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JP4638903B2 - 複合材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、合成樹脂の連続相とバイオマス由来成分の分散相とが複合してなる複合材料に関連する技術分野に属し、特にそのような複合材料の製造方法に関するものである
バイオマス(生物資源)とは、太陽のエネルギーによって、成長する動物や植物のうち再生可能な有機性資源を指す。
具体的には、アミロース又はアミロペクチンを主成分とするデンプン質系バイオマス(米、小麦、とうもろこし、馬鈴薯、甘藷、タピオカ(キャッサバ)等)、リグノセルロース又はセルロースを主成分とする草木質系バイオマス(木材工業およびパルプ工業等の廃棄物である間伐材・建築解体材等、農業廃棄物である稲ワラ・さやガラ等)、甲殻類動物に由来するキチン(又はキトサン)質系バイオマス(蟹ガラ、蝦ガラ等)が挙げられる。
現在、これらバイオマスに由来する成分と合成樹脂とを複合化させることにより、化石資源から生産される合成樹脂の使用量を低減させ地球環境の保全に貢献したり、従来にない新機能を発現したりする高分子複合材料を創出する研究が進められている。そのような高分子複合材料にあっては、合成樹脂の連続相にバイオマス由来成分をいかにして微細にかつ均一に分散させるかが重要な検討課題となっている。
しかし、バイオマスは、分子間の強固な水素結合に基づく高い結晶性を有するとともに三次元架橋等の高次構造を有している。このため、バイオマス由来成分を合成樹脂の連続相に微細にかつ均一に分散させることは一般に容易でない。
前記した課題に対する従来技術として、前記デンプン質系バイオマスにあっては、これに含水処理を行った後に、ポリオレフィン系樹脂の主剤とともに加熱混練することにより、デンプン質を糊化(α化)させ連続相に微細に均一に分散させる技術が公知となっている(例えば、特許文献1)。
また、草木質系バイオマスやキチン質系バイオマスにあっては、高圧ホモゲナイザー等を用いて、これらバイオマスを水溶媒中で微細化し均質な懸濁液を作製する。そして、この懸濁液を、ポリオレフィン系樹脂の主剤とともに加熱混練することにより、バイオマス由来成分を連続相に微細に均一に分散させる技術が公知となっている(例えば、特許文献2)。
特開2006−21502号公報(図2) 特開2006−289164号公報(図1)
しかし、以上述べた従来技術において、原料であるポリオレフィン系樹脂とバイオマス由来成分とを混練する場合、包含される大量の水も共に混練することになる。そして、この水の存在が、合成樹脂中にバイオマス由来成分を微細でかつ均一に分散させるために重要な役目を果たすことが明らかになっている。従って、バイオマス由来成分の分散性の向上を目的として水を補充して混練する場合もある。
このため、溶融している混練体から水分を分離する工程が不可欠となり、汎用の混練装置をそのまま適用してバイオマス複合材料を量産することは困難である問題があった。
また、バイオマス複合材料を連続的に大量生産する場合、大量に発生する高温排水(水蒸気)が、バイオマス複合材料の生産性を低下させる問題があった。
本発明は、前記した問題を解決することを課題とし、無含水状態で合成樹脂とバイオマス由来成分とを混練(混合)しても、合成樹脂の連続相にバイオマス由来成分の分散相が微細でかつ均一に分布する複合材料を簡便に生産する技術を提供するものである。
前記課題を解決するために、本発明は、第1樹脂とバイオマス由来成分とを主構成要素にするバイオマス樹脂の濃厚物において、前記第1樹脂はシングルサイト触媒により合成されたオレフィン系樹脂を主成分とし、前記バイオマス由来成分100重量部に対して前記第1樹脂の配合量が5〜100重量部であり、第2樹脂を配合し混練することによって前記バイオマス由来成分の濃度を希釈することを特徴とする。
このような手段から本発明が構成されることにより、高比率のバイオマス由来成分と第1樹脂とが混合しているバイオマス樹脂の濃厚物に、第2樹脂が配合されればバイオマス濃度が希釈される形で複合材料が製造されることになる。これによって、水分を介在させないで両者を混合させることができ、バイオマス由来成分が均一に分散してなる複合材料を量産することができる。なおこの濃厚物の製造においては、混練工程に水分が介在することになるが、その分量は少なくてすむ。
また、この濃厚物を長期保存する場合にあっては、バイオマス由来成分の粒子が第1樹脂に密封されているので、酸化等の材質劣化が進行しにくい。
さらに本発明は、バイオマス樹脂の濃厚物において、前記第1樹脂は、鎖状炭化水素の主鎖の炭素数10から100の範囲に含まれるワックスが含まれていることを特徴とする。
このような手段から本発明が構成されることにより、濃厚物を構成するバイオマス由来成分は、その表面にワックスが吸着した状態になっている。このため、濃厚物と第2樹脂とを混練する際に、ワックスは先行して溶解することとなり、微細化し親油化したバイオマス由来成分が溶解した第2樹脂中に分散していくこととなる。
さらに本発明は、バイオマス樹脂の濃厚物において、前記第1樹脂はシングルサイト触媒により合成されたプロピレン系樹脂やエチレン系樹脂等のオレフィン系樹脂を主成分にすることを特徴とする。
このような手段から本発明が構成されることにより、第1樹脂は、シングルサイト触媒によりその一次構造を精密に制御して分子設計することが可能になるため、その融点の温度分布を任意に設定することができる。
そして、第1樹脂の融解開始温度が50℃以上であることにより室温にて融解する部分がないことによりべたつき感のない複合材料が得られ、融解終了温度がプロピレン系樹脂において150℃、エチレン系樹脂において120℃以下であることにより混練時に濃厚物の溶け残りのない又焼けのない複合材料が得られる。
さらに、シングルサイト触媒によりその一次構造を精密に制御して分子設計をすることが可能となるため、直鎖状の分子構造を持つオレフィン系樹脂において、その立体規則性が高くなるため、バイオマスの凝集核を生じにくく、より高濃度にバイオマスを均一に分散させた複合材料が得られる。
さらに本発明は、バイオマス樹脂の濃厚物において、前記ワックスは、飽和脂肪酸である場合も含まれる。
このような手段から本発明が構成されることにより、安価に製造される天然樹脂を利用することができる。さらに、飽和脂肪酸の末端のカルボキシル基が、バイオマス由来成分の表面のヒドロキシル基(OH)とエステル結合するので、バイオマス由来成分の親油性を向上させる。
さらに本発明は、バイオマス樹脂の濃厚物において、前記バイオマス由来成分はデンプン由来のアミロース、アミロペクチン又はこれらの分解物を主成分とするものであって、デンプンを酵素分解したアミラーゼ又はその熱変性物が混入していることを特徴とする。
このように本発明が構成されることにより、アミラーゼにより酵素分解されたデンプン由来のバイオマス由来成分が、微細化された状態でバイオマス樹脂の濃厚物に含有されていることになる。これにより、バイオマス樹脂の濃厚物と第2樹脂とが共に混練されて得られる複合材料は、バイオマス由来成分が均一でかつ微細に分散されたものとなる。
さらに本発明は、バイオマス樹脂の濃厚物において、アルカリ金属塩が配合されていればさらに顕著な効果が導かれる
このように本発明が構成されることにより、アルカリ金属イオンとバイオマス由来成分との親和性により、バイオマス由来成分同士の凝集力が弱まり、濃厚物の製造時において第1樹脂中に分散するバイオマス由来成分の粒子の微細化が促進される。
また濃厚物の製造後、貯蔵中に、微細化したバイオマス由来成分が再凝集することが防止される。また、濃厚物と第2樹脂とを混合させる際に、第2樹脂中における濃厚物の流動性が向上し分散しやすくなる。
さらに本発明は、バイオマス樹脂の濃厚物を構成する前記バイオマス由来成分は、飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸又はこれらの誘導体でエステル化されていればさらに顕著な効果が導かれる
このように本発明が構成されることにより、一般に親水性を示すバイオマス由来成分と、一般に疎水性を示す合成樹脂との界面における低親和性が改善される。これにより、バイオマス樹脂の濃厚物と第2樹脂とが混練されると、微細化しているバイオマス由来成分が、第2樹脂の連続相中に高速に分散していくことになる。
さらに本発明は、バイオマス樹脂の濃厚物において、前記第1樹脂のDSC測定による融解ピーク温度をT1とし、前記第2樹脂の融解ピーク温度をT2とした場合、T1≦T2の関係を有すればさらに顕著な効果が導かれる
このように本発明が構成されることにより、T1<T2の場合は、混練時に第2樹脂が融解する前に、バイオマス樹脂の濃厚物が先行して融解する(微細にばらける)ことになる。T1=T2の場合は、第1樹脂と第2樹脂とが同系統の樹脂であることを意味しており、混練される物同士の親和性が極めて良好な状態が実現される。これにより、バイオマス由来成分が複合材料の全体に均一に分散するとともに、複合材料の成形性・生産性が向上する。
さらに本発明は、複合材料の製造方法において、本発明に係るバイオマス樹脂の濃厚物と熱可塑性樹脂である前記第2樹脂とを混合し、共に混練する工程を含むことを特徴とする。
このように本発明が構成されることにより、混練工程においてバイオマス由来成分をポリオレフィン系樹脂中で無含水状態で混練して複合材料を量産することができる。
さらに本発明は、複合材料の製造方法において、前記混練する工程の際に、前記複合材料に対する前記ワックスの重量占有率が0.5から30重量%の範囲に含まれるようにこのワックスを追加する工程を含むことを特徴とする。
このような手段から本発明が構成されることにより、濃厚物と第2樹脂との混練性が向上し、第2樹脂の連続相中にバイオマス由来成分を均一に分散させることができる。
さらに本発明は、複合材料の製造方法において、本発明に係るバイオマス樹脂の濃厚物と、熱硬化性樹脂である前記第2樹脂とを混合し、硬化させる工程を含むことを特徴とする。そして、このバイオマス樹脂の濃厚物は粉砕処理を施したものであることを特徴とする
このように本発明が構成されることにより、第2樹脂が熱硬化性樹脂の場合にあっては、熱硬化性樹脂の硬化温度においてバイオマス樹脂の濃厚物が流動化するために、バイオマス由来成分が均一かつ微細に分散した複合材料が得られる。
またバイオマス樹脂の濃厚物に粉砕処理が施されれば、粉砕されたバイオマス由来成分の表面は新生面であるので、熱硬化性樹脂との親和性も高く、均一な分散相が得られやすくなる。
本発明により、一般的な混練装置を用いて、バイオマス由来成分の分散相を合成樹脂の連続相に微細でかつ均一に分散させることができ、バイオマス複合材料を簡便に量産する技術が提供される。
本発明に係るバイオマス樹脂の濃厚物(以下、単に「濃厚物」という)を構成する第1樹脂として採用することができる合成樹脂としては、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩ビ系樹脂、酢ビ系樹脂、セルロース誘導体系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の各種公知の熱可塑性樹脂が挙げられる。
このうちオレフィン系樹脂としては、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)等が挙げられる。
なかでも、プロピレン系樹脂及びエチレン系樹脂が好適に用いられる。
具体例としては、これらのモノマー(プロピレン、エチレン)の単独重合体、これらモノマーとα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。なお、α−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられ、共重合体はブロック共重合体、ランダム共重合体、ランダムブロック共重合体の何れであってもよい。なお、これら熱可塑性樹脂は、二種以上混合して使用してもよい。
プロピレン系樹脂の重合様式は、具体例として、チグラー・ナッタ触媒等の有機金属触媒により重合する方法、メタロセン触媒に代表される重合触媒としての活性点が単一の性質を有するシングルサイト触媒により重合する方法が挙げられる。
エチレン系樹脂の重合様式は、具体例として、1000〜3500気圧の高圧下でラジカル重合する方法(低密度ポリエチレン:HPPE)、30〜100気圧の中圧下でチグラー・ナッタ触媒等の有機金属触媒により重合する方法(高密度ポリエチレン:HDPE)、メタロセン触媒に代表されるシングルサイト触媒により重合する方法が挙げられる。
これらプロピレン系樹脂及びエチレン系樹脂の重合様式は、特に限定されるものでなく、重合度も、モノマーの結合数が10から100未満のオリゴマー(ワックス)、100を超えるポリマーの両方を含むこととする。
そして、第1樹脂は、バイオマス由来成分が均一かつ微細な分散相を形成する複合材料を製造するために、分子設計の自由度が高いシングルサイト触媒による重合様式を採用し、後記する融解温度特性を有する重合度で合成されることが望ましい。
この濃厚物を構成する第1樹脂が具備すべき特性の一つとして、濃厚物を製造する混練温度において、良好な流動特性を備えていること挙げられる。
第1樹脂に採用され得る前記した熱可塑性樹脂のうち結晶性高分子であるものについては、示差走査熱量計(DSC;Differential Scanning Calorimetry)により測定される融解温度を、流動特性を評価する指標にすることができる。
つまり、結晶性高分子の温度を連続的に変化させるとともに、結晶が融解して固体から液体に変化する際の転移熱をDSCにより検出することにより、任意温度における第1樹脂の固体−液体比率を知ることができる。
そして、任意温度において、液体比率が高い程、全部液体の場合は融解ピークが低温にあるものほど、低粘性で流動性に優れると一般にいえる。
なお、熱可塑性樹脂のうち非晶性高分子については、結晶性高分子のような融解現象は観測されないので、DSCにより測定されるガラス転移温度が流動特性を評価する指標として用い得る。
結晶性高分子であるプロピレン系樹脂を主成分にする第1樹脂においては、DSCで測定される融解温度が50℃から150℃の範囲に含まれることが望ましい。
結晶性高分子であるエチレン系樹脂を主成分にする第1樹脂においては、DSCで測定される融解温度が50℃から120℃の範囲に含まれることが望ましい。
ここで、融解温度とは、JISK7121で定められる融解開始温度Timから融解終了温度Temまでの温度範囲を指す。
この第1樹脂の融解開始温度Timが規定した前記温度範囲の下限(50℃)未満であるとすると、第1樹脂は一般的使用温度(常温)において部分的に融解することになり、最終製品であるバイオマス複合材料の表面がべたつき感を有する場合がある。
また第1樹脂の融解終了温度Temが規定した前記温度範囲の上限よりも高温であるとすると、一般的な同系統の合成樹脂の混練温度において、未融解な部分が残存する場合があり、最終製品であるバイオマス複合材料が内部欠陥を包含する場合がある。
このように規定された温度範囲の融解温度を有するために第1樹脂は、前記したシングルサイト触媒により重合されたオレフィン樹脂(プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂)であることが望ましい。
なぜならば、これら結晶性高分子の融解温度は、その高分子の一次構造と密接な関係を有している為、一次構造を精密に制御することができるシングルサイト触媒による重合は好都合であるからである。そのような、精密制御された一次構造を実現することができるのは、このシングルサイト触媒が、重合反応に関わる部分が単一の性質を有するため重合反応が均一化する為と考えられている。
シングルサイト触媒により合成される場合は、チグラー・ナッタ触媒に代表されるマルチサイト触媒による場合と比較して、等側鎖の分岐が少なく、分子量、結晶粒径の分布が均一化したオレフィン樹脂が重合される。このため、DSC測定による融解温度が規定した範囲に含まれる任意の温度範囲であって融解ピークの形状がシャープであるオレフィン樹脂(第1樹脂)が得られる。
シングルサイト触媒であるメタロセン触媒は、周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物であり、具体的な例としては下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
MLx …(1)
Mは周期表第4族から選ばれる遷移金属であって、例としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウムなどがある。xはこの遷移金属Mの原子価である。
Lは遷移金属Mに配位する配位子であって、そのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子である。
ここで、第1樹脂が、鎖状炭化水素の主鎖の炭素数10から100の範囲に含まれるワックスを含む場合について考察する。このワックスは、工業的に合成される合成樹脂であったり、天然物から抽出される天然樹脂であったりし、いずれも常温で固体であり加熱して溶融すると第2樹脂よりも低粘度を示すものである。このため、このワックスが配合されている濃厚物と第2樹脂とを混合して混練すると、ワックス成分が先行して溶融することになる。すると、混練物の粘性が低下して混練装置の負担が低減するとともに混練性が向上しバイオマス由来成分が第2樹脂の連続相中に均一でかつ微細に分散していくことになる。
ここで、ワックスの主鎖の炭素数が10よりも小さいと、ワックスの融点が低温となり常温で液体を示し、製造されるバイオマス樹脂の表面がべたつき感を有することになる。
またワックスの主鎖の炭素数が100よりも大きいと、ワックスの融点が高温となり溶融粘度が大きくなる。すると、第2樹脂の連続相に対するバイオマス由来成分の分散性が低下することになる。
ワックスとして、天然樹脂のものとしては飽和脂肪酸が挙げられる。
飽和脂肪酸とは、鎖状炭化水素の1価のカルボン酸であって、CH3(CH2)nCOOHの示性式で示される化合物であって、本発明に適用されるものはnが9以上であるものが好ましい。
この飽和脂肪酸は、その末端に位置するカルボキシル基(COOH)が親水基であって、鎖状炭化水素の部分(CH3(CH2)n)が疎水基(親油基)となっている。
このために飽和脂肪酸は、末端のカルボキシル基(COOH)が、バイオマス由来成分(R)の表面のヒドロシル基(OH)と、下記式(1)に示す脱水反応(エステル反応)により化学結合(化学吸着)することになる。
Figure 0004638903
このような化学反応により、バイオマス由来成分は、その表面のヒドロシル基(OH)が飽和脂肪酸によって化学修飾されて、親水性が解消し親油性が向上することとなる。これにより、バイオマス由来成分の分散相が第2樹脂の連続相中に拡散しやすい好都合な性質を備えることになる。
合成樹脂のワックスとしては、前記したシングルサイト触媒により重合されたオレフィン樹脂が好適である。これによれば、同様の融点(又は溶融粘度)を有する天然樹脂のワックスと対比した場合、長鎖であるがゆえに硬度が高い特徴を有するため、機械的特性の優れたバイオマス樹脂の複合材料を得ることができる。
また、シングルサイト触媒により重合されたオレフィン樹脂のワックスは、同程度の硬度を有する他の合成ワックス(チグラー・ナッタ触媒法、高圧法等)と対比した場合、低融点でかつ低粘度である特徴を具備している。
濃厚物を構成するバイオマス由来成分としては、グルコースがα−1,4グルコシド結合によって直鎖状に結合したアミロース又はα−1,4グルコシド結合とα−1,6グルコシド結合の両者の直鎖を枝に持つアミロペクチンを主成分とするデンプン質系バイオマス、リグノセルロース又はセルロースを主成分とする草木質系バイオマス、甲殻類動物に由来するキチン(又はキトサン)質系バイオマス(蟹ガラ、蝦ガラ等)が挙げられる。
デンプン質系バイオマスの原料としては、生米、小麦、トウモロコシ、馬鈴薯、甘藷、キャッサバ等のデンプン系の穀物が挙げられる。これらデンプン系の穀物は、所定量以上の水分の存在下で一般的な混練温度Tz(70〜200℃)に置かれると、水分子が入り込んで結晶構造が崩れ非晶構造に転移する糊化現象が起こる。このように糊化したデンプン(バイオマス由来成分)は、分子鎖相互間の水素結合の束縛から解放されているので、溶融しているポリオレフィン系樹脂中に微細に均一に分散されやすい好都合な性質を備えることになる。
濃厚物を製造するにあたり、これらデンプン質系バイオマスの前処理としては、芯や表皮を取り除き大きさを適当に揃えて刻んだり、糊化に必要な水分の追加をしたりする程度の簡単な処理で十分である。このような簡単な処理をしたデンプン質系バイオマスと、第1樹脂とを共に混練すると、その過程において含有する水分によりデンプンが糊化し微細化し第1樹脂中に均一に分散していくことになる。
なおこの含有する水分は濃厚物を製造する混練工程の後工程において混練装置に設けられているベント孔(脱水手段)から排出されることになる。
また濃厚物の原料として適用されるデンプン質系バイオマスは、このような簡単な前処理を実施した穀物に限定されるものではなく、予め公知方法で糊化させた穀物(非晶構造を取るデンプン)や、これら穀物からアミロース又はアミロペクチンの成分を公知の方法で抽出させたものを原料としてもよい。
またデンプン由来のバイオマス由来成分を採用する場合において、その微細化を促進するために、濃厚物の製造時において、アミラーゼを添加する場合がある。
このアミラーゼは、分子量約55,000の酵素であり、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼがあり、いずれも工業的に大量生産されるものである。
α-アミラーゼは、デンプンのα−1,4グルコシド結合を不規則に切断して多糖又はオリゴ糖に加水分解し、β-アミラーゼは、デンプンを末端からブドウ糖2個単位で切断し、麦芽糖に分解し、グルコアミラーゼは、糖鎖の非還元末端のα−1,4グルコシド結合を切断してブドウ糖に分解する。
さらに、イソアミラーゼ、プルラナーゼは、糖類の分岐部分であるα−1,4グルコシド結合を選択的に切断する。
このなかでα-アミラーゼが、デンプン由来のバイオマス由来成分の微細化を促進させる観点において好適である。また、イソアミラーゼ、プルラナーゼは、バイオマス由来成分の低分子量化を防ぐために好適である。
ところで、α-アミラーゼの酵素活性は、水素イオン指数pH5〜pH7、温度40℃〜80℃の範囲で、高く維持されるものである。
従って、濃厚物を製造するにあたり、アミラーゼがデンプン質系バイオマスに投入されるタイミングは、デンプン質系バイオマスが混練装置に投入される前、同時、後のいずれの場合も取り得るが、アミラーゼの酵素活性が失われない条件が維持されることが必要である。
特に、デンプン質系バイオマスが混練装置に投入されると同時又は後にアミラーゼが投入される場合は、混練温度が酵素活性が失われない範囲に設定する必要がある。この場合は、投入される第1樹脂も、酵素活性が失われない温度範囲で充分に流動する程度に融解温度が低いことが望まれる。
アミラーゼの活性条件の範囲を外れるとアミラーゼの酵素は変性して失活し、特に高温においては、アミラーセの活性の低下速度が急激に早くなる。一例を示すと、70℃で20分放置した場合の残存活性が90%であるのに対し、75℃で20分放置した場合の残存活性が50%まで低下するといった報告例がある。
なお、アミラーゼの添加量は、デンプン質系バイオマス100重量部に対して、0.001〜5重量部であることが望ましい。ここで、アミラーゼの添加量が0.001重量部未満である場合は、デンプンの分解速度が遅くなり、5重量部よりも多い場合は、デンプンの分解が促進されすぎてバイオマス由来成分が低分子量化して好ましくない。
デンプン質系バイオマスがアミラーゼの酵素活性によって分解されれば、糊化反応も促進されることとなり、共に混練される第1樹脂中にバイオマス由来成分が微細に均一に分散していくことになる。
このように、デンプンを酵素分解させた後のα-アミラーゼは、不要なものであるがこれを選択的に取り除く手段がないので、そのまま濃厚物中に混入させておいたり、混練温度を高温にして熱変性させ活性を殺した状態で混入させておいたりしてもよい。
一方、草木質系バイオマスを原料とするものとして、具体的には、木材工業およびパルプ工業等の廃棄物である間伐材・建築解体材等、農業廃棄物である稲ワラ・さやガラ、故紙、粉砕処理した木片、木粉、鋸屑、カンナ屑、竹粉、バガス、果実殻粉、木綿、人絹(レーヨン)等を挙げることが出来る。また、これらの形状には別に制限なく、繊維状、粉末状のものが使用できる。
また、これら草木質系バイオマス及びキチン質系バイオマスを、高圧ホモゲナイザーを用いて水中で物理的に粉砕させたり(特許文献2参照)、化学処理により水中で微細化させたりして懸濁液状にしたものも適宜利用することができる。
また、これらバイオマス由来成分同士の凝集を緩和するために、濃厚物の製造時において、アルカリ金属塩を添加する場合がある。
アルカリ金属塩の種類は特に限定されるものではないが、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩、さらに、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム等のアルカリ土類金属塩が挙げられる。
これらアルカリ金属塩が添加されると、濃厚物の製造時において、アルカリ金属イオンとバイオマス由来成分の親和性によりバイオマス由来成分間の凝集力が弱まり、バイオマス由来成分の第1樹脂に対する分散性が高まることなる。
また濃厚物の製造後、貯蔵中に、微細化したバイオマス由来成分が再凝集することが防止される。また、濃厚物と第2樹脂とを混合させる際に、第2樹脂中における濃厚物の流動性が向上し分散しやすくなる。
なお、アルカリ金属塩の添加量は、バイオマス由来成分100重量部に対して、0.001〜5重量部であることが望ましい。ここで、アルカリ金属塩の添加量が0.001重量部未満である場合は、バイオマス由来成分の凝集力が弱まることがなく、5重量部よりも多い場合は、バイオマス由来成分の粘度が下がりすぎて第1樹脂との混練性が低下して好ましくない。
なお濃厚物の製造時においては、第1合成樹脂と共に混練されるバイオマスは、デンプン質系に限らず草木質系やキチン質系であっても、充分な水分の存在により、第1合成樹脂の連続相中へ分散が促進される事が実験的に確認されている。このため、バイオマス由来成分の分散性を向上させる目的で原料となるバイオマスに水分を追加して混練装置に投入する場合がある。
また濃厚物を製造するにあたり、飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸又はこれらの誘導体等の相溶化剤も共に混練させてバイオマス由来成分をエステル化させる場合がある。
そのような飽和カルボン酸としては、無水コハク酸、コハク酸、無水フタル酸、フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水アジピン酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、無水マレイン酸、無水ナジック酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ソルビン酸、アクリル酸等が挙げられる。
不飽和カルボン酸の誘導体としては、前記不飽和カルボン酸の金属塩、アミド、イミド、エステル等を使用することができる。
またこれら相溶化剤を導入するタイミングとしては、バイオマス由来成分と第1樹脂とほぼ同時に混練装置に投入する場合や、混練装置に投入する前に予めバイオマス由来成分を相溶化剤によりエステル化させておく前処理を実施する場合や、混練装置に投入する前に予め第1樹脂を不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性させておく前処理を実施する場合がある。
前記した相溶化剤がバイオマス由来成分に作用すると、その表面の水酸基がエステル基に置換されることにより(エステル化)、一般に親水性を示すバイオマス由来成分と、一般に疎水性を示す合成樹脂との界面における低親和性が改善される。これにより、バイオマス由来成分は、第1樹脂との親和性が向上するために濃厚物内で凝集することがなく、後に配合される第2樹脂との親和性も向上するために、混練される複合材料にバイオマス由来成分がに高速に微細に均一分散していくことになる。さらに混練体の流動特性も向上し複合材料の諸性質を向上させる。
濃厚物において、バイオマス由来成分及び第1樹脂の配合比率としては、バイオマス由来成分100重量部に対して、第1樹脂が5〜100重量部であることが好ましい。
第1樹脂が5重量部未満であると、微細化したバイオマス由来成分の表面の全てを第1樹脂で濡らすことができない。そうすると、濃厚物に第2樹脂を配合して混練する際に、バイオマス由来成分と第2樹脂との相溶性が低下する場合があり、複合材料中におけるバイオマス由来成分の均一分散が阻害されることになる。
第1樹脂が100重量部よりも多いと、相対的に配合される第2樹脂の分量が低減する。そうすると、第1樹脂よりも相対的に高粘性でかつ空間占有率の低い第2樹脂は、バイオマス由来成分の拡散が鈍いことになり、バイオマス由来成分の均一分散が阻害されることになる。
(濃厚物の製造方法)
濃厚物を加熱混練して製造する製造装置としては、例えばニーダー、バンバリーミキサー、1軸もしくは2軸の押出機などが挙げられる。これら製造装置には、一般的に具備される構成の他に、混練体に包含される水分を脱水する脱水手段を具備する必要がある。
この脱水手段は、混練体が混練される製造装置の内部が高温・高圧の密閉状態になっていることから、この内部に連通する開閉自在な大気開放路を設ければそのような脱水手段として機能することになる。
さらに脱水手段として、製造装置の内部を大気圧よりも減圧することができる強制減圧装置をさらに設けることができれば、混練体に包含される水分の脱水がより効率的に実行される。
このような濃厚物の製造装置の原材料投入口に、所定の前処理を行ったバイオマス、第1樹脂、適宜相溶化剤、アルカリ金属塩及び水分を直接投入する。また原料とするバイオマスがデンプン由来のものであれば、適宜アミラーゼも投入する。
そして、混練ゾーンが所定温度になるように設定し所定時間かけて混練し、第1樹脂中にバイオマス由来成分が微細に分散している状態を形成する。
このようにバイオマスと水とが共に混練されると、活性化した水がバイオマスの分子鎖間に侵入してその分子間結合を緩くする。さらに、混練で付与される機械エネルギーにより、バイオマスが破砕して微細化が進行する。さらに、溶融した第1樹脂(ワックス)は水と混合液相を形成しバイオマスの表面に吸着しバイオマスの親油性が向上する。
そして、この状態から脱水手段の大気開放路を開けば、混練体に含まれる水分が圧力差により大気中に放出される。さらに、強制減圧装置を動作させて確実に脱水させてもよい。
最後に、濃厚物の製造装置の取出口から取り出した濃厚物の混練体を、公知の造粒装置に通過させて造粒(ペレット化)する。
このようにして製造されたバイオマス樹脂の濃厚物のペレットは、微細化されたバイオマス由来成分が第1樹脂に対して高比率で配合されているものである。またこのようにバイオマス由来成分が高比率で配合されている濃厚物は、第1樹脂中への分散促進剤として機能する水分を減量させて製造することができる。これにより、脱水手段により排出される水分も少量ですみ濃厚物の生産性を低下させることはない。
(第2樹脂について)
濃厚物に配合される第2樹脂については、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂である場合も取り得ることとし、第1樹脂と親和性が良好なものであれば特に限定されない。
第2樹脂が熱可塑性樹脂である場合、採用することができる合成樹脂としては、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩ビ系樹脂、酢ビ系樹脂、セルロース誘導体系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の各種公知の熱可塑性樹脂が挙げられる。
このうちオレフィン系樹脂としては、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)等が挙げられる。
これらのうち、第2樹脂は、第1樹脂と同系統の合成樹脂であることが望ましいが、特に限定されることはなく異系統の合成樹脂を組み合わせてもよい。
ただし、濃厚物と第2樹脂とを混練してバイオマス複合材料にした際に、この複合材料におけるバイオマス由来成分の良好な分散性及びその他の諸特性を確保するために、第1樹脂と第2樹脂とは次式の関係を有していることが望ましい(但し、共に結晶性高分子である場合に限る)。
T1≦T2…(2)
ここでT1は第1樹脂のDSC測定による融解ピーク温度Tpm、T2は濃厚物に配合される第2樹脂の融解ピーク温度Tpmを示す。ここで融解ピーク温度Tpmとは、DSC測定による融解ピークの頂点の温度を指す(JISK7121参照)。
ところで、結晶性高分子である合成樹脂のDSC測定による融解ピークは、一般に、その頂点の温度Tpmを中心として対称形であるわけではない。しかし、混練温度は、第2樹脂が充分に融解する温度に設定されるものであって、この設定温度で濃厚物と第2樹脂とが混練されれば、第2樹脂が固体から溶融体になる前に、第1樹脂が先行して融解し、溶融体となって、混練体の全体に均一に行き渡ることになる。
さらに、第2樹脂よりも融解ピーク温度Tpmが低い第1樹脂の方が(T1<T2)、一般に、混練温度における粘度が小さいといった流動特性を有するものである。このため、混練初期においては、固体の第2樹脂のペレットの隙間に低粘度の濃厚物の溶融体が先行して充填されるために、混練装置の内部流動抵抗を低減させる効果も得られ、複合材料の成形性・生産性の向上にも貢献する。
また、T1=T2である場合は、実質的に第1樹脂と第2樹脂とは同じ合成樹脂であることを意味しており、混練される物同士の親和性が極めて良好な状態が実現される。これにより、バイオマス由来成分が複合材料の全体に均一に分散するとともに、複合材料の成形性・生産性が向上する。
また第2樹脂が熱硬化性樹脂である場合、採用することができる合成樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド、ジアリルフタレート等の各種公知の熱硬化性樹脂が挙げられる。
(複合材料の製造方法1;第2樹脂が熱可塑性樹脂である場合)
前記した濃厚物の製造方法により製造された濃厚物のペレットに、熱可塑性樹脂である第2樹脂を配合し、共に混練装置により混練する。用いられる混練装置は、汎用のニーダー、ミキシングロール、バンバリーミキサー、1軸もしくは2軸の押出機などが挙げられる。
熱可塑性樹脂である第2樹脂と濃厚物とを混練する工程において、最終的に製造される複合材料の総重量に対するワックスの重量占有率が0.5から30重量%の範囲に含まれるようにこのワックスを追加する場合がある。これにより、混練物の粘性が低下して混練装置の負担が低減するとともに混練性が向上しバイオマス由来成分が第2樹脂の連続相中に均一でかつ微細に分散していくことになる。
ワックスのの重量占有率が0.5重量%よりも少ない場合、微細化したバイオマス由来成分の表面をワックスで濡らすことができない。そうすると、親水性であるバイオマスの分散相を疎水性である合成樹脂の連続相に均一に拡散させることが困難になる。
一方、ワックスの配合量が30重量%よりも多い場合、製造される複合材料を構成する合成樹脂成分の平均分子量が低下することとなりその機械的性質が低下することになる。
さらにこれらの混練装置から、複合材料の溶融体を、射出成形、押出成形、ブロー成形、インフレーション成形等の各種熱可塑性樹脂の成形装置に導いて、従来から熱可塑性樹脂を用いて加工される各種製品、埋立により土に還元されることを目的とする各種製品、例えば家電製品、農林水産業用資材、土木・建築資材、野外レジャー用ディスポーザブル製品、包装用フィルム、ゴミ袋、砂漠・荒地などで用いる植林用素材、釣り糸、魚網、包装フィルム、紙おむつ等の衛生製品、文具、容器、トレー、雑貨等を製造することができる。
(複合材料の製造方法2;第2樹脂が熱硬化性樹脂である場合)
前記した濃厚物の製造方法により製造された濃厚物と、熱硬化性樹脂である第2樹脂とを混合し、一般的に用いられる熱硬化性樹脂の成形装置に投入し、バイオマス複合材料を製造することができる。
用いられる成形装置は、圧縮成形機、射出成形機、トランスファ成形機等が具体的に挙げられ、従来から熱硬化性樹脂を用いて製造される各種製品、車部品、電気部品、電子部品等を製造することができる。
圧縮成形機を用いて複合材料を製造する場合は、濃厚物と熱硬化性樹脂(第2樹脂)との混合物を硬化温度に設定された金型の凹部(キャビティ)に入れて、プレスして硬化させる。この場合、加温によりバイオマス樹脂の濃厚物が流動化し、第2樹脂の粒子の隙間を充填する。その後、第2樹脂の硬化反応が進行することとなり、バイオマス由来成分が均一かつ微細に分散したバイオマス複合材料を得る。
射出成形機又はトランスファ成形機を用いて複合材料を製造する場合は、濃厚物と熱硬化性樹脂(第2樹脂)との混合物を、硬化温度よりも低温である流動温度に設定し、流動化させる。そして、この流動化した混合物(濃厚物+第2樹脂)を硬化温度に設定された金型に圧入し、硬化させる。
なお、バイオマス由来成分の分散相の微細化・均一化を図るために、流動状態にある混合物を充分に撹拌することが望ましい。
もしくは、第2樹脂に混合する前に濃厚物のペレットをミキサー等を用いて粉砕処理してもよい。この場合、粉砕されたバイオマス由来成分の表面は新生面であるので、熱硬化性樹脂との親和性も高く、均一な分散相が得られやすくなる。
この場合、濃厚物のペレットは、複合材料の成形時に粉砕処理により微粒子化されることを前提に、所定大きさ(通常、米粒から豆粒の大きさ)で外気に接する表面積が小さくなるように成形されるわけである。
このことは、前記したように粉砕して微粒子化されるバイオマス由来成分の新生面が広く確保されることのみならず、濃厚物の表面酸化による発熱を抑制し、長期保存に耐えうる貯蔵安定性が付与されることになる。
なお、前記した濃厚物の製造工程又は複合材料の製造工程において、消臭剤として平均粒径50ミクロン以下のシリカパウダーを投入したり、埋立処分する際の分解を促進させる公知の生分解性付与剤を投入したりする場合がある。

Claims (5)

  1. 第1樹脂とバイオマス由来成分とを主構成要素にするバイオマス樹脂の濃厚物及び第2樹脂を混合し共に混練する工程を含む複合材料の製造方法であって、
    前記第1樹脂はシングルサイト触媒により合成されたオレフィン系樹脂を主成分とし、
    前記バイオマス由来成分100重量部に対して前記第1樹脂の配合量が5〜100重量部であり、
    前記第2樹脂は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂であることを特徴とする複合材料の製造方法
  2. 請求項1に記載の複合材料の製造方法において、
    前記第1樹脂は、鎖状炭化水素の主鎖の炭素数10から100の範囲に含まれるワックスが含まれていることを特徴とする複合材料の製造方法
  3. 請求項1又は請求項2に記載の複合材料の製造方法において、
    前記バイオマス由来成分はデンプン由来のアミロース、アミロペクチン又はこれらの分解物を主成分とするものであって、
    前記バイオマス樹脂の濃厚物には、デンプンを酵素分解したアミラーゼ又はその熱変性物が混入していることを特徴とする複合材料の製造方法
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の複合材料の製造方法において、
    前記混練する工程の際に、前記複合材料に対する前記ワックスの重量占有率が0.5から30重量%の範囲に含まれるようにこのワックスを追加する工程を含むことを特徴とする複合材料の製造方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の複合材料の製造方法において、バイオマス樹脂の濃厚物は粉砕処理を施したものであることを特徴とする複合材料の製造方法。
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