以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
先ず、図1及び図2により、検査対象物に対して電気的検査を行う検査装置において使用される本実施の形態に係る検査装置用変換アダプタについて説明する。ここで、図1は検査装置用変換アダプタを示す断面図、図2は検査装置用変換アダプタの変換アダプタ本体を示す平面図である。
この検査装置用変換アダプタ11は、回路基板12上に変換アダプタ本体13がネジ等の取付具(図示せず)により固定されて構成されている。回路基板12は、表面側中央部に集中して配設された電極部14と、各電極部14にそれぞれ接続され、裏面側から突出して設けられた入出力端子部15とを備えており、入出力端子部15は、検査装置の電源設備(図示省略)に接続可能となっている。なお、この回路基板12としては、片面プリント回路基板、両面プリント回路基板、多層プリント回路基板など種々の構造のものを用いることができる。また、回路基板12は、フレキシブル基板、リジッド基板、これらを組み合わせたフレックス・リジッド基板のいずれであってもよい。
変換アダプタ本体13は、回路基板12上に固定されるベース部材16と、ベース部材16内に着脱自在に設けられる検査対象物保持部材17と、ベース部材16の上面を覆う蓋部材18と、蓋部材18に取り付けられる押圧部材19とを備えている。
ベース部材16には、基端部に蓋部材支持軸20が水平に固定されていると共に先端部に係止突起部21が形成されており、また、内部には開口22が形成されている。そして、ベース部材16の両側には、開口22を挟んで欠込み部23が対向して形成されており、各欠込み部23の中央には、それぞれ、外面が螺刻された保持部材固定軸24が垂直に立設されている。さらに、ベース部材16の四隅には、それぞれ、変換アダプタ本体取付孔25が形成されており、これらの変換アダプタ本体取付孔25には、前記取付具が挿通可能となっている。そして、この取付具が、変換アダプタ本体取付孔25及び該取付孔25に対応して回路基板12に穿設された取付孔(図示せず)を挿通し、回路基板12の下面側に設けられた金属板37に螺入されることにより、変換アダプタ本体13が回路基板12上に固定されるようになっている。
検査対象物保持部材17は、ベース部材16の開口22に遊嵌可能な形状を有する板状本体部26と、この板状本体部26の両側に水平に突設された支持片27とから構成されている。各支持片27には、それぞれ保持部材固定孔28が形成されており、保持部材固定孔28に保持部材固定軸24を挿通し、支持片27を欠込み部23に載置した状態で保持部材固定軸24に固定具(図示せず)を螺合することにより、検査対象物保持部材17がベース部材16に固定されるようになっている。
板状本体部26の中央には、矩形環状の段差部29を介して、開口部30が形成されており、段差部29の内周側面からは、開口部30に向かって、それぞれ検査対象物支持部31が水平に延出している。そして、各検査対象物支持部31の先端によって囲まれた空間32に、検査対象物33が保持されるようになっており、各検査対象物支持部31の先端部には、その空間32に向かって傾斜面34が下傾して形成されている。この検査対象物33には、半球状に突出して電極部101(図22及び図23参照)が形成されている。
また、板状本体部26の下面側には開口部30を挟んで対向する位置に異方導電性コネクター支持軸35が下方鉛直に突設されており、異方導電性コネクター支持軸35に異方導電性コネクター36が支持されるようになっている。一方、回路基板12の異方導電性コネクター支持軸35に対応する位置には、電極部14を挟むように対向して支持溝(図示せず)が形成されており、該支持溝に異方導電性コネクター支持軸35の下端が嵌合可能となっている。これにより、異方導電性コネクター支持軸35に支持された異方導電性コネクター36は、電子部材保持部材17に保持された検査対象物33と回路基板12の検査電極部14の間に介装された状態で、変換アダプタ11に保持される。なお、異方導電性コネクター36の詳細については、後述する。
蓋部材18は、ベース部材16の上面を開閉可能なように蓋部材支持軸20に枢設されている。そして、蓋部材18は、蓋部材支持軸20に周設された捩りコイルバネ38によって、ベース部材16の上面を開放する方向(図1中の矢印方向)に付勢されており、さらに、蓋部材18の基端面39がベース部材16の基端40に当接することにより、蓋部材18の同方向への回転が拘束されるようになっている。
また、蓋部材18の先端部には、フック部材支持軸41を介してフック部材42が枢設されており、フック部材42はフック部材支持軸41に周設された捩りコイルバネ43により、前方(図1中の時計回り方向)に付勢されている。フック部材42は、前方に突出して形成された摘み部44と、下端において後方に鉤状に形成された係止部45とを備えており、係止部45は係止突起部21に係脱可能となっている。また、蓋部材18には下面側から凹部46が形成され、さらに凹部46の中央には円筒状に押圧部材支持孔47が鉛直方向に形成されており、押圧部材支持孔47の上端部は縮径されてストッパ部48が形成されている。
押圧部材19は、押圧部材支持孔47に遊嵌する支持部材49と、支持部材49の下端部50に周設される押圧本体部材51とから構成されている。支持部材49は、丸棒状部52の中央部よりやや下方に鍔部53が形成されて構成されており、丸棒状部52の上端に平ねじ54を螺挿し、ストッパ部48と鍔部53の間の支持部材49に圧縮コイルバネ55を周設することにより、押圧部材19が蓋部材18に対して上下方向に伸縮可能となっている。
押圧本体部材51は、扁平な直方体形状の基部56の下面に基部56より幅狭の支持軸固定部57が段状に突設され、支持軸固定部57の下面に支持軸固定部57より幅狭の押圧部58がさらに段状に突設されて構成されている。基部56には、鍔部53が遊嵌可能な第1凹部59が形成され、第1凹部59の中央には、基部56から支持軸固定部57に渡って支持部材49の下端部50が遊嵌可能なように、第2凹部60が形成されている。また、支持軸固定部57には、第2凹部60を水平に横切るように押圧本体部材支持軸61が固着されており、押圧本体部材支持軸61に支持部材49の下端部50が枢設されている。
次に、図3〜図21を参照しながら本発明の実施形態に係る異方導電性コネクター36について詳細に説明する。ここで、図3は異方導電性コネクターを示す平面図、図4は異方導電性コネクターを示す背面図、図5は図3及び図4のA−A断面図、図6は図5の部分拡大断面図、図7は異方導電性コネクターの支持体を示す平面図、図8は図7のB−B断面図である。
この異方導電性コネクター36は、矩形の異方導電膜65とこの異方導電膜65を支持する矩形の金属板状の支持体66とを備えている。
図7及び図8に良く示されているように、支持体66の中央位置には、異方導電膜65より小さい寸法の矩形の開口部67が形成され、四隅の位置の各々には、位置決め穴68が形成されている。そして、異方導電膜65は、支持体66の開口部67に配置され、異方導電膜65の周縁部が支持体66に固定されることにより、異方導電膜65は支持体66に支持されている。
異方導電膜65は、それぞれ厚み方向に伸びる複数の円柱状の導電路形成部69と、これらの導電路形成部69を相互に絶縁する、絶縁性の弾性高分子物質よりなる絶縁部70とにより構成されている。また、異方導電膜65の導電路形成部69を形成する部分には、磁性を示す導電性粒子(図示せず)が含有されている。
図示の例では、複数の導電路形成部69のうち異方導電膜65における周縁部以外の領域に形成されたものが、検査対象物33の電極部101に電気的に接続される有効導電路形成部71とされ、異方導電膜65における周縁部に形成されたものが、検査対象物33の電極部101に電気的に接続されない無効導電路形成部72とされており、有効導電路形成部71は、検査対象物33の電極部101のパターンに対応するパターンに従って配置されている。また、有効導電路形成部71の厚みは無効導電路形成部72の厚みより厚く、有効導電路形成部71は無効導電路形成部72より突出して形成されている。さらに、無効導電路形成部72の表面には、絶縁層131が形成されており、絶縁層131は、シリコンゴムにより形成されているのが好ましい。
一方、絶縁部70は、個々の導電路形成部69の周囲を取り囲むよう一体的に形成されており、これにより、全ての導電路形成部69は、絶縁部70によって相互に絶縁された状態になっている。
異方導電膜65の一方の表面は平面を形成しており、他方の面には、その導電路形成部69を形成する部分の表面が絶縁部70を形成する部分の表面から突出する突出部分69aが形成されている。また、異方導電膜65の一方の表面の表層部分には、絶縁性のメッシュ若しくは不織布よりなる補強材(図示省略)が含有されている。これに対して、異方導電膜65の他方の面には、前記補強材が含有されていない。
このような補強材を異方導電膜65に含有させることにより、検査対象物33の電極部101によって繰り返して押圧されても、導電路形成部69の変形が一層抑制されるので、長期間にわたって一層安定した導電性が得られる。
異方導電膜65を形成する弾性高分子物質としては、架橋構造を有する高分子物質が好ましい。このような弾性高分子物質を得るために用いることのできる硬化性の高分子物質形成材料としては、種々のものを用いることができ、その具体例としては、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムなどの共役ジエン系ゴム及びこれらの水素添加物;スチレン−ブタジエン−ジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体ゴムなどのブロック共重合体ゴム及びこれらの水素添加物;クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。
以上において、異方導電膜65に耐候性が要求される場合には、共役ジエン系ゴム以外のものを用いることが好ましく、特に、成形加工性及び電気特性の観点から、シリコンゴムを用いることが好ましい。シリコンゴムとしては、液状シリコンゴムを架橋または縮合したものが好ましい。液状シリコンゴムは、その粘度が歪速度10−1secで105ポアズ以下のものが好ましく、縮合型のもの、付加型のもの、ビニル基やヒドロキシル基を含有するものなどのいずれであってもよい。具体的には、ジメチルシリコン生ゴム、メチルビニルシリコン生ゴム、メチルフェニルビニルシリコン生ゴムなどを挙げることができる。
また、シリコンゴムは、その分子量Mw(標準ポリスチレン換算重量平均分子量をいう。以下同じ。)が10,000〜40,000のものであることが好ましい。また、得られる導電路形成部69に良好な耐熱性が得られることから、分子量分布指数(標準ポリスチレン換算重量平均分子量Mwと標準ポリスチレン換算数平均分子量Mnとの比Mw/Mnの値をいう。以下同じ。)が2以下のものが好ましい。
異方導電膜65における導電路形成部69に含有される導電性粒子としては、後述する方法により当該粒子を容易に配向させることができることから、磁性を示す導電性粒子が用いられる。このような導電性粒子の具体例としては、鉄、コバルト、ニッケルなどの磁性を有する金属の粒子若しくはこれらの合金の粒子またはこれらの金属を含有する粒子、またはこれらの粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に金、銀、パラジウム、ロジウムなどの導電性の良好な金属のメッキを施したもの、あるいは非磁性金属粒子若しくはガラスビーズなどの無機物質粒子またはポリマー粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に、ニッケル、コバルトなどの導電性磁性金属のメッキを施したものなどが挙げられる。
これらの中では、ニッケル粒子を芯粒子とし、その表面に導電性の良好な金のメッキを施したものを用いることが好ましい。
芯粒子の表面に導電性金属を被覆する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば、化学メッキまたは電解メッキ法、スパッタリング法、蒸着法などが用いられている。
導電性粒子として、芯粒子の表面に導電性金属が被覆されたものを用いる場合には、良好な導電性が得られることから、粒子表面における導電性金属の被覆率(芯粒子の表面積に対する導電性金属の被覆面積の割合)が40%以上であることが好ましく、さらに好ましくは45%以上、特に好ましくは47〜95%である。
また、導電性金属の被覆量は、芯粒子の0.5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜30質量%、さらに好ましくは3〜25質量%、特に好ましくは4〜20質量%である。被覆される導電性金属が金である場合には、その被覆量は、芯粒子の0.5〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。
また、導電性粒子の粒子径は、1〜100μmであることが好ましく、より好ましくは2〜50μm、さらに好ましくは3〜30μm、特に好ましくは4〜20μmである。また、導電性粒子の粒子径分布(Dw/Dn)は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1.01〜7、さらに好ましくは1.05〜5、特に好ましくは1.1〜4である。
このような条件を満足する導電性粒子を用いることにより、得られる導電路形成部69は、加圧変形が容易なものとなり、また、導電路形成部69において導電性粒子間に十分な電気的接触が得られる。
また、導電性粒子の形状は、特に限定されるものではないが、高分子物質形成材料中に容易に分散させることができる点で、球状のもの、星形状のものあるいはこれらが凝集した2次粒子であることが好ましい。
また、導電性粒子の表面がシランカップリング剤などのカップリング剤、潤滑剤で処理されたものを適宜用いることができる。カップリング剤や潤滑剤で粒子表面を処理することにより、異方導電性コネクター36の耐久性が向上する。
このような導電性粒子は、高分子物質形成材料に対して体積分率で好ましくは5〜60%、より好ましくは7〜50%となる割合で用いられる。この割合が5%未満の場合には、十分に電気抵抗値の小さい導電路形成部69が得られないことがある。一方、この割合が60%を超える場合には、得られる導電路形成部69は脆弱なものとなりやすく、導電路形成部69として必要な弾性が得られないことがある。
導電路形成部69に用いられる導電性粒子としては、金によって被覆された表面を有するものが好ましいが、例えば、検査対象物33の電極部101が、鉛を含むハンダ合金よりなるものである場合には、導電路形成部69における、当該ハンダ合金よりなる検査対象物の電極に接触する側に含有される導電性粒子は、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、タングステン、モリブデン、白金、イリジウム、銀及びこれらを含む合金から選ばれる耐拡散性金属によって被覆されていることが好ましく、これにより、導電性粒子における被覆層に対して鉛成分が拡散することを防止することができる。
耐拡散性金属が被覆された表面を有する導電性粒子は、例えばニッケル、鉄、コバルト若しくはこれらの合金などよりなる芯粒子の表面に対して、例えば化学メッキまたは電解メッキ法、スパッタリング法、蒸着法などにより耐拡散性金属を被覆させることにより形成することができる。
異方導電膜65の一方の面に含有される補強材を構成するメッシュ若しくは不織布としては、有機繊維により形成されたものを好ましく用いることができる。かかる有機繊維としては、ポリテトラフルオロエチレン繊維などのフッ素樹脂繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維などを挙げることができる。また、有機繊維として、線熱膨張係数が接続対象体を形成する材料の線熱膨張係数と同等若しくは近似したもの、具体的には、線熱膨張係数が30×10−6〜−5×10−6/K、特に10×10−6〜−3×10−6/Kであるものを用いることにより、当該異方導電膜65の熱膨張が抑制されため、温度変化による熱履歴を受けた場合にも、接続対象体に対する良好な電気的接続状態を安定に維持することができる。また、有機繊維としては、その径が10〜200μmのものを用いることが好ましい。
前記補強材を構成するメッシュとしては、当該メッシュの開口径をr1とし、用いられる導電性粒子の平均粒子径をr2としたとき、比r1/r2が1.5以上であることが好ましく、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上、特に好ましくは4以上である。この比r1/r2が過小である場合には、後述する製造方法において、導電性粒子が厚み方向に配向しにくくなるため、電気抵抗値の小さい導電路形成部を得ることが困難となることがある。
また、メッシュの開口径r1は、500μm以下であることが好ましく、より好ましくは400μm以下、特に好ましくは300μm以下である。開口径r1が過大である場合には、高い耐久性を有する異方導電コネクターを得ることが困難となることがある。補強材を構成する不織布としては、上記有機繊維の短繊維を原料として湿式抄造技術によって製造された、内部に空隙を有するものを用いることが好ましい。
さらに、前記補強材の厚みは、形成すべき異方導電膜65の厚みの10〜70%であることが好ましく、具体的には、厚みが50〜500μmであることが好ましく、より好ましくは80〜400μmである。ここで、前記補強材の厚みは、マイクロメータにより測定された値である。
さらにまた、前記補強材は、後述する液状の高分子物質形成材料の含浸し易さ、柔軟性と寸法安定性とのバランスなどを考慮して適宜選択されるが、その開口率(空隙率)が25〜75%のものを用いることが好ましく、より好ましくは30〜60%である。
また、導電性粒子の被覆は複数層の金属層にて構成することができ、耐拡散性金属を被覆する場合、例えば最外層をロジウムのような耐拡散性金属からなる層とし、内側の被覆層を導電性の良好な金からなる層とすることが好ましい。
また、耐拡散性金属の被覆量は、導電性粒子に対して質量分率で好ましくは5〜40%、より好ましくは10〜30%となる割合である。支持体71を構成する材料としては、線熱膨張係数が3×10−5/K以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは2×10−5〜1×10−6/K、特に好ましくは6×10−6〜1×10−6/Kである。
具体的な材料としては、金属材料や非金属材料が用いられる。金属材料としては、金、銀、銅、鉄、ニッケル、コバルト若しくはこれらの合金などを用いることができる。
非金属材料としては、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリアミド樹脂等の機械的強度の高い樹脂材料、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂、ガラス繊維補強型ポリエステル樹脂、ガラス繊維補強型ポリイミド樹脂等の複合樹脂材料、エポキシ樹脂等にシリカ、アルミナ、ボロンナイトライド等の無機材料をフィラーとして混入した複合樹脂材料などを用いることができるが、熱膨張係数が小さい点で、ポリイミド樹脂、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂等の複合樹脂材料、ボロンナイトライドをフィラーとして混入したエポキシ樹脂等の複合樹脂材料が好ましい。
次に、図8〜図21を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る異方導電性コネクター36の製造方法について説明する。ここで、図9は異方導電膜成形用の金型を示す断面図、図10は下型の成形面上にスペーサー及び支持体を配置した状態を示す断面図、図11は上型の成形面に第1の成形材料層が形成され、下型の成形面上に第2の成形材料層が形成された状態を示す断面図、図12は第1の成形材料層と第2の成形材料層とが積層された状態を示す断面図、図13は異方導電膜が形成された状態を示す断面図、図14は形成された異方導電膜を金型から取り出した状態を示す断面図、図15は絶縁層成形用の印刷用マスクを示す平面図、図16は印刷用マスクを示す断面図、図17は異方導電性コネクターに印刷用マスクを対向して配置させた状態を示す断面図、図18は異方導電性コネクターに印刷用マスクを載置した状態を示す断面図、図19は印刷用マスクの貫通孔に液状の絶縁材料を充填している状態を示す断面図、図20は印刷用マスクの貫通孔に液状の絶縁材料を充填した状態を示す断面図、図21は異方導電性コネクターに絶縁層を形成した状態を示す断面図である。
この金型は、上型73及びこれと対を成す下型74が、互いに対向するよう配置されて構成され、上型73の成形面(図9において下面)と下型74の成形面(図9において上面)との間に成形空間75が形成されている。
上型73においては、強磁性体基板76の表面(図9において下面)に、目的とする異方導電性コネクター36における導電路形成部69のパターンに対応する配置パターンに従って強磁性体層77が形成され、この強磁性体層77以外の個所には、強磁性体層77の厚みと実質的に同一の厚みを有する非磁性体層78が形成されている。
一方、下型74においては、強磁性体基板79の表面(図9において上面)に、目的とする異方導電性コネクター36における導電路形成部69のパターンに対応するパターンに従って強磁性体層80が形成され、この強磁性体層80以外の個所には、強磁性体層80の厚みより大きい厚みを有する非磁性体層81が形成されており、非磁性体層81と強磁性体層80との間に段差が形成されることにより、下型74の成形面には、突出部分69aを形成するための凹部空間80aが形成されている。
上型73及び下型74の各々における強磁性体基板76,79を構成する材料としては、鉄、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属を用いることができる。この強磁性体基板76,79は、その厚みが0.1〜50mmであることが好ましく、表面が平滑で、化学的に脱脂処理され、また、機械的に研磨処理されたものであることが好ましい。
また、上型73及び下型74の各々における強磁性体層77,80を構成する材料としては、鉄、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属を用いることができる。この強磁性体層77,80は、その厚みが10μm以上であることが好ましい。この厚みが10μm未満である場合には、金型内に形成される成形材料層に対して、十分な強度分布を有する磁場を作用させることが困難となり、この結果、当該成形材料層における導電路形成部69となるべき部分に導電性粒子を高い密度で集合させることが困難となるため、良好な異方導電性コネクター36が得られないことがある。
また、上型73及び下型74の各々における非磁性体層78,81を構成する材料としては、銅などの非磁性金属、耐熱性を有する高分子物質などを用いることができるが、フォトリソグラフィーの手法により容易に非磁性体層78,81を形成することができる点で、放射線によって硬化された高分子物質を用いることが好ましく、その材料としては、例えばアクリル系のドライフィルムレジスト、エポキシ系の液状レジスト、ポリイミド系の液状レジストなどのフォトレジストを用いることができる。
また、下型74における非磁性体層81の厚みは、形成すべき突出部分69aの突出高さ及び強磁性体層80の厚みに応じて設定される。
このような金型を用い、例えば、次のようにして異方導電性コネクター36が製造される。
先ず、図10に示すように、枠状のスペーサー82a,82bと、図7及び図8に示すような開口部67及び位置決め穴68を有する支持体66とを用意し、この支持体66を、枠状のスペーサー82bを介して下型74の所定の位置に固定して配置し、さらに上型73に枠状のスペーサー82aを配置する。一方、硬化性の高分子物質形成材料中に、磁性を示す導電性粒子を分散させることにより、ペースト状の成形材料を調製する。
次いで、図11に示すように、成形材料を上型73の成形面上にスペーサー82aにより形成される空間内に充填することにより、第1の成形材料層83aを形成し、一方、成形材料を、下型74、スペーサー82b及び支持体66によって形成される空間内に充填することにより、第2の成形材料層83bを形成する。
そして、図12に示すように、上型73を支持体66上に位置合わせして配置することにより、第2の成形材料層83b上に第1の成形材料層83aを積層する。次いで、上型73における強磁性体基板76の上面及び下型74における強磁性体基板70の下面に配置された電磁石(図示せず)を作動させることにより、強度分布を有する平行磁場、すなわち、上型73の強磁性体層77とこれに対応する下型74の強磁性体層80との間において大きい強度を有する平行磁場を第1の成形材料層83a及び第2の成形材料層83bの厚み方向に作用させる。その結果、第1の成形材料層83a及び第2の成形材料層83bにおいては、各成形材料層中に分散されていた導電性粒子が、上型73の各々の強磁性体層77とこれに対応する下型74の強磁性体層80との間に位置する導電路形成部69となるべき部分に集合すると共に、各成形材料層の厚み方向に並ぶよう配向する。
そして、この状態において、各成形材料層を硬化処理することにより、図13に示すように、弾性高分子物質中に導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で密に充填された導電路形成部69と、これらの導電路形成部69の周囲を包囲するよう形成された、導電性粒子が全くあるいは殆ど存在しない絶縁性の弾性高分子物質よりなる絶縁部70とを有する異方導電膜65が形成される。
次いで、図14に示すように、金型より支持体66に固定された異方導電膜65を取り出し、図17に示すように、異方導電膜65の表面の上方に印刷用マスク132を対向して配置させる。この印刷用マスク132は、図15及び図16に良く示されているように、矩形状を成し、その中央部の有効導電路形成部71に対応した位置には凹部133が形成されており、その外周部の無効導電路形成部72に対応した位置には貫通孔134が形成されている。
図18に示すように、異方導電膜65の表面上に印刷用マスク132を載置すると、凹部13に有効導電路形成部71の突出部分69aが収容されると共に、無効導電路形成部72の上方に貫通孔134が配置される。そこで、図19に示すように、この貫通孔134に上方から液状のシリコンゴム136を充填し、スキージ135で印刷用マスク132からはみ出たシリコンゴム136を除去する。
そして、図20に示すように貫通孔134に液状のシリコンゴム136が充填された状態で、シリコンゴム136が硬化する前に印刷用マスク132を取り外す。そうすると、図21に示すように、シリコンゴム136は流動して周りに広がり、有効導電路形成部71の突出部分69aより低くなるので、この状態でシリコンゴム136を加熱し、硬化させ、無効導電路形成部72の表面に絶縁層131を形成する。
以上において、各成形材料層の硬化処理は、平行磁場を作用させたままの状態で行うこともできるが、平行磁場の作用を停止させた後に行うこともできる。各成形材料層に作用される平行磁場の強度は、平均で20,000〜1,000,000μTとなる大きさが好ましい。
また、各成形材料層に平行磁場を作用させる手段としては、電磁石の代わりに永久磁石を用いることもできる。永久磁石としては、上記の範囲の平行磁場の強度が得られる点で、アルニコ(Fe−Al−Ni−Co系合金)、フェライトなどよりなるものが好ましい。
各成形材料層の硬化処理は、使用される材料によって適宜選定されるが、通常、加熱処理によって行われる。具体的な加熱温度及び加熱時間は、成形材料層を構成する高分子物質形成材料などの種類、導電性粒子の移動に要する時間などを考慮して適宜選定される。
次に、図1、2、及び図22,23を参照しつつ、上記した検査装置用変換アダプタ11を使用して、検査対象物33を検査する方法について説明する。ここで、図22及び図23は本発明の実施の形態に係る検査装置用変換アダプタの作用を示す断面図である。
先ず、変換アダプタ本体13の蓋部材18を開放した状態で、検査対象物保持部材17に、検査対象物33を入れる。検査対象物33が各検査対象物支持部31の傾斜面34によって所定位置の空間32内に案内され、異方導電性コネクター36上にセットされる。
次いで、捩りコイルバネ38の付勢力に抗して蓋部材18を回転させ、蓋部材18によりベース部材16の上面を覆うと、フック部材42の係止部45が係止突起部21に係止し、この係止状態は、捩りコイルバネ43の付勢力により保持される。また、この時、押圧部材19は、蓋部材18の上記回転動作に伴い、下方に向かって移動し、押圧部58が各検査対象物支持部31の傾斜面34によって空間32内に案内されて、検査対象物33を押圧する。この時、圧縮コイルバネ55がストッパ部48と鍔部53の間で圧縮されるため、検査対象物33は、圧縮コイルバネ55の圧縮量に応じた所定の圧力で、異方導電性コネクター36を押圧する。これにより、検査対象物33の電極部101と回路基板12の電極部14は、異方導電性コネクター36の導電路形成部69を介在させて電気的に導通された状態に保持される。
この状態において、検査装置側の電源設備(図示省略)から回路基板12に電流を印加すると、異方導電性コネクター36及び電極部101を介して検査対象物33にも電流が印加され、これにより、検査対象物33に対する所定の電気的検査を行うことができる。
この時、例え、異方導電膜65を成形する時に発生した導電路形成部69の導電性粒子等の導電性物質が検査用回路基板12上に付着していたとしても、検査用回路基板12の検査電極部14と無効導電路形成部72との間を絶縁層131が電気的に絶縁しているため、検査電極部14と無効導電路形成部72との間にリーク電流が流れることがなく、短絡により検査不良が発生するおそれはない。
また、絶縁層131は有効導電路形成部71の突出部分69aより低くなるように形成されているため、絶縁層131が検査用回路基板12に接触することにより、有効導電路形成部71と検査電極部124との接触を妨げることはない。したがって、上記した電気的検査の間、有効導電路形成部71は検査用回路基板121の検査電極部124に確実に接触するため、円滑且つ確実に電気的検査を行うことができる。
(a)支持体および金型の作製:
下記の条件に従って、図7に示す構成の支持体および図9に示す構成の異方導電膜成形用の金型を作製した。
〔支持体〕
支持体66は、材質がSUS304、厚みが0.2mm、開口部67の寸法が18.5mm×18.5mmで、四隅に位置決め穴68を有する。
〔金型〕
強磁性体基板76,79は、材質が鉄で、厚みが6mmである。
上型73における強磁性体層77は、材質がニッケルで、直径が0.3mm(円形),厚みが0.1mm,配置ピッチ(中心間距離)が0.5mm、強磁性体層の数は1600個(40個×40個)である。
非磁性体層78は、材質がドライフィルムレジストを硬化処理したものであり、厚みが0.1mmである。
下型79における強磁性体層80は、材質がニッケルで、直径が0.3mm(円形),厚みが0.1mm,配置ピッチ(中心間距離)が0.5mmであり、配置ピッチ(中心間距離)が0.5mmであり強磁性体層の数は1296個(36個×36個)である。
強磁性体層84は、材質がニッケルで、直径が0.3mm(円形),厚みが0.15mm,配置ピッチ(中心間距離)が0.5mmであり、強磁性体層80の外側に2列に配置され、強磁性体層の数は304個である。
非磁性体層81は、材質がドライフィルムレジストを硬化処理したものであり、厚みが0.15mmである。
(b)成形材料の調製:
付加型液状シリコンゴム100重量部に、平均粒子径が35μmの導電性粒子60重量部を添加して混合し、その後、減圧による脱泡処理を施すことにより、第1の成形材料を調製した。以上において、導電性粒子としては、ニッケルよりなる芯粒子に金メッキが施されてなるもの(平均被覆量:芯粒子の重量の15重量%)を用いた。
以上において、使用した付加型液状シリコンゴムは、それぞれ粘度が250Pa・SであるA液およびB液よりなる二液型のものであって、その硬化物の圧縮永久歪みが5%、デュロメーターA硬度が32、引裂強度が25kN/mのものを使用した。
(c)異方導電膜の形成:
上記の金型の上型73の成形面上に、厚みが0.225mmで22mm×22mmの開口を有するスペーサー82aを位置合わせして配置し、調製した成形材料をスクリーン印刷によって塗布することにより、厚みが0.225mmの第1の成形材料層83aを形成した。
上記の金型の下型74の成形面上に、厚みが0.225mmで220mm×220mmの開口を有するスペーサー82bを位置合わせして配置し、このスペーサー82b上に、上記の支持体66を位置合わせして配置し、調製した成形材料をスクリーン印刷によって塗布することにより、下型74、スペーサー82a,82bおよび支持体66によって形成される空間内に、厚みが0.425mmの第2の成形材料層83bを形成した。
そして、上型73に形成された第1の成形材料層83aと下型74に形成された第2の成形材料層83bを位置合わせして重ね合わせた。そして、上型73と下型74の間に形成された各成形材料層に対し、強磁性体層77,80の間に位置する部分に、電磁石によって厚み方向に2Tの磁場を作用させながら、100℃、1時間の条件で硬化処理を施すことにより、異方導電膜65を形成した。
以上のようにして、異方導電性コネクターを製造した。
以下、この異方導電性コネクターを「異方導電性コネクターA1」という。
(d)絶縁層の形成:
〔印刷用マスク〕
印刷用マスク132は、材質がSUS304、厚みが0.1mm、外径の寸法が、24mm×24mmで、その中央部に縦18mm×横18mmで深さ0.05mmの凹部133を有し、前記凹部の外周部に幅0.8mmの貫通孔134が前記凹部より0.2mm隔てられて形成されている。(図15、図16参照)
図17に示すように、異方導電性コネクターA1の異方導電膜65の表面の上方に印刷用マスク132を対向して配置させ、印刷用マスク132を、異方導電膜65の有効導電路形成部71の突出部分69aが凹部133に収容されると共に、無効導電路形成部72が貫通孔134に収容されるように積層した。
そして、図19に示すように、印刷用マスク132の貫通孔134に上方から液状のシリコンゴム136を充填し、スキージ135で印刷用マスク132からはみ出たシリコンゴム136を除去した。
以上において、使用した付加型液状シリコンゴムは、それぞれ粘度が250Pa・SであるA液およびB液よりなる二液型のものであって、その硬化物の圧縮永久歪みが5%、デュロメーターA硬度が32、引裂強度が25kN/mのものを使用した。
ついで、印刷用マスク132を取り外し、常温にて10分間放置してシリコンゴム136を流動させ周囲に広げた。
その後に、シリコンゴム136が印刷された上記の異方導電性コネクターA1を、100℃、1時間の条件で硬化処理を施すことにより、絶縁層131を形成した。
以上のようにして、本発明に係る異方導電性コネクター36を製造した。
以下、この異方導電性コネクターを「異方導電性コネクターB1」という。
〈異方導電性コネクターの評価〉
製造した本発明に係わる絶縁層131を形成した異方導電性コネクターB1(実施例1)と、絶縁層131を形成していない異方導電性コネクターA1(比較例1)について、以下のようにして評価を行った。
実施例1および比較例1に係る異方導電性コネクターを評価するため、図24〜図27に示すように、検査装置141、テスト用の検査対象物142と検査用回路基板143を用意した。
このテスト用の検査対象物142は、直径が0.3mmで、高さが0.2mmのハンダボール電極144(材質:64半田)を0.5mmピッチで縦36列×横36列で合計1296個を有するものであり、各々異なる縦列と横列の2個のハンダボール電極144が検査対象物142内の配線145によって互いに電気的に接続されている(図25参照)。
また、検査用回路基板143は、直径が0.3mmの検査用電極146を0.5mmピッチで縦40列×横40列で合計1600個を有するものであり、同一縦方向の40個が一つの配線147で連結されており、横方向に40列の配線が平行に並んで配置されているものである(図26参照)。
図27に示すように、異方導電性コネクター36における支持体66の位置決め穴に、検査用回路基板143のガイドピン148を挿通させることにより、当該異方導電性コネクター36を検査用回路基板143上に位置決めして配置し、この異方導電性コネクター36上に、テスト用の検査対象物142を配置し、これらを加圧治具(図示せず)によって、異方導電性コネクター36における異方導電膜65の導電路形成部69の歪み率が30%(加圧時における導電路形成部の厚みが0.35mm)となるように加圧し、異方導電性コネクター36、テスト用の検査対象物142並びに検査用回路基板143の検査用電極146およびその配線(図示省略)を介して互いに電気的に接続された、検査用回路基板143の外部端子(図示省略)間に、直流電源(図示省略)および定電流制御装置(図示省略)によって、10mAの直流電流を印加し、電圧計(図示省略)によって、加圧時における検査用回路基板143の外部端子間の電圧を順次に測定した。
測定は、検査用回路基板143の1つ配線に接続した外部端子に電流を印加し、残りの35の配線に接続した外部端子の各々について電圧を測定し、次いで電流を印加する外部端子を順次変更して、テスト用の検査対象物142の各々の回路について電圧の測定を行った。
上記の評価を行った結果、本発明に係わる絶縁層131を形成した異方導電性コネクターB1は、テスト用の回路装置の全ての回路について電圧の測定を実施することができた。
一方、比較例1に係る絶縁層131を形成していない異方導電性コネクターA1では、電圧測定時に無効導電路形成部72と支持体66を介して電気的な短絡が生じて、特定のテスト用の回路装置の配線についての電圧の測定は、ほとんど行うことができなかった。
なお、本発明においては、上記の実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のように種々の変更を加えることが可能である。
(1)異方導電性コネクター36には、必ずしも支持体66を設ける必要はなく、異方導電性コネクター36は異方導電膜65のみよりなるものであってもよい。
(2)潤滑剤を異方導電性コネクター36の上面又は両面に塗布してもよい。潤滑剤を塗布することにより、電気的検査時における異方導電性コネクター36の耐久性を向上させることができる。
(3)異方導電性コネクター36は、導電路形成部69が一定のピッチで配置され、一部の導電路形成部69が検査対象物33の電極部101に電気的に接続される有効導電路形成部71とされ、その他の導電路形成部69が検査対象物33の電極部101に電気的に接続されない無効導電路形成部72とされていてもよい。具体的に説明すると、検査対象物33としては、例えばCSP(Chip Scale Package)やTSOP(Thin Small Outline Package)などのように、一定ピッチの格子点位置のうち一部の位置にのみ電極部であるハンダボール電極が配置された構成のものがあり、このような検査対象物33に電気的検査を行うために使用される異方導電性コネクター36においては、導電路形成部69が検査対象物33の電極部101と実質的に同一のピッチの格子点位置に従って配置され、当該電極部に対応する位置にある導電路形成部69が有効導電路形成部とされ、それら以外の導電路形成部69が無効導電路形成部とされていてもよい。
このような構成の異方導電性コネクター36によれば、異方導電性コネクター36の製造において、金型の強磁性体層が一定のピッチで配置されることにより、成形材料層に磁場を作用させたときに、導電性粒子を所定の位置に効率よく集合させて配向させることができ、これにより、得られる導電路形成部69の各々において、導電性粒子の密度が均一なものとなるので、各導電路形成部69の抵抗値の差が小さい異方導電性コネクター36を得ることができる。
(4)異方導電膜65が、導電路形成部69と絶縁部70とを有さず、導電性粒子が面方向に分散し、厚み方向に配向した形態のものであってもよい。このような異方導電膜は、特許公開2003−77560号公報に示された方法等で製造することができる。
(5)検査対象物33としては、特に限定されず種々のものを用いることができ、例えば、トランジスタ、ダイオード、リレー、スイッチ、ICチップ若しくはLSIチップまたはそれらのパッケージ或いはMCM(Multi Chip Module)などの半導体装置からなる能動部品、抵抗、コンデンサ、水晶振動子、スピーカー、マイクロフォン、変成器(コイル)、インダクタンスなどの受動部品、TFT型液晶表示パネル、STN型液晶表示パネル、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスパネルなどの表示パネル、回路を形成したウェーハ、ダイシングしたウェーハなどが挙げられる。
(6)本発明に係る異方導電性コネクター36の適用は、上記した変換アダプタ11を備えた検査装置による検査に限定されるものではなく、例えば、図24に示されているように、異方導電性コネクター36の支持体66の位置決め穴に、検査用回路基板121のガイドピン122を挿通させることにより、異方導電性コネクター36を検査用回路基板121上に位置決めして配置すると共に、この異方導電性コネクター36上に、ハンダボール電極部128を備えた検査対象物33を配置し、耐久性の検査を行うようにしてもよい。
この耐久性の検査では、異方導電性コネクター36を恒温槽123内に配置した状態で、加圧治具(図示省略)により検査対象物33に所定の荷重を加え、その加圧中に、一定の電流を繰り返し印加して、電気抵抗値を測定し、加圧サイクルを繰り返し、異方導電性コネクターの評価を行う。そして、この時の電気抵抗値の測定は、異方導電性コネクター36、検査対象物33並びに検査用回路基板121の検査電極部124及びその配線(図示省略)を介して互いに電気的に接続された、検査用回路基板121の外部端子(図示省略)間に、直流電源125および定電流制御装置126によって、直流電流を常時印加しながら、電圧計127によって、加圧時における検査用回路基板121の外部端子間の電圧を測定することにより行う。