JP4608937B2 - 光源装置 - Google Patents
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Description
このような超高圧放電ランプは、例えば、特開平2−148561号、特開平6−52830号、特許第2980882号に開示されている。
近年、液晶プロジェクター装置やDMDを使ったDLP装置は小型化が強く求められ、これに応じて、光源装置も小型化が求められている。また、被照射物である液晶表示パネル自体も小型化されていることも、光源装置の小型化が要請される理由の一つである。
第一に、反射鏡自身の強度が高いことである。放電ランプは点灯時の内圧が超高圧(例えば、150気圧以上)であるから、万一、放電ランプが破損した場合に、その影響が光源装置外部に及ばないようにするためである。
第二に、反射鏡およびその内部の放電ランプを良好に冷却できることである。放電ランプの点灯時温度が極めて高いことから反射鏡も極めて高温になるからである。従って、反射鏡の熱伝導度を高くするとともに、反射鏡の外部に冷却風を当てることで内部を容易に冷却できることが必要になる。
第三に、反射鏡内面にコーティングされた可視光反射用の誘電体多層膜が歪んだり凹凸を生じたりすることなく、滑らかに形成させることである。
また、反射鏡内部にシリカを主成分とする中間層を設けることで可視光反射層を反射鏡の基体金属に密着することができる。従って、反射特性のあまり高くない銅、鉄あるいはこれらの合金を基体金属として採用しても十分な可視光を放射することが可能となり、プロジェクター装置に好適に採用することができる。
また、凹面反射鏡の前面開口縁は径方向に拡開した傾斜面を有するため、前記中間層を基体金属に付着させた後に乾燥させる工程において、不所望な溜まりの発生を防止できる。
光源装置は、ショートアーク型超高圧放電ランプ10(以後、単に「放電ランプ」ともいう)と、この放電ランプ10を取り囲む凹面反射鏡20より構成され、凹面反射鏡20の光軸Lと放電ランプ10のアーク方向がほぼ一致するとともに、放電ランプ10のアーク輝点が凹面反射鏡20の第一焦点に一致するように配置されている。
凹面反射鏡20の頂部21の外側には、例えば、セラミックス材料などから構成される支持部材16が配置されており、凹面反射鏡20は接着剤により支持部材16に固定される。
前面開口部23には、例えば、ホウ珪酸ガラスなどからなる光透過性の前面ガラス2423が枠部材25を介して装着される。
前面ガラス24を設けることで凹面反射鏡20の内部をほぼ密閉構造にできる。このため、万一、放電ランプ10が破損した場合などにおいて、破片が散乱することを防止できる。
なお、前面ガラス24は、破片の飛散防止には有効であるが必須のものではない。特に、放電ランプを冷却する必要性が高い場合などにおいて前面ガラスを設けないことも可能である。また、凹面反射鏡の外部であって、反射鏡の前面に実質的に前面ガラスに相当する部材が配置される場合などは、当該反射鏡に前面ガラスを取り付ける必要はない。
さらに、前面ガラス24を取り付ける場合に、反射鏡20の内部を完全に密閉構造とするのではなく、一部に冷却用開口を設けることもできる。この冷却用開口は、例えば枠部材25に形成したり、反射部22の一部に切り欠きとして設けることもできる。
なお、傾斜部220については後述する。
また、凹面反射鏡20の反射部22の内面には、可視光反射層40がコーティングされており、可視光反射層40と反射部22の間に中間層30が設けられる。
放熱効果を期待する場合には、鉄より銅により凹面反射鏡を構成することが好ましい。
鉄合金について、一例をあげると、ステンレス鋼(オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系)、クロムモリブデン鋼などが採用できる。
しかしながら、本発明の光源装置は、熱線吸収機能と反射面平滑化機能を有する中間層を使うということで、従来不向きとされていた問題を解決することができ、反射特性の優れた可視光反射層を極めて精度良くコーティングできるようになったわけである。
つまり、本願発明の光源装置は、中間層の採用という新規な発明とともに、それに併せて反射鏡材料を改良するものであり、これにより、反射特性を衰えさせることなく光取り出し効率を従来レベルに維持できるととともに、かつ、反射鏡の機械的強度を画期的に高めることができるということに大きな特徴を有している。
具体的には、中間層は基体金属を構成する金属の酸化物を含むシリカ質酸化物であることから熱線を吸収する機能を有するとともに、シリカを主成分とことから反射面を平滑にする機能も有する。この中間層の上に誘電体多層膜からなる可視光反射層40が形成される。
さらに、可視光反射層を塗布するための下地であり、基体金属の種類に関わらず、可視光反射層を塗布させることである。
中間層の厚さが1mmを超えると、中間層を構成する材料と、基体金属を構成する金属との熱膨張率の差に起因して当該中間層にクラックが入るおそれがあるからである。
反射鏡内面への塗布は、例えば、スプレー法、浸漬法(ディッピング法)などにより行なわれる。
加熱時間は、反射鏡の基本金属の種類や厚さによっても異なるが、例えば1〜5分となる。
ここで、反射鏡の基体金属の候補として、反射特性の優れたアルミニウムも考えられる。しかしながら、アルミニウムは融点が660℃程度と、銅、鉄あるいはこれらの合金に比べて極端に低い。このため中間層の加熱温度が当該温度を超えると反射鏡自体の変形を導くことから加熱温度は極端に制限されてしまう。この加熱温度の制限こそが中間層の反射鏡への完全は塗布を妨げる原因となり、歪みや不所望な変形を導いてしまう。
本願発明は、反射鏡の基体金属の材料として、中間層が反射鏡の内面に歪みなどを生じることなく滑らかに形成できるように、高温加熱処理に耐えられる銅、鉄あるいはこれらの合金を採用したことが特徴である。これにより、高い反射特性が確保できるとともに、銅、鉄あるいはこれらの合金の高い熱伝導性により、反射鏡外部の冷却風を流すことによる反射鏡内部の冷却効果は著しく高いものがある。
反射鏡20(半製品)は、前面開口を下方にして設定台Eの表面に所定時間放置する。これにより中間層を乾燥させることができる。上記形態で置く理由は、反射鏡が曲面部分を有する形態であり、前面開口を下方にすることが安定にできるからである。このため多少の振動が発生したとしても反射鏡は反転することはない。このような乾燥処理は、例えば0.5〜2.0時間程度行なわれる。ここで、図3に示す反射鏡(半製品)は、後述する傾斜部は記載していない。
(a)図に示すように、従来の反射鏡は、反射部22の基体金属が同じ厚みのまま凹面形状を形成するように開口縁まで伸びている。このため、乾燥処理では溜まり部31が発生する。溜まり部31は中間層30の素材(シリカを主成分とする材料)が自重により自然に発生するものである。
この溜まり部31は、ランプからの放射光を遮光したり、あるいは枠部材や前面ガラスとの接合に影響を与える。また、溜まり部31をヤスリなどにより除去ことも可能ではあるが、乾燥処理の後に当該切削処理が別途必要になってしまう。
一方、(b)図に示すように、本発明に係る反射鏡は乾燥処理において溜まり部が発生することはない。あるいは、溜まり部が発生しても実質的に影響がないほど小さなものにできる。なぜなら、前面開口縁に径方向に拡開する傾斜部220を有するため、中間層の素材は当該傾斜部220に沿って垂下るからである。
数値例をあげると、傾斜部220の傾斜角度θは1°〜75°であり、例えば45°である。反射部22の厚みは、傾斜開始位置220aで例えば2.0mm、傾斜終了位置220bで例えば0.5mmである。
もちろん、傾斜部の角度は、乾燥処理の時間、中間層の材料、中間層の厚みなどを考慮して設定する。
(a)は反射部22の先端部を外方に広げることで傾斜部220を形成している。すなわち、図4(b)に示す形態のように反射部22の厚みが前方開口に向かうにつれて縮小するのではなく、反射部22そのものを外方に広げて傾斜部220を形成している。
(b)は反射部22の先端部に傾斜部220に相当する凹部220’を形成している。従って、厳密な意味において、径方向に拡開する傾斜を形成しているわけではないが、溜まり部の形成を防止できる。
中間層が形成できた後に、可視光反射層がコーティングされる。
放電ランプ10は、石英ガラスからなる放電容器によって形成された大略球形の発光部11を有し、この発光部11内には、陽極2と陰極3が互いに対向するよう配置している。また、発光部11の両端部から伸びるよう各々封止部12が形成され、これらの封止部12には、通常モリブデンよりなる導電用金属箔4が、例えばシュリンクシールにより気密に埋設されている。金属箔4の一端は陽極2あるいは陰極3が接合しており、金属箔4の他端は外部リード16が接合している。
陰極3の先端にはコイル31が巻きつけられる。このコイル31はタングステンからなり、強固に巻き付けるかあるいは溶着させて構成する。コイル31点灯始動時は表面の凹凸効果により始動の種(始動開始位置)として機能するとともに、点灯後は表面の凹凸効果と熱容量によって放熱機能を担っている。
水銀は、必要な可視光波長、例えば、波長360〜780nmという放射光を得るためのもので、0.25mg/mm3以上封入されている。この封入量は、温度条件によっても異なるが、点灯時150気圧以上で極めて高い蒸気圧となる。また、水銀をより多く封入することで点灯時の水銀蒸気圧200気圧以上、300気圧以上という高い水銀蒸気圧の放電ランプを作ることができ、水銀蒸気圧が高くなるほどプロジェクター装置に適した光源を実現することができる。
希ガスは、例えば、アルゴンガスが約13kPa封入され、点灯始動性を改善する。
ハロゲンは、沃素、臭素、塩素などが水銀その他の金属との化合物の形態で封入する。ハロゲンの封入量は、例えば、10−6〜10−2μmol/mm3の範囲から選択できるものであって、その機能はハロゲンサイクルを利用した長寿命化であるが、本発明の放電ランプのように極めて小型で高い内圧を有するものは、このようなハロゲンを封入することは放電容器の破損、失透の防止という作用があると考えられる。
また、この放電ランプは、小型化するプロジェクター装置などに内蔵されるものであり、全体構造が極めて小型化される一方で高い光量が要求される。したがって、発光部内の熱的条件は極めて厳しいものとなる。
そして、放電ランプは、プロジェクター装置やオーバーヘッドプロジェクターのようなプレゼンテーション用機器に搭載され、演色性の良い放射光を提供する。
前面ガラス24の数値例を示すと、厚さが1〜5mmの範囲から選択されて、例えば3mmである。
また、凹面反射鏡20の前面開口に前面ガラスを設けた場合であっても、一部に冷却風導入用の孔を設けることもできる。
また、凹面反射鏡20からの放散を高める機構として、反射鏡裏面に放熱器を設けることも有効な手段である。
放電ランプは、超高圧水銀ランプに限定されず、メタルハライドランプ、キセノンランプ、低圧放電ランプ、無電極放電ランプなどに採用することができる。
20 凹面反射鏡
21 頂部
22 反射部
23 前面開口部
30 中間層
40 可視光反射層
220 傾斜部
Claims (2)
- 高圧放電ランプと、この高圧放電ランプを取り囲む凹面反射鏡よりなる光源装置において、
前記凹面反射鏡は、銅、鉄あるいはこれらの合金よりなる基体と、この基体の内表面に設けられた熱線吸収機能と反射面平滑機能を有する中間層と、この中間層上に設けられた誘電体多層膜よりなる可視光反射層からなり、
かつ、前面開口縁に径方向に拡開した1°〜75°の範囲から選択された角度を有する傾斜が形成されたことを特徴とする光源装置。 - 前記高圧放電ランプは、放電容器内に0.25mg/mm3以上の水銀が封入されることを特徴とする請求項1記載の光源装置。
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