受け付け、該パスキーを記憶部14に一時的に記憶する。
また、画像形成装置1のCPUは、前記パスキーを記憶部14に予め記憶されているパスキーと比較し、正しいと判定した場合は、ペアリングが完了し、画像形成装置1及び携帯電話機2は接続が確立され、互いに通信可能な状態に設定される。一方、正しくないと判定した場合は、その旨及び再度の入力を促す画面を表示部13に表示する。
上述したように、接続が確立された場合、画像形成装置1のCPUは、他の装置からの接続確立要求(ペアリング要求)の無効化を開始する(ステップS105)。つまり、接続が確立された場合、それ以降、無線通信部16が他の装置からペアリングを要求する旨のデータを受信しても、該データを無効にする。
その後、画像形成装置1のCPUは、リーダライタ15に供給する電源を遮断し、リーダライタ15が前記画像形成装置側アドレスを送信することを中止する(ステップS106)。
これにより、Bluetooth技術を用いた通信がネットワーク通信、同時ペアリン等が可能であることを悪用し、第3者が携帯電話機2に不正アクセスして携帯電話機2のデータを改竄したり、盗んだりすることを未然に防止することが可能である。
次いで、画像形成装置1のCPUは、携帯電話機2が有する画像、文書等のファイル名の一覧のデータを要求する旨のデータを、無線通信部16を介して携帯電話機2に送信することにより、ファイル名一覧データを要求する(ステップS107)。
一方、携帯電話機2のCPUは、無線通信部27が画像形成装置1から前記ファイル名の一覧のデータを要求する旨のデータを受信した場合、フラッシュメモリ24に記憶されている画像、文書等のファイル名の一覧のデータを読み出し、無線通信部27を介して画像形成装置1に送信する(ステップS203)。
画像形成装置1のCPUは、携帯電話機2から送信される前記ファイル名の一覧のデータを、無線通信部16を介して受信することにより取得し(ステップS108)、記憶部14に記憶する。
次いで、画像形成装置1のCPUは、記憶部14に記憶している前記ファイル名の一覧のデータに基づき、印刷を希望するファイルの選択をユーザから受け付けるためのファイル名一覧の画面を、表示部13に表示する(ステップS109)。
図6は画像形成装置1の表示部13に表示される前記ファイル名一覧の画面の一例を示す例示図である。前記ファイル名一覧の画面には、前記ファイル名の一覧のデータに基づく複数のファイル名が、例えば、スクロール表示されており、ユーザの操作パネル12又は表示部13(タッチパネル)の操作によって選択されたファイルのサムネイルが表示されるように構成されている。また、前記ファイル名一覧の画面には、「部数」、「変倍」、「印刷」等のソフトキーが設けられており、ユーザから印刷の部数、変倍等の印刷条件を受け付けることが出来る。印刷を希望するファイルの選択、印刷条件の入力が終わった場合、ユーザは「印刷」ソフトキーを操作し、印刷の開始を指示する。このような場合、携帯電話機1の小さい液晶モニタ画面を見ながら小さいキーを操作するものでなく、画像形成装置1の大きな表示部13にて希望するファイルの選択を行うので、画像の参照性及びキーの操作性が高くなる。
画像形成装置1のCPUは、操作パネル12及び表示部13のタッチパネルを監視することにより、ユーザからファイルの選択を受け付けたか否かを判定する(ステップS110)。画像形成装置1のCPUは、ファイルの選択を受け付けていないと判定した場合(ステップS110:NO)、ユーザからファイルの選択を受け付けるまで待機する。一方、画像形成装置1のCPUは、ユーザからファイルの選択を受け付けたと判定した場合(ステップS110:YES)、ユーザから印刷指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS111)。斯かる判定は、CPUが操作パネル12及び表示部13のタッチパネルを監視することによって行われる。
画像形成装置1のCPUは、印刷指示を受け付けていないと判定した場合(ステップS111:NO)、ユーザから印刷指示を受け付けるまで待機する。一方、画像形成装置1のCPUは、ユーザから印刷指示を受け付けたと判定した場合(ステップS111:YES)、選択されたファイル(以下、選択ファイルという。)の画像データを携帯電話機2に要求する(ステップS112)。該要求は、選択ファイルの画像データの送信を要求する旨のデータを、無線通信部16を介して携帯電話機2に送信することにより行われる。
一方、携帯電話機2のCPUは、無線通信部27を監視することにより、画像形成装置1から選択ファイルの画像データの送信要求があったか否かを判定する(ステップS204)。携帯電話機2のCPUは、前記選択ファイルの画像データの送信要求がなかったと判定した場合(ステップS204:NO)、前記選択ファイルの画像データの送信要求があるまで待機する。一方、携帯電話機2のCPUは、前記選択ファイルの画像データの送信要求があったと判定した場合(ステップS204:YES)、フラッシュメモリ24から前記選択ファイルの画像データを読み出し、無線通信部27を介して画像形成装置1に送信する(ステップS205)。
一方、画像形成装置1のCPUは無線通信部16を介して、携帯電話機2から選択ファイルの画像データを受信した場合(ステップS113)、該画像データを記憶部14に記憶する。
次いで、画像形成装置1のCPUは、記憶部14に記憶している前記画像データを画像出力部19に送り、前記画像データに基づく画像の印刷を画像出力部19に指示することにより、前記画像データに基づく画像を印刷する(ステップS114)。
画像形成装置1のCPUは、前記印刷の際において、前記印刷が正常終了したこと、又は異常が発生したこと等の印刷結果を通知する旨のデータを、無線通信部16を介して、携帯電話機2に送信する(ステップS115)。
一方、携帯電話機2のCPUは、画像形成装置1から、前記印刷結果を通知する旨のデータを、無線通信部27を介して取得し(ステップS206)、フラッシュメモリ24に記憶する。
次いで、携帯電話機2のCPUは、フラッシュメモリ24に記憶している前記印刷結果を通知する旨のデータに基づき、出力部22を介した出力を行う(ステップS207)。該出力は、例えば、携帯電話機2の前記液晶モニタへ、前記印刷結果を通知する旨のテキストを表示するものであっても良く、前記印刷結果を通知する旨の音声、警告音等を、携帯電話機2のスピーカを介して出力するものであっても良い。
印刷結果を通知した後、画像形成装置1のCPUは、印刷を終了するか否かを判定する(ステップS116)。斯かる判定は、例えば、画像形成装置1のCPUが表示部13に、「印刷を終了しますか?」との問い合わせのテキスト、並びに「YES」及び「NO」のソフトキーを表示し、表示部13(タッチパネル)の操作を監視することにより、行われる。
画像形成装置1のCPUは、印刷を終了しないと判定した場合(ステップS116:NO)、ステップS109の処理に戻り、表示部13に前記ファイル名一覧の画面を再び表示し、印刷を希望するファイルの選択をユーザから受け付ける。一方、画像形成装置1のCPUは、印刷を終了すると判定した場合(ステップS116:YES)、通信を終了するか否かを判定する(ステップS117)。斯かる判定は、例えば、画像形成装置1のCPUが表示部13に、「通信を終了しますか?」との問い合わせのテキスト、並びに「YES」及び「NO」のソフトキーを表示し、表示部13(タッチパネル)の操作を監視することにより、行われる。
画像形成装置1のCPUは、通信を終了しないと判定した場合(ステップS117:NO)、再びステップS116の処理に戻る。一方、画像形成装置1のCPUは、通信を終了すると判定した場合(ステップS117:YES)、通信を終了する旨のデータを、無線通信部16を介して携帯電話機2に送信することにより、通信の終了を通知する(ステップS118)。
次いで、画像形成装置1のCPUは、ステップS103にて受信した携帯電話機側アドレス、及びステップS104にて受け付けたパスキーを記憶部14から消去する(ステップS119)。従って、悪意を持つ第3者が通信履歴を悪用して前記携帯電話機側アドレスを盗用することを未然に防止することが出来る。なお、上述の記載に限るものでなく、所定時間表示部13(タッチパネル)の操作がない場合「YES」のソフトキーが操作されたものとみなすように構成しても良い。
その後、画像形成装置1のCPUは、ステップS105にて開始していた、他の装置からの接続確立要求(ペアリング要求)の無効化を解除し(ステップS120)、処理を終了する。
一方、携帯電話機2のCPUは、例えば、ステップS207にて正常終了の旨の出力を行った後、無線通信部27を監視することにより、所定時間、通信の終了通知を受信したか否かを判定する(ステップS208)。携帯電話機2のCPUは、所定時間が経過後も通信の終了通知を受信していないと判定した場合(ステップS208:NO)、ステップS204の処理に戻り、画像形成装置1から画像データの送信要求があったか否かを判定する。一方、携帯電話機2のCPUは、通信の終了通知を受信したと判定した場合(ステップS208:YES)、ステップS201にて受信した前記画像形成装置側アドレスを、接触・非接触ICカード26の記憶領域より消去し(ステップS209)、通信を終了する。
以上にて記載したように、本発明に係る通信システム、情報処理システム及び画像形成システムにおいては、画像形成装置1から画像形成装置側アドレスを受信し、ユーザが該画像形成装置側アドレスを用いて画像形成装置1にデータを送信するので、携帯電話機2からユーザの意図に反して、携帯電話機2側の秘密情報(例えば、アドレス、パスキー等)が流出されることを未然に防止することが可能である。さらに、通信の終了後は受信した相手のBluetoothのアドレス(及び受け付けたパスキー)を消去するので、画像形成装置のBluetoothのアドレスがペアリングの際、相手携帯電話機に登録されることが繰り返されることにより、携帯電話機のリソースが無駄に占有されることを防ぎ、携帯電話機のリソースをより有効に利用することが出来る。
以上の実施の形態1の記載においては、パスキーの確実な設定のためユーザの手動入力によりパスキーを入力する場合を例として説明したが、手軽さを優先するのであればパスキーの受け渡しを、画像形成装置1のリーダライタ15及び携帯電話機2の接触・非接触ICカード26を介して行われるように構成しても良い。
なお、パスキーを入力できないデバイス(マウス、ヘッドセット等)においては、前記パスキーを固定値にする構成であってもよく、パスキーの入力が不要にするような構成であっても良い。例えば、このようなパスキーを入力できないデバイスの場合は、デフォルトとして、例えば「0000」のような単純な羅列のパスキーとしても良い。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係る通信システム、情報処理システム及び画像形成システムにおける、画像形成装置1及び携帯電話機2の通信処理及び画像形成処理について説明する。デジタル複合機を本発明に係る画像形成装置1とし、該デジタル複合機を用いてユーザの携帯電話機2に記憶されている画像データに基づく画像を印刷する場合を例として説明する。本発明の実施の形態2に係る通信システム、情報処理システム及び画像形成システムにおいては、パスキーの受け渡しを、画像形成装置1のリーダライタ15及び携帯電話機2の接触・非接触ICカード26を介して行われるように構成されている。図7は画像形成装置1の制御部11及び携帯電話機2の制御部21のCPUによる処理手順を示すフローチャートである。
まず、携帯電話機2のユーザは、携帯電話機2を操作し、印刷すべきファイルを選択する(ステップS401)。図8は携帯電話機2において、印刷すべきファイルを選択する操作を説明するための説明図である。携帯電話機2の液晶モニタ(出力部22)には、フラッシュメモリ24に記憶されている画像データのサムネイルが表示され、キー(押ボタン等の操作パネル28)を操作してカーソルを移動させることにより、何れかのサムネイルを選択できる。希望するサムネイルを選択した場合、選択されたサムネイルに係るファイル(以下、選択ファイル)名及び前記サムネイルより大きい画像が出力部22に表示される。その後、ユーザは上述したように印刷すべきファイルが選択された状態の携帯電話機2を、画像形成装置1のリーダライタ15にかざす。
一方、画像形成装置1のCPUは携帯電話機2が所定範囲内に接近しているか否かを上述した手法によって判定する(ステップS301)。画像形成装置1のCPUは、携帯電話機2が所定範囲内に接近していないと判定した場合(ステップS301:NO)、携帯電話機2が所定範囲内に接近するまで待機する。一方、画像形成装置1のCPUは、携帯電話機2が所定範囲内に接近していると判定した場合(ステップS301:YES)、無線通信部16が有するBluetoothアドレス(以下、画像形成装置側アドレスという。)パスキーを読み出してリーダライタ15に送り、リーダライタ15は前記画像形成装置側アドレス及びパスキーを、携帯電話機2の接触・非接触ICカード26に送信する(ステップS302)。
一方、携帯電話機2のCPUは、接触・非接触ICカード26を監視することによって、前記画像形成装置側アドレス及びパスキーを受信したか否かを判定する(ステップS402)。携帯電話機2CPUは、前記画像形成装置側アドレス及びパスキーを受信していないと判定した場合(ステップS402:NO)、前記画像形成装置側アドレス及びパスキーを受信するまで待機する。携帯電話機2CPUは、前記画像形成装置側アドレス及びパスキーを受信したと判定した場合(ステップS402:YES)、受信した前記画像形成装置側アドレス及びパスキーを接触・非接触ICカード26の記憶領域に記憶する。
次いで携帯電話機2のCPUは、フラッシュメモリ24に記憶の携帯電話機側アドレス及び前記パスキーを、無線通信部27を介して画像形成装置1に送信し(ステップS403)、画像形成装置1との接続の確立を図る。
一方、画像形成装置1のCPUは無線通信部16を介して、携帯電話機2から前記携帯電話機側アドレス及びパスキーを受信した場合(ステップS303)、前記携帯電話機側アドレス及びパスキーを記憶部14に記憶する。なお、携帯電話機側アドレス及びパスキーを受信することによってペアリングが完了し、画像形成装置1及び携帯電話機2は接続が確立され、互いに通信可能な状態に設定される。
次いで携帯電話機2のCPUは、接続が確立された旨のデータを、無線通信部27を介して画像形成装置1に送信することによって、接続確立の通知を行う(ステップS404)。
画像形成装置1のCPUは無線通信部16を介して、携帯電話機2から接続が確立された旨の接続確立の通知を受信する(ステップS304)。その後、画像形成装置1のCPUは、他の装置からの接続確立要求(ペアリング要求)の無効化を開始する(ステップS305)。つまり、接続が確立された場合、それ以降、無線通信部16が他の装置からペアリングを要求する旨のデータを受信しても、該データを無効にする。また、画像形成装置1のCPUは、リーダライタ15に供給する電源を遮断し、リーダライタ15が前記画像形成装置側アドレスを送信することを中止する(ステップS306)。
接続確立を通知した後、携帯電話機2のCPUは、フラッシュメモリ24から前記選択ファイルの画像データを読み出し、無線通信部27を介して画像形成装置1に送信する(ステップS405)。
画像形成装置1のCPUは無線通信部16を介して、携帯電話機2から前記選択ファイルの画像データを受信し(ステップS307)、前記画像データを記憶部14に記憶する。次いで、画像形成装置1のCPUは、記憶部14に記憶している前記画像データを画像出力部19に送り、前記画像データに基づく画像の印刷を画像出力部19に指示する(ステップS308)。
画像形成装置1のCPUは、前記印刷の際において、前記印刷が正常終了した場合、又は異常が発生した場合等の印刷結果に応じて、夫々の印刷結果を通知する旨のデータを、無線通信部16を介して、携帯電話機2に送信する(ステップS309)。
また、画像形成装置1のCPUは、ステップS303にて受信した携帯電話機側アドレス及びパスキーを、記憶部14から消去する(ステップS310)。従って、悪意を持つ第3者による前記携帯電話機側アドレスの盗用を未然に防止することが出来る。
その後、画像形成装置1のCPUは、ステップS305にて開始していた、他の装置からの接続確立要求(ペアリング要求)の無効化を解除し(ステップS311)、処理を終了する。
一方、携帯電話機2のCPUは、画像形成装置1から、前記印刷結果を通知する旨のデータを、無線通信部27を介して取得し(ステップS406)、フラッシュメモリ24に記憶する。
次いで、携帯電話機2のCPUは、フラッシュメモリ24に記憶している前記印刷結果を通知する旨のデータに基づく出力を、出力部22を介して行う(ステップS407)。
また、携帯電話機2のCPUは、ステップS402にて受信した前記画像形成装置側アドレス及びパスキーを、接触・非接触ICカード26の記憶領域から消去し(ステップS408)、処理を完了する。従って、悪意を持つ第3者による前記携帯電話機側アドレスの盗用を未然に防止することが出来る。
以上のように構成することによって、実施の形態2に係る通信システム、情報処理システム及び画像形成システムにおいては、既に印刷すべきファイルが選択された状態の携帯電話機2を画像形成装置1に近づけるだけで、すぐに印刷することができ、印刷作業が非常に容易となる。
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
以上の記載においては、デジタル複合機(画像形成装置1)及び携帯電話機2を例にあげて、本発明に係る画像形成装置、携帯情報端末装置、通信システム、情報処理システム及び画像形成システムについて説明したが、これに限るものでない。例えば、携帯電話機が通信機能を有するデジタルカメラであっても良い。またモバイルコンピュータ又はPDAと称される携帯端末であってもよい。また、携帯電話機からデータを送信するだけでなく、デジタル複合機が有するスキャナで読み取った原稿画像のデータを、携帯電話機に送信する方法でも良い。さらに、デジタル複合機にある記憶装置内に蓄積されたファックス画像のデータ、電子データ等を携帯電話機に送信することも含まれる。また、例えば、デジタル複合機(画像形成装置1)におけるリーダライタ15及び無線通信部16のように、携帯電話機2における接触・非接触ICカード26及び無線通信部27のように、2つ以上の通信手段を備え、互いに通信を行う機器の間では、本発明の同様な効果を奏することが出来る。
なお、本実施の形態ではアドレス及びパスワードの削除は一義的に行われていたが、削除命令を送信する制御部を携帯電話機が有するように構成しても良い。この構成により、削除制御部を有していない画像形成装置を使用しても、携帯電話機側からのアドレスの削除命令により、画像形成装置側に記憶されたアドレスを確実に削除できるので、更なるセキュリティの向上に繋がる。また、何れかに記憶されているアドレスを削除するか保存するかを、ユーザが判断に委ね、判断の結果に係る指示を受け付けるように構成しても良い。例えば、ユーザがその画像形成装置との通信を短いインタバルを挟んで、何度も行うようであるならば、このアドレス、パスキー等のデータを残すことにより、携帯電話機を画像形成装置にかざす操作を省いても、相互の通信を行うことが出来るとのメリットを得ることが出来る。
なお、本実施の形態では、ユーザが携帯電話機2を、画像形成装置1のリーダライタ15にかざした場合、リーダライタ15から携帯電話機2の接触・非接触ICカード26に、前記画像形成装置側アドレスが送出される場合を例として説明したが、これに限定するものでない。例えば、ユーザが携帯電話機2を、画像形成装置1のリーダライタ15にかざした場合、逆に携帯電話機2の接触・非接触ICカード26から画像形成装置1のリーダライタ15に、前記携帯電話機側アドレスが送出されるように構成してもよい。
また、本実施の形態では、デジタル複合機(画像形成装置1)が携帯電話機から画像データを受信して、該画像データに基づく画像の印刷(画像形成)を行う場合を例として説明したが、これに限るものでない。例えば、モバイルコンピュータ又はPDAと称される携帯端末から、テキストデータを受信して編集を行う場合、画像データを受信して該画像データの変倍、回転を行う場合等、いわゆるデータ処理(又は情報処理)においても、同様の効果を得ることが出来ることは言うまでもない。