JP4600996B2 - 水田作業機 - Google Patents
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Description
水田作業機において、線引きマーカの使用を伴う作業としては、種籾を直接に水田に播く播種作業、または、水稲やイ草などの苗を水田に植え付ける苗植付作業があり、通常の水田作業機には、これらの作業を行うための装置、つまり、播種装置あるいは苗植付装置の何れかが備えられるものである。本明細書では、このような播種作業あるいは苗植付作業のように、線引きされた圃場での作業を行うための装置を総称して「植播系作業装置」と称する。
このように、電動モータを用いてマーカの姿勢変更を行う構造を採用すると、従前のように苗植付装置の上昇作動力を利用してワイヤでマーカを引き上げるようにした構造のものに比べて、マーカの駆動系を含めての全体構造の小型軽量化及び簡素化を図り得るとともに、マーカやその駆動系の配置上の制約も少なく、全体として設計上の自由度を高め得る点での有利さがある。
この種の水田作業機としては、従来より、下記の特許文献1に示されるように、乗用型田植機に昇降自在に装備された苗植付装置にマーカを装備し、このマーカを、電動モータによってケーブル巻き取り体を回動操作して、マーカと連結されているマーカ操作用のケーブルを巻取り操作したり、繰り出し操作したりすることにより、マーカを格納状態と作用状態に切り換え操作するようにマーカ操作機構を構成したものが知られている。そして、このマーカ操作機構に対して、右左を選択してマーカを出し入れするように制御指令を出力する制御装置を備えてマーカ装置を構成したものがあった(たとえば特許文献1参照)。
このような不具合を避けるには、電動モータを用いながらも、マーカの姿勢変更動作はワイヤを用いた従前の装置のように、植播系作業装置の昇降動作と同期させて出し入れを行うように構成することが考えられる。しかしながら、このような構成を採用するにあたっては、次のような新たな問題が生じる。
つまり、マーカの格納姿勢への変更操作に関しては、圃場の一行程での作業が終了すると機体はただちに旋回を始めようとするものであるから、マーカはなるべく早く格納した方が小回り旋回を行う上では有利である。ところが、電動モータの動作速度を上げてマーカの格納姿勢への変更速度を速くすると、マーカの急速引き上げによる泥土の飛散方向が機体内方側に向けられ、操縦者に降りかかるなどの不具合がある。
従前のように植播系作業装置の上昇駆動力を利用してワイヤでマーカを引き上げる構造では、マーカの水平面に対する起伏角度とワイヤの引っ張り方向との関係で、植播系作業装置を一定速度で上昇させていても、その上昇初期では、比較的急速にワイヤが引き上げられ、その後、マーカ先端の移動軌跡が機体内方側へ向かうに連れて自然に引き寄せ速度が低減するように工夫されているが、このような形態にマーカの動作速度を制御しようとすると、植播系作業装置の上昇動作速度の検出手段や、マーカの角速度の変化を検出する手段など、電動モータの作動速度の制御するためのデータ検出手段や、その検出データに基づく制御手段など、検出構造や制御構造の複雑化を招く虞がある。
しかも、従前の植播系作業装置の上昇駆動力のように強大な油圧シリンダなどの駆動力を利用してワイヤでマーカを持ち上げるのではなく、マーカ駆動用の電動モータを用いる構造のものでは、先端部が泥中に深く埋没した状態のマーカを、その付け根側で引き上げ操作するに要する駆動力の全部が電動モータに負荷されることになるため、電動モータに作用する駆動負荷が相当大きくなり、電動モータの小型化の妨げになる傾向がある。
〔解決手段1〕
播種または苗植付けを行う植播系作業装置を、走行機体に対してリンク機構を介して昇降操作自在に装備し、その植播系作業装置に、下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに姿勢切り換え自在なマーカと、このマーカの姿勢切り換えを電動モータの駆動で行うマーカ操作機構とを備えた水田作業機において、
前記リンク機構の姿勢変化を検出して前記植播系作業装置の高さ位置を検出する高さ位置検出手段と、前記マーカ操作機構に対して前記電動モータの作動を制御する制御指令を出力する制御装置と、この制御装置に対してマーカの姿勢切り換え指令を入力する人為操作具とを備え、
前記制御装置は、前記高さ位置検出手段からの検出に基づいて前記植播系作業装置が上限高さよりも低い高さに予め設定された所定高さ以上の高さ位置に存在すると判別される場合には、前記人為操作具によってマーカの下降使用姿勢側への姿勢切り換え指令が入力されても、前記制御装置から前記マーカ操作機構へのマーカ下降指令が出力されることを牽制し、前記高さ位置検出手段からの検出に基づいて前記植播系作業装置が前記所定高さよりも低位に存在すると判別される場合には、前記人為操作具によってマーカの下降使用姿勢側への姿勢切り換え指令が入力されると、前記制御装置から前記マーカ操作機構へのマーカ下降指令が出力されることを許容するように構成してある。
解決手段1にかかる発明では、電動モータを用いてマーカの姿勢変更を行うものでありながら、植播系作業装置が所定高さ以上の高さに存在する状態では、人為操作具の不用意な操作に拘わらず、確実にマーカの無用な作用姿勢への姿勢変更を抑止することができる。
したがって、電動モータを用いて装置全体の小型化や配置の自由度を高め得る利点を活かしながら、路上でのマーカの飛び出しなど、無用な姿勢変更によるマーカの損傷を確実に回避することができる。
播種または苗植付けを行う植播系作業装置を、走行機体に対して昇降操作自在に装備し、その植播系作業装置に、下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに姿勢切り換え自在なマーカを備えた水田作業機において、
前記植播系作業装置の高さ位置を判別する高さ位置判別手段を備えるとともに、前記マーカの姿勢切り換えを電動モータの駆動で行うマーカ操作機構と、このマーカ操作機構に対して前記電動モータの作動を制御する制御指令を出力する制御装置と、この制御装置に対してマーカの姿勢切り換え指令を入力する人為操作具とを備え、
前記制御装置は、前記植播系作業装置が予め設定された所定高さよりも低い高さ位置に存在している状態では、前記植播系作業装置の上昇に拘わらず前記制御装置から前記マーカ操作機構へのマーカ格納指令が出力されることを牽制し、前記所定高さよりも高い位置に前記植播系作業装置が存在している状態では、前記制御装置から前記マーカ操作機構へのマーカ格納指令が出力されることを許容するように構成してある。
解決手段2にかかる発明では、植播系作業装置が予め設定された所定高さに達するまではマーカ操作機構による格納操作を行なわず、植播系作業装置を昇降駆動する駆動系の動力を利用してマーカをも所定高さまで持ち上げることができる。
したがって、マーカの持ち上げに際してはマーカ操作機構での電動モータの駆動力を用いずにマーカを所定高さまで持ち上げて、この間にマーカに付着していた泥土をある程度滑落させることができる。また、マーカが泥面から抜け出す際に生じる大きな操作抵抗も、マーカ操作機構の電動モータには作用せず、大きな駆動力を備えた植播系作業装置の昇降装置に負担させるので、電動モータの大型化などの問題なく持ち上げることができる。
また、植播系作業装置が前記所定高さに達するまでの間で、ある程度泥土が滑落してからマーカ操作機構による格納姿勢への姿勢変更が行われることになるので、電動モータを用いての姿勢変更に際して、操縦者側への泥土の飛散を極力抑制することができる。
このとき、電動モータによるマーカの姿勢変更は、植播系作業装置の高さ位置の変化状況やマーカ自体の回動角度の変化などを特別に検出して制御するような煩雑な制御を必要とせず、単に泥土の飛散を押さえるに適当な程度の速度を考慮して設定された速度で駆動する程度の簡単な制御構造を採用するだけでよく、多くの検出情報を得るための検出手段を設ける構造の複雑化や、その検出情報に基づく制御などに関しても複雑化を回避できる利点がある。
解決手段1又は2記載の水田作業機において、前記人為操作具の揺動操作を検出する指令スイッチを備え、前記制御装置は、前記人為操作具の揺動操作により前記指令スイッチが所定時間よりも短い時間を検出すると定常操作であると判別して前記制御装置から前記マーカ操作機構への制御指令が出力されることを牽制し、前記人為操作具の揺動操作により前記指令スイッチが前記所定時間よりも長い時間を検出すると非定常操作であると判別して牽制を解除し前記制御装置から前記マーカ操作機構への制御指令を出力するように構成してある。
解決手段3にかかる発明では、牽制を非定常操作によって牽制解除できるものであるから、さらに多様な操作を行うことができる。
しかも、その操作は、操作者が明確に意識した非定常操作によって意図的に行われるので、定常操作時の操作との混同や誤操作を招く虞はきわめて少ない状態で操作の多様化を図ることができる利点がある。
解決手段1又は2に記載の水田作業機において、前記人為操作具の揺動操作を検出する指令スイッチを備え、前記制御装置は、前記指令スイッチにより前記人為操作具が所定時間内に一回揺動操作されたことが検出されると定常操作であると判別して前記制御装置から前記マーカ操作機構への制御指令が出力されることを牽制し、前記指令スイッチにより前記人為操作具が前記所定時間内に複数回繰り返し揺動操作されたことが検出されると非定常操作であると判別して牽制を解除し前記制御装置から前記マーカ操作機構への制御指令を出力するように構成してある。
解決手段4にかかる発明では、牽制を非定常操作によって牽制解除できるものであるから、さらに多様な操作を行うことができる。
しかも、その操作は、操作者が明確に意識した非定常操作によって意図的に行われるので、定常操作時の操作との混同や誤操作を招く虞はきわめて少ない状態で操作の多様化を図ることができる利点がある。
請求項1〜4のいずれか一項記載の水田作業機において、前記マーカ操作機構中に過負荷緩衝部を設けてある。
解決手段5にかかる発明では、マーカ操作機構中に過負荷緩衝部を備えることにより、電動モータに過大な負荷が作用したり、マーカに過大な負荷が作用した場合に、これを感知して回避制御を行うようにすることにより、電動モータやマーカを破損するなどの自体が生じることを回避することが可能となる。
〔水田作業機の全体構成〕
図1に示すように、左右一対の操向操作自在な前車輪1、及び、左右一対の後車輪2を原動部のエンジン6からの駆動力によって駆動して自走するように構成し、かつ、原動部の両横側に位置する予備苗載せ台装置80、原動部の後方に位置する運転座席3を有した搭乗型運転部を備えた自走車体の車体フレーム4の後部に、リフトシリンダ8を有したリンク機構5を介して植播系作業装置の一例である苗植付け装置10を連結するとともに、前記エンジン6からの駆動力を回転軸7を介して苗植付け装置10に伝達するように構成し、自走車体の運転座席3の後方側に肥料タンク31を有した施肥装置30を設けて、水田作業機の一例である乗用型田植機を構成している。
苗植付け装置10の植付機枠前端部の両横側にマーカ20を設けてある。左右のマーカ20も、左右のマーカ操作機構40も、左右で同様に構成してあるので、代表して左側のマーカ20、及び左側のマーカ操作機構40を図示して説明する。
図2に示すように、マーカ20は、植付機枠の機枠フレーム15から延出するマーカ支持アーム21に基端側の取り付け部23cが連結ピン22を介して回動自在に連結している基端側マーカアーム23a、この基端側マーカアーム23aの先端部から延出している先端側マーカアーム23b、この先端側マーカアーム23bの先端部に遊転自在に連結しているマーカ輪体25を備えて構成してある。
基端側マーカアーム23aが前記連結ピン22の機体前後向きの軸芯まわりで植付機枠に対して上下に揺動操作されることにより、図2に実線で示す如く基端側マーカアーム23aがマーカ支持アーム21から機体横外向きにほぼ水平に延出した取り付け姿勢になり、マーカ輪体25の下端側が圃場泥土に接地した下降使用姿勢と、図2に二点鎖線で示す如く基端側マーカアーム23aがマーカ支持アーム21から機体上方向きに延出した取り付け姿勢になり、マーカ輪体25が圃場面から高く浮上した上昇格納姿勢とに切り換わる。
下降使用姿勢に操作されたマーカ20は、マーカ輪体25が車体走行のために圃場の泥土部で転動してマーカ輪体25の輪体周方向に並んでいるマーカ爪26が泥土を持ち上げて圃場面上に盛り上げていき、進行方向に点在していく盛り上げ泥土によって走行目標線を圃場面上に形成する。
前記電動モータ42は、機枠フレーム15に設けた操作ケース43に内装され、この電動モータ42の動力は、電動モータ42の出力を、ウォームギヤを内装する減速ギヤボックス42Aからの出力用ピニオンギヤ45を介して、前記クランク操作体48の駆動ギヤ46に伝達されるように構成してある。
図2に示すように、このマーカ操作機構40のスプリング49は、基端側マーカアーム23aの前記連結ピン22の位置と、スプリング49の機枠フレーム15側の係止孔15aによって構成される係止点とを結ぶ仮想線分xよりも上方側で、前記取り付け部23cにスプリング49の一端側が連結されているので、そのスプリング49の付勢力がマーカ20を上昇格納姿勢側に付勢する方向で作用するように構成されている。
電動モータ42が下降側に駆動操作されてクランク操作体48をマーカ下げ側に回動駆動すると、操作ロッド41がスプリング49の付勢力に抗してマーカ20を押し下げ操作することにより、マーカ操作機構40は、電動モータ42の駆動力とマーカ20の自重とによってマーカ20を下降使用姿勢に切り換え操作する。
前記操作ロッド41は、バネ鋼からなる棒状線材で構成され、その中間部にコイル状の過負荷緩衝部41Aを設けてある。この過負荷緩衝部41Aは、電動モータ42でマーカ20の昇降操作を行っている途中で、マーカ20が畦や何らかの障害物に接触して動き難くなるなどの、マーカ20自体や電動モータ42が損傷するほどの一時的な過負荷が生じた場合に、その過負荷緩衝部41Aのコイル状部分が伸縮することによって、ある程度の過負荷を緩和することに役立つ効果がある。
図1,5に示すように、運転部のステアリングハンドルSHの付近に、人為操作具としての1本の操作レバー61を備えた作業指令手段60a及びマーカ下降指令手段60bを設け、図5に示すように、前記作業指令手段60aの一対の指令スイッチ62,63、前記マーカ下降指令手段60bの一対の指令スイッチ64,65、前記リンク機構5に設けた上限センサ69、運転部に設けたメインスイッチ70及び中立検出手段71を制御装置54に連係させてある。
さらにこの制御装置54は、前記リフトシリンダ8の制御弁51の電磁操作部、前記左右のマーカ操作機構40の電動モータ42、エンジン6から苗植付け装置10に対する伝動を入り切りするように自走車体のミッションケース72の内部に設けた作業クラッチ52を切り換え操作する作業クラッチ操作機構の一例としての電動クラッチモータ53、原動部に設けたエンジン始動牽制手段73、自走車体の前端部に位置するセンターマーカ9の内部に位置する報知手段としてのマーカランプ74に連係させてある。
図4に示すように前記クランク操作体48のスイッチ操作部57の回動位置を基に、前記左マーカ20が下降使用姿勢や上昇格納姿勢になったことを検出するように前記操作ケース43の内部に設けた検出スイッチで成る左マーカ上昇センサ67及び左マーカ下降センサ66も、この左マーカ上昇センサ67及び左マーカ下降センサ66と同様に構成した右マーカ上昇センサ67及び右マーカ下降センサ66も制御装置54に連係させてある。
この昇降操作レバー36の操作位置は、レバー位置検出スイッチ37で自動操作領域と手動操作によるクラッチ操作域とを判別できるように構成され、その他の各領域(下降、中立、上昇)では作業クラッチ52が切り操作されるように構成してある。
昇降操作レバー36が自動操作領域に操作されている状態では、苗植付け装置10が泥面から離れた上方位置にあると、このことが垂れ下がり姿勢のフロートセンサ13で検出されるので、苗植付け装置10の昇降用のリフトシリンダ8に対して下降指令が出力され、苗植付け装置10が下降を始める。そして、垂れ下がり姿勢の整地フロート11の先端側が泥面に接して水平に変化すると、このことがフロートセンサ13で検出され、制御装置54に苗植付け装置10が下限に到達したことの信号を入力するので、苗植付け装置10の下降動作が停止し、同時的に作業クラッチ52が入り操作されて苗植付け作業が開始される。
前記昇降操作レバー36が手動操作領域の植付クラッチ入り位置に操作されている状態では、苗植付け装置10の高さ位置に関係なく、任意のタイミングで作業クラッチ52を入り操作することができる。したがって、苗植付け装置10が泥面に接地するとただちに作業クラッチ52が作動し始めるのではなく、整地フロート11が泥面に接してから、適当なタイミングを図って作業を開始することができる。
メインスイッチ70は、脱着自在なキー(図示せず)によって切り換え操作されるキースイッチで成り、切り換え操作されることにより、電源をオンとオフに切り換え操作し、かつ、その切り換え結果を電気信号にして制御装置54に出力する。
制御装置54はマイクロコンピュータを利用して構成してあり、作業指令手段60aからの指令、上限センサ69、及びフロートセンサ13からの検出情報を基にリフトシリンダ8の昇降制御、及びクラッチモータ53を操作しての作業クラッチ52の入り切り制御を行う。
すなわち、作業指令手段60aから作業指令を入力すると、制御弁51に下降操作信号を出力してこの制御弁51を下降操作状態に切り換え操作することにより、苗植付け装置10が昇降制御によって下降するとともに、整地フロート11が泥面に接地して、フロートセンサ13が設定植付け深さを検出する下降作業状態になるようにリフトシリンダ8を苗植付け装置下降側に操作し、かつ、作業クラッチ52が入り状態になるようにクラッチモータ53を入り側に駆動操作する。
作業指令手段60aから作業解除指令を入力すると、制御弁51に上昇操作信号を出力してこの制御弁51を上昇操作状態に切り換え操作することにより、上限センサ69が作用状態になるまで苗植付け装置10が上昇するようにリフトシリンダ8を苗植付け装置上昇側に駆動操作し、かつ、作業クラッチ52が切り状態になるようにクラッチモータ53を切り側に駆動操作する。
すなわち、図6のメインルーチンにおけるステップ#1〜#4に示すように、メインスイッチ70からの情報によってメインスイッチ70がオンであるか否かを判断し、メインスイッチ70がオンであると判断すると、ステップ#2に示すシリンダ制御ルーチンでリフトシリンダ8に対する昇降指令の有無を判断し、その昇降制御を行ってメインルーチンに戻る。引き続いてステップ#3に示す作業クラッチ制御ルーチンで作業クラッチ52の入り切り制御を行ってメインルーチンに戻る。
さらにステップ#4,#5では、メインスイッチ70からの情報によってメインスイッチ70がオンであるか否かを判断し、メインスイッチ70がオンであると判断すると、マイクロコンピュータの不揮発性メモリーで成るマーカ記憶手段78による記憶情報を入力してマーカ出し入れ制御を実行する。そしてメインスイッチ70からの情報によってメインスイッチ70がオフに切り換わった否かを判断し、メインスイッチ70がオフに切り換わったと判断すると、このときの制御装置54の左電動モータ操作状態をメインスイッチ70が切り状態に切り換わった時点の左側のマーカ操作機構40による左マーカ操作状態として、かつ、制御装置54の右電動モータ操作状態をメインスイッチ70が切り状態に切り換わった時点の右側のマーカ操作機構40による右マーカ操作状態としてそれぞれマーカ記憶手段78にそれまでの記憶情報を更新した状態で記憶させる。
すなわち、ステップ#10及び#11で、リフトシリンダ8に対する指令信号の有無、及び、指令が上昇指令であるか、下降指令であるかを判別する。
人為操作具としての操作レバー61で操作される作業指令手段60aでの操作に基づいて、ステップ#10で上昇指令がなされたと判断されると、ステップ#12でリフトシリンダ8の制御弁51に対する上昇指令が制御装置54から出力される。リフトシリンダ8が上昇作動(伸長)し、上限に達したことが上限センサ69で検出されると、リフトシリンダ8の作動が停止する。
ステップ#11で下降指令がなされたと判断されると、ステップ#13でリフトシリンダ8の制御弁51に対する下降指令が制御装置54から出力される。リフトシリンダ8が下降作動(収縮)し、下限に達したことがフロートセンサ13で検出されると、リフトシリンダ8の作動が停止する。
ステップ#10及びステップ#11で上昇指令、及び下降指令の何れもがないと判断されたときは、リフトシリンダ8は停止状態のままである。
すなわち、ステップ#20に示すように、昇降操作レバー36が「自動」の位置に操作されているか否かをレバー位置検出スイッチ37で判別し、自動の位置に操作されていれば、ステップ#22において、苗植付け装置10が下限に位置しているか否かをフロートセンサ13からの検出信号で判別する。苗植付け装置10が下限に位置していれば作業クラッチ52を「入り」操作する指令を制御装置54から出力し、下限に位置していなければ苗植付け装置10に対して下降作動を指令して、その後、ステップ#24で示すように、再び苗植付け装置10が下限に位置したか否かを検出する。フロートセンサ13が苗植え付け装置10の下限位置を検出するとステップ#25に示すように作業クラッチ52を入り操作して苗植え付け作業が開始される。
前記ステップ#20で「自動」が検出されなかった場合、ステップ#21で昇降操作レバー36の位置が手動による「植付」位置であるか否かを検出し、手動による植付位置が検出された場合には、苗植え付け装置10の高さ位置に関係なく強制的に作業クラッチ52を入りする。
前記ステップ#20及びステップ#21で、昇降操作レバー36の位置が「自動」の位置でも、手動による「植付」位置でもないことが判別されると、植付作業を行う状態ではないので、ステップ#27に示すように作業クラッチ52をクラッチ切り状態とするように制御装置54からの指令が出力される。
すなわち、ステップ#30に示すように、メインスイッチ70がオンであることを検出すると、その時点でマイクロコンピュータの不揮発性メモリーで成るマーカ記憶手段78による記憶情報を読み出してマーカ出し入れ制御を実行する。次ぎに、ステップ#31に示すように、苗植付け装置10の高さ位置に関する情報を、上限センサ69及びリンク姿勢検出手段(図示せず)から取得する。
前記リンク姿勢検出手段は、リンク機構5の姿勢変化を検出して苗植付け装置10の高さ位置を検出する高さ位置検出手段であり、リンク機構5の揺動支点箇所に設けたポテンショメータや、リンク機構5が所定高さに達した状態で接触するように走行機体側に配置したスイッチや、リンク機構5を昇降操作するためのリフトシリンダ8の伸縮量を検出するポテンショメータ又はスイッチで構成される。
ステップ#32、#33に示すように、上限センサ69の検出情報に基いて苗植付け装置10が上限になっているか否かを判断し、苗植付け装置10が上限になっていると判断すると、左マーカ操作機構40が左マーカ20を上昇格納姿勢に切り換え操作するように左マーカ上昇センサ67が検出状態になるまで左電動モータ42を上昇側に操作し、右マーカ操作機構40が右マーカ20を上昇格納姿勢に切り換え操作するように右マーカ上昇センサ67が検出状態になるまで右電動モータ20を上昇側に操作する。
ステップ#34にて苗植付け装置10が上限よりも下方で、予め設定された所定高さ以上の高さに位置していると判断した場合、次のステップ#35で、マーカ記憶手段78による記憶情報と、マーカ下降指令手段60bからの指令とを基に、マーカ記憶手段78による記憶マーカ操作状態とは異なるマーカ操作指令がマーカ下降指令手段60bから出力されているか否かを判別する。
マーカ記憶手段78による記憶マーカ操作状態とは異なるマーカ操作指令が、マーカ下降指令手段60bから出力されていると判断した場合には、苗植付け装置10が下降操作されたと判断し、かつ、マーカ下降指令手段60bからの指令が右マーカ下降指令であると、ステップ#36〜#39に示すように左右のマーカ20を昇降操作する。
したがって、一般的には、右マーカ20を下降させる指令が出力されている状態では、右マーカ20に対する下降指令とともに左マーカ20に対する上昇姿勢も同時的に出力される傾向があるが、本発明では、ステップ#37に示すように、右マーカ20に対する下降指令を出力するとの判断後に、左右のマーカ20,20を昇降させるにあたり、人為操作具としてのマーカ下降指令手段60bの操作状態、すなわち、定常操作か、非定常操作かを判断している。
そして、このステップ#37での判断により、マーカ下降指令手段60bの操作が定常操作であると判断されれば、ステップ#38に示すように左側のマーカ操作機構40が左マーカ20を上昇操作し、この時点では右マーカ20に対する下降指令は出力されない。これは、マーカ20が前記所定高さ位置よりも高い位置で下降作用姿勢となることで、他物と接触して損傷する可能性を少なくするためである。
ただし、常に前記所定高さ位置よりも高い位置で下降作用姿勢となることを禁止したままでは、非作業状態で苗植付け装置10と畦との距離を見たい場合など、何らかの要望がある場合に対応できないので、本発明では、前記ステップ#37で非定常状態を判別できるようにしている。これは、マーカ下降指令手段60bの定常操作時と同じ操作を、定常操作で普通に操作した場合の時間よりもかなり長く(例えば3秒以上)操作することで、定常操作とは明らかに判別可能にして、その操作状態を非定常操作として判断するように構成したものである。
この非定常操作を判別したときに右側のマーカ操作機構40を介して右マーカ20の下降操作を行うものであるが、この操作は、操作者が明確に意図して、通常とは異なる操作を行おうとするものであるから、前述のような他物と接触して損傷する虞を回避しながらの操作が可能である。
つまり、ステップ#42での判断により、マーカ下降指令手段60bの操作が定常操作であると判断されれば、ステップ#43に示すように右マーカ20を上昇操作し、この時点では左マーカ20に対する下降指令は出力されない。
前記ステップ#42で非定常状態を判別すると、左側のマーカ操作機構40を介して左マーカ20の下降操作を行うものであるが、この操作は、操作者が明確に意図して、通常とは異なる操作を行おうとするものであるから、前述のような他物と接触して損傷する虞を回避しながらの操作が可能である。
ステップ#35,#36,#40,#41、及びステップ#56に示すように、マーカ記憶手段78による記憶マーカ操作状態とは異なるマーカ操作指令がマーカ下降指令手段60bから出力されていると判断し、かつ、マーカ下降指令手段60bから左マーカ下降指令も右マーカ下降指令も出力されていないと判断すると、左右のマーカ操作機構40がマーカ20を上昇格納姿勢に操作するように左右の電動モータ42を上昇側に操作するとともに、マーカランプ74が点滅してマーカ下降指令手段60bから左マーカ下降指令も右マーカ下降指令も出力されていないことを報知するように、マーカランプ74を点滅操作する。
マーカ記憶手段78による記憶マーカ操作状態とは異なるマーカ操作指令が、マーカ下降指令手段60bから出力されていると判断した場合には、苗植付け装置10が下降操作されたと判断し、かつ、マーカ下降指令手段60bからの指令が右マーカ下降指令であると、ステップ#46〜#49に示すように左右のマーカ20を昇降操作する。
そして、このステップ#47での判断により、マーカ下降指令手段60bの操作が定常操作であると判断されれば、ステップ#48に示すように右側のマーカ操作機構40が右マーカ20を下降操作し、この時点では左マーカ20に対する上昇指令は出力されない。
つまり、ステップ#51での判断により、マーカ下降指令手段60bの操作が定常操作であると判断されれば、ステップ#52に示すように左マーカ20を下降操作し、この時点では右マーカ20に対する上昇指令は出力されない。
前記ステップ#47,#51で非定常操作を判別すると、ステップ#49,#53で左側及び右側のマーカ操作機構40を介して左右のマーカ20の上昇操作を行うものであるが、この操作は、操作者が明確に意図して、通常とは異なる操作を行おうとするものであるから、他物と接触して損傷する虞を回避しながらの操作が可能である。
ステップ#45,#46,#50,#54、及びステップ#56に示すように、マーカ記憶手段78による記憶マーカ操作状態とは異なるマーカ操作指令がマーカ下降指令手段60bから出力されていると判断し、かつ、マーカ下降指令手段60bから左マーカ下降指令も右マーカ下降指令も出力されていないと判断すると、左右のマーカ操作機構40がマーカ20を上昇格納姿勢に操作するように左右の電動モータ42を上昇側に操作するとともに、マーカランプ74が点滅してマーカ下降指令手段60bから左マーカ下降指令も右マーカ下降指令も出力されていないことを報知するように、マーカランプ74を点滅操作する。
同様にステップ#35において、マーカ記憶手段78による記憶マーカ操作状態とは異なるマーカ操作指令がマーカ下降指令手段60bから出力されていないと判断した場合、ステップ#60,#61に示すように、マーカ記憶手段78による記憶マーカ操作状態が左マーカ20を下降させる操作状態であると判断すると、左側のマーカ操作機構40は作動せず、右側のマーカ操作機構40が右マーカ20を上昇格納姿勢に操作するように右電動モータ42を上昇側に操作する。
また、ステップ#35において、マーカ記憶手段78による記憶マーカ操作状態とは異なるマーカ操作指令がマーカ下降指令手段60bから出力されていないと判断した場合、ステップ#58,#60,#62に示すように、マーカ記憶手段78による記憶マーカ操作状態が左マーカ20も右マーカ20も上昇させる操作状態であると判断すると、左右のマーカ操作機構40がマーカ20を上昇格納姿勢に切り換え操作するように左右の電動モータ42を上昇側に操作するとともに、マーカランプ74が点滅して制御装置54がマーカ記憶手段78による記憶マーカ操作状態に基いて左電動モータ42も右電動モータ42も下降側に駆動操作する状態にないことを報知するように、マーカランプ74を点滅操作する。
つまり、メインスイッチ70がオフからオンに切り換えられた場合、左右のマーカ20がメインスイッチ切り時点にあった下降使用姿勢又は上昇格納姿勢に操作されるように、マーカ記憶手段78による記憶情報に基いて左右の電動モータ42を操作する。
同様にステップ#35において、マーカ記憶手段78による記憶マーカ操作状態とは異なるマーカ操作指令がマーカ下降指令手段60bから出力されていないと判断した場合、ステップ#65,#66に示すように、マーカ記憶手段78による記憶マーカ操作状態が左マーカ20を下降させる操作状態であると判断すると、左側のマーカ操作機構40が左マーカ20を下降使用姿勢に操作するように左電動モータ42を下降側に操作する。
また、ステップ#35において、マーカ記憶手段78による記憶マーカ操作状態とは異なるマーカ操作指令がマーカ下降指令手段60bから出力されていないと判断した場合、ステップ#63,#65,#67に示すように、マーカ記憶手段78による記憶マーカ操作状態が左マーカ20も右マーカ20も上昇させる操作状態であると判断すると、左右のマーカ操作機構40がマーカ20を上昇格納姿勢に切り換え操作するように左右の電動モータ42を上昇側に操作するとともに、マーカランプ74が点滅して制御装置54がマーカ記憶手段78による記憶マーカ操作状態に基いて左電動モータ42も右電動モータ42も下降側に駆動操作する状態にないことを報知するように、マーカランプ74を点滅操作する。
つまり、メインスイッチ70がオフからオンに切り換えられた場合、左右のマーカ20がメインスイッチ切り時点にあった下降使用姿勢又は上昇格納姿勢に操作されるように、マーカ記憶手段78による記憶情報に基いて左右の電動モータ42を操作する。
これに対し、操作レバー61を中立位置Nから車体前方側Fにも車体後方側Rにも操作しなくて左マーカ下降指令も右マーカ下降指令も出力していなければ、マーカ下降指令手段60bからの情報と上限センサ69からの情報を基に制御装置54がマーカランプ74を点滅作動させ、マーカ20を出すための操作が未だ行なわれていないことがマーカランプ74の点滅によって報知される。
上述の実施の形態では、苗植付け装置10が、上限位置ではない所定高さ位置を基準にして、その所定高さ位置以上の高さに位置している状態で、非定常操作が行われることより、定常操作で牽制していた操作を行えるようにしたものであるが、苗植付け装置10が上限位置に位置している場合をも含めて非定常操作を行うことで、定常操作で牽制していた操作を行えるようにしてもよい。
実施の形態では、苗植付け装置10が、上限位置ではない所定高さ位置を基準にして、その所定高さ位置以上の高さに位置している状態で、非定常操作が行われることより、定常操作で牽制していた操作を行えるようにしたものであるが、これに代えて、苗植付け装置10の上限位置を基準にして、その上限位置に苗植付け装置10が位置している場合に非定常操作を行うことで、定常操作で牽制していた操作を行えるようにしてもよい。
実施の形態では、苗植付け装置10が、上限位置ではない所定高さ位置を基準にして、その所定高さ位置以上の高さに位置している状態で、非定常操作が行われることより、定常操作で牽制していた操作を行えるようにしたものであるが、これに代えて、苗植付け装置10が昇降動作中であるか否かを検出して、動作中であるときに非定常操作を行うと、定常操作で牽制していた操作を行えるようにしてもよい。
図12に示すように、マーカ20としては、基端側マーカアーム23aの先端部に、先端側マーカアーム23bを前後向きの枢支軸芯P3周りで揺動自在に枢着し、この先端側マーカアーム23bにマーカ輪体25を転動自在に支持して構成するとともに、その先端側マーカアーム23bを、前記基端側マーカアーム23aの先端部に一体に設けた板状突片に摺接する状態で前記枢支軸芯P3周りで回動可能に装着した揺動板片24aと、その揺動板片24aに対して一体的に固定した棒状の輪体支持部材24bとからして、前記マーカ輪体25は前記棒状の輪体支持部材24bに支持させている。
そして、このマーカ20は、機枠フレーム15と前記先端側マーカアーム23bとにわたってリンク部材23dを架設し、機枠フレーム15に対する基端側マーカアーム23aの前後向きの揺動支点P1と、機枠フレーム15に対する前記リンク部材23dの前後向きの連結点P2と、基端側マーカアーム23aに対する先端側マーカアーム23bの前後向きの枢支軸芯P3と、前記リンク部材23dに対する揺動板片24aの前後向きの連結点P4とで、平行4連リンク機構を構成し、基端側マーカアーム23aが起伏揺動する範囲の全体で、先端側マーカアーム23b、及びマーカ輪体25が、常に鉛直下方に向く姿勢で移動できるように構成してある。
このように構成すれば、マーカ輪体25の回転面に沿う方向で泥の飛散が生じ易い傾向があっても、マーカ20の起伏動作中、マーカ輪体25の回転面に沿う泥の飛散方向が操縦者のいる機体内方側へ向く状態とはならないので、操縦者側への泥の飛散を避けやすいという利点がある。
尚、前記リンク部材23dを用いたリンク機構は、必ずしも平行四連リンク機構である必要はなく、前記マーカ輪体25の移動中の姿勢を大きく変化させない程度の不等辺四連リンク機構など、泥の飛散を避け得る機能を損なわない範囲での各種構造のものを採用してもよい。
その他の構造は、上述の各種実施形態と同様である。
上記〔別実施形態の4〕で説明したように、マーカ20の起伏に伴ってマーカ輪体25の基端側マーカアーム23aに対する姿勢を変化させることは、例えば図13(イ),(ロ)に示すような構造を採用してもよい。
すなわち、基端側マーカアーム23aの先端部に、前後向き軸芯P5周りで回動自在なU字状の支持金具81を装着し、この支持金具81の下端部に前記前後向き軸芯P5とは直交する方向の左右向き横軸芯まわりで回動自在なマーカ輪体25を装着するとともに、前記基端側マーカアーム23aに対する支持金具81の相対姿勢を、マーカ20の格納姿勢と、マーカ20の下降使用姿勢との夫々で接当する当たり部81a,81bを備えて構成されたものである。
その他の構造は、上述の各種実施形態と同様である。
さらにまた、マーカ20の起伏に伴ってマーカ輪体25の基端側マーカアーム23aに対する姿勢を変化させることは、例えば図14または図15に示すような構造を採用してもよい。
この構造のうち、図14に示す構造は、基端側マーカアーム23aの先端部に対して、先端側マーカアーム23bの基端部を前後向きの軸芯P6で揺動自在に枢支連結し、その先端側マーカアーム23bの一部に連結したマーカケーブル82を、専用の電動モータ83を用いて引き操作自在に構成し、引き操作によって先端側マーカアーム23bを基端側マーカアーム23aに対して屈折した姿勢とすることで、格納姿勢のマーカ輪体25が回転面を鉛直方向に向けた姿勢となるように操作し、電動モータ83でマーカケーブル82を緩めると復帰バネ84で元の直線状に復帰させて下降作用姿勢とする構造である。
また、図15に示す構造は、基端側マーカアーム23aの先端部に対して、先端側マーカアーム23bの基端部を前後向きの軸芯P6で揺動自在に枢支連結し、その先端側マーカアーム23bの一部に連結したマーカケーブル82を、機枠フレーム15の固定部P7に連結して、基端側マーカアーム23aが機枠フレーム15の揺動支点P1周りで上昇揺動すると、その揺動に伴ってマーカケーブル82を引き操作し、先端側マーカアーム23bを基端側マーカアーム23aに対して屈折した姿勢とすることで、格納姿勢のマーカ輪体25が回転面を鉛直方向に向けた姿勢となるように操作し、基端側マーカアーム23aが下降揺動するに伴って前記マーカケーブル82を緩めて復帰バネ84で元の直線状に復帰させることにより下降作用姿勢とする構造である。
図16(イ)に示すように、マーカ20を下降揺動する際に、人や畦、立木などの障害物に接触してマーカ20に下降使用姿勢に達しないままで下降駆動が所定時間以上続くと、このことをマーカ20の一部に設けた歪みセンサなどを用いた過負荷センサ20eで検出して、駆動用の電動モータ42の駆動を一時停止、若しくは所定量逆転駆動させるように構成するとよい。
また、図16(ロ)に示すように、マーカ20を上昇揺動する際に、人や立木、あるいは多量の夾雑物に引っかかるなど、各種の障害物に接触してマーカ20に下降使用姿勢に達しないままで上昇駆動が所定時間以上続くと、このことをマーカ20の一部に設けた歪みセンサなどを用いた過負荷センサ20eで検出して、駆動用の電動モータ42の駆動を一時停止、若しくは所定量逆転駆動させるように構成するとよい。
図17に示すように、ポンパレバーとは別に、主変速レバー77の一部に、主変速レバー77を握ったままで、苗植付け装置10の上昇のみを行うための操作ボタン77Aを配備してもよい。このように上昇ボタンを設けると、例えば、右手で操縦ハンドルを握り、左手で主変速レバー77を握りながら機体を移動させている途中で、急に障害物を避けるためなどに植付部を緊急上昇操作したい場合、ハンドルを握っていた右手を離してポンパレバーの位置を捜す必要なく、主変速レバー77を握ったままの左手で操作ボタン77Aによる上昇操作を行うことができるので、緊急操作を行い易い利点がある。
そして、そのための手段として用いられる操作ボタン77Aは、下降操作までをも行うものではないので、誤操作で苗植付け装置10を下降させて損傷するような虞もない。
[1]本発明は田植機の他、水田直播機などにも適用できるのであり、これら田植機、直播機などを総称して水田作業機と呼称する。
[2]植播系作業装置の所定の高さ位置としては、常に一定の高さ位置であるものに限らず、上昇行程と下降行程とで所定高さが異なる高さであるように設定してもよい。
[3]人為操作具の非定常操作としては、実施形態で説明したように、定常操作と同じ操作を意識的に長く続ける、所謂「長押し」の操作に限らず、定常操作と同じ操作を所定時間内で2度、もしくは3度などの所定回数を繰り返し操作することで、非定常操作と認識できるようにしてもよい。
[4]マーカ20としては、マーカ輪体25を用いた回転式のものに限らず、棒状の線引きマーカでもよい。
10 苗植付け装置(植播系作業装置)
20 マーカ
40 マーカ操作機構
41A 過負荷緩衝部
42 電動モータ
54 制御装置
61 操作レバー(人為操作具)
64,65 指令スイッチ
Claims (5)
- 播種または苗植付けを行う植播系作業装置を、走行機体に対してリンク機構を介して昇降操作自在に装備し、その植播系作業装置に、下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに姿勢切り換え自在なマーカと、このマーカの姿勢切り換えを電動モータの駆動で行うマーカ操作機構とを備えた水田作業機であって、
前記リンク機構の姿勢変化を検出して前記植播系作業装置の高さ位置を検出する高さ位置検出手段と、前記マーカ操作機構に対して前記電動モータの作動を制御する制御指令を出力する制御装置と、この制御装置に対してマーカの姿勢切り換え指令を入力する人為操作具とを備え、
前記制御装置は、前記高さ位置検出手段からの検出に基づいて前記植播系作業装置が上限高さよりも低い高さに予め設定された所定高さ以上の高さ位置に存在すると判別される場合には、前記人為操作具によってマーカの下降使用姿勢側への姿勢切り換え指令が入力されても、前記制御装置から前記マーカ操作機構へのマーカ下降指令が出力されることを牽制し、前記高さ位置検出手段からの検出に基づいて前記植播系作業装置が前記所定高さよりも低位に存在すると判別される場合には、前記人為操作具によってマーカの下降使用姿勢側への姿勢切り換え指令が入力されると、前記制御装置から前記マーカ操作機構へのマーカ下降指令が出力されることを許容するように構成してある水田作業機。 - 播種または苗植付けを行う植播系作業装置を、走行機体に対して昇降操作自在に装備し、その植播系作業装置に、下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに姿勢切り換え自在なマーカを備えた水田作業機であって、
前記植播系作業装置の高さ位置を判別する高さ位置判別手段を備えるとともに、前記マーカの姿勢切り換えを電動モータの駆動で行うマーカ操作機構と、このマーカ操作機構に対して前記電動モータの作動を制御する制御指令を出力する制御装置と、この制御装置に対してマーカの姿勢切り換え指令を入力する人為操作具とを備え、
前記制御装置は、前記植播系作業装置が予め設定された所定高さよりも低い高さ位置に存在している状態では、前記植播系作業装置の上昇に拘わらず前記制御装置から前記マーカ操作機構へのマーカ格納指令が出力されることを牽制し、前記所定高さよりも高い位置に前記植播系作業装置が存在している状態では、前記制御装置から前記マーカ操作機構へのマーカ格納指令が出力されることを許容するように構成してある水田作業機。 - 前記人為操作具の揺動操作を検出する指令スイッチを備え、
前記制御装置は、前記人為操作具の揺動操作により前記指令スイッチが所定時間よりも短い時間を検出すると定常操作であると判別して前記制御装置から前記マーカ操作機構への制御指令が出力されることを牽制し、前記人為操作具の揺動操作により前記指令スイッチが前記所定時間よりも長い時間を検出すると非定常操作であると判別して牽制を解除し前記制御装置から前記マーカ操作機構への制御指令を出力するように構成してある請求項1又は2記載の水田作業機。 - 前記人為操作具の揺動操作を検出する指令スイッチを備え、
前記制御装置は、前記指令スイッチにより前記人為操作具が所定時間内に一回揺動操作されたことが検出されると定常操作であると判別して前記制御装置から前記マーカ操作機構への制御指令が出力されることを牽制し、前記指令スイッチにより前記人為操作具が前記所定時間内に複数回繰り返し揺動操作されたことが検出されると非定常操作であると判別して牽制を解除し前記制御装置から前記マーカ操作機構への制御指令を出力するように構成してある請求項1又は2記載の水田作業機。 - 前記マーカ操作機構中に過負荷緩衝部を設けた請求項1〜4のいずれか一項記載の水田作業機。
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