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JP4626296B2 - 熱可塑性樹脂組成物及びその製造法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びその製造法 Download PDF

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JP4626296B2 JP2004373149A JP2004373149A JP4626296B2 JP 4626296 B2 JP4626296 B2 JP 4626296B2 JP 2004373149 A JP2004373149 A JP 2004373149A JP 2004373149 A JP2004373149 A JP 2004373149A JP 4626296 B2 JP4626296 B2 JP 4626296B2
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Description

本発明は、熱可塑性樹脂、酸化防止剤、無機アンチブロッキング剤及び中和剤を含有する熱可塑性樹脂組成物、並びにその製造法に関する。
特許文献1には、ポリエチレン樹脂、同一分子内にフォスファイト構造とヒンダードフェノール構造とを有する酸化防止剤、及び、アルミノシリケートやカオリン等の無機アンチブロッキング剤を含有する熱可塑性樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献2には、ポリオレフィン系樹脂100重量部と;120℃で2時間真空乾燥してシリカゲルデシケーター中で室温まで放冷した後、アンチブロッキング剤の試料約2gを秤量して100mlのフラスコに入れ、脱水したトルエン40mlを加え、該フラスコ内を乾燥窒素ガスで置換後、トリエチルアルミニウムの11vol%トルエン溶液を攪拌下に加え、アンチブロッキング剤表面の−OH基とトリエチルアルミニウムの反応によって発生したエタンガスを定量し、下式
n’=P’V/RTW
[式中、n’は表面−OH基量(mol/g)、P’は圧力(atm)、Vはエタンガス発生量(l)、Rは気体定数(atm・l/mol・度K)、Tは温度(度K)、Wは試料重量(g)を表す。]
で算出した表面の−OH基量が1g当り200μmol以下である無機アンチブロッキング剤の0.01〜3.0重量部と;有機脂肪酸アミドの0.01〜0.3重量部とを配合してなるフィルム用ポリオレフィン系樹脂組成物が記載されている。
特開2003−253061号公報(段落番号0034、及び段落番号0037〜0050を参照) 特開平4−220443号公報(特許請求の範囲、段落番号0007及び段落番号0008を参照)
熱可塑性樹脂は、例えば、包装材料用フィルム等の広範な用途に用いられている。熱可塑性樹脂を包装材料用フィルムに加工する際には、高温での溶融混練における熱可塑性樹脂の熱酸化を防止する目的で、分子内にフォスファイト構造又はフォスフォナイト構造を有する酸化防止剤を添加し、成形されたフィルムが互いに付着(ブロッキング)することを防止するために、アンチブロッキング剤が配合される。
しかしながら、熱可塑性樹脂と、分子内にフォスファイト構造又はフォスフォナイト構造を有する酸化防止剤(以下、「リン系酸化防止剤」ということもある)と、比較的高い酸強度を有する無機アンチブロッキング剤とを含むペレット等の熱可塑性樹脂組成物は、倉庫等で保管されている間に吸湿し、上記酸化防止剤が加水分解される結果、保管終了後に、例えばフィルム等に高温で溶融加工する際に、熱可塑性樹脂が劣化してしまうという問題があった。
上記問題を解決するために、熱可塑性樹脂と、リン系酸化防止剤と、上記の無機アンチブロッキング剤とを含むペレット等の熱可塑性樹脂組成物を、倉庫等で保管せず、直ちに熱可塑性樹脂のフィルムに加工する対策が採られているが、該方法ではフィルムを製造するタイミングに合わせてペレットを生産する必要があり、生産効率が悪化するという問題があった。
また、熱可塑性樹脂組成物をペレットに加工した後でペレットを防湿タイプの包材に充填して保管する対策が採られているが、この方法では上記の包材を防湿化するためのコストが余分に嵩むという問題があった。
また、熱可塑性樹脂と、リン系酸化防止剤と比較的固体酸量の小さい無機アンチブロッキング剤とを含むペレット等の熱可塑性樹脂組成物は、倉庫等で保管されている間でも吸湿が比較的少なく、上記酸化防止剤が加水分解されにくい結果、保管終了後に、例えばフィルム等に高温で溶融加工する際でも熱可塑性樹脂の安定化が図られ、高品質なフィルムを製造することができる。しかしながら、無機アンチブロッキング剤として固体酸量の比較的小さいものを用いる必要があるため、無機アンチブロッキング剤の選択の幅が狭いという問題があった。
本発明の課題は、固体酸量が1g当り100μmolを超える無機アンチブロッキング剤を用いても、耐加水分解性の良好な熱可塑性樹脂組成物、及びその製造法を提供することにある。
また、本発明の別の課題は、上記リン系酸化防止剤の耐加水分解性を向上させて、上記熱可塑性樹脂組成物を製造した後に長期間保管しても、品質が損なわれない熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の他の課題は、上述した防湿タイプの包材が不要であり、安価な熱可塑性樹脂組成物の製造法を提供することにある。
また、本発明の上記以外の課題は、熱可塑性樹脂とリン系酸化防止剤と上記の無機アンチブロッキング剤とを含むペレット等の熱可塑性樹脂組成物を直ちに熱可塑性樹脂のフィルムに加工する際にも、上記の熱可塑性樹脂組成物を効率良く生産する方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明(i)は、次の(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、(A)の樹脂100重量部当り、(B)の酸化防止剤が0.001〜1重量部であり、(C)の無機アンチブロッキング剤が0.001〜5重量部であり、(D)の中和剤が0.001〜1重量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
(A)熱可塑性樹脂
(B)分子内に、少なくとも下式(1)で示されるフォスファイト構造又は下式(2)で示されるフォスフォナイト構造を有する酸化防止剤
Figure 0004626296
Figure 0004626296
[式中、Qは2価の炭化水素残基を表す。]
(C)固体酸量が、1g当たり100μmolを超える無機アンチブロッキング剤
(D)ヒンダードピペリジン化合物、カルボン酸アミド系化合物、ハイドロタルサイト類、金属水酸化物及びカルボン酸金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の中和剤
また、本発明の(ii)は、熱可塑性樹脂(A)の100重量部と、次の酸化防止剤(B)の0.001〜1重量部と無機アンチブロッキング剤(C)の0.001〜5重量部と中和剤(D)の0.001〜1重量部を配合し、溶融混練することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造法を提供するものである。
(A)熱可塑性樹脂
(B)分子内に、少なくとも下式(1)で示されるフォスファイト構造又は下式(2)で示されるフォスフォナイト構造を有する酸化防止剤
Figure 0004626296
Figure 0004626296
[式中、Qは2価の炭化水素残基を表す。]
(C)固体酸量が、1g当たり100μmolを超える無機アンチブロッキング剤
(D)ヒンダードピペリジン化合物、カルボン酸アミド系化合物、ハイドロタルサイト類、金属水酸化物及びカルボン酸金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の中和剤
本発明の(i)によれば、上記リン系酸化防止剤の耐加水分解性が向上して、上記熱可塑性樹脂組成物を製造した後に長期間保管しても、熱可塑性樹脂組成物の品質が損なわれない。また、本発明の(i)によれば、倉庫等で保管されている間でも吸湿が比較的少なく、上記酸化防止剤が加水分解されにくい。これにより、保管終了後に、例えばフィルム等に高温で溶融加工する際でも熱可塑性樹脂の安定化が図られ、高品質なフィルムを製造することができる。
また、本発明の(ii)によれば、溶融混練時の熱可塑性樹脂の劣化を防止することができる。また、本発明の(ii)によれば、上述した防湿タイプの包材が不要であり、熱可塑性樹脂組成物を安価に製造することができる。また、本発明の(ii)によれば、上記ペレット等の熱可塑性樹脂組成物を直ちに熱可塑性樹脂のフィルムに加工する際にも、上記の熱可塑性樹脂組成物を効率良く生産することができる。また、本発明の(ii)によれば、固体酸量が1g当り100μmolを超える無機アンチブロッキング剤を用いても、耐加水分解性が向上した熱可塑性樹脂組成物の製造法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の(i)及び(ii)で用いられる熱可塑性樹脂(A)としては、例えば次のようなものが挙げられる。
(1)ポリエチレン、例えば高密度ポリエチレン(HD−PE)、低密度ポリエチレン(LD−PE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(2)ポリプロピレン、(3)メチルペンテンポリマー、(4)EEA(エチレン/アクリル酸エチル共重合)樹脂、(5)エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、(6)ポリスチレン類、例えばポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)やポリ(α−メチルスチレン)、(7)AS(アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂、(8)ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合)樹脂、(9)AAS(特殊アクリルゴム/アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂、(10)ACS(アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合)樹脂、
(11)塩素化ポリエチレン、ポリクロロプレンや塩素化ゴム、(12)ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン、(13)メタクリル樹脂、(14)エチレン/ビニルアルコール共重合樹脂、(15)フッ素樹脂、(16)ポリアセタール、(17)グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂及びポリフェニレンサルファイド樹脂、(18)ポリウレタン、(19)ポリアミド、(20)ポリエステル樹脂、例えばポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等、(21)ポリカーボネート、(22)ポリアクリレート、(23)ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトンやポリエーテルスルホン、(24)芳香族ポリエステル樹脂、(25)ジアリルフタレートプリポリマー、(26)シリコーン樹脂、(27)1,2−ポリブタジエン、(28)ポリイソプレン、(29)スチレン/ブタジエン共重合体、(30)ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、(31)エチレン/プロピレン共重合体、(32)エチレン/MMA(メチルメタクリレート)共重合体。
本発明(i)及び(ii)における熱可塑性樹脂としては、上記例示の樹脂の単独又は混合物を用いることができる。
本発明の(i)及び(ii)においては、ポリエチレン(例えばHD−PE、LD−PE、LLDPE)やポリプロピレン等のポリオレフィン;エチレンと酢酸ビニル等の共重合体、エチレンとMMA等の共重合体;ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートやポリカーボネート等のエンジニアリング樹脂等が好ましく用いられる。
上記のポリオレフィンの製造法は特に限定されず、例えば、ラジカル重合によって得られたものでもよく、周期律表第IVb族、第Vb族、第VIb族又は第VIII族の金属を含有する触媒を用いる重合により製造されたものでもよい。
かかる金属を含有する触媒としては、一つ以上の配位子、例えばπ結合又はσ結合によって配位する酸化物、ハロゲン化合物、アルコレート、エステル、アリール等を有する金属錯体であってもよく、これらの錯体はそのままであっても、塩化マグネシウム、塩化チタン、アルミナ、酸化ケイ素等の基材に担持されていてもよい。
ポリオレフィンとしては、例えばチーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒、フィリップス触媒等を用いて製造されたものが好ましく使用される。
また、エンジニアリング樹脂も特に限定されない。
例えば、ポリアミド樹脂としては、ポリマー鎖にアミド結合を有するものであって、加熱溶融できるものであればよい。ポリアミド樹脂の製造法も限定されず、例えばジアミン類とジカルボン酸類の縮合反応、アミノカルボン酸類の縮合反応、ラクタム類の開環重合等の方法によって製造されたものでもよい。
ポリアミド樹脂の代表例としては、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ポリ−ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン66とナイロン6の共重合体であるナイロン66/6や、ナイロン6/12の如き共重合体等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、ポリマー鎖にエステル結合を有するものであって、加熱溶融できるものであればよい。
ポリエステル樹脂の具体例としては、ジカルボン酸類とジヒドロキシ化合物の重縮合等によって得られる、ホモポリエステルやコポリエステルが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂としては、ポリマー鎖にカーボネート結合を有するものであって、加熱溶融できるものであればよい。
このようなポリカーボネート樹脂としては、例えば、溶剤、酸受容体や分子量調整剤の存在下に、芳香族ヒドロキシ化合物を少量のポリヒドロキシ化合物の存在下又は不存在下に、ホスゲンやジフェニルカーボネートのようなカーボネート前駆体を反応させることにより得られるポリカーボネートが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、また、共重合体であってもよい。
本発明の(i)及び(ii)において、分子内に、少なくとも上式(1)で示されるフォスファイト構造又は上式(2)で示されるフォスフォナイト構造を有する酸化防止剤としては、例えば、下式(I)〜(IV)で示される化合物が好ましく用いられる。
Figure 0004626296
(I)
[式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。
Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は*−COR7−基を表し、R7は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は式(I)におけるフォスファイト構造の酸素原子に結合していることを表す。
Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
但し、Yがヒドロキシル基であるときは、R及びRの一方は炭素数3〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。
また、式(I)における2個のRは互いに同一でもよく、異なってもよい。さらに、式(I)における2個のRは互いに同一でもよく、異なってもよい。そして、式(I)における2個のRは互いに同一でもよく、異なってもよい。]
Figure 0004626296
(II)
(式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。)
Figure 0004626296
(III)
(式中、R10は水素原子又はメチル基を表す。但し、式(III)における複数のR10は互いに同一でもよく、異なってもよい。)
Figure 0004626296
(IV)
[式中、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表し、nは0〜2の整数を表す。
但し、式(IV)におけるnが1〜2の整数を表し、且つ、R11が炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表すときは、式(IV)における複数のR11は互いに同一でもよく、異なってもよい。また、式(IV)におけるnが1〜2の整数を表し、且つ、R12が炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表すときは、式(IV)における2個のR12は互いに同一でもよく、異なってもよい。]
本発明の(i)において、式(I)で示される化合物におけるR及びRは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基であることが好ましく、Rはi−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基又は2−エチルヘキシル基であることが好ましく、Rは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基又はt−ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。
は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。
また、二価基Xは、単結合、硫黄原子又はメチレン基であることが好ましい。
二価基Aは、プロピレン基、*−CO−基又は*−CO−CHCH基(*印を付した−CO−はフォスファイト構造の酸素原子と結合していることを示す)であることが好ましい。
Yはヒドロキシル基であることが好ましく、Zは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましい。
本発明の(i)において、式(II)で示される化合物におけるR及びRは、炭素数3〜9の直鎖状又は分岐状アルキル基であることが好ましい。
本発明の(i)において、式(IV)で示される化合物におけるR11は、炭素数3〜9の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、又は炭素数7〜12のアラルキル基であることが好ましい。
また、R12は水素原子又はメチル基であることが好ましく、nは2であることが好ましい。
上記のリン系酸化防止剤のうち、好ましい化合物を以下に例示する。
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト[B−1]
6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン[B−2]
テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレン−ジフォスフォナイト[B−3]
テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4'−ビフェニレン−ジフォスフォナイト[B−4]
ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリチル ジフォスファイト[B−5]
ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリチル ジフォスファイト[B−6]
本発明の(i)を製造するに際しては、熱可塑性樹脂100重量部当り、少なくとも一種のリン系酸化防止剤を0.001〜1重量部含有させる。リン系酸化防止剤の含有量は、0.01〜0.5重量部がより好ましく、0.05〜0.2重量部が特に好ましい。
熱可塑性樹脂の100重量部当り、リン系酸化防止剤の含有量が0.001重量部未満である組成物は、溶融混練時に十分な酸化防止性能が得られない。一方、熱可塑性樹脂の100重量部当り、リン系酸化防止剤の1重量部を超えて配合しても、酸化防止性能は変わらないため経済的には不利である。
本発明の(ii)において、リン系酸化防止剤を混合する方法は、特に限定されないが、リン系酸化防止剤と該熱可塑性樹脂を直接混合する方法、予めリン系酸化防止剤を高濃度に配合したマスターバッチを該熱可塑性樹脂に混合する方法や加熱溶融したリン系酸化防止剤を押し出し機のサイドフィーダーを通して直接熱可塑性樹脂に混練混合する方法などが好ましい。
本発明の(i)及び(ii)における無機アンチブロッキング剤は、固体酸量が1g当り100μmolを超えるものであれば特に限定されないが、200μmolを超えるものであれば、耐加水分解性の改良効果が大きい。また、平均粒径が0.1〜30μmの範囲である無機アンチブロッキング剤が好ましい。
無機アンチブロッキング剤としては、例えば、シリカ、クレー、珪藻土、長石、タルク、ゼオライト、カオリナイト、ウオラストナイト、セリサイト、アルミノシリケート、カルシウムシリケート、ナトリウムアルミノシリケートやナトリウムカルシウムアルミノシリケート等が挙げられる。
無機アンチブロッキング剤の固体酸量は、例えば、「色材、61[12]692−698頁(1988年)」における‘顔料分散媒樹脂の研究’(小林敏勝等)に記載の方法に準じて計算した値を用いる。
具体的には、上記無機アンチブロッキング剤の2gを遠心沈降管にとり、0.01Nのジエタノールアミンのメチルイソブチルケトン溶液30mlを加えて1時間超音波分散を行って得た液を13000rpmで30分間遠心分離し、得られた上澄み液10mlを採取し、採取した上澄み液をメチルイソブチルケトン100mlで希釈した液を0.01Nの過塩素酸のメチルイソブチルケトン溶液で逆滴定して、前記無機アンチブロッキング剤の1g当りの固体酸量(μmol)を算出する。
本発明の(i)及び(ii)において用いられる無機アンチブロッキング剤は、1g当りの固体酸量が100μmolを超えるものである。
本発明の(i)及び(ii)における無機アンチブロッキング剤の使用量は、熱可塑性樹脂100重量部当り0.01〜5重量部の範囲であり、0.05〜2重量部の範囲であることが好ましい。
無機アンチブロッキング剤の使用量が、熱可塑性樹脂100重量部当り0.01重量部未満のときは、熱可塑性樹脂組成物をフィルムに成形した際のアンチブロッキング効果が十分なものではない。一方、無機アンチブロッキング剤の使用量が熱可塑性樹脂100重量部当り5重量部を超えても、使用量に見合うアンチブロッキング効果の向上は認められない。
本発明の(i)において、無機アンチブロッキング剤を混合する方法は特に限定されないが、該アンチブロッキング剤をそのまま熱可塑性樹脂に混合する方法や予め無機アンチブロッキング剤を高濃度に配合したマスターバッチを熱可塑性樹脂に混合する方法等が好ましい。
本発明の(i)における中和剤はヒンダードアミン系化合物、ハイドロタルサイト類、金属水酸化物及びカルボン酸アミド類からなる群より選ばれる一種以上であればよい。
好ましい中和剤としては、合成ハイドロタルサイト、天然ハイドロタルサイトや水酸化カルシウム(以下、D−1と略記する);エルカ酸アミド(以下、D−2と略記する)、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ベヘニン酸アミド、N−ステアリル酪酸アミド、N−ステアリルラウリン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルベヘニン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−オレイルベヘニン酸アミド、N−ブチルエルカ酸アミド、N−オクチルエルカ酸アミド、N−ラウリルエルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミドやN,N’−ジオレイルセバシン酸アミド;ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、琥珀酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物(以下、D−3と略記する)やポリ[{6−(1,1,3,3、−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等が挙げられる。
本発明(i)の熱可塑性樹脂組成物を製造するに際しては、熱可塑性樹脂100重量部当り、上述した中和剤の少なくとも一種を0.001〜1重量部含有させる。
中和剤の含有量は、熱可塑性樹脂100重量部当り、0.01〜0.5重量部の範囲であることが好ましく、0.05〜0.2重量部の範囲であることがより好ましい。
中和剤の含有量が熱可塑性樹脂100重量部当り0.001重量部未満である組成物は、溶融混練時に十分な酸化防止性能が得られない。一方、中和剤の含有量が熱可塑性樹脂100重量部当り1重量部を超えて配合しても、熱可塑性樹脂の酸化防止性能は変わらず、経済的には不利となる。
本発明(ii)において、中和剤を混合する方法は特に限定されない。例えば、中和剤と熱可塑性樹脂を直接混合する方法、予め中和剤を高濃度に配合したマスターバッチを熱可塑性樹脂に混合する方法やサイドフィーダーを通して直接熱可塑性樹脂に中和剤を混練混合する方法等が挙げられる。
また、本発明(ii)において、リン系酸化防止剤、無機アンチブロッキング剤、中和剤を樹脂に配合する順番は特に限定されない。例えば、リン系酸化防止剤、無機アンチブロッキング剤及び中和剤を一括して樹脂に配合する方法;無機アンチブロッキング剤と中和剤を予め熱可塑性樹脂に配合した後にリン系酸化防止剤を配合する方法等が挙げられる。無機アンチブロッキング剤と中和剤を予め樹脂に配合した後にリン系酸化防止剤を配合する方法が好ましい。
本発明の(i)及び(ii)においては、上記の熱可塑性樹脂、リン系酸化防止剤及び無機アンチブロッキング剤以外に、上記リン系酸化防止剤以外の少なくとも一種の酸化防止剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤や防曇剤等を配合することもできる。
本発明の(i)及び(ii)において使用できる上記リン系酸化防止剤以外の酸化防止剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤や顔料としては、例えば以下のものが挙げられる。
<上記リン系酸化防止剤以外の酸化防止剤>
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル 3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、トリエチレングリコール ビス(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス (3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス (3,5−ジ−t−ブチル4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、2,2’−メチレンビス (6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス (6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス (6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル アクリレート、2−(1−(2−ヒドロキシ−3,5−t−アミルフェニル)エチル)−4,6−ジ−t−アミルフェニル アクリレート、ジアルキル(C12−18) 3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチル テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等。
<光安定剤>
2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジ−t−ブチルフェニル 3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等。
<滑剤>
パラフィン、ポリエチレンワックス、ステアリン酸、ブチルステアレート、硬化ひまし油、ステアリルアルコール、ステアリン酸カルシウム等。
<帯電防止剤>
第1級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アミン塩やピリジン誘導体等のカチオン系帯電防止剤;硫酸化油、石鹸、硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸化エステル塩類、脂肪アルコール硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸エチルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩や燐酸エステル塩等のアニオン系の帯電防止剤;多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノまたは脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物やポリエチレングリコール等の非イオン系の帯電防止剤;カルボン酸誘導体やイミダゾリン誘導体等の両性系の帯電防止剤
<防曇剤>
ステアリン酸 モノグリセリド、オレイン酸 モノグリセリド、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ソルビタン モノラウレートやソルビタン モノステアレート等。
本発明(ii)の製造法において、熱可塑性樹脂組成物の製造に用いる装置としては、例えば、タンブラーブレンダー、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサー等の混合機;単軸又は多軸の押出し機;ニーダーやバンバリーミキサー等が挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、リン系酸化防止剤と、固体酸量が1g当り100μmolを超える無機アンチブロッキング剤と、必要に応じて使用される上記リン系酸化防止剤以外の酸化防止剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤や顔料等を、例えば、タンブラーブレンダー、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサー等混合機で予め均一に混合した後、単軸押出し機や多軸の押出し機で溶融混練造粒する方法;ニーダーやバンバリーミキサー等で溶融混練した後に押出し機を用いて造粒する方法等が挙げられる。
以下、実施例等により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[各例で使用した無機アンチブロッキング剤]
C−3:水澤化学工業(株)製の「インシュライト MC−6」(アルミノシリケート)
C−4:グレフコ(株)製の「ダイカライト WF」(珪藻土)
C−5:水澤化学工業(株)製の「ミズカシル P−707」(合成シリカ)
[実施例1の樹脂組成物の調製]
未安定化ポリエチレンのパウダー100重量部に、上記C−5の0.1重量部と琥珀酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物の0.1重量部をラボプラストミルで配合した。その後、上記B−1の0.2重量部を添加し、熱可塑性樹脂組成物を混練して均一な樹脂組成物とした。 この樹脂組成物を細かく裁断して、ペレットを得た。
[無機アンチブロッキング剤の固体酸量の測定例1]
上記C−5の1gを遠心沈降管にとり、0.02Nのジエタノールアミンのメチルイソブチルケトン溶液50mlを加えて1時間超音波分散を行った。超音波分散後に得られた液を13000rpmで30分間遠心分離し、得られた上澄み液10mlを採取した。採取した上澄み液をメチルイソブチルケトン100mlで希釈した。この希釈液を0.01Nの過塩素酸のメチルイソブチルケトン溶液で逆滴定して、試料C−5の1g当りの固体酸量(μmol)を算出した。
[無機アンチブロッキング剤の固体酸量の測定例2]
上記C−3の2gを遠心沈降管にとり、0.01Nのジエタノールアミンのメチルイソブチルケトン溶液30mlを加えて1時間超音波分散を行った。超音波分散後に得られた液を13000rpmで30分間遠心分離し、得られた上澄み液10mlを採取した。
採取した上澄み液をメチルイソブチルケトン100mlで希釈した。この希釈液を0.01Nの過塩素酸のメチルイソブチルケトン溶液で逆滴定して、試料C−3の1g当りの固体酸量(μmol)を算出した。
[保存安定性試験]
前記熱可塑性樹脂組成物の調製例で得たペレットを50℃で80%相対湿度の条件下に保存した。保存後、ソックスレー抽出して得たリン系酸化防止剤を含む液をガスクロマトグラフィー又は液体クロマトグラフィーにより分析して、上記ペレット中の酸化防止剤の含有量を求めた。保存開始時のペレット中のリン系酸化防止剤含有量を100としたときの保存終了後の含有量を残存率(%)で表した。
実施例1〜4、比較例1、及び、参考例1〜3
実施例2〜4及び比較例1〜4は、前記実施例1の樹脂組成物の調製に準じて、ペレットを製造した。また、実施例1〜4及び比較例1で使用した無機アンチブロッキング剤中の固体酸量は、前記固体酸量の測定例1に準じて測定した。比較例2〜3で使用した無機アンチブロッキング剤の1g当りの固体酸量は、前記固体酸量の測定例2に準じて測定した。
Figure 0004626296
*1・・熱可塑性樹脂100重量部当りの添加部数(重量)
本発明により得られる熱可塑性樹脂は、例えば、包装材料用フィルム等の用途に用いられる。

Claims (2)

  1. 次の(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、(A)の樹脂100重量部当り、(B)の酸化防止剤が0.001〜1重量部であり、(C)の無機アンチブロッキング剤が0.001〜5重量部であり、(D)の中和剤が0.001〜1重量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
    (A)熱可塑性樹脂
    (B)トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、又は、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン
    (C)固体酸量が、1g当たり100μmolを超える無機アンチブロッキング剤
    (D)ヒンダードピペリジン化合
  2. 熱可塑性樹脂(A)の100重量部と、次の酸化防止剤(B)の0.001〜1重量部と無機アンチブロッキング剤(C)の0.001〜5重量部と中和剤(D)の0.001〜1重量部を配合し、溶融混練することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造法。
    (A)熱可塑性樹脂
    (B)トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、又は、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン
    (C)固体酸量が1g当り100μmol以下である無機アンチブロッキング剤
    (D)ヒンダードピペリジン化合
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