JP4628135B2 - 超音波識別装置、およびこの超音波識別装置を用いた制御装置 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、対象物を識別する超音波識別装置であって、対象物に対して超音波を発信する発信ユニットと、前記対象物からの反射波を受信波として受信する受信ユニットと、受信した前記受信波の包絡線特性に基づいて予め設定された閾値条件で前記対象物がヒトであるかまたは物であるかを判別する受信波評価手段とを備え、前記受信波評価手段は、前記受信波の振幅変動時間と前記受信波の最大振幅との比率を前記包絡線特性として求めるように構成されており、前記振幅変動時間は、少なくとも前記受信波の振幅減衰時間または前記受信波の振幅増大時間のいずれか一方であり、少なくとも前記振幅変動時間の振幅変動終了の時刻または前記振幅変動時間の振幅変動開始の時刻のいずれか一方は、前記受信波の最大振幅から所定のノイズ除去割合だけ小さい寸法の振幅に相当する時刻であることを特徴とする超音波識別装置を提供する。
なお、一般に包絡線とは、曲線f'が与えられた曲線群の全ての曲線と接するとき、曲線f'をこの曲線群の包絡線といい、本発明における包絡線とは、受信した各受信波・波形の各頂点(各受信波・波形の各最大振幅)と接する曲線をいう〔添付の図1の曲線f、参照〕。
なお、付加的な効果として、包絡線特性として前記受信波の振幅変動時間と前記受信波の最大振幅との比率を採用した場合、この比率が簡単な演算処理によって得られることから、この超音波識別装置の構成を簡素化することができる。
さらに、本発明の第2の態様によれば、制御装置は、短時間で識別可能な本発明の超音波識別装置を組み込んでいるため、前記第1の態様と同じ技術的効果を奏することができる。
発信ユニットは、通常、送信トリガー信号に基いて超音波、特にパルス状の超音波を送信するユニットである。好適には、発信ユニットは、電気エネルギを振動エネルギに変換してパルス状の超音波を発信するための電気要素と機械要素とから構成される。また好適には、受信ユニットはパルス状の超音波受信波を受信して振動エネルギを電気エネルギに変換して超音波振動を表す電気信号を作り出すための電気要素と機械要素とから構成されている。
なお、低コスト化等の観点から、超音波の発信ユニットと受信ユニットを簡単化するためには、送信および受信を共通の超音波プローブ(単数または複数)で行うことが好ましい。他方、識別対象物の登場位置がある程度の範囲でばらつく場合には、識別対象物の同時スキャニングのために、前記発信ユニットは1つの超音波発信プローブを備え、前記受信ユニットは複数の超音波受信プローブからなる受信プローブアレイ(リニアアレイ構成)を備えることが好ましい。後者の構成では、超音波配置された受信プローブアレイのいずれかの領域で受信される可能性が高まり(受信エリアの拡大)、その結果、受信性能の向上から高い対象物識別を期待することができる。
受信波評価手段は、好適には、受信波波形の包絡線を検出する包絡線検出部と、検出した包絡線特性を評価する包絡線評価部と、評価した包絡線特性から対象物の種別を決定する対象物種別決定部とを備えている。受信波を表す電気波形信号の包絡線は、一般には包絡線検波技術によって検出できるが、この包絡線形状の検出の方法は本発明では限定していない。受信波評価手段は、取得された包絡線形状を幾何学的分析、統計学的分析、画像処理学的分析のいずれかの方法またはそれらの組み合わせた方法を通じて特有の包絡線特性を評価することができる。
〔受信波の振幅変動時間(T)と受信波の最大振幅(A)との比率〕
特に好適には、本発明の受信波評価手段は、包絡線特性として、受信波の振幅変動時間(T)と受信波の最大振幅(A)との比率を採用することができる。
これら振幅変動時間(T)と、最大振幅(A)との関係を図1に示す。図1からわかるように、最大振幅(A)は半波にされた受信波の最大振幅値である。また、本発明における受信波の振幅変動時間(T)は、振幅減衰時間(T1)および/または振幅増大時間(T2)であってよく、前者(T1)は、最大振幅からの立ち下がりの時間に相当し、後者(T2)は、最大振幅までの立ち上がりの時間に相当する。したがって、本発明によれば、両者は、以下の各式によって算出することができる。
振幅減衰時間(T1)=│振幅減衰開始の時刻(最大振幅の時刻)−振幅減衰終了の時刻│
振幅増大時間(T2)=│振幅増大開始の時刻−振幅増大終了の時刻(最大振幅の時刻)│
好適には、ノイズ除去のため、振幅減衰終了の時刻または振幅増大開始の時刻として、ノイズ除去処理した時刻、すなわち、最大振幅から所定の割合(以下、「ノイズ除去割合」という。)だけ小さい寸法の振幅に相当する時刻(以下、「ノイズ除去処理時刻」という。)を用いることができる。ノイズ除去割合は、例えば、5〜95%、25〜80%、40〜60%、有利には、5〜30%、25〜50%、45〜70%、65〜90%、85〜95%である。したがって好適には、前記比率は、以下の式のいずれかによって算出することができる。
比率=T1/A=│振幅減衰開始の時刻(最大振幅の時刻)−ノイズ除去処理時刻│/(最大振幅)
比率=T2/A=│ノイズ除去処理時刻−振幅増大終了の時刻(最大振幅の時刻)│/(最大振幅)
なお、ノイズ除去処理は、上記振幅減衰終了の時刻または振幅増大開始の時刻に代えて、またはこれに加えて、振幅減衰開始の時刻または振幅増大終了の時刻として、ノイズ除去処理時刻、すなわち最大振幅からノイズ除去割合だけ小さい寸法の振幅に相当する時刻を用いることができる。したがって、本発明によれば、振幅減衰開始/終了の時刻および振幅増大開始/終了の時刻からなる群から選ばれる1または2以上の時刻として、ノイズ除去処理時刻を用いることができる。なおまた、ノイズ除去処理は、最大振幅に施すこともできる。
好適には、衝突衝撃制御装置は、ポップアップフード機構と、このポップアップフード機構を制御するポップアップフード制御部と、このポップアップフード制御部を管理するサブコントローラとを備えることができる。
前記ポップアップフード機構は、ヒトとの衝突時に自動車のポップアップ可能なフード(ポップアップフード)を持ち上げることで車両前部の剛性を弱めてヒト、特にヒト頭部に与える被害を抑制する一方、物との衝突時には自動車のポップアップフードをそのままにして車両前部の剛性を維持することで乗員の被害を抑制するように構成されている。
なお、衝突衝撃制御装置は、本発明の超音波識別装置から衝突可能領域にヒトを識別検知したという信号が入力されると、ポップアップフードを押し上げるように制御命令を出すことができる。
図2は、本発明による超音波識別装置並びにこの超音波識別装置を組み込んだ制御装置の一実施形態を示すブロック図である。
前記のごとく、送受信タイプの超音波プローブ1を1つまたは複数取り付けてもよいし、これに代えて、1つの送信用超音波プローブ1aと複数の並列された受信用超音波プローブ(リニアアレイ構成)1bを用いてもよい。後者の場合、受信部21は、各受信用超音波プローブ1bで電気信号に変換された受信波のうち最大振幅をもつ受信波を受信波評価手段40に送るように構成してもよいし、これに代えて、各受信用超音波プローブ1bで電気信号に変換された受信波を加算して受信波評価手段40に送るようにしてもよい。また、受信部21は電気信号に変換された受信波を必要に応じて増幅して受信波評価手段40に送る機能を有する。
まず、サブコントローラ50による指令によって発信制御部30が発信トリガー信号を発信部11に与えると、発信部11は、超音波励起用パルス電圧を生成し、超音波プローブ1を励起する。超音波プローブ1から発射された超音波パルスは対象物に当たると反射して受信波として超音波プローブ1に受信される。超音波プローブ1で受信された受信波は電気信号に変換されて、受信部21で増幅され受信波評価手段40に送り込まれる。
図3(イ)の包絡線から、最大振幅(A)および振幅減衰時間(T1)を読み取ると、各々、A=3.7(V)およびT1=820(μs)となるので、包絡線特性(T1/A)は222であると算出される。同様に、図3(ロ)の包絡線から読み取ると、最大振幅(A)および振幅減衰時間(T1)は、各々、A=2.7(V)およびT1=870(μs)であり、包絡線特性(T1/A)は、322となる。
以上の結果から明らかなように、ヒトの包絡線特性と、物の包絡線特性とは、たとえ服を装着させた場合でも、明確な相違が存在する。したがって、対象物種別決定部44において、予め統計的な手法によって求められた閾値条件を設定しておくことで、包絡線評価部43で算出された包絡線特性から対象物をヒトであるか物であるかのいずれかに識別判定することができる。
10:発信ユニット
20:受信ユニット
40:受信波評価手段
A :最大振幅
T :振幅変動時間
T1:振幅減衰時間
T2:振幅増大時間
Claims (3)
- 対象物を識別する超音波識別装置であって、
対象物に対して超音波を発信する発信ユニットと、前記対象物からの反射波を受信波として受信する受信ユニットと、受信した前記受信波の包絡線特性に基づいて予め設定された閾値条件で前記対象物がヒトであるかまたは物であるかを判別する受信波評価手段とを備え、
前記受信波評価手段は、前記受信波の振幅変動時間と前記受信波の最大振幅との比率を前記包絡線特性として求めるように構成されており、前記振幅変動時間は、少なくとも前記受信波の振幅減衰時間または前記受信波の振幅増大時間のいずれか一方であり、少なくとも前記振幅変動時間の振幅変動終了の時刻または前記振幅変動時間の振幅変動開始の時刻のいずれか一方は、前記受信波の最大振幅から所定のノイズ除去割合だけ小さい寸法の振幅に相当する時刻であることを特徴とする超音波識別装置。 - 前記振幅変動時間が、前記受信波の最大振幅からの振幅減衰時間であり、前記振幅減衰時間の振幅減衰終了の時刻が、前記受信波の最大振幅から所定のノイズ除去割合だけ小さい寸法の振幅に相当する時刻であることを特徴とする請求項1に記載の超音波識別装置。
- 請求項1又は2に記載の超音波識別装置と、ポップアップフード機構の動作制御を行う衝突衝撃制御装置とを備え、
前記ポップアップフード機構は、車両のポップアップ可能なフードを持ち上げることで車両前部の剛性を弱めることができ、かつ、前記フードをそのままにして車両前部の剛性を維持できるように構成され、
前記超音波識別装置が衝突可能領域にヒトを識別検知した場合には、前記衝突衝撃制御装置が、前記フードを持ち上げるように前記ポップアップフード機構の動作制御を行うよう構成されていることを特徴とする制御装置。
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