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JP4622160B2 - 回折格子一体型旋光子および光ヘッド装置 - Google Patents

回折格子一体型旋光子および光ヘッド装置 Download PDF

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JP4622160B2 JP2001164085A JP2001164085A JP4622160B2 JP 4622160 B2 JP4622160 B2 JP 4622160B2 JP 2001164085 A JP2001164085 A JP 2001164085A JP 2001164085 A JP2001164085 A JP 2001164085A JP 4622160 B2 JP4622160 B2 JP 4622160B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回折格子一体型旋光子および光ヘッド装置に関し、特に高分子液晶を用いた回折格子一体型旋光子、並びに光記録媒体の情報の記録および再生を行う光ヘッド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CD、DVDおよび光磁気ディスクなどの光記録媒体(以下、「光ディスク」という)に情報の記録および再生を行う光ヘッド装置において、半導体レーザからの出射光はレンズにより光記録媒体上に集光され、集光された出射光は光記録媒体で反射され戻り光となる。この戻り光となった出射光はビームスプリッタによって受光素子に導かれ、光記録媒体上の情報が電気信号に変換される。
【0003】
また、光ヘッド装置において、1/2波長板や、1/4波長板、偏光ビームスプリッタなどの素子を用いて、半導体レーザからの光の偏波面などの偏光状態を制御し、光の利用効率の向上、記録および再生の性能の向上を図ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
光ヘッド装置では、光ディスクのトラッキングサーボ用の回折格子と、偏光方向制御用の1/2波長板とが搭載されることがある。光ヘッド装置の小型化、生産性の向上のために、回折格子と1/2波長板の一体化が望まれている。しかしながら、光ヘッド装置の組み立てにおいて、回折格子を光軸の回りに回転調整し、回折光を光ディスク上のトラックに合わせる工程がある。すなわち、回折格子と1/2波長板を一体化したとき、前記工程において、1/2波長板も回折格子とともに回転するため、素子出射光として、所望の偏波面方向をもった光を得ることができなかった。
【0005】
そのため、1/2波長板の代わりに使用する光学素子として、光軸の回りの回転に対して偏波面方向は大きく変化せず、偏波面を所望の値だけ回転させる光学素子が求められていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、透明基板と、透明基板上に形成された断面形状が凹凸状の回折格子と、透明基板上の回折格子とは反対側の面に形成された高分子液晶膜からなる旋光子とを備え、旋光子における液晶分子の配向方向が液晶膜の厚さ方向の軸の回りに捩れている回折格子一体型旋光子を提供する。
【0007】
また、直線偏光を出射する光源と、光源からの出射光を光記録媒体上に集光する対物レンズと、対物レンズにより集光され光記録媒体により反射された出射光を検出する検出器とを備える光ヘッド装置において、光源と対物レンズとの間の光路中に上記の回折格子一体型旋光子が設置されていることを特徴とする光ヘッド装置を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の回折格子一体型旋光子の1例として、図1に示すように、透明基板11上に形成された断面形状が凹凸状の回折格子と、透明基板11の回折格子とは反対側の面に高分子液晶膜13とが配向膜12Aを挟んで一体に形成されている。高分子液晶膜13の液晶分子の配向方向は液晶膜の厚さ方向の軸の回りに捩じれている。さらに、透明基板14が配向膜12Bを挟んで高分子液晶膜13に重ねられ、回折格子一体型旋光子101を構成する。
図1では、波長λの直線偏光が紙面内の上から回折格子一体型旋光子101に入射し透過することで、その偏波面を旋光角度φだけ回転させ、回折光を生じて出射する様子も示している。
【0009】
回折格子一体型旋光子101は以下のように作製する。透明基板11としては、ガラスや石英ガラスなどの光学的に等方性の媒質を用いることができる。透明基板11に形成される回折格子は、透明基板11の材料として、ガラスを用いる場合、ガラス表面に成膜した石英ガラスをフォトリソグラフィとエッチングの技術を用いて加工して作製する。一方、透明基板11の材料として、石英ガラスを用いる場合、石英ガラス基板に直接、フォトリソグラフィとエッチングの技術を用いて作製してもよい。回折格子の格子平面パターンは、直線状の単純格子でも、曲線状のホログラム格子でもよく、用途によって選択できる。
【0010】
上述のように回折格子を形成した透明基板11および透明基板14上に配向膜用の膜を塗布し、おのおの所望の配向処理を施し配向膜12A、12Bとした後、透明基板14上の配向膜12Bに、複屈折性材料である液晶モノマーの溶液を塗布する。つぎに、配向膜12Aの配向処理方向と配向膜12Bの配向処理方向とが交差するようにして、回折格子を形成した透明基板11を重ねる。
【0011】
このとき、液晶モノマーのモノマー分子方向を、配向膜12Aと12Bとに接する位置でそれぞれの配向処理方向に合わせ、液晶層の厚さ方向の軸の回りに徐々に回転させて(捩じらせて)配向させる。すなわち、モノマー分子の方向は配向膜12Aと12Bとに接する位置では配向処理方向に合っている。最後に、光重合用の光源光を照射することにより重合硬化させて高分子液晶膜13とする。高分子液晶膜の液晶分子の配向方向は、液晶膜の膜面に平行であり、配向膜12Aと12Bとに接する位置では、それぞれの配向処理方向に一致している。したがって、高分子液晶の配向方向は高分子液晶膜13の膜内ではらせん状に捩じれている。
【0012】
また、高分子液晶膜13として、異常光屈折率と常光屈折率の差Δnが0.05〜0.25であるものを用いるのが次の理由から好ましい。Δnが0.05より小さいと、高分子液晶膜の膜厚dが厚くなり高分子液晶の配向不良が生じやすい。また、Δnが0.25より大きいと、適切なリタデーション値を得るために、膜厚dを1〜3μmと薄くしなければならず、生産性が低下するおそれがある。
【0013】
図2には、本発明における旋光子の高分子液晶膜13に、波長λの直線偏光が図の右奥から側から入射し、左手前に透過するときにその偏波面を回転させる様子を示している。図2において、高分子液晶膜13の光入射側の液晶分子の配向方向をαA、光出射側の配向方向をαBとする。このとき、入射する直線偏光の偏光方向と入射側の配向方向αAとを揃える(図2では水平方向)ことによって、波長λの直線偏光に対して所望の旋光特性を示し、その旋光角度φは入射側の配向方向αAと出射側の配向方向αBの差|αA−αB|に等しくなる。
【0014】
また、旋光子を透過する直線偏光の直線性を維持できる、高分子液晶膜13の膜厚dは、d=λ/(Δn・E)の関係式から求められる。ここで、係数Eは、図3に示すように、旋光角度φの関数として与えられ、φ=90°のとき、E≒1.13、φ=70°のとき、E≒1.06、φ=45°のとき、E≒1.01である。ここで、≒はほぼ等しいとこを意味する。
【0015】
本発明の回折格子一体型旋光子は、素子に形成された回折格子による回折光の方向を調整するとき、本素子を光軸の回りに回転しても、入射する直線偏光の偏波面はほとんど回転せず所望の値を維持できる。したがって、本発明によると、回折機能と旋光機能を一体化させた素子を実現することができる。また、温度変化に対して良好な透過波面収差を維持することも必要なために、透明基板としてガラス基板などの無機材料からなる光学的に平坦な基板を用いることが好ましい。
【0016】
図4は、上述の回折格子一体型旋光子101を搭載した本発明の光ヘッド装置の1例を示す側面図である。本発明の光ヘッド装置において、光源である半導体レーザ1を出射した直線偏光は、回折格子一体型旋光子101、偏光ビームスプリッタ2の順に透過後、コリメートレンズ3で平行光となり、対物レンズ4によって、光ディスク5の情報記録面上に集光する。ここで、光は回折格子一体型旋光子101を透過するとこにより、回折格子一体型旋光子101の旋光子の部分(高分子液晶膜)によって偏光方向を角度φだけ回転され、回折格子の部分によって複数の光に分けられる(図示せず)。光ディスク5の情報記録面上で反射した光は、対物レンズ4によって、再び平行光となり、コリメートレンズ3、偏光ビームスプリッタ2を経て光検出器6上に集光される。
【0017】
本発明の光ヘッド装置においては、回折格子を一体化した回折格子一体型旋光子101を使用しているので、従来の光ヘッド装置よりも、部品数を減らすことができる。また、回折格子部分により発生する光ディスクのトラッキングに用いる回折光の光ディスク上での集光位置を調整するとき、回折格子一体型旋光子を回転させても、出射する光の偏波面の偏光方向は一定である。結果として、偏光ビームスプリッタ2から安定した光量の往路光を得ることができて、安定した情報の記録および再生ができる。また、本発明の光ヘッド装置は、構成部品数が少なく、かつ組み立て調整が容易にできるので、生産性が高い。
【0018】
【実施例】
「例1」
本例は図1に示した回折格子一体型旋光子101の具体例で、旋光角度φが70°の旋光子である。
【0019】
屈折率が1.5であるガラスの透明基板11の表面を加工し、断面形状が凹凸状で周期が20μmの単純矩形の回折格子を、フォトリソグラフィと、エッチングを用いて形成した。つぎに、透明基板11と透明基板14(屈折率が1.5)に配向膜用のポリイミド膜を塗布しラビングによる配向処理を施して、配向膜12A、12Bとした。つぎに、透明基板14上の配向膜12Bに複屈折性材料である液晶モノマーの溶液を塗布し、配向膜12Aの配向処理方向と配向膜12Bの配向処理方向とが70°に交差するように透明基板11を重ね、光重合用の光源光を照射することで重合硬化させて高分子液晶膜13とし、回折格子一体型旋光子101を作製した。高分子液晶膜13内では、厚さ方向の軸の回りに液晶分子が捩じれている。また、高分子液晶膜13としては、異常光屈折率と常光屈折率との差Δnが0.067であるものを用いて、膜厚dを5.7μmとした。
【0020】
上述のように作製した回折格子一体型旋光子101は、透明基板14側から入射する光が波長405nmの直線偏光であり、その偏波面が配向膜12Bの配向方向に平行なときにその直線性を維持しつつ、その偏波面を70°回転させる旋光子として機能した。また、本例の回折格子一体型旋光子は光軸の回りの回転ズレに対して鈍感であり、±5°の素子の回転に対し、直線偏光の偏波面の回転角は70±0.1°であった。
【0021】
上述のように回折格子一体型旋光子を作製することで、素子に形成された回折格子による回折光の方向を調整するとき、本素子を光軸の回りに回転しても、入射する直線偏光の偏波面が回転する角度は変化せず所望の値を維持できる。したがって、本発明によって、回折機能と旋光機能を一体化させた素子を実現することができた。
【0022】
さらに、本例で作成した複数個の回折格子一体型旋光子101の透過波面収差を測定したところ、いずれの素子も波長633nmで0.01λrms(二乗平均偏差)以下の、低い値となった。この値は、従来の複屈折性を誘起したポリカーボネートなどをガラスなどで挟んだ光学素子の値0.015λrmsに比べ小さく、安定した値である。
【0023】
「例2」
例1で作製された回折格子一体型旋光子101を、図4に示すように、光ヘッド装置の半導体レーザ1と偏光ビームスプリッタ2との間に設置した。波長405nmの直線偏光を発振する半導体レーザ1から出射光を、透明基板14側から回折格子一体型旋光子101に、偏波面方向を配向膜12Bの配向方向に一致させて入射した(図1、図2参照)。
【0024】
このように光ヘッド装置を構成するとき、回折格子一体型旋光子101を±3°の間で回転させて、回折格子一体型旋光子101に形成された回折格子からの回折光の光ディスク5上での集光位置を調整した。このとき、回折格子一体型旋光子101からの出射光の偏波面方向は、入射偏光に対してほぼ70°であった。その結果、回折格子一体型旋光子101を出射した直線偏光の、偏光ビームスプリッタ2透過後の光量変動を、±1.5%以内に抑えることができ、良好な情報の記録および再生特性を示した。また、本例の光ヘッド装置においては、構成部品数が少なく、かつ組み立て調整を容易に実施できた。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の回折格子一体型旋光子は、素子を構成する透明基板に形成された回折格子による回折光の集光位置調整の際、光軸の回りの回転調整に対して偏波面方向を変えることがない。
【0026】
本発明の回折格子一体型旋光子を光ヘッド装置に搭載することにより、素子搭載時に素子の光軸の回りの回転マージンが増し、緒性調整が容易となって生産性を向上できる。また、本発明の回折格子一体型旋光子は回折機能と旋光機能とを一体化しているので、光ヘッド装置の部品数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回折格子一体型旋光子の構成の1例を示す断面図。
【図2】本発明における旋光子が直線偏光の偏波面を回転させる様子を示す概念図。
【図3】実施形態に係る係数Eと旋光角度φの関係を示すグラフ。
【図4】本発明の光ヘッド装置の構成の1例を示す側面図。
【符号の説明】
101:回折格子一体型旋光子
11:透明基板
12A、12B:配向膜
13:高分子液晶膜
1:半導体レーザ
2:偏光ビームスプリッタ
3:コリメートレンズ
4:対物レンズ
5:光ディスク
6:光検出器

Claims (5)

  1. 透明基板と、透明基板上に形成された断面形状が凹凸状の回折格子と、透明基板上の回折格子とは反対側の面に形成された高分子液晶膜からなる旋光子とを備え、旋光子における液晶分子の配向方向が液晶膜の厚さ方向の軸の回りに捩れている回折格子一体型旋光子。
  2. 前記高分子液晶膜の異常光屈折率と常光屈折率の差を△n、入射光の波長をλとすると、前記高分子液晶膜の膜厚dは次式となることを特徴とする請求項1記載の回折格子一体型旋光子。
    d=λ/(△n・E) ただし、1<E≦1.13
  3. 前記高分子液晶膜は、第1の配向膜が形成された第1の透明基板と、前記回折格子が形成された面の反対面に第2の配向膜が形成された第2の透明基板に狭持され、第1の配向膜面と第2の配向膜面における高分子液晶の配向方向が異なることを特徴とする請求項1又は2記載の回折格子一体型旋光子。
  4. 前記高分子液晶膜は、液晶モノマー分子を光照射により重合硬化されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載の回折格子一体型旋光子。
  5. 直線偏光を出射する光源と、光源からの出射光を光記録媒体上に集光する対物レンズと、対物レンズにより集光され光記録媒体により反射された出射光を検出する検出器とを備える光ヘッド装置において、光源と対物レンズとの間の光路中に請求項1乃至4の何れか一項記載の回折格子一体型旋光子が設置されていることを特徴とする光ヘッド装置。
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