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JP4617616B2 - 露光装置及び露光方法 - Google Patents

露光装置及び露光方法 Download PDF

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JP4617616B2
JP4617616B2 JP2001211046A JP2001211046A JP4617616B2 JP 4617616 B2 JP4617616 B2 JP 4617616B2 JP 2001211046 A JP2001211046 A JP 2001211046A JP 2001211046 A JP2001211046 A JP 2001211046A JP 4617616 B2 JP4617616 B2 JP 4617616B2
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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイパネルや集積回路の製造工程において用いられる露光装置に係り、特に、マスクに形成されたパターンを感光基板上に短時間に、短い走査距離で露光できる走査型の露光装置と露光方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の露光装置として、パターンが形成されたマスクを保持して移動するマスクステージと、マスクを照明するマスク照明手段と、感光基板を保持してマスクステージと同期して移動する基板ステージと、感光基板にマスクのパターンを投影する投影光学系とを備える走査型の露光装置がある。このような露光装置においては、投影光学系は通常1つだけ設けられている。また、特開平11−168043号公報に記載のように、2つの投影光学系を有する露光装置もあったが、この露光装置はマスクと基板とを静止した状態でマスクのパターンを露光し、基板を順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート型の露光装置である。前記のような露光装置は、例えば液晶ディスプレイパネルのガラス基板の露光に用いられ、マスクは1μm以下の位置精度でパターンが描画されており、露光装置は感光基板上に複数のマスクのパターンを1μm以下の精度で、複数層に重ねて露光することが要求される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近来、液晶ディスプレイパネル等に使用されるマスクは大面積化され、このような大マスクと感光基板を走査して露光する場合、露光装置は大マスクの寸法の2倍以上の寸法が必要となり大型化してしまうという問題があり、マスクの長さが例えば700〜800mmの場合、露光装置は走査方向の長さが2メートル近く必要となるという問題点があった。このように露光装置が大型化すると、装置の運搬が煩雑となると共に、装置を設置するスペースも大面積が必要となり、搬入も困難となるという問題点があった。
【0004】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、液晶ディスプレイパネル等の大面積のマスクのパターンを小さい走査距離で、しかも短時間で感光基板に露光することができ、露光装置が大型化することなく、運搬、搬入が容易に行え、露光装置の設置スペースの面積を小さくできる露光装置、及び露光方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明による露光装置は、マスク(10)に形成したパターン(11)を、投影光学系(40)を介して感光基板(20)上に露光するとともに、投影光学系に対してマスクと感光基板とを、マスク移動装置(13)及び基板移動装置(22)により所定の走査方向に同期して走査する露光装置において、投影光学系(40,40’)は、走査方向に複数配置されるとともに、マスク(10)に形成されたパターン(11)の領域に応じて、複数の投影光学系の間隔を変える間隔制御手段(50)を備える。間隔制御手段(50)は、パターン領域の走査方向の長さに応じて複数の投影光学系(40,40’)の間隔を変えることが好ましい。この構成によれば、マスクに形成されたパターンは走査方向に複数配置されている投影光学系により、マスクに形成されたパターン領域に応じて、複数の投影光学系の間隔を変えて走査方向に沿って分割して感光基板に投影露光するため、走査距離を短縮することができ、露光時間を短縮して効率良く露光することができる。
【0006】
本発明に係る露光装置の好ましい態様としては、間隔制御手段(50)は、走査方向に隣接する複数の投影光学系(40,40’)で感光基板(20)上に露光されるそれぞれのパターンを、互いに一部が重複するように制御する。この構成によれば、複数の投影光学系は、マスクのパターンを重複させるように、その間隔を制御できるため、マスクの連続するパターンを複数の投影光学系で連続して感光基板に露光でき、走査距離を短縮することができ、露光時間を短縮することができる。
【0007】
また、間隔制御手段(50)は、複数の投影光学系(40,40’)で感光基板(20)上に投影されるパターン像の位置を補正する補正手段(71〜74)を備えることが好ましい。この構成によれば、平行平板ガラス等の補正手段により、マスクの分割されたパターン間の間隔を短くでき、また2つのマスクの余白部分を感光基板上で小さくすることができるため、走査距離の短縮と、露光時間の短縮を達成することができる。さらにマスクの分割されたパターンを感光基板上に連続して露光することができる。
【0008】
複数の投影光学系の各々は、複数の投影レンズモジュール(41A〜41E)で構成されるとともに、走査方向とは直交する方向に並んで配置されると好適である。そして、複数の投影レンズモジュールは、走査方向と直交する方向に千鳥格子状に並んで配置されることが好ましい。この構成によれば、複数の投影レンズモジュールでマスクのパターンを一度に投影できるので、広い面積の露光が可能で露光時間を短縮することができる。
【0009】
複数の投影光学系(40,40’)の各々は、マスクに設けられた互いに独立したパターンを投影するように構成すると好適である。この構成によれば、マスクの独立したパターンを、感光基板上に独立した状態で露光でき、複数の異なるパターンを形成したマスクを使用して、一度に異なるパターンを感光基板上に露光することができる。
【0010】
また、前記の露光装置(1)において、走査方向にマスクをステップ移動させるステップ駆動手段(13)と、マスクの位置を計測する複数の位置計測手段(80,81)と、マスクの位置に応じて複数の位置計測手段の少なくとも1つに切換える切換え手段(85)とを備えるように構成し、ステップ駆動手段はマスクを走査方向に走査する駆動機能を備えるように構成すると好ましい。この構成によれば、1枚のマスクで第1の露光をしたあと、走査方向にマスクをマスク移動装置によりステップ移動して第2の露光を行うことができ、マスクの位置は複数の位置計測手段で正確に計測でき、マスクが移動しても位置計測手段を切換えて、正確な位置測定が可能で、短い走査距離で正確な露光が可能となる。
【0011】
前記の露光装置(1)において、複数の投影光学系毎にマスクと感光基板との位置合わせを行う位置検出手段(60)を備えることが好ましい。この構成によれば、マスクと感光基板との位置合わせを、アライメント光学系とアライメントマークを使用して、複数の投影光学系毎に行うことができるため、複数の投影光学系で露光して走査距離を短縮しても、1つの投影光学系による露光と同等の精度の良い露光が可能となる。
【0012】
さらに、本発明に係る露光方法は、複数の投影光学系(40,40’)を介してマスク(10)のパターンを感光基板(20)に投影するとともに、マスクと感光基板とを複数の投影光学系に対して相対的に走査して露光する露光方法において、複数の投影光学系の間隔を、感光基板の相対的に走査する方向の長さに応じて調整する第1ステップと、第1ステップで間隔を調整された複数の投影光学系を介してパターンを感光基板に露光する第2ステップとを有する。
【0013】
このように構成された本発明の露光方法は、走査方向に複数配置されている投影光学系により、マスクに形成されたパターン領域に応じて、投影光学系の間隔を変えてマスクのパターンを感光基板に露光することができ、パターンの走査方向の長さに応じて効率良く露光することができ、マスク及び感光基板の走査距離を短くできるとともに、露光時間を短縮することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る露光装置の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る露光装置の一部を破断した状態の正面図、図2は、図1のA−A線断面図、図3は、図1の一部を省略した左側面図である。図1〜3において、走査型の露光装置1は、マスク10に形成したパターン11,11(図2参照)を感光基板20に露光するものであり、マスクの上方に位置する照明光学系30,30’でパターン11を照明し、投影光学系40,40’を介して下方に位置する感光基板20に投影して露光し、投影光学系に対してマスク10と感光基板20とを所定の走査方向に同期して走査するものである。すなわち、マスク10はマスクステージ12に保持され、駆動手段であるマスク移動装置13により−X方向に走査される。また、感光基板20は基板ステージ21に保持され、マスク10と同期して−X方向に基板移動装置22により走査される。基板移動装置22としては、ボールネジやリニアモータ等が用いられる。リニアモータを用いた場合、基板ステージ21の走査方向(X方向)に伸びて2列設けるようにしてもよい。
【0015】
マスクステージ12及び基板ステージ21の一方の側辺にはミラー4が固定され、このミラーに干渉計5のビームが当たっており、マスクステージ12及び基板ステージ21の−X方向の走査におけるY方向の微動を全走査行程において計測する。本例では、マスク10はY方向微動装置6によりY方向にも僅かに移動することができ、感光基板20も同様にY方向微動装置7によりY方向にも僅かに移動することができる。マスクステージ12及び基板ステージ21の一方の端辺にはミラー8が固定され、このミラーに干渉計9のビームが当たっており、その反射ビームを検出してX方向の位置を測定するものであり、マスク10と感光基板20の相対位置に誤差が生じないように制御する。
【0016】
本発明の露光装置1は、走査方向に2個並んで配置された投影光学系40,40’を備えていることを特徴としており、マスク10に形成したパターン11を、各投影光学系を介して感光基板20上に露光する。照明光学系30,30’は、2個の投影光学系40,40’に対して、それぞれ独立して設置されている。すなわち、第1投影光学系40と、第2投影光学系40’とがX方向に縦列に間隔Pを有して配置され、それぞれに対応して第1照明光学系30と第2照明光学系30’が設置されている。したがって第1、第2照明光学系30、30’と第1、第2投影光学系40、40’との間にマスク10が位置し、マスク10のパターン11は第1投影光学系40及び第2投影光学系40’によって感光基板20に投影され、1つの感光基板20に対して同時に2個の投影光学系によってパターン露光を行うように構成されている。
【0017】
ここで、同一構成である照明光学系30,30’のうちの一方について、詳細に説明する。照明光学系30は、走査方向と直交するY方向に沿って間隙を有して配列した3個の第1の照明レンズモジュール30A〜30Cと、間隙を走査方向に所定ピッチ(d)移動した位置に3個のモジュールの配列方向と平行に配列した2個の第2の照明レンズモジュール30D,30Eとの5つの照明レンズモジュール30A〜30Eから構成され、走査方向とは直交する方向に千鳥格子状に並んで配置されている。
【0018】
照明光学系30の1つのモジュール30Aについて、図4を参照して説明する。超高圧水銀ランプ等の光源31から射出された露光光は楕円鏡31aによって集光され、ダイクロイックミラー32で反射されたのち、投影光学系40への照射を選択的に制限するシャッター33を通して、波長選択フィルタ34に導かれる。波長選択フィルタ34を透過した露光に必要な波長の光は、フライアイインテグレータ35によって均一な照度分布を有する光束に変換され、反射ミラー36を介してコンデンサレンズ37に入射され、視野絞り38によって例えば台形状に成形される。視野絞り38を通過した光束はマスク10上に照射され、マスクを台形状の照明領域39aで照明する。1つのモジュール30Aは前記のように構成され、照明光学系30は、他の4個の同一構成のモジュール30B〜30Eと共にマスク10に形成されたパターン11,11を、5つの照明領域39a〜39eを合成して照明するものである。
【0019】
次に、投影光学系40,40’のうちの一方について、詳細に説明する。投影光学系40は走査方向と直交するY方向に沿って並んで配置され、Y方向の間隙を有して配列した3個の第1の投影レンズモジュール41A〜41Cと、間隙を走査方向に所定距離(d)移動した位置に3個の第1の投影レンズモジュールの配列方向と平行に配列した2個の第2の投影レンズモジュール41D,41Eとから構成され、照明光学系30の各照明レンズモジュール30A〜30Eと対応している。
【0020】
投影光学系40は、照明領域39a〜39eを第1及び第2の複数の投影レンズモジュールで投影した複数の投影領域42a〜42eを合成して、マスク10のパターン11を感光基板20に露光するものである。3個の第1の投影レンズモジュール41A〜41Cと、2個の第2の投影レンズモジュール41D,41Eは、それぞれの間隙を補完するように千鳥格子状に並んで配置されている。投影光学系40,40’の間隔Pは、後述する間隔制御手段50により変えることができ、平行に配列した2個の投影レンズモジュールのピッチをdとし、各投影レンズモジュールの投影領域の幅をsとする。このピッチdと幅sは、照明光学系30,30’にも全く同じに設定されている。
【0021】
図5を参照して、1個の投影レンズモジュール41Aについて説明する。1個の投影レンズモジュール41Aによって、感光基板20上に投影されるのは照明領域39aと同形状の台形状の投影領域42aに相当するパターン像であり、マスク10上に形成されているパターン11の一部の像である。走査型露光装置1では、複数の投影レンズモジュール41A〜41Eによって投影される複数の台形状の投影領域42a〜42eに相当するパターン像を合成すると共に、マスク10を保持するマスクステージ12をマスク移動装置13により−X方向に走査し、感光基板20を保持する基板ステージ21を基板移動装置22によりマスク10と同期して−X方向に走査し、マスク10上の照明領域39及び投影光学系40の投影領域42に対して、マスク10及び感光基板20を移動走査することで、マスク10上に形成されているパターン11の全てを感光基板20上に転写する。
【0022】
1個の投影レンズモジュール41Aの構成について詳細に説明すると、投影光学モジュールは、2組のダイソン型光学系を上下に組み合わせた構成を有し、第1の部分光学系43〜45と、視野絞り46と、第2の部分光学系47〜49から構成される。第1の部分光学系は、マスクに面して±45゜の傾斜で配置された2個の反射面を持つ直角プリズム43と、マスクの面内方向に沿った光軸を有するレンズ44及び凹面鏡45を有する。第2の部分光学系は、マスクに面して±45゜の傾斜で配置された2個の反射面を持つ直角プリズム47と、マスクの面内方向に沿った光軸を有するレンズ48及び凹面鏡49を有する。前記の構成により、投影レンズモジュール41Aは、マスク10の照明領域39aを感光基板20上に正立等倍実結像(正立正像)で投影した投影領域42aを形成する。
【0023】
投影レンズモジュールの具体的な構成は特に限定されないが、投影レンズモジュール41Aは、照明領域39a〜39eによって規定される台形状の視野領域を、感光基板20上に等倍の正立像として投影するものであり、感光基板上で互い違いに配置された2列の投影領域42a〜42eとなる。すなわち、感光基板上では投影光学系ユニット40によってY軸方向に沿って2列に互い違いに配列された5個の台形状の投影領域が形成され、この投影領域の範囲内で感光基板20は露光される。感光基板上に形成される各投影領域のY方向の端部は隣接する投影領域の間で、X方向には所定のピッチdで離れており、Y方向には相互に一致するように構成されている。
【0024】
また、本発明の露光装置1は、マスク10に形成されたパターン領域に応じて、例えばパターン領域11の走査方向の長さに応じて、複数の投影光学系40,40’の間隔Pを変える間隔制御手段50を備える。間隔制御手段50は、例えば第1投影光学系40に対して第2投影光学系40’を移動して、両者の間隔Pを変更するものであり、本例では第1投影光学系40を固定し、第2投影光学系40’を移動するように構成している。第2投影光学系40’は、マスク10及び感光基板20の外部において、走査方向に沿って水平に位置するガイド51,52に移動可能に支持され、リニアモータによって水平方向に移動可能に構成されている。ガイド51,52は装置躯体(図示せず)に強固に固定され、第2投影光学系40’を高精度に移動することができる。なお、図示していないが、第2照明光学系30’も第2投影光学系40’に同期して移動するように、同様の構成の間隔制御手段を備える。また、例えば第2照明光学系30’に対してもガイドを設け、第2投影光学系40’と機械的に連結して移動させるようにしてもよい。
【0025】
第1投影光学系40及び第2投影光学系40’の中間には、両者の間隔を計測する間隔計測手段55が位置している。間隔計測手段55は、レーザ光源56、ミラー56a、ビームスプリッタ57、ミラー58A,58B、及びセンサ59から構成され、レーザ光源56からの光ビームがミラー56aで反射されてビームスプリッタ57に入射し、ビームスプリッタ57の反射光と透過光との干渉縞がセンサ59で測定され、2個の投影光学系の間隔を精度よく計測するものである。すなわち、ビームスプリッタ57の反射光は第2投影光学系40’側のミラー58Bで反射されて再びビームスプリッタ57に入射して透過し、第1投影光学系40のビームスプリッタ側のミラー58Aで反射されて、再度ビームスプリッタ57に入射して反射されセンサ59に到達する。この反射光と、最初の透過光との干渉縞をセンサ59で測定して、第1投影光学系40と第2投影光学系40’との間隔Pは正確に計測される。
【0026】
露光装置1は、複数の投影光学系毎にマスク10と感光基板20との位置合わせを行う位置検出手段を備えている。位置検出手段は、図6に示すように、アライメント光学系60によりアライメントマーク61〜64を検出するものであり、感光基板20上に複数層の回路パターンを順に重ねて露光するとき、感光基板上のアライメントマークを測定するアライメント光学系が、本例では露光装置1の投影光学系40,40’の周囲に配置されている。すなわち、アライメント光学系60は、本例では第1投影光学系40の投影領域42a,42cと、第2投影光学系40’の投影領域42a,42cとの外側領域に対応して設置してあり、アライメントマーク61〜64はマスク10及び感光基板20のパターン11の外周に形成してある。このように、アライメントマーク61〜64はマスク10のパターン11の外側の領域に形成してあり、パターンの影響を受けない。
【0027】
マスク10及び感光基板20のアライメントを行うときは、投影光学系40,40’の投影領域42a,42cで感光基板20のアライメントマーク61,62とマスク10のアライメントマーク61,62とを合わせるようにマスク10を調整して1回目のアライメントを行い、次いでマスク10及び感光基板20を2点鎖線で示す位置まで走査して、アライメントマーク63,64を合わせて2回目のアライメントを行う。なお、図6では、説明の都合上、投影光学系40,40’を相対的に移動した状態を示している。このようにして、投影光学系毎に走査前の状態と、走査後の状態でアライメント調整を行うため、複数層の回路パターンを順に重ねて露光するときの精度が向上する。なお、2回目のアライメントを、マスクを変えて2層目の露光のアライメントに対応させてもよい。
【0028】
次に投影光学系のレンズキャリブレーション手段65について、図7を参照して説明する。マスクの中央部において、投影領域42a,42b,42cの角部に対応して十字形の4個のキャリブレーション用マーク66を形成した校正用のマスク67をマスクステージ12に固定し、基板ステージ21の中央部に上下動可能な4個のセンサ68を設ける。キャリブレーション時には、基板ステージの結像面にセンサ68を上昇させてマーク66を読み取り、マークが所定の位置にない場合は結像位置を投影光学系内にあるXYシフター及び像のローテータ(共に図示せず)で調整する。露光時にはセンサ68は基板ステージ12から下降させておき、感光基板20の固定に影響の無い状態とする。
【0029】
実線で示す位置で投影明光学系40の投影領域42a〜42cを形成する投影レンズモジュール41A〜41Cのキャリブレーションを行い、2点鎖線の位置で投影領域42d〜42eを形成する投影レンズモジュール41D,41Eのキャリブレーションを行う。マスクステージ及び基板ステージを走査して、同様にして投影光学系40’のキャリブレーションを行う。投影光学系のキャリブレーションは一度校正した後、定期的に再校正を行うことにより、安定した結像特性を得ることができる。なお、複数の投影レンズ毎に専用のマークと、これに対応するセンサを設けるように構成してもよい。
【0030】
前記の如く構成された本実施形態の露光装置1の動作について以下に説明する。先ず、図8(a)に示すように、マスク10Aには、2つのパターン11A,11A’が走査方向に間隔βを有して別々に並んでいる場合の第1の露光動作について説明する。マスク10Aには中心部から左方に第1パターン11Aが形成され、中心部から右方に第2パターン11A’が形成され、両パターンの走査方向の長さはそれぞれLであり、中間部は間隔βとなっている。この場合は、第1ステップとして、図8(b)に示すように、投影光学系40,40’の間隔を、感光基板20の相対的に走査する方向の長さ、すなわち走査方向の長さに応じて間隔制御手段50により調整し、例えば投影光学系40,40’の間隔をL+βの間隔に設定する。このあと、第2ステップとして、間隔を調整された複数の投影光学系40,40’を介してマスク10のパターン11を感光基板20に露光する。
【0031】
以下、この露光動作について詳細に説明する。第1照明光学系30によりマスクの左方の第1パターン11Aが照明されると、このパターン11Aは第1投影光学系40により正立等倍の実像が感光基板20上に結像され、感光基板20にはマスクの第1パターン11Aの一部パターン像が露光される。第1投影光学系40により走査して露光される露光量をL1で示す。同様にして、第2照明光学系30’によりマスク10の中間部から右方に位置する第2パターン11A’が照明されると、第2投影光学系40’により感光基板20上に結像され、感光基板20の中間部にパターン11A’の一部パターン像が露光される。第2投影光学系40’により走査して露光される露光量をL2で示す。
【0032】
この場合のマスク10A及び感光基板20の走査距離について、図8(c)を参照して説明する。図8(c)において、横軸は時間Tを示し、縦軸は速度Vを示している。マスク10A及び感光基板20を走査する駆動機構であるマスク移動装置13及び基板移動装置22は、通常、一定速度になるまでに所定の時間が必要である。すなわち、速度「0」から加速する加速時間t1と、一定速度に落ち着くまでの整定時間t2が必要であり、加速時間及び整定時間経過後の一定速度の定速時間t3となったあと、パターンを露光するように設定している。そして、パターンを露光したあと、停止するまでの減速時間t4が必要である。このように、パターンを露光する定速時間t3の他に、加速時間t1、整定時間t2、減速時間t4が必要であり、全体として、t1+t2+t3+t4の走査時間が必要である。
【0033】
図8(a),(b)において、パターン11A,11A’の走査方向の長さはL、パターン11A,11A’の間隔はβであり、加速時間t1に進む距離をa、整定時間t2に進む距離をb、定速時間t3に進む距離をS1=L+d+s、減速時間t4に進む距離をcとすると、この場合の露光に伴う全走査距離は、a+b+(L+d+s)+cとなる。一方、この場合の投影光学系が従来のように1個の場合の走査距離は、a+b+(2L+β+d+s)+cとなる。このように、複数の投影光学系40,40’を備えることにより、走査距離を大幅に削減することができ、露光時間も大幅に短縮することができる。
【0034】
次に、図9(a)に示すように、マスク10のパターン11Bが、マスクの走査方向の全域に亘る2Lの長さに形成されているマスク10Bの場合の第2の露光動作について説明する。この場合は、第1の投影光学系40でパターンの左端から中央部を過ぎた位置まで露光し、第2の投影光学系40’でパターンの中央部から右端まで露光し、パターンの中央部は2つの投影光学系40,40’で重複して露光し、連続した2Lの長さのパターンを均一に露光する。この場合、重複部分の走査方向の距離をαとすると、投影光学系40,40’の間隔Pは、図9(b)に示すように、間隔制御手段50によりL−(α/2)の間隔に設定され、定速時間t3に進む距離は、S2=L+(α/2)+d+sとなる。
【0035】
したがって、この場合の露光に伴う全走査距離は、前記の図8の例と同様に、加速時間t1に進む距離をa、整定時間t2に進む距離をb、及び減速時間t4に進む距離cを加算して、全走査距離は、a+b+(L+(α/2)+d+s)+cとなり、1個の投影光学系によって露光する走査距離、a+b+(2L+d+s)+cと比較して、走査距離を大幅に減少させることができ、露光時間も大幅に短縮できる。なお、パターン11の中央部を露光する際、第1の照明光学系30の光量をシャッター33により徐々に減光し、第2の照明光学系30’の光量をシャッター33により徐々に増光して露光量を一定にすることが好ましい。
【0036】
図10(a)に示すように、走査方向のパターン領域11C,11Dの長さがLであり、間隔βを有して配置した2枚のマスク10C,10Dを使用して、感光基板20に連続してパターンを形成する第3の露光動作について説明する。この場合に間隔制御手段50は、2枚のマスクのパターンを感光基板上で距離αだけ重複させるように、複数の投影光学系40,40’において、感光基板上に投影されるパターン像の位置を補正する補正手段として、平行平板ガラス71〜74を備える。平行平板ガラス71,72は、第1投影光学系40の上下に設置され、光軸を屈折して走査方向の後方に平行にずらすように補正するものであり、平行平板ガラス73,74は、第2投影光学系40’の上下に設置され、光軸を屈折して走査方向の前方に平行にずらすように補正するものである。
【0037】
すなわち、第1投影光学系40の平行平板ガラス71,72は光軸を後方にずらすように傾斜しており、第2投影光学系40’の平行平板ガラス73,74は光軸を前方にずらすように反対に傾斜して、第1、第2の投影光学系40,40’の投影領域を接近させている。この場合、間隔制御手段50により投影光学系40,40’の間隔Pは、図10(b)に示されるようにL+βに設定される。定速時間t3に進む距離は、S3=L+d+sとなる。そして、露光に伴う感光基板20の全走査距離は、a+b+(L−(α/2)+d+s)+cとなり、1個の投影光学系によって露光する走査距離、a+b+(2L+d+s)+cと比較して、走査距離を大幅に減少させることができ、露光時間も大幅に短縮できる。
【0038】
図11(a)に示すように、走査方向のパターン領域11E,11Fの長さがLであり、間隔βを有して配置した2枚のマスク10E,10Fを使用して、感光基板20に間隔βを有するようにパターンを露光する第4の露光動作について説明する。この場合、間隔制御手段50により投影光学系40,40’の間隔Pは、図11(b)に示されるようにL+βに設定される。定速時間t3に進む距離は、S4=L+d+sとなる。そして、露光に伴う感光基板の全走査距離は、a+b+(L+d+s)+cとなり、1個の投影光学系によって露光する走査距離、a+b+(2L+β+d+s)+cと比較して、走査距離を大幅に減少させることができ、露光時間も大幅に短縮できる。
【0039】
図12,13に示すように、走査方向のパターン領域11Gの長さがLである1枚のマスク10Gを使用して1回目の露光を行い、次いでマスク10Gを走査方向に移動してから2回目の露光をする第5の露光動作について説明する。この場合、露光装置は走査方向にマスク10Gをステップ移動させるステップ駆動手段と、マスクの位置を計測する複数の位置計測手段として干渉計80,81及びミラー82と、マスクの位置に応じて複数の干渉計の少なくとも1つに切換える切換え手段85とを備えている。本例では、ステップ駆動手段はマスク移動装置13が兼用され、マスク10Gを走査方向に走査する駆動機能を備えている。この場合、間隔制御手段50により投影光学系40,40’の間隔Pは、L+βに設定される。定速時間t3に進む距離は、S5=L+d+sとなる。
【0040】
1回目の露光は第1の投影光学系40を使用して行い、1回目の露光量は図13(a)に示すようにL3となる。露光終了後にマスク10Gと感光基板20とを元位置に戻してからマスク10Gを2回目の露光に備えてマスク移動装置13により走査方向に移動し、マスク10Gと第2の投影光学系40’を図13(b)に示すように対向させる。そして、感光基板上で間隔βを開けて第2の投影光学系40’で2回目の露光を行う。2回目の露光量はL4となる。この場合の1回、2回の露光に伴う感光基板20の全走査距離は、2a+2b+(L+β+d+s)+2cとなり、1個の投影光学系によって露光する走査距離、a+b+(2L+d+s)+cと比較して、走査距離を減少させることができ、特にパターンの走査方向の長さLが大きいときに効果が大きくなる。なお、この場合は、マスク10Gを感光基板20の半分の大きさのもの1枚ですみ、マスクステージ12の大きさを半分にできる。そのため、軽量化を行うことができる。
【0041】
この露光動作において、マスク10Gの位置を計測する位置計測手段は複数備えられ、1回目の露光動作時には第1の干渉計81が使用され、走査方向と直交する方向の距離を正確に測定し、2回目の露光動作時には第2の干渉計82が使用され、走査方向と直交する方向の距離を正確に測定するというように、マスク10Gの位置に応じて2つの干渉計の少なくとも1つに切換え手段85により切換えられる。切換え手段85の出力は、露光装置を制御する制御装置(図示せず)に入力される。このようにして、全走査距離においてマスク10Gの走査位置を正確に把握し、1つのマスク10Gで2倍のパターン面積を精度良く露光することができる。
【0042】
次に、図14,15に示すように、走査方向のパターン領域11Hの長さがLである1枚のマスク10Hを使用して1回目の露光を行い、次いでマスク10Hを走査方向に移動してから、1回目に露光されたパターンの後端にαだけ重複して2回目の露光をする第6の露光動作について説明する。この場合、間隔制御手段50により投影光学系40,40’の間隔Pは、L−(α−/2)に設定される。定速時間t3に進む距離は、S6=L+d+sとなる。
【0043】
1回目の露光は第1の投影光学系40を使用して行い、1回目の露光量は図15(a)に示すようにL3となる。1回目の露光終了後にマスク10Hと感光基板20とを元位置に戻してからマスク10Hを2回目の露光に備えてマスク移動装置13により移動し、マスク10Hと第2の投影光学系40’を図15(b)に示すように対向させる。そして、第2の投影光学系40’で1回目の露光と距離αだけ重複させて2回目の露光を行う。2回目の露光量はL4となる。この場合の露光に伴う感光基板20の全走査距離は、2a+2b+(L−(α/2)+d+s)+2cとなり、1個の投影光学系によって露光する走査距離、a+b+(2L−α+d+s)+cと比較して、走査距離を減少させることができる。なお、この場合は、走査距離も短縮できるが、露光時間は短縮できない。
【0044】
この露光動作においても、1回目の露光動作時には第1の干渉計81が使用され、走査方向と直交する方向の距離を正確に測定し、2回目の露光動作時には第2の干渉計82が使用され、走査方向と直交する方向の距離を正確に測定するというように、マスク10Hの位置に応じて2つの干渉計の少なくとも1つに切換えられる。このようにして、全走査距離においてマスク10Hの走査位置を正確に把握し、1つのマスクで2倍のパターン面積を精度良く露光することができる。
【0045】
なお、マスク10を保持するマスクステージ12と、感光基板20を保持する基板ステージ21を一体化したキャリッジをキャリッジ制御部によって移動制御して、1つの移動装置により−X方向にマスクステージと基板ステージを同時に移動するように構成してもよい。また、照明光学系及び投影光学系は、5個のレンズモジュールから構成される例を示したが、5個に限られるものでなく適宜の個数とすることができる。
【0046】
マスクのパターンを照明する照明光学系の照明領域39a〜39eの形状、及び投影光学系の投影領域42a〜42eの形状は、照明光学系の視野絞り38及び投影光学系の視野絞り46によって例えば台形状に成形される例を示したが、これに限られるものでなく六角形状等の適宜の形状にしてもよく、走査方向と直角の方向において隙間無く照明できると共に、投影できれば適宜の形状とすることができる。
【0047】
さらに、複数の投影光学系として、2個の投影光学系40,40’の例を示したが、2個に限られるものでなく適宜の個数とすることができる。投影光学系を走査方向に3個以上配置することにより、走査距離をさらに短くすることができると共に、露光時間をさらに短縮することができるので、マスクがより大面積の場合は特に有効である。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明から理解できるように、本発明の露光装置は、マスクに形成されたパターン領域に応じて、特にパターン領域の走査方向の長さに応じて、複数の投影光学系の間隔を変え、複数の投影光学系でマスクのパターンを感光基板に露光するため、走査距離を小さくでき、短時間で効率良く露光できる。このため、露光装置の小型化を達成することができ、露光装置の設置スペースの面積を小さくでき、運搬、搬入も容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る露光装置の一実施形態の一部を破断した状態の正面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】図1の一部を省略した左側面図。
【図4】照明光学系の概略構成を示す斜視図。
【図5】投影光学系の概略構成図。
【図6】位置検出手段を示す説明図。
【図7】レンズキャリブレーション手段を示す説明図。
【図8】(a)は第1の露光動作を示す説明図、(b)は露光量及び走査距離を示す側面模式図、(c)はマスク及び感光基板の走査動作時の速度と時間の関係図。
【図9】(a)は第2の露光動作を示す説明図、(b)は露光量及び走査距離を示す側面模式図。
【図10】(a)は第3の露光動作を示す説明図、(b)は露光量及び走査距離を示す側面模式図。
【図11】(a)は第4の露光動作を示す説明図、(b)は露光量及び走査距離を示す側面模式図。
【図12】第5の露光動作を示す説明図。
【図13】図12の露光量及び走査距離を示す側面模式図。
【図14】第6の露光動作を示す説明図。
【図15】露光量及び走査距離を示す側面模式図。
【符号の説明】
1…露光装置、10…マスク、11…パターン、12…マスクステージ、13…マスク移動装置、20…感光基板、21…基板ステージ、22…基板移動装置、30,30’…照明光学系、40,40’…投影光学系、30A〜30C…照明レンズモジュール、41A〜41C…投影レンズモジュール、39a〜39e…照明領域、42a〜42e…投影領域、50…間隔制御手段、55…間隔計測手段、60…アライメント光学系(位置検出手段)、61〜64…アライメントマーク、65…レンズキャリブレーション手段、66…キャリブレーション用マーク、67…校正用のマスク、68…センサ、71〜74…平行平板ガラス(補正手段)、80,81…干渉計(位置計測手段)、85…切換え手段

Claims (11)

  1. マスクに形成したパターンを、投影光学系を介して感光基板上に露光するとともに、前記投影光学系に対して前記マスクと前記感光基板とを所定の走査方向に同期して走査する露光装置において、
    前記投影光学系は、前記走査方向に複数配置されるとともに、前記マスクに形成されたパターン領域に応じて、前記複数の投影光学系の間隔を変える間隔制御手段を備えることを特徴とする露光装置。
  2. 前記間隔制御手段は、前記パターン領域の前記走査方向の長さに応じて前記複数の投影光学系の間隔を変えることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  3. 前記間隔制御手段は、前記走査方向に隣接する前記複数の投影光学系で前記感光基板上に露光されるそれぞれのパターンを、互いに一部が重複するように制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の露光装置。
  4. 前記間隔制御手段は、前記複数の投影光学系で前記感光基板上に投影されるパターン像の位置を補正する補正手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の露光装置。
  5. 前記複数の投影光学系の各々は、複数の投影レンズモジュールで構成されるとともに、前記走査方向とは直交する方向に並んで配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の露光装置。
  6. 前記複数の投影レンズモジュールは、前記直交する方向に千鳥格子状に並んで配置されることを特徴とする請求項5に記載の露光装置。
  7. 前記複数の投影光学系の各々は、前記マスクに設けられた互いに独立したパターンを投影することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の露光装置。
  8. 前記走査方向に前記マスクをステップ移動させるステップ駆動手段と、前記マスクの位置を計測する複数の位置計測手段と、前記マスクの位置に応じて前記複数の位置計測手段の少なくとも1つに切換える切換え手段とを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の露光装置。
  9. 前記ステップ駆動手段は、前記マスクを前記走査方向に走査する駆動機能を備えることを特徴とする請求項8に記載の露光装置。
  10. 前記複数の投影光学系毎に前記マスクと前記感光基板との位置合わせを行う位置検出手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の露光装置。
  11. 複数の投影光学系を介してマスクのパターンを感光基板に投影するとともに、前記マスクと前記感光基板とを前記複数の投影光学系に対して相対的に走査して露光する露光方法において、
    前記複数の投影光学系の間隔を、前記感光基板の前記相対的に走査する方向の長さに応じて調整する第1ステップと、
    前記第1ステップで前記間隔を調整された前記複数の投影光学系を介して前記パターンを前記感光基板に露光する第2ステップとを有することを特徴とする露光方法。
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