JP4636744B2 - Cellulose acylate solution and method for producing cellulose acylate film - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セルロースアシレートフイルム溶液、およびセルロースアシレートフイルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セルロースアシレートフイルムは、その強靭性と難燃性から各種の写真材料や光学材料に用いられている。セルロースアシレートフイルムは、代表的な写真感光材料の支持体である。また、セルロースアシレートフイルムは、その光学的等方性から、近年市場の拡大している液晶表示装置にも用いられている。液晶表示装置における具体的な用途としては、偏光板の保護フイルムおよびカラーフィルターが代表的である。
【0003】
セルロースアシレートフイルムは、一般にソルベントキャスト法またはメルトキャスト法により製造する。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを溶媒中に溶解した溶液(ドープ)を支持体上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。メルトキャスト法では、セルロースアシレートを加熱により溶融したものを支持体上に流延し、冷却してフイルムを形成する。ソルベントキャスト法の方が、メルトキャスト法よりも平面性の高い良好なフイルムを製造することができる。このため、実用的には、ソルベントキャスト法の方が普通に採用されている。ソルベントキャスト法については、多くの文献に記載がある。最近のソルベントキャスト法では、ドープを支持体上へ流延してから、支持体上の成形フイルムを剥離するまでに要する時間を短縮して、製膜工程の生産性を向上させることが課題になっている。例えば、特公平5−17844号公報には、高濃度ドープを冷却ドラム上に流延することにより、流延後、剥ぎ取りまでの時間を短縮することが提案されている。
【0004】
ソルベントキャスト法に用いる溶媒は、単にセルロースアシレートを溶解することだけでなく、様々な条件が要求される。平面性に優れ、厚みの均一なフイルムを、経済的に効率よく製造するためには、適度な粘度とポリマー濃度を有する保存安定性に優れた溶液(ドープ)を調製する必要がある。ドープについては、ゲル化が容易であることや支持体からの剥離が容易であることも要求される。そのようなドープを調製するためは、溶媒の種類の選択が極めて重要である。溶媒については、蒸発が容易で、フイルム中の残留量が少ないことも要求される。
セルロースアシレートの溶媒として様々な有機溶媒が提案されている。実用化されている有機溶媒としては実質的にはメチレンクロリドに限定されるが、メチレンクロリドはその環境適性、沸点等の問題を有しており、その代替となるような溶媒の探索が行なわれている。
【0005】
J.M.G.Cowie他の論文(Makromol,chem.,143巻、105頁(1971年))においては、置換度が2.80乃至2.90の範囲にあるセルロースアシレートを、アセトン中で−80℃から−70℃に冷却した後、加温することにより、アセトン中にセルロースアシレートが0.5乃至5質量%に溶解している希薄溶液が得られたことを報告している(ただし、ここでのアシル基はアセチル基に限定されている)。以下、このように、セルロースアシレートと有機溶媒との混合物を冷却して、溶液を得る方法を「冷却溶解法」と称する。また、セルロースアシレートのアセトン中への溶解については、上出健二他の論文「三酢酸セルロースのアセトン溶液からの乾式紡糸」、繊維機械学会誌、34巻、57頁(1981年)にも記載がある。この論文は、その標題のように、冷却溶解法を紡糸方法の技術分野に適用したものである。論文では、得られる繊維の力学的性質、染色性や繊維の断面形状に留意しながら、冷却溶解法を検討している。この論文では、繊維の紡糸のために10乃至25質量%の濃度を有するセルロースアセテートの溶液を用いている。
また、上記冷却溶解以外にも、混合物を高温、高圧条件下で溶解させる「高温溶解法」が提案されている。
【0006】
このようにして、様々な溶媒に溶解されたセルロースアシレート溶液(ドープ)を金属支持体上に流延し、支持体からフイルムを剥離、乾燥する流延法においては、得られたセルロースアシレートフイルムの面状が良好でなかったり、透明性等の光学物性が良好でないことが多々あった。また、金属支持体からの剥離抵抗が高く、フイルムが一部金属支持体に残存してしまうことがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、経時安定性にすぐれ、実用可能なドープ濃度領域において金属支持体からの剥離性の点で問題のないセルロースアシレート溶液を提供することである。さらにまた本発明の目的は、面状、光学特性、更には膜強度に優れたセルロースアシレートフイルムを製造することでもある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、下記の(1)〜(14)の方法を実施することで達成できる。
(1)セルロースアシレートを、有機溶媒中の塩素系溶剤の割合が10質量%未満である非塩素系有機溶媒に溶解したセルロースアシレート溶液であって、水溶液中での酸解離指数pKaが1.93乃至4.50である多塩基酸の部分エステル体、該部分エステル体のアルカリ金属塩、および該部分エステル体のアルカリ土類金属塩から選ばれる添加剤を含有することを特徴とするセルロースアシレート溶液。
(2)該添加剤が、複数の多塩基酸の部分エステル体、該部分エステル体のアルカリ金属塩、および該部分エステル体のアルカリ土類金属塩から選ばれる化合物の混合物からなることを特徴とする(1)に記載のセルロースアシレート溶液。
(3)該添加剤の添加量が、セルロースアシレート1g当たり、1×10−9〜3×10−5モルの範囲にあることを特徴とする(1)もしくは(2)に記載のセルロースアシレート溶液。
【0009】
(4)該多塩基酸が、シュウ酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、およびグルタル酸からなる群より選ばれることを特徴とする(1)乃至(3)のうちのいずれかに記載のセルロースアシレート溶液。
(5)該非塩素系有機溶媒が、少なくとも溶解度パラメータが19乃至21のケトン類と溶解度パラメータが19乃至21のエステル類との混合溶媒からなることを特徴とする(1)乃至(4)のうちのいずれかに記載のセルロースアシレート溶液。
(6)該非塩素系有機溶媒が、全有機溶媒に対して2乃至30質量%のアルコールを含有する(1)乃至(5)のうちのいずれかに記載のセルロースアシレート溶液。
【0010】
(7)セルロースアシレートの全アシル置換度の合計が2.75以上2.90以下であり、かつ6位のアシル置換度が0.90以上である(1)乃至(6)のうちのいずれかに記載のセルロースアシレート溶液。
(8)平均粒子径が0.1μm以下のシリカ粒子、可塑剤、および紫外線吸収剤が添加されたことを特徴とする(1)乃至(7)のうちのいずれかに記載のセルロースアシレート溶液。
(9)有機溶媒とセルロースアシレートとの混合物を、−80乃至−10℃、又は80乃至220℃の温度に曝して溶解することを特徴とする(1)乃至(8)のうちのいずれかに記載のセルロースアシレート溶液の製造方法。
【0011】
(10)(1)乃至(9)のうちのいずれかに記載のセルロースアシレート溶液を支持体上に塗布して、セルロースアシレートフイルムを形成することを特徴とするセルロースアシレートフイルムの製造方法。
(11)共流延法により二層以上の層を流延製膜することを特徴とする(10)に記載のセルロースアシレートフイルムの製造方法。
(12)セルロースアシレートフイルムが二層以上の多層構造を有し、該セルロースアシレートフイルムの少なくとも一方の側の外部層の厚さが1乃至50μmの範囲にあることを特徴とする(11)に記載のセルロースアシレートフイルムの製造方法。
(13)金属支持体と接する層の溶液にのみ該添加剤を添加することを特徴とする(11)もしくは(12)に記載のセルロースアシレートフイルムの製造方法。
(14)(10)乃至(13)のうちのいずれかに記載の製造方法により得たセルロースアシレートフイルムから形成されたことを特徴とする偏光板保護膜。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に好ましく用いられるセルロースアシレート原料綿については、発明協会公開技報2001−1745,7頁右段の26行目以降に記載の「4.セルロースアシレート原料綿」に関する記載事項を用いることができる。
【0013】
セルロースアシレートの合成方法の基本的な原理は、右田他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法は、無水酢酸−酢酸−硫酸触媒による液相酢化法である。具体的には、木材パルプ等のセルロース原料を適当量の有機酸で前処理した後、予め冷却したアシル化混液に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート(2位、3位および6位のアシル置換度の合計が、ほぼ3.00)を合成する。上記アシル化混液は、一般に、溶媒としての有機酸、エステル化剤としての無水有機酸および触媒としての硫酸を含む。無水有機酸は、これと反応するセルロースおよび系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。アシル化反応終了後に、系内に残存している過剰の無水有機酸の加水分解およびエステル化触媒の一部の中和のために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩または酸化物)の水溶液を添加する。次に、得られた完全セルロースアシレートを少量の酢化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で、50〜90℃に保つことにより、ケン化熟成し、所望のアシル置換度および重合度を有するセルロースアシレートまで変化させる。所望のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を前記のような中和剤を用いて完全に中和するか、あるいは、中和することなく、水または希硫酸中にセルロースアシレート溶液を投入(あるいは、セルロースアシレート溶液中に、水または希硫酸を投入)してセルロースアシレートを分離し、洗浄および安定化処理によりセルロースアシレートを得る。
【0014】
本発明では、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフイルムを製造することが好ましく、セルロースアシレートドープを用いてフイルムは製造される。用いられる有機溶媒は特に限定されないが、ケトン類、エステル類を混合したものであり、その溶解度パラメータは19乃至21の溶剤が好ましく用いられる。これらのエステル類、ケトン類は環状構造を有していてもよく、2種類以上の官能基を有するものでもよい。
【0015】
次に、溶剤の溶解度パラメータについて記載する。溶解度パラメータは、液体のモル蒸発熱をΔH、モル体積をVとするとき(ΔH/V)1/2 で定義される量であり、溶解度は両者の溶解度パラメータの差が小さいほど大きくなる。
溶解度パラメータについて記載された書籍は多数あるが、例えばJ.Brandrup,E.Hらの文献( Polymer Handbook(fourth edition),VII/671〜VII/714)に詳細に記載されている。
【0016】
エステル類の例には、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル等が挙げられる。このうち酢酸メチルが特に好ましい。ケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。このうちアセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンが特に好ましい。
【0017】
ところで地球環境や作業環境の観点では、有機溶媒は塩素系溶剤を実質的に含まないものであることが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶媒中の塩素系溶剤の割合が10質量%未満であり、好ましくは5質量%未満、より好ましくは3質量%未満であることを意味する。また、製造したセルロースアシレートフイルムから、メチレンクロリドのような塩素系溶剤が全く検出されないことが好ましい。
【0018】
また、アルコールの例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、シクロヘキサノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノールなどが挙げられる。このうち特に好ましいのはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールである。
【0019】
実際の溶媒系は、エステル類は全溶剤の40〜95質量%、好ましくは50〜80質量%であり、ケトン類は全溶剤の5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%であることが好ましい。更にケトン類およびエステル類が全溶媒の70質量%以上であることが好ましい。また、アルコール類は全溶剤の2〜30質量%含まれることが好ましい。
【0020】
本発明で好ましいこれらの溶媒の組み合わせの具体例は、発明協会公開技報2001−1745,15頁右段の1行目から16頁左段の8行目に記載のものを挙げることができる。但し、上述の通り塩素系溶剤は原則含まれないものを選ぶことが必要である。
【0021】
次に、セルロースアシレートの置換度について記載する。セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有しており、セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部を酢酸によりエステル化したポリマーである。アシル置換度は、2位、3位および6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合(100%のエステル化は、1.00)を意味する。本発明で用いるセルロースアシレートは、その置換度に関しては限定されないが、全アシル置換度の合計が2.75以上2.90以下であり、かつ6位のアシル置換度が0.90以上であるセルロースアシレートを好ましく用いることができる。
【0022】
全アシル置換度の合計が2.75以下の場合、フイルムが吸湿しやすくなり、加水分解を受けやすくなるためフイルムの耐久性が低下する。また、湿度等による寸法変化も大きくなる。逆に、2.90以上であるとセルロースアシレートの有機性が上がるため溶媒との親和性が増大し、ドープの粘度が上昇してしまう。従って、全アシル置換度の合計は、2.75以上、2.90であることが好ましい。
【0023】
ところで6位の水酸基が2位、3位の水酸基と異なり一級水酸基であるため、水酸基の水素結合が極めて起こりやすいことがわかってきた。従って6位のアシル置換度を090以上とすることにより、溶剤への溶解性は著しく向上し、粘度が低下するために流延適性上好ましいドープを得ることが可能となる。6位のアシル置換度の範囲は、合成適正等を考慮すると、0.90以上0.99以下が好ましく、0.92以上0.98以下がさらに好ましい。
また、6位のアシル置換度が0.90以上のセルロースアシレートは膜強度の観点からアシル置換基の炭素数は小さい方が望ましく、全てアセチル基であるほうが好ましい。
なお、特開平11−5851号公報には、全アセチル置換基の合計が2.67以上であり、2位、3位のアセチル置換基の合計が1.97以下のセルロースアセテートが記載されているが、これはフイルムの光学適性からは好ましい範囲を記載したものであり、流延適性、面状、膜強度等の観点では本明細書に記載の範囲の方がより好ましい。
【0024】
セルロースアシレート溶液を作製するには、室温下でタンク中の溶剤を撹拌しながら上記セルロースアシレートを添加することでまず溶剤への膨潤を行う。膨潤時間は最低10分以上が必要であり、10分以下では不溶解物が残存する。また、セルロースアシレートを十分膨潤させるためには溶剤の温度は、0から40℃が好ましい。0℃以下では膨潤速度が低下し不溶解物が残存する傾向にあり、40℃以上では膨潤が急激に起こるために中心部分が十分膨潤しない。
膨潤工程の後にセルロースアシレートを溶解するには、冷却溶解法、高温溶解法のいずれか、あるいは両方を用いることが好ましい。
【0025】
冷却溶解法、高温溶解法に関する具体的な方法としては、発明協会公開技報2001−1745,24頁左段の15行目から25頁左段の9行目の(冷却溶解法)、(高温溶解法)に記載のものを挙げることができる。
【0026】
上記で得られた本発明のドープのセルロースアシレートは、場合により、更に溶解し易くするために低い濃度で溶解してから、しかる後に濃縮手段を用いて濃縮してもよい。具体的な方法としては、発明協会公開技報2001−1745,25頁左段の10行目から同28行目の(溶液濃縮)に記載のものを挙げることができる。
【0027】
溶液は流延に先だって金網、紙やネルなどの適当な濾材を用いて、未溶解物やゴミ、不純物などの異物を濾過除去しておくのが好ましい具体的な方法としては、発明協会公開技報2001−1745,25頁左段の29行目から右段の33行目の(ろ過)に記載のものを挙げることができる。
【0028】
セルロースアシレート溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤を加えることができる。添加剤の例としては、可塑剤、紫外線防止剤や劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)、微粒子等が挙げられる。具体的には、発明協会公開技報2001−1745,16頁左段の28行目から20頁左段の33行目までに記載のものを挙げることができる。
【0029】
次に、本発明における添加剤について示す。本発明のセルロースアシレートフイルムを形成するにあたり、該セルロースアシレート溶液を流延する前に添加剤を少なくとも一種添加する。剥離剤としては水溶液中での酸解離指数pKaが1.93〜4.50である多塩基酸の部分エステル体、そのアルカリ金属塩、およびそのアルカリ土類金属塩から選ばれる化合物であることが必要である。「部分エステル」とは、多塩基酸の酸の一部がエステル化されたものを意味し、例えばクエン酸の場合、クエン酸モノエステル体およびクエン酸ジエステル体を表す。
本発明者らは、剥離剤として種々の酸(例えば、シュウ酸、コハク酸、クエン酸等)を用いてきたが、これらの酸はアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を形成すると溶液中での析出が起こることがあり本発明に至ったものである。
【0030】
以下に、用いられる剥離剤の種類をそのpKaとともに示すが、使用可能な剥離剤はこれに限定されない。例えば、脂肪族多価カルボン酸[マロン酸モノエチル(2.65)およびモノメチル(2.65)、コハク酸モノプロピル(4.00)、グルタル酸モノメチル(4.13)、アジピン酸モノメチル(4.26)、ピメリン酸モノエチル(4.31)、アゼライン酸モノメチル(4.39)、フマル酸モノブチル(2.85)など]、オキシカルボン酸[酒石酸モノエチル(2.89)およびジエチル(2.82−2.99)、クエン酸モノエチル(2.87)、クエン酸メチルエチルエステル(2.87)など]、芳香族多価カルボン酸[フタル酸モノエチル(2.75)、イソフタル酸モノプロピル(3.50)、テレフタル酸モノブチル(3.54)など]、複素環式多価カルボン酸[2,6−ピリジンジカルボン酸モノエチル(2.09)など]、アミノ酸類[グルタミン酸モノエチル(2.18)など]を挙げることができる。
【0031】
また、上記の剥離剤にスルホン酸、リン酸系素材を併用することにより剥離性の改良が期待できる。これらはその溶解性の観点から界面活性剤の形であることが好ましい。具体的には特開昭61−243837号公報に記載された素材を好適に用いることができる。具体例としては、C12H25O−P(=O)−(OK)2 、C12H25OCH2 CH2 O−P(=O)−(OK)2 、(iso−C9 H19)2 −C6 H3 −O−(CH2 CH2 O)3 −(CH2 )4 SO3 Naがある。
【0032】
酸は、遊離酸として用いてもよく、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩として用いてもよい。アルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどが例示でき、アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウムなどが例示できる。好ましいアルカリ金属には、ナトリウムが含まれ、好ましいアルカリ土類金属には、カルシウム、マグネシウムが含まれる。但し、アルカリ金属の方が、アルカリ土類金属よりもより好ましい。これらのアルカリ金属、アルカリ土類金属はそれぞれ単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、アルカリ金属とアルカリ土類金属とを併用してもよい。
【0033】
前記酸およびその金属塩の総含有量は、剥離性,透明性などを損なわない範囲、例えば、セルロースアシレート1g当たり、1×10-9〜3×10-5モル、好ましくは1×10-8〜2×10-5モル(例えば、5×10-7〜1.5×10-5モル)、さらに好ましくは1×10-7〜1×10-5モル(例えば、5×10-6〜8×10-6モル)程度の範囲から選択でき、通常、5×10-7〜5×10-6モル(例えば、6×10-7〜3×10-6モル)程度である。
【0034】
本発明のセルロースアシレート溶液を用いたフイルムの製造方法について述べる。セルロースアシレートフイルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフイルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解タンク(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)をストックタンクで一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡したり最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。ハロゲン化銀写真感光材料や電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフイルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。
【0035】
本発明では得られたセルロースアシレート溶液を、金属支持体としての平滑なバンド上或いはドラム上に2層以上の複数のセルロースアシレート液を共流延する。例えば、複数のセルロースアシレート溶液を流延する場合、金属支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフイルムを作製してもよく、例えば特開平11−198285号公報などに記載の方法が適応できる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによってフイルム化する方法が挙げられ、特開平6−134933号公報に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高、低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出す流延方法でもよい。このような共流延を行なうことにより、前述の様に表面の乾燥における平滑化が進行するため、面状の大幅な改良が期待できる。共流延の場合、各層の厚さは特に限定されないが、好ましくは外部層が内部層より薄いことが好ましい。その際の外部層の膜厚は、1〜50μmであることが好ましく、特に好ましくは1〜30μmである。ここで、外部層とは、2層の場合はバンド面(ドラム面)ではない面、3層以上の場合は完成したフイルムの両表面側の層を示す。内部層とは、2層の場合はバンド面(ドラム面)。3層以上の場合は外部層より内側に有る層を示す。
さらに本発明のセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。
【0036】
本発明のセルロースアシレートフイルムの製造に係わる金属支持体上におけるドープの乾燥は、乾燥工程における乾燥温度は30〜250℃、特に40〜180℃が好ましく、特公平5−17844号公報に記載がある。更には、積極的に幅方向に延伸する方法もあり、本発明では、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、および同11−48271号の各公報などに記載されている。フイルムの延伸は、一軸延伸でもよく二軸延伸でもよい。フイルムの延伸倍率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)は、10〜30%であることが好ましい。
【0037】
乾燥後のセルロースアシレートフイルムの厚さは、使用目的によって異なるが、通常5〜500μmの範囲であり、更に20〜250μmの範囲が好ましく、特に30〜180μmの範囲が最も好ましい。なお、光学用途としては30〜110μmの範囲が特に好ましい。フイルム厚さの調製は、所望の厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すればよい。
【0038】
ここで場合により、セルロースアシレートフイルムの表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフイルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。具体的には発明協会公開技報2001−1745,32頁左段の16行目から32頁右段の42行目に記載のものをあげることができる。
【0039】
用途によっては、セルロースアシレートフイルムの少なくとも一層に帯電防止層を設けたり、偏光子と接着するための親水性バインダー層が設けられることが好ましい。具体的には、発明協会公開技報2001−1745,32頁右段の下から12行目から45頁左段の下から3行目に記載の層を設けることができる。
【0040】
セルロースアシレート溶液からなるセルロースアシレートフイルムは、様々な用途で用いることができる。具体的には、発明協会公開技報2001−1745,45頁右段の下から5行目以降に記載されている「14.用途」の項目を挙げることができる。
【0041】
【実施例】
各実施例において、セルロースアシレート、溶液およびフイルムの化学的性質および物理的性質は、以下のように測定および算出した。
【0042】
(1)セルロースアシレートの置換度(%)
酢化度はケン化法により測定した。乾燥したセルロースアシレートを精秤し、アセトンとジメチルスルホキシドとの混合溶媒(容量比4:1)に溶解した後、所定量の1N−水酸化ナトリウム水溶液を添加し、25℃で2時間ケン化した。フェノールフタレインを指示薬として添加し、1N−硫酸(濃度ファクター:F)で過剰の水酸化ナトリウムを滴定した。また、上記と同様の方法により、ブランクテストを行った。そして、下記式に従って酢化度(%)を算出した。
酢化度(%)=(6.005×(B−A)×F)/W
式中、Aは試料の滴定に要した1N−硫酸量(ml)、Bはブランクテストに要した1N−硫酸量(ml)、Fは1N−硫酸のファクター、Wは試料質量を示す。
尚、複数のアシル基を含有する系では、そのpKaの差を使って、各アシル基の量を求めた。また、T.Sei、K.Ishitani、R.Suzuki、およびK.Ikematsuの文献( Polymer Journal 17,1065(1985))に記載の方法によっても同様に求めた。
さらに、これらにより求められた酢化度、その他のアシル基の量からモル分子量を考慮して置換度に換算した。
さらに、セルロースアシレートの2位、3位および6位のアシル置換度は、セルロースアセテートをアシル化に用いていないアシル基でアシル化処理した後、手塚他の文献(Carbohydr. Res. 273(1995)83-91)に記載の方法で13C−NMRにより求めた。
【0043】
(2)セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)
絶乾したセルロースアシレート約0.2gを精秤し、メチレンクロリド:エタノール=9:1(質量比)の混合溶剤100mlに溶解した。これをオストワルド粘度計にて25℃で落下秒数を測定し、重合度を以下の式により求めた。
(3)フイルム面状
フイルムを目視で観察し、その面状を以下の如く評価した。
A:フイルム表面は平滑であり、きわめて面状が良好である。
B:フイルム表面は平滑であるが、まれに凹凸が認められる。
C:フイルム表面は平滑であるが、弱い凹凸が比較的多数見られる。
D:フイルム全面に弱い凹凸が認められる。
E:フイルムに強い凹凸が見られ、異物が見られる。
【0045】
(4)フイルムのヘイズ
ヘイズ計(1001DP型、日本電色工業(株)製)を用いて測定した。
【0046】
(5)フイルムの引裂試験
50mn×64mmに切りだした試料を、ISO6383/2−1983の規格に従い、引裂に要した引裂荷重を求めた。
【0047】
(6)フイルムの剥離性試験
セルロースアシレート溶液を簡易ガラス板流延機を用いて流延し、室温で5分乾燥後、フイルムをガラス板から剥ぎ取った。剥離性については、○:簡単に剥離可能、△:剥離時に若干の荷重が必要、×:フイルム変形程度まで荷重をかけないと剥離不能、の3段階で評価した。尚、共流延のサンプルについては金属支持体に接する溶液のみを評価した。
【0048】
(1−1)セルロースアシレート溶液の作製
下記の2種の溶解方法にてセルロースアシレート溶液を作製した。各本発明および比較例の詳細な溶剤組成については第1表に記載した。なお、シリカ粒子(粒径20nm)、トリフェニルフォスフェート/ビフェニルジフェニルフォスフェート(1/2)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジンをそれぞれセルロースアシレートの0.5質量%、10質量%、1.0質量%添加した。また、剥離剤として第1表に記載の素材を添加した。。尚、本発明における共流延の内部層、外部層を形成する液としては上記セルロースアシレート溶液を濃度および溶剤を変えて用いた。詳細は第1表に合わせて示した。
【0049】
(1−1a)冷却溶解(第1表に「冷却」と記載)
溶剤中に、よく攪拌しつつ第1表記載のセルロースアシレートを徐々に添加し、室温(25℃)にて3時間放置し膨潤させた。得られた膨潤混合物をゆっくり撹拌しながら、−8℃/分で−30℃まで冷却、その後第1表記載の温度まで冷却し6時間経過した後、+8℃/分で昇温し内容物のゾル化がある程度進んだ段階で、内容物の撹拌を開始した。50℃まで加温しドープを得た。
(1−1b)高圧高温溶解(第1表に「高温」と記載)
溶剤中に、よく攪拌しつつ第1表記載のセルロースアシレートを徐々に添加し、室温(25℃)にて3時間放置し膨潤させた。得られた膨潤混合物を、二重構造のステンレス製密閉容器に入れた。容器の外側のジャケットに高圧水蒸気を通すことで+8℃/分で加温し1MPa下、第1表記載の温度で5分間保持した。この後、外側のジャケットに50℃の水を通し−8℃/分で50℃まで冷却し、ドープを得た。
【0050】
(1−2)セルロースアシレート溶液の濾過
次に得られたドープを50℃にて、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)で濾過し、さらに絶対濾過精度0.0025mmの濾紙(ポール社製、FH025)にて濾過した。
【0051】
(1−3)セルロースアシレートフイルムの作製
(1−2)の溶液を、特開昭56−162617号公報に記載の流延機を用いて流延し、120℃の環境下で30分乾燥して溶剤を蒸発させてセルロースアシレートフイルムを得た。層構成は本発明においては二層または三層であり、二層ではバンド面から内部層/外部層の構成、三層では外部層/内部層/外部層のサンドイッチ型構成であった。詳細は第1表に示した。
【0052】
(1−3)結果
得られたセルロースアシレートの溶液およびフイルムを上述の項目に従って評価した。本発明のセルロースアシレート溶液およびフイルムは、その溶液安定性、フイルムの機械物性、光学物性において特に問題は認められなかった。一方、比較例1、3ではフイルム剥ぎ取りが不能であり得られたフイルムの面状、特に凹凸に問題が認められ、比較例2、4では剥離性は良好であるものの液中への添加剤の析出が起こりフイルムの面状(透明性)に問題があった。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
また、これらのフイルムを、製膜工程中の乾燥工程中にオンラインで、あるいはその後オフラインで130℃にて10%〜30%MD、TD延伸延伸した。これらは、延伸倍率に比例し40nm〜160nmにレターデーションを増加させることができた。
このようにして得たセルロースアシレートフイルムを、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学的異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載のVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載のOCB型液晶表示装置に用いたところ良好な性能が得られた。さらに、特開昭54−016575号公報に記載の偏光板として用いたところ、良好な性能が得られた。
【0056】
【表3】
【0057】
【発明の効果】
セルロースアシレートを実質的に非塩素系溶剤から構成される溶剤に溶解したセルロースアシレート溶液であって、水溶液中での酸解離指数pKaが1.93〜4.50である多塩基酸の部分エステル体、そのアルカリ金属塩およびそのアルカリ土類金属塩から選ばれる添加剤を含有することを特徴とするセルロースアシレート溶液により、フイルムの剥離性、面状を改良すると共に機械特性等で問題のないセルロースアシレートフイルムの製造方法を達成した。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a cellulose acylate film solution and a method for producing a cellulose acylate film.
[0002]
[Prior art]
Cellulose acylate films are used in various photographic materials and optical materials because of their toughness and flame retardancy. The cellulose acylate film is a support for typical photographic light-sensitive materials. Cellulose acylate films are also used in liquid crystal display devices whose market is expanding in recent years due to their optical isotropy. As a specific application in a liquid crystal display device, a protective film for a polarizing plate and a color filter are typical.
[0003]
The cellulose acylate film is generally produced by a solvent cast method or a melt cast method. In the solvent cast method, a solution (dope) in which cellulose acylate is dissolved in a solvent is cast on a support, and the solvent is evaporated to form a film. In the melt casting method, a cellulose acylate melted by heating is cast on a support and cooled to form a film. The solvent cast method can produce a good film with higher flatness than the melt cast method. For this reason, the solvent cast method is generally adopted in practice. The solvent cast method is described in many documents. In the recent solvent casting method, it is a problem to improve the productivity of the film forming process by shortening the time required from casting the dope onto the support to peeling off the formed film on the support. It has become. For example, Japanese Patent Publication No. 5-17844 proposes to shorten the time until stripping after casting by casting a high-concentration dope on a cooling drum.
[0004]
The solvent used in the solvent casting method is not only for dissolving cellulose acylate but also requires various conditions. In order to produce a film having excellent flatness and a uniform thickness economically and efficiently, it is necessary to prepare a solution (dope) having an appropriate viscosity and polymer concentration and excellent in storage stability. The dope is required to be easily gelled and easily peeled from the support. In order to prepare such a dope, the selection of the type of solvent is extremely important. The solvent is also required to be easily evaporated and to have a small residual amount in the film.
Various organic solvents have been proposed as a solvent for cellulose acylate. The practical organic solvent is practically limited to methylene chloride, but methylene chloride has problems such as environmental suitability and boiling point, and a search for an alternative solvent has been conducted. ing.
[0005]
J. et al. M.M. G. In Cowie et al. (Makromol, chem., 143, 105 (1971)), cellulose acylate having a substitution degree in the range of 2.80 to 2.90 is obtained from −80 ° C. in acetone. It has been reported that a dilute solution in which cellulose acylate is dissolved in 0.5 to 5% by mass in acetone was obtained by heating to 70 ° C. and then heating (however, Acyl groups are limited to acetyl groups). Hereinafter, the method of cooling the mixture of cellulose acylate and the organic solvent to obtain a solution is referred to as “cooling dissolution method”. The dissolution of cellulose acylate in acetone is also described in Kenji Kamide et al., “Dry spinning from cellulose triacetate in acetone”, Journal of Textile Machinery Society, 34, 57 (1981). There is. This title, as its title, applies the cooling dissolution method to the technical field of spinning method. In this paper, the cooling dissolution method is examined while paying attention to the mechanical properties, dyeability and cross-sectional shape of the fibers obtained. In this paper, a solution of cellulose acetate having a concentration of 10 to 25% by weight is used for fiber spinning.
In addition to the above-described cooling dissolution, a “high temperature dissolution method” in which the mixture is dissolved under high temperature and high pressure conditions has been proposed.
[0006]
Thus, in the casting method in which the cellulose acylate solution (dope) dissolved in various solvents is cast on a metal support, the film is peeled off from the support and dried, the obtained cellulose acylate is obtained. In many cases, the film surface was not good, and optical properties such as transparency were not good. Moreover, the peeling resistance from a metal support body is high, and a film may remain on the metal support body partially.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide a cellulose acylate solution which is excellent in stability with time and has no problem in terms of releasability from a metal support in a practical dope concentration region. A further object of the present invention is to produce a cellulose acylate film having excellent surface properties, optical properties, and film strength.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The said subject of this invention can be achieved by implementing the method of following (1)-(14).
(1) A cellulose acylate solution obtained by dissolving cellulose acylate in a non-chlorine organic solvent in which the ratio of the chlorinated solvent in the organic solvent is less than 10% by mass , and the acid dissociation index pKa in the aqueous solution is 1 .93 or partial esters of polybasic acids are 4.50, cellulose characterized by containing an additive selected from alkali metal salts and alkaline earth metal salts of partial esters, the partial ester Acylate solution.
(2) the additive is a characteristic partial ester of a plurality of polybasic acids, alkali metal salts of partial esters, and that consists of a mixture of compounds selected from an alkaline earth metal salt of a partial ester The cellulose acylate solution according to (1).
(3) The cellulose acylate according to (1) or (2), wherein the additive is added in an amount of 1 × 10 −9 to 3 × 10 −5 mol per gram of cellulose acylate. Rate solution.
[0009]
(4) the polybasic acid, oxalic acid, malonic acid, tartaric acid, citric acid, succinic acid, and any of which is characterized in chosen that from the group consisting of glutaric acid (1) to (3) The cellulose acylate solution described.
(5) non-chlorinated organic solvents, among which is characterized (1) to (4) that consists of a mixed solvent of at least a solubility parameter 19-21 ketones solubility parameters 19 to 21 of the esters The cellulose acylate solution according to any one of the above.
(6) The cellulose acylate solution according to any one of (1) to (5), wherein the non-chlorine organic solvent contains 2 to 30% by mass of alcohol with respect to the total organic solvent .
[0010]
(7) The total acyl substitution degree of cellulose acylate is 2 . And 75 or more 2.90 or less, and the cellulose acylate solution according to any one of the acyl substitution degree of 6-position is Ru der 0.90 or more (1) to (6).
(8) The cellulose acylate solution according to any one of (1) to (7), wherein silica particles having an average particle size of 0.1 μm or less, a plasticizer, and an ultraviolet absorber are added. .
(9) a mixture of an organic solvent and the cellulose acylate, any one of which -80 to -10 ° C., or 80 to, characterized in that dissolving exposed to a temperature of 220 ° C. (1) to (8) The manufacturing method of the cellulose acylate solution as described in any one of.
[0011]
(10) A method for producing a cellulose acylate film, wherein the cellulose acylate solution according to any one of (1) to (9) is coated on a support to form a cellulose acylate film. .
(11) The method for producing a cellulose acylate film according to (10), wherein two or more layers are cast by a co-casting method.
(12) The cellulose acylate film has a multilayer structure of two or more layers, and the thickness of the outer layer on at least one side of the cellulose acylate film is in the range of 1 to 50 μm (11) The manufacturing method of the cellulose acylate film of description.
(13) The method for producing a cellulose acylate film according to (11) or (12), wherein the additive is added only to a solution in a layer in contact with the metal support.
(14) A polarizing plate protective film formed from a cellulose acylate film obtained by the production method according to any one of (10) to (13).
[0012]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Regarding the cellulose acylate raw material cotton preferably used in the present invention, use the description regarding “4. Cellulose acylate raw material cotton” described in the Journal of the Invention Society of Japan, 2001-1745, page 26, right column. Can do.
[0013]
The basic principle of the cellulose acylate synthesis method is described in Mita et al., Wood Chemistry pages 180-190 (Kyoritsu Shuppan, 1968). A typical synthesis method is a liquid phase acetylation method using an acetic anhydride-acetic acid-sulfuric acid catalyst. Specifically, a cellulose raw material such as wood pulp is pretreated with an appropriate amount of an organic acid, and then it is esterified by adding it to a pre-cooled acylated mixture to complete cellulose acylate (2nd, 3rd and 6th positions). The total degree of acyl substitution is approximately 3.00). The acylated mixed solution generally contains an organic acid as a solvent, an anhydrous organic acid as an esterifying agent, and sulfuric acid as a catalyst. The organic acid anhydride is usually used in a stoichiometric excess over the sum of the cellulose that reacts with it and the water present in the system. After completion of the acylation reaction, a neutralizing agent (for example, calcium, magnesium, iron, aluminum or zinc) is used for hydrolysis of excess organic anhydride remaining in the system and neutralization of a part of the esterification catalyst. Of carbonate, acetate or oxide). Next, the obtained complete cellulose acylate is saponified and aged by maintaining it at 50 to 90 ° C. in the presence of a small amount of an acetylation reaction catalyst (generally, remaining sulfuric acid), and the desired acyl substitution degree and The cellulose acylate having a polymerization degree is changed. When the desired cellulose acylate is obtained, the catalyst remaining in the system is completely neutralized with the neutralizing agent as described above, or water or dilute sulfuric acid without neutralization. The cellulose acylate solution is charged into the inside (or water or dilute sulfuric acid is added into the cellulose acylate solution) to separate the cellulose acylate, and the cellulose acylate is obtained by washing and stabilizing treatment.
[0014]
In the present invention, it is preferable to produce a cellulose acylate film by a solvent cast method, and the film is produced using a cellulose acylate dope. The organic solvent to be used is not particularly limited, but is a mixture of ketones and esters, and a solvent having a solubility parameter of 19 to 21 is preferably used. These esters and ketones may have a cyclic structure or may have two or more types of functional groups.
[0015]
Next, the solubility parameter of the solvent will be described. The solubility parameter is an amount defined by 1/2 (ΔH / V) where ΔH is the heat of molar evaporation of the liquid and V is the molar volume, and the solubility increases as the difference between the solubility parameters decreases.
There are many books describing solubility parameters. Brandrup, E .; H et al. (Polymer Handbook (fourth edition), VII / 671 to VII / 714).
[0016]
Examples of esters include methyl formate, ethyl formate, propyl formate, methyl acetate, ethyl acetate and the like. Of these, methyl acetate is particularly preferred. Examples of ketones include acetone, methyl ethyl ketone, diethyl ketone, methyl isobutyl ketone, cyclopentanone, cyclohexanone and the like. Of these, acetone, cyclopentanone, and cyclohexanone are particularly preferable.
[0017]
By the way, from the viewpoint of the global environment and working environment, the organic solvent is preferably one that does not substantially contain a chlorinated solvent. “Substantially free” means that the proportion of the chlorinated solvent in the organic solvent is less than 10% by mass, preferably less than 5% by mass, more preferably less than 3% by mass. Further, it is preferable that no chlorine-based solvent such as methylene chloride is detected from the produced cellulose acylate film.
[0018]
Examples of alcohols include methanol, ethanol, 1-propanol, 2-propanol, 1-butanol, 2-butanol, cyclohexanol, 2-fluoroethanol, 2,2,2-trifluoroethanol, and the like. Of these, methanol, ethanol, 1-propanol, 2-propanol, and 1-butanol are particularly preferable.
[0019]
In the actual solvent system, esters are 40 to 95% by mass of the total solvent, preferably 50 to 80% by mass, and ketones are 5 to 50% by mass of the total solvent, preferably 10 to 40% by mass. Is preferred. Furthermore, it is preferable that ketones and esters are 70% by mass or more of the total solvent. Moreover, it is preferable that alcohol contains 2-30 mass% of all the solvents.
[0020]
Specific examples of combinations of these solvents that are preferable in the present invention include those described in JIII Journal of Technical Disclosure 2001-1745, page 1, right column, line 1 to page 16, left column, line 8. However, as described above, it is necessary to select a chlorinated solvent that is not included in principle.
[0021]
Next, the substitution degree of cellulose acylate will be described. Glucose units having β-1,4 bonds constituting cellulose have free hydroxyl groups at the 2nd, 3rd and 6th positions. Cellulose acylate is a part or all of these hydroxyl groups with acetic acid. Is a polymer esterified by The degree of acyl substitution means the proportion of cellulose esterified at each of the 2-position, 3-position and 6-position (100% esterification is 1.00). The cellulose acylate used in the present invention is not limited with respect to the degree of substitution, but the total degree of acyl substitution is 2.75 or more and 2.90 or less, and the acyl substitution degree at the 6-position is 0.90 or more. Cellulose acylate can be preferably used.
[0022]
When the total degree of acyl substitution is 2.75 or less, the film easily absorbs moisture and is susceptible to hydrolysis, so the durability of the film decreases. In addition, the dimensional change due to humidity or the like becomes large. On the other hand, when it is 2.90 or more, the organic property of cellulose acylate is increased, so the affinity with the solvent is increased, and the viscosity of the dope is increased. Accordingly, the total of the total acyl substitution degrees is preferably 2.75 or more and 2.90.
[0023]
By the way, since the hydroxyl group at the 6-position is a primary hydroxyl group, unlike the hydroxyl groups at the 2- and 3-positions, it has been found that hydrogen bonding of the hydroxyl group is extremely likely to occur. Therefore, when the acyl substitution degree at the 6-position is set to 090 or more, the solubility in a solvent is remarkably improved, and the viscosity is lowered, so that it is possible to obtain a dope that is preferable for casting suitability. The range of the degree of acyl substitution at the 6-position is preferably 0.90 or more and 0.99 or less, and more preferably 0.92 or more and 0.98 or less in consideration of synthesis suitability and the like.
In addition, cellulose acylate having an acyl substitution degree at the 6-position of 0.90 or more desirably has a smaller number of carbon atoms in the acyl substituent from the viewpoint of film strength, and is preferably all acetyl groups.
JP-A-11-5851 discloses a cellulose acetate in which the total of all acetyl substituents is 2.67 or more and the total of acetyl substituents at the 2nd and 3rd positions is 1.97 or less. However, this describes a preferable range in terms of the optical suitability of the film, and the range described in the present specification is more preferable from the viewpoints of casting suitability, sheet shape, film strength, and the like.
[0024]
In order to prepare a cellulose acylate solution, the cellulose acylate is first swollen by adding the cellulose acylate while stirring the solvent in a tank at room temperature. The swelling time is required to be at least 10 minutes, and insoluble materials remain after 10 minutes. In order to sufficiently swell cellulose acylate, the temperature of the solvent is preferably 0 to 40 ° C. If the temperature is 0 ° C. or lower, the swelling rate tends to decrease and insoluble matter tends to remain. If the temperature is 40 ° C. or higher, the swelling rapidly occurs and the central portion does not swell sufficiently.
In order to dissolve the cellulose acylate after the swelling step, it is preferable to use either the cooling dissolution method, the high temperature dissolution method, or both.
[0025]
Specific methods relating to the cooling dissolution method and the high temperature dissolution method are disclosed in JIII Journal of Technical Disclosure 2001-1745, page 15 left line 15 to line 25 left line 9 (cooling dissolution method), (high temperature The dissolution method) can be mentioned.
[0026]
The dope cellulose acylate of the present invention obtained above may optionally be dissolved at a low concentration to facilitate further dissolution, and then concentrated using a concentration means. Specific examples of the method include those described in JIII Journal of Technical Disclosure 2001-1745, page 25, left column, line 10 to line 28 (solution concentration).
[0027]
Prior to casting the solution, it is preferable to filter and remove foreign matters such as undissolved matter, dust and impurities using a suitable filter medium such as a wire mesh, paper or flannel. No. 2001-1745, page 25, line 29, left line 29 to right line 33 (filtering).
[0028]
Various additives according to the application can be added to the cellulose acylate solution in each preparation step. Examples of additives include plasticizers, UV inhibitors and degradation inhibitors (eg, antioxidants, peroxide decomposers, radical inhibitors, metal deactivators, acid scavengers, amines), fine particles, etc. Can be mentioned. Specific examples include those disclosed in JIII Journal of Technical Disclosure 2001-1745, page 28, left line 28 to page 20, left line 33.
[0029]
Next, the additive in this invention is shown. In forming the cellulose acylate film of the present invention, at least one additive is added before casting the cellulose acylate solution. The release agent is a compound selected from a partial ester of a polybasic acid having an acid dissociation index pKa in an aqueous solution of 1.93 to 4.50, an alkali metal salt thereof, and an alkaline earth metal salt thereof. is necessary. The “partial ester” means that a part of the acid of the polybasic acid is esterified. For example, in the case of citric acid, a citric acid monoester form and a citric acid diester form are represented.
The present inventors have used various acids (for example, oxalic acid, succinic acid, citric acid, etc.) as a release agent, and these acids form alkali metal salts and alkaline earth metal salts in solution. This has led to the present invention.
[0030]
Below, although the kind of release agent used is shown with the pKa, the release agent which can be used is not limited to this. For example, aliphatic polycarboxylic acids [monoethyl malonate (2.65) and monomethyl (2.65), monopropyl succinate (4.00), monomethyl glutarate (4.13), monomethyl adipate (4. 26), monoethyl pimelate (4.31), monomethyl azelate (4.39), monobutyl fumarate (2.85), etc.], oxycarboxylic acids [monoethyl tartrate (2.89) and diethyl (2.82- 2.99), monoethyl citrate (2.87), methyl ethyl citrate (2.87), etc.], aromatic polycarboxylic acids [monoethyl phthalate (2.75), monopropyl isophthalate (3. 50), monobutyl terephthalate (3.54) and the like], heterocyclic polycarboxylic acid [monoethyl 2,6-pyridinedicarboxylate (2. 9), etc.], mention may be made of amino acids [glutamic acid monoethyl (2.18), etc.].
[0031]
Moreover, improvement of peelability can be expected by using a sulfonic acid or phosphoric acid-based material in combination with the above release agent. These are preferably in the form of a surfactant from the viewpoint of their solubility. Specifically, materials described in JP-A-61-243837 can be preferably used. Examples, C 12 H 25 O-P (= O) - (OK) 2, C 12 H 25 OCH 2 CH 2 O-P (= O) - (OK) 2, (iso-C 9 H 19 ) 2 -C 6 H 3 -O- ( CH 2 CH 2 O) 3 - is (CH 2) 4 SO 3 Na .
[0032]
The acid may be used as a free acid, or may be used as an alkali metal salt or an alkaline earth metal salt. Examples of the alkali metal include lithium, potassium, and sodium, and examples of the alkaline earth metal include calcium, magnesium, barium, and strontium. Preferred alkali metals include sodium, and preferred alkaline earth metals include calcium and magnesium. However, alkali metals are more preferable than alkaline earth metals. These alkali metals and alkaline earth metals can be used alone or in combination of two or more thereof, and alkali metals and alkaline earth metals may be used in combination.
[0033]
The total content of the acid and its metal salts, releasability, without impairing the like transparency, for example, per cellulose acylate 1g, 1 × 10 -9 ~3 × 10 -5 mol, preferably 1 × 10 - 8 to 2 × 10 −5 mol (for example, 5 × 10 −7 to 1.5 × 10 −5 mol), more preferably 1 × 10 −7 to 1 × 10 −5 mol (for example, 5 × 10 −6 mol) Can be selected from a range of about 8 × 10 −6 mol), and is usually about 5 × 10 −7 to 5 × 10 −6 mol (for example, 6 × 10 −7 to 3 × 10 −6 mol).
[0034]
A method for producing a film using the cellulose acylate solution of the present invention will be described. As a method and equipment for producing a cellulose acylate film, a solution casting film forming method and a solution casting film forming apparatus conventionally used for cellulose triacetate film production are used. The dope (cellulose acylate solution) prepared from the dissolution tank (kettle) is temporarily stored in a stock tank, and bubbles contained in the dope are defoamed or finally prepared. The dope is sent from the dope discharge port to the pressure die through a pressure metering gear pump capable of delivering a constant amount of liquid with high accuracy, for example, by the number of rotations, and the dope is run endlessly from the die (slit) of the pressure die. The dry-dried dope film (also referred to as web) is peeled off from the metal support at a peeling point that is uniformly cast on the metal support and substantially rounds the metal support. Both ends of the obtained web are sandwiched between clips, transported by a tenter while keeping the width, dried, then transported by a roll group of a drying device, dried, and wound up to a predetermined length by a winder. The combination of the tenter and the roll group dryer varies depending on the purpose. In the solution casting film forming method used for silver halide photographic light-sensitive materials and functional protective films for electronic displays, in addition to the solution casting film forming apparatus, an undercoat layer, an antistatic layer, an antihalation layer, a protective layer, etc. In many cases, a coating apparatus is added to the surface processing of the film.
[0035]
In the present invention, the obtained cellulose acylate solution is co-cast with a plurality of cellulose acylate solutions of two or more layers on a smooth band or drum as a metal support. For example, in the case of casting a plurality of cellulose acylate solutions, the film is formed while casting and laminating a solution containing cellulose acylate from a plurality of casting openings provided at intervals in the traveling direction of the metal support. For example, a method described in JP-A-11-198285 can be applied. Moreover, the method of forming into a film by casting a cellulose acylate solution from two casting ports is mentioned, It can implement by the method as described in Unexamined-Japanese-Patent No. 6-134933. Also, a casting method in which a flow of a high-viscosity cellulose acylate solution described in JP-A-56-162617 is wrapped with a low-viscosity cellulose acylate solution and the high- and low-viscosity cellulose acylate solutions are simultaneously extruded. Good. By performing such co-casting, the surface is smoothed by drying as described above, so that a significant improvement in the surface shape can be expected. In the case of co-casting, the thickness of each layer is not particularly limited, but the outer layer is preferably thinner than the inner layer. In this case, the thickness of the outer layer is preferably 1 to 50 μm, particularly preferably 1 to 30 μm. Here, the outer layer refers to a surface that is not a band surface (drum surface) in the case of two layers, and layers on both surface sides of the completed film in the case of three or more layers. The inner layer is a band surface (drum surface) in the case of two layers. In the case of three or more layers, a layer located inside the outer layer is shown.
Furthermore, the cellulose acylate solution of the present invention can be cast simultaneously with other functional layers (for example, an adhesive layer, a dye layer, an antistatic layer, an antihalation layer, a UV absorbing layer, a polarizing layer).
[0036]
In the drying of the dope on the metal support for producing the cellulose acylate film of the present invention, the drying temperature in the drying step is preferably from 30 to 250 ° C, particularly preferably from 40 to 180 ° C, as described in JP-B-5-17844. is there. Furthermore, there is also a method of positively stretching in the width direction. In the present invention, for example, JP-A-62-115035, JP-A-4-152125, JP-A-4284221, JP-A-4-298310, and 11-48271, and the like. The film may be stretched uniaxially or biaxially. The stretching ratio of the film (the ratio of the increase due to stretching relative to the original length) is preferably 10 to 30%.
[0037]
The thickness of the cellulose acylate film after drying varies depending on the purpose of use, but is usually in the range of 5 to 500 μm, more preferably in the range of 20 to 250 μm, and most preferably in the range of 30 to 180 μm. In addition, as an optical use, the range of 30-110 micrometers is especially preferable. The thickness of the film may be adjusted by adjusting the solid content concentration contained in the dope, the slit gap of the die base, the extrusion pressure from the die, the metal support speed, and the like.
[0038]
In some cases, the surface treatment of the cellulose acylate film can improve the adhesion between the cellulose acylate film and each functional layer (for example, the undercoat layer and the back layer). Specifically, those disclosed in JIII Journal of Technical Disclosure 2001-1745, line 16 on the left side of page 32 to line 42 on the right side of page 32 can be mentioned.
[0039]
Depending on the application, it is preferable to provide an antistatic layer on at least one layer of the cellulose acylate film or a hydrophilic binder layer for bonding to the polarizer. Specifically, the layers described in Invention Technical Disclosure 2001-1745, page 12 from the bottom of the right row on page 32 to the third row from the bottom of page 45 on the left side can be provided.
[0040]
A cellulose acylate film comprising a cellulose acylate solution can be used in various applications. Specifically, the item “14. Use” described in the fifth and subsequent lines from the bottom right column of page 45 of page 45 of the Japan Institute of Invention and Innovation can be listed.
[0041]
【Example】
In each example, the chemical and physical properties of cellulose acylate, solution and film were measured and calculated as follows.
[0042]
(1) Substitution degree of cellulose acylate (%)
The degree of acetylation was measured by a saponification method. The dried cellulose acylate is precisely weighed and dissolved in a mixed solvent of acetone and dimethyl sulfoxide (volume ratio 4: 1), and then a predetermined amount of 1N sodium hydroxide aqueous solution is added and saponified at 25 ° C. for 2 hours. did. Phenolphthalein was added as an indicator, and excess sodium hydroxide was titrated with 1N-sulfuric acid (concentration factor: F). Moreover, the blank test was done by the method similar to the above. And the acetylation degree (%) was computed according to the following formula.
Degree of acetylation (%) = (6.005 × (BA) × F) / W
In the formula, A is the amount of 1N-sulfuric acid (ml) required for the titration of the sample, B is the amount of 1N-sulfuric acid (ml) required for the blank test, F is the factor of 1N-sulfuric acid, and W is the sample mass.
In the system containing a plurality of acyl groups, the difference in pKa was used to determine the amount of each acyl group. T. Sei, K .; Ishitani, R.I. Suzuki, and K.K. It was similarly determined by the method described in the literature of Ikematsu (Polymer Journal 17, 1065 (1985)).
Further, the degree of acetylation obtained from these and the amount of other acyl groups were converted into the degree of substitution in consideration of the molar molecular weight.
Furthermore, the acyl substitution degree at the 2-position, 3-position and 6-position of cellulose acylate is determined by acylating cellulose acetate with an acyl group not used for acylation, and then Tezuka et al. (Carbohydr. Res. 273 (1995). ) 83-91) by 13C-NMR.
[0043]
(2) Viscosity average polymerization degree of cellulose acylate (DP)
About 0.2 g of completely dried cellulose acylate was precisely weighed and dissolved in 100 ml of a mixed solvent of methylene chloride: ethanol = 9: 1 (mass ratio). This was measured with an Ostwald viscometer for the number of seconds dropped at 25 ° C., and the degree of polymerization was determined by the following equation.
[0044]
(3) The film surface film was visually observed, and the surface state was evaluated as follows.
A: The film surface is smooth and the surface shape is very good.
B: The film surface is smooth, but irregularities are rarely observed.
C: Although the film surface is smooth, a relatively large number of weak irregularities are seen.
D: Weak irregularities are observed on the entire surface of the film.
E: Strong irregularities are seen on the film, and foreign matters are seen.
[0045]
(4) Measured using a film haze haze meter (1001DP type, manufactured by Nippon Denshoku Industries Co., Ltd.).
[0046]
(5) Film tear test The tear load required for tearing of a sample cut into 50 mn × 64 mm was determined in accordance with ISO 6383 / 2-1983 standard.
[0047]
(6) Film peelability test The cellulose acylate solution was cast using a simple glass plate casting machine, dried at room temperature for 5 minutes, and then the film was peeled off from the glass plate. The peelability was evaluated in three stages: ○: easy to peel, Δ: some load required at the time of peeling, ×: unpeelable unless a load is applied to the extent of film deformation. For the co-cast sample, only the solution in contact with the metal support was evaluated.
[0048]
(1-1) Preparation of cellulose acylate solution A cellulose acylate solution was prepared by the following two dissolution methods. The detailed solvent compositions of the present invention and comparative examples are shown in Table 1. Silica particles (particle size 20 nm), triphenyl phosphate / biphenyl diphenyl phosphate (1/2), 2,4-bis- (n-octylthio) -6- (4-hydroxy-3,5-di- tert-Butylanilino) -1,3,5-triazine was added to 0.5% by mass, 10% by mass and 1.0% by mass of cellulose acylate, respectively. Moreover, the raw material of Table 1 was added as a peeling agent. . In addition, as the liquid for forming the co-casting inner layer and outer layer in the present invention, the above-mentioned cellulose acylate solution was used by changing the concentration and the solvent. Details are shown in Table 1.
[0049]
(1-1a) Cooling dissolution (described as “cooling” in Table 1)
The cellulose acylate described in Table 1 was gradually added to the solvent while stirring well, and allowed to swell for 3 hours at room temperature (25 ° C.). While slowly stirring the obtained swollen mixture, it was cooled to −30 ° C. at −8 ° C./min, then cooled to the temperature described in Table 1, and after 6 hours, the temperature was raised at + 8 ° C./min. When the solification progressed to some extent, stirring of the contents was started. The dope was obtained by heating to 50 ° C.
(1-1b) High-pressure and high-temperature dissolution (described as “high temperature” in Table 1)
The cellulose acylate described in Table 1 was gradually added to the solvent while stirring well, and allowed to swell for 3 hours at room temperature (25 ° C.). The obtained swollen mixture was placed in a double-structured stainless steel sealed container. High-pressure steam was passed through the jacket on the outside of the container, and the mixture was heated at + 8 ° C./min and kept at 1 MPa under the temperature shown in Table 1 for 5 minutes. Thereafter, water at 50 ° C. was passed through the outer jacket and cooled to −50 ° C./min to 50 ° C. to obtain a dope.
[0050]
(1-2) Filtration of Cellulose Acylate Solution Next, the obtained dope was filtered at 50 ° C. with a filter paper having an absolute filtration accuracy of 0.01 mm (manufactured by Toyo Filter Paper Co., Ltd., # 63). The mixture was filtered with 0.0025 mm filter paper (FH025, manufactured by Pole).
[0051]
(1-3) Preparation of cellulose acylate film The solution of (1-2) was cast using a casting machine described in JP-A-56-162617 and dried in an environment of 120 ° C. for 30 minutes. Then, the solvent was evaporated to obtain a cellulose acylate film. In the present invention, the layer structure is a two-layer or three-layer structure. The two-layer structure is a band-to-inner / outer layer structure, and the three-layer structure is a sandwich-type structure of an outer layer / inner layer / outer layer. Details are shown in Table 1.
[0052]
(1-3) The resulting cellulose acylate solution and film were evaluated according to the above items. In the cellulose acylate solution and film of the present invention, no particular problems were observed in the solution stability, the mechanical properties of the film, and the optical properties. On the other hand, in Comparative Examples 1 and 3, there was a problem in the film surface, particularly unevenness, which could not be peeled off. In Comparative Examples 2 and 4, although the peelability was good, the additive into the liquid There was a problem in the film surface (transparency).
[0053]
[Table 1]
[0054]
[Table 2]
[0055]
Further, these films were stretched and stretched by 10% to 30% MD and TD at 130 ° C. online during the drying process during the film forming process or thereafter offline. These were able to increase the retardation from 40 nm to 160 nm in proportion to the draw ratio.
The cellulose acylate film thus obtained contains the liquid crystal display device described in Example 1 of JP-A-10-48420 and the discotic liquid crystal molecules described in Example 1 of JP-A-9-26572. An optically anisotropic layer, an alignment film coated with polyvinyl alcohol, a VA liquid crystal display device described in FIGS. 2 to 9 of JP-A-2000-154261, and FIGS. 10 to 15 of JP-A-2000-154261 When used in the OCB type liquid crystal display device, good performance was obtained. Furthermore, when used as a polarizing plate described in JP-A No. 54-016575, good performance was obtained.
[0056]
[Table 3]
[0057]
【The invention's effect】
A portion of a polybasic acid, which is a cellulose acylate solution in which cellulose acylate is substantially dissolved in a solvent composed of a non-chlorine solvent and has an acid dissociation index pKa of 1.93 to 4.50 in the aqueous solution The cellulose acylate solution containing an ester, an alkali metal salt thereof, and an alkaline earth metal salt thereof is used to improve the film peelability and surface properties and to prevent mechanical problems. No cellulose acylate film production method was achieved.
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