JP4624122B2 - 眼科装置 - Google Patents
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Description
ところで、角膜表面は通常、涙液等に覆われ、その表面にはなめらかな液状の層が形成されている。この涙液層は、瞬目して開瞼した後、まぶたを開け続けると時間の経過に伴って徐々に厚みが減少し、やがて消滅する。モニタ等を長時間凝視した場合、まばたきの回数が減り、涙液層が消失した状態(いわゆる、ドライアイと呼ばれる乾燥状態)となる。また、モニタ等を凝視しない場合でも、涙液層の消失する速度には個人差があり、短時間で乾燥状態となってしまう人々もいる。このように短時間でドライアイとなる人々は、日常生活において角膜またはまぶたに異物感を感じ、眼科を受診することが多い。
眼科においてドライアイ状態を主訴する人々を診察する場合、角膜表面上に形成される涙液層の状態を測定し、その時間変化を観察することが重要となる。開瞼後の涙液層の経時的な変化を捉えることで、涙液層の消失状況を知ることができるためである。このため、角膜表面に形成される涙液層の状態を測定するための眼科装置が開発されている(例えば、特許文献1,2)。
なお、特許文献1の段落(0033)には、被検眼に蛍光染色液を点眼することなくドライアイ状態を測定できる旨が記載されている。すなわち、ハロゲンランプの照明のみで撮影される画像から、涙液層の表面と裏面からの反射による干渉模様を観察し、その経時変化から角膜表面の乾燥度を検出することが記載されている。しかしながら、角膜表面全体を均一に照明し、涙液層の表面と裏面からの反射による干渉模様を観察することは容易ではなく、角膜表面の乾燥度を精度良く検出することはできない。このため、ドライアイ状態を正確に診断するためには蛍光染色液が不可欠であった。
また、本願に係る他の態様の眼科装置は、被検眼の角膜表面に形成される涙液層の状態を測定する眼科装置であり、角膜表面に所定パターンの光を投影する手段と、投影された光の角膜表面からの反射像を撮影する手段と、撮影手段で撮影された画像の濃度値分布に基づいて、撮影された反射像の歪み度を算出する手段と、算出された歪み度を用いて涙液層の状態を判定する手段と、を有する。
この眼科装置では、被検眼の角膜表面に所定パターン(例えば、リング状パターン、格子状パターン等)の光を投影し、角膜表面からの反射像(例えば、リング像、格子状像等)を撮影する。涙液層の状態が変化すると、撮影手段で撮影される反射像も変化し、撮影される反射像が歪む。この眼科装置では、撮影手段で撮影される反射像の歪みを利用して涙液層の状態を判定する。反射像の歪みは、撮影された画像の濃度値分布に基づいて算出する。このため、角膜形状を測定できないような場合(例えば、リング状パターンの光を角膜表面に投影する場合において、隣り合うリングが重なったり、リングが途中で途切れたりするとき)であっても反射像の歪み度を算出でき、涙液層の状態を定量的に評価することができる。
また、被検眼の角膜表面には所定パターンの光が投影されるため、撮影される画像には、濃度値の高い部分(光が投影された部分)と、濃度値の低い部分(光が投影されていない部分)が含まれる。このため、反射像の歪みを精度よく算出することができ、蛍光染色液を用いることなく涙液層の状態を定量的に評価することができる。
この説明から明らかなように、角膜表面に投影するパターン光に応じて上記「所定の位置関係」を設定し、その「所定の位置関係」となる画素間の濃度値の関係を求めることで、反射像の歪み度を算出することが好ましい。
また、撮影された画像のフラクタル次元(複雑さをあらわす指標)を用いて歪み度を算出することができ、あるいは、濃度ヒストグラムを用いて歪み度を算出してもよい。さらに、上記の各指標(コントラスト、テクスチャーの一様性、濃淡対の相関、エントロピー、フラクタル次元、濃度ヒストグラム等)のいくつかを組み合わせて歪み度を算出することもできる。
あるいは、格子状のパターン光を投影した場合においては、細線化された各ラインについて直線度を算出し、その直線度を歪み度を表す指標(パラメータ)とすることができる。直線度としては、例えば、細線化されたパターン上の各点の座標を(x、y)としたときのdy/dx(又はdx/dy)の絶対値をx方向(又はy方向)に積分した値を用いることができる。
また、涙液層の状態の変化が激しくなるとパターンが途切れる場合が生じるため、細線化されたパターンが途切れている点の数によって歪み度を算出することもできる。
また、角膜表面の複数個所に点状の光を投影し、反射像の座標変化の程度を歪み度の指標として用いることもできる。
このような構成によると、撮影によって得られた複数の画像の1つを基準画像とし、基準画像の歪み度と他の画像の歪み度の変化量から涙液層の状態を判定する。反射像の歪み度の変化量を利用することで、涙液層の状態の経時的変化を評価することができる。
また、算出された歪み度の変化量を利用して、(1)ブレークアップ(ドライスポットが現れる)までの時間、(2)ブレークアップする速度、(3)ブレークアップした面積、(4)ブレークアップ率等を算出することもできる。これらの指標によってドライアイ状態を総合的に評価することができる。
このような構成によると、眼科医は被検者に応じて適切な閾値を設定し、検査を行うことができる。
このような構成によると、角膜表面上の位置と、その位置における涙液層の状態とを定量的に評価することができる。例えば、角膜表面のどの位置からドライスポットが発生しているか等を知ることができる。
このような構成によると、瞬目した直後に撮影された画像を基準画像とするため、涙液層の経時変化を正確に評価することができる。また、涙液層の状態が所定の状態と判定した後は処理を行わないため、効率的に涙液層の状態を評価することができる。
このプログラムを従来からある角膜形状解析装置等にインストールすることで、涙液層の時間経過に伴う変化を定量的に評価することができる。
図1に示すように、本実施形態の眼科装置は、被検眼Cの角膜に対向して位置決めされるコーン(01)と、コーン(01)の背面に配置された照明装置(02)(例えば、LED等)を備えている。図2に示すようにコーン(01)は、内部が中空の円錐形状の筒体であり、透明樹脂によって形成されている。コーン(01)の内壁面には同心円状のパターンが印刷された透明フィルムが貼り付けられる一方で、コーン(01)の外壁面には光を反射する塗装が施されている。したがって、コーン(01)の背面に配置された照明装置(02)による照明光は、コーン(01)内で散乱し、内壁面に貼り付けられた透明フィルムによって光の一部が遮られ、被検眼Cの角膜に投影される。これによって、被検眼の角膜には、図3に示すような同心円状のパターン光が投影される。なお、コーン(01)によって所望のパターンを投影する方法としては、コーン(01)の内側に所望のパターンを直接切削し、その部分に遮光性の塗装を施す方法を採ることもできる。
照明装置(02)の背面にはレンズ(03)及びハーフミラー(04)が配置される。ハーフミラー(04)には、固視灯点光源(06)の光がレンズ(05)を介して入射するようになっている。固視灯点光源(06)の光は、ハーフミラー(04)で反射され、レンズ(03)を透過してコーン(01)に入射する。コーン(01)に入射した光は、コーン(01)の中央開口部から被検眼Cの角膜に照射される。図3に示すように、固視灯点光源(06)の光はコーン(01)によって形成される同心円状パターンの中心に位置するように調整されており、角膜観察時の固視灯となる。また、被検眼Cの角膜表面で反射された光(すなわち、角膜表面に投影された同心円状パターンの光と固視灯の光の反射光)は、は、コーン(01)、レンズ(03)及びハーフミラー(04)を透過し、レンズ(07)によって焦点調整が行われた後にCCDカメラ(08)で観察される。
なお、上述した眼科装置で角膜形状を正確に計測するためには、被検眼Cの角膜頂点を中心とする同心円状にリングパターンを投影する必要がある。このため、角膜形状計測時には固視灯点光源(06)を点灯し、その光を被検者に固視させる。検者はCCDカメラ(08)で観察される固視灯点光源(06)の光が画像中央となるように、被検眼Cに対して光学系の位置を調整する。これによって、被検眼Cの角膜頂点を中心とする同心円状にリングパターンが投影されることとなる。
コントローラ(12)は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータによって構成することができる。コントローラ12には、CCDカメラ(08)、撮影開始スイッチ(11)、入力装置(13)及びメモリ(10)が接続されている。撮影開始スイッチ(11)と入力装置(13)は検者によって操作される。検者が撮影開始スイッチ(11)を操作すると、コントローラ(12)は所定のプログラムを起動して、角膜表面に形成される涙液層の時間経過に伴う変化量を測定し、ドライアイの状態か否かを判定する。ドライアイの状態か否かを判定するための閾値(後で詳述する)は、入力装置(13)から変更することができる。閾値を変更することで、被検者の症例に応じた測定を行うことができる。なお、CCDカメラ(08)によって撮影された画像データはコントローラ(12)に入力され、メモリ(10)等に記憶される。
また、コントローラ12には、照明装置(02)、固視灯点光源(06)及び表示装置(09)が接続されている。コントローラ(12)は、照明装置(02)及び固視灯点光源(06)のON/OFFを行い、また、CCDカメラ(08)で撮影された画像等を表示装置(09)に表示する。
図5に示すように、まず、検者は固視灯点光源(06)を点灯し、被検者に固視灯を固視するよう指示する(S01)。固視灯点光源(06)が点灯されると、CCDカメラ(08)で観察される画像が表示装置(09)に表示される。表示装置(09)には、固視灯点光源(06)による輝点と、被検眼Cの角膜の画像が表示される。なお、固視灯点光源(06)と照明装置(02)の点灯は同時に行うようにしてもよい。
次に、検者は表示装置(09)に表示される被検眼の前眼部が画面上の中央に位置するように(すなわち、固視灯点光源(06)による反射光が角膜Cの中央に位置決めされるように)、被検眼Cに対して光学系の位置調整を行う(S02)。
光学系の位置調整が終了すると照明装置(02)を点灯し、被検眼Cの角膜表面に同心円状のパターン光を投影する(S03)。次に、検者は、被検者にいったん閉瞼させて均質な涙液層を角膜表面に形成させ、被検者が開瞼すると同時に撮影開始スイッチ(11)を操作する(S04)。
検者によって撮影開始スイッチ(11)が操作されると、コントローラ(12)は、CCDカメラ(08)を操作して、角膜表面からの反射パターンを所定の時間間隔で所定コマ数だけ撮影する(S05)。本実施形態では、撮影開始スイッチ(11)が操作されてから10秒が経過するまで、1秒毎に角膜表面からの反射パターンを撮影する。したがって、ステップS05の処理によって11枚の角膜表面画像が撮影される。撮影された一連の画像は、メモリ(10)に時系列順に格納される。図6にはステップS05の処理によって取得された一連の画像が時系列順に示されている。なお、ステップS05の撮影処理が完了するまでは、検者に瞬目をしないよう指示しておく。
本実施形態では、図12に示すように、画像データの中心O(角膜Cの中央)から周方向に等角度間隔で複数の分割線L1,L2・・を設定し、その分割線L1,L2・・とリング像R1,R2・・の交点P11,P12・・を求める。そして、各交点Pijの近傍の領域Tijを画像処理の対象となる領域として設定している。したがって、本実施形態では交点Pijの数(i×j)だけ画像処理の対象となる領域が設定されている。そして、設定された領域Tij毎に画像特徴量が算出され、その領域における涙液層の経時変化が評価される。
なお、本実施形態では、基準画像(t=0秒)に対してだけ各交点Pijの座標を算出して画像処理対象領域Tijを設定する。そして、その後に撮影された画像に対しては分割線Liとリング像Rjの交点の座標を算出することなく、設定された画像処理対象領域Tijについて画像特徴量を算出している。
図8(a)には、画像処理の対象となる領域を簡略化して(5×5)の画素数で示しており、各画素の濃度値がそれぞれ示されている。なお、画素の濃度値は4レンジに分類され、0〜3の数字であらわされている。例えば、座標(0,0)の画素の濃度値は「0」であり、座標(2,2)の画素の濃度値は「2」となっている。
図8(b)には図8(a)の画像に対してδ=(1,0)として求めた同時濃度生起行列Pδ(i,j)を示している。δ=(1,0)としたため、水平方向(m方向)に隣り合う画素同士の濃度値の関係がiとjとなる個数を求めたものが同時濃度生起行列Pδ(i,j)となる。例えば、図8(b)において太い黒線で囲まれた要素(i,j)=(2,1)の個数は、図8(a)において濃度値「2」の画素の隣(水平方向)に濃度値「1」の画素が存在する個数となり、図8(a)の太い黒線で囲まれた部分となる。このため、Pδ(2,1)=3となっている。
なお、濃度値「2」の画素の隣(水平方向)に濃度値「1」の画素が存在する個数は、濃度値「1」の画素の隣(水平方向)に濃度値「2」の画素が存在する個数と同一となる。このため、同時濃度生起行列Pδ(i,j)は対称となっている。また、図8の例では、画素の濃度値を4レンジとしているため、同時濃度生起行列Pδ(i,j)は4×4の行列となっている。
上述したことから明らかなように、同時濃度生起行列Pδ(i,j)はδ=(Δm,Δn)で設定される位置関係にある画素同士の濃度値の関係をあらわす。したがって、角膜表面に投影される光のパターンに応じたδを設定することで、同時濃度生起行列Pδ(i,j)を用いて画像特徴量(すなわち、パターン像の歪み)を算出することができる。本実施形態では、各画像処理対象領域に対してパターン光に沿った方向にδを設定している。すなわち、δによって設定される画素間の方向はパターン光の形状を考慮して設定することが好ましく、また、δによって設定される画素間の距離はCCDカメラ(08)の解像度を考慮して設定することが好ましい。
(1)コントラスト
コントラストは、δ=(Δm,Δn)で設定される位置関係にある画素同士の濃度値の差が大きい要素が多いほど大きくなる。したがって、δ=(Δm,Δn)によってパターン上の画素同士の濃度値が比較されるように設定すると、パターン像に歪みがなければ画素同士の濃度値は同一となるため、算出されるコントラストは小さくなる。一方、パターン像の歪み度が大きくなるのに応じて、コントラストは徐々に大きくなる。なお、コントラストは、下記の式で算出することができる。
テクスチャーの一様性は、特定の画素対(例えば、同一濃度値の画素対)が多く存在する場合に大きくなる。したがって、δ=(Δm,Δn)を適切に設定することで、テクスチャーの一様性によってパターン像の歪みを表すことができる。なお、テクスチャーの一様性は、下記の式で算出することができる。
濃淡対の相関は、方向性の強さを示す指標であり、ある方向に周期性パターンが見られる場合に値が大きくなる。本実施形態では、図9,10に示すように略等間隔のリング状にパターン光を投影する。このため、このリングパターンと直行する方向にδを設定すると、パターン像に歪みがなければ、その方向には濃度値の高い領域(パターン光が投影されている画素)と濃度値の低い領域(パターン光が投影されていない画素)が周期的に現れることとなる。このため、濃淡対の相関によってパターン像の歪み度を表すことができる。なお、濃淡対の相関は、下記の式で算出することができる。ここで、μx, μyはP(i,j)のx方向(横方向)、y方向(縦方向)平均、σx,σyは同じく標準偏差を表している。
エントロピーは、一般的に情報などの不確定性が減った度合い(安定性)を表し、P(i,j)が均等に割り当てられている程値が大きくなる。上記(2)のテクスチャーの一様性とは逆の性質を持つ。テクスチャーの一様性によってパターン像の歪みを表すことができることから、エントロピーによってもパターン像の歪みを表すことができる。なお、エントロピーは、下記の式で算出することができる。
図9から明らかなように、開瞼直後は角膜表面で反射された反射像(リングパターン)が明確に認識でき、涙液層が非常に安定していることがわかる。一方、図10から明らかなように、開瞼から2秒後では角膜表面で反射された反射像(リングパターン)が滲んでおり、特に、角膜中心から左側の領域においてその乱れが顕著である。このため、図11に示すように、角膜中心から左側の領域において画像特徴量の変化量も大きくなっている。以上の説明から明らかなように、反射像(リングパターン)の歪みが大きくなると画像特徴量の変化量も大きくなり、画像特徴量を利用することで反射像(リングパターン)の歪みを定量的に評価することができる。
ステップS18では、コントローラ(12)は、基準画像の対応する領域の画像特徴量と比較画像の対応する領域の画像特徴量との差を算出する(S20)。
ステップS22に進むと、コントローラ(12)は全ての領域について画像特徴量の差が閾値を超えたか否かを判定する。なお、この閾値は、入力装置(13)によって変更できることは既に説明している。
全ての画像について画像特徴量を算出している場合(ステップS24でYES)はそのまま処理を終了する。この場合は、ドライアイ状態が観察されなかったこととなる。一方、全ての画像について画像特徴量を算出していない場合(ステップS24でNO)は、ステップS16に戻ってステップS16からの処理を繰り返すこととなる。これによって、順次、比較画像が読み出され、画像特徴量が算出されて涙液層の状態(ドライアイ状態か否か)が判定されることとなる。
すなわち、従来の角膜形状解析装置では、角膜に投影されたリングパターンのうち、角膜表面の涙液層の乱れによって、そのリングパターンの反射像が滲んだり隣同士で癒着したりしたような部位は、通常、計測欠点として扱われ、周囲の数値からその部位の数値が補間されていた(すなわち、計測欠点の情報は解析に用いられていなかった)。これに対して、本実施形態では、従来は用いられなかった計測欠点を生じる部位の情報をあえて活用し、これによって、角膜をおおう涙液層の時間的変化を精度よく計測している。
例えば、角膜表面に投影される投影パターンは同心円状のものに限られず、その形状等は任意に設定することができる。なお、投影パターンは、角膜全面に、均一で、かつ、偏在することなく光を投影できるものであることが好ましい。角膜全面を均一に評価するためである。
また、画像内に設定される評価領域(画像特徴量を算出する領域)は、投影パターンに応じて適宜決定することができる。また、反射像の歪みをあらわす指標である画像特徴量は、種々の方法によって算出することができ、上述した実施の形態に記載したものには限られない。
また、角膜表面からの反射パターンを撮影する回数や、その時間間隔は種々に設定することができる。例えば、最大開瞼時間内に5〜10程度の画像を撮影することができるように決定することができる。また、撮影間隔も等間隔とする必要は必ずしもない。
また、上述した実施形態では、被検眼に対する光学系のアライメントをマニュアルで行うようにしたが、光学系のアライメントは自動で行うようにしてもよい。
02:照明装置
03:レンズ
04:ハーフミラー
06:固視灯点光源
08:CCDカメラ
10:メモリ
12:コントローラ
Claims (7)
- 被検眼の角膜表面に形成される涙液層の状態を測定する眼科装置であって、
角膜表面に同心円状の複数のリング光を投影する手段と、
投影された複数のリング光の角膜表面からの反射像である複数のリング像を撮影する手段と、
撮影手段で撮影された画像の濃度値分布に基づいて、撮影されたリング像の歪み度を算出する手段と、
前記撮影手段により角膜表面からのリング像を所定の時間間隔で繰り返し撮影させると共に、撮影された画像のそれぞれについて前記算出手段により歪み度を算出させる繰返し手段と、
撮影された画像のそれぞれについて算出された歪み度を用いて涙液層の状態を判定する手段と、を有しており、
前記算出手段が、リング像の歪み度として、リング像と直交する方向に現れる濃度値変化の周期性パターンの強さを示す濃淡対の相関を算出することを特徴とする眼科装置。 - 前記判定手段は、撮影された画像の1つを基準画像とし、その基準画像に対するリング像の歪み度の変化量が設定された閾値を超えたときに、涙液層が消失した状態になったと判定することを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
- 前記閾値を変更する手段をさらに備え、その閾値変更手段は人によって操作可能となっていることを特徴とする請求項2に記載の眼科装置。
- 撮影手段で撮影される画像には、画像データの中心から周方向に等角度間隔で複数の分割線が設定されており、その複数の分割線と複数のリング像との各交点の近傍に設定領域が設定されており、前記算出手段は設定領域毎にリング像の歪み度を算出し、前記判定手段は算出された設定領域毎のリング像の歪み度の変化量に基づいて判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の眼科装置。
- 前記判定手段は、撮影手段で撮影された1番目の画像を基準画像として、撮影順にリング像の歪み度の変化量を算出しながら涙液層が消失した状態となったか否かを判定するものであり、かつ、涙液層が消失した状態になったと判定したときに、それ以降に撮影されている画像については判定を行わないことを特徴とする請求項2に記載の眼科装置。
- 前記算出手段は、撮影された画像の濃度値分布に基づいて同時濃度生起行列を算出し、その算出された同時濃度生起行列からリング像の歪み度を算出することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の眼科装置。
- コンピュータを、
照明光学系から角膜表面に同心円状の複数のリング光を投影させる照明制御手段と、
その投影された複数のリング光の角膜表面からの反射像である複数のリング像を撮影装置に撮影させる撮影制御手段と、
撮影装置で撮影された画像の濃度値分布に基づいて、撮影されたリング像の歪み度を算出する手段と、
前記撮影制御手段により角膜表面からのリング像を所定の時間間隔で撮影装置に繰り返し撮影させると共に、撮影された画像のそれぞれについて前記算出手段によりリング像の歪み度を算出させる繰返し手段と、
撮影装置により撮影された画像のそれぞれについて算出されたリング像の歪み度を用いて涙液層の状態を判定する手段と、して機能させるためのプログラムであって、
前記算出手段が、リング像の歪み度として、リング像と直交する方向に現れる濃度値変化の周期性パターンの強さを示す濃淡対の相関を算出することを特徴とするプログラム。
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