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JP4699757B2 - 水性二相系でのプラスミドの回収 - Google Patents

水性二相系でのプラスミドの回収 Download PDF

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JP4699757B2 JP2004532487A JP2004532487A JP4699757B2 JP 4699757 B2 JP4699757 B2 JP 4699757B2 JP 2004532487 A JP2004532487 A JP 2004532487A JP 2004532487 A JP2004532487 A JP 2004532487A JP 4699757 B2 JP4699757 B2 JP 4699757B2
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Description

本発明は、水性二相系でのプラスミドDNAの精製方法に関する。本発明はまた、水性二相系での細胞ライセートからのプラスミドDNAの精製のためのキットを包含する。加えて、本発明は、細胞ライセートからのプラスミドDNAの精製のための幾種類かのポリマーの二相系での用法に関する。
集団内で遺伝的変異性を維持する方法の一つに、組換えすなわち異なるDNA分子間で遺伝情報を交換して遺伝子を再編する方法によるものがある。遣伝子工学分野で組換えを行なうためには、通常ベクターが用いられる。最も広く用いられているベクターは、微小な遺伝要素であるDNAプラスミドであり、微生物が付加的遺伝情報を蓄積することを可能にする。
プラスミドは今日、多くのバイオテクノロジー応用で有用な要素となっている。例えば、医療及び診断の分野では、元の細胞に発現していないタンパク質を暗号化した遺伝子を担持したプラスミドを用いて、細胞の遣伝子工学が行なわれている。
ベクターとしてのプラスミドのもう一つの用途は、今後10年間で最も急速に発展する領域の一つと予想される遺伝子療法分野におけるものである。遺伝子療法は、ヒトの細胞に核酸を導入して、例えば嚢胞性繊維症のような遺伝子欠損を治す治療手法である。体外手法を用いた最初のヒト遺伝子療法試験は1990年に開始された。この研究方法では、患者の細胞を採取して実験室で培養し、次いでベクターと共にインキュベートすることにより治療遺伝子を導入する。さらに近年では、生体内遺伝子療法に基づく遺伝子送達方法であって、ウィルスを直接患者に投与する方法が代替として提案されているが、遺伝子療法におけるプラスミドの重要性は不変である。
このように、バイオテクノロジー応用での利用増加によって大量のプラスミドDNAの需要が生じている。この目的のためには、純度及び定量性についての仕様に適合し得る効率的な大規模精製方法が必要とされる。現在、タンパク質のように約10nmの比較的小さい分子については多くの精製方法がある。しかしながら、100nm以上の大きさを有する比較的大きいDNAプラスミドについては、利用可能な精製方法は遥かに少ない。
従来、プラスミドDNAの製造は、発酵、一次精製、及び高分離能での分離を含んでいる。近年、プラスミドDNAの精製方法としてクロマトグラフィを用いた数多くの方法が提案されている。しかしながら、プラスミドDNAの単一の精製手法として単独でクロマトグラフィを用いると、拡散が遅い、マトリクス容量が小さい、大きなプラスミドが剪断される、及びプラスミドが高塩濃度で回収されるといった幾つかの欠点を伴う。従って、クロマトグラフィの前に、一次精製ステップを設ける必要がある。
プラスミドDNAの精製に二相系を用いることが提案されている。水性二相系は極く穏やかで、プラスミド精製の一次回収ステップとして用いられる大きな可能性を示している。プラスミドDNAは現在しばしば大腸菌(Escherichia coli)内で生成されているので、細菌細胞からプラスミドDNAを放出するためのアルカリ溶菌のステップを要する。アルカリ溶菌ステップでは、RNA、ゲノムDNA、タンパク質、細胞及び細胞残渣のような幾種類かの混入物質が放出される。Ribeiro et al.(S.C.Ribeiro et al:Isolation of Plasmid DNA from Cell Lysates by Aqueous Two−Phase Systems,2002,Wiley Periodicals)は、ポリエチレングリコール(PEG)及び塩から成る水性二相系でプラスミドDNAを単離し得ることを示している。PEGはエチレンオキシド基から成る線状ポリマーである。このポリマーは水溶性であり、一定の塩濃度ではPEG及び塩から成る二相系が得られる。PEGポリマーは濾過又は透析によって除去することができるが、これによりしばしば収率が低下する。この方法のもう一つの欠点は、PEGが比較的高価な薬品であることで、大規模工程では重大な問題となる。さらに、この方法で得られるプラスミドDNAは高塩濃度の環境に存在しており、これは遺伝子療法等の応用では不都合である。
代替的な二相系は、温度誘導による相分離によって系が生成されるという点でPEG/塩系と異なっている。さらに明確に述べると、このことは熱分離性(thermoseparating)ポリマーが用いられることを意味し、すなわち温度が曇り点(CP)を超えた点まで上昇するとポリマー溶液が二つの相に分離する。上述のPEGポリマーは実際に熱分離性ポリマーとして利用することができるが、曇り点が10%水溶液で111.7℃と高いため、PEG系は壊れ易い生体物質の分離には極めて不適当である。酵素のような幾種類かのタンパク質の分配及び水溶性ステロイドについての熱分離性二相系が提案されている。
さらに明確に述べると、P.A.Harris et al:Enzyme purification using temperature−induced phase formation,Bioseparation 2:237?246,1991は、水性二相系でのパン酵母の細胞ホモジェネートからの酵素3−ホスホグリセリン酸キナーゼ及びヘキソキナーゼの精製を開示している。用いられている系は、UCON50−HB−5110として公知であるエチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)のランダム共重合体と、デキストラン又はヒドロキシプロピルデンプンとを含む。EO−PO共重合体の曇り点はPEGよりも遥かに低く、すなわち50℃である。
さらに、Patricia A.Alred et al:Partitioning of ectdysteroids using temperature−induced phase separation,Journal of Chromatography,628(1993)205?214は、熱分離によって水性二相系でエクジステロイドのα−エクジソン及びβ−エクジソンを分配する研究を開示している。この系は上述と同じ成分すなわちエチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体UCON50−HB−5110及びデキストランを含む。回収されたエクジステロイドがそれぞれ73.6%及び85.6%と高水準であるため、かかる系はエクジステロイドの分析又は製造手法として提案されている。
最後に、Persson et al:Purification of recombinant apolipoprotein A−1 expressed in Escherichia coli using aqueous two−phase extraction followed by temperature−induced phase separation,Journal of Chromatography B,711(1998)97−109は、エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体及びヒドロキシプロピルデンプンを含む水性二相系での組換えアポリポタンパク質A1の精製方法を記載している。このポリマー系は、臨界点を超えて加熱されると、水に富んだ1相とポリマーに富んだ1相とに分離するという意味で熱分離性である。アポリポタンパク質は上側のEO−PO共重合体相に分配され、混入タンパク質及びDNAは下相に分配され得ることが示された。
S.C.Ribeiro et al:Isolation of Plasmid DNA from Cell Lysates by Aqueous Two−Phase Systems,2002,Wiley Periodicals P.A.Harris et al:Enzyme purification using temperature−induced phase formation,Bioseparation 2:237−246,1991 Patricia A.Alred et al:Partitioning of ectdysteroids using temperature−induced phase separation,Journal of Chromatography,628(1993)205−214 Persson et al:Purification of recombinant apolipoprotein A−1 expressed in Escherichia coli using aqueous two−phase extraction followed by temperature−induced phase separation,Journal of Chromatography B,711(1998)97−109
要約すると、細胞ライセートからのプラスミドDNAの改良された精製方法が依然必要とされている。
本発明の目的は、従来技術の以上に述べた欠点の一つ又は複数を回避したプラスミドDNAの精製方法を提供することにある。この目的は、請求項1記載の方法によって達成することができる。
従って、本発明の一つの目的は、プラスミド精製の一次ステップとして有用な方法を提供することにある。
特定的な目的は、従来技術の方法と比較して塩濃度の低い生成物を得る水性二相系でのプラスミドDNAの精製方法を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、細胞ライセート内のRNA、並びにタンパク質及びゲノムDNAのような他の不純物からプラスミドDNAを分離することが可能な方法を提供することにある。
本発明のさらにもう一つの目的は、熱分離性ポリマーを含む水性二相系での細胞ライセートからのプラスミドDNAの分離に有用なキットを提供することにある。
本発明の他の観点及び利点は、以下の本発明の詳細な説明及び実験部分から明らかとなろう。
(定義)
「生物学的溶液」との用語は、通常は細胞残渣、タンパク質、RNAのような望ましくない混入成分と共にプラスミドDNAを含んだ任意の溶液を包括的に指す。
本発明の第一の観点は、水性二相系でのプラスミドDNAの精製方法であり、この方法は、
(a)逆溶解性を呈する第一のポリマー、第一のポリマーと非混和性の第二のポリマー、及び適宜塩を含む組成物を提供するステップと、
(b)この溶液をプラスミドDNAを含む水溶液と接触させるステップと、
(c)相分離を行ない、続いて水相を単離するステップと、
(d)単離した相の温度を、第一のポリマーの曇り点よりも高くプラスミドDNAが劣化する温度よりも低い温度まで上昇させ、続いてこれにより形成される水相を単離するステップと、適宜
(e)単離された上相からプラスミドDNAを回収するためのクロマトグラフィのステップと、
を備える。
このように、本方法で用いられる第一のポリマーと第二のポリマーと非混和性である。さらに明確に述べると、一方のポリマーは本質的に親水性であり、他方のポリマーは相対的に疎水性であるが依然として水溶性でありすなわち両親媒性であるものとする。当業者であれば理解されるように、第一及び第二のポリマーの濃度は、少なくとも2相への相分離を生ずるのに十分に高いものとする。
このように、第一のポリマーは両親媒性で水溶性であり、プラスミドDNAとの相互作用が可能である。これにより、プラスミドDNAは相対的に疎水性である相に抽出され、これにより、タンパク質、細胞、細胞残渣のような相対的に親水性である混入物質から分離される。「逆溶解性」との用語は、ポリマーの溶解度が溶液温度とは反対に変化することを意味し、さらに明確に述べると、ポリマーの溶解度が溶液温度の上昇と共に低下することを意味する。従って、逆溶解性は、殆どの溶質が呈する温度効果と正反対である。ここでは、第一のポリマーを指すのに「熱分離性(thermoseparating)」との用語も用いられる。非常に驚くべきことに、本発明者はまた、本発明による方法を用いてプラスミドDNAをゲノムDNA及びRNAから分離し得ることを明らかにした。実際に、本発明は、水性二相系での抽出後に、ポリマーを含まない水溶液内でプラスミドDNAを得ることができることを初めて示している。
逆溶解性を呈する第一のポリマーとして有用な適当なポリマーの例は、例えばI.Y.Galaev et al.,Enzyme Microb.Tech.,vol.15(1993),pp.354−366にある。さらに明確に述べると、一実施形態では、第一のポリマーは、疎水性に改質したポリアルキレングリコールのようなポリアルキレングリコール、ポリ(オキシアルキレン)ポリマー、疎水性に改質したポリ(オキシアルキレン)共重合体のようなポリ(オキシアルキレン)共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルメチルエーテル、アルコキシル化界面活性剤、アルコキシル化デンプン、アルコキシル化セルロース、アルキルヒドロキシルアルキルセルロース、シリコーンで改質したポリエーテル、及びポリN−イソプロピルアクリルアミド、並びにこれらの共重合体から成る群から選択される。以上に述べた例の誘導体及び混合物も本発明の範囲内に含まれる。また、国際公開第98/11140号(Pharmacia&Upjohn AB)には、本方法に有用な適当な熱分離性ポリマーについてのさらに詳細な記載がある。本方法の有利な実施形態では、第一のポリマーは、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドで構成される共重合体である。好適実施形態では、この共重合体は約50%のエチレンオキシド及び約50%のプロピレンオキシドで構成される。この種のポリマーは市販されており、例えばBreox PAG50A1000(英国サウサンプトン、Laporte Performance Polymers)等がある。
水溶液での第一のポリマーの濃度は、水溶液の全重量の約0.5重量%から約30重量%までであってよく、好ましくは約3重量%〜20重量%の範囲内、さらに好ましくは約4重量%〜15重量%の範囲内、最も好ましくは約4.5重量%である。
第二のポリマーは上述のように第一のポリマーよりも疎水性が小さく、且つ水溶性である。この第二の親水性ポリマーの分子量は、10,000〜5,000,000のように約3,000〜5,000,000であってよく、好ましくは40,000〜500,000である。本方法の有利な実施形態では、第二のポリマーは、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルデンプン、デンプン、デキストラン、プルラン、並びにこれらの誘導体及び混合物から成る群から選択される。この種のポリマーも市販されており、例えばデキストラン500T(Amersham Biosciences AB、スウェーデン、ウプサラ)等がある。水溶液での第二のポリマーの濃度は、水溶液の全重量の約1重量%から約30重量%までであってよく、好ましくは約3重量%〜20重量%の範囲内、さらに好ましくは約4重量%〜15重量%の範囲内、最も好ましくは約4.5重量%である。
本発明はまた、3種以上のポリマーの利用を包含する。このような多相分離は、当業者が、3種以上のポリマーの適当な組み合わせ、及び水溶液と接触するときの十分な高濃度を選択することにより、設計することができる。
当業者には認められるように、水溶液すなわち一次系でのプラスミドDNA濃度はその起源に依存する。例えば、水溶液が細胞ライセートである場合には、開始材料でのプラスミドDNA濃度は生成宿主に依存する。一次系でのプラスミドDNA濃度は典型的には0.1μg/mL〜500μg/mLである。
以上から明らかなように、本発明による方法の一実施形態では、第一のポリマーの量と第二のポリマーの量との重量比は約1:1である。本方法の有利な実施形態では、第一のポリマーの量はステップ(a)で提供される組成物の4.5%(w/w)であり、第二のポリマーの量はステップ(a)で提供される組成物の4.5%(w/w)である。上相へのさらに徹底した分配が望まれる場合は、この実施形態が特に有利である。
プラスミドDNAの疎水性相への分配は、疎水性陽イオン、又は代替的には親水性陰イオンを有する化合物を水溶液に加えることにより強化することができる。適当な化合物としては、直鎖状又は分岐状のトリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム及びテトラブチルアンモニウムのような陽イオンと、リン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物及び炭酸水素塩のような陰イオンとを含んだ無機塩がある。特定的な例は硫酸トリエチルアンモニウム及びリン酸ナトリウムである。疎水性陽イオン又は親水性陰イオンを有する化合物の濃度は、高い分配効果が得られるように選択すると同時にプラスミドDNAの沈澱を回避するものとする。
二相系の各相の間での分子の分配は、次式で定義される分配係数Kによって記述される。
K=C/C (1)
式中、Cは関心のある分子の上相での濃度、Cは関心のある分子の下相での濃度である。
二相系の各相の間での分子の分配は、相図に示すことができ、ここで第一の相と第二の相との間の境界線はバイノーダル曲線(binodial curve)と呼ばれる。互いに平衡した二つの相のポリマー濃度は、相図の接続線によって記述される。ポリマー濃度が上昇するすなわち接続線の長さが増すと、二相系での分配がさらに徹底する(G.Johansson,Methods in Enzymology,vol.228(1994)pp.28−42)。当業者は、2相間の適当な分配の条件に達するための実験を容易に実行することができる。
本方法の一実施形態では、プラスミドDNAを含む水溶液は細胞ライセートであって、この方法は、ステップ(b)の前に細胞ライセートを脱塩するステップを含む。
ステップ(b)の接触の後に、プラスミドDNAは疎水性相に分配される。上述のように、この分配は、塩のような化合物を加えることにより強化され得る。周知のように、塩を添加すると第一のポリマーの曇り温度も低下するので、この場合にはステップ(d)で行なわれる相分離でさらに低い温度を用いることができる。本方法の最も簡便な実施形態では、ステップ(b)による混合及びステップ(c)による分配は室温で実行される。この1回目の相分離から、第一のポリマーと水内のプラスミドDNAとを含む上相が得られると共に、第二のポリマーと水との中に混入RNA及びタンパク質を含む下相が得られる。
ステップ(c)で、プラスミドDNAを含む上相を別の容器に単離する。本方法のこの2回目の相分離では、単離した相を熱分離性ポリマーの曇り点を超える温度まで加熱し、この曇り点は上述のようにサンプル内の塩濃度に依存する。しかしながら、好適実施形態では、温度は好ましくは水浴内で、約50℃のように約40℃よりも高温に上昇させる。加熱すると相分離が生じ、上相はプラスミドDNAを含み、下相はポリマーを含む。このようにして、上相のポリマー含有量はポリマー1%未満であることが判明したので、プラスミドDNAは本質的にポリマーを含まない水相で得られる。加えて、プラスミドDNAが得られる溶液の塩濃度を、プラスミドDNAを塩析する従来技術で提案されている方法よりも遥かに低くすることができる。
従って、本発明による方法で得られた製品は、遺伝子療法のように高純度を要件とする応用では、従来技術の製品よりも有利である。水性二相系は、分配が本質的に系の規模と無関係であるため、一連のクロマトグラフィのステップのような他の方法に比べてスケールアップが容易であることが公知である。
この第一の観点の最後の実施形態は、ライセートからのプラスミドDNAの精製方法であり、この方法は、ライセートを脱塩する第一のステップと、上述の方法を含む回収のための第二のステップと、プラスミドDNAの最終精製のための最後のクロマトグラフィのステップとを含んでいる。脱塩は任意の適当な方法で実行することができる。一実施形態では、脱塩は、ゲル濾過、透析濾過及び限外濾過から成る群から選択される方法によって実行される。
本発明の第二の観点は、水性二相系でのプラスミドDNA抽出のための組成物であり、この組成物は、約60℃未満の温度で逆溶解性を呈する第一のポリマー、第一のポリマーと非混和性の第二のポリマー、及び適宜塩を含む。第一及び第二のポリマーは、本発明による方法に関連して上述したものと同様である。
本組成物の一実施形態では、第一のポリマーの量は4.5%(w/w)及び第二のポリマーの量は4.5%(w/w)である。
好適実施形態では、本組成物は、本発明による方法を用いる分離のためのものである。
本発明の第三の観点は、水性二相系での細胞ライセートからのプラスミドDNAの精製のためのキットであり、このキットは、約60℃未満の温度で逆溶解性を呈する第一のポリマー、第一のポリマーと非混和性の第二のポリマー、及び適宜塩を一区画に含み、またこれらの取扱説明書を含む。
第一のポリマーは上述の通りである。本キットの有利な実施形態では、第一のポリマーはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドで構成される。有利な実施形態では、この共重合体は約50%のエチレンオキシド及び約50%のプロピレンオキシドで構成される。かかる共重合体は上で詳述したものと同様である。
本キットの有利な実施形態では、第二のポリマーは、本発明による方法に関連して上でさらに詳細に述べたように、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルデンプン、デンプン、デキストラン、プルラン、並びにこれらの誘導体及び混合物から成る群から選択される。
本キットの特定的な実施形態では、第一のポリマーの量と第二のポリマーの量との重量比は約1:1である。
本キットの好適実施形態では、第一のポリマーの量は4.5%(w/w)であり、第二のポリマーの量は4.5%(w/w)である。
好適実施形態では、本キットは、プラスミドDNAを含む水溶液と混合する前に既に脱塩されている細胞ライセートの精製のためのものである。
有利な実施形態では、本キットは、本発明による方法に用いられる。
本発明の第四の観点は、細胞ライセートからのプラスミドDNAの精製のための約60℃未満の温度で逆溶解性を呈するポリマーの水性二相系での用法である。
第一のポリマーは上述の通りである。有利な実施形態では、このポリマーはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの共重合体である。好適実施形態では、この共重合体は約50%のエチレンオキシド及び約50%のプロピレンオキシドで構成される。
二相系を得るために、このポリマーは、このポリマーと非混和性の第二のポリマーと共に用いられる。好適実施形態では、第二のポリマーは、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルデンプン、デンプン、デキストラン、プルラン、並びにこれらの誘導体及び混合物から成る群から選択される。最も好適な実施形態では、第二のポリマーはデキストランである。しかしながら、第二のポリマーは、本発明による方法に関連して上述したものと同様であってもよい。
最後に、本発明はまた、細胞ライセートからのプラスミドDNAの精製のためのヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルデンプン、デンプン、デキストラン、プルラン、並びにこれらの誘導体及び混合物から成る群から選択されるポリマーの水性二相系での用法を包含しており、精製は温度誘導による相分離によって達せられる。
〔図面の詳細な説明〕
図1は、本発明による系でのプラスミドDNA精製の模式図であって、熱分離性ポリマーはEO50PO50であり、第二のポリマーはデキストランT500(Amersham Biosciences AB、スウェーデン、ウプサラ)である。第一の系では、様々な形態のプラスミドDNAが上相に分配される。次いで、上相を新たな容器に単離して、曇り点(CP)よりも高い温度まで加熱する。新たな二相系が得られ、プラスミドDNAはポリマーを含まない水相に回収される。
図2は、本発明による熱分離性EO50PO50/デキストランT500及び50mM NaHPOの上相及び下相のアガロースゲル分析を示している。各々のレーンに容積12μLの量のサンプルを加えた。アガロースゲルを臭化エチジウムで染色した。さらに明確に述べると、レーン1はブランク、レーン2は分子量マーカー、レーン3は脱塩後のアルカリ性ライセート、レーン4は熱分離後の系の下相、レーン5は熱分離後の系の下相、レーン6は下相一次系、レーン7は下相一次系、レーン8は熱分離後の上相、レーン9は熱分離後の上相、レーン10は上相一次系、レーン11は上相一次系、及びレーン12は分子量マーカーである。ここで、「一次系」との用語は、本方法のステップ(c)に従って行なわれる1回目の相分離を指し、「熱分離後の系」との用語は、本方法のステップ(d)に従って行なわれる相分離を指す。
図3は、本発明による熱分離性EO50PO50/デキストランT500及び50mM NaHPOから得られた上相及び下相のアガロースゲル分析を示している。アガロースゲルはSYBRグリーンで染色されている。各々のレーンに容積12μLを加えた。さらに明確に述べると、レーン1は熱分離後の上相の5倍希釈、レーン2は熱分離後の上相の5倍希釈、レーン3は熱分離後の上相の2倍希釈、レーン4は熱分離後の上相の2倍希釈、レーン5は熱分離後の上相の1倍希釈、レーン6は熱分離後の上相の1倍希釈、レーン7は上相一次系の5倍希釈、レーン8は上相一次系の5倍希釈、レーン9は上相一次系の2倍希釈、レーン10は上相一次系の2倍希釈、レーン11は上相一次系の1倍希釈、レーン12は上相一次系の1倍希釈、レーン13は熱分離から得られた下相の5倍希釈、レーン14は熱分離から得られた下相の2倍希釈、レーン15は熱分離から得られた下相の1倍希釈、レーン16は下相一次系の5倍希釈、レーン17は下相一次系5倍希釈、レーン18は下相一次系の2倍希釈、レーン19は下相一次系の2倍希釈、レーン20は下相一次系の1倍希釈、レーン21は下相一次系の1倍希釈、レーン22は脱塩後のアルカリ性ライセートの5倍希釈、レーン23は脱塩後のアルカリ性ライセートの2倍希釈、及びレーン24は脱塩後のアルカリ性ライセートの1倍希釈である。
図4は、本発明による熱分離性EO50PO50/デキストランT500及び50mM NaHPOのアガロースゲル分析を示している。これらの系は異なるポリマー濃度で構成されており、
4/6=4%(w/w)EO50PO50/6%(w/w)デキストランT500、
3/7=3%(w/w)EO50PO50/7%(w/w)デキストランT500、
3/8=3%(w/w)EO50PO50/8%(w/w)デキストランT500、
2.5/9=2.5%(w/w)EO50PO50/9%(w/w)デキストランT500
である。
全ての系は50mM NaHPOを含んでいる。各々のレーンに容積12μLの量のサンプルを加える。アガロースゲルを臭化エチジウムで染色する。
さらに明確に述べると、図4で、レーン1はブランク、レーン2は分子量マーカー、レーン3は脱塩後のアルカリ性ライセート、レーン4は3/7系での熱分離から得られた下相、レーン5は3/7系での一次ステップから得られた下相、レーン6は3/7系での熱分離後の上相、レーン7は3/7系での一次系から得られた上相、レーン8は4/6系での熱分離から得られた下相、レーン9は4/6系での一次系から得られた下相、レーン10は4/6系での熱分離後の上相、レーン11は4/6系での一次系から得られた上相、レーン12は分子量マーカー、レーン13はブランク、レーン14はブランク、レーン15は分子量マーカー、レーン16は2.5/9系での熱分離から得られた下相、レーン17は2.5/9系での一次系から得られた下相、レーン17は2.5/9系での一次系から得られた下相、レーン18は2.5/9系での熱分離後の上相、レーン19は2.5/9系での一次系から得られた上相、レーン20は3/8系での熱分離から得られた下相、レーン21は3/8系での一次系から得られた下相、レーン22は3/8系での熱分離後の上相、レーン23は3/8系での一次系から得られた上相、及びレーン24は分子量マーカーである。
図5は、後述の実施例2に記載されている水性二相系での透析濾過ライセートの抽出から得られた上相及び下相のアガロースゲル電気泳動(0.8%w/v)を示している。さらに明確に述べると、図5で、レーン1は熱分離後の下相、レーン2は熱分離後の上相、レーン4は下相(一次系)、レーン5は上相(一次系)、レーン7は透析濾過後のライセート(出発材料)、及びレーン9はMwマーカーである。
図6は、後述の実施例3に記載されている水性二相系での限外濾過ライセートの抽出から得られた上相及び下相のアガロースゲル電気泳動(0.8%w/v)を示している。さらに明確に述べると、図6で、レーン1は限外濾過後のライセート(出発材料)、レーン2は一次系の上相、レーン3は熱分離後の上相、レーン4は熱分離後の下相、レーン5はMwマーカーである。
以下の例は説明の目的でのみ掲げられているのであって、特許請求の範囲によって定義されている本発明の範囲を限定していると解釈されるべきではない。以下の記載及び本出願の他の部分に掲げた全ての参考文献を参照によって本明細書に援用する。
〔材料及び方法〕
(薬品)
ポリマーBreox PAG50A1000(EO50PO50)(Mr3900)は、Laporte Performance Chemicals(英国サウサンプトン)から取得され、分子量500,000のデキストランT500はAmersham Biosciences AB(スウェーデン、ウプサラ)から入手可能である。NaHPOはMerck Eurolabから取得された。JV4インサート(3.433kb)を有する高コピー数プラスミドpUC19(2.686kb)はAmersham Biosciencesから寄贈された。このプラスミドを本書では以下pJV4と呼ぶ(Vasi、1999年)。
(培養)
プラスミドpJV4は、Lauriaブロス(食塩10g/L、トリプトン10g/L及び酵母エキス5g/L)500mLを用いて2.0Lのバッフル付き振盪フラスコ内でE.coli TG1α株で一晩培養した。培養液でのアンピシリン濃度は100μg/mLであり、37℃において250rpmで一晩成長させた。
(アルカリ溶菌)
修正アルカリ溶菌法を用いた。一晩培養した細胞培養液500mLを4℃で10分間にわたってSorvall SLA3000ロータでの9000rpmの遠心分離によって採取した。上清を慎重に取り除いて、細菌沈殿物5gを、グルコース61mm、Tris10mM、EDTA(pH8)50mMから成る懸濁緩衝液36mL内でボルテックスによって再懸濁した。細胞が完全に再懸濁された後に、磁気攪拌機で穏やかにかき混ぜながら溶菌緩衝液P2(0.2M NaOH、1%SDS)78mLを加えた。この混合物を攪拌しながら室温で10分間インキュベートし、完全な混合物(1相)が得られることを確実にした。氷冷した中和緩衝液(5M酢酸カリウム、pH5.5)の容積58.6mLをライセートに加えた。溶液を少なくとも20分間にわたって磁気攪拌機上で氷浴内に保った。ゲノムDNA、タンパク質及び細胞残渣を含む白色沈殿物が形成された。次いで、4℃で30分間にわたってSS−34−ロータで10,000rpmの遠心分離によって沈殿物を除去した。次いで上清を慎重に取り出して未使用の試験管に入れ、冷蔵室で貯蔵する。
〔E.coliライセートからのプラスミドpJV4の分離、ゲル濾過による脱塩〕
アルカリ性ライセートは、Sephadex(商標)G−25(Amersham Biosciences AB、スウェーデン、ウプサラ)マトリクス上でのゲル濾過によって脱塩された。さらに明確に述べると、SephadexビーズをXK50/30カラム(Amersham Biosciences AB、スウェーデン、ウプサラ)に充填し、総ベッド容積を225mLとした。カラムをAKTA(商標)エクスプローラ10システム(Amersham Biosciences AB、スウェーデン、ウプサラ)に組み入れて、移動相(5mMリン酸ナトリウム緩衝液)と平衡させた。脱塩したいサンプル(50mL〜100mL)をサンプルポンプP−950によって5mL/minの流量でカラムにポンプ供給した。カラムからの溶出液を紫外吸光度及び伝導度によって監視し、5mMリン酸ナトリウム緩衝液内の含核酸溶出液の適当な分別を確実にした。
(水性二相系)
4.5%(w/w)デキストランT500及び4.5%(w/w)EO50PO50を含んだ合計重量10gの系を、10mL目盛付き試験管に適量のデキストランの25%原液及び100%EO50PO50原液を計量することにより作製した。用いた緩衝液塩は50mM NaHPOで、1M原液から系に加えた。透明な脱塩後のアルカリライセートを加えて最終的な重量を10gとした。系を、全てのポリマーが溶解するまで慎重に混合し、次いで室温での遠心分離(1600g、10分)によって各相を分離した。上相及び下相の容積を測定した。各相を分離して新たな容器に単離した。上相を3分間にわたって55℃の水浴内に配置し、次いで、2分間にわたって遠心分離して、水相1相と濃縮ポリマー相1相とを得た。
(アガロースゲル電気泳動)
この相系から得られた上相及び下相をアガロースゲル上で分析した。アガロースゲルは、Amersham Biosciences ABのHoefer(商標)HE33ミニサブマリン型電気泳動ユニットで泳動させた。15μg/mLの臭化エチジウム(Quantum Biotechnologies、米国)を含んだ0.8%(w/w)アガロース(Duchefa、オランダ)ゲルを、90Vで30分間にわたって泳動させた。ゲルを紫外線下で分析して撮影した。
〔実施例1の結果〕
(ポリマー濃度及び塩の影響)
水性二相系でのプラスミドDNAを含んだ脱塩後のアルカリ細胞ライセートの分配は、ポリマー濃度及び塩組成のような様々な要因の影響を受ける可能性がある。目的は、一次水性二相系で、EO50PO50相へのプラスミドの一方的分配を得ることにあった。二相系でのポリマー濃度を変化させることにより、プラスミドDNAをさらに徹底して上相へ分配することができる。EO50PO50及びデキストランT500の異なる濃度で構成される二相系での脱塩後のアルカリライセート中のプラスミドDNAの分配について検討した。両相とも、ポリマー濃度を低下させると上相へのさらに徹底した分配が得られた(図2)。アガロースゲル電気泳動による定性分析によれば、ポリマー濃度を、7%(w/w)デキストランT500/7%EO50PO50(w/w)から4.5%(w/w)デキストランT500/4.5%(w/w)EO50PO50に低下させることにより、プラスミドDNAを上相に分配し得ることが分かる。文献には(Albertson、1986年)、適当な塩の添加によって、DNAを各相の間で実効的に移動させることが記載されている。二相系で塩の支配的効果を得るためには、塩濃度を緩衝液の少なくとも10倍にしなければならない。二相系への塩の添加によって、陰イオン及び陽イオンが2相の異なるポリマー相の間で強制的に分配され、これにより相の間に電位が発生する。HPO 2−陰イオンはデキストラン相に親和性を有する。これにより系に電気化学的推進力が発生する。例えばプラスミドDNAのような負に帯電した物質がこの系に添加されると、DNAは上相に分配される(図2)。
(熱分離性系でのプラスミドDNAの分配)
ライセートを4.5%(w/w)デキストランT500、4.5%(w/w)EO50PO50及び50mM NaHPOを含んだ系で分配した。この系は「材料及び方法」の項に従って製造された。系を混合して、相分離の後に、各相を分離して別々の容器に単離した。上相は55℃の水浴に配置した。この系の相は、水相1相と、濃厚なポリマー相1相との新たな二つの相に分離した。熱分離ステップを用いて、EO50PO50ポリマーから目的のプラスミドを分離して低ポリマー溶液(<1%)の水相にプラスミドを単離した。相を臭化エチジウムで染色したアガロースゲル電気泳動で分析した(図2)。アガロースゲル電気泳動から、第一のステップで全ての形態のプラスミドDNAが上相に分配され、熱分離ステップでプラスミドDNAが専ら上側の水相に分配されていることが分かる(図2)。また、アガロースゲル電気泳動(図2)から、一次系で混入RNAが下相へ高い度合いまで分配されることが分かる。アガロースゲルをSYBRグリーン(Molecular Probes)で染色することにより、臭化エチジウムでのDNAの染色に比較して25倍高いDNA検出感度を達成することができる(図2)。さらに高感度の染色法を用いることにより、プラスミドDNAを一次系の上相及び熱分離性系の水相に分配し得たことが決定的に示される。一次ステップでも熱分離ステップでもプラスミドDNAは下相には分配されない。
(全タンパク質の分配)
プラスミド単離工程での一次精製ステップでは、主な目的はプラスミドDNAを含む溶液内の優位の混入物を除去することにある。アルカリ溶菌ステップで細菌を溶解させる際に、タンパク質、RNA、ゲノムDNA、細胞及び細胞残渣が放出される。アルカリ溶菌の中和ステップの後に、ライセートを遠心分離するとこれら混入物の殆どは除去されるが、サンプルにはかなりの混入物が依然存在する。第一のステップでの全タンパク質の分配を分析したところ、K値は1.4であった。これにより上相の全タンパク質の収率は65%となる。この系では第一のステップでタンパク質の35%を廃棄することができる。熱分離ステップではタンパク質の収率は100%である。このように、この系ではタンパク質を35%まで廃棄することができる。
(プラスミドDNAの濃度)
一次精製ステップを設計する際の課題の一つは、対象溶液の作業容積を減少させることである。二相系では、上相の容積を減少させることによりこのことを達成することができる。相図の接続線に沿って移動することにより、物質の分配を変えずに二つの相の容積比を変化させることができる。下相のデキストラン濃度を上昇させるとより大きい容積の下相が生成され、従って上相の容積が減少する。以下のように構成された4種の異なる系について検討した。4.5%(w/w)EO50PO50/4.5%(w/w)デキストランT500、4%(w/w)EO50PO50/6%(w/w)デキストランT500、3%(w/w)EO50PO50/7%(w/w)デキストランT500、3%(w/w)EO50PO50/8%(w/w)デキストランT500、2.5%(w/w)EO50PO50/9%(w/w)デキストランT500。アガロースゲルでの系分析(図4)によれば、上相の容積が減少してもプラスミドDNAの徹底した分配が依然得られることが判明している。2.5%(w/w)EO50PO50/9%(w/w)デキストランT500を含む系では、上相及び下相の容積比(VT/VB)は0.24であった。これにより単離されたプラスミドの上相での濃度は、アルカリライセートに比較して3倍になる。これらの系の全てで、RNAは下相に部分的に廃棄される。
(群分離クロマトグラフィによるプラスミドDNAの分析)
プラスミドDNAの分析は、群分離クロマトグラフィで行なった。プラスミドDNAの全ての形態とRNAとの間の分離を達成することができる。結果は、熱分離後の上側水相でのプラスミドの全収率は、出発材料に比較して103.3%であることを示す。クロマトグラフィの結果によると同じサンプルのRNAの収率は27%である。これは、水性二相系は混入RNAの63%を除去し得ることを意味している。
〔E.coliライセートからのプラスミドpJV4の分離、透析濾過による脱塩〕
TG1/pJV4細胞の細胞ペースト合計量75gを溶解して、さらに実施例1に記載されているようにして処理した。最終的な準備の後の最終ライセート容積は2Lであった。
(透析濾過)
透析濾過では、100,000Da遮断のポリスルホン中空ファイバーカートリッジ(A/G Technology Corporation、米国マサチューセッツ州Needham)を用いた(ロット番号96992057061、管腔id0.5mm、表面積650平方メートル)。用いる前に、カートリッジをMilliQ水で洗浄してグリセロール汚染を除去した。系をMilliQ水5Lで10分間にわたって再循環させ、次いで、新しい5mMリン酸ナトリウム緩衝液で10分間にわたって再循環させた。容積350mLの透明なライセートを5mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.0に対して透析濾過した。完全な緩衝液交換のために、5mMリン酸ナトリウム緩衝液の4種のサンプル容積を用いた。透析濾過後の最終保持液容積は300mLであり、350mLから300mLへの容積減少があった。透析濾過後に、カラムを5mM緩衝液100mLで洗浄してカラムから付着したプラスミドDNAを除去した。
4種の緩衝液容積の緩衝液が完全な緩衝液交換に不十分であったため、2回目の透析濾過を行なった。透析濾過したライセートを再度pH7.0の5mM NaP緩衝液に対して透析濾過した。完全な緩衝液交換を達成するために他の8種の緩衝液容量を用いた。最終的な透析濾過後のサンプルをさらに水性二相系で抽出した。
(水性二相系)
系を実施例1に記載されているようにして製造した。
〔実施例2の結果〕
(透析濾過後のプラスミドDNAの熱分離性系での分配)
透析濾過後のライセートを、4.5%(w/w)EO50PO50、4.5%(w/w)デキストランT500及び50mM NaHPOで構成される水性二相系で分配した。全ての薬品及び透析濾過されたライセートをガラス製試験管に加えて最終的な重量を10gとした。次いで、系を室温での遠心分離(1600g、10分間)によって分離した。相は上相1相及び下相1相に分離し、これらの各相を新たな容器に単離した。上相を55℃の水浴に配置した。この系の相は、水相1相と、濃厚なポリマー相1相との新たな2相に分離した。熱分離ステップは、EO50PO50ポリマーから目的のプラスミドを分離して、低ポリマー溶液(<1%)の水相にプラスミドを単離するために利用された(図1)。水性二相系抽出で得られた相をアガロースゲル電気泳動及びサイズ排除クロマトグラフィ(群分離)で分析した。群分離からの結果は、プラスミドの上相への一方的分配を示した(表1)。プラスミドDNAの濃度の計算は標準曲線から行なわれる。アガロースゲル電気泳動(図5)から、レーン4において、第一の抽出ステップでは下相にプラスミドは分配されないが多量のRNAが廃棄されていることが分かる。このように、透析濾過によるアルカリライセートの脱塩が達せられ、続いて水性二相系での抽出を行なうことができる。熱分離後の上相に100%の収率を達成することができる。
〔E.coliライセートからのプラスミドpJV4の分離、限外濾過による脱塩〕
TG1/pJV4細胞の細胞ペースト合計量75gを溶解して、さらに実施例1に記載されているようにして処理した。最終的な準備の後の最終ライセート容積は2Lであった。
(限外濾過)
透析濾過について上に記載したものと同じ遮断の同じカートリッジを限外濾過でも用いた。容積1000mLの透明なライセートについて、容積225mLに達するまで限外濾過を行なった。次いで、限外濾過後のライセートを5mM NaP緩衝液800mLに対して透析した。緩衝液がなくなるまで溶液を透析した。次いで、ライセートを72mLの最終的な容積まで再度限外濾過し、さらに水性二相系で抽出した。
〔実施例3の結果〕
(限外濾過後のプラスミドDNAの熱分離性系での分配)
限外濾過後のライセートを、上述のような水性二相系で分配した。アガロースゲル電気泳動(図6)から、プラスミドについて殆ど一方的な分離が達成されたことが分かる。この系では下相にプラスミドの少量の損失が出た。この原因はおそらく、系でのプラスミド濃度が例えば2mg/mLと高かったためか、又はもう一つの可能性としては緩衝液交換が不十分だったためであろう。限外濾過及び二相系抽出で得られたサンプルの結果を表2に掲げる。限外濾過後のライセートは、出発材料から13.9倍に濃縮されている。限外濾過されたライセートにRNA及びDNAの沈澱は見られなかった。限外濾過によって緩衝液交換及びライセート濃縮の両方を達成することができる。限外濾過後のライセートは、水性二相系と相溶であったが、水性二相系の容量限度又は不完全な緩衝液交換のいずれかによって下相に幾分かのプラスミドDNA損失が出た。熱分離後の上相でのプラスミドDNAの収率は85%であった。
本発明による第一及び第二のポリマーを含む熱分離性系におけるプラスミドDNA精製の模式図である。プラスミドDNAは第一の系では上相に分配され、次いで上相を単離して加熱する。新たな二相系が得られ、ここではプラスミドDNAは水相に回収される。 本発明による第一及び第二のポリマー、並びに50mMのNaHPO緩衝液系を含む熱分離性系で得られた上相及び下相のアガロースゲル分析を示す図である。 本発明による第一及び第二のポリマー、並びに50mMのNaHPO緩衝液系を含む熱分離性系で得られた上相及び下相のアガロースゲル分析であって、熱分離後の上相の希釈率を変化させた場合を示す図である。 本発明による第一及び第二のポリマー、並びに50mMのNaHPO緩衝液系を含む熱分離性系のアガロースゲル分析であって、一次系において第一のポリマー/第二のポリマーの濃度を変化させた場合を示す図である。 実施例2に記載するような水性二相系での透析濾過後のライセートの抽出から得られた上相及び下相のアガロースゲル電気泳動(0.8%w/v)を示す図である。 実施例3に記載するような水性二相系での限外濾過後のライセートの抽出から得られた上相及び下相のアガロースゲル電気泳動(0.8%w/v)を示す図である。

Claims (18)

  1. 水性二相系でのプラスミドDNAの精製方法であって、
    (a)逆溶解性を呈するとともに両親媒性でプラスミドDNAと相互作用できる第一のポリマー、第一のポリマーと非混和性で親水性の第二のポリマー、及び適宜塩を含む組成物を用意するステップと、
    (b)上記組成物をプラスミドDNAを含む水溶液と接触させるステップと、
    (c)相分離を行なって、プラスミドDNAを水性上相に分配させるとともに、RNAを主に下相に分配させ、続いて水性上相を単離するステップと、
    (d)単離した水性上相の温度を、第一のポリマーの曇り点よりも高くプラスミドDNAが劣化する温度よりも低い温度まで上昇させ、続いてこれにより形成される水性上相を単離するステップと、適宜
    (e)ステップ(d)で単離した水性上相からプラスミドDNAを回収するためのクロマトグラフィを実施するステップと、
    を含む方法。
  2. 第一のポリマーが、水溶液での曇り点が60℃未満である、請求項1記載の方法。
  3. 第一のポリマーが、ポリアルキレングリコール、ポリ(オキシアルキレン)ポリマー、ポリ(オキシアルキレン)共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルメチルエーテル、アルコキシル化界面活性剤、アルコキシル化デンプン、アルコキシル化セルロース、アルキルヒドロキシルアルキルセルロース、シリコーンで改質したポリエーテル、及びポリN−イソプロピルアクリルアミド、並びにこれらの共重合体から成る群から選択される、請求項1又は請求項2記載の方法。
  4. 第一のポリマーが、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドで構成される共重合体であり、好ましくは50%のエチレンオキシド及び50%のプロピレンオキシドで構成される、請求項1乃至請求項3のいずれか1項項記載の方法。
  5. 第二のポリマーが、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルデンプン、デンプン、デキストラン、及びプルランから成る群から選択される、請求項1乃至請求項4のいずれか1項項記載の方法。
  6. 第一のポリマーの量と第二のポリマーの量との重量比が1:1である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項項記載の方法。
  7. 第一のポリマーの量がステップ(a)で用意される組成物の4.5%(w/w)であり、第二のポリマーの量がステップ(a)で用意される組成物の4.5%(w/w)である、請求項6記載の方法。
  8. プラスミドDNAを含む水溶液は細胞ライセートであり、ステップ(b)の前に細胞ライセートを脱塩するステップを含む請求項1乃至請求項7のいずれか1項項記載の方法。
  9. ステップ(b)による接触が室温での混合を含む、請求項1乃至請求項8のいずれか1項項記載の方法。
  10. ステップ(c)及び/又はステップ(d)による単離が遠心分離による、請求項1乃至請求項9のいずれか1項項記載の方法。
  11. 水性二相系での細胞ライセートからのプラスミドDNAの精製のためのキットであって、60℃未満の温度で逆溶解性を呈するとともに両親媒性でプラスミドDNAと相互作用できる第一のポリマー、第一のポリマーと非混和性で親水性の第二のポリマー、及び適宜塩を一区画に含み、これらの取扱説明書を含むキット。
  12. 第一のポリマーはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドで構成される、請求項11記載のキット。
  13. 第二のポリマーは、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルデンプン、デンプン、デキストラン及びプルランから成る群から選択される、請求項11又は請求項12記載のキット。
  14. 第一のポリマーの量と第二のポリマーの量との重量比が1:1である、請求項11乃至請求項13のいずれか1項項記載のキット。
  15. プラスミドDNAを含む水溶液と混合する前に既に脱塩されている細胞ライセートからのプラスミドDNAの精製のための請求項11乃至請求項14のいずれか1項項記載のキット。
  16. 請求項1乃至請求項10のいずれか1項項記載の方法に用いられる請求項11乃至請求項15のいずれか1項項記載のキット。
  17. 細胞ライセートからのプラスミドDNAの精製のための60℃未満の温度で逆溶解性を呈するポリマーの水性二相系での用法。
  18. 前記ポリマーがエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体である、請求項17記載の用法。
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