JP4616715B2 - 電極間距離測定機能付き体幹部脂肪測定装置 - Google Patents
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Description
(1)体幹部の生体電気インピーダンス情報に含まれる組織情報を骨格筋組織層と内臓器組織と内臓脂肪組織で直並列の等価回路モデルで仮定すること。ここでは内臓器組織と内臓脂肪組織を直列に考える(したがって、内臓脂肪組織の大小により通電量の変化を期待できる)。
(1)体幹部は、主として、皮下脂肪組織層と、骨格筋組織層(腹筋群,背筋群)と、内臓器組織とその隙間に付着する内臓脂肪組織から成ると考えることが出来る。骨組織を構成組織として挙げていないのは、骨組織は骨格筋組織層と量的相関が非常に高く、一体の組織体として考えられるからである。体積抵抗率も、生体内では骨髄組織なども含めることでかなり導電性が良く、骨格筋組織層や内臓器組織に近い特性を有するものと考えられる。よって、この4組織を電気的な等価回路モデルで表すと、内臓器組織と内臓脂肪組織を直列に構成し、その直列の合成組織に対して、皮下脂肪組織層および骨格筋組織層がそれぞれ並列に構成される。この等価回路モデルについては、後述する実施例についての説明において詳述する。このモデルによると、体幹部の長さ方向への通電に対しては、骨格筋組織層に支配的に電流が流れる。内臓脂肪組織は、内臓器組織の周辺の隙間に付着することから、内臓脂肪組織が無い時、または少ない時、内臓器組織が骨格筋組織層に近い導電性を示すことから、内臓器組織側にも電流が通電されることになる。また、内臓脂肪組織が多くなるほど、内臓器組織と内臓脂肪組織の複合体としての複合組織層への通電量が低下してゆくことになる。体幹部の計測インピーダンスと、それを構成する4組織を等価回路モデルで表した時のモデル式は、下記の様に表現できる。
Ztm = ZFS//ZMM//(ZVM+ZFV) ・・・式1
ここで、
体幹部全体のインピーダンス:Ztm
皮下脂肪組織層のインピーダンス:ZFS・・・体積抵抗率は、大きい。
骨格筋組織層のインピーダンス:ZMM・・・体積抵抗率は、小さい。
内臓器組織のインピーダンス:ZVM・・・骨格筋組織層に近い体積抵抗率と考えられている。
内臓脂肪組織のインピーダンス:ZFV・・・体積抵抗率は、皮下脂肪組織層と同等かそれよりも、やや小さ目と考えられる。脂肪の合成分解が皮下脂肪に比べて速いことから、組織内血管及び血液量が多いものと考えられる。
ρMM<<ρ(VM+FV)<ρFS
ρVM<<ρFV
ρMM=ρMV、若しくは、ρMM<ρMV
ρFV=ρFS、若しくは、ρFV<FS
ここで、
皮下脂肪組織層の体積抵抗率:ρFS
骨格筋組織層の内側の内臓器組織と内臓脂肪組織の複合組織層の体積抵抗率:ρ(VM+FV)
骨格筋組織層の体積抵抗率:ρMM
よって、式1との関連により、各組織間の電気的特性の比較関係は、
ZFS >> (ZVM+ZFV) >> ZMM ・・・式2
となる。
(2)内臓脂肪組織量は横断面積量や体積量で表すことができる。横断面積量の場合は、臍囲周での計測においては、CT法(X線−CT、MRI)による横断面積量が一般的な計測基準と考えられる。一方、体積量の場合は、CT法によるスライスによる横断面積量を長さ方向に複数のスライス情報で積分することで求めることができる。骨格筋組織量(骨格筋量)は、これら横断面積量と体積量の双方に高い相関を有すると考えられる。ここでは横断面積量で考えることにする。骨格筋組織層の横断面積量(AMM)は、身体特定化情報でおおよそ推定することができる。なぜなら、身体の骨格筋組織層の発達デザインは、地球重力下で自重を支えるための発達、適応でほとんど決まってしまうからである。よって、アスリートや麻痺看者や介護者などの重力非適応者を除けば、身体特定化情報で推定可能となる。この推定は、身長H、体重W、年齢Ageを以下の式に代入することによって行う。
AMM=a*H+b*W+c*Age+d・・・式3
ここで、a、b、c、dは、定数である。
(3)体幹部骨格筋組織層インピーダンス(ZMM)も身体特定化情報によって推定できる。便宜上、ここでは上で求めた横断面積量(AMM)を利用する。この推定は以下の式を用いて行うことができる。
ZMM=a0*H/AMM+b0・・・式4
ここで、a0、b0は、定数である。
式1、2の関係式から、次の様な二つのアプローチ案によって、内臓脂肪組織情報を推測可能とする手法が考えられる。
(4)アプローチ1
皮下脂肪組織層は、他の構成組織と比較する中で体積抵抗率が高いことから体幹部の等価回路から見て、省略して考える。つまり、体幹部で計測されるインピーダンス値には、体幹部の皮下脂肪組織層を除いた内臓脂肪組織を含む除脂肪組織の情報が計測されているものと考えることが出来る。よって、この関係式は、次の様に表現できる。
Ztm ≒ ZMM//(ZVM+ZFV) ・・・式5
式5を変形すると、
1/Ztm ≒ 1/ZMM + 1/(ZVM+ZFV) ・・・式6
この式中の骨格筋組織層のインピーダンスZMMおよび内臓器組織のインピーダンスZVMを下記で記述される手段で顕在化することで、内臓脂肪組織のインピーダンスZFVを算出可能となる。そして、この内臓脂肪組織のインピーダンス情報より、内臓脂肪組織量を推定可能と出来る。式6からZFVを誘導すると、次の式7となり、内臓脂肪組織の情報を有するインピーダンス情報を求めることができる。
ZFV= 1/[ 1/Ztm−1/ZMM] − ZVM・・・式7
前記アプローチ1では皮下脂肪組織層を省略して考えたが、皮下脂肪組織を大量に有する被験者に対しては誤差要因となりえるため、式1のままで進める方法である。
この式中の骨格筋組織層のインピーダンスZMMおよび内臓器組織のインピーダンスZVMは、前記手法と同様とし、皮下脂肪組織層のインピーダンスZFSに対して、インピーダンス情報は他の組織と同様の考え方で皮下脂肪組織量と有用な関係がある。ここで、皮下脂肪組織量は、その組織表面での周囲長、つまり、腹囲長との相関が非常に高い関係があることが一般に報告されている(特に皮下脂肪組織層が多い被験者に対して、または、皮下脂肪組織層を除く除脂肪組織に比較して多い場合)ことから、皮下脂肪組織層は腹囲長情報から推定可能となる。よって、皮下脂肪組織層のインピーダンスは、腹囲長の情報から推測可能と出来る。以下、前記アプローチと同様の手法で内臓脂肪組織のインピーダンスZFVを算出可能となる。そして、この内臓脂肪組織のインピーダンス情報より、内臓脂肪組織量を推定可能と出来る。
式1を変形すると、
1/Ztm = 1/ZFS + 1/ZMM + 1/(ZVM+ZFV) ・・・式8
ZFV= 1/[ 1/Ztm−1/ZMM−1/ZFS] − ZVM・・・式9
AFV=aa*H/ZFV+bb・・・式10
ここで、aa、bbは定数である。
(7)体幹部の内臓器組織量[VM]は、身長、体重、性別、年齢等の身体(個人)特定化情報から推定することが出来る。説明変数の中で、身長項の影響が大きい。
内臓器組織量[AVM] = a1*身長[H]+ b1*体重[W] + c1*年齢[Age] + d1・・・式11
ここで、a1、b1、c1、d1は、男女で別の値を与える定数である。
なお、本検量線(回帰式)に用いる内臓脂肪組織量VMの基準量の計測は、MRI法やX線CТ法により得られるスライス毎のCSA(組織横断面積)を長さ方向に積分して求めた組織体積、または、臍位等の1スライスからのCSAとする。組織体積は、先行研究論文等で公知の組織密度情報から重量へ変換することで組織量とすることが出来る。
内臓器組織のインピーダンス[ZVM]は、身長、体重、性別、年齢等の身体(個人)特定化情報から推定することが出来る。説明変数の中で、身長項の影響が大きい。便宜上、ここでは上で求めた内臓器組織量[AVM]を利用する。この推定は、以下の式を用いて行うことができる。
ZVM=a2*H/AVM+b2・・・式12
ここで、a2、b2は、定数である。
(9)体幹部の皮下脂肪組織量[AFS]は、腹囲長[Lw]2から推定することが出来る。さらに、他の身体特定化情報を説明変数として付加して重回帰式とすることで精度向上が期待できる。
男性用: 皮下脂肪組織量[AFS] = a10*腹囲長[Lw]2+b10*身長[H]+ c10*体重[W]
+ d10*年齢[Age] + e10・・・式13
女性用: 皮下脂肪組織量[AFS] = a11*腹囲長[Lw]2+b11*身長[H]+ c11*体重[W]
+ d11*年齢[Age] + e11・・・式14
ここで、a10、a11、b10、b11、c10、c11、d10、d11、e10、e11は、回帰係数で定数である。
なお、本検量線(回帰式)に用いる皮下脂肪組織量FSの基準量の計測は、MRI法やX線CТ法により得られるスライス毎のCSA(組織横断面積)を長さ方向に積分して求めた組織体積、または、臍位等の1スライスからのCSAとする。組織体積は、先行研究論文等で公知の組織密度情報から重量へ変換することで組織量とすることが出来る。
(10)内臓脂肪/皮下脂肪比[V/S]は、式13、14からの皮下脂肪組織量[AFS]と式10からの内臓脂肪組織量[AFV]から求めることが出来る。
V/S=AFV/AFS・・・式15
(11)内臓脂肪組織量推定に必要な体幹部のインピーダンスZtmは、呼吸及び飲食等により変動が大きな部位でもあることから、安定性及び信頼性の高い情報の計測が必要となる。よって、次の様な処理を加えることで、信頼性の高い体幹部のインピーダンス情報を確保出来る。また、一部体幹部の体液分布の乱れに関連する情報としての視点から、体幹部の組織異常の判定も可能と出来る。
(a)一般的な呼吸周期時間の1/2より短いサンプリング周期で、体幹部のインピーダンスを測定する。
(b)サンプリング毎の測定デ−タに対して移動平均等によるスムージング処理を施す。
(c)処理後の時系列データより、呼吸の周期性と周期毎の最大値と最小値を検出する。
(d)毎周期毎の最大値と最小値を各々別個に平均処理する。
(e)最大値と最小値の平均処理後の値を平均して、呼吸の中央値を算出する。
(f)呼吸周期毎の呼吸の中央値が規定回数規定以内の安定域に入った時点で、呼吸中央値確定と判断し、確定した中央値のインピ-ダンス値を体幹部のインピーダンス値として登録し、測定を完了とする。
(a)体幹部のインピーダンスは、26.7±4.8Ω(mean±SD)が集団の一般的な値となる。
(b)反面、便秘及び膀胱尿の貯留や胃での飲食物の充満時の値は、mean±3SDの範囲を超える。
(c)よって、3SDを超える測定値が得られる場合には、飲食及び膀胱尿等の影響の可能性を被験者へ報知し、最善の環境で測定に望んで貰う様促す。ただし、実際にこれらの影響なしに骨格筋組織層の発達及び内臓器組織が標準サイズとは異なる被験者においては、測定を継続出来る様に進める。
(d)さらに、判定感度を上げる方法としては、性別、体重、身長別で規定値を細分化する。又は、体重で割るか、身長で割って単位当たりの値として規定値を規定する。
L=2R・sin(θ/2)
によって求めることができる。この電極間距離Lを利用して、例えば、インピーダンス(例えば、上述した“ZVM”)を、ρ(L2/V’)(ρ[Ωm]は体積抵抗率、V’[cm3又はkg]は計測対象組織体積量)の式から求めることができる。他に、ρ(L/A)(A[cm2]は計測対象組織面積量)の式からも求めることができる。測定した電極間距離Lは、インピーダンスの計測に用いる他、体幹腹部の横幅情報として用いることもできる。
ZFS >> (ZVM+ZFV) >> ZMM
の関係がある。
したがって、I−V電極間距離がほとんど無く近接して配置されたときの電位差計測インピーダンスΣZ1は、
ΣZ1=2*ZFS+ZMM//(ZVM+ZFV)≒2*ZFS
となる。これにより明らかなように、広がり抵抗の影響でZFSが数倍に増幅されるため、ここでは、ZFSによる情報が支配的となる。
ΣZ2≒2*ZFS+ZMM//(ZVM+ZFV)
である。明らかなように、I−V電極間距離を広げることによって、広がり抵抗の影響は多少小さくなっているが、この程度離しただけでは、まだZFSの情報が支配的である。
ΣZ3≒2*ZFS+ZMM//(ZVM+ZFV)である。
このとき電極間で計測される電圧降下の関係は、おおよそ次のようになる。
V1=I*ZMM//(ZVM+ZFV)
V2=V3=I*2*ZFS
V1:(V2+V3)≒1〜2:10〜20=S:N
上式におけるSの1〜2やNの10〜20のバラツキは、皮下脂肪組織層の厚みの個人差と骨格筋組織層の発達具合によるものである。この結果からも分かるように、たとえ電極間距離を調節しても、十分なS/Nが確保できるとは言いがたい。
V1=I*ZMM//(ZVM+ZFV)=I1*ZMM=I2*(ZVM+ZFV)
I=I1+I2
となり、よって、
ZMM:(ZVM+ZFV)=I2:I1≒1:2〜5
となる。これより明らかなように、たとえ広がり抵抗の影響を排除できたとしても、骨格筋組織層に流れる電流は内臓器組織と内臓脂肪組織に流れる電流の2〜5倍にも及ぶため、この結果、S/N特性は更に悪くなる。このように、体幹部のような太短い測定部位においては、たとえ電極間距離を調整しても、電流電極間距離で上限が決まってしまうことから、S/N特性の改善には限界がある。
BMI=W/H2
%Fatt=(AFS+AFV)/[(AFS+AFV)+AMM+AVM]*100
%VFat=%Fatt*(V/S)/[(V/S)+1]
[Ztm]minx←([Ztm]minx-1+[Ztm]minx)/2
[Ztm]maxx←([Ztm]maxx-1+[Ztm]maxx)/2
Ztmx←([Ztm]maxx+[Ztm]minx)/2
Mean−3SD≦Ztm≦Mean+3SD
ここで、許容値例としては、26.7±4.8(Mean±SD)に対して±3SDが考えられる。
5 操作表示パネル
7 ユーザ
13 電流印加電極
14 電圧計測電極
21 演算・制御部
28 角度センサ
29 R(θ)/D変換器
31 本体部
32 固定アーム部
34 可動アーム部
36 支持体回転軸
37 電極支持体
40 アーム回転軸
51 操作・入力部
52 表示部
A 臍
Claims (5)
- 第1のアーム部と、回転軸を中心として該第1のアーム部に対して所定の角度範囲で回動自在に設けた第2のアーム部と、を有し、前記第1のアーム部と前記第2のアーム部の先端付近にそれぞれ電極が設けてあり、前記第1のアーム部と前記第2のアーム部を所定角度としたときに、前記回転軸から前記第1のアーム部の電極までの長さと、前記回転軸から前記第2のアーム部の電極までの長さと、前記所定角度と、に基づいて、前記第1のアーム部の電極と前記第2のアーム部の電極の間の電極間距離を測定するようになっており、
前記第1のアーム部の電極と前記第2のアーム部の電極にそれぞれ、電圧計測電極と電流印加電極を設け、前記第1のアーム部の電流印加電極と前記第2のアーム部の電流印加電極の対を用いて電流を印加し、該電流によって通電された組織に生じた電位差を、前記第1のアーム部の電圧計測電極と前記第2のアーム部の電圧計測電極の対を用いて測定し、該電位差を利用して求めた体幹部のインピーダンスを利用して前記測定された電極間距離を考慮しつつ体幹部の内臓脂肪組織量を求めることを特徴とする電極間距離測定機能付き体幹部脂肪測定装置。 - 前記第1アーム部と前記第2アーム部の長さは同じである請求項1記載の装置。
- 前記第1のアーム部は本体部と一体的に設けられている請求項1又は2に記載の装置。
- 前記第1のアーム部の電極と前記第2のアーム部の電極は、皮下脂肪組織層が薄い部位、または、骨格筋組織層の筋腹部が無いまたは薄い部位に配置される請求項1乃至3のいずれかに記載の装置。
- 前記部位は、臍と腸骨稜上縁間の区間、又は、腹直筋と外腹斜筋間の結合腱部である請求項4記載の装置。
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