以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、本明細書中において、「先頭」および「末尾」は、光ディスク媒体の情報トラックに沿う位置関係を示し、情報トラックに沿ったある区間内でデータが最初に記録または再生される位置をその区間の「先頭」(または、その区間に記録されたデータの先頭)とよび、最後に記録または再生される位置をその区間の「末尾」(または、その区間に記録されたデータの末尾)とよぶ。情報トラックに沿って領域Aと領域Bとがある場合、領域Aの方が領域Bよりも後に記録または再生される場合に、領域Aは領域Bの「後方」にあるという。この場合に、また、領域Bは領域Aの「前方」にあるという。ただし、「後方」および「前方」にあることは、2つの領域が隣接することに限定されない。領域Aの方が領域Bよりも後方にあり、かつ、領域Aが領域Bに隣接する場合に、領域Aは領域Bの後続の領域であるという。
また、本明細書中で、フレーム領域とは、光ディスク媒体の情報トラック上の特定の領域をいう。このフレーム領域には、所定量のデータおよび/または所定量の符号系列が記録される。このフレーム領域に記録されるデータもしくは符号系列を「フレーム」と呼ぶ。また、本明細書中で、セクタとは、光ディスク媒体の情報トラック上の特定の領域をいい、複数の上述したフレーム領域を含む。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における記録可能な光ディスク媒体(記録媒体)の上面図を示す。図1に示されるように、光ディスク媒体101の記録面には情報トラック102(記録領域)がスパイラル状(螺旋状)に形成されており、情報トラック102はさらにデータブロック103に分割されている。すなわち、光ディスク媒体101の記録面において、データブロック103が円周方向に連続して配置され、情報トラック102を形成している。
図2は、光ディスク媒体101のデータブロック103のデータフォーマットを示す。図2に示されるように、各データブロック103の先頭には、第1のフレーム領域201が設けられ、続いて第2のフレーム領域202が複数個配置され、1つのデータブロック103を構成している。図2において、右側に示される領域は、左側に示される領域よりも後方の領域である。
このように、光ディスク媒体101の情報トラック102(記録領域)は、1つのデータブロックに含まれる複数の第2のフレーム領域202(全体として第1の領域)と、第1のフレーム領域201(第2領域)とを含む。
第1のフレーム領域201には、その先頭に第1の同期領域PAが配置され、続いて第2の同期領域VFOが配置されている。
第2のフレーム領域202(フレーム領域)には、その先頭に第3の同期領域
SYが配置され、続いてデータ領域DATAが配置されている。第3の同期領域SYは、SYパターン(第2の同期符号系列)が記録される領域であり、データ領域DATAは、記録媒体に記録されるユーザデータの少なくとも一部が記録される領域である。すなわち、第2のフレーム領域202(フレーム領域)は、SYパターン(第2の同期符号系列)と、ユーザデータの少なくとも一部とが記録される領域を含む。
ここで各領域の役割について説明する。まずデータ領域DATAは、ユーザデータを含むデータ系列を記録する領域である。データ系列は、ユーザデータ以外に読み出し時のデータ誤りの検出または訂正のためのパリティ符号を含む。また、データ系列は、バイナリデータそのものでなく、光ディスク媒体の記録再生信号特性に合致した変調方式で変換されて記録される。
変調後のデータ系列が最小ラン(最小反転間隔)d、最大ラン(最大反転間隔)kに制限された符号系列であり、その符号系列が、入力データ系列を(m×i)ビット単位にブロック化し、そのブロックの入力データを(n×i)ビット単位の符号系列に変換することによって得られる場合、その変調方式を(d,k;m,n;r)変調符号と呼ぶ。ここで、dおよびkは、d<kを満たす自然数であり、mおよびnは、m<nを満たす自然数であり、iは1≦i≦rを満たす自然数である。特に、r=1である場合には、この変調方式は固定長符号と呼ばれ、r≧1である場合(iが複数の値をとり得る場合)には、可変長符号と呼ばれる。
符号系列をNRZ(Non Return to Zero)の形式で記録した場合、符号系列の“1”が記録マークに対応し、ゼロラン“0”がスペースに対応する。ここで、記録マークおよびスペースは、光ディスク媒体においては、凹凸のピットや記録膜の相変化等による反射率の違いによって表される。また、符号系列をNRZI(Non Return to Zero inverted)の形式で記録した場合、系列中の“1”の出現によって記録状態、すなわち、マークを記録するかスペースを記録するかを切り替えている。マーク長記録の場合、反転間隔は記録マークの長さあるいはスペースの長さに対応する。
光ディスク媒体の記録膜に形成することができるマークの大きさの最小値(マーク単位とする)が一定であることを仮定すると、NRZ記録では最小符号長のデータ(符号系列の3ビット“100”)を記録するのに3マーク単位が必要であるが、NRZI記録では1マーク単位で記録できる。従って、最小反転間隔がd=2以上であるラン長制限符号を用いる場合、NRZ記録によって記録した場合に比較して、NRZI記録によって記録した場合の方がトラックの単位長さ当たりに記録することができるビット数を多くすることができる。すなわち、高密度化を図ることができる。
本発明の実施の形態1では、変調方式として、(d=2,k=10;m=8,n=16;r=1)のパラメータを持つラン長制限符号を用い、マーク長記録を行うとする。すなわち、光ディスク媒体101(図1)のデータ領域DATAに記録されるデータ系列は、最短Tmin=3ビット長,最長Tmax=11ビット長の記録マークおよび記録スペースからなる。
第1の同期領域PAは、第1のフレーム領域201の先頭を識別するために設けられ、少なくともデータ領域DATAに記録されるデータ系列には出現しないパターンを記録することが望ましい。データ領域DATAには出現しないパターンを記録することにより、読み出し時に第1の同期領域PAをデータ領域DATAと容易に区別することが可能になる。
第2の同期領域VFOは、各データブロック103の読み出し時にデータ再生系の動作を安定に行うために設けられる。データ再生系とは、例えばデータブロック103から読み出した再生信号RF(=Radio Frequency)を2値化する手段や、2値化データからビット同期クロックを抽出するPLL手段等である。これらのデータ再生系の動作を安定に行うために、第2の同期領域VFOに記録されるパターンは、以下に述べる(条件1)〜(条件3)を満足していることが望ましい。
(条件1)再生信号RFの振幅およびSN比(=Signal to Noise Ratio)が十分確保されている
(条件2)記録マーク/スペースの切り替え回数が多い
(条件3)パターンのDSV値(=Digital Sum Value)ができるだけ0に近い
上記(条件1)は、再生信号RFから2値化データを適切に得るための条件である。再生信号RFの振幅が小さ過ぎたりSN比が悪いと、正しく2値化できなかったり再生系のノイズの影響で誤ったデータに2値化されたりする。
上記(条件2)は、2値化データからビット同期クロックを高速かつ安定に得るための条件である。第2の同期領域でPLL(Phase Locked Loop)手段によるクロック周波数/位相の引き込み動作が行われる場合、記録マーク/スペースの切り替え回数が多い方が周波数/位相比較のための情報を頻繁に得ることができるため、引き込みを高速にすることができる。記録マーク/スペースの切り替え頻度が少ないと、周波数/位相比較情報を得られず、引き込みが低速になったり不安定になったりする。
上記(条件3)は、再生信号RFを安定に2値化するための条件である。2値化方式として一般的に用いられているDCフィードバック方式(2値化後のデータのDC成分により2値化スライスレベルのフィードバック制御を行う方式)を採用した場合、パターンのDSV値が大きく変動したり発散したりすると、スライスレベルが大きく変動したり再生信号RFの中心から大きく外れてしまい、安定に2値化データが得られなくなる。パターンのDSV値が0に近ければ近いほど、DCフィードバック方式にとって好適である。
第3の同期領域SYは、第2のフレーム領域202のそれぞれの先頭を識別す
るために設けられる。第1のフレーム領域201に対する第1の同期領域PAと同様に、少なくともデータ領域DATAに記録されるデータ系列には出現しないパターンを記録することが望ましい。データ領域DATAには出現しないパターンを記録することにより、読み出し時に第3の同期領域SYをデータ領域DATAと容易に区別することが可能になる。
図3は、本発明の実施の形態1において特に好適な第1の同期領域PAに記録されるパターン(PAパターン)の一例を示す。図3に示されるパターンの特徴は、(Tmax+3)チャンネルビット長である14チャンネルビット(14T)長さの記録マークもしくはスペースを含むことである。本発明の実施の形態1においては、前述したようにデータ領域DATAに記録されるデータ系列の最大マーク/スペース長Tmaxは、11チャンネルビット(11T)であり、第1の同期領域PAに含まれる14T長さの記録マークもしくはスペースとは、3チャンネルビット長さが異なる。例えば再生時のノイズの影響等により、1チャンネルビットのエッジシフトが発生し、上記第1の同期領域の14Tマーク(もしくは14Tスペース)が13チャンネルビット長に短くなり、データ領域の11Tマーク(もしくは11Tスペース)が12チャンネルビット長になったとしても、両者の間にはまだ1チャンネルビットの差がある。従って、1ビット程度のエッジシフトに対しては、データ領域DATAにおける11Tを含むパターンを第1の同期領域PAと誤検出しないための十分なエラーマージンがあるといえる。
このように、PAパターンは、後方に続くVFOパターンおよびデータ領域DATAに記録されているいかなるパターンとも容易に区別することができる。再生装置および記録装置がこのPAパターンを検出することにより、前方のデータブロックのデータ領域DATAの終了を判別したり、後方に続く第2の同期領域VFOや、さらにその後方に続くデータブロックの先頭を予測することが可能になる。第1の同期領域に記録されるPAパターンが再生制御および記録制御のために使用される具体例は、実施の形態6および7において後述する。PAパターンは、第1のフレーム領域(第2領域)の先頭を示す。
図3に示される例では、14Tマーク/スペースの直後に4Tスペース/マークが配置されている。データブロック103の読み出し時に、(14T+4T)を検出パターンとすることにより、14Tのみを検出パターンとするよりも、誤検出の確率を低減することができる。また、14T+4Tだけでなく、(15T+3T)や(13T+5T)も検出パターンに加えることにより、誤検出の確率を極力低く保ちながらも、14T後端エッジシフトに対して未検出を防ぐ効果が得られる。
また、図3において、第1の同期領域PAのパターンはNRZの形式で表記すると{10010010010001000000000000010001}となる。このように、(14T+4T)の直前に変調符号と同様にd=2,K=10のランレングス制限(ゼロラン、すなわち“0”の連続数の制限)を満たす系列(3T+3T+3T+4T)を付加することにより、合計32チャンネルビット(すなわち、ちょうど2バイト)のパターンが構成される。なお、14Tの直前に配置する系列は、変調符号と同じランレングス制限を満たしていることが望ましいが、これに限定されるものではない。また、第1の同期領域PAのパターンは1種類だけでなく、複数種類の中から選択するようにしてもよい。例えば、パターンの開始点におけるゼロラン(“0”の連続数)の異なる複数のパターンを用意し、そのパターンの直前のバイトの変調結果のゼロラン(最終ゼロラン)と接続したときに、変調符号と同じランレングス制限を満たすように、複数のパターンから1つのパターンを選択してもよい。また、例えばDSV値の異なるパターンを複数用意し、パターンの選択後のDSV値が最も小さくなるようにパターンを選択するようにしてもよい。ここで、パターンの選択後のDSV値は、そのパターンの直前の系列のDSV値にそのパターンのDSV値を加えた値である。
図4は、本発明の実施の形態1において特に好適な第2の同期領域VFOに記
録されるパターン(VFOパターン)の一例を示す。図4に示されるパターンの特徴は、4チャンネルビット長の記録マーク、スペースの繰り返しを含むことである。本例のパターンは、前述した(条件1)〜(条件3)を全て満足している。
すなわち、4T単一のパターンにより、再生信号RFの振幅は十分に確保されるといえる(条件1)。マーク/スペースの切り替え回数を最も大きくとれるパターンはTmin=3チャンネルビット長の単一パターンであるが、高密度化された光ディスク媒体の記録再生特性では一般的にTminビットの再生信号RFの振幅が長マーク/スペースに比較してかなり小さくなる。このため、安定に2値化を行うための再生信号RF振幅が得られない場合もある。従って、(条件1)と(条件2)とを両立するためには、4T単一のパターンが好適であるといえる。また、4T単一のパターンは、そのパターンのDSV=0にすることができるので、(条件3)を満たすことはいうまでもない。
なお、第2の同期領域VFOに記録するパターンは、4T単一のパターンに限定されるものでないことはいうまでもない。また、(条件1)から(条件3)を全て満足したパターンであることが望ましいが、媒体の記録再生特性に応じて、各条件に優先順位付けをしてもよい。例えば、Tminビットである3T記録マーク・3Tスペースでも再生信号RFの振幅が十分得られるような媒体(条件1)には、3T記録マーク・3Tスペースの繰り返しパターンを用いることにより、4T単一パターンに比べて記録マーク/スペースの切り替え回数(条件2)を増やすことができる。これにより、(条件2)がより優先され、データPLLの引き込みをより高速にすることができる。また、例えば、4T単一パターンでも再生信号RFの振幅が小さいような光ディスク媒体には、5T記録マーク・5Tスペースの繰り返しパターンを用いてもよい。この場合には、4T単一パターンに比べて記録マーク/スペースの切り替え回数が減少してしまうが、(条件2)よりも(条件1)が優先され、データの2値化の精度を高めることができる。
図5は、Tmin=3の場合と、Tmin=2の場合とにおける第2の同期領域VFOに記録されるパターンの一例を示す。図5に示される例では、Tmin=3の場合には、4Tの繰り返しパターンを用い、Tmin=2の場合には3Tの繰り返しパターンを用いている。
このように、(Tmin+1)チャンネルビット単一のパターンでは再生信号RFの振幅は十分に得られ、(条件1)が満たされる。
変調符号として8/16変調方式を採用した場合には、Tmin=3、1バイト=16チャンネルビットとなるため、1バイト当たり4回の4T繰り返しを記録することになり、本実施の形態では、第2の同期領域VFOの長さは91バイト長とするため、91×4=364回の4T繰り返しパターンが記録されることになる。
ここで、8/16変調とは、8ビットのバイナリデータを16チャンネルビットの符号語に変換する変調方式の1つであり、その詳細については例えば特開平8−31100号公報に開示されている。8/16変調方式では、変調後の符号系列の低周波成分が極力少なくなるように、8ビットの変調前データに対して、複数の変換テーブルを割り当て、変換テーブルを適宜切り替えて符号語への変換が行われる。変換テーブルの切替えは、最小反転間隔d=2、最大反転間隔k=11を満たしつつ、符号系列のDSV(=Digital Sum Value)の絶対値が極力小さくなるように行われる。
図6は、本発明の実施の形態1において特に好適な第3の同期領域SYのパターン(SYパターン)の一例を示す。図6に示されるパターンの特徴は(Tmax+3)チャンネルビット長である14チャンネルビット(14T)長さの記録マークもしくはスペースを含むことである。前述したように、パターンに含まれる14Tは、データ領域DATAに記録されるデータ系列の最大マーク/スペース長Tmax=11チャンネルビット(11T)とは、3チャンネルビット長さが異なる。従って、1ビット程度のエッジシフトに対しては、データ領域DATAにおける11T含有パターンを誤検出しないための十分なエラーマージンがあるといえる。これは、図3を参照して上述した第1の同期領域PAに記録されるパターンの場合と同様である。このようにして、SYパターンは、第2のフレーム領域202(フレーム領域)の先頭を識別する(示す)。
本発明の実施の形態1における光ディスク媒体101から情報トラック102の絶対位置(以下番地と呼ぶ)を認識する方法について言及しておく。記録可能な光ディスク媒体の所定の番地にデータの記録を行うには、記録装置の側でデータ記録前に所定の番地情報を読み出し、記録すべき位置の検索を行う必要がある。データの記録がなされていない領域においても番地情報を得るには、予め番地情報をプリフォーマットしておく必要がある。番地情報のプリフォーマット方法としては、記録面の凹凸を利用したプリピットや、情報トラック102を形成するためのグルーブ溝を蛇行させ、蛇行の仕方により番地情報を入れる方法等がある。
本発明は、光ディスク媒体101の番地情報を得る方法としては、任意の方法を採用し得る。明細書の中で特に言及しない限り、各データブロックには固有の番地情報が付与されていて、所定の情報トラックをアクセスすることで、データブロックの番地情報が得られるものとする。
以上に説明したようなデータフォーマットを有する光ディスク媒体101にデータの記録を行う方法を、再度、図2を参照して説明する。光ディスク媒体101(図1)には、データブロック103を最小の単位として、データが記録される。その際に、一連のデータ記録の開始および終了は、第1のフレーム領域201における第2の同期領域VFOにおいて行われる。ここで、データ記録の追記個所である第1のフレーム領域201をリンキングフレーム領域と呼ぶ。
一連のデータ記録の終了位置から別のデータ(追加データ)を追記していく場
合、データ記録の開始点をリンキングフレーム領域である第1のフレーム領域201のうち第2の同期領域VFOのSバイト目(Sは第2の同期領域VFOのバイト長より小さい有理数)とし、データ記録の終了点を第2の同期領域VFOのEバイト目(Eは第2の同期領域VFOのバイト長より小さい有理数)としたとき、常にS≦Eの関係を満足するようにデータの記録開始/終了位置が決定される。これによりデータ記録の追記個所においても、パターン(VFOパターン)が記録されない領域が残ることがない。このようなVFOパターンが記録されない領域が残ると、再生系の引きこみ動作が正常に行われなくなるおそれがある。
ここで、SとEの差はドライブ装置の種々の変動誤差要因を勘案して決定するとよい。理想的な変動誤差0の状態では、(S−E)のバイト数が、前のデータの記録終了時と、次のデータの記録開始時とにともに記録される。すなわち、この領域では上書き記録がなされる。従って、(S−E)のバイト数を変動誤差要因の上限もしくはそれ以上に設定しておくことにより、変動誤差が最も大きくなった状態においても、VFOパターンが記録されない領域を残すことなくデータを追記することが可能になる。
なお、光ディスク媒体101が相変化記録材料等を用いた書き換え型の光ディスク媒体である場合、データ追記を同一の場所で多数回繰り返すと、記録膜の劣化の原因になることがある。記録膜の劣化を最小限にとどめ、繰り返し記録の可能回数を増加させるため、データの記録の度に、記録の開始位置もしくは終了位置を所定の範囲内でランダムに変化させてもよい。その場合、第1のフレーム領域201の長さは、必ずしも固定バイト長にはならない。記録の開始位置もしくは終了位置を変化させた分だけVFO領域の長さが増減するからである。記録の開始位置もしくは終了位置の変化量は、第2の同期領域VFOの長さや再生系の引込み動作に必要な時間、記録膜劣化の特性等を勘案しながら決定するとよい。
本発明では、データの追記が開始されるフレーム領域、すなわちリンキングフレーム領域は、データ領域DATAのない第1のフレーム領域201である。これにより、データ記録の追記個所においても、データが不連続に記録されるということがない。従って、追記個所においてデータの読み出しが行えなくなって1フレーム領域に記録されたデータが失われるおそれがないため、データ部分でリンキングを行う(追記の個所がデータ部分になっている)従来の光ディスク媒体に比較して、追記個所における読み出しエラーマージンを格段に向上することができる。その結果、データの記録の開始および終了点においてもデータの記録再生を安定に行うことが可能になる。
図2から分かるように、再生装置が光ディスク媒体101へデータを記録する際には、始めに、VFOパターンのうち、図2に示される記録開始位置VFO部分2102(データを安定に再生するための第1の同期符号系列)が情報トラック102上の第1のフレーム領域201(第3領域)に記録され、その後、少なくとも1つの第2のフレームが記録される。従って、少なくとも1つの第2のフレーム(全体として第1領域データ)が記録される領域(第1領域)は、この第1のフレーム領域201(第3領域)の後方に続く。この第1のフレーム領域201(第3領域)は、記録開始位置VFO部分2102(第1の同期符号系列)が記録される領域を含む。
少なくとも1つの第2のフレームのそれぞれは、第2のフレームの先頭を識別するSYパターン(第2の同期符号系列)と、記録すべきデータの少なくとも一部(データ領域DATAに記録されるデータ)とを含む。光ディスク媒体101に記録すべきデータが複数のデータブロック103にまたがる場合には、そのデータブロックの境界には第1のフレーム領域201が設けられ、PAパターンとVFOパターンとが記録される。光ディスク媒体101へのデータの記録の終了時には、少なくとも1つの第2のフレームを記録した後に、PAパターン(第3の同期符号系列)が記録され、VFOパターンのうち、図2に示される記録終了位置VFO部分2101(データを安定に再生するための第4の同期符号系列)が記録される。PAパターンと、記録終了位置VFO部分2101とは、記録を開始した際に記録開始位置VFO部分2102を記録した第1のフレーム領域2
01(第3領域)とは別の、第1領域の後方に続いて設けられた第1のフレーム領域201(第2領域)に記録される。すなわち、その第1のフレーム領域201(第2領域)は、PAパターン(第3の同期符号系列)と記録終了位置VFO部分2101(第4の同期符号系列)とが記録される領域を含む。
なお、記録の開始位置をランダムに変化させる場合には、VFOパターンのうち、図2に示される記録開始位置VFO部分2102(データを安定に再生するための第1の同期符号系列)の長さがランダムに設定され得る。また、記録の終了位置をランダムに変化させる場合には、VFOパターンのうち、図2に示される記録終了位置VFO部分2101(データを安定に再生するための第4の同期符号系列)の長さがランダムに設定され得る。なお、記録の開始位置または終了位置をランダムに変化させる場合に、記録終了位置VFO部分2101または記録開始位置VFO部分2102の長さをランダムに変えることは必須ではない。上述したように、データを記録すべき位置は、データが記録済みであるか未記録であるかに関わらず、プリフォーマットされている番地情報によって得ることができる。従って、その番地情報を再生することによって得られる光ディスク媒体101上の絶対位置に対して、記録の開始/終了の位置をランダムに変更するようにしてもよい。この場合に、記録終了位置VFO部分2101の末尾は、記録開始位置VFO部分2102の先頭よりも後方に位置するようにするとよい。
このように、常にS≦Eの関係を満足するようにデータの記録開始/終了位置が決定されるので、既に光ディスク媒体に記録された記録終了位置VFO部分2101(第4の同期符号系列)の少なくとも一部は、追加データを記録する際に記録される記録開始位置VFO部分2102(第1の追加同期符号系列)によって上書きされる。
このように、本発明の実施の形態1によれば、記録再生の単位であるデータブロックは、先頭の第1のフレーム領域と、引き続く複数の第2のフレーム領域とから構成される。第1のフレーム領域には、第1の同期領域(PA)と第2の同
期領域(VFO)が配置され、第2のフレーム領域には、第3の同期領域(SY)とデータを記録するためのデータ領域(DATA)が配置される。これにより、データの記録開始/記録終了(リンキング)は、第1のフレーム領域(リンキングフレーム領域)の中の第2の同期領域(VFO)において行うことが可能になる。データの追記記録時の種々の変動要素は、第2の同期領域の範囲内で吸収することが可能となり、常に安定なデータの記録再生動作を実現することが可能となる。オーバーヘッドは、1データブロック当たり1フレーム強と非常に少なく保たれる。
本発明によれば、データ記録開始/終了点において、1チャンネルビット未満といった精密な位置決めを行う必要がない。依って、容易な構成でドライブ装置を設計することができ、装置のコストを低減できる。
図7(a)および(b)は、それぞれ、本発明の実施の形態1における通常フレーム領域(すなわち、第2のフレーム領域)およびリンキングフレーム領域(すなわち、第1のフレーム領域)の開始位置の記録パターンの一例を示す。図7(a)および(b)に示される例は、データ領域の変調方式に(d=1,k=9,n/m=1.5)のパラメータを持つラン長制限符号を用いた場合の例である。
図7(a)において、通常フレーム領域の開始位置とは、本発明の実施の形態1のデータフォーマットに従う第2のフレーム領域202(図2)の先頭をいう。第2のフレーム領域202の先頭には、第3の同期領域SYが2バイト(つまり24チャンネルビット)の長さで配置され、3バイト目よりデータ領域DATAとなる。第3の同期領域SYに記録されるSYパターンのうち、下線を引いた部分パターン「10000000000001001」は(d=1,k=9)のパラメータを持つラン長制限符号における(Tmax+3)・(Tmin+1)のパターンに相当する。SYパターンの初め(図7(a)における左側)の「YYYYYY」は、(d=1,k=9)のラン長制限を満たし、直前のデータ領域DATAとの繋がりを考慮して選択するとよい。
また図7(b)において、リンキングフレーム領域の開始位置とは、本発明の実施の形態1のデータフォーマットにおける第1のフレーム領域201の先頭いう。第1のフレーム領域201の先頭には、第1の同期領域PAが2バイト(つまり24チャンネルビット)の長さで配置され、3バイト目より第2の同期領域VFOとなる。第1の同期領域PAおよび第2の同期領域VFOにまたがって下線を引いた部分パターン「10000000000001000001」は(d=1,k=9)のパラメータを持つラン長制限符号における(Tmax+3)・(Tmin+4)のパターンに相当する。また、リンキングフレーム領域のユニークパターン((Tmax+3)・(Tmin+4)のパターン)と、通常フレーム領域のユニークパターン((Tmax+3)・(Tmin+1)のパターン)との関係は、各フレーム領域の開始点より(Tmax+3)の開始位置までの長さが同一(8チャンネルビット目)であり、いうまでもなく(Tmax+3)の終端の位置も同一である。
図7(b)において、初めの「YYYYYY」は、(d=1,k=9)のラン長制限および、直前のデータ領域DATAとの繋がりを考慮して決定すればよいが、図7(a)に示される、SYパターンにおける「YYYYYY」の部分と全く同一のパターンであってもよい。このようにしても、SYパターンにおける(Tmax+3)の直後のパターンが(Tmin+1)であるのに対して、PAパターンの(Tmax+3)の直後のパターンが(Tmin+4)であるため、両者の符号間距離を3にすることができる。
このため、例えばSYパターンとPAパターンの長さを2バイトとし、これに(Tmax+3)を含めるとパターンの種類をあまりたくさん作れない場合にも、(Tmax+3)の直後のパターンの長さによって、区別することのできるパターンの種類を増やすことができ、使用可能なパターンの自由度が増える。
パターンの自由度を増やせると、符号間距離2以上を保ちながら、SYパターンまたはPAパターンとして使用可能なパターンの種類を増やしたり、逆に使用可能なパターンの種類はそのままにして符号間距離を3以上にすることも可能になってくる。
本実施の形態において、第1のフレーム領域201および第2のフレーム領域202のバイト長、および各データブロック103における第2のフレーム領域202の個数について言及しておく。
第1のフレーム領域201のバイト長さと第2のフレーム領域202のバイト長さは、略一致させるか、あるいは一方が他方の略整数倍になっていることが望ましい。第1のフレーム領域201のバイト長さと第2のフレーム領域202のバイト長さとの一方を他方の略整数倍にすることにより、フレーム領域記録時における両フレーム領域のデータ発生動作、再生時の両フレーム領域のフレーム補間動作等において、記録装置/再生装置の回路(タイミング発生回路等)を共用することができ、記録装置/再生装置の回路規模が小さくなるので、コスト低減の効果が得られる。本実施の形態においては、第1のフレーム領域201、第2のフレーム領域202ともに、そのバイト長さを93バイト長とした。
第1のフレーム領域201を93バイト長とし、第1の同期領域PAに図3で示したパターンを配置し、第2の同期領域VFOに図4に示したパターンを配置した場合、第1の同期領域PAは2バイト長になり、第2の同期領域VFOは91バイト長になる。この場合、第2の同期領域VFOには、4T記録マーク・スペースを182回繰り返したパターンが記録されることとなる。
本発明の実施の形態1において、データブロック103毎の第2のフレーム領域202の個数は、208個とした。この個数が第1のフレーム領域201の挿入頻度およびデータブロック103のデータサイズを決定する。この個数が大きい場合には、データ領域DATAを有しない第1のフレーム領域201によるオーバーヘッド(フォーマットの冗長分)が小さくなるので、光ディスク媒体101の記憶容量を大きくできるという利点が得られるが、データブロック103のデータサイズが大きくなるので、小さいサイズのユーザデータを扱う場合には不利である。
図2に示すように、ECCブロックは、連続する4つのデータブロック103から構成されている。この場合、1ECCブロック当たりの第2のフレーム領域202の個数は、208×4=832個となる。なお、ECCブロックとは誤り訂正符号の符号化単位と定義する。例えば、誤り訂正符号として公知のリードソロモン符号を2次元的に用いて公知の積符号を構成する場合、その構成単位をいう。第3の同期領域SYのサイズを2バイトとすると、1ECCブロック当たりの全データ領域DATAのサイズの合計は、91×832=75712バイトとなる。本発明の実施の形態1においては、このうちユーザデータを65536バイトとし、残りをエラー訂正符号、ブロック識別ID等の冗長データに割り当てている。
このように、エラー訂正符号を構成する1ECCブロックを、一連のデータ記録の最小単位であるデータブロック整数個から構成することにより、ドライブ装置(記録装置または再生装置)において記録データの管理が容易になる利点がある。なお、本発明の実施の形態1においては、1ECCブロック=4データブロックとしたが、これに限定されない。1ECCブロックを構成するデータブロックの個数を変えても、同様の効果が得られる。例えば、1ECCブロック=1データブロックとしてもよい。しかしながら、本発明の構成では、毎データブロックの先頭フレーム領域は、データ領域DATAを有しない第1のフレーム領域201(すなわち冗長データ)であるので、1ECCブロックを構成するデータブロックの個数には自ずと上限がある。1ECCブロックを構成するデータブロックの個数は、ドライブ装置によるエラー訂正の能力とオーバーヘッドとを考慮して、光ディスク媒体101の用途、ドライブ装置の性能等に応じた値に決定するのがよい。
なお、第3の同期領域SYに記録されるパターン(SYパターン)は、どの第2のフレーム領域202についても同一のパターンである必要はない。例えば各データブロック103における第1のフレーム領域201に続く2番目のフレーム領域に相当する第2のフレーム領域202に対しては、他の第2のフレーム領域202とは異なった特別のパターンを配置してもよい。これにより、上記特別なパターンをドライブ装置にて識別することができるので、各データブロック103のデータ領域DATAの最初がより確実に検出可能になり、ドライブ装置の信頼性を向上させることができる。以下の実施の形態2では、複数の第2のフレーム領域202の先頭に記録されるSYパターンが、複数の第2のフレーム領域202について異なる例を説明する。
なお、本実施の形態において、第1のフレーム領域(第1領域及び第3領域)には第1の同期領域PAと第2の同期領域VFOが含まれる例について説明したが、他の同期符号系列やデータ系列が含まれていても良い。
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2における記録可能な光ディスク媒体3101(記録媒体)の上面図を示す。図8に示されるように、光ディスク媒体3101の記録面には情報トラック3102(記録領域)がスパイラル状(螺旋状)に形成されており、情報トラック3102はさらにデータブロック301に分割されている。すなわち、光ディスク媒体101の記録面において、データブロック301が円周方向に連続して配置され、情報トラック3102を形成している。
図9は、本発明の実施の形態2の光ディスク媒体のデータフォーマットの例を示す。図9において、図2に示される構成要素と同一の構成要素には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。図9において、右側に示される領域は、左側に示される領域よりも後方の領域である。
図9に示すように、データブロック301は、第1のフレーム領域201と、8個のセクタ3103とから構成されている。4個のデータブロック301が、1つのECCブロック302を構成している。従って、1ECCブロックは32個のセクタを含む。
データブロック301に含まれる複数の第2のフレーム領域は、それぞれが26個の第2のフレーム領域を含む複数のセクタ3103に分割されている。
セクタ3103(第4領域)のそれぞれは、26個のフレーム領域(第2のフレーム領域)から構成されている。フレーム領域のそれぞれは、93バイトの長さを有する。セクタ3103の先頭に位置するフレーム領域を参照符号F0により示し、セクタ3103の先頭以外の残りの25個のフレーム領域を、参照符号F1、F2、・・・F24、F25により示す。
フレーム領域F0には、その先頭に同期領域SY0(第3の同期領域)が配置され、続いてデータ領域DATAが配置される。フレーム領域F1からF25のそれぞれの先頭には、同期領域SY(第3の同期領域)が配置され、続いてデータ領域DATAが配置される。同期領域SY0および同期領域SYの長さは、ともに2バイトとする。従って、フレーム領域F0および各フレーム領域F1からF25にあるデータ領域DATAの長さは、全て91バイトである。
従って、各セクタ3103におけるデータ領域DATAの総バイト数は、91×26=2366バイトとなる。1セクタに記録されるユーザデータは2048バイトとし、これにデータの記録位置を識別するためのアドレス情報や誤り訂正符号・誤り検出符号のパリティ等の冗長データ分318バイトが加わって、合計2366バイトを構成しているものとする。
データ領域DATAに記録されるデータ系列は、バイナリデータそのものでなく、光ディスク媒体の記録再生信号特性に合致した変調方式で変換されて記録される。本発明の実施の形態2では、変調方式として8/16変調方式を用いて、NRZI記録を行うとする。すなわち、各データ領域DATAに記録されるデータ系列は91×16=1456チャンネルビット長さであり、最短Tmin=3ビット長,最長Tmax=11ビット長の記録マークおよび記録スペースからなる。
同期領域SY0は、フレーム領域F0の先頭を識別するために設けられ、少なくともデータ領域DATAに記録されるデータ系列には出現しないパターンを記録することが望ましい。データ領域DATAには出現しないパターンを記録することにより、読み出し時に同期領域SY0をデータ領域DATAと容易に区別することが可能となる。
同期領域SYは、各第2のフレーム領域F1からF25までの先頭を識別するために設ける。同期領域SYのそれぞれには、フレーム領域F0における同期領域SY0と同様に、少なくともデータ領域DATAに記録されるデータ系列には出現しないパターンを記録することが望ましい。データ領域DATAには出現しないパターンを記録することにより、読み出し時に同期符号系列SYをデータ領域DATAと容易に区別することが可能となる。以下、同期領域SYまたは同期領域SY0に記録されるパターンを同期符号系列とも呼ぶ。
図10は、セクタ3103(図9)に含まれる26個のフレーム領域の先頭に配置される同期符号系列の例を示す。同期符号系列は2種類(SY0パターンとSYパターン)であり、2番目のフレーム領域以降26番目までのフレーム領域には、全てSYパターンが配置されている。
図11は、本発明の実施の形態2において同期符号系列として好適に用いられるパターンの一例を示す。図11に示される例は、(Tmax+3)チャンネルビット長である14チャンネルビット(14T)長さの記録マークもしくはスペースを含むパターンである。本発明の実施の形態2においては、前述したようにデータ領域DATAに記録されるデータ系列の最大マーク/スペース長Tmaxは、11チャンネルビット(11T)であり、同期符号系列に含まれる14Tとは3チャンネルビット長さが異なる。例えば再生時のノイズの影響等により1チャンネルビットのエッジシフトが発生し、上記同期符号系列における14Tマークもしくは14Tスペースが13チャンネルビット長に短くなり、データ領域の11Tマークもしくは11Tスペースが12チャンネルビット長になったとしても、両者の間にはまだ1チャンネルビットの差がある。従って、1ビット程度のエッジシフトに対しては、データ領域DATAにおける11T含有パターンをSY0パターンもしくはSYパターンと誤検出しないための十分なエラーマージンがあるといえる。
また、SY0パターンとSYパターンを識別するためには、両者の符号間距離を2以上離すとよい。ここで符号間距離とは2つのデータ系列を比較したとき、データ系列中の異なるビットの個数と定義し、NRZ記録のときはデータ系列をNRZ表記した場合、NRZI記録のときはデータ系列をNRZI表記した場合における符号間距離とする。SY0パターンとSYパターンとの間の符号間距離が2以上離れていれば、再生時のノイズの影響等により一方の読み出し系列が1ビットシフト誤りを起こしても、もう一方と誤識別することがない。
なお、符号間距離を3以上とすればさらに識別能力を向上することができる。例えば、符号間距離2の場合は、SY0パターンとSYパターンとが、互いの距離が近くなる方向に1ビットシフトした場合には、両者は同一パターンとなってしまい識別することは不可能となる。ところが、符号間距離を3以上とすると、まだ両者の間には1ビット以上の差があるため、識別が可能である。従って、1ビットの誤りを許容しながら常にSY0パターンとSYパターンとを識別することが可能になる。なお、SYパターンは、SY0パターンとの符号間距離が2以上である限り、複数種類のパターンとしてもよい。
図12は、本発明の実施の形態2におけるSY0パターンおよびSYパターンの具体的な一例を示す。SY0パターンとSYパターンとはともに同一長さ、すなわち2バイト=32チャンネルビット長とし、しかも両者に共通のユニークパターンとして(14T+4T)を含む。両者のビット数を等しくし、しかも両者に共通のユニークパターンを配置したことによる利点として、これらを検出する装置において、両者の検出に共通のパターン検出系を用いることで装置の簡略化を図れることが挙げられる。
また、上記ユニークパターンは、8/16変調方式における(Tmax+3)・(Tmin+1)のパターンに相当し、(Tmax+3)ビットの記録マーク/スペースの直後に(Tmin+1)のスペース/記録マークを配置することにより、パターン自体の検出能力を向上しようとするものである。つまり、データブロック3103の読み出し時に(14T+4T)を検出パターンとすることにより、14Tのみを検出パターンとするよりも、誤検出の確率を低減することができる。また、14T+4Tだけでなく、例えば(15T+3T)や(13T+5T)も検出パターンに加えることにより、誤検出の確率を極力低く保ちながらも、14T後端エッジシフトに対して未検出を防ぐ効果が得られる。
また、図12には、SY0パターンとして使用可能なパターンと、SYパターンとして使用可能なパターンとが、それぞれState1およびState2用として2種類、State3およびState4用として2種類の合計4種類ずつ示されている。ここで、State1からState4は、8/16変調方式の複数の変換テーブルのうちどれを選択するかのインデックス情報を示す。State1およびState2用の各パターンは、MSB側(図12における左側)のゼロランが、2もしくは3となっていることが特徴である。一方、State3およびState4用の各パターンは、MSB側のゼロランが0、すなわちMSBがビット“1”から始まっていることが特徴である。
SY0パターンについて、4種類のパターンの選択方法について説明する。まず、Stateの選択については、同期領域SY0の直前の変調結果、すなわちフレーム領域F25のデータ領域DATAにおける最後のデータバイトを変調したときの次のState(ネクストState)が1もしくは2の場合には、図12の上部に示されているState1およびStete2用のパターンを選択し、そうでない場合は上部に示されているState3およびState4用のパターンを選択する。これにより、フレーム領域F25の最終バイトとSY0パターンとの接続点において、ゼロランが所定の範囲(すなわち2から10までの範囲)に収まるようにすることができる。SYパターンについても、上記と同様の選択方法にて選択される。
図12の左側に示される半分である第1の選択符号系列と、右側に示される第2の選択符号系列との選択方法について説明する。第1の選択符号系列は、CDS(=Codeword Digital Sum)が正の値をとり、第2の選択符号系列はCDSが負の値をとる。ここで、CDSは符号系列のMSBを1としてNRZI変換したとき、ビット“1”を+1、ビット“0”を−1として、符号系列(パターン)全体で積算した値である。すなわち、直前のDSV(=Digital Sum Value)値に符号系列のCDSを加算(もしくは減算)した値が符号系列選択後のDSV値となる。図12に示される第1の選択符号系列と第2の選択符号系列とにおけるCDSの符号が互いに逆であるので、どちらかを一方選択することにより常にDSVの値を0に近づけることが可能になる。その結果、効果的なDSV値の制御を行うことが可能となる。
図12に示されるパターンの最も特筆すべき特徴について、以下に述べる。それは、SY0パターンとして使用可能な4種類のパターンと、SYパターンとして使用可能な4種類のパターンとの間の符号間距離は、どれも(NRZI表記で)2以上になっていることである。
例えば、SY0パターンとして使用可能なパターンのうち下線を引いたパターン「10010001000001000000000000010001」と、SYパターンとして使用可能な4種類のパターンとの符号間距離について検証する。まず、SYパターンとして使用可能なパターン「00010000000001000000000000010001」とのNRZI表記での符号間距離は7である。この符号間距離は、前者をビット“1”からNRZI変換したパターン「11100001111110・・・・」と、後者をビット“0”からNRZI変換したパターン「00011111111110・・・」とを比較することにより求められる。
また同様にして、パターン「00100000001001000000000000010001」との符号間距離は4、パターン「10001000010001000000000000010001」との符号間距離は3、パターン「10001000000001000000000000010001」との符号間距離は6となっており、いずれも2以上の符号間距離を満足していることが分かる。このように、SY0パターンとSYパターンとの符号距離を全て2以上離すことにより、ビットシフト等のエラーが起きても両者を誤識別する確率を低くすることができる。また、セクタ3103の先頭のみをフレーム領域F0として他のフレーム領域F1からF25と区別したことにより、セクタの頭出しを容易に行うことが可能となる。フレーム領域F1からF25のそれぞれの先頭の同期領域SYに記録されるパターンは、(Tmax+3)ビットのパターンと(Tmin+1)のパターンを含み、SY0パターンとの符号間距離が2以上を満たす複数種類のパターンであってもよい。
図13は、同期符号系列(パターン)の種類毎の符号間距離を模式的に示す。図13は、同期符号系列SY0(SY0パターン)と同期符号系列SY(SYパターン)との関係を示している。これらのパターンの間の符号間距離が1しかない場合には、SY0パターンを読み出す際に1ビットエラーが発生すると、SYパターンと同一のパターンとなってしまう。従って、1ビットエラーが発生した場合には、完全一致判定(完全にパターンが一致した場合に両者が一致したとみなす判定方法)によっても、パターンの種類の判定が不可能となる。
次に、符号間距離が2である場合、どちらか一方に1ビットエラーが発生して
も、もう一方と同一のパターンになることはない。また、両方に1ビットエラーが発生したとしても、完全一致判定で判定している限りは、パターンの種類の判定が不可能になることはない。従って、完全一致判定により同期符号系列の種類の判定が可能である。
符号間距離が3である場合、両方に1ビットエラーが発生しても、まだ両者の間に符号間距離が1ある。従って、1ビットエラーを許容する判定方法を用いた場合でも、同期符号系列の種類判定が可能となる。また、完全一致判定を用いた場合には、2ビットエラーまで許容することができる。
以上より、同期符号系列の種類毎の符号間距離を2とした場合に比べ、符号間距離3以上の方が、より信頼性が高いといえる。
図14は、フレーム領域F0の内部構造の一例を示す。図9に示される例では、同期領域SY0の直後から単純にデータ領域DATAを配置していたが、図14に示される例では、同期領域SY0の直後にデータ位置識別領域DataIDおよびそれに対する誤り検出符号領域Parityが設けられている。これにより、同期領域SY0に記録されたSY0パターンを検出した後、すぐさまデータ位置識別領域DataIDの内容を読み取ることが可能となる。データ位置識別領域DataIDの内容は、例えば、セクタ番号であり得る。この場合、データ位置識別領域DataIDを読み取ることにより、セクタの位置を一意に判別することができる。従って、SY0パターンを検出するだけでセクタ位置の識別ができるため、再生装置においてセクタを高速かつ容易に検索することが可能となる。
図15は、本発明の実施の形態2におけるSY0パターン、SYパターン、およびPAパターンの具体的な一例を示す。SY0パターンとSYパターンとは、ともに、図12を参照して上述した例と全く同一であるので、その詳細な説明は省略する。
PAパターンの決定方法は、図12を参照して上述したSY0パターンとSYパターンとの決定方法と同様である。PAパターンの長さは2バイト=32チャンネルビット長であり、8/16変調方式と整合をとるためにState制御(State1および2用のパターンと、State3および4用のパターンとの選択)が可能であり、DSV制御(CDSの符号が正/負逆となるパターンの選択)が可能である。DSV制御により、変調後のデータ系列のDC成分が抑圧される。
また、SY0パターン、SYパターン、およびPAパターンのすべては、共通のユニークパターンとして、(14T+4T)を含む。SY0パターン、SYパターン、PAパターンのビット数を等しくし、しかもすべてのパターンが共通のユニークパターンを含むことにより、これらのパターンを検出する再生装置において、共通のパターン検出系を用いることができるので有利である。これにより、再生装置の簡略化を図ることができる。
また、図15に示されるパターンの最も特筆すべき特徴は、PAパターンとして使用可能な4種類のパターンと、SY0パターンとして使用可能な4種類のパターンと、SYパターンとして使用可能な4種類のパターンとの間の符号間距離は、いずれも(NRZI表記で)2以上になっていることである。
例えば、PAパターンとして使用可能なパターンのうち、下線を引いたパターン「00000010010001000000000000010001」と、SY0パターンとして使用可能な4種類のパターンおよびSYパターンとして使用可能な4種類のパターンとの符号間距離を検証する。まず、図15において下線を引いたパターンと、SY0パターン「00100100001001000000000000010001」とのNRZI表記での符号間距離は4である。この符号間距離は、前者をビット“1”からNRZI変換したパターン「11111100011110・・・・」と、後者をビット“0”からNRZI変換したパターン「00111000001110・・・」とを比較することにより求められる。
同様にして、パターン「00010000100001000000000000010001」との符号間距離は4である。パターン「10010001000001000000000000010001」との符号間距離は5である。パターン「10000000010001000000000000010001」との符号間距離は6である。このように、いずれの符号間距離も、2以上である。また、図15において下線を引いたパターンと、SYパターンとの関係についても、パターン「00010000000001000000000000010001」との符号間距離は6、パターン「00100000001001000000000000010001」との符号間距離は5、パターン「10001000010001000000000000010001」との符号間距離は3、パターン「10001000000001000000000000010001」との符号間距離は7であり、いずれも2以上の符号間距離を満足していることが分かる。
以上に、変調後のデータ系列が、Tmin=3、Tmax=11にラン長制限されている場合に好適なSY0パターン、SYパターン、PAパターンの具体例を詳述した。以下、図16を参照しながら、Tmin=2、Tmax=8の場合の具体的パターンについて説明する。以下に説明するパターンは、例えば、データ領域DATAの変調方式に(d=1,k=7;m=2,n=3)のパラメータを持つラン長制限符号、いわゆる(1−7)変調方式として知られている変調方式を用いた場合に、特に好適なパターンである。
図16は、本発明の実施の形態2におけるSY0パターン、SYパターン、およびPAパターンの他の例を示す。図16に示す各パターンは、いずれも下線で示すとおり、NRZ表記で「100000000001001」となるパターンを含んでいることが特徴である。上記共通のパターン部分は(1−7)変調方式における(Tmax+3)・(Tmin+1)のパターンに相当する。上記ユニークパターン部分を設けることの利点は、実施の形態1で詳細に述べたとおりである。
また、図16の例において、SY0パターンとSYパターンとPAパターンには、直前の符号語のLSBが“0"(NRZI表記でLSBにて反転しない)の場合用に2種類、直前の符号語のLSBが“1"(NRZI表記でLSBにて反転する)の場合用に2種類の合計4種類のパターンか割り当てられている。この直前の符号語のLSBによる分類は、(1−7)変調方式のTminが2であることに対応している。つまり、直前のデータ変調時にLSB側ゼロランが0であるか1以上であるかによって、上記の様に選択を行うことで、接続部分においてラン制限を満足することができる。
さらに、図16の左側に示される第1の選択符号系列は、CDSが正の値、右側に示される第2の選択符号系列はCDSが負の値となるようにしている。これにより、図15を参照して上述した例と同様に、効果的にDSV値の制御が可能になる。
また、図16のパターンの最も特筆すべき特徴として、SY0パターンとして使用可能な4種類のパターンと、SYパターンとして使用可能な4種類のパターンと、PAパターンとして使用可能な4種類のパターンとの間の符号間距離はいずれも(NRZI表記で)2以上になっていることである。
例えば、SY0パターンのうち左上のパターン「010000000100000000001001」と、SYパターンの4種類のパターンおよびPAパターンの4種類のパターンとの符号間距離について検証してみる。まず、SYパターン「010001010100000000001001」とのNRZI表記での符号間距離は2である。これは、前者をビット“1”からNRZI変換したパターン「1000000001・・・・」と、後者をビット“1”からNRZI変換したパターン「1000011001・・・」とを比較することにより求められる。
同様にして、パターン「010010000100000000001001」との符号間距離は4、パターン「101010000100000000001001」との符号間距離は3、パターン「100010000100000000001001」との符号間距離は3であり、いずれの符号間距離も2以上となっている。またPAパターンとの関係についても、パターン「010101000100000000001001」との符号間距離は2、パターン「010101010100000000001001」との符号間距離は5、パターン「100010100100000000001001」との符号間距離は3、パターン「101010100100000000001001」との符号間距離は3となっており、いずれの符号間距離も2以上となっていることが分かる。
このように、SY0パターンとSYパターンとPAパターンとの互いの符号距離を全て2以上離すことにより、ビットシフト等のエラーが起きてもこれらのパターンを誤識別する確率を低くすることができる。従って、セクタ3103の先頭のみをフレーム領域F0として他のフレーム領域F1からF25と確実に区別することができ、セクタの頭出しを容易に行うことが可能である。
また、リンキング位置に相当する第1のフレーム領域201をその他のフレーム領域と確実に区別することができ、リンキング位置の検出を容易に行うことが可能になる。リンキング位置の検出を行うことにより、リンキングに伴うデータの不連続等に対して、適切な処理を容易に行うことができる。記録装置によるデータの追記時の処理および再生装置によるリンキングフレーム領域における処理は、実施の形態6および7において後述する。
図17は、セクタ3103(図9)に含まれる26個のフレーム領域の先頭に配置される同期符号系列の他の例を示す。図17に示される例では、セクタ3103の先頭のフレーム領域には、SY0パターンを配置し、以下のフレーム領域には、前から順番に{SY1・SY1・SY2・SY1・SY1・SY2・SY1…SY1・SY2・SY1}を配置している。この例では、1セクタに含まれる、先頭以外のフレーム領域には、連続する3フレーム領域に1つの割合でSY2パターンが配置される。
図18は、1セクタに含まれる第2のフレーム領域に記録される同期符号系列を光ディスク媒体に記録される順序に並べた例を示す。図18(a)は、図10を参照して上述した同期符号系列の配置に対応している。この例では、1セクタの先頭のフレーム領域のみに異なる種類の同期符号系列(SY0パターン)が配置され、その他のフレーム領域には全て同じ種類の同期符号系列(SYパターン)が配置される。このため、光ディスク媒体の記録面の欠陥等によりセクタの途中でフレームスリップが起きた場合には、次にSY0パターンが検出されるまでフレーム位置の判定が難しくなる。
これに対し、図18(b)に示したように、SY0/SY1/SY2の3種類のパターンが用いられる場合には、セクタ途中のフレーム領域においても、{SY1・SY2・SY1}等の、最短3連続フレーム領域の並びを確認することにより、前後に1フレームスリップが起きたかどうか判定できる。また、SY0パターンは{SY1・SY2・SY1}の並びの直後に検出されることが予測されるので、SY0パターンを単独で検出する場合に比べて、セクタ先頭検出の信頼性を高めることができる。
なお、SY0/SY1/SY2の3種類のパターンの効果的な並べかたは、以上説明した配置に限定されるものではない。図18(c)に示すように、SY0パターンの直後を{SY1・SY2・SY1・SY1・SY2…}としても同様の効果が得られ、{SY2・SY1・SY1・SY2・SY1…}としても同様である。また、4個以上の周期で並べてもよい。図18(d)に示すように、4個以上の周期で{SY1・SY1・SY1・SY2・SY1・SY1・SY1・SY2…}と3種類のパターンを配置してもよい。
上述のような第2のフレーム領域における同期符号系列の配置法を一般化して表現すると、以下の様になる。1セクタを構成する第2のフレーム領域の総数をN個(Nは3個以上の整数)としたとき、定数J、L(Jは2以上の整数、LはJ以下の自然数)を定め、M=J×K+L(Kは0以上の整数)の関係を満たすM(MはN以下の自然数)について、セクタ中のM番目のフレーム領域の先頭にはSY2パターンを配置し、第M番目以外のフレーム領域の先頭には、SY1パターンを配置する。このようにパターンを配置する場合、最短J個連続フレーム領域の並びを確認することにより、前後に(J−1)個までのフレームスリップを検出することが可能である。
図18(b)および(c)に示される例は、上記一般化表現のN=26、J=3、K=0〜8の場合に対応する。
3種類のパターンを4個のフレーム領域の周期で配置した場合には、最短4連続フレーム領域の並びを確認することにより、前後に2フレームスリップまでは判別できる。フレーム領域の周期を5個および6個と増やしていくことによってフレームスリップの検出数を増やせる効果が得られる一方、増やせば増やすほど並びの確認に要する連続フレーム領域の数が多くなってしまうため、判定に時間がかかったり、ビットエラーが多い場合には並びの確認も困難となり、再生装置の信頼性を落としてしまう可能性もある。従って、フレーム領域の周期は、どれだけのフレームスリップを検出すべきか等、再生装置の要求に応じて最適に決定され得る。
図19は、1セクタに含まれるフレーム領域に記録される同期符号系列を光ディスク媒体に記録される順序に並べた他の例を示す。図19(a)は、図18(a)と同一の配置例を参考のために示している。図19(b)は、次セクタのSY0パターン検出をより確実にするために、セクタの最後のフレーム領域にのみ別の同期符号系列(SY2パターン)を配置する例を示す。この場合、例えば{SY1・SY2・SY0}の3連続のパターンの検出を行うことにより、SY0パターンを単独で検出する場合に比べセクタの先頭検出自体の信頼性を高めることができる。なお、図19(c)に示されるように、セクタの最後の1フレーム領域だけでなく、セクタの最後の複数のフレーム領域に、別の同期符号系列(SY2パターン)を配置してもよい。
図20は、1セクタに含まれるフレーム領域に記録される同期符号系列を光ディスク媒体に記録される順序に並べたさらに他の例を示す。図20に示される例では、セクタの中間フレーム領域に別の同期符号系列(SY2パターン)が記録される。例えば、各セクタの先頭より14番目のフレーム領域にSY2パターンを配置するようにすれば、SY1パターンとは種類の異なるパターンが、1/2セクタ毎(13フレーム領域毎)に記録されることになるため、セクタの先頭の検出を高速かつ高信頼化できる効果がある。SY0パターンとSYパターンとの2種類が使用される場合には、セクタの先頭検出を高い信頼性で行うためにSY0パターンを26フレーム領域毎に連続何セクタか検出する必要があるが、SY0/SY1/SY2の3種類のパターンを図20に示されるように配置すれば、{SY0・SY2}が交互に13フレーム領域毎に検出できればよい。
このように、セクタを構成する複数のフレーム領域に3種類の同期符号系列を適切に配置することにより、2種類の同期符号系列の場合に比較してセクタ先頭検出の性能を向上できる。
なお、同期符号系列を3種類とした場合、互いの符号間距離を全て2以上(もしくは3以上)とすれば、最も高い信頼性が得られるが、少なくともSY0パターンのみが、他の2種類のパターンから符号間距離が2以上(もしくは3以上)確保されていれば、セクタ先頭検出の信頼性を高める効果が得られる。
次に、同期符号系列を4種類とした場合の配置例を説明する。
図21は、セクタ3103(図9)に含まれる26個のフレーム領域の先頭に配置される同期符号系列のさらに他の例を示す。図21に示される例では、セクタ3103に含まれる26個のフレーム領域に配置される同期符号系列の種類は4種類である。前述の例と同じく1セクタのフレーム領域の数は26とし、先頭の第1のフレーム領域には、SY0パターンが配置されている。
同期符号系列は、SY0パターンとSY1パターンとSY2パターンとSY3パターンとの4種類である。セクタ中の2番目以降のフレーム領域には、前から順番に{SY1・SY2・SY3・SY1・SY2・SY3…SY1・SY2・SY3・SY1}を配置している。この例では、1セクタに含まれる、先頭以外のフレーム領域には、連続する3フレーム領域に1つの割合でSY2パターンとSY3パターンとが配置される。
図22は、SY0/SY1/SY2/SY3の4種類のパターンが使用される場合に、1セクタに含まれるフレーム領域に記録される同期符号系列を光ディスク媒体に記録される順序に並べた例を示す。図22(a)に示される例は、図21に示した同期符号系列の配置例に対応している。図22(a)に示すように、セクタ途中のフレーム領域においても、{SY1・SY2・SY3}等、最短3連続フレーム領域の並びを確認することにより、前後に1フレームスリップが起きたかどうか判定できる。また、SY0パターンは{SY1・SY2・SY1}の並びの直後に検出されることが予測されるので、SY0を単独で検出する場合に比べて、セクタ先頭検出の信頼性を高めることができる。
また、別の配置法として、図22(b)に示すとおり、次セクタのSY0パターンの検出を強化するために、セクタ中の最後のフレーム領域にのみ別の同期符号系列(SY3パターン)を配置してもよい。この場合、例えば{SY2・SY3・SY0}の3連続検出を行うことにより、SY0パターンを単独で検出する場合に比べセクタの先頭検出自体の信頼性を高めることができる。さらに、残りのフレーム領域については、図18(b)〜(d)に示した例と同様に{SY1・SY1・SY2}のパターンを繰り返して配置すれば、セクタ途中でのフレームスリップの検出も行うことができる。
また、別の配置法として、図22(c)に示すとおり、セクタの中間フレーム領域に別の同期符号系列(SY3パターン)を配置し、残りのフレーム領域には{SY1・SY1・SY2}を繰り返して配置してもよい。これにより、1/2セクタ毎の連続性確認によるセクタの先頭検出の性能向上と、フレームスリップの検出性能の向上を両立できる。
以上のごとく、セクタを構成する複数のフレーム領域に4種類の同期符号系列を適切に配置することにより、3種類の同期符号系列を用いた場合に実現される効果に加えて、さらにフレーム同期/セクタ同期性能を向上できる。
なお、4種類の同期符号系列が用いられる場合でも、互いの符号間距離を全て2以上(もしくは3以上)とすれば、最も高い信頼性が得られる。しかし、少なくともSY0パターンのみが、他の3種類のパターンから符号間距離2以上(もしくは3以上)確保されていれば、セクタの先頭検出の信頼性を高めるという効果が得られる。
このように、本発明の実施の形態2の光ディスク媒体3101は、第1のデータ単位(セクタ)を、先頭のフレーム領域(F0)と、続く少なくとも1つのフレーム領域(F1からF25)から構成し、先頭のフレーム領域(F0)には、SY0パターンが記録される領域とデータを記録するデータ領域(DATA)とが配置され、続く少なくもと1つのフレーム領域(F1からF25)にはSYパターンを記録する領域とデータを記録するデータ領域(DATA)が配置される。SY0パターンとSYパターンとは、全て同じビット長さでかつ互いの符号間距離を2以上に設定される。
すなわち、26個(所定の数)のフレーム領域(F0〜F25)のうち、セクタの先頭に位置するフレーム領域F0のSYパターン(第2の同期符号系列)は、フレーム領域F0以外のフレーム領域(F1〜F25)の第2の同期符号系列の何れとも、2以上の符号間距離だけ異なっている。
これにより、再生時にSY0パターンを容易に検出することが可能となり、各第1のデータ単位(セクタ)の頭出しを高速かつ容易に行うことが可能となる。
SY0パターンとSYパターンとの間の符号間距離を3以上とすれば、符号間距離を2とした場合に比べ、SY0パターンとSYパターンとの間で誤検出する可能性をさらに減らすことができ、1ビット誤りを許容しても両者を識別することが可能となる。従って、フレーム同期・セクタ同期の安定性、第1のデータ単位(セクタ)の頭出し性能をさらに向上することができ、再生装置の信頼性を高めることができる。
先頭のフレーム領域に続く少なくとも1つのフレーム領域に配置する同期符号系列を2種類以上(SY1とSY2、あるいはSY1とSY2とSY3)に拡張することで、フレーム領域F1〜F25のうち、連続するフレーム領域の中で同期符号系列の並びの情報を得ることが可能になる。並びの情報を利用して次の第1のデータ単位(セクタ)におけるSY0パターンの出現を予測したり、PLL外れ等によりフレームスリップの検出および補正を行うことが可能となる。
その際、第1のデータ単位(セクタ)の先頭のSY0パターンと、他の同期符号系列(SY1とSY2、あるいはSY1とSY2とSY3)の間の符号間距離を2以上(または3以上)とするのみならず、すべての同期符号系列の種類毎の符号間距離を2以上(または3以上)とすることにより、セクタ先頭検出の性能、PLL外れ等の異状時におけるフレーム同期性能をさらに向上することが可能となる。
また、第1のデータ単位(セクタ)の所定数(8セクタ分)が第2のデータ単位(データブロック)を構成し、第2のデータ単位(データブロック)毎に第1のフレーム領域201を配置し、第1のフレーム領域201の先頭にはPAパターンを配置する。SY0パターンとSYパターンとPAパターンとは全て同じビット長さでかつ互いの符号間距離を2以上に設定される。これにより、再生時にPAパターンを容易に検出することが可能となり、各第2のデータ単位(データブロック)の頭出しを高速かつ容易にすることが可能となる。また、一連の情報記録再生(リンキング)の開始点および終了点は、第1のフレーム領域201内に設定されるので、情報の記録を行う際にリンキングの信頼性を向上させ、リンキング位置をまたいで情報再生を行う際にもデータ再生を安定かつ高速に行うことが可能となる。
なお、本実施の形態において、第1のフレーム領域(第1領域及び第3領域)には第1の同期領域PAと第2の同期領域VFOが含まれる例について説明したが、他の同期符号系列やデータ系列が含まれていても良い。また、好ましい例として、第1のフレーム領域に記録される同期パターンPAと、各セクタの先頭に位置する第2フレーム領域に記録される同期パターンSY0と、各セクタの先頭以外に位置する第2のフレーム領域に記録される同期パターンSYは、同じ長さに設定され、互いの符号間距離を2以上にする例を示したが、これに限定されるものではない。
(実施の形態3)
図23は、本発明の実施の形態3の記録可能な光ディスク媒体401の上面図を示す。図23に示すように、光ディスク媒体401の記録面には情報トラック402がスパイラル状(螺旋状)に形成されており、情報トラック402はさらにデータブロック403に分割されている。すなわち、光ディスク媒体401の記録面において、データブロック403が円周方向に連続して配置され、情報トラック402(記録領域)を形成している。
図24は、本発明の実施の形態3の光ディスク媒体401(図23)のデータブロック403のデータフォーマットを示す。図24に示すように、各データブロック403の先頭には、第1のフレーム領域501が設けられ、続いて第2のフレーム領域502が複数個配置され、1つのデータブロック403を構成している。図24において、右側に示される領域は、左側に示される領域よりも後方の領域である。
第1のフレーム領域501には、その先頭に第1の同期領域PAが配置され、続いて第2の同期領域VFOが配置され、最後尾に第4の同期領域PSが配置されている。第2のフレーム領域202には、その先頭に第3の同期領域SYが配置され、続いてデータ領域DATAが配置されている。
本発明の実施の形態3における第1の同期領域PA、第2の同期領域VFO、第3の同期領域SY、およびデータ領域DATAは、実施の形態1と同様の役割を有する領域であり、その詳細な説明は重複するので省略する。実施の形態3が実施の形態1と異なる点は、第1のフレーム領域501の最後尾に第4の同期領域PSが付加されていることである。
第4の同期領域PSは、各データブロック403の読み出し時(特にデータ追記の先頭に相当するデータブロック403aの読み出し時)に、再生装置が第2のフレーム領域502の先頭を確実に検出するのを助長する役割を果たす。データ追記の先頭に相当するデータブロック403aでは、その第1のフレーム領域501aのうち、第1の同期領域PAaと第2の同期領域VFOaの途中まで(第1の同期領域PAaの先頭からEバイト目)の部分は、データブロック403aの直前のデータブロック403と同時に記録される。すなわち、第1のフレーム領域501aに、PAパターンと、記録終了位置VFO部分2101とが記録される。データブロック403aのデータ追記時には、第1のフレーム領域501aのうち、第2の同期領域VFOaの途中(第1の同期領域PAaの先頭からSバイト目)(S≦E)から記録される(リンキング)。すなわち、第1のフレーム領域501a(第3領域)に、記録開始位置VFO部分2102と、PSパターンとが記録される。第3領域は、記録開始位置VFO部分2102が記録される領域と、第5の同期符号系列(PSパターン)が記録される第4の同期領域PSとを含む。
図24には、第1のフレーム領域501aに続く第2のフレーム領域を参照番号502aにより示す。第2のフレーム領域502aおよびそれ以外の第2のフレーム領域502は、ともに、図2を参照して上述した第2のフレーム領域202と同様の構造を有する。ただし、以下の説明では、第2のフレーム領域502aに含まれる第3の同期領域SYを、特に参照符号SYaにより区別する。
従来の技術においても説明したように、再生装置には、光ディスク媒体を回転させるディスクモータの回転ジッタや、記録チャンネルクロックの周波数等による種々の誤差要因がある。これらの誤差要因により、第2の同期領域VFOaの途中、データの追記開始点において不連続が生じる。そのため第1のフレーム領域501aの長さは、一連のデータ記録途中におけるその他のデータブロック403の第1のフレーム領域501の長さと比較して、誤差(不連続)の発生した分変動してしまう。不連続の発生により第1のフレーム領域501aの長さが変化すると、ドライブ装置のデータ読み出し時に第2の同期領域VFOを利用して確実にデータ2値化・PLL引き込みを行ったとしても、第2のフレーム領域502aの先頭にある第3の同期領域SYaが正しく検出できなければ、以降のデータ領域DATAaを正しく復調することが出来なくなる。その結果、読み出しエラーが生じ得る。
本発明の実施の形態3では、上記の課題の対策として、第4の同期領域PSを付加することにより、第2のフレーム領域501aの先頭の検出を確実にすることが提案される。第3の同期領域SYaが正しく検出出来ない場合でも、第4の同期領域PSが検出できれば、第2のフレーム領域502aにおけるデータ領域DATAaを正しく復調することが可能となり、エラー耐性を強化できる。
本発明の実施の形態3では、変調方式として(d=2,k=10;m=8,n=16;r=1)のパラメータを持つラン長制限符号を用い、マーク長記録を行うものとする。すなわち、データ領域DATAに記録されるデータ系列は最短Tmin=3ビット長,最長Tmax=11ビット長の記録マークおよび記録スペースからなる。
図25は、本発明の実施の形態3において特に好適な第4の同期領域PSに記録されるパターン(PSパターン)の一例を示す。図25に示されるパターンは、NRZ表記で{0000 0100 0100 1000 0010 0001 0010 0000 1000 0010 0001 0000}となる、合計48チャンネルビットのパターンである。このパターンの特徴は、自己相関性が強く、DSV=0であり、4ビット毎に区切った部分パターンが“0000”、“1000”、“0100”、0010”、“0001”の5種類のいずれかになっていることである。データ領域DATAの変調方式に(d=2,k=10;m=8,n=16;r=1)のパラメータを持つラン長制限符号を用いた場合、図25に示されるパターンはちょうど3バイト長になる。図25に示されるパターンは、直前の第2の同期領域VFOが4T記録マーク・4Tスペースの繰り返しパターンとなっている場合に特に好適なパターンである。このパターンのさらに詳細な特徴については、先行文献(特許公報第3098258号)を参照されたい。
図26は、本発明の実施の形態3において特に好適なPSパターンの他の例を示す。図26のパターンは、NRZ表記で{00000 00000 10000 00000 01000 00000 00100 00000 00010}となる合計45チャンネルビットのパターンである。このパターンの特徴は11T記録マーク・スペースを交互に2回繰り返したパターンを含み、DSVの絶対値が1と非常に小さいことである。上記はデータ領域DATAの変調方式に(d=2,k=10;m=8,n=15;r=1)のパラメータを持つラン長制限符号を用いた場合、該パターンはちょうど3バイト長さとなる。図26のパターンは、変調後の系列に11Tの繰り返しが4回以上連続しない場合に、データ領域DATAやその他の領域に存在しうる全てのパターンに対して十分符号距離が保てるため誤検出に強く、特に好適なパターンである。
図27は、本発明の実施の形態3において特に好適なPSパターンのさらに他の例を示す。図27のパターンは、NRZ表記で{000 000 000 010 000 001 000 000 100 000 000 001}となる合計36チャンネルビットのパターンである。このパターンの特徴は、11T・7T・7T・11Tのパターンを含み、DSV=0であることである。上記はデータ領域DATAの変調方式に(d=1,k=7;m=2,n=3;r=1)のパラメータを持つラン長制限符号を用いた場合、図27に示されるパターンはちょうど3バイト長になる。最大反転間隔をTmaxとしたときに、図27のパターンは、(Tmax+3)=11Tのパターンを2回含むため、データ領域DATAやその他の領域に存在しうる全てのパターンに対して十分符号距離が保てるため誤検出に強く、特に好適なパターンである。
以上説明したようなデータフォーマットを有する光ディスク媒体401にデータの記録を行う方法は、実施の形態1で説明した方法と同様であり、その詳細説明は省略する。
図28は、本発明の実施の形態3において特に好適なPSパターンの他の例を示す。図28のパターンは、NRZ表記で「000000000001000000000001000000000001000000000001」となる合計48チャンネルビットのパターンである。このパターンの特徴は、12T記録マーク・12Tスペースを交互に2回繰り返したパターンを含み、CDSが0となることである。データ領域DATAの変調符号を8/16変調方式とした場合、12Tは(Tmax+1)ビットであるためデータ領域DATAの如何なるデータ系列にも出てこないパターンである。さらに、12Tを4回繰り返すことにより8/16変調データ系列との符号間距離を非常に長くできるため、図28のパターンは、誤検出に対して非常に強いパターンといえる。
また、直前の第2の同期領域VFOa(図24)のパターンを「0001000100010001・・・」、すなわち4T記録マーク・4Tスペースの繰り返しパターンとした場合、第2の同期領域VFOaの開始から第4の同期領域PSの終了時点までDSV値を0に保つこととなるため、再生装置においてデータ2値化のスライスレベルを安定にすることができる。従って、後続の第2のフレーム領域502aに含まれる同期領域SYaに記録されたパターンを再生する際にも有利である。
8/16変調方式との組み合わせで上記パターンを適用した場合、第5の同期符号系列PSの長さはちょうど3バイトとなり、第1のフレーム領域501a(図24)を93バイト長、第3の同期符号系列PAを2バイト長とした場合、第2の同期領域VFOa(図24)の長さは88バイトとなる。
図29は、本発明の実施の形態3において特に好適なPSパターンのさらに他の例を示す。図29のパターンは、NRZ表記で「000000001000000000000100000000000010000000010」となる合計45チャンネルビットのパターンである。このパターンの特徴は、9T・13T・13T・9Tのパターンを含み、DSVの絶対値が1と非常に小さいことである。図29のパターンは、データ領域DATAの変調方式に(d=2,k=10;m=8,n=15;r=1)のパラメータを持つラン長制限符号を用いた場合、ちょうど3バイト長さとなる。
また、(Tmax+2)ビットのパターンと(Tmax−2)ビットのパターンを各々2回含むため、図28のパターンと同様に、変調後のデータ系列との符号間距離を非常に長くできる。さらに、長い記録マーク・スペースの組み合わせでありながら、平均的な反転間隔、すなわちデータPLLの位相比較に必要なエッジの出現頻度は、Tmax毎である。従って、データ領域DATAにおけるエッジの出現頻度の最大値と同等であるため、再生装置のデータPLLにおいて長期間エッジが検出されないことによる悪影響がない。
また、長マークパターンの順序を(Tmax−2)・(Tmax+2)・(Tmax+2)・(Tmax−2)としたことにより、高い信頼性で部分パターン検出が可能となる。つまり、第5の同期符号系列PSを全パターン一致による検出方法だけでなく、該パターンの前半部分(Tmax−2)・(Tmax+2)のみを検出してもよいし、後半部分(Tmax+2)・(Tmax−2)のみを検出してもよい。これは上記前半もしくは後半のどちらか一方だけでも、データ領域DATAやその他の領域に存在し得る全てのパターンに対して十分符号間距離が保てることによる。従って、図29のパターンは、誤検出に強く特に好適なパターンである。
図30は、本発明の実施の形態3におけるPSパターンのさらに他の例を示す。図30のパターンは、例えば、データ領域DATAの変調方式に(d=1,k=7;m=2,n=3)のパラメータを持つラン長制限符号、いわゆる(1−7)変調方式として知られている変調方式を用いた場合に、特に好適なパターンである。
図30のパターンは、NRZ表記で「001000001000000000100000000010000010」となる合計36チャンネルビットのパターンである。このパターンの特徴は6T・10T・10T・6Tのパターンを含み、CDSの値が0となることである。公知の(1−7)変調方式によれば、8ビットバイナリデータが12チャンネルビットの符号語に変換されるため、図30のパターンの長さはちょうど3バイトとなる。
また、長マークパターンの順序を(Tmax−2)・(Tmax+2)・(Tmax+2)・(Tmax−2)としたことにより、高い信頼性で部分パターン検出が可能となる。つまり、PSパターンを全パターン一致による検出方法だけでなく、該パターンの前半部分(Tmax−2)・(Tmax+2)のみを検出する方法によって検出してもよいし、後半部分(Tmax+2)・(Tmax−2)のみを検出する方法によって検出してもよい。これは上記前半もしくは後半のどちらか一方だけでも、データ領域DATAやその他の領域に存在し得る全てのパターンに対して十分符号間距離が保てるためである。従って、図30のパターンは、誤検出に強く特に好適なパターンである。
図31は、本発明の実施の形態3におけるPSパターンのさらに他の例を示す。図31のパターンは、NRZ表記で「0100100000001000000000001000000000001000000010010」となる合計48チャンネルビットのパターンである。図31のパターンの特徴は、8T・12T・12T・8Tのパターンを含むことであり、データ領域の変調方式に(d=1,k=9,n/m=1.5)のパラメータを持つラン長制限符号を用いたときに好適なパターンである。つまり前記したパターン例と同様に(Tmax−2)・(Tmax+2)・(Tmax+2)・(Tmax−2)を含むパターンであるため、誤検出に強い。また、図31のパターンは、8Tの前後の3Tを含めてNRZI記録した結果のマーク部の長さの合計とスペース部の長さの合計が等しく(つまりCDSは0で)、前後に対象のパターンである。このため、光ディスクへの記録時のパワー変動が起きた場合の再生信号劣化のケースとして良く知られているアシンメトリ(マーク部の振幅とスペース部の振幅が非対称)が発生した場合でも、図31のパターンを安定に検出することが可能である。
また、図31のパターンは3Tから開始しているため、本発明の実施の形態3のようにPSの直前のVFO領域のパターンが、(Tmin+1)つまり3Tの繰り返しパターンである場合に、接続箇所において前後のつながりがよい(ラン長制限を満たしやすい)。
以上説明したように、リンキングフレーム領域に相当する第1のフレーム領域501を、第1の同期領域PAと第2の同期領域VFOと第4の同期領域PSにより構成することにより、ドライブ装置の種々の変動要因によりデータ記録の追記箇所でフレーム領域の長さが変化することがあっても、継続する第2のフレーム領域502に記録されたデータを安定に読み出すことが可能となる。従って、最小限のオーバーヘッドで優れたエラー耐性を有する優れた光ディスク媒体が実現でき、再生装置の信頼性を高く保つことができる。
なお、図24に示される例では、データブロック403aにはセクタは示されていないが、データブロック403aは、図9を参照して上述したようなセクタを有していてもよい。もちろん、図9を参照して上述したように、各セクタの先頭の第2のフレーム領域と、それ以外の第2のフレーム領域とに、異なる同期符号系列(SY0とSY)とが記録されてもよい。この場合には、セクタやデータブロックの頭出しをさらに容易にすることができ、情報の記録再生の信頼性を飛躍的に向上させることができる。
このように、本発明の実施の形態3では、光ディスク媒体401の情報トラック402は、記録再生の単位であるデータブロック403(403a)に分割され、各データブロック403(403a)は、先頭の第1のフレーム領域501(501a)と、続く少なくとも1つの第2のフレーム領域502から構成される。各第1のフレーム領域501(501a)は第1の同期領域PAと第2の同期領域VFOと第4の同期領域PSから構成され、第2のフレーム領域は第3の同期領域SYと、データが記録されるデータ領域DATAから構成される。データの記録開始/記録終了(リンキング)は、第1のフレーム領域501a(リンキングフレーム領域)の中の第2の同期領域VFOの範囲内で行われるので、リンキング箇所で記録位置の不連続が生じても第2の同期領域VFOで吸収できる。本発明の実施の形態3では、第1のフレーム領域501(501a)の第2の同期領域(VFO)の後にさらに第4の同期領域(PS)が配置される。第4の同期領域には、VFOパターンの末尾を識別するPSパターン(第5の同期符号系列)が記録される。VFOパターンの末尾を識別することは、実施の形態1で説明した第1の同期符号系列(図2に示される記録開始位置VFO部分2102)の末尾を識別することと等価である。リンキング前後の同期情報(第1の同期領域PAと第4の同期領域PS)が強化されているので、常に安定なデータ再生を実現することが可能となる。このPSパターンは、少なくとも1つの第2のフレーム(全体として、第1領域データ)を記録した少なくとも1つ第2のフレーム領域全体(第1領域)の先頭を特定する(すなわち、記録された第1領域データの先頭を特定する)ために用いられる。第1領域は、第4の同期領域PSの後方に続く。
なお、本実施の形態において、第1のフレーム領域(第1領域及び第3領域)には第1の同期領域PAと第2の同期領域VFOと第4の同期領域PSが含まれる例について説明したが、他の同期符号系列やデータ系列が含まれていても良い。
(実施の形態4)
図32は、本実施の形態における光ディスク媒体701の上面図を示す。光ディスク媒体701の記録面には、情報トラック702がスパイラル状(螺旋状)に形成されており、情報トラック702はさらにデータブロック703に分割されている。すなわち、光ディスク媒体701の記録面において、データブロック703が円周方向に連続して配置され、情報トラック702(記録領域)を形成している。
図33は、本実施の形態における光ディスク媒体701のデータブロック703のデータフォーマットを示す。図33に示すように、各データブロック703の先頭には第1のフレーム領域801が設けられ、続いて第2のフレーム領域802が複数個配置され、1つのデータブロック703を構成している。図33において、右側に示される領域は、左側に示される領域よりも後方の領域である。
第1のフレーム領域801には、その先頭に第1の同期領域PAが配置され、続いて特定用途データ領域DASPが配置されている。第2のフレーム領域202には、その先頭に第3の同期領域SYが配置され、続いてデータ領域DATAが配置されている。
ここで本実施の形態における第1の同期領域PA、第3の同期領域SY、およびデータ領域DATAは、実施の形態1における各々と同様の役割を有する領域であり、その詳細な説明は重複するので省略する。本発明の実施の形態4が実施の形態1と異なる点は、第1のフレーム領域201における第2の同期領域VFOの代わりに、ECCブロックの先頭に位置する第1のフレーム領域801a(ECCブロックの先頭のデータブロック703aに含まれる第1のフレーム領域)に、特定用途データ領域DASPが設けられていることである。ECCブロックの先頭以外に位置する第1のフレーム領域801も、第1のフレーム領域801aと同様の構成を有し得る。
本発明の実施の形態4では、図33に示すようにエラー訂正符号を構成するECCブロック804は、連続する4つのデータブロック703から構成されている。また、エラー訂正符号は、連続する4つのデータブロック703に属するデータ領域DATAについてのみ符号化されており、特定用途データ領域DASPは、エラー訂正の対象に含まれていない。
特定用途データ領域DASPには、ユーザデータを含むデータ領域DATAとは異なる用途の特定データを含んだデータ系列が記録されている。特定用途データ領域DASPに記録されたデータは、データ領域DATAとは独立したデータとして扱えるため、その特定データを読み出すために、当該データブロック703のデータ領域DATAの読み出し、エラー訂正等を行う必要はない。
また、特定用途データ領域DASPは、各データブロックに対して少なくとも1つ、1ECCブロックに対しては複数設けられる。このため、特定用途データ領域DASPには、各データブロックもしくは各ECCブロックに対応した情報を表すデータ(特定データ)を記録することが可能である。
特定用途データ領域DASPに記録される特定データの中身としては、例えば、以下のものが考えられる。
(用途1)当該データブロックのデータ領域DATAに記録されたユーザデータのデータ属性
(用途2)当該データブロックのデータ記録方法や記録特性に関する情報
用途1は、各データブロック毎に記録されたユーザデータの属性を記録することであり、その属性は当該データブロックのデータ領域DATAに含まれるユーザデータとは独立に得られる。従って、この属性はユーザデータの読み出しを行うことなく得られる。従って、属性として例えばコンテンツの著作権保護情報を含めれば、各データブロックを最小単位とした著作権保護に対する制御を行うことができる。
用途2は、各データブロック毎に記録の方法や記録特性に関する情報を記録することであり、その情報は当該データブロックのデータ領域DATAに含まれるユーザデータとは独立に得られる。この情報はユーザデータの読み出しを行うことなく得られる。従って、当該データブロックの記録の方法や記録特性に関する情報を、当該データブロックや他のデータブロックの記録動作時に役立てることが可能である。
また、1ECCブロックを複数のデータブロックから構成し、データの書き換えは1ECCブロック単位で行い、1ECCブロックの先頭に相当する第1のフレーム領域801aをリンキングフレーム領域とする。これにより、1ECCブロックに複数の特定用途データ領域DASPを配置できる。従って、1ECCブロックに属するどの特定用途データ領域DASPに対しても、同一の特定データを記録することにより、データの書き換えによって第1のフレーム領域801aの特定用途データ領域DASPの読み出しが不能となって記録された特定データ
が失われた場合でも、残りの特定用途データ領域DASPを読み出すことにより、問題なく特定データの再生が行える。
図34(a)および図34(b)は、本発明の実施の形態4における第1のフレーム領域801aの構成の他の例を示す。
図34(a)に示される例では、第1のフレーム領域801aは、第1の同期領域PAと第2の同期領域VFOから構成されている。図34(b)に示される例では、第1のフレーム領域801aは、第1の同期領域PAと第2の同期領域VFOと第3の同期領域PSから構成されている。
上述した構成により、リンキングフレーム領域に相当する各ECCブロックの先頭のみに、第2の同期領域VFOが設けられる。これにより、光ディスク媒体701に記録されたデータの再生を安定にするために必要な同期パターンが強化される(再生時の同期が確実に行われるようなパターンが記録される)。ECCブロックの先頭以外に位置するデータブロックの先頭の第1のフレーム領域801には、特定用途データ領域DASPが配置される。従って、データ記録開始/記録終了点においても、データの読み出しを安定に行うことができるとともに、各ECCブロック毎に、対応した特定データをユーザデータとは独立に記録再生することが可能となる。
なお、図34(a)および(b)に示される例では、1ECCブロックの先頭を必ず、第2の同期領域VFOを含む、同期パターンが強化されたフレーム領域としたが、これに限定されるものではない。例えば、一連の記録動作の中で、複数のECCブロックを連続して記録する場合には、2番目以降のECCブロックの先頭は、同期パターンが強化されたフレーム領域にせず、特定用途データ領域DASPを有するフレーム領域としてもよい。
また、本実施の形態において、第1のフレーム領域(第1領域及び第3領域)には、第1の同期領域PAと第2の同期領域VFOと第4の同期領域PSが含まれる場合と、第1の同期領域PAと特定用途データ領域DASPが含まれる場合との2種類について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、特定用途データ領域DASPが含まれる第1のフレーム領域にも、第4の同期領域PSが含まれるようにしても良いし、他の同期符号系列やデータ系列が含まれていても良い。
(実施の形態5)
図35は、本発明の実施の形態5における光ディスク媒体1001の上面図を示す。光ディスク媒体1001の記録面には、情報トラック1002がスパイラル状(螺旋状)に形成されている。情報トラック1002は、さらに、データブロック1003a、1003bに分割されている。情報トラック1002は、そのディスク内周部分と外周部分が再生専用領域1004となっており、残りの中周部分が書き換え可能領域1005となっている。再生専用領域1004に属するデータブロック1003aは、データ記録面の凹凸等を利用して予めピットとして記録されており、書き換え可能領域1005に属するデータブロック1003bには、記録装置によりデータが記録される。
図36は、本発明の実施の形態5における光ディスク媒体1001の再生専用領域1004に属するデータブロック1003aのデータフォーマットを示す。図36に示すように、各データブロック1003aの先頭には第1のフレーム領域1101が設けられ、続いて第2のフレーム領域1102が複数個配置され、1つのデータブロック1003aを構成している。図36において、右側に示される領域は、左側に示される領域よりも後方の領域である。
第1のフレーム領域1101には、その先頭に第1の同期領域PAが配置され、続いて特定用途データ領域DASPが配置されている。第2のフレーム領域1102には、その先頭に第3の同期領域SYが配置され、続いてデータ領域DATAが配置されている。第1の同期領域PA、第3の同期領域SY、およびデータ領域DATAは、実施の形態1において上述したものと同様の役割を有する領域であり、その詳細な説明は重複するので省略する。特定用途データ領域DASPは、実施の形態4において上述したものと同様の役割を有する領域であり、その詳細な説明は重複するので省略する。
図37は、本発明の実施の形態5における光ディスク媒体1001の書き換え可能領域1005に属するデータブロック1003bのデータフォーマットを示す。図37に示すように、各データブロック1003bのフレーム構成は、再生専用領域に属するデータブロック1003aのフレーム構成と同様である。データブロック1003bの先頭には第1のフレーム領域1201が設けられ、続いて第2のフレーム領域1202が複数個配置され、1つのデータブロック1003bを構成している。図37において、右側に示される領域は、左側に示される領域よりも後方の領域である。
第1のフレーム領域1201には、その先頭に第1の同期領域PAが配置され、続いて第2の同期領域VFOが配置され、最後尾に第4の同期領域PSが配置されている。第2のフレーム領域1202には、その先頭に第3の同期領域SYが配置され、続いてデータ領域DATAが配置されている。
第1の同期領域PA、第2の同期領域VFO、データ領域DATAおよび第3の同期領域SYは、実施の形態1において上述したものと同様の役割を有する領域であり、その詳細な説明は重複するので省略する。第4の同期領域PSは、実施の形態2において上述したものと同様の役割を有する領域であり、その詳細な説明は重複するので省略する。第4の同期領域PSは、随意に設けられる。
図36および図37に示されるように、再生専用領域1004と書き換え可能領域1005とをともにデータブロック単位に分割し、ともに同様なフレーム構成とすることにより、記録されたデータの物理的な形状(記録面の凹凸か記録膜の相変化か)は異なるものの、再生時において、少なくとも再生信号RF以降の処理(データ2値化・PLL・復調等)は、ほぼ同様の処理により行うことが可能である。従って、再生装置において再生専用領域用の再生回路と書き換え可能領域用の再生回路を別々に設ける必要は全くなく、再生回路を簡略化できるので、再生装置のコストを低減することができる。
再生専用領域に属するデータブロック1003aと書き換え可能領域に属するデータブロック1003bとの違いは、各々の先頭に相当する第1のフレーム領域1101および1201の内部構成の違いである。
書き換え可能領域1005に属する第1のフレーム領域1201は、データ記録の開始/終了点であるリンキングフレーム領域に相当する。実施の形態1で詳細に述べてきたように、データ記録時に追記点(リンキングフレーム領域)においてデータの不連続が発生したとしても、以降のデータブロックを正しく再生する必要がある。その目的のために、第1のフレーム領域1201は、第1の同期領域PA、第2の同期領域VFO、第4の同期領域PSから構成され、同期情報が強化されている。また、ユーザデータの記録されない第2の同期領域VFOにおいて、データの記録開始・記録終了を行うことを可能にしている。
一方、再生専用領域1004における第1のフレーム領域1101は、ユーザデータを記録しないオーバーヘッド領域に相当するが、データの書き換え等が行われないので、データの不連続等が発生し得ない。従って、第1のフレーム領域1101に、実施の形態4で詳細に述べてきたように、各データブロックに対応した、ユーザデータとは独立に再生できる情報を表すデータ(特定データ)を記録することが可能である。この目的のために、第1の同期領域PAの後に、特定用途データ領域DASPを配置し、ユーザデータとは独立に再生可能な情報を予め記録できるようにしている。
なお、図35に示される例では、光ディスク媒体1001は再生専用領域1004と書き換え可能領域1005とを有していたが、光ディスク媒体1001は再生専用領域1004のみを有していてもよい。
このように、本発明の実施の形態5の光ディスク媒体1001では、その再生専用領域1004に属するデータブロックのフレーム構造と、書き換え可能領域1005に属するデータブロックのフレーム構造とが同一である。これは、ドライブ装置の再生回路規模の縮小に寄与する。
また、本発明の実施の形態5の光ディスク媒体1001では、その再生専用領域1004に属するデータブロックの第1のフレーム領域1101や、書き換え可能な領域に属するデータブロックのうち、リンキングフレーム領域でない第1のフレーム領域1201には、同期強化のための領域ではなく、特定用途データ領域(DASP)を配置してもよい。これにより、各データブロックに対応し、ユーザデータとは独立に扱える情報を特定データとして記録・再生することが可能となる。例えば、著作権保護情報やドライブ固有情報等を特定データとして記録・再生することができるので、光ディスク媒体および記録・再生装置の用途拡大に大きく寄与する。
なお、本実施の形態において、第1のフレーム領域(第1領域及び第3領域)には、第1の同期領域PAと第2の同期領域VFOと第4の同期領域PSが含まれる場合と、第1の同期領域PAと特定用途データ領域DASPが含まれる場合との2種類について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、特定用途データ領域DASPが含まれる第1のフレーム領域にも、第4の同期領域PSが含まれるようにしても良いし、他の同期符号系列やデータ系列が含まれていても良い。
(実施の形態6)
図38は、本発明の実施の形態6の情報記録装置(記録装置)1710の構成を示す。情報記録装置1710は、例えば、光ディスク媒体101(図1)、光ディスク媒体3101(図8)、光ディスク媒体401(図23)または光ディスク媒体1001(図35)に情報の記録を行う。以下の説明では、情報記録装置1710は、実施の形態2において詳述した光ディスク媒体3101に情報の記録を行うものとする。
記録再生ヘッド1701は、光ディスク媒体3101に対してデータの記録を行い、また予め記録されたデータや装置により記録したデータを読み取る役割を果たす。
記録再生ヘッド1701は、光学的に信号の記録を行うための(例えば半導体レーザ等の)光源、記録データWTDTに対応して光源を駆動するための駆動回路、光源からの出射光を情報記録媒体3101の記録面に集光したり、光ディスク媒体3101よりの反射光を検出し信号として読み取る光学系、読み取った信号を電気信号RFとして再生する光電変換器等から構成される。
信号2値化手段1702は、記録再生ヘッド1701により読み取られた信号RFを増幅し必要な信号処理を経て2値化する。
パターン検出同期手段1703は信号2値化手段1702により2値化された2値化データRDDTを用いて光ディスク媒体3101のデータフォーマットに準じた同期符号系列を検出し、記録再生ヘッド1701が読み取っているデータの位置情報をリアルタイムで識別する。パターン検出同期手段1703の詳細な内部動作は、後述する。
タイミング制御手段1704は、パターン検出同期手段1703によりリアルタイムに識別された位置情報ADRを元に、光ディスク媒体3101に対し記録すべきデータを所定の位置に記録できるように、ECCエンコード手段1705および変調手段1706の動作を制御する。タイミング制御手段1704は、記録にまつわる制御の他にも、光ディスク媒体3101の所定の位置にて信号の読み取りまたは記録が可能なように、位置情報ADRを用いながら記録再生ヘッド1701を移動させる動作、いわゆる検索動作の制御をも行う。
ECCエンコード手段1705は装置外部より入力された記録すべきユーザデータに対し、誤り訂正符号等の冗長データを付加し所定のフォーマット形式にエンコードする。ECCエンコード手段1705は、さらに、タイミング制御手段1704からの記録動作タイミング信号WTGTを元に、エンコードされたデータECCDTを変調手段1706へ出力する。ECCエンコード手段1705は、装置外部からユーザデータを受け取る受け取り手段として機能する。
変調手段1706は、ECCエンコード手段1705によりエンコードされたデータECCDTを受け、所定の変調方式により変調し、記録データWTDTとして記録再生ヘッド1701へ出力する。
本発明の実施の形態6における情報記録装置では、以上説明したような構成要素が互いに連携しながら光ディスク媒体3101に対し情報の記録を行う。この際、実施の形態2で説明したようなデータフォーマットを有する光ディスク媒体3101に対し、既に記録されているデータブロックに後続して新たなデータを記録(追記、すなわち、リンキング)するためには、既に記録されているデータ位置に対して精度良く追記を行う必要がある。
このため、記録装置1710では、既に記録されているデータの位置を正しく検出し、それに精度良く同期した動作を行うことが重要である。このために、記録再生ヘッド1701から信号2値化手段1702を経由して再生された2値化データを用いて、実施の形態2にて詳細に説明したような同期符号系列を検出し、正確な位置情報を得る動作、すなわちパターン検出同期手段1703の動作が最も重要となる。位置情報ADRは、例えば、セクタ位置SPt、フレーム位置FPt、バイト位置BPtを含む。
図39は、パターン検出同期手段1703の内部構成の一例を示す。パターン検出同期手段1703の内部の構成要素を説明する。
SY0パターン検出部1901は、2値化データRDDTより、SY0パターンを検出し、SY0パターンを検出したらSY0検出信号SY0DETを出力する。SY0パターン検出部1901は、SY0パターン(第2の同期符号系列)を検出する第1の検出部として機能する。
PAパターン検出部1902は、2値化データRDDTよりPAパターンを検出し、PAパターンを検出したらPA検出信号PADETを出力する。PAパターン検出部1902は、PAパターン(第3の同期符号系列)を検出する第3の検出部として機能する。
SYパターン検出部1903は、2値化データRDDTよりSYパターンを検出し、SYパターンを検出したらSY検出信号SYDETを出力する。
1フレームタイマ1904は各フレーム領域における先頭からのバイト位置を識別し、識別された結果を反映してバイト位置信号BPtおよびフレーム同期パルスFRMPLSをリアルタイムに出力する。1フレームタイマ1904は、1フレーム領域のバイト数(93バイト)もしくはチャンネルビット数(8/16変調方式の場合1488チャンネルビット)を計数する第1のカウント手段(図示せず)と、同期符号系列の検出ウィンドウを生成するバイト位置検出ウィンドウ生成手段(図示せず)等から構成されている。1フレームタイマ1904は、各パターン検出部1901〜1903からの検出信号SY0DET、PADET、SYDETを受け、内蔵のバイト位置検出ウィンドウ生成手段により、パターンの誤検出による同期ずれの保護のために適宜検出ウィンドウを制御しながら、内蔵の第1のカウント手段の位置合わせを行う。第1のカウント手段のカウント値(フレーム領域先頭からのバイト位置を示す)がバイト位置信号BPtとして出力され、1フレーム領域に1回(およそ93バイト毎に)所定のバイト位置でフレーム同期パルスFRMPLSが出力される。
1フレームタイマ1904は、基本的には、直前の同期符号系列のパターン検出結果から次の同期符号系列の検出位置の予測を行い、検出されるべきと判断される期間で検出ウィンドウをオープンにする。ウィンドウがオープンになっている期間で同期符号系列の検出信号を受けた場合に、正しい同期符号系列が検出されたものとして第1のカウント手段のカウント値BPtを所定の値にプリセットする。プリセットする値は必ずしも0でなく、検出処理に要する時間遅延を考慮して決定され得る。
各フレーム領域のバイト数は同一であるため、バイト位置検出ウィンドウ生成手段は、検出ウィンドウを所定のバイト周期毎(具体的にはフレーム領域のバイト数であるおよそ93バイト毎)に所定の期間オープンするように制御する。検出ウィンドウの幅は、記録再生ヘッド1701による信号読み取りのあらゆる変動要素(光ディスク媒体3101の回転変動・偏芯等によるジッタ成分や、リンキングフレーム領域でのデータ不連続等)を考慮して決定され得る。
フレーム数カウンタ1905は、各セクタにおけるフレーム位置を識別し、識別された結果を反映してフレーム位置信号FPtおよびセクタ同期パルスSCTPLSをリアルタイムに出力する。フレーム数カウンタ1905は、1セクタのフレーム領域の数(26乃至27フレーム領域)をカウントする第2のカウント手段(図示せず)と、第1の同期符号系列SY0および第3の同期符号系列PAの予測ウィンドウを生成するフレーム位置予測ウィンドウ生成手段(図示せず)等から構成される。フレーム数カウンタ1905は、1フレームタイマ1904からのフレーム同期パルスFRMPLSを受けて、内蔵の第2のカウント手段をカウントアップ動作する。また、フレーム数カウンタ1905は、各パターン検出部からの検出信号SY0DETおよびPADETを受け、内蔵のフレーム位置予測ウィンドウ生成手段により、パターンの誤検出による同期ずれの保護のために適宜予測ウィンドウを制御しながら、内蔵の第2のカウント手段の位置合わせを行う。
フレーム位置予測ウィンドウ生成手段は、SY0パターンやPAパターンの出現順序を考慮しながら、両者に対する予測ウィンドウの生成を行う。実施の形態2にて詳細に説明したように、例えば、第1の同期符号系列SY0は1セクタに1回(26フレーム領域に1回、ただし、第1のフレーム領域201(図9)が含まれる場合には、27フレーム領域に1回)にしか出現しないといったように、各同期符号系列は所定の順序でしか検出されない。このことを利用して、フレーム位置予測ウィンドウ生成手段には、同期符号系列毎に別々の予測ウィンドウが設けられ得る。
検出信号SY0DETが、SY0パターンに対する予測ウィンドウがオープンのときに出力されると、フレーム数カウンタ1905は、第2のカウント手段のカウント値FPtを0にプリセットする。また、検出信号PADETが、PAパターンに対する予測ウィンドウがオープンのときに出力されると、フレーム数カウンタ1905は、第2のカウント手段のカウント値FPtを26にプリセットする。検出信号が出力されない限り、フレーム同期パルスFRMPLSのタイミングで、第2のカウント手段のカウント値FPtが1インクリメントされる。このようにして、内蔵の第2のカウント手段のカウント値がフレーム位置信号FPtとして出力され、1セクタに1回(26フレーム領域乃至27フレーム領域毎に)所定のフレーム位置でセクタ同期パルスSCTPLSが出力される。
セクタ数カウンタ1906は、各データブロックにおけるセクタ位置を識別し、識別された結果を反映してセクタ位置信号SPtをリアルタイムに出力する。セクタ数カウンタ1906は、1データブロックのセクタ数(8セクタ)をカウントする第3のカウント手段(図示せず)と、第3の同期符号系列PAの予測ウィンドウを生成するセクタ位置予測ウィンドウ生成手段(図示せず)等から構成される。セクタ数カウンタ1906は、フレーム数カウンタ1905からのセクタ同期パルスSCTPLSを受けて、内蔵の第3のカウント手段をカウントアップ動作するとともに、PAパターン検出部1902からの検出信号PADETを受け、内蔵のセクタ位置予測ウィンドウ生成手段により、パターンの誤検出による同期ずれの保護のため適宜予測ウィンドウを制御しながら、内蔵の第3のカウント手段の位置合わせを行う。
セクタ位置予測ウィンドウ生成手段は、第3の同期符号系列PAの出現順序を考慮しながら、該パターンの検出に対する予測ウィンドウの生成を行う。実施の形態2にて詳細に説明したように、第3の同期符号系列PAは8セクタおきにしか出現しないため、セクタ位置予測ウィンドウ生成手段には、そのことを利用して予測ウィンドウが設られ得る。
検出信号PADETが、PAパターンに対する予測ウィンドウがオープンのときに出力されると、セクタ数カウンタ1906は、第3のカウント手段のカウント値SPtを0にプリセットする。また、検出信号PADETが出力されない限り、セクタ同期パルスSCTPLSのタイミングでカウント値SPtが1インクリメントされる。このようにして、内蔵の第3のカウント手段のカウント値がセクタ位置信号SPtとして出力される。
以上説明したような内部構成を有するパターン検出同期手段1703により、光ディスク媒体3101から読み取った2値化データRDDTを用いて、実施の形態2にて詳細に説明したデータフォーマットに対する各同期符号系列(パターン)が検出される。これにより、読み取りデータの位置情報、すなわちセクタ位置SPt、フレーム位置FPt、バイト位置BPtがリアルタイムに得られる。パターン検出同期手段1703の出力であるこれらの位置情報を用いて、タイミング制御手段1704(図38)は少なくともECCエンコード手段1705に対して、記録動作を指示する記録動作タイミング信号WTGTを生成出力することができる。
なお、図39に示した内部構成はあくまでも一例であって、パターン検出同期手段1703の内部構成がこれに限定されるものではない。また、図39の例に
おいては、検出すべき同期符号系列として、SY0パターン、SYパターン、PAパターンを用いたが、さらに実施の形態3において説明したPSパターンを用いてもよい。この場合、検出されるパターンが増えるため、さらに同期性能・位置情報識別性能が向上する。この例は、図40を参照して後述される。
また、4種類の同期符号系列のみにより、光ディスク媒体3101における位置情報を全て判別できるわけではないことはいうまでもない。上記同期符号系列を用いて判別できるのは、各データブロックにおけるセクタ位置・フレーム位置・バイト位置であり、どのデータブロックであるかを識別することはできない。どのデータブロックであるかを識別するには、識別ID情報が必要であり、例えば図14に示したようなデータ位置識別領域DataIDがその目的に用いられる。
図40は、パターン検出同期手段1703の内部構成の他の例を示すブロック図である。図40に示される内部構成は、図39に示される内部構成とは、新たにPSパターン検出部2001が付加されている点で異なる。図40に示した各構成要素および構成要素間でやりとりされる内部信号のうち、図39に示されるものと同一ものには同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
PSパターンは、実施の形態3で説明したように、各データブロックの先頭検出を強化する目的のために、リンキング位置である第1のフレーム領域501aの末尾に配置される。データブロックがセクタを有する場合、第1のフレーム領域501aは、必ずセクタの先頭である第2のフレーム領域の直前にあるため、PSパターンは、各セクタの先頭検出を強化する目的でも使用することができる。また、PSパターンが第1のフレーム領域501aの末尾の位置にあるので、PSパターンは、各フレーム領域の先頭検出を強化する目的でも使用することができる。PSパターン検出部2001は、PSパターン(第5の同期符号系列)を検出する第4の検出手段として機能する。
以上の理由から、PSパターンの検出結果である、PSパターン検出部2001の出力PSDETは、1フレームタイマ2002、フレーム数カウンタ2003、セクタ数カウンタ2004に入力され、各構成要素において位置識別に用いられる。
図41は、情報記録媒体3101のデータフォーマットと位置情報との関係を示す図である。ただし、図41には、第1のフレーム領域は、参照符号LFによって示されている。また、第1のフレーム領域は、実施の形態3で説明した第4の同期領域PSを有するものとして示されている。図41は、同期が確立した状態において、各位置情報、すなわちセクタ位置信号SPt、フレーム位置信号FPt、バイト位置信号BPtがとる値の例を示す。
セクタ位置信号SPtは、各データブロックの先頭から順番に0から7までの値をとる。データブロックの先頭に位置する第1のフレーム領域LFではセクタ位置信号SPtの値は0としている。
フレーム位置信号FPtは、各セクタの先頭から順番に0から25までの値をとる。例外として、第1のフレーム領域LFでは、FPt=26になる。各データブロックにおけるどのセクタにおいても、各フレーム領域(F0からF25)に対するフレーム位置信号FPtの値は、0から25の範囲である。
バイト位置信号BPtは、各フレーム領域の先頭から順番に0から92までの値をとる。各セクタにおけるどのフレーム領域においても、フレーム位置信号BPtの値は、フレーム領域の先頭において0となり、SY0パターン、SYパターン、PAパターンのいずれを通過するときのフレーム位置信号BPtの値も、0もしくは1となる。
図41には、これらの位置情報(位置信号SPt、FPt、BPt)を用いて、タイミング制御手段1704により生成される記録動作タイミング信号WTG
Tの波形の例をも示す。図41には、1ECCブロック、すなわち連続する4つのデータブロックに対して記録を行う際の記録動作タイミング信号WTGTの波形が示されている。記録動作タイミング信号WTGTは、Highレベルにおいて記録動作を示し、このときECCエンコード手段1705は、ECCエンコードしたデータECCDTを変調手段1706へ出力する。
データの追記は、リンキングフレーム領域である第3のフレーム領域において行われる。言い換えると、記録開始および記録終了は常に第1のフレーム領域の第2の同期領域VFO内にて行われる。このため、記録動作タイミング信号WTGTは、該当ECCブロックの先頭に位置するデータブロックの先頭における第1のフレーム領域LFの先頭からSバイト目(図41の例では、S=8)にてLowレベルからHighレベルに変化(記録の開始位置)し、当該記録ブロックの次のECCブロックの先頭に位置する第1のフレーム領域LFの先頭からEバイト目(図41ではE=11)にてHighレベルからLowレベルに変化(記録の終了位置)する。
正しくデータ同期がとれている場合、第1のフレーム領域LFにおいて、SPt=0、FPt=26となる。従って、タイミング制御手段1704において、記録動作タイミング信号WTGTを生成するには、該当ECCブロック(記録を行っているECCブロック)において、{SPt=0、FPt=26、BPt=S}のときに、WTGT=Highとし、1ECCブロック経過後の{SPt=0、FPt=26、BPt=E}のときに、WTGT=Lowとなるように、記録動作タイミング信号WTGTを制御するとよい。
このようにして、パターン検出同期手段1703は、PAパターン(第3の同期符号系列)を検出する検出手段として機能する。タイミング制御手段1703は、検出されたPAパターンの先頭を基準にして、記録開始位置を決定する決定手段として機能する。図2を参照して上述したように、タイミング制御手段1703は、この記録開始位置を記録のたびにランダムに決定してもよい。
また、ECCエンコード手段1705と、変調手段1706と、記録再生ヘッド1701とは、全体として、記録処理を行う記録手段として機能する。記録処理は、既に図2を参照して上述したように、記録動作の開始位置において、図2に示されるVFOパターンの記録開始位置VFO部分2102(データを安定に再生するために用いられる第1の追加同期符号系列)を記録する処理と、第2のフレームを記録する処理と、PAパターンを記録する処理と、図2に示されるVFOパターンの記録終了位置VFO部分2101(データを安定に再生するために用いられる第4の追加同期符号系列)を記録する処理とを含む。もちろん、光ディスク媒体が実施の形態3を参照して説明したフォーマットに従う場合には、その記録処理は、PSパターンを記録する処理を含む。
なお、記録動作中は、基本的に、各同期符号系列は検出されない(あるいは検出しないようにしておく)ため、各位置信号(SPt、FPt、BPt)はプリセットされず、補間動作を続けるものとする。
このように、記録装置1710は、予め媒体に記録されている情報に対し新たに情報(追加データ)を追記録(リンキング)または上書き記録する際、予め記録されているデータからSY0パターン、PAパターンを検出する手段(パターン検出同期手段1703を備える。また、記録装置1710は、パターン検出の結果を用いて、新たな情報(追加データ)の記録開始タイミングを決定する手段(タイミング制御手段1704)を備える。これにより、予め記録されている第1のデータ単位(セクタ)や第2のデータ単位(データブロック)の頭出しを高速かつ安定に行いながら、情報の追記録・上書き記録の開始を行うことができるので、記録の位置精度を飛躍的に向上させ、記録装置の信頼性を向上させることができる。
従って、記録装置1710は、大容量かつ高速なデータストレージ、ビデオディスクレコーダおよびマルチメディアレコーダに適用して極めて大きな効果を発
揮するものである。
(実施の形態7)
図42は、本発明の実施の形態7の情報再生装置(再生装置)1810の構成を示す。情報再生装置1810は、例えば、光ディスク媒体101(図1)、光ディスク媒体3101(図8)、光ディスク媒体401(図23)または光ディスク媒体1001(図35)に記録された情報の再生を行う。以下の説明では、情報再生装置1810は、実施の形態2において詳述した光ディスク媒体3101に記録された情報の再生を行うものとする。図42において、信号2値化手段1702およびパターン検出同期手段1703は、図38を参照して上述したものと同一であり、その詳細な説明は省略する。
再生ヘッド1801は、光ディスク媒体3101に記録されているデータを読み取る役割を果たす。再生ヘッド1801は、光ディスク媒体3101へ照射するための(例えば半導体レーザ等の)光源、光源から光ディスク媒体3101の記録面へ照射された光よりの反射光を検出し信号として読み取る光学系、読み取った信号を電気信号RFとして再生する光電変換器等から構成される。
PLL手段1802は、信号2値化手段により2値化された2値化データRDDTを用い、そのエッジ位置に位相同期したビット同期クロックRDCLKを再生する。
復調手段1804は、2値化データRDDTおよびビット同期クロックRDCLKを用いて、再生データの復調を行い、復調後のデータDEMDTを出力する。
タイミング制御手段1803は、パターン検出同期手段1703によりリアルタイムに識別された位置情報ADRを元に、情報記録媒体3101の所定の位置に記録されているデータを再生できるように、復調手段1804に対し復調動作タイミング信号RDGTを出力する。復調動作タイミング信号RDGTは、Highレベルにおいて再生データの復調動作を示す。復調手段1804は、RDGT=Highのときにのみ復調後のデータDEMDTを出力する。
また、タイミング制御手段1803は、信号2値化手段1702に対しては2値化のモードを制御するための2値化制御タイミング信号SLGTを出力する。2値化制御タイミング信号SLGTは、Highレベルにおいて通常の2値化動作モードを示す。信号2値化手段1702は、SLGT=Highのときに、再生信号RFを用いてその2値化スライスレベルの制御を行う。一方、信号2値化手段1702は、SLGT=Lowの状態において、2値化スライスレベルをSLGT=High時点の値にホールドし制御を行わない。
さらに、タイミング制御手段1803はPLL手段1802に対してはPLL位相比較のモードを制御するためのPLL制御タイミング信号PLLGTを出力する。PLL制御タイミング信号PLLGTは、Highレベルにおいて通常のPLL追従モードを示す。PLL手段1802は、PLLGT=HIghのとき、内蔵のPLLを2値化データRDDTに位相ロックさせるように制御する。PLL手段1802は、PLLGT=Lowの状態において、PLLをホールドし制御を行わない。
またタイミング制御手段1803は、再生動作にまつわる制御の他にも、情報記録媒体101の所定の位置にて信号の読み取りが可能なように、位置情報ADRを用いながら再生ヘッド1801を移動させる動作、いわゆる検索動作の制御をも行う。
ECCデコード手段1805は、復調されたデータDEMDTから必要なデータを取り出し、エラー訂正符号を用いて誤りが見つかれば必要に応じて訂正し、ユーザデータとして出力する。
再生ヘッド1801、信号2値化手段1702、PLL手段1802、復調手段1804およびECCデコード手段1805は、全体として、光ディスク媒体3101の同期領域に記録された各種の同期信号およびデータ記録領域DATAに記録されたユーザデータの少なくとも一部を再生する再生手段として機能する。
情報再生装置1810では、以上説明したような構成要素が互いに連携しながら光ディスク媒体3101より情報の読み出しを行う。この際、実施の形態2で説明したようなデータフォーマットを有する光ディスク媒体3101に既に記録されているデータの位置を正しく検出し、それに精度良く同期した動作を行うことが重要である。このために、再生ヘッド1801から信号2値化手段1702を経由して再生された2値化データを用いて、実施の形態2にて詳細に説明したような各種同期符号系列を検出し、正確な位置情報を得る動作、すなわちパターン検出同期手段1703の動作が最も重要となる。なお、パターン検出同期手段1703の動作は、図39および図40を参照して詳しく説明したので、重複した説明は省略する。
図43は、リンキングフレーム領域に相当する第1のフレーム領域LFをまたいでデータの再生を行う際の各種タイミング信号の動作波形例を示す。2値化制御タイミング信号SLGTは第1のフレーム領域LFの先頭からBR1バイト目でHighレベルからLowレベルになり、第1のフレーム領域LFの先頭からBR2バイト目でLowレベルからHighレベルになる。PLL制御タイミング信号PLLGTは、2値化制御タイミング信号SLGTと同様に、第1のフレーム領域LFの先頭からBR1バイト目でHighレベルからLowレベルになり、第1のフレーム領域LFの先頭からBR3バイト目でLowレベルからHighレベルとする。
また、復調動作タイミング信号RDGTは、直前のデータブロックが復調すべきデータであるかどうかに依存して、異なる態様で制御される。直前のデータブ
ロックで復調を行っている場合には、復調動作タイミング信号RDGTはHighレベルとなっている(図43に破線で示す)が、第1のフレーム領域LFに入ると、遅くとも第1のフレーム領域LFの先頭からBR1バイトまでにLowレベルに落とす。その後、第1のフレーム領域LFの先頭からBR4バイト後にLowレベルからHighレベルへ上げる。直前のデータブロックで復調を行っていない場合(図43に実線で示す)には、復調動作タイミング信号RDGTは、第1のフレーム領域LFに入った時点でLowとなっている。
ここで、記録の終了位置を第1のフレーム領域LFの先頭よりEバイト目、記録の開始位置を第1のフレーム領域LFのSバイト目(SおよびEは93バイト未満の有理数であり、S≦Eを満たす)とし、第3の同期符号系列PAの長さを2バイトとすると、BR1、BR2、BR3、およびBR4の値は、2≦BR1<S、E<BR2<BR3<BR4<93の関係を満たすように決定する。
つまり、少なくとも第1のフレーム領域LFの先頭からSバイト目よりEバイト目までは、2値化制御タイミング信号SLGTをLowレベルとすることにより、再生信号RFの品質が悪い可能性のある部分では、2値化スライスレベルを再生信号RFに追従させないようにホールドする。また、PLL制御タイミング信号PLLGTは、少なくともSLGT=Lowの期間では、2値化制御タイミング信号SLGTと同様にLowレベルとする。ただし、そのLowからHighレベルへの変化点は、SLGTの変化点より後方に設定される。これにより、再生信号RFの品質が悪い可能性のある部分でPLL制御を行わずホールドし、2値化スライスレベルの追従動作を開始した後に2値化データRDDTとの位相比較が再開される。また、復調動作タイミング信号RDGTは、少なくともPLLGT=Lowの期間では、PLLGTと同様にLowレベルとされる。ただし、そのLowからHighレベルへの変化点は、PLLGTの変化点より後方に設定される。これにより、再生信号RFの品質が悪い可能性のある部分で復調動作を行わないようにする。
上記のように各種タイミング信号を設定することにより、第1のフレーム領域LF(リンキングフレーム領域)をまたいでデータの再生を行う場合にも、情報再生装置においてリンキングによるデータの不連続や繰り返し記録がなされることによる記録膜の劣化の影響が再生処理系に及ぶことが防止できる。これにより、リンキングフレーム領域をまたいでデータの再生を行う場合にも、正しくデータを再生することができる。
なお、再生装置1810が、図35を参照して上述した実施の形態5の光ディスク媒体1001の再生専用領域に記録された特定データを再生する場合には、まず、第1のフレーム領域1101(図36)の第1の同期領域PAに記録されたPAパターン(第3のさらなるパターン)が、PAパターン検出部1902(検出手段)によって検出される。その検出に応答して、特定用途データ領域DASPに記録された特定用途データ(特定データ)が再生される。
このように、再生装置1810は、予め記録されているデータから第2の同期符号系列(SY0)、第3の同期符号系列(PA)のパターンを検出する手段(パターン検出同期手段)を設け、上記パターン検出結果を用いて情報の読み出し開始タイミングを決定する手段(タイミング制御手段、復調手段)を設けたことで、第1のデータ単位(セクタ)や第2のデータ単位(データブロック)の頭出しを高速かつ安定に行いながら情報の再生が行えるので、システムにおける情報再生を高速かつ安定に行うことができる。
このように、再生装置1810のタイミング制御手段1704、および信号2値化手段1702は、全体として、パターン検出結果を用いて第1の同期フレーム領域(LF)の所定の期間において再生信号の2値化モードを切り替える2値化モード切り替え手段として機能する。また、タイミング制御手段1803およびPLL手段1802は、全体として、再生信号にビット同期したクロックを再生するクロック再生モードの切り替え手段として機能する。これにより、リンキング位置でのデータ不連続・再生信号品質の劣化があっても、その領域をまたぐ情報の再生を安定に行うことができる。その結果、再生装置における情報再生の信頼性を飛躍的に向上させることができる。
従って、再生装置1810は、大容量かつ高速なデータストレージ、ビデオディスクレコーダおよびマルチメディアレコーダに適用して極めて大きな効果を発揮するものである。
以上7つの実施の形態では、本発明に係る情報記録媒体として光ディスク媒体を例にとって説明してきたが、本発明の技術分野は光学的記録媒体に限定されるものではない。例えば、ハードディスクのような磁気的記録媒体にも本発明は適用することができる。
本発明に係る記録媒体は、データが記録済みであるもの、データが未記録であるもの、いずれかに限定されるものではない。記録媒体の情報トラックのすべてにデータが記録済みであってもよいし、データが未記録であってもよい。また、記録媒体の情報トラックに、記録済みの部分と、未記録の部分とが混在していてもよい。
また、実施の形態にて説明した如何なる具体的内容も本発明を限定するものではない。本発明はただ特許請求の範囲において限定されるものであることはいうまでもない。