JP4612266B2 - 木質感に優れた熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、木質感に優れた熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法に関するもので、より詳細には成形体表面に凹凸を形成させることにより、光沢の発生が有効に抑制され、その結果として顕著に向上した木質感を有する熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
建材、家具等の用途の熱可塑性樹脂成形体において、成形体表面に木質感を付与することは、この分野の技術の永遠のテーマであるといってよく、そのための提案も数多くなされている。
【0003】
例えば、特開平8−169092号公報には、塩化ビニル樹脂から成るベースと、木粉を充填した塩化ビニル樹脂組成物の表面層とを、一体に且つベースのごく表面を前記表面層が薄く被覆する形で共押出成形して成ることを特徴とする表面に木調の肌理を現出させた木粉充填樹脂被覆押出成形品が記載されている。
【0004】
また、特開2002−11816号公報には、無発泡或いは低発泡のABS樹脂から成る基体と、木粉充填表面層との押出成形体において、少なくとも化粧面となる表面層がABS樹脂90〜20重量%と、木粉10〜80重量%と、上記2成分の合計100重量部を基準として、発泡剤0.1〜1重量部と、平均分子量が50万〜500万の高分子加工助剤1〜20重量部とからなり、且つ該表面層の表面が破泡していることを特徴とする木粉充填発泡樹脂成形体が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような2重構造の熱可塑性樹脂成形体においても、成形体表面における木質感はいまだ充分であるとは言い難い。
即ち、前者の従来技術では、木粉充填表面層を薄くすることで、木調の再現を計ったものであるが、成形体の表面が金型やガイドで擦れるために、また樹脂自体が有する光沢性のために、艶がでてしまい、良好な木質感が得られないという問題がある。
【0006】
一方、後者の従来技術では、表面層の表面を破泡させることで木質感を付与しようとするものであるが、この方法でも破泡した部分がガイドにより擦れるため、やはり光沢が生じる部分ができてしまい、木質感としては未だ不十分である。
【0007】
従って、本発明の目的は、成形体表面における擦れによる光沢発現が有効に抑制される一方で、凹凸の形成が有効に行われ、その結果として顕著に向上した木質感を有する熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、熱可塑性樹脂と発泡剤との樹脂組成物からなり少なくとも化粧面となる0.3〜3mmの厚みの表面層と、無発泡或いは低発泡の熱可塑性樹脂からなるベースとを備えた熱可塑性樹脂共押出成形体において、表面層の熱可塑性樹脂が発泡剤の分解温度よりも低い溶融温度を有するポリエチレンまたはポリプロピレンであり、ベースの熱可塑性樹脂の溶融温度が発泡剤の分解温度と同等もしくはそれ以下であり且つ表面層が成形後に発泡されていることを特徴とする熱可塑性樹脂共押出成形体が提供される。
本発明の熱可塑性樹脂成形体においては、
1.発泡剤が160乃至220℃の分解温度を有するものであること、
が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂共押出成形体において、表面層とベースとの間に中間層を介在させることができ、この場合、表面層とベースとが相溶性のない樹脂の組合せであり、中間層が上記両樹脂に対して接着性を有する樹脂であることができ、また中間層が表面層よりも耐熱性のある樹脂からなることもできる。
本発明によればまた、ポリエチレンまたはポリプロピレンからなる熱可塑性樹脂と該樹脂当り0.1乃至3重量部の発泡剤を含有する表面層形成用樹脂組成物を、発泡剤が実質上分解しない温度で溶融混練し、ベースとなる熱可塑性樹脂を発泡剤の分解温度と同等もしくはそれ以下の温度で溶融混練し、これらの両樹脂を多層多重ダイを通して共押出し、共押し出しされた成形体の表面層を選択的に加熱して発泡させることを特徴とする上記熱可塑性樹脂共押出成形体を製造する方法が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
[作用]
本発明の熱可塑性樹脂成形体は、熱可塑性樹脂と発泡剤との樹脂組成物からなり少なくとも化粧面となる表面層と、無発泡或いは低発泡の熱可塑性樹脂からなるベースとを備えているが、表面層の熱可塑性樹脂が発泡剤の分解温度よりも低い溶融温度を有する熱可塑性樹脂であること、ベースの熱可塑性樹脂の溶融温度が発泡剤の分解温度と同等もしくはそれ以下であること、及び表面層が成形後に発泡されていることが特徴である。
【0010】
一般に、樹脂の溶融発泡成形では、ポリマーに気体が導入され且つこの中に気体が分散する過程(以下単に気体の分散過程とも呼ぶ)及びその気体(気泡粒)を発泡させて気泡へ成長させる過程(以下単に気泡の成長過程とも呼ぶ)を経て、発泡体の形成が行われる。
【0011】
本発明では、発泡剤含有熱可塑性樹脂からなる表面層と無発泡乃至低発泡のベースとを押出成形して、熱可塑性樹脂発泡成形体を製造するが、この押出工程では、表面層における発泡剤の分解を抑制し、或いは発泡剤の分解を許容するとしても気体の分散に留め、ダイ外での表面層の加熱により、表面層を発泡させるものである。(以下、本発明において行われるこのような成形後の発泡を2次発泡と呼ぶ。)
【0012】
即ち、本発明の成形体では、表面層の熱可塑性樹脂がその中に含有される発泡剤の分解温度よりも低い溶融温度を有し、またベースの熱可塑性樹脂の溶融温度が発泡剤の分解温度と同等もしくはそれ以下であるため、発泡剤を実質上分解することなく、積層体の押出成形が可能となり、押出工程とは別の工程で表面層の2次発泡、即ち気泡成長が可能となるものである。
しかも、表面層の2次発泡時には表面層の熱可塑性樹脂は必ず溶融するので、押出成形時に表面層に金型との擦れやガイドとの擦れにより光沢部分や艶のある部分が発生したとしても、これらの光沢部分や艶のある部分は樹脂の溶融により解消され、成形体表面は木質感に優れているという利点が得られる。
【0013】
[熱可塑性樹脂]
本発明に用いる熱可塑性樹脂は、前述した条件を満足するものである。具体的には、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、ピロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレフィン;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル共重合体、アイオノマー等のエチレン系共重合体;ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;塩化ビニール樹脂(PVC)等の塩素含有重合体;ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂;ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフエニレンオキサイド等あるいはそれらの混合物などを挙げることができ、特に表面層形成用としては、ポリエチレンまたはポリプロピレンが使用される。
【0014】
本発明においては、ポリエチレン、特に高密度ポリエチレンを木質感に優れた樹脂成形体の製造に用いうることが注目されるべきである。ポリエチレンは、熱可塑性樹脂の中でも溶融温度が低く、本発明による樹脂発泡成形体の製造に特に適している。また、ポリエチレンは最も安価に入手できる汎用樹脂の一つであると共に、成形性や成形体の諸物性に優れているという利点を有している。ポリエチレンとしては、密度が0.94乃至0.97g/cm3の範囲にあり且つメルトフローレート(ASTM D−1238 試験条件190℃)が0.02〜13g/10分の範囲にあるものが適している。勿論、高密度ポリエチレン(HDPE)以外に、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)等を単独或いは2種以上の組合せで使用することができる。
【0015】
本発明の目的に好適に使用できる熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン系樹脂があげられる。ポリプロピレン系樹脂は結晶性ポリマーであり、溶融粘度の温度依存性が大きいため、溶融発泡の難しいポリマーであるが、本発明によれば、ポリプロピレンを用いても、木質感に優れた発泡成形体を製造することが可能となる。
【0016】
ポリプロピレン系樹脂としては、アイソタクティック構造のものでも、シンジオタクティック構造のものでも使用でき、ホモポリプロピレンの他に、ランダム共重合ポリプロピレンや、ブロック共重合ポリプロピレンが使用される。
用いるポリプロピレン系樹脂は、一般に融点が140乃至160℃の範囲にあり、且つメルトフローレート(ASTM D−1238 試験条件230℃)が0.1〜40g/10分の範囲にあることが望ましい。
【0017】
用いるポリプロピレン系樹脂は、発泡成形体の用途に応じて各種のものを選択することができ、例えば耐熱性や剛性が要求される用途にはホモポリプロピレンを使用でき、耐衝撃性が要求される用途にはランダム共重合ポリプロピレンやブロック共重合ポリプロピレンが使用される。
これらの共重合体におけるコモノマーとしては、プロピレン以外のオレフィン類、例えばエチレン、1−ブテンの1種或いは2種以上の組合せが挙げられる。
【0018】
本発明の目的に好適な他の熱可塑性樹脂として、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系共重合体(ABS)を挙げることができる。ABS樹脂は、それ自体成形性、耐衝撃性、剛性、引張強度、光沢等の諸特性に優れた汎用樹脂であると共に、発泡樹脂成形体の用途に特に適している。
即ち、結晶性熱可塑性重合体では、温度上昇に伴い急激な溶融粘度の低下が生じるため、発泡適性粘度範囲が狭いという傾向が見られるが、上記ABS樹脂は典型的な非晶質ポリマーであって、温度上昇に伴う粘度低下が比較的緩やかであり、発泡適性粘度範囲が広いという利点を有しており、従って、本発明の発泡樹脂成形体の製造に有利に使用しうる。
【0019】
ABS樹脂は、ポリスチレン(PS)の改質の目的で、PSをアクリロニトリル(AN)及びポリブタジエン(B)で共重合変性したもので、AN含有量が一般に20乃至40重量%、特に25乃至35重量%、及びポリブタジエンの含有量は、一般に5乃至70重量%、特に10乃至30重量%の範囲にあるのものが入手容易である。
AS樹脂では、AN含有量の増大に伴って、耐薬品性が向上し、他に剛性、引張強度、荷重撓み温度、表面硬度、バリアー性、耐光性が向上し、逆に流動性、熱安定性が低下する。したがって、要求される特性に応じて、所定のAN含有量のものを選択し、用いることができる。
また、ABS樹脂は、上記AS樹脂に、ポリブタジエンをゴム成分として分散させ補強させたものであり、一層向上した耐衝撃性、剛性、引張強度、光沢を有している。
このABS樹脂においては、AS樹脂の連続相中にポリブタジエンの粒子が分散層として分散した構造を有し、粒子径は微細であって、一般に0.1乃至0.9μmの範囲にある。
ABS樹脂のグレードには、光沢グレード、良流動グレード、押出グレード、超耐熱グレード、ブローグレードなどの各種のものが知られており、目的に応じてこれらのグレードのものを選択使用することができる。
一般に、メルトフローレート(JIS K7210)は1〜70g/10分の範囲にあるものが使用される。
【0020】
[発泡剤]
本発明に用いる発泡剤としては、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムなどの無機発泡剤;N,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロソ・テレフタルアミド、N,N'−ジニトロソ・ペンタメチレン・テトラミンなどのニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾジカルボキサミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウム・アゾジカルボキシレートなどのアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、P,P'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4'−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホニルアジドなどのアジド化合物などをあげることができる。なかでもニトロソ化合物、アゾ化合物およびアジド化合物が好ましく使用される。
また必要に応じて発泡剤と併用して発泡助剤を使用してもよい。発泡助剤とは、発泡剤の分解温度の低下、分解促進、気泡の均一化などの働きをする添加剤である。発泡助剤としては、サルチル酸、フタル酸、ステアリン酸などの有機酸;尿素およびその誘導体などをあげることができる。
【0021】
本発明に用いる発泡剤は、一般に160乃至220℃の分解温度を有していることが望ましい。好適な発泡剤と分解温度との関係を例示すると、次の通りである。
アゾジカルボンアミド(ADCA) 180〜240℃
オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)180〜220℃
重曹系発泡剤 160℃
【0022】
[表面層用発泡性樹脂組成物]
表面層の熱可塑性樹脂としては、既に指摘したとおり、発泡剤の分解温度よりも低い溶融温度を有する熱可塑性樹脂が使用される。この樹脂組成物では、樹脂100重量部当たり発泡剤を0.1〜3重量部含有する。即ち、発泡剤の含有量が0.1重量部を下回ると、上記範囲内にある場合に比して、良好な発泡状態が得られず、一方3重量部を上回ると、過度の発泡により成形体の表面状態が悪くなる。
【0023】
本発明の表面層用発泡性樹脂組成物には、充填剤、着色剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属セッケンやワックス等の滑剤、改質用樹脂乃至ゴム、等の公知の樹脂配合剤を、それ自体公知の処方に従って配合できる。
【0024】
気泡調節の目的で、無機微粉末、例えばタルク、各種クレイ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等を配合することができ、これらの気泡調節剤は、前記100重量部当たり0.1〜30重量部の量で配合することができる。
【0025】
木質感を一層付与する目的で、木粉を配合することができる。木粉としては、粒径が100メッシュサイズ以下(150μm以下)のものが使用され、例えば針葉樹、広葉樹、ラワン材等の任意の木材の粉末が使用され、製材の際副生する鋸屑、鉋屑等もボールミル粉砕等で粉末化して使用できる。
【0026】
また、発泡成形体の色目を調節するために種々の着色料を配合することができる。着色料としては、例えば二酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ、オーカー等の無機顔料や、各種有機顔料を配合することができる。更に、木目模様等を発現させるために、これらの着色料で樹脂を着色したトナーや、着色ペレットを配合することができる。
これらの着色トナーや着色ペレットは、熱可塑性樹脂100重量部当たり1〜20重量部、特に1〜10重量部の量で用いるのがよい。
【0027】
また、加工性や成形性の向上を目的として、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属石鹸、脂肪酸アミド、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の滑剤を配合することができ、これらの滑剤は熱可塑性樹脂100重量部当たり0.1〜5重量部の量で配合することができる。
【0028】
[熱可塑性樹脂成形体]
本発明による熱可塑性樹脂成形体の一例を示す図1において、この熱可塑性樹脂成形体1は、上述した発泡性樹脂組成物からなる表面層2をベース3に積層し、成形してなる。
【0029】
ベース3は、無発泡或いは低発泡の熱可塑性樹脂からなり、この熱可塑性樹脂は、表面層の発泡剤の分解温度と同等もしくはそれ以下の溶融温度を有する。
ベース3の熱可塑性樹脂は、表面層の熱可塑性樹脂と同一または同種であることが好ましい。
【0030】
本発明における共押出成形体において、発泡製樹脂組成物からなる表面層は0.3〜3mm、特に0.3〜1mmの厚みを有することが好ましい。表面層の厚みが上記範囲を下回ると、2次加熱した際にベースに対する悪い影響があり、また表面層の厚みが上記範囲を上回ると、木質感の発現がうまくいかない傾向がある。
【0031】
本発明による熱可塑性樹脂成形体の他の例を示す図2において、この熱可塑性樹脂成形体1は、発泡性樹脂組成物からなる表面層2を、中間層4を介してベース3に積層し、成形してなる。
例えば、表面層2とベース3とが相溶性のない樹脂の組合せである場合、中間層4として、両樹脂に対して接着性を有する樹脂、例えばSEBS、SBS樹脂などを用いることにより、積層構造を強化させることができる。また中間層4として、表面層2よりも耐熱性のある樹脂を用いることにより、積層体の耐熱性を向上させることができる。
【0032】
[発泡性樹脂成形体の製造]
本発明によれば、熱可塑性樹脂と発泡剤との樹脂組成物からなり少なくとも化粧面となる表面層を、発泡剤が実質上分解しない温度で溶融混練し、ベースとなる熱可塑性樹脂を発泡剤の分解温度と同等もしくはそれ以下の温度で溶融混練し、これらの両樹脂を多層多重ダイを通して共押出し、共押し出しされた成形体の表面層を加熱して、2次発泡させることにより、発泡性樹脂成形体を製造する。
【0033】
前述した各成分を含有する発泡性樹脂組成物を調製し、ついでこれを溶融混練する。発泡性樹脂組成物の調製は、それ自体公知の手段、例えばドライブレンドやメルトブレンド方式で行うことができる。
例えば、各成分の混合を、ブレンダー、ヘンシェルミキサー等を用いてドライブレンドで行うこともできるし、一軸或いは二軸の押出機やバンバリーミキサー、ニーダー等を用いてメルトブレンドで行うことができる。
【0034】
配合の順序にも特に制限はなく、全成分を同時にブレンドしてもよく、また成分を多段階にブレンドすることもできる。例えば、予め発泡剤を除く成分を予備混合し、この予備混合物に発泡剤を添加してブレンドを続行することもできるし、また充填剤と発泡剤或いは更に他の助剤を予備混合し、この予備混合物に熱可塑性樹脂を添加してブレンドを続行することもできる。
【0035】
同時押出成形では、ベースに対応する第1の押出機と、表面層に対応する第2の押出機とを使用し、非発泡性或いは低発泡性の熱可塑性樹脂を第1の押出機中で溶融混練し、表面層形成用の発泡性樹脂組成物を第2の押出機中で溶融混練する。押出成形に当たっては、各成分をドライブレンドし、押出機のホッパーにこれを供給する。押出機としては、単軸或いは二軸のスクリューを備えたそれ自体公知の押出機が使用される。第1の押出機からのベース樹脂流及び第2の押出機からの表面層形成用樹脂流は、多層多重ダイ中で合流し、この積層状態で空気中へ押し出される。押し出された成形体は、寸法及び形状を安定化させるためのガイド或いはサイジングダイと接触する。
【0036】
本発明では、このようにして押し出された成形体の表面を加熱し、表面層を発泡させる。成形体表面の加熱には、加熱金型、熱風(ライスター)、加熱ロール、加熱ボックス等を用いることができ、表面層のみが局部的に加熱され、ベースにまで影響が及ばないようにすることが重要である。
【0037】
本発明では、上記のように表面層中の発泡剤を実質上分解させずに共押し出し、共押し出しされた成形体の表面を2次加熱発泡させることが重要であり、各樹脂についての成形(溶融)温度と2次加熱温度との最適範囲を示すと次の通りである。
【0038】
成形用ダイとしては、成形すべき成形品の形状に合わせて任意の成形用ダイを用いることができ、例えばや発泡シートの場合には、Tダイが使用され、発泡異形断面成形品の場合には、対応する断面形状の異形断面ダイが使用される。勿論、リングダイを用いて、チューブ状の発泡成形品を製造することもできる。
【0039】
本発明による発泡樹脂成形体及び積層体は、上記特性を利用して、種々の建材、例えば床材乃至床仕上げ材、壁材乃至壁仕上げ材、天井材乃至天井仕上げ材、閾い、窓枠、サッシュ等、家具などの構造材乃至パネル材、車両用内装材、OA機器や家電製品の外装材乃至ハウジングなどの分野に有用である。
【0040】
【実施例】
本発明を次の実施例で更に説明する。次の実施例は、説明のためのものであり、いかなる意味においても本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
実施例における測定及び評価は次の通り行った。
(1)光沢度
HORIBA社製の光沢測定機を使用して測定した。
対照標準として、木(合板)の光沢度は0.9であった。
(2)表面状態・質感
得られた発泡成形体の表面の観察により、表面状態・質感を次の基準で評価した。
◎ 樹脂の発泡が有効に行われ、表面が滑らかで、光沢がなく、木質感に特に優れている。
○ 樹脂の発泡が有効に行われ、表面がやや滑らかで、光沢が少なく、木質感に優れている。
× 成形体表面全面に光沢が認められ、或いは成形体の表面にざらつきがあり、発泡も不十分である。
【0042】
[実施例1]
ベース樹脂として、高密度ポリエチレン(HDPE)を第1の押出機に供給し、溶融混練した。
表面層用の発泡性樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(HDPE)100重量部、アゾジカルボンアミド(ADCA)0.5重量部及びタルク20重量部を常温にてドライブレンドし(10分)、第2の押出機に供給して溶融混練し、多層多重ダイから第1の押出機からの樹脂流と合流させ、積層状態で共押出し、押し出された成形体をガイドに通して異形断面成形体に成形した。押出温度は160℃に設定した。また、成形体の表面層の厚みは0.5mmに設定した。
成形体の表面を、温度が200℃に保たれた2次加熱金型と接触させ、2次発泡を行った。得られた成形体は、木質感に優れたものであった。
結果を表1に示す。
【0043】
[実施例2]
実施例1において、高密度ポリエチレン(HDPE)の代わりに、ポリプロピレン系樹脂(PP)を用いると共に、押出温度を200℃及び2次金型温度を230℃に変更する以外は実施例1と同様にして、発泡成形体を製造した。
得られた結果を表1に示す。
【0044】
[実施例3]
実施例1において、表面層用の発泡性樹脂組成物にタルクの代わりに20重量部の木粉を配合する以外は実施例1と同様にして、発泡成形体を製造した。
得られた成形体は木質感に特に優れたものであった。
得られた結果を表1に示す。
【0045】
[実施例4]
実施例3において、第3の押出機を用いてSEBS樹脂を溶融混練し、この溶融樹脂流を、3層3重ダイのベース樹脂流と表面発泡性樹脂流との間に中間層として供給する以外は実施例3と同様にして、3層構造の発泡成形体を製造した。
得られた成形体は木質感に特に優れたものであった。
得られた結果を表1に示す。
【0046】
[実施例5]
実施例3において、表面層用の発泡性樹脂組成物に着色ペレット3重量部を追加配合する以外は実施例3と同様にして、発泡成形体を製造した。
得られた成形体は木質感に特に優れたものであった。
得られた結果を表1に示す。
【0047】
[比較例1]
実施例1において、表面層用の発泡性樹脂組成物からアゾジカルボンアミド(ADCA)の配合を省略すると共に、2次発泡工程を省略する以外は実施例1と同様にして、成形体を製造した。
得られた成形体は表面光沢があり、木質感にほど遠いものであった。
得られた結果を表1に示す。
【0048】
[比較例2]
実施例1において、2次加熱金型での加熱を省略する以外は実施例1と同様にして、成形体を製造した。
得られた成形体は表面光沢があり、木質感にほど遠いものであった。
得られた結果を表1に示す。
【0049】
[比較例3]
実施例1において、表面層用の発泡性樹脂組成物におけるアゾジカルボンアミド(ADCA)の配合量を5重量部とする以外は実施例1と同様にして、成形体を製造した。
得られた成形体は破泡によるざらつきがあり、木質感にほど遠いものであった。
得られた結果を表1に示す。
【0050】
[比較例4]
実施例1において、表面層の厚みを0.05mmとすると共に、2次発泡工程を省略する以外は実施例1と同様にして、成形体を製造した。
得られた成形体は表面光沢があり、木質感にほど遠いものであった。
得られた結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、熱可塑性樹脂と発泡剤との樹脂組成物からなり少なくとも化粧面となる表面層と、無発泡或いは低発泡の熱可塑性樹脂からなるベースとを備えた熱可塑性樹脂成形体において、表面層の熱可塑性樹脂を発泡剤の分解温度よりも低い溶融温度を有する熱可塑性樹脂とし、ベースの熱可塑性樹脂の溶融温度を発泡剤の分解温度と同等もしくはそれ以下とすることにより、表面層の発泡剤を実質上分解させることなく、共押し出し成形が可能となり、共押出成形体の表面層を2次発泡させることにより、成形体表面における擦れによる光沢発現が有効に抑制される一方で、凹凸の形成が有効に行われ、その結果として顕著に向上した木質感を有する熱可塑性樹脂成形体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発泡樹脂成形体の積層構造の一例の断面図である。
【図2】本発明の発泡樹脂成形体の積層構造の他の例の断面図である。
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂と発泡剤との樹脂組成物からなり少なくとも化粧面となる0.3〜3mmの厚みの表面層と、無発泡或いは低発泡の熱可塑性樹脂からなるベースとを備えた熱可塑性樹脂共押出成形体において、表面層の熱可塑性樹脂が発泡剤の分解温度よりも低い溶融温度を有するポリエチレンまたはポリプロピレンであり、ベースの熱可塑性樹脂の溶融温度が発泡剤の分解温度と同等もしくはそれ以下であり且つ表面層が押出成形後に発泡されていることを特徴とする熱可塑性樹脂共押出成形体。
- 発泡剤が160乃至220℃の分解温度を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂共押出成形体。
- 表面層とベースとの間に中間層が介在していることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂共押出成形体。
- 表面層とベースとが相溶性のない樹脂の組合せであり、中間層が上記両樹脂に対して接着性を有する樹脂であることを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性樹脂共押出成形体。
- 中間層が表面層よりも耐熱性のある樹脂からなることを特徴とする請求項4に記載の熱可塑性樹脂共押出成形体。
- ポリエチレンまたはポリプロピレンからなる熱可塑性樹脂と該樹脂当り0.1乃至3重量部の発泡剤を含有する表面層形成用樹脂組成物を、発泡剤が実質上分解しない温度で溶融混練し、ベースとなる熱可塑性樹脂を発泡剤の分解温度と同等もしくはそれ以下の温度で溶融混練し、これらの両樹脂を多層多重ダイを通して共押出し、共押し出しされた成形体の表面層を選択的に加熱して発泡させることを特徴とする請求項1の熱可塑性樹脂共押出成形体を製造する方法。
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