JP4636678B2 - 交通信号灯 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は発光ダイオード(以下「LED素子」と称する。)を光源に用いた信号灯に関し、更に詳しくは遠・近距離への配光を目的としたLED信号灯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のLED素子を光源に用いた信号灯は、プリント基板上にLED素子を正立させその前方に無色透明または淡有色の透明性レンズカバーを設けた構造が殆どである。
【0003】
しかし年々LED素子の発光出力が改善され、それに伴って信号灯1台に使用されるLED素子数量は減ってきており、信号灯の必要光度値は確保できてもLED素子使用個数の低下で一個一個のLED素子発光が近距離より分かるようになり電球式のように面発光に見えなくなってきた。
又LED素子数量が減るにつれて、個々のLED素子の発光を効率よく集光する必要が生じてきた。
【0004】
そこで図17に示すように、プリント基板aに多数の同一特性のLED素子bが並列配置され、各LED素子bによる光源前面に集光用凸レンズcを配置した構成のものがある。
【0005】
このLED素子bから発光される光線dは、集光用凸レンズcによって集光されて水平方向へ出力されることとなる。
【0006】
従って信号灯より100メートル離れた地点での視認における信号灯の必要光度値は充分に確保できることとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら集光用凸レンズcによる集光の場合には、光線dが直進方向へ配光されるために、信号灯から近距離の地点では光線dの配光から外れた状態となるために、信号灯の発光の視認が困難となる問題がある。
【0008】
又朝日や西日による信号灯の擬似点灯防止として各LED素子間の基板上を黒色とするなどの防止策が採られているが、朝日や西日による外光が集光用凸レンズによって各LED素子に集光され、各LED素子が反射して擬似点灯を起こす問題が生じる。
【0009】
そこで本発明では遠・近距離地点での信号灯の視認が行えると共に、各LED素子の反射による擬似点灯を防止する機構としたLED信号灯を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、請求項1は、その開口部にレンズカバーが装着される信号灯器本体内にプリント基板上に所要数のLED素子を正立配置し、各LED素子の前方に集光用凸レンズを前傾させ、かつLED素子の光源が集光用凸レンズの焦点位置より前の位置となるように配設したことを特徴とする。
【0011】
請求項2は、請求項1の集光用凸レンズの表面若しくは裏面の少なくとも一方に微小なプリズムカット面を形成したことを特徴とする。
【0012】
請求項3は、請求項1又は請求項2のレンズカバー裏面に適宜間隔ごとに光拡散用のプリズムを形成したことを特徴する。
【0013】
請求項4は、その開口部にレンズカバーが装着される信号灯器本体内にプリント基板上に所要数のLED素子を正立配置し、各LED素子の前方にフレネルレンズを前傾させ、かつLED素子の光源がフレネルレンズの焦点位置より前の位置となるように配設したことを特徴とする。
【0014】
請求項5は、請求項4のフレネルレンズの裏面に微小なプリズムカット面を形成したことを特徴とする。
【0015】
請求項6は、請求項4又は請求項5のレンズカバー裏面に適宜間隔ごとに光拡散用のプリズムを形成したことを特徴する。
【0016】
本発明ではLED素子光軸上の集光用凸レンズ又はフレネルレンズを20〜40度までの範囲で前傾させ、かつLED素子の光源が集光用凸レンズ又はフレネルレンズの焦点位置より前となるように配置することによって集光度合いが増すと共に、集光用凸レンズ又はフレネルレンズによって集光された出射光は水平方向から下方向へ配光され、遠・近距離からの視認が可能となる。
【0017】
又西日などの外光は集光用凸レンズ又はフレネルレンズによって集光される場合には、LED素子の光源位置が上記集光用凸レンズ又はフレネルレンズの焦点位置と異なるために、LED素子が反射することによる擬似点灯を防止する効果を奏するものである。
【0018】
更に集光用凸レンズ表面若しくは裏面に微小なプリズムカット面を形成する、あるいはフレネルレンズの裏面に微小なプリズムカット面を形成することによりLED素子の光源からの出射光が分散されて信号灯の面発光による視認が可能となる。
【0019】
なお信号灯器本体の開口部に装着されるレンズカバー裏面に適宜間隔ごとに光拡散用のプリズムを設けることによってより一層の下方向への出射光の配光および分散が行え近距離おいても確実なる面発光による視認が可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を、その実施例を示す図面を参酌しながら詳述する。
実施例1
図1および図2にそれぞれ示すように、前部が開口状とした信号灯器本体1内にプリント基板2が設けられ、このプリント基板2上に一定間隔ごとにLED素子3、3、・・が並列配置される。
【0021】
そして各LED素子3の光軸上前方に集光用凸レンズ4を前傾させた集光用凸レンズ集合体5を設け、更に信号灯器本体1の開口部に透明状のレンズカバー6を装着した構成とするものである。
【0022】
そこで図3に示すように、各LED素子3の光軸上前方の集光用凸レンズ4を20〜40度までの範囲で前傾させ、かつLED素子3が集光用凸レンズ4の焦点位置Aより前に配置された構成とするものである。
【0023】
次に図4に示すように、各LED素子3の光軸上前方の集光用凸レンズ4を20〜40度までの範囲で前傾させ、かつLED素子3が集光用凸レンズ4の焦点位置より前に配置され、更に上記集光用凸レンズ4の裏面(LED素子側面)を微小なプリズムカット面7とした構成とするものである。
【0024】
又図5に示すのは、実施例1における信号灯器本体1の開口部に装着されるレンズカバー6の裏面にプリズム8を設けた状態を示すものである。
【0025】
実施例2
図6に示すように、プリント基板2上の各LED素子3の光軸上前方にフレネルレンズ9を20〜40度までの範囲で前傾させ、かつLED素子3がフレネルレンズ9の焦点位置Aより前に配置された構成とするものである。
【0026】
次に図7に示すように、各LED素子3の光軸上前方のフレネルレンズ9を20〜40度までの範囲で前傾させ、かつLED素子3がフレネルレンズ9の焦点位置より前に配置され、更に上記フレネルレンズ9の裏面(LED素子側面)を微小なプリズムカット面7とした構成とするものである。
【0027】
又図8に示すのは、実施例2における信号灯器本体1の開口部に装着されるレンズカバー6の裏面にプリズム8を設けた状態を示すものである。
【0028】
なお本発明ではプリント基板2上の各LED素子3間および一体成型される集光用凸レンズ集合体5およびフレネルレンズ集合体10のつなぎ平面部11面をつや消し状とすることによって西日などによって入射する光の反射を防ぐ構成とすることは勿論のことである。
【0029】
又各集光用凸レンズ4および各フレネルレンズ9を一体成型により集光用凸レンズ集合体5およびフレネルレンズ集合体10とする以外に、図9および図10にそれぞれ示すように、各LED素子3に対してカップ状とした各集光用凸レンズ4および各フレネルレンズ9を被せた構成とすることも考えられる。
【0030】
本発明の実施例1では図11に示すように、各LED素子3から水平より上方へ出射される出射光Laは、集光用凸レンズ4を通って水平方向正面に集光し、又各LED素子3から水平より下方へ出射される出射光Laは集光用凸レンズ4を通って水平方向から下方向へ集光される。
更にレンズカバー6の裏面にプリズム8を通過する出射光Laは下方向へ制御されることによって広範囲での下方向への配光が可能となる。
【0031】
図12に示すように、各LED素子3から水平より上方へ出射される出射光Laは集光用凸レンズ4裏面の微小なプリズムカット面7によって細かく分散されて集光用凸レンズ4を通って水平方向正面に集光し、又各LED素子3から水平より下方へ出射される出射光Laは集光用凸レンズ4裏面の微小なプリズムカット面7によって細かく分散されて集光用凸レンズ4を通って水平方向から下方向へ集光される。
【0032】
更にレンズカバー6の裏面にプリズム8を通過する出射光Laは下方向へ制御されることによって広範囲での下方向への配光が可能となる。
なお集光用凸レンズ4の表面に微小なプリズムカット面7を設けた場合又は表裏両面に微小なプリズムカット面7を設けた場合でも同様な作用効果を得ることができるものである。
【0033】
又図13に示すように、西日などによって信号灯器本体1内へ入射する外光Lbで集光用凸レンズ4を通る外光Lbは各LED素子3から外れた位置で集光されることでLED素子への反射による擬似点灯が防止できる構成となる。
なお集光用凸レンズ4裏面の微小なプリズムカット面7を設けた場合においても図13に示す効果を奏するものである。
【0034】
本発明の実施例2では図14に示すように、各LED素子3から水平より上方へ出射される出射光Laはフレネルレンズ9を通って水平方向正面に集光し、又各LED素子3から水平より下方へ出射される出射光Laはフレネルレンズ9を通って水平方向から下方向へ集光される。
更にレンズカバー6の裏面にプリズム8を通過する出射光Laは下方向へ制御されることによって広範囲での下方向への配光が可能となる。
【0035】
図15に示すように、各LED素子3から水平より上方へ出射される出射光Laはフレネルレンズ9裏面の微小なプリズムカット面7によって細かく分散されてフレネルレンズ9を通って水平方向正面に集光し、又各LED素子3から水平より下方へ出射される出射光Laはフレネルレンズ9裏面の微小なプリズムカット面7によって細かく分散されてフレネルレンズ9を通って水平方向から下方向へ集光される。
更にレンズカバー6の裏面にプリズム8を通過する出射光Laは下方向へ制御されることによって広範囲での下方向への配光が可能となる。
【0036】
又図16に示すように、西日などによって信号灯器本体1内へ入射する外光Lbでフレネルレンズ9を通る外光Lbは各LED素子3から外れた位置で集光されることでLED素子への反射による擬似点灯が防止できる構成となる。
なおフレネルレンズ9裏面の微小なプリズムカット面7を設けた場合においても図16に示す効果を奏するものである。
【0037】
【発明の効果】
以上述べて来た如く本発明によれば、LED素子による光源を、集光用凸レンズおよびフレネルレンズの焦点距離より短い位置とすることにより、集光度合いが増すと共に集光用凸レンズおよびフレネルレンズを前傾させることで、遠・近距離への配光を可能とするものである。
【0038】
又西日などによる外光による信号灯内への入射の場合には、LED素子位置と集光用凸レンズおよびフレネルレンズの焦点位置とが異なるために、LED素子に集光されることがなく、LED素子への反射による擬似点灯を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の信号灯の断面説明図である。
【図2】本発明の信号灯の正面説明図である。
【図3】本発明の実施例1における要部拡大説明図である。
【図4】本発明の実施例1における集光用凸レンズ裏面にプリズムを設けた状態の要部拡大説明図である。
【図5】本発明の実施例1におけるレンズカバー裏面にプリズムを設けた状態を示す説明図である。
【図6】本発明の実施例2における要部拡大説明図である。
【図7】本発明の実施例2におけるフレネルレンズ裏面にプリズムを設けた状態の要部拡大説明図である。
【図8】本発明の実施例2におけるレンズカバー裏面にプリズムを設けた状態を示す説明図である。
【図9】本発明の実施例1における集光用凸レンズの他の取り付け例を示す要部拡大説明図である。
【図10】本発明の実施例2におけるフレネルレンズの他の取り付け例を示す要部拡大説明図である。
【図11】本発明の実施例1における集光用凸レンズによる集光状態を示す説明図である。
【図12】本発明の実施例1における集光用凸レンズ裏面にプリズムを設けた場合の集光状態を示す説明図である。
【図13】本発明の実施例1における外光による集光状態を示す説明図である。
【図14】本発明の実施例2におけるフレネルレンズによる集光状態を示す説明図である。
【図15】本発明の実施例2におけるフレネルレンズ裏面にプリズムを設けた場合の集光状態を示す説明図である。
【図16】本発明の実施例2における外光による集光状態を示す説明図である。
【図17】従来のLED素子による信号灯の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 信号灯器本体
2 プリント基板
3 LED素子
4 集合用凸レンズ
6 レンズカバー
7 プリズムカット面
8 プリズム
9 フレネルレンズ
Claims (3)
- その開口部にレンズカバーが装着される信号灯器本体と、
該信号灯器本体内のプリント基板上に正立配置された所要数のLED素子と、
該LED素子と1:1に対応して同LED素子の光軸上前方に配置されると共に、前記LED素子の光軸となす角度が20度超〜40度未満の範囲内であり、更に、その焦点位置が対応する前記LED素子の光源よりも光軸上後方である集光用凸レンズと、
該集光用凸レンズ間に形成されたつや消し状のつなぎ平面部とを備える
交通信号灯。 - 上記集光用凸レンズの表面若しくは裏面の少なくとも一方に微小なプリズムカット面を形成した
請求項1記載の交通信号灯。 - 上記レンズカバー裏面に適宜間隔ごとに光拡散用のプリズムを形成した
請求項1又は請求項2記載の交通信号灯。
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