JP4608570B2 - 新規なモノクローナル抗体及びニックβ2グリコプロテインIの免疫学的分析方法 - Google Patents
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また、本明細書においては、プロテアーゼによる開裂を受けていないβ2グリコプロテインIを、前記の「ニックβ2グリコプロテインI」と区別する必要がある場合には、「インタクトβ2グリコプロテインI」と称することがある。従って、本明細書において、単に「β2グリコプロテインI」と称する場合には、特に断わらない限り、「インタクトβ2グリコプロテインI」を指すものとする。
このように、インタクトβ2グリコプロテインIは、生体内で凝固制御因子としての役割を担っているが、様々な病態(例えば、癌、白血病、又は炎症など)において血管内凝固系が活性化されると、それに引き続き活性化される線溶系酵素であるプラスミンにより開裂を受け、陰性荷電リン脂質との結合親和性が低下し、ニックβ2グリコプロテインIとして血中に遊離するものと考えられる。
また、本発明は、β2グリコプロテインI(すなわち、インタクトβ2グリコプロテインI)及びニックβ2グリコプロテインIと反応することを特徴とする、モノクローナル抗体(以下、「本発明による第2のモノクローナル抗体」と称することがある)又はその抗体フラグメントに関する。
また、本発明は、前記モノクローナル抗体(すなわち、前記の本発明による第1のモノクローナル抗体、又は前記の本発明による第2のモノクローナル抗体)を産生することを特徴とする、ハイブリドーマに関する。
更に、本発明は、ニックβ2グリコプロテインIを分析することを特徴とする、生体内凝固線溶異常の検出法に関する。
一方、インタクトβ2グリコプロテインIにおける「第Vドメイン」は、ヒトβ2グリコプロテインIにおいては、326個のアミノ酸から構成されるβ2グリコプロテインIにおける(アミノ末端側から数えて)第242番目のアミノ酸残基〜第326番目のアミノ酸残基からなる、開裂を受けていないドメインである。
本発明による好ましい第1のモノクローナル抗体は、(1)インタクトβ2グリコプロテインIとは反応せず、プロテアーゼにより一部に開裂を受けたβ2グリコプロテインIと反応し、しかも、プロテアーゼにより一部に開裂を受けたβ2グリコプロテインIの第Vドメインに反応する(以下、「本発明によるモノクローナル抗体1A」と称することがある)か、あるいは、(2)インタクトβ2グリコプロテインIとは反応せず、プロテアーゼにより一部に開裂を受けたβ2グリコプロテインIと反応し、しかも、プロテアーゼにより一部に開裂を受けたβ2グリコプロテインIの第Iドメイン〜第IVドメインからなる領域に反応する(以下、「本発明によるモノクローナル抗体1B」と称することがある)。
本発明のハイブリドーマは、一般的には、例えば、ニックβ2グリコプロテインIで免疫した哺乳動物又は鳥類(例えば、マウス)の脾臓細胞と哺乳動物(例えば、マウス)のミエローマ細胞(骨髄腫細胞)とを、Nature,第256巻,495頁(1975年)に記載の方法により細胞融合して製造することが可能である。詳細には、下記実施例に記載の方法によって製造することができる。
前記のハイブリドーマの培養は、培地中で行う場合には、例えば、5%CO2濃度及び37℃の条件下で約3日間行う。あるいは、マウスの腹腔内で行う場合には、例えば、約14日間行う。
そのような方法としては、例えば、硫安塩析、イオン交換セルロースを用いるイオン交換カラムクロマトグラフィー、分子篩ゲルを用いる分子篩カラムクロマトグラフィー、プロテインA結合多糖類を用いる親和性カラムクロマトグラフィー、透析、又は凍結乾燥等を挙げることができる。
すなわち、本発明による第1のモノクローナル抗体の抗体フラグメントは、インタクトβ2グリコプロテインIとは反応せず、プロテアーゼにより一部に開裂を受けたβ2グリコプロテインIとのみ反応する。
また、本発明によるモノクローナル抗体1Aの抗体フラグメントは、インタクトβ2グリコプロテインIとは反応せず、プロテアーゼにより一部に開裂を受けたβ2グリコプロテインIとのみ反応し、プロテアーゼにより一部に開裂を受けたβ2グリコプロテインIの第Vドメインに反応する。
また、本発明によるモノクローナル抗体1Bの抗体フラグメントは、インタクトβ2グリコプロテインIとは反応せず、プロテアーゼにより一部に開裂を受けたβ2グリコプロテインIとのみ反応し、プロテアーゼにより一部に開裂を受けたβ2グリコプロテインIの第Iドメイン〜第IVドメインからなる領域に反応する。
更に、本発明による第2のモノクローナル抗体の抗体フラグメントは、インタクトβ2グリコプロテインI、及びプロテアーゼにより一部に開裂を受けたβ2グリコプロテインIと反応する。
また、モノクローナル抗体を3種用いる場合には、或る1種のモノクローナル抗体を不溶性担体に固定化して調製した抗体/担体複合体を3種用いるか、あるいは、3種のモノクローナル抗体を或る1種の不溶性担体に固定化して調製した抗体/担体複合体を用いることができる。更に、或る1種のモノクローナル抗体を不溶性担体に固定化して調製した抗体/担体複合体1種と、2種のモノクローナル抗体を或る1種の不溶性担体に固定化して調製した抗体/担体複合体1種との組み合わせを用いることもできる。
スライド板を用いる場合には目視的に、又は反応セルを用いる場合には特定の波長を用いて分光学的に凝集反応を測定し、被検試料中のニックβ2グリコプロテインI濃度を定量することができる。
(a)インタクトβ2グリコプロテインIの調製
β2グリコプロテインIは、E.Polzらの方法[Int.J.Biochem,第11巻,265頁,(1980年)]に準じて行った。
すなわち、ヒト正常血漿300mlに終濃度1.3%となるように過塩素酸を添加し、4℃で15分間処理した後に、遠心分離(5,000×g,10分間)を実施した。遠心分離により得られた上清に、1/3容量の1M−Tris−HCl(pH8.0)を添加して中性に戻した後に、限外濾過により濃縮した。この濃縮液を、予め10mM−Tris−HCl(pH8.0)で平衡化したヘパリン固定化HiTrapカラム(Pharmacia Biotech,スウェーデン)に充填し、10mM−Tris−HCl(pH8.0)にてカラムを洗浄した後に、10mM−Tris−HCl(pH8.0)と1M−NaClを含む10mM−Tris−HCl(pH8.0)とを用いたグラジェント溶出法により、インタクトβ2グリコプロテインIを溶出した。このインタクトβ2グリコプロテインIは、NaCl濃度が0.20Mである画分付近に溶出された。ヒト正常血漿300mlより、精製インタクトβ2グリコプロテインI4.5mgが得られた。
実施例1(a)で調製したインタクトβ2グリコプロテインI−3mgを20mM−NaCl及び0.3mM−CaCl2を含有する0.1M−Tris−HCl(pH8.0)3mlに溶解し、この溶解液にヒトプラスミン86μgを添加した。このときのインタクトβ2グリコプロテインIとプラスミンとのモル比(インタクトβ2グリコプロテインI:プラスミン)は、50:1であった。37℃で2時間インキュベートした後に、予め10mM−Tris−HCl(pH8.0)で平衡化したヘパリン固定化HiTrapカラム(Pharmacia Biotech,スウェーデン)に充填し、10mM−Tris−HCl(pH8.0)にてカラムを洗浄した後に、10mM−Tris−HCl(pH8.0)と1M−NaClを含有する10mM−Tris−HCl(pH8.0)とを用いたグラジェント溶出法により、P−ニックβ2グリコプロテインIを溶出した。P−ニックβ2グリコプロテインIは、NaCl濃度が0.15Mである画分付近に溶出され、P−ニックβ2グリコプロテインI2.0mgを得た。
ヒトβ2グリコプロテインIをコードする全遺伝子配列を含むプラスミドpUC118−β2−GPI上の第IVドメインと第Vドメインとの間のヒンジ領域に相当する箇所に、部位特異的突然変異誘発(site−directed mutagenesis)法により制限酵素HindIIIの切断部位を導入した[松浦ら,Int.Immunol.,第3巻,第1217頁〜第1221頁,(1991年)]。得られたプラスミドを制限酵素HindIIIで切断することにより生じる、ヒトβ2グリコプロテインIの第Vドメイン(第242番目のアミノ酸残基〜第326番目のアミノ酸残基からなる領域)をコードする領域の5'側に、活性化血液凝固Xa因子による切断部位をコードするDNA断片をリンカーとして接続し、得られたDNA断片を酵母(Pichia pastoris)の発現ベクターであるpPIC9(Invitrogen社;米国)に挿入した。このようにして構築した第Vドメイン発現ベクターを、pNPD5と名付けた。この第Vドメイン発現ベクターpNPD5において、前記活性化血液凝固Xa因子による切断部位及び第Vドメインをコードする領域の5'側には、酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来の分泌シグナルが存在している[萩原ら,J.Biochem.,第121巻,第128頁〜第137頁,(1997年)]。
この精製第Vドメインを、以下に示すニック第Vドメインの調製のための原料及び抗ニックβ2グリコプロテインIモノクローナルの認識部位の同定に使用した。なお、ここで調製した第Vドメインを、以下のニック第Vドメインと区別するために「インタクト第Vドメイン」と称することもある。
実施例1(c)で調製した第Vドメイン(インタクト第Vドメイン)1mgを20mM−NaCl及び0.3mM−CaCl2を含む0.1M−Tris−HCl(pH8.0)3mlに溶解し、これにヒト・プラスミン144μgを添加した。この際の第Vドメインとプラスミンとのモル比(第Vドメイン:プラスミン)は50:1であった。37℃で2時間インキュベートした後に、Cosmosil 5C18−ARカラムを用いた逆相HPLCによりニック第Vドメインを分離、精製した。
このようにして調製したP−ニック第Vドメインを、抗ニックβ2グリコプロテインIモノクローナル抗体の認識部位の同定に使用した。
(a)免疫化した脾臓細胞の調製
前記実施例1(2)で得られたP−ニックβ2グリコプロテインI免疫原溶液(A280nm=1.0)を等量のフロインド氏完全アジュバンドと乳化するまで混和し、その混合液0.1mlをマウス腹腔内に投与することにより免疫を行った(第1回免疫)。30日経過後に、そのマウスに前記と同様の方法で腹腔内に投与した(第2回免疫)。第2回免疫から、21日経過後に、P−ニックβ2グリコプロテインI溶液(A280nm=1.0)を等量の生理的食塩水で希釈し、その希釈液0.1mlを、マウスの静脈内に投与した(最終免疫)。最終免疫から3日経過後に、マウスから脾臓を無菌的に摘出し、以下の工程に使用した。
無菌的に摘出した前記の脾臓を、15%ウシ胎児血清を含むDME培地5mlを入れたシャーレーに入れた。次に、脾臓を15%ウシ胎児血清を含むDME培地約15mlで還流して脾細胞を流出させた後、この脾細胞懸濁液をナイロンメッシュに通した。この脾細胞を50ml遠心チューブに集めて500×gで10分間遠心した。こうして得たペレットにヘモライジング溶液(155mM−NH4Cl,10mM−KHCO3,及び1mM−Na2EDTA;pH7.0)5mlを加え、懸濁させた。0℃で5分間放置すると、懸濁液中の赤血球が破壊された。15%ウシ胎児血清を含むDME培地15mlを加えてから遠心分離した。このようにして得た細胞ペレットをDME培地で遠心法によって洗浄し、生きている脾細胞数を測定した。
ハイブリドーマ培養上清中の産生抗体の有無をELISA法により測定した。96ウェルELISA用プレート(Immulon II;日本ダイナテック株式会社)の各ウェルに、前述の精製P−ニックβ2グリコプロテインI溶液(A280nm=0.05;生理食塩水で希釈した)を50μlずつ分注し、25℃で2時間放置した。次に、0.05%トウィーン(Tween)20を含む生理食塩水(以下、トウィーン20−生理食塩水と称する)で3回洗浄した後、各ウェルの培養上清50μlを加え、25℃で1時間反応させた。
次に、トウィーン20−生理食塩水で洗浄した後に、トウィーン20−生理食塩水で200倍希釈したペルオキシダーゼ結合抗マウス免疫グロブリン・ウサギIgG抗体(ダコ社;デンマーク)50μlを各ウェルに加えた。反応終了後、トウィーン20−生理食塩水で各ウェルを3回洗浄し、酵素基質溶液(0.5mM−4−アミノアンチピリン、10mMフェノール、及び0.005%過酸化水素水を含む20mMトリス−塩酸緩衝液;pH7.4)200μlを各ウェルに加え、25℃で30分間反応させ、各ウェルの492nmにおける吸光度を測定した。
これらのハイブリドーマ3種は、それぞれ工業技術院生命工学工業技術研究所に平成10年7月9日から寄託されている。ハイブリドーマNGPI−23の受託番号はFERM P−16891であり、ハイブリドーマNGPI−59の受託番号はFERM P−16892であり、そして、ハイブリドーマNGPI−60の受託番号はFERM P−16893である。
(a)イン・ビトロ法
マウスハイブリドーマNGPI−23を、15%ウシ胎児血清を含むDME培地で37℃にて5%二酸化炭素雰囲気中において72〜96時間培養した。培養物を遠心分離(10,000×g,10分間)した後、上清に固形の硫酸アンモニウムを50%最終濃度となるように徐々に加えた。混合物を氷冷下で30分間攪拌した後、60分間放置し、遠心分離(10,000×g,10分)した後、得られた沈渣を少量の10mMリン酸緩衝液(pH8.0)に溶解し、1000倍量の10mMリン酸緩衝液に対して透析した。
ハイブリドーマNGPI−59及びハイブリドーマNGPI−60についても、ハイブリドーマNGPI−23と同様の前記操作をそれぞれ実施し、本発明のモノクローナル抗体NGPI−59及びモノクローナル抗体NGPI−60を得た。
プリスタン(2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン)0.5mlを10〜12週齢のBALB/C系マウスの腹腔内に投与し、投与後14〜20日目のマウス腹腔内にインビトロで増殖させたハイブリドーマNGPI−23、ハイブリドーマNGPI−59、及びハイブリドーマNGPI−60をマウス一匹あたり2×106細胞となるように接種した。
各ハイブリドーマにつき、一匹のマウスから約10〜15mlの腹水が得られた。その抗体濃度は、5〜10mg/mlであった。腹水中のモノクローナル抗体の精製は、前記のイン・ビトロ法と同様の方法で行った(但し、ヤギ抗ウシ血清IgG−セファロース4Bのカラムを通す操作は、実施しなかった)。
本発明の抗ニックβ2グリコプロテインIモノクローナル抗体NGPI−23、モノクローナル抗体NGPI−59、及びモノクローナル抗体NGPI−60の免疫グロブリンクラスの同定は、オクテロニー免疫拡散法により行った。結果を表1に示す。
(a)ELISA法
前記実施例1で調製したインタクトβ2グリコプロテインI、P−ニックβ2グリコプロテインI、インタクト第Vドメイン、及びP−ニック第Vドメインを、150mM−NaClを含む50mM−Tris−HCl(pH8.0)で5μg/mlとなるように希釈し、96ウェルELISA用プレート(Immulon II;日本ダイナテック株式会社)の各ウェルに、抗原希釈液50μlずつを分注し、25℃で2時間放置することで固定化した。次に、トウィーン20−生理食塩水でウェルを3回洗浄した後、抗ニックβ2グリコプロテインIモノクローナル抗体NGPI−23、モノクローナル抗体NGPI−59、及びモノクローナル抗体NGPI−60を0.05%トウィーン(Tween)20及び150mM−NaClを含む50mM−Tris−HCl(pH8.0)で5μg/mlとなるように希釈し、各ウェルにモノクローナル抗体希釈液50μlずつを分注し、25℃で1時間反応させた。対照試験は、各抗ニックβ2グリコプロテインIモノクローナル抗体の代わりに、SP2/0細胞をマウス腹腔に投与して採取した腹水を使用して実施した。
しかも、後述するように、抗ニックβ2グリコプロテインIモノクローナル抗体NGPI−23は、抗ニックβ2グリコプロテインIモノクローナル抗体NGPI−59又は抗ニックβ2グリコプロテインIモノクローナル抗体NGPI−60と組み合わせることによりサンドイッチ免疫測定法の構築が可能であることから、抗ニックβ2グリコプロテインIモノクローナル抗体NGPI−59及び抗ニックβ2グリコプロテインIモノクローナル抗体NGPI−60とは異なる部位に反応する。
前記実施例1で調製したインタクトβ2グリコプロテインI、P−ニックβ2グリコプロテインI、インタクト第Vドメイン、及びP−ニック第Vドメインを、非還元下あるいは還元下のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)にて分画した後、ゲル中のタンパク質をニトロセルロースメンブレンに電気的に転写した。このメンブレンを、5%スキムミルク及び0.15M−NaClを含む10mMトリス−HCl緩衝液(pH7.5)中に25℃で30分間浸した後、一次抗体として各抗ニックβ2グリコプロテインIモノクローナル抗体であるモノクローナル抗体NGPI−23、モノクローナル抗体NGPI−59、又はモノクローナル抗体NGPI−60を25℃で1時間反応させた。対照試験は、各抗ニックβ2グリコプロテインIモノクローナル抗体の代わりに、SP2/0細胞をマウス腹腔に投与して採取した腹水を使用して実施した。
非還元下のSDS−PAGEで分画した後のイムノブロットの結果を表3に示し、還元下のSDS−PAGEで分画した後のイムノブロットの結果を表4に示す。また、表3及び表4において、抗原(A)はインタクトβ2グリコプロテインIを示し、抗原(B)はP−ニックβ2グリコプロテインIを示し、抗原(C)はインタクト第Vドメインを示し、抗原(D)はP−ニック第Vドメインを示し、「+」は結合反応性を有することを示し、「−」は結合反応性がないことを示す。
ナカネ及びカワオイ[ジャーナル・オブ・ヒストケミストリー・アンド・サイトケミストリー(Journal of Histochemistry and Cytochemistry)第22巻,第1084頁〜第1091頁(1974年)]の方法に準じて、西洋ワサビ・ペルオキシダーゼを抗ニックβ2グリコプロテインIモノクローナル抗体NGPI−23及びNGPI−59に結合させた。この酵素標識抗体を用いてニックβ2グリコプロテインIのサンドイッチ酵素免疫測定を以下のようにして行った。
また、固相化抗体としてモノクローナル抗体NGPI−60を用い、ペルオキシダーゼ標識モノクローナル抗体としてモノクローナル抗体NGPI−59を用いた場合、及び固相化抗体としてモノクローナル抗体NGPI−59を用い、ペルオキシダーゼ標識モノクローナル抗体としてモノクローナル抗体NGPI−23を用いた場合にも同様の検量線を得ることができた。
実施例6で示した酵素免疫測定法(すなわち、固相化抗体としてモノクローナル抗体NGPI−60を用い、ペルオキシダーゼ標識モノクローナル抗体としてNGPI−23を用いた酵素免疫測定法)により、生体内凝固線溶異常をきたした患者群(21例)、並びに健常人群(10例)におけるニックβ2グリコプロテインI濃度を測定した。結果を図2に示す。健常人群のニックβ2グリコプロテインI濃度は、全例において4ng/ml以下であった。それに対して、生体内凝固線溶異常をきたした患者群のそれは、全例において30ng/ml以上であった。
(a)不溶性担体上に1種類のモノクローナル抗体を担持する複合体含有液の調製
モノクローナル抗体NGPI−23(2.0mg/ml)を含有する水溶液2mlと、ラテックス溶液(2%ポリスチレンラテックス,日本合成ゴム;粒径=0.310μm)2mlとを混合し、2時間撹拌して抗体をラテックス粒子上に固定化した。遠心分離(20,000×g,20分間)した後、沈殿を0.1%ウシアルブミン溶液に懸濁し、1時間撹拌した。再び、遠心分離(20,000×g,20分間)した後、沈殿を蒸留水に懸濁し、2時間撹拌した。こうしてモノクローナル抗体NGPI−23/ラテックス複合体含有液を得た。
モノクローナル抗体NGPI−23の代わりに、モノクローナル抗体NGPI−59又はモノクローナル抗体NGPI−60を用いること以外は前記操作をそれぞれ繰り返すことにより、モノクローナル抗体NGPI−59/ラテックス複合体含有液、及びモノクローナル抗体NGPI−60/ラテックス複合体含有液を調製した。
モノクローナル抗体NGPI−23及びモノクローナル抗体NGPI−59をそれぞれ1.0mg/mlずつ含有する水溶液2mlと、前記実施例8(a)で用いたラテックス溶液2mlとを混合し、2時間撹拌して抗体をラテックス粒子上に固定化した。以下、前記実施例8(a)と同様の操作を行ない、モノクローナル抗体NGPI−23/モノクローナル抗体NGPI−59/ラテックス複合体含有液を調製した。
モノクローナル抗体の組み合わせを変更し、前記操作を繰り返すことにより、モノクローナル抗体NGPI−23/モノクローナル抗体NGPI−60/ラテックス複合体含有液、及びモノクローナル抗体NGPI−59/モノクローナル抗体NGPI−60/ラテックス複合体含有液を調製した。
モノクローナル抗体NGPI−23、モノクローナル抗体NGPI−59、及びモノクローナル抗体NGPI−60をそれぞれ0.66mg/mlずつ含有する水溶液2mlと、前記実施例8(a)で用いたラテックス溶液2mlとを混合し、2時間撹拌して抗体をラテックス粒子上に固定化した。以下、前記実施例8(a)と同様の操作を行ない、モノクローナル抗体NGPI−23/モノクローナル抗体NGPI−59/モノクローナル抗体NGPI−60/ラテックス複合体含有液を調製した。
前記実施例8で調製した種々の抗体ラテックス複合体含有液又はそれらの混合液30μlと、正常血漿に実施例1(2)で調製したP−ニックβ2グリコプロテインIを種々濃度で添加して調製した試料30μlとをスライドガラス上で混合し、揺動して3分後に凝集像を目視的に判定した。
Claims (6)
- 非還元状態のβ2グリコプロテインIの第Vドメインに反応しないが、非還元状態のプラスミンにより第Vドメインに開裂を受けたβ2グリコプロテインIの第Vドメイン、還元状態のβ2グリコプロテインIの第Vドメイン、及び還元状態のプラスミンにより第Vドメインに開裂を受けたβ2グリコプロテインI第Vドメインに反応し、且つ受託番号FERM P−16892であるハイブリドーマから分泌される、モノクローナル抗体又はその抗体フラグメント。
- 非還元状態のβ2グリコプロテインI、還元状態のβ2グリコプロテインI、還元状態のプラスミンにより第Vドメインに開裂を受けたβ2グリコプロテインI、及びプラスミンにより第Vドメインに開裂を受けたβ2グリコプロテインIの第Vドメインに反応しないが、非還元状態のプラスミンにより第Vドメインに開裂を受けたβ2グリコプロテインIに反応する受託番号FERM P−16893であるハイブリドーマから分泌される、モノクローナル抗体又はその抗体フラグメント。
- 請求項1に記載のモノクローナル抗体を産生する受託番号FERM P−16892であるハイブリドーマ、又は請求項2に記載のモノクローナル抗体を産生する受託番号FERM P−16893であるハイブリドーマ。
- 請求項1又は2に記載のモノクローナル抗体又はその抗体フラグメントを第1抗体として不溶性担体に固定化し、この固定化された第1抗体と被検試料とを接触させ、続いて、前記の第1抗体とは別種の請求項1又は2に記載のモノクローナル抗体若しくはその抗体フラグメントに標識を付した第2抗体、又はβ2グリコプロテインI、及びプラスミンにより第Vドメインに開裂を受けたβ2グリコプロテインIと反応する、モノクローナル抗体又はその抗体フラグメントに標識を付した第2抗体と接触させ、前記の固定化第1抗体とプラスミンにより第Vドメインに開裂を受けたβ2グリコプロテインIとの複合体と結合した前記第2抗体の前記標識からの信号、又は前記の固定化第1抗体とプラスミンにより第Vドメインに開裂を受けたβ2グリコプロテインIとの複合体と結合しなかった前記第2抗体の前記標識からの信号を検出することを特徴とする、プラスミンにより第Vドメインに開裂を受けたβ2グリコプロテインIの免疫学的分析方法。
- 不溶性担体に固定化された請求項1又は2に記載のモノクローナル抗体又はその抗体フラグメント少なくとも1種類と、不溶性担体に固定化された請求項1又は2に記載の別種のモノクローナル抗体若しくはその抗体フラグメント又はβ2グリコプロテインI及びプラスミンにより第Vドメインに開裂を受けたβ2グリコプロテインIと反応する、モノクローナル抗体若しくはその抗体フラグメント1種類と、被検試料とを接触させ、凝集反応を観察することを特徴とする、プラスミンにより第Vドメインに開裂を受けたβ2グリコプロテインIの免疫学的分析方法。
- 請求項4又は5に記載の分析方法により、プラスミンにより第Vドメインに開裂を受けたβ2グリコプロテインIを分析することを特徴とする、生体内凝固線溶異常の検出法。
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