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JP4692033B2 - レンズ鏡筒 - Google Patents

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JP4692033B2
JP4692033B2 JP2005075403A JP2005075403A JP4692033B2 JP 4692033 B2 JP4692033 B2 JP 4692033B2 JP 2005075403 A JP2005075403 A JP 2005075403A JP 2005075403 A JP2005075403 A JP 2005075403A JP 4692033 B2 JP4692033 B2 JP 4692033B2
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Description

本発明は、カメラ、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等のレンズ鏡筒、又は、それらに装着可能な交換レンズとして使用されるレンズ鏡筒に関するものである。
上記カメラ等におけるレンズ鏡筒には、オートフォーカス(以下、AF)とマニュアルフォーカス(以下、MF)とを撮影者の意図により切り替え(以下、AF−MF切替)て使用することができるものがある。このようなレンズ鏡筒では、AF時には、モータの駆動力を利用するためにフォーカスレンズを駆動するカム機構やヘリコイド機構などの駆動機構とモータとが歯車列により接続されている。一方、MF時には、撮影者が手動でフォーカス環等を操作し、その操作力により上述の駆動機構を操作する。したがって、MF時には、駆動機構とモータとの接続を何らかの形で解除する必要がある。この切り替えに関する技術として、特許文献1がある。
特許文献1において、モータには、超音波モータが使用されているが、必要な駆動トルクを得るために大きな減速比が必要であり、多数の歯車を並べた歯車列が必要であった。特許文献1に記載の技術では、この多数の歯車を有した歯車列の中間付近の歯車の噛み合いを解除している。
一方、近年では、従来と比較して飛躍的に高いトルクの駆動力を発揮しながらも、小型である小型振動波モータが開発されている。この高トルクの小型振動波モータを用いれば、大きな減速比とする必要がなく、最小限の歯車のみからなる歯車列とすることができ、全体を小型化することが可能となる。
しかし、高トルクの小型振動波モータを用いたレンズ鏡筒では、小型化のために歯車列も小型化されているが、AF−MF切替を行う場合に、特許文献1に開示されている技術を使用すると、移動する歯車の退避スペースに加えて、移動する歯車との噛み合いを保持する他の歯車のスラスト方向の厚さも厚くする必要があり、小型化を妨げてしまうという問題があった。
特に、軸位置が2〜3軸程度の非常に小型の歯車列では、移動可能にすることができる歯車の位置も限定されてしまい、その限定された中で特許文献1に開示されたような切替機構を配置しようとすると、スラスト方向に大型化してしまうという問題があった。
このように、従来の技術では、小型化に適した高トルクの小型振動波モータを用いたことによる利点を十分に生かすことができないという問題があった。
特開平5−268780号公報
本発明の課題は、オートフォーカスとマニュアルフォーカスとを任意に切替可能であって、高トルクの小型振動波モータに適した小型のレンズ鏡筒を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施例に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、フォーカシングレンズ(L1)と、前記フォーカシングレンズを駆動する合焦動作時に回転するフォーカス回転筒(6)と、前記フォーカス回転筒に設けられた回転筒歯車部(6b)と、オートフォーカスとマニュアルフォーカスとを外部から切替操作可能な切替操作部材(11)と、オートフォーカス時に前記フォーカス回転筒を駆動する駆動力を発生するモータ(17)と、前記モータの回転駆動力を前記フォーカス回転筒に伝達する複数の歯車を有した歯車列(10)と、前記歯車列を構成する歯車であって、オートフォーカス時及びマニュアルフォーカス時のいずれの場合においても常に前記回転筒歯車部と噛み合い、かつ、その軸方向の位置が移動しない様に位置規制されている出力歯車(12)と、前記出力歯車と同軸且つ回転方向において係合して前記出力歯車と同時に回転可能に設けられ、前記切替操作部材の操作に連動してオートフォーカス位置とマニュアルフォーカス位置との間を軸方向に沿って移動可能な切替歯車部材(13)と、を備え、前記切替歯車部材は、前記歯車列に含まれる第1の切替歯車(16)と噛み合う第2の切替歯車部(13b)と前記第2の切替歯車部と前記出力歯車と係合する軸部分とを有し、前記軸部分は、前記オートフォーカス位置と前記マニュアルフォーカス位置との間の移動時に前記出力歯車に対して回転方向の係合状態を継続しながらその係合位置が軸方向に移動可能な係合部を有しており、前記オートフォーカス位置では、前記第1の切替歯車と前記第2の切替歯車部とが噛み合い、前記マニュアルフォーカス位置では、前記第1の切替歯車と前記第2の切替歯車部との噛み合いが解除されるレンズ鏡筒である。
請求項の発明は、請求項1に記載のレンズ鏡筒において、前記出力歯車は、オートフォーカス時及びマニュアルフォーカス時のいずれの場合においてもその軸方向の位置が移動しない様に位置規制されていること、を特徴とするレンズ鏡筒である。
請求項の発明は、請求項1または2に記載のレンズ鏡筒において、前記第2の切替歯車部は、前記出力歯車と同軸であること、を特徴とするレンズ鏡筒である。
請求項の発明は、請求項に記載のレンズ鏡筒において、前記切替歯車部材(13)を前記オートフォーカス位置方向へ付勢する付勢部材(15)を有すること、を特徴とするレンズ鏡筒である。
請求項の発明は、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、前記歯車列(10)は、前記モータ(17)と同軸にある第1の軸位置と、前記切替歯車部材(13)の軸位置にある第2の軸位置と、前記第1の切替歯車(16)と同軸にある第3の軸位置と、の3つの軸位置から形成されていること、を特徴とするレンズ鏡筒である。
請求項の発明は、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、前記歯車列は、前記モータと同軸にある第1の軸位置と、前記切替歯車部材の軸位置にある第2の軸位置と、の2つの軸位置から形成されており、前記第1の切替歯車は、前記第1の軸位置に配置されていること、を特徴とするレンズ鏡筒である。
請求項の発明は、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、前記モータ(17)は、その中心軸から回転駆動力を出力する小型振動波モータであること、を特徴とするレンズ鏡筒である。
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)切替歯車部材は、歯車列に含まれる第1の切替歯車と噛み合う第2の切替歯車部を有しており、オートフォーカス位置では、第1の切替歯車と第2の切替歯車部とが噛み合い、マニュアルフォーカス位置では、第1の切替歯車と第2の切替歯車部との噛み合いが解除されるので、歯車列を小型にすることができる。
(2)出力歯車は、その軸方向の位置が移動しない様に位置規制されており、切替歯車部材は、移動時に出力歯車に対して回転方向の係合状態を継続しながらその係合位置が軸方向に移動可能な係合部を有しているので、歯車の噛み合いを解除する位置を1箇所のみとすることができ、歯車列のガタを少なくすることができる。
(3)切替歯車部材をオートフォーカス位置方向へ付勢する付勢部材を有するので、AFからMFへ切り替えるときに第1の切替歯車と第2の切替歯車部との歯位置がずれていた場合であっても、切替操作部材の操作に支障が生じることなく、また、僅かに歯車列が駆動されることにより確実に切り替えを行うことができる。
(4)歯車列は、3つ、又は、2つの軸位置から形成されているので、従来の技術を使用した場合に小型化を達成することが困難な条件であるにも関わらず、小型化を達成することができる。
(5)モータは、その中心軸から回転駆動力を出力する小型振動波モータであるので、歯車列に必要な歯車の数が少なく、より小型化を達成することができる。
オートフォーカスとマニュアルフォーカスとを任意に切替可能であって、高トルクの小型振動波モータに適した小型のレンズ鏡筒とするという目的を、出力歯車と同軸且つ回転方向において係合して出力歯車と同時に回転可能に設けられ、切替操作部材の操作に連動してオートフォーカス位置とマニュアルフォーカス位置との間を軸方向に沿って移動可能な切替歯車部材を設けることにより実現した。
図1は、本発明の実施例におけるレンズ鏡筒及びその歯車ユニットのAF状態を示す図である。図1(a)は、歯車ユニットを示し、図1(b)は、レンズ鏡筒全体を示している。
本実施例におけるレンズ鏡筒は、一眼レフタイプのカメラ及びデジタルスチルカメラに装着可能な交換レンズであり、オートフォーカス(AF)とマニュアルフォーカス(MF)とを撮影者の意図により切り替え(AF−MF切替)て使用することができる。
本実施例におけるレンズ鏡筒は、連結部1,固定部2,ズーム環3,フォーカス群保持部材4,後群保持部材5,フォーカス回転筒6,回転筒歯車部6b,オスヘリコイド部材7,直進連動キー8,歯車ユニット10,AF−MF切替操作部材11,切替板11a,第1レンズ群L1,第2レンズ群L2,第3レンズ群L3等を有している。
連結部1は、カメラ側のメスマウントに装着するためのオス側のマウントであって、バヨネット部分等を備えている。
固定部2は、連結部1と一体に取り付けられており、内径部分に突き出た3カ所の直進キー部分2aを備え、AF−MF切替操作部材11が取り付けられている。
ズーム環3は、焦点距離を変更するズーミング操作時に光軸まわりで回転させる操作部材であり、カム溝3a,3bを備えている。
フォーカス群保持部材4は、第1レンズ群L1を保持する部材であって、内径部分に設けたメスヘリコイドねじ4aと、外径部分に設けられた係合用のキー部分4b等とを備えている。フォーカス群保持部材4は、キー部分4bによりフォーカス回転筒6と回転方向のみ連動可能となっている。
後群保持部材5は、第2群レンズL2及び第3レンズ群L3を保持する部材であって、外径部分に設けられてカム溝3bに係合する連動突起5aと、直進連動キー8と係合する案内溝5b等とを備えている。
フォーカス回転筒6は、後述の出力歯車12によって光軸まわりに回転する部材であって、このフォーカス回転筒6と一体で光軸方向に延びた連動用のキー部分6aと、後部の内径部分に設けた駆動用の回転筒歯車部6bとを備えている。
フォーカス回転筒6は、不図示の部分によって光軸回の回転のみ可能となるように拘束されている。
オスヘリコイド部材7は、ヘリコイドねじ7aと、内径部分に設けられたカムフォロアー7bと、不図示の直進案内溝等を備えている。
直進連動キー8は、固定部2にビス9で位置決めして固定され、後群保持部材5を直進ガイドする部材である。
AF−MF切替操作部材11は、AF−MF切替を行うときに撮影者がレンズ鏡筒外部から操作する切替操作部材であり、光軸に略沿った方向に移動可能に固定部2に取り付けられている。AF−MF切替操作部材11を被写体方向に移動した状態(図1)がAF状態であり、カメラ側に移動した状態(図2)がMF状態である。
切替板11aは、AF−MF切替操作部材11に固定され、AF−MF切替操作部材11と連動して移動する部材であり、後述の切替歯車部材13に係合している。
第1レンズ群L1,第2レンズ群L2,第3レンズ群L3は、レンズ鏡筒の撮影光学系を形成している。第1レンズ群L1は、フォーカシング時に移動するフォーカシングレンズである。
第2レンズ群L2及び第3レンズ群L3は、ズーミング時に第1レンズ群L1とは独立して後群として動作する。したがって、本実施例におけるレンズ鏡筒の撮影光学系は、所謂2群ズーム光学系となっている。
フォーカス(合焦)動作は、第1レンズ群L1を保持するフォーカス群保持部材4に回転力を与え、メスヘリコイドねじ4aの作用により第1レンズ群L1が回転しながら光軸方向に移動して行われる。そして、係合用のキー部分4bがフォーカス回転筒6の連動用のキー部分6aと回転連動するので、フォーカス動作を行う場合には、AF,MFを問わず常にフォーカス回転筒6が回転する。
なお、フォーカス群保持部材4に回転力を与えるのは、AF時には、小型振動波モータ17の回転駆動力が歯車ユニット10及びフォーカス回転筒6を介して伝えられる回転駆動力であり、MF時には、フォーカス群保持部材4を撮影者が直接操作することによる回転駆動力である。そして、AFからMFに切り替えるときには、AF−MF切替操作部材11の操作によりフォーカス群保持部材4と小型振動波モータ17との接続を解除する。
一方、ズーム動作は、ズーム環3を撮影者が回転させると、カム溝3aとカムフォロアー7bとの関係により、オスヘリコイド部材7が光軸方向に移動する。そうすると、オスヘリコイド部材7にヘリコイドねじ係合しているフォーカス群保持部材4も一体に光軸方向に移動し、第1レンズ群L1がズーミング移動することになる。
また、ズーム環3の内径に設けられたカム溝3bに係合する後群保持部材5の連動突起5aと、直進連動キー8と係合する案内溝5bとの作用によって、ズーム環3が回転すると、第2レンズ群L2及び第3レンズ群L3は、光軸方向にズーミング移動する。
歯車ユニット10は、出力歯車12,切替歯車部材13,座金14,付勢ばね15,第1の切替歯車16,ユニット地板18,19等を有し、小型振動波モータ17の回転駆動力をフォーカス回転筒6に伝達する歯車列である。
出力歯車12は、歯車部12aが回転筒歯車部6bと噛み合う歯車ユニット10の出力歯車である。出力歯車12は、固定部2及び後述の切替歯車部材13により回転可能に軸支持されると共に、AF時及びMF時のいずれの場合においても常に回転筒歯車部6bと噛み合っているように、固定部2とユニット地板19とによりスラスト方向の位置を規制されている。また、出力歯車12は、後述の切替歯車部材13の係合部13aと係合する穴である係合部12bを有している。
切替歯車部材13は、係合部13a,第2の切替歯車部13b,つば部13cを有し、出力歯車12と同軸に設けられている部材である。
係合部13aは、円形断面の軸部分の先端付近の断面形状が小判型となるように、2つの平行な平面を形成した形状となっており、出力歯車12にも同様な形状の穴が形成されている。したがって、切替歯車部材13は、出力歯車12に対して軸方向に移動可能であり、回転方向は連動可能に係合して同時に回転するようになっている。
つば部13cには、切替板11aがスラスト方向において係合している。したがって、切替歯車部材13は、AF−MF切替操作部材11の操作に連動してAF位置(図1)とMF位置(図2)との間を軸方向に沿って移動可能である。
第2の切替歯車部13bは、後述の第1の切替歯車16と噛み合う歯車部分である。
切替歯車部材13がAF位置にある時には、第1の切替歯車16と第2の切替歯車部13bとが噛み合う。一方、切替歯車部材13がMF位置にあるときには、第1の切替歯車16と第2の切替歯車部13bとの噛み合いが解除される。
付勢ばね15は、座金14を介して切替歯車部材13のつば部13cをAF位置方向へ付勢する付勢部材である。この付勢ばね15により切替歯車部材13に対して付勢力を与えることにより、AFからMFへ切り替えるときに第1の切替歯車16と第2の切替歯車部13bとの歯位置がずれていた場合であっても、AF−MF切替操作部材11の操作に支障が生じることなく、また、僅かに歯車列が駆動されることにより確実に切り替えを行うことができる。
第1の切替歯車16は、モータ出力歯車17a及び第2の切替歯車部13bのそれぞれと噛み合う2段歯車である。
小型振動波モータ17は、高トルク且つ小型の超音波モータであり、モータ出力歯車17aが一体に取り付けられている。小型振動波モータ17は、ユニット地板18にビス止めにより固定されている。
ユニット地板18、19は、歯車ユニット10の各部材を固定部2に対して支持及び固定する部材である。
図2は、本発明の実施例におけるレンズ鏡筒及びその歯車ユニットのMF状態を示す図である。図2(a)は、歯車ユニットを示し、図2(b)は、レンズ鏡筒全体を示している。この図と共にAF状態を示す図1とを参照しながら、AF−MF切替動作について説明する。
図1のAF状態では、各歯車が連結された状態であり、小型振動波モータ17のAF駆動力を伝達させることによって、AF駆動を行う。
これに対して、図2のMF状態では、出力歯車12の歯車部12aと回転筒歯車部6bとの噛み合いが保持されたままであるが、切替歯車部材13の第2の切替歯車部13bと第1の切替歯車16との噛み合いを解除した状態であり、MF駆動が可能となる。これは、AF−MF切替操作部材11をMF側へ操作したことにより、切替板11aがつば部13cを押し、切替歯車部材13がMF位置(図2)に付勢ばね15の付勢力に抗して移動したことによる。
(比較例)
ここで、本願の作用効果を説明するために、比較例を挙げる。
図3は、比較例におけるレンズ鏡筒及びその歯車ユニットのAF状態を図1と同様にして示した図である。
図4は、比較例におけるレンズ鏡筒及びその歯車ユニットのMF状態を図2と同様にして示した図である。
なお、比較例の説明は、前述した本実施例と異なる部分についてのみ行い、同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図3及び4に示す比較例では、先に説明した特許文献1に記載の技術を使用して、本実施例における出力歯車12に相当する出力歯車112を、本実施例における切替歯車部材13に相当する第2の切替歯車部112bと一体に形成している。そして、第2の切替歯車部112bと一体で出力歯車112を切替板11aにより連動させている。
具体的には、AF時には、出力歯車112と第2の切替歯車部112bとが一体で被写体側に移動しており、出力歯車12の歯車部112aが回転筒歯車部6bと噛み合い、第2の切替歯車部112bが第1の切替歯車116と噛み合っている。MF時には、出力歯車112と第2の切替歯車部112bとが一体でカメラ本体側に移動しており、出力歯車12の歯車部112aは、回転筒歯車部6bとの噛み合いを解除されるが、第2の切替歯車部112bについては、第1の切替歯車116との噛み合いを継続している。
ここで、比較例では、AF時及びMF時の双方において、常に第1の切替歯車116と第2の切替歯車部112bとを噛み合わせておくために、第1の切替歯車116の歯幅を広くしている。これは、小型振動波モータ117からフォーカス回転筒6までの間で、MF時に2箇所の歯車の噛み合いを解除してしまうと、MFからAFへ切り替えるときに、2箇所の噛み合いをしなければならず、タイミングがずれると切り替わりに要する時間が長くなってしまうことを防止するためである。また、歯車の噛み合いを解除する部分では、解除状態から噛み合わせるときに容易に噛み合うことができるように、バックラッシュを多めに取る必要がある。したがって、2箇所で歯車の噛み合いを解除する場合には、バックラッシュを増加させる部分が2倍になり、このバックラッシュ増加による歯車列のガタも2倍となってしまうので、これを防止するためでもある。このような要請から、先に説明した実施例、及び、特許文献1においても、噛み合いを解除するのは、1箇所としてあり、比較例でも同様に1箇所のみを解除するようにしている。
特許文献1の技術を使用した比較例の形態は、一見成立しているように見えるが、小型振動波モータ117に近い位置にある第1の切替歯車116の歯幅を広くしているために、小型振動波モータ117の位置が実施例における小型振動波モータ17の位置よりもカメラ本体側へずれている。図3(a)及び図4(a)中に二点鎖線Aにより示した線は、先に説明した本実施例における小型振動波モータ17の位置を示したものである。このように、比較例では、高トルクの小型振動波モータを用いて歯車列の小型化を図ったにも関わらず、十分な小型化を達成することができなくなってしまっている。
なお、特許文献1では、モータの位置をずらすことなく切り替えを実現しているが、これは、そもそも特許文献1では、高トルクのモータを使用していないことから、必要な駆動力を得るために歯車列に大きな減速比が要求されているものである。したがって、特許文献1に記載の歯車列では、多数の歯車を有しており、その中の都合のよいひとつを移動させることにより、全体を大型化することなく切り替えを実現している。
一方、本実施例、及び、比較例では、高トルクの小型振動波モータ17(117)を用いることにより、必要な駆動力を得るために歯車列に大きな減速比が要求されない。したがって、歯車列には、2から3軸程度しか軸位置が存在していない。このため、単純に特許文献1の技術を使用しただけの比較例の形態では、どのように配置を工夫したところで、小型振動波モータ117を含む歯車列全体の大型化が避けられない。
これに対して、本実施例では、第1の切替歯車16における噛み合いを解除するので、第1の切替歯車16の歯幅を広くする必要もない。小型振動波モータ17の場合、駆動パワーを最大限に引き出す為にモータの形状に制約が出てくるが、そのような場合でも歯車列の形状が大きくなることもなく、そのため鏡筒が大きくなってしまうということもない。また、MF時の歯車の噛み合いを解除する箇所が比較例と比べて少なく、また、その位置が小型振動波モータ17に近いので、切替歯車部材13の第2の切替歯車部13bと第1の切替歯車16との間の歯車比分、小型振動波モータ基準の歯車のバックラッシによるガタも比較例より小さくすることができる。
このように、本実施例によれば、高トルクの小型振動波モータ17を用いたことによる利点を最大限に引き出して、従来にない非常に小型のレンズ鏡筒を歯車列のガタも少ないまま実現することができる。
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
(1)本実施例において、交換レンズのレンズ鏡筒を例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、レンズ一体型のカメラ等のレンズ鏡筒であってもよい。
(2)本実施例において、高トルクの小型振動波モータを用いた例を示したが、これに限らず、従来使用されている電磁型モータを用いてもよい。
(3)本実施例において、歯車列は、3つの軸位置を有している例を示したが、これに限らず、例えば、2つの軸位置を有していてもよいし、4つ以上の軸位置を有していても、本願を用いることによる小型化の効果を得ることができる。
本発明の実施例におけるレンズ鏡筒及びその歯車ユニットのAF状態を示す図である。 本発明の実施例におけるレンズ鏡筒及びその歯車ユニットのMF状態を示す図である。 比較例におけるレンズ鏡筒及びその歯車ユニットのAF状態を図1と同様にして示した図である。 比較例におけるレンズ鏡筒及びその歯車ユニットのMF状態を図2と同様にして示した図である。
符号の説明
1 連結部
2 固定部
3 ズーム環
4 フォーカス群保持部材
5 後群保持部材
6 フォーカス回転筒
6b 回転筒歯車部
7 オスヘリコイド部材
8 直進連動キー
9 ビス
10 歯車ユニット
11 AF−MF切替操作部材
11a 切替板
12 出力歯車
13 切替歯車部材
13b 第2の切替歯車部
14 座金
15 付勢ばね
16 第1の切替歯車
17 小型振動波モータ
18,19 ユニット地板

Claims (7)

  1. フォーカシングレンズと、
    前記フォーカシングレンズを駆動する合焦動作時に回転するフォーカス回転筒と、
    前記フォーカス回転筒に設けられた回転筒歯車部と、
    オートフォーカスとマニュアルフォーカスとを外部から切替操作可能な切替操作部材と、
    オートフォーカス時に前記フォーカス回転筒を駆動する駆動力を発生するモータと、
    前記モータの回転駆動力を前記フォーカス回転筒に伝達する複数の歯車を有した歯車列と、
    前記歯車列を構成する歯車であって、オートフォーカス時及びマニュアルフォーカス時のいずれの場合においても常に前記回転筒歯車部と噛み合い、かつ、その軸方向の位置が移動しない様に位置規制されている出力歯車と、
    前記出力歯車と同軸且つ回転方向において係合して前記出力歯車と同時に回転可能に設けられ、前記切替操作部材の操作に連動してオートフォーカス位置とマニュアルフォーカス位置との間を軸方向に沿って移動可能な切替歯車部材と、
    を備え、
    前記切替歯車部材は、前記歯車列に含まれる第1の切替歯車と噛み合う第2の切替歯車部と前記第2の切替歯車部と前記出力歯車と係合する軸部分とを有し、前記軸部分は、前記オートフォーカス位置と前記マニュアルフォーカス位置との間の移動時に前記出力歯車に対して回転方向の係合状態を継続しながらその係合位置が軸方向に移動可能な係合部を有しており、前記オートフォーカス位置では、前記第1の切替歯車と前記第2の切替歯車部とが噛み合い、前記マニュアルフォーカス位置では、前記第1の切替歯車と前記第2の切替歯車部との噛み合いが解除されるレンズ鏡筒。
  2. 請求項に記載のレンズ鏡筒において、
    前記出力歯車は、オートフォーカス時及びマニュアルフォーカス時のいずれの場合においてもその軸方向の位置が移動しない様に位置規制されていること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  3. 請求項1または2に記載のレンズ鏡筒において、
    前記第2の切替歯車部は、前記出力歯車と同軸であること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  4. 請求項に記載のレンズ鏡筒において、
    前記切替歯車部材を前記オートフォーカス位置方向へ付勢する付勢部材を有すること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  5. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、
    前記歯車列は、前記モータと同軸にある第1の軸位置と、
    前記切替歯車部材の軸位置にある第2の軸位置と、
    前記第1の切替歯車と同軸にある第3の軸位置と、
    の3つの軸位置から形成されていること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  6. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、
    前記歯車列は、前記モータと同軸にある第1の軸位置と、
    前記切替歯車部材の軸位置にある第2の軸位置と、
    の2つの軸位置から形成されており、
    前記第1の切替歯車は、前記第1の軸位置に配置されていること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  7. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、
    前記モータは、その中心軸から回転駆動力を出力する小型振動波モータであること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
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