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JP4741049B2 - 新規複素環含有アリールアミン化合物およびそれを用いた有機エレクトロルミネッセント素子 - Google Patents

新規複素環含有アリールアミン化合物およびそれを用いた有機エレクトロルミネッセント素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な複素環含有アリールアミン化合物およびそれを用いた有機エレクトロルミネッセント素子(以下有機EL素子と省略することがある)に関する。
【0002】
【従来の技術】
発光層が有機薄膜から構成される有機EL素子は低電圧駆動の大面積表示素子を実現するものとして注目されている。素子の高効率化にはキャリア輸送性の異なる有機層を積層する素子構造が有効であり、正孔輸送層、電子輸送性発光層の2層型素子が報告されている〔C.W.Tang et al,Appl.Phys.Lett.,51,p.913(1987)〕。この素子では10V以下の印加電圧で1000cd/mの実用化に十分な高輝度を得ている。これまで、前記各層に用いる材料として種々の有機化合物が試されてきており、たとえば、正孔輸送性材料としてアリールアミン化合物が、発光材料としてキノリノール誘導体〔C.W.Tang et al,Appl.Phys.Lett.,51,p.913(1987)〕、オキサジアゾール誘導体〔浜田ら、日本化学会誌.p.1540(1991)〕、トリアゾール誘導体〔J.Kido et al,Chem.Lett.,p.47(1996)〕などの複素環を含有する有機化合物が有効であることが報告されている。
【0003】
しかし、従来検討されてきた有機化合物は、分子量が例えば400〜600といったように小さいものが多く、連続駆動中や高い環境温度での保存において有機化合物の再結晶化や凝集による素子の劣化が問題になっている。そのため、初期特性がよい素子でも長時間の使用には向かず、駆動素子寿命が数千時間程度と既存の無機系の発光素子、たとえば発光ダイオードに比べると短い欠点を有している。
【0004】
このように初期特性に優れるが、素子寿命の短い材料に、下記式
【化5】
Figure 0004741049
の正孔輸送性アリールアミン化合物(TPD)がある。この化合物は5.4eVの小さいイオン化ポテンシャルを有し、有機EL素子において正孔輸送層として広く使用されてきたが、分子量が516と小さく連続駆動時のジュール熱や保存時の環境温度により結晶化し素子劣化することが報告されている〔E.M.Han et al,Chem.Lett.,p.969(1994)〕。
【0005】
また、青色の蛍光を示し蛍光量子収率の高いペリレンは、有機EL素子の発光層中に微量分散されドーパントとして用いられた場合に、発光中心として作用するが、分子量が小さいため素子駆動中に熱により拡散し凝集することにより蛍光量子収率が低下し、その結果素子効率を低下させ素子劣化させることが報告されている〔S.A.Van Slyke et al,Extended Abstracts,The 8th Intemational Workshop
on Electroluminescence,August 13−15,Berlin,p.195(1996)〕。
【0006】
これに対して、下記式
【化6】
Figure 0004741049
で示される比較的高分子量アリールアミン化合物は正孔輸送層として良好に機能するばかりでなく熱安定性にも優れていることが報告されている〔Adachi
et al,Appl. Phys.Lett.,66,p.2679(1995)〕。
【0007】
また、1,3,4−オキサジアゾール類は電子輸送層あるいは発光層として機能するが、低分子量のものは結晶化による素子劣化が早い問題がある〔Adachi et al,Appl.Phys.Lett.,55,p.1489(1989)〕。しかし、この場合も高分子量化することにより熱安定性を付与できることが示されている〔浜田ら、日本化学会誌.p.1540(1991)〕。
【0008】
このように、分子量の小さい有機化合物は素子構成材料として使用した場合には、結晶化や凝集により素子を劣化させる問題があり、アモルファス状態の安定性や分散された状態での安全性に優れた新規な有機材料の開発が望まれている。
【0009】
しかしながら、機能性色素分子は、平面構造をとる必要があり、やみくもに高分子化すればよいというわけではなく、これを薄膜化してデバイスを作製する場合、ピンホールのない均一で平滑な薄膜形成が要求される。このような点から、緻密なアモルファス膜の作製は高性能有機EL素子を作製する上で大変重要な問題である。したがって、安定なアモルファス膜を作製するには高い熱安定性を有するというだけでなく、安定な成膜性、平滑性も不可欠である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来のこのような問題点を解決するため、発光効率、発光輝度が高く、成膜性にすぐれ、連続駆動時の耐久性と保存安定性にも優れた有機エレクトロルミネッセント素子とそれに用いる比較的分子量の大きいアリールアミン化合物を提供する点にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、前記課題を解決するため、成膜性にすぐれ、結晶化や凝集を起こしにくく、膜安定性の高い比較的分子量の高いアリールアミン化合物に着目し、種々のアリールアミン化合物に複素環単位を導入することにより高い蛍光性を持たせることについて鋭意検討した。その結果、これら比較的分子量の高い複素環含有アリールアミン化合物がアモルファス状態が安定であるうえ、熱安定性に優れ、そして有機EL素子の正孔輸送層や発光層として良好に機能し、高い発光効率、発光輝度を示すとともに素子の安定性の向上に大いに有効であることを見いだし本発明を完成するにいたった。
【0012】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で示される分子量750以上の複素環含有アリールアミン化合物に関する。
【化7】
Figure 0004741049
(式中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族複素環基(ただし、ベンゼン環とArとが該複素環を構成する窒素原子を介して結合しているものを除く)であり、R〜R16は、水素原子、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基および置換基を有していてもよいアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、Ar〜Arは置換基を有していてもよいアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。
また、本発明は、下記化学式(2)〜(4)の何れかで示される分子量750以上の複素環含有アリールアミン化合物に関する。
【化8】
Figure 0004741049
【化9】
Figure 0004741049
【化10】
Figure 0004741049
【0013】
前記複素環は、複素単環でも縮合複素環であってもよい。また、複素環に結合することのできる置換基としては、アミノ基、シアノ基、水酸基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルアミノ基などを挙げることができる。
【0014】
本発明の有機エレクトロルミネッセント素子は、複素環含有アリールアミン化合物を含有する有機層を備えていれば、素子構造は特に限定されず、有機層一層からなる単層型でも二層以上の多層型であってもよい。要するに本発明は前記複素環含有アリールアミン化合物を備えた種々の素子構造をもつ有機EL素子であることができる。
また、この高分子量複素環含有アリールアミン化合物を含む素子を構成する各層の膜厚については、本発明においては特に限定されない。有機層は真空蒸着法などの気相成長法や溶液塗布法によって形成される。
【0015】
有機エレクトロルミネッセント素子では大きな仕事関数を有する陽極すなわち正孔注入電極から正孔が有機層へ注入され、小さな仕事関数を有する陰極電極から電子が有機層へ注入される。正孔輸送層と電子輸送性発光層からなる二層型素子の場合、注入された正孔は正孔輸送層を通り発光層との界面付近において発光層に注入されてきた電子と再結合し、発光層中で励起子を生ずる。この結果発光層より発光が生じる。このとき、通電によりジュール熱が発生するので有機層の再結晶化や凝集を促進する場合がある。したがって、素子劣化を防ぐためにもガラス転移点の高い材料を選択する必要があり、本発明化合物は、この要件を充分満すものである。
【0016】
本発明の複素環含有アリールアミン化合物の製造方法の1例を下記に示す。
【化11】
Figure 0004741049
【0017】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0018】
実施例1
その1<〔4−(4−ヨードフェニル)フェニル〕−ジフェニル
アミン(IBD)の合成>
ジフェニルアミン5.9g(35mmol)、4,4′−ジヨードビフェニル8.8g(20mmol)、活性銅18.3g(300mmol)、炭酸カリウム6.7g(50mmol)を加え、窒素雰囲気下230℃で12時間還流した。反応後、テトラヒドロフラン(THF)で抽出し、ろ過を行って銅を除去し、クロロホルム:ヘキサン=1:3を混合溶媒としてカラムクロマトグラフィー法により精製を行い、白色粗結晶の目的化合物を回収し、メタノールにより、再結晶精製を行って針状結晶を得た。反応式は一括して下記に示す〔Tetrahedron Letters39(1998)2367〜2370参照〕。
収率:16.8%
融点:118.3〜119.1℃
【0019】
その2<ビス{4−〔4−(ジフェニルアミノ)フェニル〕フェニル}
{4−(5−メチルベンゾチアゾール−2−イル)フェニル}アミン
(DABAPMB)の合成>
IBD0.85g(2mmol)、2−(4−アミノフェニル)−6−メチルベンゾチアゾール0.24g(1mmol)、活性銅0.06g(10mmol)、炭酸カリウム0.35g(2mmol)を加え、窒素雰囲気下230℃で24時間還流した。反応後、THFで抽出し、ろ過を行って銅を除去し、トルエン:ヘキサン=3:1を混合溶媒としてカラムクロマトグラフィー法により精製を行い、粗結晶を回収し、アセトンにより約一時間攪拌洗浄した。反応式は一括して下記に示す。
本化合物(DABAPMB)のIRスペクトルを図1に、H−NMRスペクトルを図2に示す。
収率:35.7%
融点:157.9〜159.1℃
【0020】
【化12】
Figure 0004741049
【0021】
実施例2
その1<9−{4−(4−ブロモフェニル)フェニル}カルバゾール
(BBC)の合成>
酢酸パラジウム(II)0.28g(1.25mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン1.01g(5mmol)をo−キシレン中で窒素気流下において反応させ錯塩触媒を製造した。その後、ジブロモビフェニル15.6g(50mmol)、カルバゾール8.36g(50mmol)、ナトリウム−tert−ブチラート5.77g(60mmol)を加え、オイルバスの温度を130℃にして24時間反応させた。反応終了後、クロロホルムで抽出し、水で洗浄した。精製はカラムクロマトグラフィー法(クロロホルム:n−ヘキサン=1:3)により行い、その後アセトンを用いて再結晶精製を行い白色の結晶を得た。反応式は一括して下記に示す。
収率:16.1%
【0022】
その2<ビス〔4−(4−カルバゾール−9−イル−フェニル)フェニル〕
〔4−(5−メチルベンゾチアゾール−2−イル)フェニル〕アミン(Cz
BAPMB)の合成>
酢酸パラジウム(II)0.03g(0.15mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン0.12g(0.6mmol)をo−キシレン中で窒素気流下において反応させ錯塩触媒を製造した。その後、9−{4−(4−ブロモフェニル)フェニル}カルバゾール(BBC)2.39g(6mmol)、2−(4−アミノフェニル)−6−メチルベンゾチアゾール0.72g(3mmol)、ナトリウム−tert−ブチラート0.7g(7.2mmol)を加え、オイルバスの温度を130℃にして24時間反応させた。反応終了後、クロロホルムで抽出し、水で洗浄した。精製はカラムクロマトグラフィー法(クロロホルム:n−ヘキサン=1:2)により精製を行い黄白色の固体を回収し、昇華精製(窒素流量50cc/min、ヒータ温度390℃;195℃)を行い黄色の目的物を得た。反応式は一括して下記に示す。
本発明化合物(CzBAPMB)のIRスペクトルを図3に、H−NMRスペクトルを図4に示す。
収率:44.9%
融点:190.5〜192.0℃
【0023】
【化13】
Figure 0004741049
【0024】
実施例3
その1<2,7−ジブロモ−9,9−ジエチルフルオレン(DBDEF)の合成>
この化合物の合成については、Chem.Mater.,10(7),1863−1874,(1998)の方法で合成した。
収率:78% m.p.157.5〜159.0℃
【0025】
その2<9−(7−ブロモ−9,9−ジエチルフルオレン−2−イル)
カルバゾール(CzBDEF)の合成>
酢酸パラジウム(II)0.28g(1.25mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン1.01g(5mmol)をo−キシレン中において窒素気流下で反応させて錯塩触媒を製造した。その後、2,7−ジブロモ−9,9−ジエチルフルオレノン(DBDEF)19.0g(50mmol)、カルバゾール8.36g(50mmol)、ナトリウム−tert−ブチラート5.77g(60mmol)を加え、オイルバスの温度を130℃にして24時間反応させた。
反応終了後、クロロホルムで抽出し、水で洗浄した。精製はカラムクロマトグラフィー法(クロロホルム:n−ヘキサン=1:3)により行い、その後アセトンを用いて再結晶精製を行い白色の結晶を得た。反応式は一括して下記に示す。
収率:14.8%
【0026】
その3<ビス(7−カルバゾール−9−イル−9,9−ジエチルフルオレン
−2−イル)〔4−(5−メチルベンゾチアゾール−2−イル)フェニル〕
アミン(CzBEFPMB)の合成>
酢酸パラジウム(II)0.03g(0.15mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン0.12g(0.6mmol)をo−キシレン中において窒素気流下で反応させ錯塩触媒を製造した。その後、2−(7−ブロモ−9,9−ジエチルフルオレニル)カルバゾール(CzBDEF)2.8g(6mmol)、2−(4−アミノフェニル)−6−メチルベンゾチアゾール0.72g(3mmol)、ナトリウム−tert−ブチラート0.7g(7.2mmol)を加え、オイルバスの温度を130℃にして24時間反応させた。
反応終了後、クロロホルムで抽出し、水で洗浄した。精製はカラムクロマトグラフィー法(クロロホルム:n−ヘキサン=1:2)により行い、黄白色の固体を回収し、昇華精製(窒素流量50cc/min、ヒータ温度390℃;195℃)を行い黄色の目的物を得た。反応式は一括して下記に示す。
収率:36.7%
融点:>300℃
【0027】
【化14】
Figure 0004741049
【0028】
実施例4
その1<(7−ブロモ−9,9−ジエチルフルオレン−2−イル)ジフェニルアミン
(BDEFDP)の合成>
酢酸パラジウム(II)0.28g(1.25mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン1.01g(5mmol)をo−キシレン中において窒素気流下で反応させ錯塩触媒を製造した。その後、2,7−ジブロモ−9,9−ジエチルフルオレノン(DBDEF)19.0g(50mmol)、ジフェニルアミン0.85g(50mmol)、ナトリウム−tert−ブチラート5.77g(60mmol)を加え、オイルバスの温度を130℃にして24時間反応させた。
反応終了後、クロロホルムで抽出し、水で洗浄した。精製は、カラムクロマトグラフィー法(クロロホルム:n−ヘキサン=1:3)により行い、その後アセトンを用いて再結晶精製を行い白色の結晶を得た。反応式は一括して下記に示す。
収率:19.6%
【0029】
その2<ビス〔7−(ジフェニルアミノ)−9,9−ジエチルフルオレン−
2−イル〕〔4−(6−メチル(ベンゾチアゾール−2−イル)
フェニル〕アミン(DPEFRPMB)の合成>
酢酸パラジウム(II)0.03g(0.15mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン0.12g(0.6mmol)をo−キシレン中において窒素気流下で反応させ錯塩触媒を製造した。その後、(7−ブロモ−9,9−ジエチルフルオレン−2−イル)ジフェニルアミン(BDEFDP)2.8g(6mmol)、2−(4−アミノフェニル)−6−メチルベンゾチアゾール0.72g(3mmol)、ナトリウム−tert−ブチラート0.7g(7.2mmol)を加え、オイルバスの温度を130℃にして24時間反応させた。
反応終了後、クロロホルムで抽出し、水で洗浄した。精製はカラムクロマトグラフィー法(クロロホルム:n−ヘキサン=1:2)により行い、黄白色の固体を回収し、昇華精製(窒素流量50cc/min、ヒータ温度390℃;195℃)を行い黄色の目的物を得た。反応式は一括して下記に示す。
収率:45.2%
融点:>300℃
【0030】
【化15】
Figure 0004741049
【0031】
実施例5
<EL素子の作製>
(実施例1で得られたDABAPMB5wt%ドープの場合)
図5は本実施例の断面図である。ガラス基板の上にシート抵抗15Ω/□のITO(インジウム−チン−オキサイド)を1000Åコートする。次に正孔輸送剤のTPD(〔0004〕の〔化5〕)を1.0×10−6Torrで400Åの厚みに真空蒸着する。その上から、下記式
【化16】
Figure 0004741049
で示されるZnOXDと実施例1で得られたDABAPMBを(95:5の重量パーセント比になるように)共蒸着して厚さ150Åの発光層を形成した。さらに、電子輸送層としてZnOXDを450Å、1×10−6Torrの真空下で蒸着し、最後に陰極電極としてMgとAg(10:1)を同じ真空度で2000Å厚に共蒸着した。発光領域は、縦0.5cm、横0.5cmの正方形状とした。
このようにして作製した有機エレクトロルミネッセント素子において、ITOを陽極、Mg:Agを陰極として、直流電圧を印加し、ガラス基板を通して発光を観察した。輝度はトプコン輝度計BM−8により測定した。この素子は、初期駆動5Vで水色(481nm)の発光が得られ、発光スペクトルから発光層のDABAPMBが発光していることを確認した。輝度は15Vで4100cd/mと高い値を示した。得られた有機EL素子の輝度−電圧特性を図6に示す。
【0032】
実施例6
(DABAPMB10wt%ドープの場合)
発光層をZnOXDとDABAPMBが90:10の重量パーセント比になるように共蒸着した以外は実施例5と同様に素子を作製した。
この素子は、初期駆動4Vで水色(481nm)の発光が得られ、発光スペクトルから発光層のDABAPMBが発光していることを確認した。輝度は14Vで6200cd/mと高い値を示した。得られた有機EL素子の輝度−電圧特性を図6に示す。
【0033】
実施例7
(DABAPMB20wt%ドープの場合)
発光層をZnOXDとDABAPMBが80:20の重量パーセント比になるように共蒸着した以外は実施例5と同様に素子を作製した。
この素子は、初期駆動4Vで水色(481nm)の発光が得られ、発光スペクトルから発光層のDABAPMBが発光していることを確認した。輝度は14Vで8300cd/mと高い値を示した。得られた有機EL素子の輝度−電圧特性を図6に示す。
【0034】
実施例8
(DABAPMB30wt%ドープの場合)
発光層をZnOXDとDABAPMBが70:30の重量パーセント比になるように共蒸着した以外は実施例5と同様に素子を作製した。
この素子は、初期駆動4Vで水色(481nm)の発光が得られ、発光スペクトルから発光層のDABAPMBが発光していることを確認した。輝度は14Vで10800cd/mと高い値を示した。得られた有機EL素子の輝度−電圧特性を図6に示す。
【0035】
実施例9
(DABAPMB40wt%ドープの場合)
発光層をZnOXDとDABAPMBが60:40の重量パーセント比になるように共蒸着した以外は実施例5と同様に素子を作製した。
この素子は、初期駆動4Vで水色(481nm)の発光が得られ、発光スペクトルから発光層のDABAPMBが発光していることを確認した。輝度は12Vで8400cd/mと高い値を示した。得られた有機EL素子の輝度−電圧特性を図6に示す。
【0036】
比較例1
実施例5に示す素子で、DABAPMBを共蒸着せずZnOXDだけを600Åの厚みに1×10−6Torrで真空蒸着した以外は、実施例5と同様にして有機EL素子を作製した。
この素子は、初期駆動5Vにて青色の発光が観察され、また最高輝度は14Vで1400cd/mであったが、DABAPMBをドープした素子に比べ初期電圧が高かった。得られた有機EL素子の輝度−電圧特性を図6に示す。
【0037】
実施例10
<EL素子の作製>
(実施例2で得られたCzBAPMB5wt%ドープの場合)
図7は本実施例の断面図である。ガラス基板の上にシート抵抗15Ω/□のITO(インジウム−チン−オキサイド)を1000Åコートする。次に正孔輸送剤のTPDを1.0×10−6Torrで400Åの厚みに真空蒸着する。その上から、下記式
【化17】
Figure 0004741049
で示されるZnOXDと実施例2で得られたCzBAPMBを(95:5の重量パーセント比になるように)共蒸着して厚さ150Åの発光層を形成した。さらに、電子輸送層としてZnOXDを450Å、1×10−6Torrの真空下で蒸着し、最後に陰極電極としてMgとAg(10:1)を同じ真空度で2000Å厚に共蒸着した。発光領域は、縦0.5cm、横0.5cmの正方形状とした。
このようにして作製した有機エレクトロルミネッセント素子において、ITOを陽極、Mg:Agを陰極として、直流電圧を印加し、ガラス基板を通して発光を観察した。輝度はトプコン輝度計BM−8により測定した。この素子は、初期駆動5Vで水色(475nm)の発光が得られ、発光スペクトルから発光層のCzBAPMBが発光していることを確認した。この素子の電流密度−電圧特性を測定したところ、13Vで300mA/cmであった。また、最高輝度は13Vで2300cd/mであった。得られた有機EL素子の輝度−電圧特性を図8に、電流密度−電圧特性を図9に示す。
【0038】
実施例11
(CzBAPMB10wt%ドープの場合)
発光層をZnOXDとCzBAPMBが90:10の重量パーセント比になるように共蒸着した以外は実施例10と同様に素子を作製した。
この素子は、初期駆動5Vで水色(475nm)の発光が得られ、発光スペクトルから発光層のCzBAPMBが発光していることを確認した。この素子の電流密度−電圧特性を測定したところ、14Vで500mA/cmであった。また最高輝度は13Vで2400cd/mであった。得られた有機EL素子の輝度−電圧特性を図8に、電流密度−電圧特性を図9に示す。
【0039】
実施例12
(DABAPMB20wt%ドープの場合)
発光層をZnOXDとDABAPMBが80:20の重量パーセント比になるように共蒸着した以外は実施例10と同様に素子を作製した。
この素子は、初期駆動5Vで水色(475nm)の発光が得られ、発光スペクトルから発光層のCzBAPMBが発光していることを確認した。この素子の電流密度−電圧特性を測定したところ、13Vで400mA/cmであった。また最高輝度は13Vで2800cd/mであった。得られた有機EL素子の輝度−電圧特性を図8に、電流密度−電圧特性を図9に示す。
【0040】
実施例13
(DABAPMB30wt%ドープの場合)
発光層をZnOXDとDABAPMBが70:30の重量パーセント比になるように共蒸着した以外は実施例10と同様に素子を作製した。
この素子は、初期駆動5Vで水色(475nm)の発光が得られ、発光スペクトルから発光層のCzBAPMBが発光していることを確認した。この素子の電流密度−電圧特性を測定したところ、13Vで600mA/cmであった。また最高輝度は12Vで3400cd/mであった。得られた有機EL素子の輝度−電圧特性を図8に、電流密度−電圧特性を図9に示す。
【0041】
比較例2
実施例10に示す素子で、CzBAPMBを共蒸着せずZnOXDだけを600Åの厚みに1×10−6Torrで真空蒸着した以外は、実施例10と同様にして有機EL素子を作製した。
この素子は、初期駆動5Vにて青色の発光が観察され、また最高輝度は13Vにて2200cd/mであったが、CzBAPMBをドープした素子に比べ初期電圧が高かった。また、電流密度−電圧特性を測定したところ、9Vで6mA/cmとCzBAPMBをドープした素子に比べ低い値を示した。得られた有機EL素子の輝度−電圧特性を図8に、電流密度−電圧特性を図9に示す。
【0042】
【発明の効果】
(1)本発明により、新規な複素環含有アリールアミン化合物を提供することができる。
(2)本発明の新規化合物は、ホール輸送性の発光化合物として有用であり、有機EL素子の発光層として用いることができる。
(3)本発明により、新規な発光層をもつ有機EL素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例1で得られたDABAPMBのIRスペクトル図である。
【図2】 図2は、実施例1で得られたDABAPMBのH−NMRスペクトル図(溶媒:CDCl)である。
【図3】 図3は、実施例2で得られたCzBAPMBのIRスペクトル図である。
【図4】 図4は、実施例2で得られたCzBAPMBのH−NMRスペクトル図である。
【図5】 実施例5〜9の有機EL素子の積層構造を示す。
【図6】 実施例5〜9および比較例1の有機EL素子の輝度−電圧特性を示す。白丸は実施例5、白三角は実施例6、白四角は実施例7、黒丸は実施例8、黒三角は実施例9、黒四角は比較例1である。
【図7】 実施例10〜13および比較例2の有機EL素子の積層構造を示す。
【図8】 実施例10〜13および比較例2の有機EL素子の輝度−電圧特性を示す。黒丸は実施例10、白三角は実施例11、白四角は実施例12、白丸は実施例13、黒四角は比較例2である。
【図9】 実施例10〜13および比較例2の有機EL素子の電流密度−電圧特性を示す。黒丸は実施例10、白三角は実施例11、白四角は実施例12、白丸は実施例13、黒四角は比較例2である。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で示される分子量750以上の複素環含有アリールアミン化合物。
    Figure 0004741049
    (式中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族複素環基(ただし、ベンゼン環とArとが該複素環を構成する窒素原子を介して結合しているものを除く)であり、R〜R16は、水素原子、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基および置換基を有していてもよいアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、Ar〜Arは置換基を有していてもよいアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。
  2. 下記化学式(2)〜(4)のいずれかで示される分子量750以上の複素環含有アリールアミン化合物。
    Figure 0004741049
    Figure 0004741049
    Figure 0004741049
  3. 請求項1又は2記載の分子量750以上の複素環含有アリールアミン化合物を含有する層をもつことを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子。
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