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JP4614027B2 - 光学多層構造体および光スイッチング素子、並びに画像表示装置 - Google Patents

光学多層構造体および光スイッチング素子、並びに画像表示装置 Download PDF

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JP4614027B2 JP2000200882A JP2000200882A JP4614027B2 JP 4614027 B2 JP4614027 B2 JP 4614027B2 JP 2000200882 A JP2000200882 A JP 2000200882A JP 2000200882 A JP2000200882 A JP 2000200882A JP 4614027 B2 JP4614027 B2 JP 4614027B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入射光を反射若しくは透過させる機能を有する光学多層構造体、およびこれを用いた光スイッチング素子並びに画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、映像情報の表示デバイスとしてのディスプレイの重要性が高まっており、このディスプレイ用の素子として、更には、光通信,光記憶装置,光プリンタなどの素子として、高速で動作する光スイッチング素子(ライトバルブ)の開発が要望されている。従来、この種の素子としては、液晶を用いたもの、マイクロミラーを用いたもの(DMD;Digtal Micro Miror Device 、ディジタルマイクロミラーデバイス、テキサスインスツルメンツ社の登録商標)、回折格子を用いたもの(GLV:Grating Light Valve,グレーティングライトバルブ、SLM (シリコンライトマシン)社)等がある。
【0003】
GLVは回折格子をMEMS(Micro Electro Mechanical Systems) 構造で作製し、静電力で10nsの高速ライトスイッチング素子を実現している。DMDは同じくMEMS構造でミラーを動かすことによりスイッチングを行うものである。これらのデバイスを用いてプロジェクタ等のディスプレイを実現できるものの、液晶とDMDは動作速度が遅いために、ライトバルブとしてディスプレイを実現するためには2次元配列としなければならず、構造が複雑となる。一方、GLVは高速駆動型であるので、1次元アレイを走査することでプロジェクションディスプレイを実現することができる。
【0004】
しかしながら、GLVは回折格子構造であるので、1ピクセルに対して6つの素子を作り込んだり、2方向に出た回折光を何らかの光学系で1つにまとめる必要があるなどの複雑さがある。
【0005】
簡単な構成で実現できるものとしては、米国特許公報5589974号や米国特許公報5500761号に開示されたものがある。このライトバルブは、基板(屈折率nS )の上に間隙部(ギャップ層)を挟んで、屈折率が√nS の透光性の薄膜を設けた構造を有している。この素子では、静電力を利用して薄膜を駆動し、基板と薄膜との間の距離、すなわち、間隙部の大きさを変化させることにより、光信号を透過あるいは反射させるものである。ここで、薄膜の屈折率は基板の屈折率nS に対して、√nS となっており、このような関係を満たすことにより、高コントラストの光変調を行うことができるとされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような構成の素子では、基板の屈折率nS が「4」などの大きな値でなければ、可視光領域においては実現することはできないという問題がある。すなわち、透光性薄膜としては、構造体であることを考えると、窒化珪素(Si3 4 )(屈折率n=2.0)などの材料が望ましいので、その場合には基板の屈折率nS =4となる。可視光領域では、このような透明基板は入手が困難であり、材料の選択肢は狭い。赤外線等の通信用波長では、ゲルマニウム(Ge)(n=4)などを用いることにより実現可能であるが、ディスプレイなどの用途としては、現実的には適用することは難しいと思われる。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、簡単な構成で、小型軽量であると共に、構成材料の選択にも自由度があり、可視光領域においても高速応答が可能であり、画像表示装置に好適に用いることができる光学多層構造体を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、上記光学多層構造体を用いた高速応答が可能な光スイッチング素子および画像表示装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による光学多層構造体は、明基板上に、前記透明基板に接する第1の透明層、第2の透明層、光の干渉現象を起こし得る大きさを有すると共にその大きさが可変な間隙部、第3の透明層および第4の透明層をこの順で配設した構造を有すると共に、前記間隙部の光学的な大きさを変化させる駆動手段を有し、透明基板をガラス基板、第1の透明層をTiO 2 膜およびMgF 2 膜からなる複合層、第2の透明層をTiO 2 膜、第3の透明層をTiO 2 膜、第4の透明層をMgF 2 膜によりそれぞれ構成すると共に間隙部を空気層とし、かつ第1の透明層、第2の透明層、第3の透明層および第4の透明層の光学的な膜厚を、λ/4あるいはλ/4の奇数倍(λは入射光の波長)とし、駆動手段によって、間隙部の光学的な大きさをλ/4の奇数倍とλ/4の偶数倍(0を含む)との間で2値的あるいは連続的に変化させることにより、透明基板側もしくは透明基板と反対側より入射した可視光の反射もしくは透過の量を2値的あるいは連続的に変化させるようにしたものである。
【0011】
本発明による光スイッチング素子は、本発明の光学多層構造体と、この光学多層構造体における間隙部の光学的な大きさを変化させる駆動手段とを備えたものである
【0012】
本発明による画像表示装置は、本発明による光スイッチング素子を複数個、1次元あるいは2次元に配列したものであり、3原色の光を照射し、スキャナによって走査することで2次元画像を表示するものである。
【0014】
本発明による光学多層構造体では、第1の透明層と第2の透明層との間の間隙部の大きさを、例えば「λ/2」(λは入射光の波長)より狭く、好ましくは「λ/4」と,「0」との間で切り替えることにより、透明基板側もしくは透明基板と反対側より入射した光の反射もしくは透過の量が変化し、広帯域な波長域にわたってほぼ均一な反射もしくは透過の特性が得られる。
【0015】
本発明による光スイッチング素子では、駆動手段によって、光学多層構造体の間隙部の光学的な大きさが変化することにより、入射光に対してスイッチング動作がなされる。
【0016】
本発明による画像表示装置では、1次元あるいは2次元に配列された本発明の複数の光スイッチング素子に対して光が照射されることによって2次元画像が表示される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
〔第1の実施の形態〕
図1および図2は、本発明の第1の実施の形態に係る光学多層構造体1の基本的な構成を表すものである。このうち図1は光学多層構造体1における後述の間隙部12が存在している状態、図2は光学多層構造体1の間隙部がないときの状態をそれぞれ示している。なお、この光学多層構造体1は具体的には例えば光スイッチング素子として用いられ,この光スイッチング素子を複数個1次元のアレイ状に配列することにより、画像表示装置を構成することができる。
【0019】
本実施の形態の光学多層構造体1は、非金属の透明材料からなる透明基板10の上に、この透明基板10に接する第1の透明層11、光の干渉現象を起こし得る大きさを有すると共にその大きさを変化させることのできる間隙部12、および第2の透明層13をこの順で配設して構成したものである。
【0020】
ここで、透明基板10の屈折率をnS 、第1の透明層11の屈折率をn1 、第2の透明層13の屈折率をn2 としたとき、下記の関係(1),(2)が成立するように設定されている。すなわち、この光学多層構造体1では、屈折率の関係が、透明基板10の上に高屈折率の第1の透明層11、間隙部12、低屈折率の第2の透明層13の順に配設されているものである。なお、この関係式が成立する理由については後述する。
【0021】
S <n1 、かつ、n1 >n2 ・・・(1)
【0022】
2 =n1 /√nS ・・・(2)
【0023】
具体的な材質は、透明基板10としては、例えば透明ガラス基板や透明プラスチック基板、第1の透明層11としては、酸化チタン(TiO2 )(n1 =2.4),窒化珪素(Si3 4 )(n1 =2.0),酸化亜鉛(ZnO)(n1 =2.0),酸化ニオブ(Nb2 5 )(n1 =2.2),酸化タンタル(Ta2 5 )(n1 =2.1),酸化珪素(SiO)(n1 =2.0),酸化スズ(SnO2 )(n1 =2.0),ITO(Indium-Tin Oxide) (n1 =2.0)、第2の透明層13としては酸化珪素(SiO2 )(n2 =1.46),酸化ビスマス(Bi2 3 )(n2 =1.91),フッ化マグネシウム(MgF2 )(n2 =1.38),アルミナ(Al2 3 )(n2 =1.67)などが挙げられる。
【0024】
第1の透明層11および第2の透明層13の光学的な膜厚d1 ,d2 は、「λ/4」、あるいは「λ/4の奇数倍」(λは入射光の波長)である。なお、これら膜厚d1 ,d2 は厳密に「λ/4」でなくとも、λ/4の近傍の値でもよい。これは、例えば、第1の透明層11の光学膜厚がλ/4より厚くなった分、第2の透明層13を薄くするなどして補完できるからであり、また、上式(2)から屈折率が多少ずれた場合でも、膜厚で調整可能な場合もあり、その際にはd1 ,d2 がλ/4から多少ずれることになるからである。このことは他の実施の形態においても同様である。よって、本明細書においては、「λ/4」の表現には「ほぼλ/4」の場合も含まれるものとする。
【0025】
なお、第1の透明層11および第2の透明層13は、互いに光学的特性の異なる2以上の層で構成された複合層としてもよいが、この場合には複合層における合成した光学的特性(光学アドミッタンス)が単層の場合と同等な特性を有するものとする必要がある。
【0026】
間隙部12は、後述の駆動手段によって、その大きさ(第1の透明層11と第2の透明層13との間隔)が可変である。間隙部12を埋める媒体は、透明であれば気体でも液体でもよい。気体としては、例えば、空気(ナトリウムD線(589.3nm)に対する屈折率nD =1.0)、窒素(N2 )(nD =1.0)など、液体としては、水(nD =1.333)、シリコーンオイル(nD =1.4〜1.7)、エチルアルコール(nD =1.3618)、グリセリン(nD =1.4730)、ジョードメタン(nD =1.737)などが挙げられる。なお、間隙部12を真空状態とすることもできる。
【0027】
間隙部12の光学的な大きさは、「λ/4の奇数倍」と「λ/4の偶数倍(0を含む)」との間で、2値的あるいは連続的に変化するものである。これにより入射光の反射もしくは透過の量が2値的あるいは連続的に変化する。なお、上記第1の透明層11および第2の透明層13の膜厚の場合と同様に、λ/4の倍数から多少ずれても、他の層の膜厚あるいは屈折率の多少の変化で補完できるので、「λ/4」の表現には、「ほぼλ/4」の場合も含まれるものとする。
【0028】
上記間隙部12を有する光学多層構造体1は、図3および図4に示した製造プロセスにより作製することができる。まず、図3(A)に示したように例えばガラスからなる透明基板10の上に、例えばスパッタリング法によりTiO2 からなる第1の透明層11を形成し、次いで,図3(B)に示したように例えばCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長 )法により犠牲層としての非晶質シリコン(a−Si)膜12aを形成する。続いて、図3(C)に示したように、間隙部12のパターン形状を有するフォトレジスト膜14を形成し、図3(D)に示したようにこのフォトレジスト膜14をマスクとして、例えばRIE(Reactive Ion Etching) により非晶質シリコン(a−Si)膜12aを選択的に除去する。
【0029】
次に、図4(A)に示したようにフォトレジスト膜14を除去した後、図4(B)に示したように例えばスパッタリング法によりBi2 3 からなる第2の透明層13を形成する。次いで、図4(C)に示したように、ドライエッチングにより非晶質シリコン(a−Si)膜12aを除去する。これにより、間隙部12を備えた光学多層構造体1を作製することができる。
【0030】
本実施の形態の光学多層構造体1では、間隙部12の光学的な大きさを変化させることで、透明基板10側もしくは透明基板10と反対側より入射した光の反射もしくは透過の量を変化させるものである。具体的には、間隙部12の光学的な大きさを、λ/4の奇数倍とλ/4の偶数倍(0を含む)との間(例えば、「λ/4」と「0」との間)で、2値的あるいは連続的に変化させることによって、入射光の反射もしくは透過の量を2値的あるいは連続的に変化させるものである。
【0031】
次に、図5(A),(B)および図6(A),(B)を参照して、上記式(1),(2)の意義について説明する。
【0032】
上記のような光学多層構造体1のフィルタ特性は、光学アドミッタンスによって説明することができる。光学アドミッタンスyは、複素屈折率N(=n−i・k、nは屈折率,kは消衰係数)と値が同じである。例えば、空気のアドミッタンスはy(air) =1 、n(air) =1 、ガラスのアドミッタンスはy(glass) =1.52、n(glass) =1.52である。
【0033】
透明な基板上に透明な光学膜を形成すると、図5(B)に示したような光学アドミッタンスダイヤグラム上で、膜厚の増加に伴い円弧を描いて軌跡が移動する。ここに、横軸はアドミッタンスの実軸(Re ),縦軸はアドミッタンスの虚軸(Im )をそれぞれ示している。例えば、n=y=1.52のガラス基板上にn=y=2.40のTiO2 などを成膜すると、その合成光学アドミッタンスの軌跡は、膜厚の増加に伴ってy=1.52の点から円弧を描きながら移動する。もし、TiO2 の光学的な膜厚がλ/4のときには、合成アドミッタンスの軌跡は実軸上の3.79の点に帰着する(λ/4法則)。これはガラス基板(透明基板)上にλ/4の膜厚のTiO2 膜(第1の透明層)を成膜したときの合成アドミッタンスである。つまり、この構造体を上から見ると、あたかもn=3.79の一体の基板を見ているのと同じようになる。このときの反射率は、空気との界面では次式(3)で求まるので、反射率R=33.9%となる。
【0034】
R=(n−1/n+1)2 ・・・(3)
【0035】
次に、この光学多層構造体の上に、更に、n=y=1.947の膜(第2の透明層)を光学膜厚=λ/4だけ成膜すると、光学アドミッタンスダイヤグラム上では、3.79の点から右回りに軌跡が移動する。その合成アドミッタンスは、Y=1.0となり、実軸上の1.0の点となる。すなわち、これは合成アドミッタンス=合成屈折率が1.0と同等、つまり空気と同等となるので、その界面では反射がなくなり、所謂Vコートの反射防止膜とみなすことができる。これが光学多層構造体1が図2に示した状態のときの反射特性である。
【0036】
一方、上記TiO2 膜(n=2.4)(第1の透明層)の膜の上に、n=1(空気)の間隙部を光学膜厚=λ/4だけ設けた場合には、その合成アドミッタンスは、図6(A),(B)に示したように、Y2 =0.2638となる。更に、その間隙部上にn=y=1.947の膜(第2の透明層)光学膜厚=λ/4だけ存在すると、その合成アドミッタンスは、Y3 =14.37となり、実軸上の14.37の点となる。そのときの反射率は上記(3)式のnをY3 =14.37として求まり、このとき反射率R=76%となる。これが光学多層構造体1が図1に示した状態のときの特性である。以上のことから、間隙部12の空気層を「0」から「λ/4」の光学膜厚まで変化させる(すなわち、図2の状態から図1の状態へと切り換える)と、反射率は「0%」から「76%」へと変化することがわかる。
【0037】
ここで、Y1 =n1 2/ns 、Y3 ’=n2 2 /Y1 =n2 2・ns /n1 (図5(A)参照)である。このような特性を実現するためには、Y3 ’=1.0(空気のアドミッタンス)とすれば良いので、n2 2・ns /n1 2=1.0、つまり、前述の式(2)、すなわち n2 =n1 /√nS の関係が成立すればよい。なお、これら屈折率が厳密にこの関係になくても、膜厚等で多少は補完することは可能である。
【0038】
〔具体例〕
図7(A),(B)は本実施の形態の光学多層構造体1において、透明基板10としてガラス基板(nS =1.52)、第1の透明層11としてTiO2 膜(n1 =2.32)、間隙層12として空気層(nD =1.00)、第2の透明層13としてBi2 3 膜(屈折率n2 =1.92)を用いた場合の入射光の波長(設計波長550nm)と反射率との関係を表すものである。ここで、図7(A)は間隙部(空気層)の光学膜厚が「λ/2」(物理的厚さ=275nm)と「λ/4」(137.5nm)の場合、図7(B)は間隙部(空気層)の光学膜厚が「0」と「λ/4」の場合の特性をそれぞれ表している。
【0039】
図8(A)〜(C)はこれらの光学アドミッタンスダイヤグラムを表すものであり、図8(A)は間隙部(空気層)の光学膜厚が「λ/2」、図8(B)は間隙部(空気層)の光学膜厚が「λ/4」、図8(C)は間隙部(空気層)の光学膜厚が「0」の場合をそれぞれ示している。
【0040】
図7に示した特性図からも明らかなように、本実施の形態の光学多層構造体1では、間隙部(空気層)12の光学膜厚が「λ/2」の場合には入射光(波長λ)に対して低反射特性、間隙部12の光学膜厚が「λ/4」の場合には高反射特性、間隙部12の光学膜厚が0の場合には低反射特性をそれぞれ示すことが分かる。すなわち、間隙部12の光学膜厚が「λ/4」の奇数倍と、「λ/4」の偶数倍(0を含む)との間で切り替わると、高反射特性と低反射特性とを交互に示すことになる。なお,同じ低反射特性であっても、光学膜厚が「λ/2」の場合には特定波長(550nm)に対してVコート反射特性を示すが、光学膜厚が「0」となると、V字特性がなだらかになり、平坦に近くなり反射率0%の帯域が広くなってくる。
【0041】
このように本実施の形態では、例えば550nmなどの可視光領域においても、高コントラストな変調を行うことができる。しかも、簡単な構成であり、可動部分の移動範囲も高々「λ/2」であるため、高速応答が可能になる。従って、この光学多層構造体1を用いることにより、高速な光スイッチング素子および画像表示装置を実現することができる。
【0042】
〔第2の実施の形態〕
次に、図9および図10を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、特定の波長域において反射特性を変化させることのできる構造について説明したが、本実施の形態では、一定の幅をもった(フラットな)広帯域の波長域においてほぼ均一に反射特性を変化させることができるようにしたものである。
【0043】
本実施の形態の光学多層構造体2は、非金属の透明材料からなる透明基板20上に、この透明基板20に接する第1の透明層21、第2の透明層22、光の干渉現象を起こし得る大きさを有すると共にその大きさが可変な間隙部23、第3の透明層24および第4の透明層25をこの順で配設してなるものである。ここで、図9は光学多層構造体2における後述の間隙部23が存在している状態、図10は光学多層構造体2の間隙部がないときの状態をそれぞれ示している。
【0044】
本実施の形態では、透明基板20の屈折率をnS 、第1の透明層の屈折率をn1 、第2の透明層の屈折率をn2 、第3の透明層の屈折率をn3 、第4の透明層の屈折率をn4 としたとき、以下の式(4)の関係が成立するように設定されている。
【0045】
S <n1 <n2 ≒n3 、かつn4 <n1 ・・・(4)
【0046】
具体的な材質は、透明基板20としては、例えば透明ガラス基板や透明プラスチック基板、第1の透明層21としてはAl2 3 膜(n1 =1.67)、第2の透明層22としてはTiO2 膜(n2 =2.4)、第3の透明層24としてはTiO2 膜(n3 =2.4)、第4の透明層25としてはMgF2 膜(n4 =1.38)などが挙げられる。第1の透明層21ないし第4の透明層25の光学的な膜厚n1 1 ,n2 2 ,n3 3 ,n4 4 は、「λ/4」、あるいは「λ/4の奇数倍」(λは入射光の波長)である。
【0047】
第1の透明層21ないし第4の透明層25は、光学的特性の異なる2以上の層で構成された複合層としてもよいが、この場合には複合層における合成した光学的特性(光学アドミッタンス)が単層の場合と同等な特性を有するものとする必要がある。
【0048】
間隙部23は、第1の実施の形態の間隙部12と同様に、後述の駆動手段によって、その大きさ(第2の透明層22と第3の透明層24との間隔)が可変である。間隙部23を埋める媒体は間隙部12の場合と同様である。
【0049】
本実施の形態の光学多層構造体2では、上記(4)式が成立することから、反射特性を広帯域に得られると共に、間隙部23の大きさを変化させることで、透明基板20側もしくは透明基板20と反対側より入射した光の反射もしくは透過の量を変化させるものであり、より具体的には、第1の実施の形態と同様に、間隙部23の光学的な大きさを、「λ/4の奇数倍」と「λ/4の偶数倍(0を含む)」との間で、2値的あるいは連続的に変化させることで、入射光の反射もしくは透過の量を2値的あるいは連続的に変化させるものである。
【0050】
図11は本実施の形態の光学多層構造体2において、透明基板20としてガラス基板(nS =1.52)、第1の透明層21としてTiO2 膜およびMgF2 (フッ化マグネシウム)膜(複合屈折率n1 =1.7,複合膜厚λ/4に相当)からなる複合層、第2の透明層22としてTiO2 膜(屈折率n2 =2.32)、間隙層23として空気層、第3の透明層24としてTiO2 膜(屈折率n3 =2.32)、第4の透明層25としてMgF2 膜(屈折率n4 =1.38)を用いた場合の入射光の波長(設計波長)と反射率との関係を示す特性図である。ここで、図11は間隙部(空気層)23の光学膜厚が「λ/4」(物理的厚さ=137.5nm)の場合の特性と、間隙部(空気層)23の光学膜厚が「0」の場合の特性をそれぞれ示している。
【0051】
なお、図12(A),(B)はこれらの光学アドミッタンスダイヤグラムを表すものであり、図12(A)は間隙部(空気層)23の光学膜厚が「0」、図12(B)は間隙部(空気層)23の光学膜厚が「λ/4」の場合をそれぞれ示している。
【0052】
図11の特性図からも明らかなように、本実施の形態の光学多層構造体2では、間隙部(空気層)23の光学膜厚が「λ/4」の場合には広い帯域に渡って高反射特性(ほぼ60%)、間隙部23の光学膜厚が「0」の場合には広帯域に渡って平坦な低反射特性(ほぼ0%)をそれぞれ示すことが分かる。
【0053】
〔変形例〕
図13に示した光学多層構造体は、ガラスからなる透明基板10の上に膜厚例えば100nm以上の金属膜、アルミニウム(Al)層10aを形成し、第1の透明層11を膜厚52.67nmのTiO2 膜、第2の透明層13を、膜厚32.29nmのTiO2 膜13a、膜厚114.72nmのSiO2 膜13b、膜厚53.08nmのTiO2 膜13cおよび膜厚19.53nmのSiO2 膜13dからなる多層膜により形成したものである。アルミニウム層10aが100nm以上になると光の透過は殆ど0である。また、透過のないものに反射防止膜を設けるということは、反射が0になり、光のすべてがアルミニウム層10aに吸収されることを意味する。更に、アルミニウム自体の特性から、反射防止の特性を崩した際の高反射状態での反射率を少ない層数で100%近くにすることが設計上容易になる。
【0054】
図14は、この光学多層構造体において、間隙部12を変化させたときのシミュレーションの結果を表すものである。入射光はアルミニウム層10aの反対側(最上層のSiO2 膜13d側)より入射する。なお、間隙部12は、最上層から2番目のSiO2 膜13bのところに置き換えても、同様の特性を得ることができる。図15はそのときの反射特性を表すものである。このときの設計波長は550nmで、各層の膜厚を図中に示した。
【0055】
図14および図15での間隙部12は屈折率1.0の空気若しくは真空を想定しているが、これを実験的に行うのは多少複雑なプロセスを必要とするので、間隙部の代わりに、低屈折率材料のSiO2 を用いて実験を行った。このときの膜構成は図16に示したとおりであり、図17にそのシミュレーションの結果を、また、実際に成膜したものの測定結果を図18および図19にそれぞれ示す。これによりシミュレーションの結果と実際の測定結果とはよく一致していることが分かる。このとき光はガラス基板側より入射される設定となっているので、表面での4%程度の反射が実測値では大きくなっている。それ以外の多少のずれは、成膜中に光学的にモニタリングしながら膜厚をコントロールすることでなくすことができる。
【0056】
図20は図13に示した光学多層構造体において、間隙部12を386nm、また図21は同じく1485nmにした場合の反射特性をそれぞれ表すものである。図20および図21における低反射帯の幅は、図14の例(間隙部12は110.46nm)より狭くなっていることが分かる。すなわち、間隙部12が大きくなるほど、特に1500nm以上では、低反射域の幅が狭くなり、製造時にマージンが低くなり、かなり扱いづらくなる。そのため、間隙部12の大きさとしては、1500nm未満、好ましくは500nm以内である。この程度であれば、さほど問題なく作製することができる。
【0057】
図22に示した光学多層構造体は、ガラスからなる透明基板10の上に直接、第1の透明層11を膜厚40.89nmのTiO2 膜、第2の透明層13を膜厚32.62nmのTiO2 膜13a、膜厚77.14nmのSiO2 膜13b、膜厚39.40nmのTiO2 膜13cおよび膜厚163.13nmのSiO2 膜13dからなる多層膜により形成したものである。図23はそのシミュレーションの結果を表すものである。このときの設計波長は550nmとした。図13の例とは異なり、透明基板10上に光吸収膜(アルミニウム層)がないため、反射帯域での反射率は低いが、透過光が多層構造に吸収されずに抜けて行くので、構造体自体が熱を持つことを防ぐことができる。
【0058】
以上の実施の形態では、光学多層構造体の間隙部を一層としたが、複数層、例えば図24に示したように2層設けるようにしてもよい。すなわち、透明基板10上に、第1の透明層11、第1の間隙部12、第2の透明層13、第2の間隙部30、第3の透明層31をこの順に形成し、第2の透明層13および第3の透明層31をそれぞれ例えば窒化シリコンからなる支持体15,32により支持したものである。
【0059】
この光学多層構造体では、中間の第2の透明層13が上下に変位し、第1の間隙部12と第2の間隙部30の一方の間隙が狭くなった分、他方の間隙部が広まることにより反射特性が変化する。
【0060】
〔駆動方法〕
次に、上記光学多層構造体1,2における間隙部12,23の大きさを変化させるための具体的な手段について説明する。
【0061】
図25は、静電気により光学多層構造体を駆動する例を示している。この光学多層構造体は、透明基板10の上の第1の透明層11の両側にそれぞれ例えばアルミニウムからなる電極16a,16aを設けると共に、第2の透明層13を例えば窒化シリコン(Si3 4 )からなる支持体15により支持し、この支持体15の電極16a,16aに対向する位置に電極16b,16bを形成したものである。
【0062】
この光学多層構造体では、電極16a,16aおよび電極16b,16bへの電圧印加による電位差で生じた静電引力によって、間隙部12の光学膜厚を、例えば「λ/4」と、「0」との間、あるいは「λ/4」と「λ/2」との間で2値的に切り替える。勿論、電極16a,16a、電極16b,16bへの電圧印加を連続的に変化させることにより、間隙部12の大きさをある値の範囲で連続的に変化させ、入射した光の反射、若しくは透過あるいは吸収等の量を連続的(アナログ的)に変化させるようにすることもできる。
【0063】
光学多層構造体を静電気で駆動するものとしては、その他、図26および図27に示した方法によってもよい。図26に示した光学多層構造体1は、透明基板10の上の第1の透明層11上に例えばITO(Indium-Tin Oxide) からなる透明導電膜17aを設けると共に、例えばSiO2 からなる第2の透明層13を架橋構造に形成し、この第2の透明層13の内面に同じくITOからなる透明導電膜17bを設けたものである。
【0064】
この光学多層構造体では、透明導電膜17a,17b間への電圧印加による電位差で生じた静電引力によって、間隙部12の光学膜厚を切り替えることができる。
【0065】
図27に示した光学多層構造体では、図26の光学多層構造体の透明導電膜17aの代わりに、第1の透明層12と透明基板10との間に例えばアルミニウム(Al)からなる導電膜17cを設けたものである。
【0066】
光学多層構造体の駆動は、このような静電気の他、トグル機構や圧電素子などのマイクロマシンを用いる方法、磁力を用いる方法や、形状記憶合金を用いる方法など、種々考えられる。図28(A),(B)は磁力を用いて駆動する態様を示したものである。この光学多層構造体では、第2の透明層13の上に開孔部を有するコバルト(Co)などの磁性材料からなる磁性層40を設けると共に透明基板10の下部に電磁コイル41を設けたものであり、この電磁コイル41のオン・オフの切り替えにより、間隙部12の間隔を例えば「λ/2」(図28(A))と「0」(図28(B))との間で切り替え、これにより反射率を変化させることができる。
【0067】
〔光スイッチング装置〕
【0068】
図29は、上記光学多層構造体1を用いた光スイッチング装置100の構成を表すものである。光スイッチング装置100は、例えばガラスからなる透明基板101上に複数(図では4個)の光スイッチング素子100A〜100Dを一次元アレイ状に配設したものである。なお、1次元に限らず、2次元に配列した構成としてもよい。この光スイッチング装置100では、透明基板101の表面の一方向(素子配列方向)に沿って例えばTiO2 膜102が形成されている。TiO2 膜102上には、例えばITO(Indium-Tin Oxide: インジウムと錫の酸化物混合膜)膜103が形成されている。これらTiO2 膜102およびITO膜103が第1の実施の形態の第1の透明層に対応するものである。
【0069】
透明基板101上には、TiO2 膜102およびITO膜103に対して直交する方向に、複数本のBi2 3 膜105が配設されている。Bi2 3 膜105の外側には透明導電膜としてのITO膜106が形成されている。これらITO膜106およびBi2 3 膜105が第1の実施の形態の第2の透明層に対応するもので、ITO膜103を跨ぐ位置において架橋構造となっている。第1の透明層および第2の透明層の光学的な膜厚は、例えば「λ/4」(λは入射光の波長(550nm))である。ITO膜103とITO膜106との間には、スイッチング動作(オン・オフ)に応じてその大きさが変化する間隙部104が設けられている。間隙部104の光学膜厚は、入射光の波長(λ=550nm)に対しては、例えば「λ/4」(137.5nm)と「0」との間で変化するようになっている。
【0070】
光スイッチング素子100A〜100Dは、透明導電膜(ITO膜103,106)への電圧印加による電位差で生じた静電引力によって、間隙部104の光学膜厚を、例えば「λ/4」と「0」との間で切り替える。図29では、光スイッチング素子100A,100Cが間隙部104が「0」の状態(すなわち、低反射状態)、光スイッチング素子100B,100Dが間隙部104が「λ/4」の状態(すなわち、高反射状態)を示している。なお、透明導電膜(ITO膜103,106)と電圧印加装置(図示せず)とにより、本発明の「駆動手段」を構成している。
【0071】
この光スイッチング装置100では、第1の透明層側のITO膜103を接地して電位を0Vとし、第2の透明層側に形成されたITO膜106に例えば+12Vの電圧を印加すると、その電位差によりITO膜103,106間に静電引力が発生し、図29では光スイッチング素子100A,100CのようにITO膜103,106が密着し、間隙部104が「0」の状態となる。この状態では、入射光P1 は上記多層構造体を透過し、更に透明基板21を通過して透過光P2 となる。
【0072】
次に、第2の透明層側の透明導電膜106を接地させ電位を0Vにすると、ITO膜103,106間の静電引力がなくなり、図29では光スイッチング素子100B,100DのようにITO膜103,106間が離間して、間隙部12が「λ/4」の状態となる。この状態では、入射光P1 は反射され、反射光P3 となる。
【0073】
このようにして、本実施の形態では、光スイッチング素子100A〜100D各々において、入射光P1 を静電力により間隙部を2値に切り替えることによって、透過光P2 および反射光P3 の2方向に切り替えて取り出すことができる。勿論、前述のように間隙部の大きさを連続的に変化させることにより、入射光P1 を透過光P2 から反射光P3 に連続的に切り替えることも可能である。
【0074】
これら光スイッチング素子100A〜100Dでは、可動部分の動かなくてはならない距離が、大きくても入射光の「λ/2(あるいはλ/4)」程度であるため、応答速度が10ns程度に十分高速である。よって、一次元アレイ構造で表示用のライトバルブを実現することができる。
【0075】
加えて、本実施の形態では、1ピクセルに複数の光スイッチング素子を割り当てれば、それぞれ独立に駆動可能であるため、画像表示装置として画像表示の階調表示を行う場合に、時分割による方法だけではなく、面積による階調表示も可能である。
【0076】
〔画像表示装置〕
図30は、上記光スイッチング装置100を用いた画像表示装置の一例として、プロジェクションディスプレイの構成を表すものである。ここでは、光スイッチング素子100A〜100Dからの反射光P3 を画像表示に使用する例について説明する。
【0077】
このプロジェクションディスプレイは、赤(R),緑(G),青(B)各色のレーザからなる光源200a,200b,200cと、各光源に対応して設けられた光スイッチング素子アレイ201a,201b,201c、ダイクロイックミラー202a,202b,202c、プロジェクションレンズ203、1軸スキャナとしてのガルバノミラー204および投射スクリーン205を備えている。なお、3原色は、赤緑青の他、シアン,マゼンダ,イエローとしてもよい。スイッチング素子アレイ201a,201b,201cはそれぞれ、上記スイッチング素子を紙面に対して垂直な方向に複数、必要画素数分、例えば1000個を1次元に配列したものであり、これによりライトバルブを構成している。
【0078】
このプロジェクションディスプレイでは、RGB各色の光源200a,200b,200cから出た光は、それぞれ光スイッチング素子アレイ201a,201b,201cに入射される。なお、この入射角は偏光の影響がでないように、なるべく0に近くし、垂直に入射させるようにすることが好ましい。各光スイッチング素子からの反射光P3 は、ダイクロイックミラー202a,202b,202cによりプロジェクションレンズ203に集光される。プロジェクションレンズ203で集光された光は、ガルバノミラー204によりスキャンされ、投射スクリーン205上に2次元の画像として投影される。
【0079】
このように、このプロジェクションディスプレイでは、複数個の光スイッチング素子を1次元に配列し、RGBの光をそれぞれ照射し、スイッチング後の光を1軸スキャナにより走査することによって、2次元画像を表示することができる。
【0080】
また、本実施の形態では、低反射時の反射率を0.1%以下、高反射時の反射率を70%以上とすることができるので、1,000対1程度の高コントラストの表示を行うことができると共に、素子に対して光が垂直に入射する位置で特性を出すことができるので、光学系を組み立てる際に、偏光等を考慮にする必要がなく、構成が簡単である。
【0081】
以上実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および変形例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、光源としてレーザを用いて一次元アレイ状のライトバルブを走査する構成のディスプレイについて説明したが、図31に示したように、二次元状に配列された光スイッチング装置206に白色光源207からの光を照射して投射スクリーン208に画像の表示を行う構成とすることもできる。
【0082】
また、上記実施の形態では、透明基板としてガラス基板を用いる例について説明したが、図32に示したように、例えば厚さ2mm以内の柔軟性を有する(フレキシブルな)基板209を用いたペーパ−状のディスプレイとし、直視により画像を見ることができるようにしてもよい。
【0083】
更に、上記実施の形態では、本発明の光学多層構造体をディスプレイに用いた例について説明したが、例えば光プリンタに用いて感光性ドラムへの画像の描きこみをする等、ディスプレイ以外の光プリンタなどの各種デバイスにも適用することも可能である。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の光学多層構造体および光スイッチング素子によれば、間隙部の大きさを変化させることにより、透明基板側もしくは透明基板と反対側より入射した可視光の反射もしくは透過の量を変化させることができ、簡単な構成で、特に可視光領域においても、高速応答が可能になる。
【0085】
また、本発明の画像表示装置によれば、本発明の光スイッチング素子を1次元に配列し、この1次元アレイ構造の光スイッチング装置を用いて画像表示を行うようにしたので、高コントラストの表示を行うことができると共に、素子に対して光が垂直に入射する位置で特性を出すことができるので、光学系を組み立てる場合に、偏光等を考慮にする必要がなく、構成が簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る光学多層構造体の間隙部が「λ/4」のときの構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した光学多層構造体の間隙部が「0」のときの構成を表す断面図である。
【図3】 図1に示した光学多層構造体の製造工程を説明するための断面図である。
【図4】図3の工程に続く工程を説明するための平面図である。
【図5】図1に示した光学多層構造体の間隙部が「0」の場合の特性を説明するための図である。
【図6】図1に示した光学多層構造体の間隙部が「λ/4」の場合の特性を説明するための図である。
【図7】図1に示した光学多層構造体の反射特性を表す図である。
【図8】図7の反射特性(光学アドミッタンス)を説明するための図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る光学多層構造体の間隙部が「λ/4」のときの構成を表す断面図である。
【図10】図9に示した光学多層構造体の間隙部が「0」のときの構成を表す断面図である。
【図11】図9に示した光学多層構造体の反射特性を表す図である。
【図12】図11の光学多層構造体の反射特性(光学アドミッタンス)を説明するための図である。
【図13】第1の実施の形態の変形例を説明するための断面図である。
【図14】図13の光学多層構造体の反射特性を表す図である。
【図15】図13の光学多層構造体の反射特性を表す図である。
【図16】第1の実施の形態の他の変形例を説明するための断面図である。
【図17】図16の光学多層構造体の反射特性(シミュレーション)を表す図である。
【図18】図16の光学多層構造体の反射特性(実測値)を表す図である。
【図19】図16の光学多層構造体の反射特性(実測値)を表す図である。
【図20】図13に示した光学多層構造体の他の反射特性を表す図である。
【図21】図13に示した光学多層構造体の他の反射特性を表す図である。
【図22】第1の実施の形態の更に他の変形例を説明するための断面図である。
【図23】図22の光学多層構造体の反射特性(シミュレーション)を表す図である。
【図24】第1の実施の形態の更に他の変形例を説明するための断面図である。
【図25】光学多層構造体の静電気による駆動方法を説明するための断面図である。
【図26】光学多層構造体の静電気による他の駆動方法を説明するための断面図である。
【図27】光学多層構造体の静電気による更に他の駆動方法を説明するための断面図である。
【図28】光学多層構造体の磁気による駆動方法を説明するための断面図である。
【図29】光スイッチング装置の一例の構成を表す図である。
【図30】ディスプレイの一例の構成を表す図である。
【図31】ディスプレイの他の例を表す図である。
【図32】ペーパー状ディスプレイの構成図である。
【符号の説明】
1,2…光学多層構造体、10…透明基板、11,21…第1の透明層、12,23…間隙部、13,22…第2の透明層、24…第3の透明層、25…第4の透明層、100─光スイッチング装置

Claims (5)

  1. 明基板上に、前記透明基板に接する第1の透明層、第2の透明層、光の干渉現象を起こし得る大きさを有すると共にその大きさが可変な間隙部、第3の透明層および第4の透明層をこの順で配設した構造を有すると共に、前記間隙部の光学的な大きさを変化させる駆動手段を有する光学多層構造体であって、
    前記透明基板をガラス基板、前記第1の透明層をTiO 2 膜およびMgF 2 膜からなる複合層、前記第2の透明層をTiO 2 膜、前記第3の透明層をTiO 2 膜、前記第4の透明層をMgF 2 膜によりそれぞれ構成すると共に前記間隙部を空気層とし、かつ前記第1の透明層、前記第2の透明層、前記第3の透明層および前記第4の透明層の光学的な膜厚を、λ/4あるいはλ/4の奇数倍(λは入射光の波長)とし、
    前記駆動手段によって、前記間隙部の光学的な大きさをλ/4の奇数倍とλ/4の偶数倍(0を含む)との間で2値的あるいは連続的に変化させることにより、前記透明基板側もしくは前記透明基板と反対側より入射した可視光の反射もしくは透過の量を2値的あるいは連続的に変化させる
    光学多層構造体。
  2. 前記第1の透明層ないし第4の透明層のうち、少なくとも前記間隙部を挟む2つの透明層それぞれにおいて、一部が透明導電膜よりなり、前記駆動手段は、前記透明導電膜への電圧の印加によって発生した静電力により、前記間隙部の光学的な大きさを変化させるものである、請求項1記載の光学多層構造体。
  3. 前記透明導電膜は、ITO,SnO2 およびZnOのうちのいずれかにより形成されている、請求項2記載の光学多層構造体。
  4. 明基板上に、前記透明基板に接する第1の透明層、第2の透明層、光の干渉現象を起こし得る大きさを有すると共にその大きさが可変な間隙部、第3の透明層および第4の透明層をこの順で配設した構造を有すると共に、前記間隙部の光学的な大きさを変化させる駆動手段を有する光スイッチング素子であって、
    前記透明基板をガラス基板、前記第1の透明層をTiO 2 膜およびMgF 2 膜からなる複合層、前記第2の透明層をTiO 2 膜、前記第3の透明層をTiO 2 膜、前記第4の透明層をMgF 2 膜によりそれぞれ構成すると共に前記間隙部を空気層とし、かつ前記第1の透明層、前記第2の透明層、前記第3の透明層および前記第4の透明層の光学的な膜厚を、λ/4あるいはλ/4の奇数倍(λは入射光の波長)とし、
    前記駆動手段によって、前記間隙部の光学的な大きさをλ/4の奇数倍とλ/4の偶数倍(0を含む)との間で2値的あるいは連続的に変化させることにより、前記透明基板側もしくは前記透明基板と反対側より入射した可視光の反射もしくは透過の量を2値的あるいは連続的に変化させる
    光スイッチング素子。
  5. 1次元または2次元に配列された複数の光スイッチング素子に光を照射することで2次元画像を表示する画像表示装置であって、
    前記光スイッチング素子は、透明基板上に、前記透明基板に接する第1の透明層、第2の透明層、光の干渉現象を起こし得る大きさを有すると共にその大きさが可変な間隙部、第3の透明層および第4の透明層をこの順で配設した構造を有すると共に、前記間隙部の光学的な大きさを変化させる駆動手段を有し、
    前記透明基板をガラス基板、前記第1の透明層をTiO 2 膜およびMgF 2 膜からなる複合層、前記第2の透明層をTiO 2 膜、前記第3の透明層をTiO 2 膜、前記第4の透明層をMgF 2 膜によりそれぞれ構成すると共に前記間隙部を空気層とし、かつ前記第1の透明層、前記第2の透明層、前記第3の透明層および前記第4の透明層の光学的な膜厚を、λ/4あるいはλ/4の奇数倍(λは入射光の波長)とし、
    前記駆動手段によって、前記間隙部の光学的な大きさをλ/4の奇数倍とλ/4の偶数倍(0を含む)との間で2値的あるいは連続的に変化させることにより、前記透明基板側もしくは前記透明基板と反対側より入射した可視光の反射もしくは透過の量を2値的あるいは連続的に変化させる、画像表示装置。
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