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JP4601909B2 - 塗布膜の乾燥方法及び装置 - Google Patents

塗布膜の乾燥方法及び装置 Download PDF

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JP4601909B2 JP2003084847A JP2003084847A JP4601909B2 JP 4601909 B2 JP4601909 B2 JP 4601909B2 JP 2003084847 A JP2003084847 A JP 2003084847A JP 2003084847 A JP2003084847 A JP 2003084847A JP 4601909 B2 JP4601909 B2 JP 4601909B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗布膜の乾燥方法および装置に係り、特に、連続走行する帯状可撓性支持体(以下、ウェブと称する)に各種液状組成物を塗布して形成した長尺で広幅な塗布膜面を乾燥する塗布膜の乾燥方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
連続走行するウェブに各種液状組成物を塗布して形成した長尺で広幅な塗布膜面を乾燥する乾燥方法および装置については、E.B.Gutoff、E.D.Cohen 著の『Coating and DryingDefects 』(Wiley-Intersciece, John Wiley & Sons, Inc) に非塗布面側をロールで支持し、塗布面側にエア・ノズルから風を吹いて乾燥させる乾燥方法や、塗布面、非塗布面ともにエア・ノズルから風を吹いて、ウェブを浮上させた状態、すなわち支持体がロール等に接触しないで乾燥させる非接触式のエア・フローティング乾燥方法について記されている。この非接触式の乾燥方法については、スペースを効率良く利用し、かつ効率良く乾燥させる方法として特許文献1に開示されているような弦巻き型の乾燥装置を用いた乾燥方法等がある。
【0003】
通常これらの風を吹かせて乾燥させる方法( 以下、熱風乾燥方法という) では、調湿した風を塗布面に吹きつけることにより、塗布面中に含まれる溶媒を蒸発させて乾燥させている。この熱風乾燥方法は乾燥効率に優れるものの、塗布面に直接または多孔板、整流板等を介して風をあてるために、この風によって塗布面が乱れて塗布層の厚さが不均一となってムラを生じたり、対流によって塗布面での溶媒の蒸発速度が不均一になったりし、いわゆるユズ肌( 非特許文献1参照
)等が発生して、均一な塗布層が得られないという問題があった。
【0004】
特に、塗布液中に有機溶剤を含む場合には、このようなムラの発生は顕著である。この理由は、乾燥初期には塗布膜中に有機溶剤が十分に含まれた状態であり、この段階で有機溶剤の蒸発分布が生じると、その結果、塗布膜面に温度分布、表面張力分布を生じ、塗布膜面内で、いわゆるマランゴニー対流等の流動が起きることによる。このようなムラの発生は重大な塗布欠陥となる。塗布膜内に液晶を含む場合には、上記の乾燥ムラのみならず、吹きつける風によって塗布膜面の液晶の配向にズレが生じる等の問題もあった。
【0005】
これらの問題点を解決する方法として、特許文献2に塗布直後に乾燥ドライヤを設ける構成が示されている。ここでは、乾燥ドライヤを分割し、分割された部分に支持体の幅方向の一方端側から他方端側へ風速を制御しながら送風し乾燥させることにより、ムラの発生を抑える方法が開示されている。特許文献3には、同様の目的で乾燥ドライヤを分割するかわりに金網を設置する方法が開示されている。
【0006】
また、塗布液を高濃度化したり、塗布液に増粘剤を添加したりすることにより、塗布液の粘度を増加させ、これにより塗布直後の塗布膜面の乾燥風による流動を抑制する方法や、高沸点溶液を用いることにより、塗布直後の塗膜面の乾燥風による流動が発生してもレベリング効果によってムラの発生を防止する方法も知られている。しかしながら、塗布液を増粘させたり、高沸点溶液を使用する方法は、特許文献2で述べられているように、高速塗布適性をなくしたり、乾燥時間の増大をもたらしたりし、生産効率が極端に悪くなるという問題があった。
【0007】
乾燥風による塗布面の乾燥の不均一を防ぐため、塗布直後の風速を小さく制御する方法が、特許文献4に、また、風を吹きつけないで乾燥させる方法が、英国特許第1401041号明細書、米国特許第5168639号明細書、米国特許第5694701号明細書等に開示されている。すなわち、英国特許第1401041号明細書には、風を吹かないで、塗布液中の溶媒を蒸発させ回収し乾燥させる方法が開示されている。この方法は、ケーシング上部に支持体の入り口、出口を設け、ケーシング内では非塗布面を加熱して塗布面からの溶媒の蒸発を促進し、塗布面側に設置した凝縮板に結露させる方法で溶媒を凝縮させて溶媒を回収し塗布膜を乾燥する方法である。また、米国特許第5168639号明細書には、水平に走行する支持体の上部でドラムを使って溶媒を回収する方法が開示されている。さらに、米国特許第5694701号明細書では、米国特許第5168639号明細書のレイアウトの改良方法についての提案がなされている。
【0008】
【特許文献1】
特公昭48−042903号公報
【非特許文献1】
尾崎勇次著、『コーティング工学』、朝倉書店、1971年、293頁〜294頁
【特許文献2】
特開2001−170547号公報 (第3−5頁、第1図)
【特許文献3】
特開平09−073016号公報 (第5頁、第5図)
【特許文献4】
特開2000−157923号公報 (第2−3頁、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、英国特許第1401041号明細書に記載された方法では、加熱に熱水など高温のものを用い、かつ接触若しくはごく近接して使用するために、乾燥中の膜面温度はかなり高くなる。乾燥促進という観点では好ましい方向であるものの、実際には膜面温度が高くなりすぎると、塗布膜からの溶剤の乾燥が激しい速度で発生し乾燥の不均一が発生しやすくなったり、温度上昇に伴う塗膜粘度の低下が起こり、粘度低下に伴う流動が発生してムラを生じたりする。一方で、加熱手段を用いないと、溶剤蒸発による塗布膜の温度低下が起こり、ドライヤ後半では乾燥速度が著しく低下したり、プラッシング現象が発生したりという問題があった。
【0010】
またこれまでの従来技術は、溶媒の回収の方法については述べてあるものの、塗布直後の塗布ムラ発生の抑制方法に関する具体的な方法は示されていない。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、連続走行する帯状可撓性支持体に各種液状組成物を塗布して形成した長尺で広幅な塗布膜面において、塗布直後に発生する乾燥ムラを抑制し、かつ効率良く乾燥させる塗布膜の乾燥方法および装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、走行するウェブに塗布手段により低沸点有機溶剤を含む塗布液を塗布し、前記塗布液が塗布された塗布膜を乾燥させる塗布膜の乾燥方法において、前記塗布手段から前記ウェブ走行方向で2m以内で且つ前記塗布膜が前記塗布手段から3秒以内に到達する位置にドライヤを配置し、前記ドライヤは、給排気を行うことなく前記ウェブを覆うケーシングと、このケーシング内に前記塗布膜とは反対側に配置される加熱手段及び前記塗布膜側に配置される凝縮、回収手段とを有し、前記加熱手段により前記ウェブを加熱して前記ケーシングの入口と出口とでの前記塗布膜の温度差及び前記入口と前記ケーシングの内部とでの前記塗布膜の温度差がそれぞれ5℃以内となるようにして前記塗布膜を乾燥し、前記凝縮・回収手段により前記塗布膜側の溶剤蒸気を回収することを特徴とする。
【0013】
なお、前記加熱手段は、表面がフラットな箱型ジャケット内に赤外線ヒータ本体を取り付けて、前記ジャケット内に液体を流通させ、前記赤外線ヒータ本体により前記液体の温度を40℃〜80℃の範囲に調節し、前記ジャケットの表面と前記ウェブとの距離を10mm〜50mmとして、前記液体を介して前記ウェブを加熱することが好ましい。
【0014】
また、前記凝縮、回収手段は、冷却された凝縮面を有する凝縮板と、前記凝縮面で凝縮された溶剤を回収する樋とを有し、前記塗布膜の表面と前記凝縮板表面との距離が5mm〜10mmであることが好ましい。
【0015】
また、前記塗布液に前記有機溶剤を50質量%以上含有するものを用い、前記ドライヤで前記塗布膜中の有機溶剤の70質量%以上を乾燥した後に、熱風乾燥装置により前記塗布膜を乾燥することが好ましい。
【0016】
前記ドライヤ中にガイドロールを配置し、前記ガイドロールは温度調節可能なロールであることが好ましい。塗布ウエット膜厚が50μm以下であることが好ましい。
【0017】
本発明は、前記目的を達成するために、走行するウェブに塗布手段により低沸点有機溶剤を含む塗布液を塗布し、前記塗布液が塗布された塗布膜を乾燥させる塗布膜の乾燥装置において、給排気を行うことなく前記ウェブを覆うケーシングと、前記ケーシング内に前記塗布膜とは反対側に配置され、前記ケーシングの入口と出口とでの前記塗布膜の温度差及び前記入口と前記ケーシングの内部とでの前記塗布膜の温度差がそれぞれ5℃以内となるように前記ウェブを加熱して前記塗布膜を乾燥する加熱手段と、前記ケーシング内に前記塗布膜側に配置され、前記塗布膜からの溶剤蒸気を凝縮して回収する凝縮、回収手段とを有するドライヤを設け、前記ドライヤを前記塗布手段から前記ウェブ走行方向で2m以内で且つ前記塗布膜が前記塗布手段から3秒以内に到達する位置に配置したことを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、連続走行する帯状可撓性支持体に各種液状組成物を塗布して形成した長尺で広幅な塗布膜面を乾燥させる方法において、塗布直後に発生しやすい乾燥ムラを抑制し、かつ効率良く乾燥させることができる。特に、塗布液中に有機溶剤が含まれている場合、または、塗布液の溶媒が全て有機溶剤で構成されている場合に効果が大きい。更に、その有機溶剤が低沸点であれば更に効果は顕著に現れる。
【0019】
なお、有機溶剤とは、物質を溶解する性質をもつ有機化合物を意味し、トルエン、キシレン、スチレン等の芳香族炭化水素類、クロルベンゼン、オルトージクロルベンゼン等の塩化芳香族炭化水素類、モノクロルメタン等のメタン誘導体、モノクロルエタン等のエタン誘導体等を含む塩化脂肪族炭化水素類、メタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、エチルエーテル、1,4-ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ノルマルヘキサン等の脂肪族炭化水素類、脂肪族または芳香族炭化水素、ノルマルヘキサン等の脂肪族炭化水素類、脂肪族または芳香族炭化水素の混合物等が該当する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面に従って本発明に係る塗布膜の乾燥方法および装置の好ましい実施の形態について詳説する。図1は、本発明の塗布膜の乾燥方法および装置が適用されるドライヤを組み込んだ塗布・乾燥ライン10の一例を示す概念図である。
【0021】
塗布・乾燥ライン10は、ロール状に巻回されたウェブ11を送り出す送出装置12、ウェブ11に塗布液を塗布するためバックアップロール13とエクストルージョンダイ(extrusion die) 14とを備えた塗布装置、ウェブ11上に塗布形成された塗布膜(以下、塗布層とも称する)15を乾燥するドライヤ(乾燥機)16、ウェブ(以下の説明において、塗布層が形成されたものを含む意味でも用いる)が走行する搬送経路を形成する多数のロール17,18,19および塗布・乾燥により製造された製品20を巻き取る巻取装置21とを備えている。
【0022】
ドライヤ16内にはガイドロール22,23が備えられ、それらガイドロールにより形成される搬送経路を塗布済みのウェブ11が走行することにより乾燥される。なお、ドライヤ16に備えられている加熱装置は、特に限定されない。また、ドライヤ16の入口の塗布膜温度T1と出口の塗布膜温度T2とを測定するために、温度計24,25がそれぞれ取り付けられている。また、ドライヤ16内の塗布層15の温度を測定するため、塗布層15の任意の箇所の塗布膜温度T3の測定が可能な温度センサ26が設けられていることが好ましい。なお、温度計24,25及び温度センサ26は、公知のものを用いることができる。
【0023】
ドライヤ16で乾燥が進行した塗布済みウェブ11をさらに乾燥させるために下流側に熱風乾燥装置27を備えていることが好ましい。ロール17で支持しながら熱風乾燥装置27に塗布済みウェブ11を送り、さらに乾燥を進行させる。その後に、ロール18,19などで支持しながら製品20として巻取装置21で巻き取る。なお、ロール17,18,19は自由ロール,駆動ロールのいずれを用いても良い。
【0024】
熱風乾燥装置27としては、従来技術として使用されている、非塗布面側をロールで支持し、塗布面側にエア・ノズルから風を吹いて乾燥させるローラ搬送ドライヤ方式、塗布面、非塗布面ともにエア・ノズルから風を吹いて、ウェブを浮上させた状態、すなわちウェブがロール等に接触しないで乾燥させる非接触式のエアフローティングドライヤ方式、非接触式の乾燥方式の一種で、スペースを効率良く利用し、かつ効率良く乾燥させる弦巻き型の乾燥方式、等の乾燥装置が使用できる。いずれの方式の乾燥装置であっても、乾燥した空気を塗布層の表面に供給して塗布層を乾燥させる点では共通する。
【0025】
ウェブ11の材料としては、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、TAC(セルローストリアセテート)等の樹脂フィルム、紙、金属箔等を使用できる。また、塗布液としては、例えば、光学補償シートを製造する際に用いられるディスコティック液晶を含むものや、熱現像用感光材料に用いられるハロゲン化銀粒子を含むものなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、本発明においては、有機溶剤の組成比が50質量%以上の塗布液を用いることが好ましい。
【0026】
塗布装置には、図1に示すエクストルージョンダイ14方式以外のものも使用できる。たとえば、スロット・ダイコータ、ワイヤーバーコータ、ロールコータ、グラビアコータ、スライドホッパ塗布方式、カーテン塗布方式、等が使用できる。なお、塗布手段は、塗布面が水平方向に対して上側になるような構成であってもよいし、水平方向に対して下側になるような構成であってもよい。また、水平方向に対して傾斜するような構成であってもよい。
【0027】
塗布装置の上流側に除塵設備(図示しない)を設置したり、ウェブ11の表面に前処理等を施してもよい。ゴミ等の殆どない高い品質が求められる光学性フイルム等では、これらを同時に採用することで、高品質な塗布、乾燥膜を得ることができる。
【0028】
塗布層15から発生する有機溶剤の蒸気を回収するために、ウェブ11と所定距離をおいて略平行に板状部材を設けることも可能である。板状部材は整流板として用いても良いし、凝縮板43,44,45を用いても良い。板状部材に用いる材質は、金属、プラスチック、木材等、特に限定はされないが、塗布液中に有機溶剤が含まれる場合には、その有機溶剤に対して耐性のある材料を使用するか、または表面にコーティングを施すことが望ましい。
【0029】
塗布ムラの発生なく乾燥させるには塗布層15の乾燥速度を制御するように、温度管理されている必要がある。そこで、凝縮板43〜45にそれぞれ冷却器46,47,48を取り付けて、冷媒49を凝縮板43〜45内を循環させる熱交換器方式のものを用いることができるが、その方法に限定されるものではない。その他には、風を使った空冷式、電気を用いた方式、たとえばペルチェ素子を使用した方式、等を用いることができる。
【0030】
凝縮板43,44,45に凝縮した溶媒を回収させる方法は、例えば、凝縮板の凝縮面43a,44a,45aに溝を設けることが好ましい。溝は、凝縮面43a〜45aのウェブ搬送方向に沿って凹凸を設けることにより、凹部又は凸部のいずれかが溶媒の流路となり、溶媒が回収しやすくなる。また、凝縮板右端の下方には凝縮した溶媒を回収するための樋43b,44b,45bを設け、樋43b〜45bを経て溶媒が回収される。このように、塗布層15から蒸発した有機溶剤の凝縮回収能力を調節することにより、塗布層15側の溶剤蒸気を高い濃度を保ったまま、乾燥できるので、急激な有機溶剤の揮発に伴う、ウェブ11及び塗布層15の変形を抑制できる。板状部材である凝縮板を採用する構成以外に、同様な機能を奏する構成、たとえば、多孔板、網、簀の子、ロール等を使用する構成も採用できる。また、米国特許第5694701号明細書に示されるような回収装置と併用してもよい。
【0031】
なお、ウェブ11、塗布層15、凝縮板の温度を決定する際、注意しなければならないのは、蒸発させた溶媒が凝縮板以外の場所、たとえば、ロールの表面等に結露しないようにしなければならないことである。このため、たとえば、凝縮板以外の部分の温度を凝縮板の温度よりも高くしておくことによりこの種の結露を回避することができる。
【0032】
ドライヤ16は、ケーシング16aにより覆われており、ドライヤの出入口以外を密閉し、ドライヤ16内の大気が吸排気しない形態とする。これにより、塗布層15の乾燥を行う際に、塗布面近傍の風の乱れを防止することが可能となる。また、ドライヤ16は、塗布液を塗布した直後の自然対流の発生による塗布層15の乾燥ムラを防止するため、塗布位置のできるだけ近くに配設することが好ましい。具体的には、ドライヤ16の入口と塗布位置との間隔L1を2m以内となるように配設することがより好ましく、0.7m以内の位置になるように配設することが最も好ましい。
【0033】
同様の理由で、ウェブ11の走行速度は、塗布装置による塗布後3秒以内にドライヤ16に到達する速度であることが好ましい。塗布液の塗布量および塗布層厚さは、大きい程塗布層内部での流動が起きやすいことよりムラが発生しやすい。しかしながら、本発明によれば、塗布量および塗布層厚さが大きい場合でも十分な効果が得られる。特に塗布層15の塗布ウェット膜厚が0.001mm〜0.05mm(1μm〜50μm)の範囲であれば、ムラなくかつ効率よく乾燥することができる。なお、本発明において塗布ウェット膜厚とは、塗布時にウェブに付与される総塗布厚みを意味してる。
【0034】
ウェブ11の走行速度が速すぎると、同伴風によって塗布層近傍の境界層が乱され、塗布層に悪影響を及ぼす。したがって、ウェブ11の走行速度は1m/分〜100m/分に設定することが好ましい。塗布層のムラは、乾燥初期で特に発生しやすいので、ドライヤが塗布液中の有機溶剤の70質量%以上を乾燥、若しくは凝縮させて、回収し、残りの塗布液中の有機溶剤を熱風乾燥装置27で乾燥させることが好ましい。塗布液中の有機溶剤の何質量%を乾燥させるかは、塗布層の乾燥ムラへの影響、生産効率、等を総合的に判断して決定すればよい。
【0035】
ドライヤ入口での塗布膜温度T1とドライヤ出口の塗布膜温度T2との温度差(|T2−T1|)を5℃以下に制御することで、塗布層15からの急激な有機溶剤の揮発を防ぎ、乾燥ムラの発生を防止できる。さらに、ドライヤ入口での温度T1とドライヤ16内での塗布層の温度T3との温度差(|T3−T1|)を5℃以下とすることがより好ましい。また、前記温度差(|T3−T1|)を常に5℃以下とすることで、乾燥ムラの発生をさらに防止できるので最も好ましい。そのためにドライヤ入口側に加熱装置40を設け、ドライヤ16の中央部に加熱装置41を設け、ドライヤ出口側に加熱装置42を設け、それぞれを独立して温度制御することが好ましい。なお、図1では、加熱装置40〜42を別体とした形態を図示したが、その形態に限定されず、1台の加熱装置を用いて複数箇所の温度制御を行なう形態などであっても良い。それぞれ温度制御は、入口側温度計24,ドライヤ16内の温度センサ26,出口側温度計25でモニタリングされた温度に基づき適宜行なう。
【0036】
図2にドライヤ16の要部断面図を示し、塗布済みウェブ11の乾燥方法及び蒸発した有機溶剤の回収方法について説明する。塗布層15中から蒸発した有機溶剤の凝縮を促進させるため、凝縮板43〜45を冷却し、凝縮、回収することが好ましい。塗布層15の表面と凝縮板表面43aとの距離(間隔)L2は、所望の塗布層15の乾燥速度を考慮した上で、適当な距離に調整する必要がある。距離を短くすると乾燥速度が上がる一方、設定した距離精度の影響を受けやすい。また、塗布層15の表面と凝縮板表面43aとが接触する可能性が大きくなる。一方、距離L2を大きくすると乾燥速度が大幅に低下するのみならず、熱による自然対流が起きて乾燥ムラを引き起こす。そこで、本発明においては、塗布層15の表面と凝縮板表面との距離L2は、5mm〜10mmが好ましい。なお、他の凝縮板44,45も同様の形態とすることが好ましい。
【0037】
加熱装置40に赤外線ヒーターを用いることが好ましい。この場合、表面フラットの箱形のジャケット62を赤外線ヒーター本体61に取り付け、ジャケット62内に液体(例えば、水)63をポンプ64により循環させてウェブ11などを加熱する低温赤外線ヒーターとして用いることが好ましい。ウェブ11と加熱装置(赤外線ヒーター)40との距離L3と、ジャケット62内の液体63の温度とを精度よくコントロールすることで、乾燥中の塗膜温度を繊細に制御することが可能である。具体的には、距離L3を10mm〜50mmの範囲とし、液体温度を40℃〜80℃の範囲とすることが好ましいが、これら数値範囲に限定されるものではない。なお、他の加熱装置41,42も同じ形態とすることが好ましい。
【0038】
ドライヤ16内のガイドロール22,23を昇温可能な加熱ロール70に換えて塗布済みウェブを加熱して、乾燥させることもできる(図3参照)。加熱ロール70の一例としては、ロール内に液体流路71を形成し、その中に所定の温度の液体72を送液する。液体72は、ポンプ73により循環して用い、流路の途中に加熱機74を取り付け、好ましい温度に調節する。その他、赤外線ヒータ、マイクロ波加熱手段等を用いて塗布済みウェブ11を加熱、乾燥してもよい。
【0039】
ドライヤ16に複数のガイドロール22,23を配置することで、搬送上の制約を受けることなくケーシング16a長を自在に決めることが出来る。ガイドロール22,23が加熱装置40〜42によって加熱されて温度が高くなってしまう場合には、ガイドロール22,23をジャケットロールにして温度制御することが望ましい。
【0040】
なお、乾燥装置であるドライヤ16の形態は、図示したものに限定されるものではない。その他、本発明の塗布膜の乾燥方法および装置が適用される乾燥装置を組み込んだ塗布・乾燥ラインに使用されている送出装置、ロール、巻取装置等には慣用の部材を使用しており、それらの説明は省略する。
【0041】
以上に詳述した本発明の塗布膜の乾燥方法及び装置によれば、塗布直後の塗布膜に発生するムラを抑制しかつ効率よく均一に塗布膜を乾燥できる。また、塗布、乾燥工程のレイアウトを大きく変更することなく、さらに、塗布液の物性や溶媒の種類等に制約されないので、塗布液処方手段の柔軟な設計が可能である。すなわち、たとえば既存の熱風乾燥装置を含む塗布・乾燥装置の塗布部と熱風乾燥装置との間に塗布直後の走行位置に塗布面近傍の風の乱れを防止し、乾燥中の塗布面側の溶剤蒸気を高い濃度で保ったまま乾燥を行うケーシングで囲ったドライヤを配置するだけで、本発明の装置と同様の形態にでき、その結果、低コストで装置改造ができる。もちろん、前述のように溶媒を凝縮・回収する機構を設けると更に望ましい設備となる。
【0042】
また、本発明の塗布膜の乾燥装置を用いると、乾燥初期において非常に均一な乾燥が可能なため、次のような予期しなかった効果が得られることがわかった。すなわち、従来の熱風乾燥装置では、塗布膜を乱す影響を完全には抑えられないため、塗布膜内に流動を生じていたが、本発明の装置を用いると、それらの流動を防止でき、また、乾燥中に形成される塗布膜中の高分子、粒子のネットワークの構造を非常に細かく、しかも均一に形成できることがわかった。
【0043】
これにより、単に塗布膜を均一に乾燥させるだけのみならず、塗布膜の構造が細かくなることにより、たとえば、光学フイルムの場合、新たな付加機能を追加できることにもつながる。また、本発明の塗布膜の乾燥装置は、たとえば、ナノ粒子等が含まれる機能性膜の乾燥等にも非常に適しているといえる。
【0044】
本発明の塗布膜の乾燥方法及び装置は、塗布液に高分子や粒子等の固形分が溶解または分散されたものに適用した場合でも、同様の効果が得られる。むしろ、粒子等が含まれる系では、乾燥ムラの発生が塗布膜中の粒子の分散分布にも大きく影響する。したがって、この系に本発明を適用することは好ましい。
【0045】
本発明は、光学補償シート等の光学的機能性フイルムシート、感光材料用のフイルムの溶剤下塗り、熱現像感光材料、ナノ粒子等の微細構造粒子を含む機能性フイルム、写真用フィルム、写真用印画紙、磁気記録テープ、接着テープ、感圧記録紙、オフセット版材、電池等の製造に好ましく使用される。
【0046】
【実施例】
<実験1>
光学補償シートの製造ラインにおける塗布層の乾燥工程を、塗布面近傍の風の流れを防止するケーシングで囲ったドライヤを塗布直後の走行位置に、配設して、光学補償シートを製造する上での好適なドライヤ内での加熱条件を検討した。
【0047】
光学補償シートの製造ラインは、たとえば下記の工程により行われる。
1)透明フイルムの送出工程;
2)透明フイルムの表面に配向膜形成用樹脂を含む塗布液を塗布、乾燥する配向膜形成用樹脂層の形成工程;
3)表面に配向膜形成用樹層が形成された透明フイルム上に、樹脂層の表面にラビング処理を施し透明フイルム上に配向膜を形成するラビング工程;
4)液晶性ディスコティック化合物を含む塗布液を、配向膜上に塗布する液晶性ディスコティック化合物の塗布工程;
5)前記塗布膜を乾燥して該塗布膜中の溶媒を蒸発させる乾燥工程;
6)前記塗布膜をディスコティックネマティック相形成温度に加熱して、ディスコティックネマティック相の液晶層を形成する液晶層形成工程;
7)前記液晶層を固化する(すなわち、液晶層形成後急冷して固化させるか、または、架橋性官能基を有する液晶性ディスコティック化合物を使用した場合には液晶層を光照射(または加熱)により架橋させる)工程;
8)該配向膜および液晶層が形成された透明フイルムを巻き取る巻取り工程。
【0048】
光学補償シートの製造方法は、実施例1では、長尺状透明フイルムを送り出す工程から、得られた光学補償シートを巻き取る工程まで一貫して連続的に行なった。トリアセチルセルロース(フジタック、富士写真フイルム(株)製、厚さ:100μm、幅:500mm)の長尺状のフイルムの一方の側に、長鎖アルキル変成ポバール(MP−203、クラレ(株)製、なおポバールは登録商標)5重量%溶液を塗布し、90℃で4分間乾燥させた後、ラビング処理を行って膜厚2.0μmの配向膜形成用樹脂層を形成した。フィルムの搬送速度は、20m/分であった。
【0049】
上記トリアセチルセルロースフイルムは、フイルム面内の直交する二方向の屈折率をnx、ny、厚さ方向の屈折率をnz、そしてフイルムの厚さをdとしたとき、
(nx−ny)×d=16nm、
{(nx−ny)/2−nz}×d=75nmであった。また、上記配向膜形成用樹脂層の形成の際に、本発明に係るドライヤ(加熱装置有り(○),入口温度25℃,出口温度21℃)16を備えた塗布・乾燥ラインを用いて行なった。
【0050】
続いて、得られた樹脂層を有するフィルムを、連続して20m/分で搬送しながら、樹脂層表面にラビング処理を施した。ラビング処理は、ラビングローラの回転数を300rpmにて行い、次いで得られた配向膜の除塵を行った。
【0051】
次いで、得られた配向膜を有するフィルムを、連続して20m/分の速度で搬送しながら、配向膜上に、化1に示すディスコティック化合物TE−(1)とTE−(2)の重量比で4:1の混合物に、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)を上記混合物に対して1重量%添加した混合物の10重量%メチルエチルケトン溶液(塗布液)を、ワイヤーバー塗布機にて、塗布速度を20m/分、塗布量を5cc/m2 で塗布し、次いで乾燥および加熱ゾーンを通過させた。乾燥ゾーンには風を送り、加熱ゾーンは130℃に調整した。塗布後3秒後に乾燥ゾーンに入り、3秒後に加熱ゾーンに入った。加熱ゾーンは約3分で通過した。
【0052】
【化1】
Figure 0004601909
【0053】
続いて、この配向膜および液晶層が塗布されフィルムを、連続して20m/分で搬送しながら、液晶層の表面に紫外線ランプにより紫外線を照射した。すなわち、上記加熱ゾーンを通過したフィルムは、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、液晶層を架橋させた。
【0054】
表1に示す乾燥条件以外は、実施例1と同じ条件で実施例2及び3と比較例1ないし3を上記の工程により行った。なお、表1中の加熱装置の欄で○は加熱装置を用い、△は一部の加熱装置を用い、×は加熱装置を用いなかったことを示している。また、評価は、乾燥ムラの発生なく均一な塗膜品質が得られているときには○とし、乾燥ムラによって塗布面に乱れが生じ、均一な塗膜品質が得られていないときには×とした。。それらの条件および結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
Figure 0004601909
【0056】
<実験2>
実験2では、熱現像感光材料の製造ラインの乾燥工程に、凝縮・回収するドライヤ(前段側)と熱風乾燥装置(後段側)とを組み合わせた乾燥手段を配設しドライヤ前後の温度差を2℃になるようにした場合の実施例4と、ドライヤに加熱装置を用いず温度差が7℃になった場合の比較例4とを対比した。
【0057】
ウェブに塗布する熱現像感光材料用の塗布液は次のように調製した。
1)ハロゲン化銀粒子の調製
水700mリットルにフタル化ゼラチン22gおよび臭化カリウム30mgを溶解して温度35℃にてpHを5に調整した後、硝酸銀18.6gを含む水溶液159mリットルと臭化カリウムと沃化カリウムとを92:8のモル比で含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で10分間かけて添加した。ついで、硝酸銀55.4gを含む水溶液476mリットルと六塩化イリジウム酸第二カリウムを10.5μモル/リットルと、臭化カリウムを1モル/リットルで含む水溶液pAg7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で30分間かけて添加した。その後、pHを下げて凝集沈降させ脱塩処理をし、フェノキシエタノール0.11gを加え、pH5.9,pAg8.2に調整し、沃臭化銀粒子(沃素含量コア8モル%、平均2モル%、平均サイズ0.05μm、投影面積変動係数8%、(100)面比率90%の立方体粒子)を調製した。こうして得たハロゲン化銀粒子を60℃に昇温して銀1モル当たりチオ硫酸ナトリウム85μモルと、2,3,4,5,6 −ペンタフルオロフェニルジフェニルフォスフィンセレニドを11μモル、15μモルのテルル化合物、塩化金酸3.6μモル、チオシアン酸280μモルを添加し、120分間熟成した後、30℃に急冷してハロゲン化銀乳剤を得た。
【0058】
2)有機酸銀乳剤の調製
ステアリン酸1.3g、アラキジン酸0.5g、ベヘン酸8.5g、蒸留水300mリットルを、90℃で40分間混合し、激しく攪拌しながら1Nの水酸化ナトリウム水溶液31.1mリットルを15分かけて添加した後、30℃に昇温した。次に、1Nのリン酸水溶液7mリットルを添加し、より激しく攪拌しながらN−ブロモスクシンイミド0.012gを添加した後、あらかじめ調製したハロゲン化銀粒子をハロゲン化銀量が2.5mモルになるように添加した。さらに、1Nの硝酸銀水溶液25mリットルを25分かけて添加し、そのまま90分間攪拌し続けた。その後、吸引ろ過で固形分をろ別し、固形分をろ過水の伝導度が30μS・cmになるまで水洗いした。こうして得られた固形分にポリ酢酸ビニルの1.2重量%の酢酸ブチル溶液37gを加えて攪拌し、攪拌を止めて放置し、油層と水層に分離させ、含まれる塩とともに水層を除去し、油層を得た。次に、この油層にポリビニルブチラールの2.5重量%2−ブタノン溶液20gを添加し攪拌した。さらに、過臭化ピリジニウム0.1mモルと、臭化カルシウム二水和物0.18mモルを0.7gメタノールとともに添加した後、2−ブタノン40gとポリビニルチラールの7.8gを添加し、ホモジナイザで分散し、有機酸銀塩乳剤(平均短径0.04μm、平均長径1μm、変動係数30%の針状粒子)を得た。
【0059】
3)乳剤層塗布液の調製
上記で得た有機酸銀塩乳剤に銀1モル当たり以下の量になるように各薬品を添加した。25℃でフェニルチオスルホン酸ナトリウム10mg、68mgの色素1、30mgの色素2、2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール2g、4−クロロベンゾフェノン−2−カルボン酸21.5gと、2−ブタノン580g、ジメチルホルムアミド220gを攪拌しながら添加し、3時間放置した。ついで、5−トリブロモメチルスルフォニル−2−メチルチアジアゾール8g、2−トリブロモメチルスルフォニルベンゾチアゾール6g、4,6−ジトリクロロメチル−2−フェニルトリアジン5g、ジスルフィド化合物2g、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5トリメチルヘキサン160g、テトラクロロフタル酸5g、1.1gのフッ素系界面活性剤、2−ブタノン590g、メチルイソブチルケトン10gを攪拌しながら添加した。
【0060】
上記の如く調製した乳剤層塗布液を青色染料で色味付けした175μmのポリエチレンテレフタレート支持体(ウェブ)に、銀が2.3g/cm2 になるように塗布した。そして、塗布後、実施例4の場合には凝縮・回収するドライヤ(前段側)と熱風乾燥装置(後段側)とで乾燥させた後、紫外線照射して熱現像感光材料を得た。一方、比較例4の場合にはドライヤに加熱装置を用いず温度差が7℃になった状態で熱風乾燥装置に送られて乾燥した後、紫外線照射して熱現像感光材料を得た。
【0061】
実施例4の方法で製造した製品の表面性状は良好であった。一方、比較例4の方法で製造した製品の表面性状は、風ムラの影響を受け不良となった。
【0062】
【発明の効果】
本発明の塗布膜の乾燥方法および装置によれば、連続走行するウェブに各種液状組成物を塗布して形成した長尺で広幅な塗布膜面において、塗布直後に発生する乾燥ムラを抑制しかつ効率よく均一に塗布膜を乾燥できる。また、塗布、乾燥工程のレイアウトを大きく変更することなく、さらに、塗布液の物性や溶媒の種類等に制約されないので、塗布液処方手段の柔軟な設計が可能である。また、省エネルギー化、コストダウンにも効果がある。さらに、塗布膜内の流動を防止でき、また、乾燥中に形成される塗布膜中の高分子、粒子のネットワークの構造を非常に細かく、しかも均一に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る乾燥装置を備えた塗布・乾燥ラインの概略図である。
【図2】図1に示す乾燥装置の要部断面図である。
【図3】本発明の乾燥装置に用いられる加熱手段の一実施形態を示す図である。
【符号の説明】
11 ウェブ
15 塗布膜
16 ドライヤ
20 製品
40,41,42 加熱装置
43,44,45 凝縮板

Claims (8)

  1. 走行するウェブに塗布手段により低沸点有機溶剤を含む塗布液を塗布し、前記塗布液が塗布された塗布膜を乾燥させる塗布膜の乾燥方法において、
    前記塗布手段から前記ウェブ走行方向で2m以内で且つ前記塗布膜が前記塗布手段から3秒以内に到達する位置にドライヤを配置し、
    前記ドライヤは、給排気を行うことなく前記ウェブを覆うケーシングと、このケーシング内に前記塗布膜とは反対側に配置される加熱手段及び前記塗布膜側に配置される凝縮、回収手段とを有し、
    前記加熱手段により前記ウェブを加熱して前記ケーシングの入口と出口とでの前記塗布膜の温度差及び前記入口と前記ケーシングの内部とでの前記塗布膜の温度差がそれぞれ5℃以内となるようにして前記塗布膜を乾燥し、前記凝縮・回収手段により前記塗布膜側の溶剤蒸気を回収することを特徴とする塗布膜の乾燥方法。
  2. 前記加熱手段は、表面がフラットな箱型ジャケット内に赤外線ヒータ本体を取り付けて、前記ジャケット内に液体を流通させ、前記赤外線ヒータ本体により前記液体の温度を40℃〜80℃の範囲に調節し、前記ジャケットの表面と前記ウェブとの距離を10mm〜50mmとして、前記液体を介して前記ウェブを加熱することを特徴とする請求項1記載の塗布膜の乾燥方法。
  3. 前記凝縮、回収手段は、冷却された凝縮面を有する凝縮板と、前記凝縮面で凝縮された溶剤を回収する樋とを有し、前記塗布膜の表面と前記凝縮板表面との距離が5mm〜10mmであることを特徴とする請求項2記載の塗布膜の乾燥方法。
  4. 前記塗布液に前記有機溶剤を50質量%以上含有するものを用い、前記ドライヤで前記塗布膜中の有機溶剤の70質量%以上を乾燥した後に、熱風乾燥装置により前記塗布膜を乾燥することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の塗布膜の乾燥方法。
  5. 走行するウェブに塗布手段により低沸点有機溶剤を含む塗布液を塗布し、前記塗布液が塗布された塗布膜を乾燥させる塗布膜の乾燥装置において、
    給排気を行うことなく前記ウェブを覆うケーシングと、
    前記ケーシング内に前記塗布膜とは反対側に配置され、前記ケーシングの入口と出口とでの前記塗布膜の温度差及び前記入口と前記ケーシングの内部とでの前記塗布膜の温度差がそれぞれ5℃以内となるように前記ウェブを加熱して前記塗布膜を乾燥する加熱手段と、
    前記ケーシング内に前記塗布膜側に配置され、前記塗布膜からの溶剤蒸気を凝縮して回収する凝縮、回収手段とを有するドライヤを設け、
    前記ドライヤを前記塗布手段から前記ウェブ走行方向で2m以内で且つ前記塗布膜が前記塗布手段から3秒以内に到達する位置に配置したことを特徴とする塗布膜の乾燥装置。
  6. 前記加熱手段は、
    表面がフラットであり、前記表面と前記ウェブとの距離が10mm〜50mmとして配置され、液体が流通される箱型ジャケットと、前記ジャケット内に配置され、前記液体を40℃〜80℃の範囲に加熱する赤外線ヒータ本体とから構成されることを特徴とする請求項5記載の塗布膜の乾燥装置。
  7. 前記凝縮、回収手段は、冷却された凝縮面を有する凝縮板と、前記凝縮面で凝縮された溶剤を回収する樋とを有し、前記塗布膜の表面と前記凝縮板表面との距離が5mm〜10mmであることを特徴とする請求項6記載の塗布膜の乾燥装置。
  8. 前記ドライヤから出た前記ウェブを乾燥する熱風乾燥装置を有し、
    前記塗布液に前記有機溶剤を50質量%以上含有するものを用い、前記ドライヤによって前記塗布膜中の有機溶剤の70質量%以上を乾燥することを特徴とする請求項5ないし7いずれか1項記載の塗布膜乾燥装置。
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